世の中、まちがってる、根拠なき反日キャンペーン。

相も変わらず根拠なき反日キャンペーンで、国をまとめようとする輩が存在する。

年央雑感(31)

2010-07-26 10:59:36 | Weblog

以上簡単に民主党の成り立ちを見てきたが、その成り立ちからして民主党は左翼政党であった。鳩山由紀夫は、もともとがボンボンで極端な表現をすれば、青白いマルキストであった。ボンボンのうえに金があることが、彼の強さでもあり弱みでもあった。そのため彼にはいわゆる根性と言うものに縁がなく、何事も成し遂げることはなかった。

菅直人は、社会党を離党した江田三郎と共に1977.3.26に「社会市民連合」を立ち上げている。江田三郎は同年6月に死去し息子の江田五月が後を引き継ぐ。そして一年後の'78.3.26に社会党の田英夫らと社会市民連合は「社会民主連合」へと左翼色を強くする。細川政権の一翼を担っていた社会民主連合だが、細川内閣の総辞職、羽田内閣のごたごたの影響を受け1994.5.22に社会民主連合は解散する。そのため菅直人は「新党さきがけ」に移る。その年荒井聡も日本新党から「新党さきがけ」に移り、菅直人政調会長の下で副会長を務めることになる。'96/1の自社さ連立第1次橋本内閣では、厚生大臣として入閣する。菅直人は市民運動家出身の政治家であったため、それほど頭が高くないところがあり、薬害エイズ事件の被害者達に土下座して謝罪するパフォーマンスも披露し、人気を博している。しかしこのことは日本国の将来を託すほどのビジョンや哲学を持ち合わせていない、と言うことを如実に表していると小生は見ている。いわゆるその場限りの現場主義・局面主義の持ち主ではないかと、思うのである。だから突然消費税の増税を打ち出したり、打ち出したかと思えば年収200万円から400万円まで消費税還元の幅が振れるのである。一介の市民運動家からぽっと出で、一国の首相にまで(間違って)なってしまった男なのである。これでは日本が不幸である。最大の不幸と言うべき事態なのである。

小沢一郎は、経世会の勢力争いに破れ自民党を飛び出し新生党を作ったのは、1993.6.23のことである。ここから小沢の漂流が始まるのであるが、1993.8.9に自民党以外の小党を集めて「日本新党・新党さきがけ」会派を取り込み、細川内閣・羽田内閣を作ったものの、我を張りすぎてまとめきれずに社会党が離脱してしまい、1994.6.30に村山富市を首相とする自社さ政権に取って代わられてしまう。その後公明党を引き止めきれずに1997.12.27に小沢一郎は新進党を6党に分党する。そして翌年の1998.1.6に自由党を結成する。1999.1.14には念願の自自連立政権を成立させ与党に復帰する。しかし2000.4.1にはその自由党が小沢一郎の我により連立から離脱することとなり、自由党は保守党に分裂し、小沢一郎の自由党は少数政党に成り下がってしまう。この小沢一郎に声をかけたのが、民主党の鳩山由紀夫である。2003.9.26、自由党は民主党と正式に合併し、小沢一郎は始めて無役の一兵卒となる。しかしその後は見ての通り民主党を乗っ取り、裏も表も小沢一郎は民主党の親分となったのである。そして民主党と言う一国の政治を司る与党の親玉となった今、ようやくその本性を表し始めたのである。

先に「日米同盟を少しずつ弱体化させる」と言う路線が、実際の民主党内の主流なのである、と述べたが、将に「日米同盟を弱体化させて、しかも自主防衛もしない」と言う路線を走り出したのである。小沢はこのことを「日米中正三角形」論として、2007.7.2の民放番組で主張している。そして同年の2007.12.6から12.8まで中国を訪問し、胡錦濤にへりくだっている。小沢一郎はすでに相当前から中国共産党にその魂を売り渡してしまっているのである。(このことは、2007.11.26~の「小沢一郎、悪魔の密約」を参照願う。)だから毎年中国共産党政権に、朝貢外交をしているのである。それを如実に示すものが、「日米中正三角形論」なのである。

このことは、2008.1.16、17、18、22、24で掲載した「小沢一郎の土下座外交(1~5)」を参照願いたい。昨年2009.12.10の訪中では、143人の民主党国会議員が一人ひとり胡錦濤と握手し写真を取らせていたことは、忘れはしまい。

