電脳筆写『 心超臨界 』

人生は歎き悲しむよりも
笑いとばすほうが人には合っている
( セネカ )

自衛隊員に「違法行為」を強いるな――百田尚樹さん

2017-03-21 | 04-歴史・文化・社会
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【 青山繁晴&百田尚樹、新潮社 (2017/1/31)、p43 】

【百田】 拉致問題について、実はほとんどの国民は、自分とは関係ないと思ってるんです。被害者が百人だとしても、国民全体から見れば少数派ですから、そのせいで自分の生活には直接関係ないと、みな思っているところがある。しかし、これは青山さんのおっしゃったとおり、いつ自分がそういう身になるかわからない問題なのです。

現実に、比較的最近、1999年に能登半島沖不審船事件というものがありました。海上保安庁の船が不審船を石川県の沖で見つけて追跡した。ところが、不審船が非常に速かったので、自衛隊が引き継いで追跡した。この時、戦後初めて海上警備行動として海上自衛隊の護衛艦2隻が動いた。

止まれ、止まれと言って停船を求めるんですが、当然、相手は止まらない。ですから、そこで警告射撃をするんですが、これを船に当ることはできないんです。なぜなら自衛隊は、あくまで相手が攻撃してきた時に、正当防衛で戦うことはできるんですが、攻撃しないものに対して銃とか大砲を撃つことはできない。それで、仕方なく、船の周りに、警告射撃をするわけです。

しかしその警告射撃ですら、内閣の了解を得るのに時間がかかる。

不審船となっていますが、相手が北朝鮮の工作船なのは明らかで、当然、北朝鮮の工作員は、憲法9条も知っています。ですから、自衛隊が攻撃してこないのを知ってる。悠然と逃げていくわけです。自衛隊は、ひたすら追いかけていくだけ。追いかけていって、ここで非常に不思議なことが起こりました。不審船が――おおらくエンジントラブルといわれていますが――止まってしまったんです。

ここで自衛隊側は悩んだんです。どうするか。おそらく、この不審船の中に拉致された日本人がいる可能性がある。当然、船に乗り込んで臨検しなければならない。

ところが、その自衛艦に乗っていた隊員たちは防弾チョッキも何も持っていないんです。当然、相手は武器、おそらくピストルくらいは持っていると考えられる。

行くだけで命懸けです。じゃあ、どうするか。この時に、命令は出せないので、志願を募ったんです。すると、乗組員24人全員が「志願します」と。素晴らしいことです。

しかし防弾チョッキもない。それでどうしたかといえば、艦内にあるマンガ本とか雑誌を体中に巻いて紐でくくって、乗り込もうとしたんです。ところが、まさに、その乗り込む直前に、向こうの不審船がエンジンが直って、再び逃げ出してしまった。それをまた追いかけていって、最終的には北朝鮮の領海内に入って、とうとう逃げられてしまったんですが、海上保安庁の船が約4時間、自衛隊の護衛艦が約5時間、合わせて9時間以上も追いかけた末です。

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