ばあさまの独り言

ばあさまから見た世の中のこと・日常生活のこと・短歌など

若返る眼

2015年10月06日 | 随筆・短歌
 美容整形ばかりでなく、治療のための手術が個人の肉体を若返らせる、いわば若返り術でもあるということに、愚かな話ですが、今頃やっと気が付いています。この度白内障の手術をすることになりました。考えてみますと、これも肉体の一部の(眼球の)古くなった所を新しくして、眼の若返りをすることです。一度でも何処かにメスを入れた人は、みな病変の部位を取り除き、本来の体を取り戻したり、長生きをする若返りを行ったとも言えそうです。
 様々な動物が持って居る眼ですが、何故、どのようにしてできたのか、考えてみるととても不思議です。ふだんは有って当たり前だと思っている体の器官は、無いと大変な不便を味わいます。特に眼は、大切な器官です。身の周りの多くのものがそうであるように、無くなって初めて日頃有ることに、大いに感謝の念が湧きます。こんな有り難いものを沢山持って生まれて来た事を感謝しないではいられません。

身近な歌集 「新版 現代の短歌 篠 弘編著」などから、目・眼に関する短歌を拾ってみました。

目のまへに並ぶ氷柱(つらら)にともし火のさす時心あたらしきごと    斎藤 茂吉
潰(つい)えゆく国のすがたのかなしさを 現目(まさめ)に見れど、死にがたきかも
                                            釈 迢空
不意に来てわが双眼を濡らしたる感動はとほき由来を持てり        岡井 隆
白きうさぎ雪の山より出でて来て殺されたれば眼を開き居り         斎藤 史
風景はあはあはと眼にみちゐたり面影にみる死者阿古父(あこぶ)尉(じょう)
                                             馬場 あき子
みどりごは泣きつつ目ざむひえびえと北半球にあさがほひらき       高野 公彦
眼(まみ)ふかくあなたはわたしに何を言ふとてもずっと長い夜のまへに  河野 裕子

それぞれに歌人の個人史と重ねると、感慨深いものがあります。

濁りたる水晶体を手術して真実を見ん新しき眼で  あずさ

(明日から2~3週間ほどブログを書くことをお休みさせて頂きます。)


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