オリオン村(跡地)

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藤田の戦力外通告に思うこと

2007-10-30 01:21:48 | 千葉ロッテ

27日に藤田が戦力外通告を受けました。
その時は驚きもあり意外にも感じ、また記録達成を目前にした藤田にコーチ就任を要請することを酷であると書きました。
しかし一晩経ち、だんだんと考え方が変わってきた自分に気が付きました。

結論を先に言えば、今回の藤田への戦力外通告はバレンタイン監督と球団がそう判断したのであれば支持をしたいということです。
今年の藤田を自分がどう見ていたかを考えれば、酷であるとか可哀想であるとか言える自分ではないことに思い至ったからです。
実際、僅か1週間前に「現役続行すら危ぶまれる」と藤田を評価していた自分がいました。

今度はベニー、そしてFAで藪田と福浦 (10/21 オリオン村)

まず、藤田の戦力外を判断したのは誰かということです。
おそらくは球団の編成部が判断し、バレンタイン監督に打診をしたのではないかと想像します。
そしてバレンタイン監督が反対をしなかった、このことで戦力外が決定したのだと思います。
あるいはGM的な権力を持つバレンタイン監督が主導したのかもしれませんが、いずれにせよバレンタイン監督が反対の立場をとらなかったのでしょう。

戦力外通告の理由として、本多球団部長が「本人が望む場所で投げてもらうことはないと判断した」と語っています。
この「望む場所」というのがロッテを指すのか1軍を指すのか言い回しが難しいコメントではありますが、来季の戦力として考えていないという意味であることは間違いありません。
その判断に1億3000万という年俸と来季36歳という年齢、そして今まで契約交渉で揉め続けていたことが働いたことは想像に難くありません。
要は給料に見合った働きを期待することはできないし、恩情をかける義理もないと判断したと思われます。

何だかんだ言っても、先日の書き込みで「日本人的」と断ったように、私は球団に長年貢献してきた選手にはそれなりの待遇をして欲しいと思っています。
引退試合をしてファンとの最後の別れをさせて欲しいですし、能力があればコーチとして、その才がなくとも何らかのスタッフとしてチームに残って欲しいと思っています。
しかしそういった旧き良き時代の選手と球団との間の阿吽の繋がりを断ったのは、選手側であることを忘れてはなりません。

もちろん藤田個人がどうのと言うつもりはありません。
しかし選手会という一部の有力選手の利益を追求するだけのために存在するような組織の今までの行動に代表される選手側の対応が、球団側に恩情という行為を棄てさせる理由になったことは誰も否定できないはずです。
昭和60年代ぐらいまでは多少成績が落ちても、長年チームに貢献してきた選手を無下に解雇するような事はほとんどなかったはずです。
例えばロッテで言えば有藤は2000本安打を達成するだけのために現役続行ができたようなものでした。
ところが今は数年の活躍で莫大な年俸を得るために契約更改で揉める選手が増え、時にはFA行使による移籍をちらつかせて破格の待遇を得ています。
3年前に近鉄が消滅した時の痛みを忘れて権利だけを主張していることを棚に上げて、解雇された時だけ冷たいだとか酷だとかいうのは違うのではないかと思います。
別にだからこそ球団の言うがままに契約をしろというつもりはありませんが、ビジネスライクになったのであればそれ相応の覚悟もしておくべきだということです。
藤田が今年の成績と自分の立場を理解していれば当然今回の結果は予想していなければならないはずで、「驚いた」と言っている時点でどこか甘えがあったとしか思えません。

それでも1つの判断として、大幅年俸ダウンで残留を要請することはできなかったのかとも考えました。
しかしそれも現実的には無理であろうとの結論に至りました。
一時代を築いた選手が、同じ球団で大幅減俸の上に使われ方も以前とは違うものになることに耐えられるか、答えは否だと思います。
成本は阪神で復活しましたが、最初から抑えとして起用されたわけではなく、単なる中継ぎからスタートして這い上がりました。
ではロッテでも同じように中継ぎに降格してやっていけたのか、使う側も使われる側も、そして周りの選手も気を遣ってプレーどころではなくなる可能性が非常に高いと思います。
拾ってもらった、そして外様であることでそういった気兼ねから解放されるからこそ、成本のようなケースがありえたのだと思います。
もちろん大幅減棒でも頑張ってきた黒木や、敗戦処理を黙々とこなしてくれている小宮山といった例外もありますが、藤田に来季は2000万円で敗戦処理を任せることが本当にできたのかと自問自答した結果が「それは無理であろう」ということです。

ここまでは球団と選手との間の話です。
ここからはファンとしての気持ちについてになります。

前述したとおり、藤田のような選手にはロッテで終わって欲しいという思いは確かにあります。
また先日も書いたとおりロッテで記録を達成して欲しいと思ったことも嘘偽りではありません。
理想を言えばロッテに残留し、復活して記録を達成してくれることがベストですが、もし復活できなかった場合に記録のためだけの目的で1軍で起用される藤田の存在を自分は許せるのかどうかを考えてみました。
間違いなく許せないし、相当な批判を展開するであろう事は火を見るより明らかです。
そんな自分が驚きだ、意外だ、酷だなどと言う資格があるのかと思い至ったこと、これが考えが変わり始めたきっかけでした。
バレンタイン監督と球団が1軍戦力として来季は構想外と判断した以上は、大幅減俸で残留してもそれは決して本人のためにはならないはずです。

小宮山の時と同様に、藤田への戦力外通告が意趣返しの意味合いが含まれるであろうことは否定しません。
しかし結果的に自由契約となることで、他球団への移籍が容易になったことは間違いありません。
幸いにもソフトバンクのフロントや王監督が興味を示してくれているようですから、来季も現役を続行できる目がでてきました。
またブラフの可能性が高いとは言えコーチ就任を要請していることから、本人が望みさえすれば次の就職先が確保されているという功労者に対する一定の配慮を球団はしているわけですから情がないわけでもありません。
よってファンとしてこれを冷たい措置だと批判できるのであろうか、私の出した答えはNoです。

冷たいと言われるかもしれませんが、既に私の興味は藤田の来季よりもロッテの来季の構想に移っています。
実質1年の実績しかない川崎と来季40歳の高木しかいない中継ぎ左腕をどうするのか。
先発として育ててきた古谷を中継ぎに転向させるのか、松本に目処が立ったと考えているのか。
あるいはバレンタイン監督のルートでの新外国人左腕の獲得を目指しているのか、大学・社会人ドラフトで長谷部や宮西、服部などの左腕を指名するつもりなのか。
それとも左打者に実力の劣る左腕をぶつけるよりは力のある右腕をあてる方がよいと、その考え方を変えるのか。
いろいろと妄想は尽きません。

考えをまとめるつもりが結局はつらつらと書き殴るだけになってしまいましたが、私の今の思いは以上の通りです。
今後もまた考えや思いが変わるかもしれませんが、今は藤田には一野球ファンとして記録を達成して欲しいと思っていますし、今回の判断がロッテにとって新しい選手の台頭や戦術の変革の様なプラスの方向に働いてくれることを願うばかりです。

 

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