東アジア共同体」などと言う主張も中国朝貢外交の結果なのである。直接中国の属国になりますよ、と言う代わりに「東アジア共同体」と言う隠れ蓑を掲げて、「あえて中国に飲み込まれよう」と言う路線をとろうとしているのである。こんなことをすれば、民主主義と自由な国・日本の国是は崩壊する。なかんずく「天皇と日本文明」と言う日本独自の真髄を捨てさせて、中国共産党に従属させることなど絶対にあってはならないことなのである。しかし小沢一郎は、それをやろうとしている。こんなことが許されてよいものか。許されるはずがない。国民はよく見ている。だから今回の参院選では小沢一郎の民主党が負けたのである。そして民主党政権への支持率は落ち続けているのである。



33菅内閣の支持率34.3%に下落 不支持が支持上回る
ANN NEWS(2010/07/19 11:51)

 支持すると支持しないが逆転しました。ANNの最新の世論調査で、発足時には58.7%あった菅内閣の支持率が約24ポイント下落して34.3%となる一方、不支持は45.4%と初めて支持を上回りました。

 調査は17日と18日に行いました。菅内閣の支持率は34.3%で、前回の2週間前の調査に比べて6.6ポイント下落しました。一方、不支持は45.4%で、発足から1カ月半で初めて不支持が支持を上回りました。ただ、参議院選挙の結果を受け、菅総理大臣が辞める必要があるかを聞いたところ、「必要ない」と答えた人は75%に上り、世論が総理大臣の交代までは求めていないことが分かりました。民主党が大敗した理由を鳩山前総理大臣や小沢前幹事長の政治資金問題と答えた人と、菅総理の消費税発言と答えた人がきっ抗していて、「政治とカネ」の問題も選挙に大きく影響したことが分かりました。政党支持率は民主党が28.6%となったのに対し、自民党は26.2%と差が縮まりました。そのほかの政党は公明党4.3%、共産党4.1%、社民党1.5%、国民新党0.7%、みんなの党13.1%、新党改革0.9%、たちあがれ日本0.7%となっています。みんなの党が13.1%と8ポイントあまり増やし、参議院選挙での躍進で存在感を増しています。
http://news.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/200719023.html


願わくは、民主党への支持率がもっともっと下がることを祈念してこの項を終えたい。
(終わり)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

年央雑感(30)

2010-07-25 01:43:22 | Weblog

「すべての米軍は出てゆけ」と言う声を大きくさせて、日米同盟の悪者論を高めてゆくことであろう。だから「日米同盟の危機」である。民主党は福島瑞穂の社会党を連立政権から切っている。だから社会党の主張に振り回されているわけではない。これは社会党と同じ論理であるが、これこそが民主党独自の路線なのである。

すなわち「日米同盟を少しずつ弱体化させる」と言う路線が、実際の民主党内の主流なのである。だから怖いのである。民主党の路線は、実質的には社会党の路線と同じなのである。民主党は、確信犯的左翼政党なのである。民主党は今まで左翼的な思想を秘めながら、厚化粧をして古い自民党とは異なる新保守的な振る舞いで偽装してきた政党なのである。これこそが小沢の描いている構図なのである。2003年に小沢氏率いる自由党が、旧民主党に合併する。これが現在の民主党である。それ以前の旧民主党については引き続き説明するが、一般には、現民主党には「左派もいるが、保守もいる」「自民党出身の人間もいる」として、現実主義で、自民党とそれほど大差がない政党であるかのように思い込ませている。

これこそが民主党の「化粧」であり、偽装なのである。しかるに民主党の中枢は、先に述べた「旧民主党」の社会党左派勢力なのである。

1996年1月11日、村山内閣の後を継いで橋本内閣となる。第1次橋本内閣である。ここまでが、自社さ連立内閣であった。この4月には、橋本は、沖縄に何度も足を運び、普天間の返還を決め名護市に代替地を決定している。そして1996年10月20日の第41回衆議院議員総選挙にて、自民党が大勝しそれまでの自社さ連立から自民単独の第2次橋本政権が誕生する。(1996/11/7~1998/7/30の第2次橋本改造内閣)

