司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

電子定款と紙定款 その2

2012年06月21日 | いろいろ

電子定款と紙定款、費用が同じだったら、どちらを選択されるのでしょうか?

ワタシだったら、紙かなぁ~?

クライアントさんの立場になって考えてみると、「電子定款」ってモノは、実質的にまだまだ使えないわけですよ。
すると、原本を持っているのに、原本は使えない。。。それって。。。???と思いますでしょ?
モチロン、印紙税がかからないので、コスト的に電子定款を選択するように仕向けられていますけど、原本が原本として使えないというのは、どうも矛盾を感じてしまいます。

しかし、ワタクシの立場ですと、電子定款は便利です♪
なぜならば、原本還付をしなくて良いから。
業界の慣習としては、「定款(謄本)は原本を提出する」ってこともあるようですけど、そうしますと、謄本1通分の費用が発生します。
原本還付だと面倒だし、場合によっては、原本還付するための手数料を頂戴する場合もある。。。

コレに対して、電子定款ですと、あっという間にコピーできますし、原本還付は不要です。
もちろん、紙の提出が要らないですから、紙の添付書類がシンプルですし、軽い。
しかも、設立登記の受領証を取得しますと、電子定款の内容を一緒にプリントアウトしてくださるので、後日の資料としてもベンリです(←ちょっとセコイかな?^^;)

。。。というように、登記申請に際しては、電子定款がベンリだという気がしておりますが、他にも手続上の違いはあります。

【電子】
電子定款のデメリットというのは、とにかく、「事後の訂正ができない」というコトです。
定款認証前でしたら、公証役場に「申請を却下してください!」ってお願いすれば、簡単に却下になります。
(登記申請の場合は、登録免許税の納付前でも、却下はしたくないご様子。)
ま、いつもお願いしている公証役場だということもあるのでしょうけども。。。

【紙】
紙の場合でも、認証後の訂正はできないのが原則ですけれども、些細な誤りでしたら、訂正してくださることが多いと思います。
もちろん、認証の際に公証人のセンセイが気付いた場合だったら、訂正のうえ、認証してくださいます。

ま、人間のやることなんで、間違いはつきもの。
なので、この点に関しては登記申請も同じなんですが、「オンラインはやだな。。。」と思っております。

それから、書類を準備していく上での違いもあります。

【電子】
昨日書きましたとおり、委任状には定款を合綴しなければなりませんので、定款の内容が確定していませんと、委任状を作成することが出来ません。ですが、定款自体に発起人の実印を押印していただく必要がないので、ベンリな点もあります。
それは、発起人が複数人である場合です。
委任状は、発起人1名につき1通作成してもらえば良いので、同時並行で押印作業ができますね。
AさんとBさんが別々に委任状を作ることも出来るわけです。こうしますと、時間短縮になって便利なんです。
紙の謄本は、公証役場にもよりますが、必要通数分だけプリントアウトして持って来て、ってところもあるようです。
ワタシ共がお願いしている公証役場では、紙は不要となっています。

【紙】
一方、紙の場合は、定款を必要通数分だけ製本・押印し、公証役場に持参しなければなりません。
定款には、発起人全員が押印していないとダメ(だと思います)なので、押印作業は短縮できません。

そして、こういう違いもあります。

【電子】
定款の作成日は、オンラインでデータを送信する日以前ということになります。
ただし、定款認証日は委任状等の書面を公証役場に持参した日になるので、通常、作成日と認証日は異なります。
急ぎの案件でしたら、同日になる場合もあり得ますけども、違うのが普通だと思います。

【紙】
定款認証日は、もちろん、電子定款と同じで公証役場へ書類を持参した日になります。
定款作成日は認証日以前なのですが、これは、慣習でしょうかね。。。定款作成日と定款認証日は同日にするんです。
そうでなければならない。。。というコトではありませんケド、何だか、そういう風にしてました。

。。。というワケで、何だか取りとめのないハナシでしたが、はじめての「電子定款」の場合、クライアントさんとしては、色々不安になられるように思います。
電子定款の原本は、使い道がほとんどないのですけれども、紙の定款謄本がありますので、特に不便はないと思います。
費用だけじゃなく、あれこれ比較してみてくださいね~♪

コメント (2)
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