[6]中国、ガス田開発は資源確保でなく、日本との対決の維持である。
対決の維持とは、その状態を保つと言う意味であり、戦争をするというところまでは行かないようにしよう、と言うことである。ダットン教授は次のように述べている。
「中国政府は東シナ海での日本との海上境界線をめぐる紛争で断固たる対決の姿勢をとりながも、尚当面はその対決が暴走して、実際の軍事衝突などに発展することは避けたいとしているようです。
ただし台湾に対して中国が主張する主権が深刻に脅かされた場合だけは、東シナ海の領有権を軍事力を使ってでも、全面的にコントロールしようとするでしょう。
それ以外は日本との東シナ海での対決はあくまでも一定範囲内で管理して、外交と軍事の両方の要素を混ぜた 対日戦略の道具 としておくでしょう。」
胡錦濤の来日を契機として、東シナ海のガス田の日中共同開発の合意を取り付けるなどの主張は全くの無意味なことであり、無益である。中国はそもそも問題の解決への意思がないからである。
ブッシュ政権下で東アジア担当の国防次官補代理を務めたことのあるピーター・ブルックス氏の質問
「中国のEEZの線引きで強硬なのは、資源確保が理由ではないのですか」
に対して、明確に「ノー」と答えている。
「資源確保が最大の目的ならば、すでにEEZの主張の食い違いを解決して、ガス田開発の共同事業を進めていたでしょう。エネルギー獲得が優先ではないと思います。」
古森義久氏は、中国政府にとっては国家主権の発動としての政治的な主張による「対決」の維持こそが真の目的だと示唆する発言だった、と結んでいる。
(続く)
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