この自民党単独政権に危機感を覚えた鳩山由紀夫は'96/1に日本社会党から社会民主党に党名変更した社民党との連携を模索するが、社民党の左翼色では国民の支持が得られないと考え、両党の合流ではなく個人参加方式で社民党からの人集めをして、鳩山邦夫、菅直人、横路孝弘、簗瀬進と共に「旧民主党」を立ち上げたのである。1996年9月26日、「旧・民主党」が結成されたのである。この時の費用は25億円は、邦夫の元秘書上杉隆によると、10億円は連合から調達している。残りは鳩山家が用立てたとしている。合流した旧社会党系の人々は、特にマルクス主義色の強い「社会主義協会」系の人たちで占められていた。そのためこの「旧・民主党」は、事務局も含め、マルクス主義色の強い政党だったのである。

そして小沢一郎の新進党は、公明党の離脱を機に、1997年12月27日、分党を決定し6党に分党し消滅する。そして翌年の1998年4月27日、旧・民主党はその分党した党を吸収して「新・民主党」が結成されたのである。この時もともと自民党出身の岡田克也などが合流している。小沢一郎は、1998年1月6日に自由党を結成している。そして翌年1999年1月14日には、自民党と自由党の自自連立政権を成立させている。同年10月5日には、公明党が加わり自自公連立政権となる。そのうちに例によって小沢は連立離脱を画策したため、連立継続を望む26名が小沢から離脱して保守党を結成する。2000年4月1日に自公保連立政権となる。2000年4月5日には、脳梗塞の小渕恵三に代わり第1次森内閣となる。2001年4月26日に第1次小泉内閣(自公保連立)が誕生する。2003年11月21日には保守党は自民党へ吸収され、自公政権となる。小沢一郎の自由党は小泉旋風のあおりを受け低迷し、2003年9月26日に正式に民主党と合併し小沢は無役となる。この合併直前に小沢は約13.7億円の政治資金を自身の政治資金管理団体の「改革国民会議」に寄付している。その半分が政党助成金であったため、政党助成金法に違反するとして問題視されたが、小沢一郎は握りつぶしている。

民主党と合併し無役となった小沢は、まず旧社会党系の 横路孝弘に近づき安全保障面での政策をすり合わせて、横路孝弘と旧社会党系と小沢Gを組むことになる。そして小沢と鳩山は、菅直人と共に真正の左翼人として民主党を牛耳ることとなる。そして日米同盟の解体を目指すこととなる。これは末恐ろしいことである。簡単に言うと日本を中国の新彊大和族自治区になさしめめようとすることであるからである。

ここら辺の事情は、当ブログの'07.11.26~「小沢一郎、悪魔の密約」や、'08.1.15~「小沢一郎の土下座外交」、また'08.2.8~「中国・虚妄のプロパガンダ」などを参照願う。
(続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

年央雑感(29)

2010-07-22 18:11:45 | Weblog

「今回の民主党の「狡(こす)い」ところは、消費税を前面に出して「小沢問題」や「政治と金」とか、日本のもっとも大切な「安全保障問題」や「普天間問題」から目を逸(そ)らせようとしたことである」
と述べたが、その前に菅直人は「脱小沢宣言」をしている。

以下は、WiLL8月号の「菅政権は偽装政権だ!」(京都大学教授・中西輝政氏)を参考にしている。

「国民の不信を招いた。(小沢氏には)しばらく静かにしていただいた方が、本人のためにも、民主党にも、日本の政治のためにも良いと思う。」と言っていた。菅政権の人材はすべて反小沢陣営の人材で固めたのである。更に6月7日の両院議員総会では、テレビカメラで小沢氏を探す手立てを、施していた。この総会には小沢氏は出席していなかった。「菅政権は小沢氏と完全に手を切っている」と言った演出なのである。しかし本当にそうであろうか。

