EUのCAFE規制によれば、企業単位で、車両平均重量毎にCO2の排出量平均値の基準がきめられている。それを達成できなければ、クレジットと呼ばれる罰金を支払わなければならないことになる。
欧州の排気ガス規制のEURO 7では、乗用車のCO2排出量の企業平均値を、2021年比2025年は15%減、2030年は37.5%減とすることを決めた。
1) ~2020年 130g/km
2) 2021年~ 95g/km プリウスは78g/km
3) 2025年~ 81g/km?(15%減)
4) 2030年~ 59g/km?(37.5%減) プリウスPHVは28g/km
この数字はいわゆる車両重量による企業平均値であるので、小型車が沢山売れたり、また重いSUVが沢山売れたりして平均車両重量が変わってくれば、その目標値も変動することになっている。
CO2の排出量は、ガソリンなどの消費量に比例するので、これは、将に燃費競争なのである。トヨタが単独でもHV車でル・マン24時間レースに出場するのも、如何に燃費を良くするかの実験をしていると言う事なのでしょう。
と言ってもこの2030年の数字は、HV車でも到底達成できるものではないので、当然PHVやFCV・EVを強制的に導入せざるを得なくなるわけである。ある意味トヨタのHV外しの目標値だとしても、間違いないでしょう。EUでは、ディーゼルでしくじってしまったので、今はトヨタのストロングHV車が売れまくっているようなので、ある意味、頭にきていると言う事で、敢えてHV外しの目標値を設定したと思ってもさしつかえなかろう。
欧州のCO2排出規制強化、対応迫られる日系各社
2018年12月24日
欧州の二酸化炭素(CO2)排出規制の強化が加速している。欧州連合(EU)加盟国と欧州議会は17日、乗用車のCO2排出量の企業平均目標を2030年までに1キロメートル当たり60グラム以下へと大幅に引き上げることで合意した。
ディーゼルエンジン(DE)車やハイブリッド車(HV)では達成が困難な厳しい目標値となる。これまでCO2規制で世界をリードしていた欧州だが、電気自動車(EV)などの普及を見据えてハードルを引き上げた格好だ。HVなどで規制対応に有利とされてきた日系メーカーだが、規制値の引き上げが現実となったことで、方針の見直しも迫られそうだ。
今回合意した新たな目標値は30年に21年目標である95グラム/キロメートルから37・5%削減するというもの。EU加盟国で構成する閣僚理事会と欧州議会での正式な承認手続きを経たのち実施する。
ただ、非常に厳しい目標値に対して欧州の自動車業界からは批判の声が相次いでいる。欧州自動車工業会(ACEA)は「技術的、社会・経済的な現実を考慮しない完全に政治的な動機に基づいた目標で、遺憾だ」と声明を発表した。独フォルクスワーゲン(VW)のヘルベルト・ディース社長も「投資計画の見直しが必要」と述べた。加えてEVの販売比率を高める必要性を挙げるほか、雇用減退の懸念も指摘する。
日系メーカーも欧州戦略の見直しが迫られそうだ。トヨタ自動車やスバル、スズキなどは欧州でのDE車に対する批判を受けて、DEの設定廃止を表明している。同時にトヨタやホンダはHVのラインアップを強化する方針を打ち出している。その結果、トヨタの欧州の乗用車販売におけるHV比率は17年に41%まで高まった。さらに20年には50%への引き上げも計画する。
ただ、CO2排出量で強みを持つトヨタ「プリウス」でも78グラム/キロメートルと、新たな目標値には届かないのが実情だ。このためさらなるCO2排出量の削減には、EVやプラグインハイブリッド車(PHV)の販売拡大が不可欠となる。
一方で厳しいのがマツダやスバル、スズキなどの中堅メーカーだ。特にマツダは世界販売のうち欧州は16%を占めるなど、北米、中国に次ぐ主力市場と位置付けている。独自技術の採用で商品力を高めたDEを武器としてきたものの、従来半数を占めていたDE比率は10%台まで低下している。これにより企業平均燃費が上昇し、現在ではCO2規制に対するペナルティーを支払う状況となっている。
目標値の引き上げにより今後欧州では中国などと同様に、EVやPHVの販売が本格化することが予測される。中でもPHVは欧州のCO2測定基準「ECE R101」において、EVモードの走行距離に応じてCO2を軽減して計算することができるなど、HVに比べて大幅に有利な数値を得ることができる。例えばトヨタ「プリウス プラグイン」(日本名プリウスPHV)ではCO2排出量を28グラム/キロメートルまで低減できる。
