電脳筆写『 心超臨界 』

どんな財産も誠実にまさる富はない
( シェークスピア )

不都合な真実 《 浮き彫りになった中国の異質さ――渡邊哲也 》

2024-05-27 | 05-真相・背景・経緯
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ガバナンスでいえば、前述したように各企業内に中国共産党支部が存在していて、役員会よりも高い地位にあるわけです。結局、役員会よりも上位の組織があるわけだから、それは民間企業とはいえない。そのような関係は、西側では普通、政府に支配されている会社であり、要するに政府関係企業としかみなされない。そうした企業を上場させて、「民間企業だ」などと言っている段階で、ほとんどがまやかし、粉飾そのものですよ。


◆浮き彫りになった中国の異質さ

『ポスト・コロナ新しい世界の教科書』
( 高橋洋一&渡邊哲也、徳間書店 (2020/5/29)、p215 )

【渡邉】 第1章でも少し話が出ましたが、中国の粉飾体質については、そもそも中国の固有企業が株式市場に上場している時点で、そうなることは予見できるわけです。

たとえば中国石油天然気(ペトロチャイナ)などは香港、上海のみならずニューヨーク証券市場にも上場していますが、だいたい普通の国で国有企業の上場などありえない。

【高橋】 普通は民営化してから上場です。国有企業の上場など、市場が許してくれない。

だから、中国の国有企業というのは、株式市場にふさわしくない企業形態ですよ。中国にはもともと民間企業、純粋な民間企業がない。

【渡邉】 一応、民間企業もあることにはなっていますが、企業内に中国共産党の支部を設置することが義務づけられていて、そこで党の指導には従うようになっています。そのため、たとえ民間企業であっても、実質的には国有企業です。

【高橋】 中国の憲法の序章には、中国共産党が中国人民を指導することが明記されており、憲法よりも中国共産党のほうが上位概念になっています。そのため、企業の役員会よりも、中国共産党の支部のほうが決定権は上位にあるわけです。

【渡邉】 特に習近平政権では、そのことがより強く打ち出されるようになっていますね。2017年10月末に開催された第19回党大会では、習近平は「党政軍民学と東西南北中のすべてを党は指導する」と、文化大革命時代のスローガンを引用して、中国共産党の指導体制の強化を謳(うた)いました。

【高橋】 そもそもなぜ中国国内に株式市場があるのか、それは株式市場ではないのではないか、と私はいつも思っています。

株式を普通に自由に売買したら中国の社会主義の根本理念から反してしまう。社会主義や共産主義では、生産手段をすべて国が持つのが大原則ですから、民間企業はありえないわけです。

【渡邉】 外国企業にしても、中国に進出する際、100%出資(独資)での現地法人設立は制約が多く、中国企業との合弁企業をつくらなくては実質的に稼働できないような業態も少なくありません。自動車産業などはその典型ですね。中国企業と合弁会社をつくらないと、厳しい許認可制度をクリアできないことが多いわけです。

【高橋】 中国に進出しようという日本企業が、合弁候補の中国企業について語るとき、「この企業は上場していますから」などと言うのですが、私が「証券市場は、政府が命令したら取引をすぐやめるようなところではないですか?」という話を出すと、とたんに黙ってしまう。

だから、資本主義の証券市場と共産主義・社会主義の証券市場はまったく異質なものなのに、同じような名前で誤魔化している感じを、私はすごく受けます。

【渡邉】 そのような企業が、アメリカのニューヨーク市場にも上場している。その点もおかしいですよね。

マルコ・ルビオ上院議員などが批判していますけれども、中国の会計ルールによって、中国は会計資料や会計データを国外に持ち出すことができない。中国政府が認定した格付け機関や会計会社が、唯一、会計監査や格付けをすることができるのですが、この会計監査そのものの資料を持ち出せないのです。「この中国企業はこういう格付けが出ている」という評価しかわからず、その評価を担保する資料は出てこない。

そうした企業がニューヨークや香港という自由市場で上場していて、場合によっては上海・深圳(しんせん)という国内市場で二重上場までしている。このような無茶苦茶な状況にあるのが「中国の資本主義」であるわけです。中国では「国家資本主義」などとも呼んでいますね。

中国では中国4大商業銀行(交通銀行、中国建設銀行、中国銀行、中国工商銀行)が中国の国内資産のほとんどを持っていますが、すべて香港または上海の株式市場に上場しています。

この4大銀行は、一応は民営化した形にはなっているものの、中国共産党が主導する国策銀行であるわけです。そして、この中国の4大銀行が、世界の銀行の総資産ランキングで上位4行を占めているという、これまた異常な状態となっているわけです。

【高橋】 中国がもし資本主義の市場に入りたいならば、国有企業のかなりを民営化しないと、普通の資本主義国の企業と競争にならない。国家資本を背景にした企業に、一般企業がかなうはずがない。

【渡邉】 だからトランプ政権は、アメリカの株式市場での中国企業の上場廃止を検討し、中国に国有企業改革を求めています。国の補助金に支えられた企業が採算度外視で生産を行い、ダンピングで他国の市場を独占し、さらには外国企業を買収して技術まで取っていくわけですから、取られるほうはたまったものではない。

アメリカは2018年夏に、ECRAと同時にFIRRMA(外国投資リスク審査現代化法)を成立させて、外国企業による対米投資への規制を強化しました。

【高橋】 TPP(環太平洋パートナーシップ協定)には、国有企業を民営化するという国有企業改革が項目として入っています。だから中国はTPPには絶対に入らないでしょう。中国は自分たちが主導するRCEP(東アジア地域包括的経済連携)を推進させようとしていますね。

アリババなどは政府との資本関係がないから国有企業ではないというけれど、人的関係はものすごくあるし、こちらの感覚からすると政府関連企業としか見えない。そういうものを「民間企業だ」と言っているわけでしょう?

【渡邉】 ガバナンスでいえば、前述したように各企業内に中国共産党支部が存在していて、役員会よりも高い地位にあるわけです。結局、役員会よりも上位の組織があるわけだから、それは民間企業とはいえない。

【高橋】 そのような関係は、西側では普通、政府に支配されている会社であり、要するに政府関係企業としかみなされない。

そうした企業を上場させて、「民間企業だ」などと言っている段階で、ほとんどがまやかし、粉飾そのものですよ。

【渡邉】 日本でもNTTなど元公社であった会社が上場していますが、上場時に政府による介入権限が制限されるわけです。役員会にガバナンスがあり、政府はそれよりも下位になるということになる。だから民間だということになるわけです。

しかし、中国は逆で、すべてにおいて共産党が最上位の概念にある。だから、社会主義や共産主義の理念には反さないということになるわけです。取締役会より共産党が上位だということは、生産設備はすべて実質的に国有であり、社会主義・共産主義の基本理念通りだということになる。

さらに撤退や清算する場合、取締全員の合意が必要であり、合弁なので、中国側の代表者が必ず入っているわけです。ですから、自由に清算も撤退もできないのです。多くの場合、撤退する際に、日本側が持ち分すべての提供を要求される。また、撤退に際して債務があれば、逮捕され、一種の人質となり債務の完済を要求されるケースも多い。

こうした中国企業を西側の資本主義までもが「民間」として受け入れてしまったことが間違いだった。それが、この30年間の答えだったと思うのです。
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