この鳩山、小沢のダブル辞任も、菅直人のパフォーマンスもすべて小沢の演出ではなかったか、と疑ってみる必要がある。小沢の「政治と金」問題は、菅の消費税発言ですっかり影を潜めてしまった。消費税に対する拒否反応が少なくなっていることを知らされていたとはいえ、実に絶妙な(と言ってよいほどの)演出ではなかったか。これで小沢の「政治と金」問題は、一旦は表面からは消えていった。まあ国民もそれに騙されるほどバカではなかったのだが。民主党はそれほどまでして小沢を守ろうとしたのである。事実小沢は、、岩手県連に向けたビデオメッセージでは「今後は将に私自身が先頭に立つ」と宣言していたではないか。これこそ民主党の真意なのである。菅直人は「脱小沢宣言」をして国民を一旦は騙しておいて、参院選に臨んだのであるが国民はおいそれとその手には乗ってこなかったのである。しかし民主党の中心は、あくまでも小沢一郎である。民主党の当座の考えは、民主党から小沢を隠しておけば民主党に対する国民の評価はそれほど極端には落ちないだろうと踏んでいたのである。しかし、世の中そんなに甘くは無かったのであるが、国民は「反小沢」の役者を揃えた菅政権に、なぜか非常に期待を掛けてしまっているのである。

今年の9月には民主党の代表選びが始まる。そして向こう3年間は衆院の解散は無い、と思われる。衆院は民主党が過半数を持っている。だから嫌われ小沢が国政の前面に出てきても、何も気にする必要は無い、と民主党は思っているのである。代表選はどんな様相になっているのでしょうね。意外と、消費税問題の責任をとって菅は立候補せずに、小沢一郎の無投票当選となっているかも。本当にどうなるでしょうかねえ。今の民主党政権も問題だが、そうなったら、本当に日本が心配だ。その理由を次に述べよう。

先ずは「普天間基地」の移設問題である。鳩山は今年の5月23日に沖縄入りしている。そしてほぼ現行案通りに「辺野古沖に移設する」と決着した普天間基地の移設問題を、「学べば学ぶほど、沖縄の米軍基地が不可欠な抑止力であると分かった」などと、口にしている。いまさら何を言うのか、と口が開きっぱなしになってしまうほど、あっけらかんとした無責任な言葉を発している。こんなことは国民誰もが理解していることなのである。それを日本国の首相ともあろう人物が、口にしたのである。

2010年1月5日の当ブログでこの件は言及しているからそちらを参照願いたいが、5月の日米共同声明によって「8月末までには、移設先の具体的な位置と工法を決めなければならない」のである。しかし現在はすでに7月の末に差し掛かっている。あと一ヶ月で内容を詰められるか疑問である。と言うことは、民主党・管政権はこの問題に真剣に取り組んでゆく気はさらさら持ち合わせていない、のではないかと思われることである。形の上では「移設合意」となっているが、実際には「あーでもない、こーでもない」と言う形で、いつまでたっても工事に着工しない状態を続けてゆくのではないか、と危惧するのである。

沖縄は確実に大反対である。鳩山が突きつけられた「怒」のプラカードを見ればよく分かる。そして11月には沖縄県知事選がある。民主党は仲井間知事よりも、更に過激な人物を立候補させるであろう。辺野古のある名護市の市長は、稲嶺進(64)である。彼は今年の1月24日の市長選で当選した「辺野古の海に基地を造らせないと約束した」市長である。民主党は着々と市長も県知事も反対派で固めて、移設反対の構図を作り上げるであろう。こうなると「普天間移設問題」はニッチもサッチも行かなくなる。管政権はこういう構図を作りたかったのである。そうすれば、普天間移設は頓挫する。すなわち普天間の固定化である。そして沖縄全土に普天間の基地の危険性を触れ回り、米軍基地反対運動を盛り上げてゆくのである。そうするとどうなるか。
(続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

年央雑感(28)

2010-07-21 14:06:35 | Weblog

「はやぶさ」や「イカロス」の快挙を、世界は絶賛している。しかし民主党政権にはそれが分かっていない。如何にこの日本を豊かな国として、我々の子々孫々までに伝えてゆくかと言う展望に欠けている。単に選挙に勝てばよい、と言う観点からの戦略だけだ。そのためのばら撒きなのだ。日本をよい国にしよう、などという哲学はない。だから何事に対してもぶれるのである。しっかりした哲学や戦略があれば、決してぶれる事はない。管直人も管である、なぜ小沢に侘びを入れなければならないのか。全くの頓馬である。今回の選挙の惨敗は、小沢の所為(せい)である。決して消費税だけの問題ではない。民主党は小沢を切らなければ、再生はないと弁(わきま)えなければならない。蓮舫も消費税の所為だといっていたが、やっぱり蓮舫も近視眼で根無し草的な風見鶏なのであろう。