日刊自動車新聞12月20日掲載
https://www.aba-j.or.jp/info/industry/6880/
中国では、少しはHV車が目の敵にされなくなるような雰囲気があるが、ヨーロッパでもアメリカでもHV外しに(深く静かに)躍起となっているようだ。環境車は沢山売れなくては対策とはならない訳で、現実的な環境対策車としては、トヨタはHVを当座の真の環境対策車と考えているようで、バッテリー問題の解決や充電設備の完備がなければ、EVは現実的な環境対策車にはならない、としている。
しかし、このようにEVでなければ守れないような環境規制が法制化されてしまうので、トヨタとしてもEVにシャカリキにならざるを得ない、と言う訳だ。
アメリカでは、CAFE(Corporate Average Fuel Economy ・企業別平均燃費)基準の関する合意が2007年12月にまとまり、新エネルギー法が成立している。
この法案では、CAFE基準を、2020年までに35mile/galon(14.9km/L)と決められている。
しかしオバマ政権は2010年4月には、2016年までに35.5mile/galon(15.1km/L)に引き上げてしまったので、自動車メーカーは4年前倒しされてしまった目標に邁進したわけだ。
またカリフォルニア州ではこれとは別に、ZEV規制を設けていることはご承知のことと思う。
ZEV TZEV TOTAL ZEV車 : EVとFCV
2018年 2%2.5% 4.5% TZEV車 : PHVと水素燃料車
2019年 4% 3.0% 7.0% HV車はZEV関係車からは除外されている。
2020年 6% 3.5% 9.5%
2021年 8% 4.0% 12.5%
2022年 10% 4.5% 14.5%
2023年 12% 5.0% 17.5%
2024年 14% 5.5% 19.5%
2025年 16% 6.0% 22.0%
加州と同規制を適用する他の9州では、この比率で、ZEV関係車を販売しなければならない訳で、未達の場合には、当然のこととして罰金(クレジット)が科せられる。2025年にはEV(FCVも含めて)を16%も売らなければならないのである。年間10万台売れたとすると、1万6千台もZEV(EV)を売らなければならない、と言う事である。トヨタがバッテリー確保に動くわけだ。
まあトランプがどのように茶々を入れるかは知らないが、今のところは世界はどこもかしこも、EV一辺倒となっているので、トヨタとしてもHVに胡坐をかいて(いる訳でもないが)いるわけにはいかないのだ。EVに代わるFCVでもよいのだが、如何せん水素ステーションがまだどこにもある訳ではないので、EVに掛かりきりになる必要がある。
日本の燃費規制は、2015年・16.8km/Lが2020年には20.3km/Lだと言う。
これに対して、中国の燃費規制(CAFC)は、次のようになっている。
2018年 6.0L/100km(16.6km/L)
2019年 5.5L/100km(18.2km/L)
2020年 5.0L/100km(20.0km/L)
(https://www.mitsui.com/mgssi/ja/report/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/03/15/170315i_nishino.pdf)
と言う事で、企業平均燃費が、リッター20kmとなっている。だからどうしてもNEV車を所定台数だけ売らなければ、達成できそうにもない基準となっていると言う事だ。
中国はHVにやさしくなってきたと先に言及しておいたが、中国共産党も自国の大気汚染のひどさにほとほと閉口してきたのではないのかな。電気自動車で自動車強国になろうとしたわけだが、思い通りにはならずに、北京の大気汚染は一向に改善の兆しもないので、現実解に戻ったと言う事である。
いわゆる環境対策車とは、普及してなんぼなのである。いくら排ガスを出さないEVに補助金を出しても、普及しなければ元も子もないのである。相変わらず大気汚染対策は進まず、温暖化対策にもならないのである、と言う事に気付いたと言う事である。いくら中国共産党が笛や太鼓で踊らせても、高価な電気自動車はそんなに普及はしなかったと言う事なのである。それよりもそれほど高価ではない環境対策車であるHV車が普及すれば、相当な大気汚染対策となるのである、と言う事にようやく気付いたと言う事ではないのかな、トヨタのハイブリッド技術の特許の無償公開を受けてHV車を推薦しだした様だ。
(続く)