電脳筆写『 心超臨界 』

自分の人生を変えられるのは自分だけ
代わりにできる人など誰もいない
( キャロル・バーネット )

不都合な真実 《 ロビイストにやられる――藤原正彦 》

2024-06-20 | 04-歴史・文化・社会
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日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
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そのノートから少しずつ反芻学習することを日課にしています。
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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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◆村上春樹著『騎士団長殺し』の〈南京城内民間人の死者数40万人は間違いで「34人」だった〉
■超拡散『世界政治の崩壊過程に蘇れ日本政治の根幹とは』
■超拡散『日本の「月面着陸」をライヴ放送しないNHKの電波1本返却させよ◇この国会質疑を視聴しよう⁉️:https://youtube.com/watch?v=apyoi2KTMpA&si=I9x7DoDLgkcfESSc』
■超拡散記事『榎本武揚建立「小樽龍宮神社」にて執り行う「土方歳三慰霊祭」と「特別御朱印」の告知』
■超拡散『移民受入れを推進した安倍晋三総理の妄言』
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日本のロビー活動の非力は今も変わらない。だからここ数十年に限っても、「南京大虐殺」ではアイリス・チャンの虚偽に満ちた本を多くのアメリカ人が信ずる破目になり、「従軍慰安婦」では韓国のロビー活動に負け、当事国でもないアメリカ議会による日本非難決議、という奇妙奇天烈を阻止できなかった。トヨタが全米をあげての理不尽な袋叩きに遭った時でさえ、何一つ政府は救いの手を差し出そうとしなかった。


◆ロビイストにやられる

『管見妄語 卑怯を映す鏡』
( 藤原正彦、新潮社 (2015/5/28)、p36 )

アメリカにはロビイストと呼ばれる人々がいる。特定の国や団体や企業などの利権のために政治家や官僚への根回し(ロビー活動という)を行う人々だ。マスコミや世論に働きかけたりもする。ロビイストは法律に従い登録されていて3万人以上もいる。政官への金銭贈与などが伴いがちだから腐敗に結びつきやすい。金権政治、利権政治の一形態と見えるのだが、伝統なのかなぜか放置されている。オバマ大統領は選挙前に規制を口にしたが実現していない。

中国は実に強力なロビイスト団を有している。虚実とり混ぜた宣伝や贈収賄は長年の慣習でありお手のものなのだ。世界一と言ってよい。戦前戦中における蒋介石率いる国民党のロビー活動も強烈だった。「国民党中央宣伝部国際宣伝処」が中心となり国際世論に、とりわけアメリカに、嘘八百の大宣伝を張った。

米国世論工作では蒋介石夫人の宋美齢(そうびれい)が大活躍した。美貌と媚態を武器に大物政治家に近づき、また全米各地や連邦議会での講演で反日キャンペーンを展開し、抗日戦への援助を哀訴し莫大な軍事援助を手に入れた。「タイム」「ライフ」「フォーチュン」など一流雑誌を創刊し「メディアの帝王」と称せられたヘンリー・ルースにも接近し、これら雑誌を完全に親中反日にした。テレビのない時代だけに効果は絶大だった。

また蒋介石は2千5百人という在中宣教師を最大限活用した。布教活動を円滑に進めたいという彼等の弱味につけこみ、彼等や関係する本国の宣教師達を親中反日の一大ロビイストに仕立て上げた。日中戦争を目(ま)のあたりにしている中国在住の米外交官や商社マンなどは、宣教師たちの余りにもひどい誇張と歪曲に批判的だった。日本政府も気付いて反論のためのロビー活動を行ったが、単に日本のプロパガンダと片付けられた。ロビー活動に関し大人と赤子ほどの力の差があったのだ。

日本のロビー活動の非力は今も変わらない。だからここ数十年に限っても、「南京大虐殺」ではアイリス・チャンの虚偽に満ちた本を多くのアメリカ人が信ずる破目になり、「従軍慰安婦」では韓国のロビー活動に負け、当事国でもないアメリカ議会による日本非難決議、という奇妙奇天烈を阻止できなかった。トヨタが全米をあげての理不尽な袋叩きに遭った時でさえ、何一つ政府は救いの手を差し出そうとしなかった。

もしも中国が尖閣を占領した場合、中国は米軍介入を阻むため直ちにお家芸のロビー活動を開始し、全米の新聞に全面広告を打つだろう。「南京」を涙ながらに語り、尖閣が歴史的に自国領土であると訴え、こうぶち上げる。「憲法で軍事力を放棄しながらぬけぬけとアメリカと軍事同盟を結び、自らの国を自ら守ろうともせず、傭兵アメリカ人の血で守らせようとする日本。そんな狡猾な日本の無人島のために、アメリカの前途ある若者の血を流させる積りですか」。万事休すだ。

日本人は「正しいことはいつか誰もが分かってくれる」と信じており、自らの正しさを大声で主張し宣伝するのは「さもしい」と思う。金銭をばらまくなどというのは最低の行為と思う。美しい誇るべき国柄だ。ただ世界は日本人が考えるよりはるかに醜い。
(2011年9月1日号)
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