今回の民主党の「狡(こす)い」ところは、消費税を前面に出して「小沢問題」や「政治と金」とか、日本のもっとも大切な「安全保障問題」や「普天間問題」から目を逸(そ)らせようとしたことである。それは管や民主党に明確な国家戦略を持ち合わせていなかったために、そのように振舞わざるを得なかったからなのである。国民は騙されない、本能的にそんなことは理解できるのである。次のFTの記事もそんな論調だ。



32菅氏が選挙で敗れた本当の理由
2010年7月16日(金)09:30 FT FINANCIAL TIMES com
(フィナンシャル・タイムズ 2010年7月14日初出 翻訳gooニュース) ミュア・ディッキー東京支局長

一見すると、政治家にとって典型的な教訓話のように読める。理想主義的な新首相が、厳しい参院選の直前に消費増税の必要性を公言したところ、有権者は当然のように与党にきつい敗北を食らわせたという物語だ。この教訓は、「正直こそ、選挙前にベストな税金政策だなどと考えるのは愚か者だけ」ということ。

日本の民主党は先週末の参院選で打撃を受けた。その意味をこうして皮肉に解釈すると、イギリスでの最近の出来事にも呼応しているように思える。イギリスでは、保守党と自民党の新連立政権は選挙後にさっさと付加価値税を税率20%に上げると発表。どちらの党も選挙戦中は、増税などするつもりはないと公言していたのだが。

日本の菅直人首相は、消費税話の危険性を充分に承知している。消費税の再開が最初に取り沙汰された1970年代後半からというもの、この税金の話はずっと政治にとっては毒薬だった。1993年からこちら、消費税を上げようとした総理大臣2人がそのせいもあって失脚してきた。しかしもし一部で言われるように民主党敗北の結果として、1年ともたない総理大臣の5人目に菅首相がなるのだとしたら、消費税だけがその原因というわけでは決してない

民主党が敗北したのは、昨年の選挙で自民党の長期支配を終わらせた同党に対して、有権者がつくづく落胆しているせいでもある。民主党は参院選に向けた文書で、政治資金スキャンダル米軍基地移設計画をめぐり「混乱と不信」を招いたことをお詫びしている。日本の財政問題をなんとかしなければいずれギリシャのような危機に陥ると、菅氏が本心から心配していることを疑う必要はない。しかし市民運動出身の総理大臣は、税金を論点にすれば有権者の注目を民主党の失敗からそらす機会になることも承知していたはずだ。

残念なことに、今回の選挙結果によって財政再建の手はずがますます遅れるのは確実のようだ。これは大事なことだ。日本には経常黒字と巨額の国内貯蓄があるので、早々に危機に陥る危険は少ない。しかし長期的な危険が立ちはだかっているのだ。公的債務の総額は国内総生産(GDP)の200%近くに達している。そして今年度は2年連続して、税収より新規借入金の方が多い年になると見られている。

高齢化に伴い社会保障の医療費が増えつつある以上、どんな解決策でも消費税が大きな役割を果たすことになるのだろう。比較的、徴収しやすいし、脱税しにくいし、効果のほどは均一だ。5%という今の日本の消費税率は多くの先進諸国よりもはるかに低い。その税率が1%増すごとに、2兆円の税収増になるのだ。

反対する人たちは、消費税が逆進性で、収入のほとんどを支出に回さなくてはならない低所得層に最も重い税負担をかけるものだと指摘する。しかし、消費税の不公平性を抑制する方法は色々とある。

消費増税はただでさえ低調な内需をさらに弱くするかもしれないと、一部のエコノミストは心配する。1997年に3%から5%に上げた際には、すぐに厳しい景気後退が続いた。しかし消費増税派は、この時の経済停滞の最大要因はアジア金融危機に伴う輸出減だったと主張する。期間をはっきり定めた間に徐々に増税していけば、別に買い物を控える必要はないのだと消費者を納得させられて、むしろ消費を促進するかもしれないというのが、増税派の意見だ。

多くの一般市民はこの説明を受け入れている様子だ。ゆえにここから、消費税議論のみが菅首相敗北の原因だったとする単純な説明は成立しなくなる。

総理大臣がわざわざ強調したように、今や日本の最大野党となった自民党は、マニフェストで消費税率倍増を公約している。消費税に関する両党協議を提案するにあたって、首相は自民党のこの提案を「参考としたい」と述べているのだ。

