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ふと気がつくと三ヶ月前の世界にタイムスリップをした主人公が、おぼろげな記憶を頼りに三ヶ月後に自殺をした同級生を救うべく行動を起こします。
しかしその「容疑者」が誰かが分からず、友人たちと放課後に名前探しをするといったストーリーです。
どこかそのデビュー作に似通っていますし、登場人物の抱える悩み、闇などに切り込むところなどはそっくりなのですが、そこは辻村深月ですので油断はできません。
かなり身構えていたつもりではあったのですが「そうくるか」と、さすがの展開に拍手喝采です。
ただ万人受けをするかと問われれば、答えは否です。
ファンとしては嬉しい松永郁也、多恵、おそらくは芦沢理帆子、そしてチヨダ・コーキと、これまでの作品からのゲストなのですが、一見さんには何のことかも分からないでしょう。
しかもこれまでの作品を読んでいることを前提にしているところがあり、もし著書を順番どおりに読んでのこの作品でない方にはお奨めできません。
もし手を出してしまえばクエスチョンマークが飛び交うかもしれず、素晴らしいラインアップとなっていますので、デビュー作から順を追ってこその楽しさ倍増です。
例によってのエピローグは個人的には余計でしたが、期待を裏切らない辻村ワールドでした。
2014年12月27日 読破 ★★★★☆(4点)