ゆえに11日の選挙で自民党が勝ったからといって、別に有権者が変化を拒否したことにはならない。読売新聞の出口調査によると、有権者の61%が消費増税は必要だと答えており、必要ないと答えたのは23%にすぎなかったという。増税を公約すれば選挙に勝てるかもしれない、日本は珍しい国なのかもしれないのだ。

菅首相の問題は、日本が必要とする税金・経済・金融のデリケートな諸政策を彼なら上手にさばけるだろうと、有権者を説得できなかった点にある。低所得層に対する消費税還元策は年収いくらからにするのかについて、首相は一貫していなかった。次の衆院選まで「消費税は1円も上げない」というその約束は、ほかの問題でもぐらぐら揺れた民主党を思い出させた。

結局のところ、菅首相と後継者たちにとっての本当の教訓は次のようなものかもしれない。増税を話題にするのはいいが、それなら説得力のある話し方をしなくてはならないのだ——と。
http://news.goo.ne.jp/article/ft/politics/ft-20100716-01.html
(続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

年央雑感(27)

2010-07-20 10:23:27 | Weblog

そして「イカロス」は太陽光を受けて加速している。


24イカロス太陽光“追い風”…宇宙ヨット加速成功
(2010年7月10日 読売新聞)
(Photo)太陽光を受けて宇宙空間を進むイカロスの想像図(宇宙機構提供)

 世界初の宇宙ヨット「イカロス」(重さ310キロ・グラム)が、宇宙空間で太陽光を帆に受けて加速することに成功したと、宇宙航空研究開発機構が9日発表した。帆を広げてから1か月間に得た加速量は、静止状態から秒速10メートルへの変化に相当するという。
 イカロスの帆は約14メートル四方。光にはわずかな圧力があり、空気との摩擦がない宇宙では時間をかければ加速につながる。現在は地上で0・1グラムの物を持ち上げる時と同じくらいの力を帆に受けていて、地球から1800万キロ・メートル離れ、金星の方向へ向かっている。
http://osaka.yomiuri.co.jp/science/news/20100710-OYO8T00553.htm





もうひとつ、世界が注視している状況を示す記事を紹介しよう。



22知りたい!:光を帆に受け金星へ 「宇宙ヨット」イカロス、世界が注視
毎日新聞 2010年7月8日 東京夕刊

 ◇開発はJAXA若手陣

 世界初の宇宙ヨット「イカロス」に関心が集まっている。海外メディアが詳報し、インターネットの簡易投稿サイト「ツイッター」では、ゆるキャラ「イカロス君」が約3万4000人のフォロワー(閲覧者)を獲得。小惑星探査機「はやぶさ」に続く新しいアイドルになれるか?【山田大輔】

 イカロスは5月21日に金星探査機「あかつき」と一緒に打ち上げられた。イカロスの主な任務は宇宙ヨットの航行技術の確立で、6月10日に最大の難所だった帆(14メートル四方)の展開に成功。現在、金星に向かって航行している。

 宇宙ヨットは、ごくわずかな運動エネルギーを持つ光の微粒子を帆に受け止めて飛ぶ。帆の厚さは0・0075ミリ。台所用ラップの10分の1以下で一見、セロハンのような薄い膜だが、携帯電話の電子基板と同じ素材で、宇宙空間の強い放射線にも10年以上耐える。

 米国が過去3回打ち上げに失敗するなど開発が難航してきただけに各国の関心も高く、米誌タイムは「はやぶさ」とともに「ウォークマンを発明した国が、テクノロジーの開拓者のイメージを取り戻した」と報じた。英BBCテレビは「日本、帆の展開に成功」と伝え、打ち上げ時に折りたたまれた帆の広げ方まで図解で詳報。「オリガミヨット」と巧みさをたたえた英情報誌もあった。

 相模原市の宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所。はやぶさチームの隣にイカロス運用室はある。約20人のメンバーの半分は大学院生、最年長は36歳の森治チーム長と非常に若いチーム。メンバーふんするイカロス君はツイッターで頻繁につぶやく。「はやぶさ兄さんみたいに頑張るからね」「今日はあまり忙しいことしないみたいー」「金星まではまだまだあるねぇ」などなど。携帯電話のストラップや風呂敷などはやぶさと組み合わせたキャラクターグッズの企画も進行中で、6月下旬には手作りアニメ「イカロス君の大航海」もインターネットで公開した。

 03年のJAXA発足時、イカロスは「挑戦的すぎる」としてプロジェクトが一時中断する苦杯もなめてきた。だが、04年の基礎実験1号機では帆を四つ葉のクローバー形にするなど、一貫して「より多くの人に、イカロスを通じて宇宙に興味を持ってもらえるよう意識して開発に当たってきた」(森チーム長)という。

 米の「ボイジャー」など従来の長距離探査機が搭載した原子力電池を必要としない「エコ設計」は、今後の惑星探査で不可欠な役割を果たすと期待される。イカロスでは、通電を切ると帆の一部が曇りガラスのようになり、受けるエネルギーを減らして進路変更する装置も正常に作動した。

 今後は宇宙に漂うちりの観測なども行い、金星付近に達する半年後には必要な実験を終え、その後は地球と金星の軌道間を燃料なしに回り続ける。

 小さな帆で大宇宙を旅する「イカロス」は、宇宙開発史に一ページを加えつつある。

イカロス:世界が注視「宇宙ヨット」 光を帆に受け金星へ
http://mainichi.jp/photo/archive/news/2010/07/08/20100708k0000e040029000c.html

金星探査機:「あかつき」が試噴射…液体燃料エンジン
http://mainichi.jp/photo/archive/news/2010/07/06/20100707k0000m040035000c.html

金星探査機:あかつきが地球撮影 25万キロから鮮明画像
http://mainichi.jp/photo/archive/news/2010/05/23/20100524k0000m040017000c.html

金星探査機:「あかつき」が試噴射
http://mainichi.jp/select/science/news/20100707ddm012040154000c.html

http://mainichi.jp/select/science/news/20100708dde001040004000c.html



まあ、民主党の無策にもかかわらず「はやぶさ(のカプセル)」、「イカロス」は今のところ順調だ。これは、しかし、過去の遺産の為せる業だ。これからはどうなるか分からない。それが心配だ。日本は科学技術立国だ。最先端の科学技術を武器に、この無慈悲なグローバル世界を渡っている。これで国民は、ある意味食っているワケである。自民党にも問題はある、しかし民主党よりは「たしなみ」はより多く持ち合わせている。日本の将来への洞察も確かだ。幸い短い期間で鳩山は退陣して行った。あとを継いだ菅直人も化けの皮が剥がれている。今回の参院選では、見事過半数を割り込ませた。
(続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

年央雑感(26)

2010-07-19 11:38:43 | Weblog

(岩谷文太氏のコメント)
 一連の欧米のあっけらかんとした祝福に満ちた報道を見て受けた印象というのは、はやぶさは打ち上げの後に打ち上げロケットを切り離し、最後に探査機を切り離して着地しているようなニュアンスの表現であり、つまりはやぶさはカプセルになって帰還しているのである。

 一方日本で持たれているイメージは、コスモクリーナーを地球に届けるヤマトの艦長のように任務を果たして地球を見ながら燃え尽きるはやぶさであり、カプセルははやぶさが届けたものと認識されている。
 日本では任務成功への祝福をしながらも塵となったはやぶさへの憐れみのニュアンスがあり、紆余曲折の末に地球帰還を果たしたが、はやぶさ自身は身を呈して任務を果たしカプセルに未来を託すという辺りが日本人の琴線に触れる要素ではあるが、欧米メディアではそれを「派手な花火ショー」と表現するなどお祭りムード一色の辺りが一番の違いだろう。
http://redfox2667.blog111.fc2.com/blog-entry-228.html



「はやぶさ」は2010年6月13日 20時過ぎに大気圏に突入した。そして、その3日前の6月10日に「イカロス」はその帆を全開している。そのため「はやぶさ」は、弟分の「イカロス」のひろげた帆を目に焼き付けて大気圏に突入したものと思う。そして安心してそのカプセルを射出したのである。「イカロス」も7年の偉業を成し遂げて地球に戻ってきた「はやぶさ」兄さんに、精一杯その帆をひろげて見せたことであろう。「あかつき」共々「イカロス」の長躯金星への旅の成功を祈る。



15イカロス君「はやぶさ兄さんに僕の広がった姿を見せられてよかった!」
2010年6月11日 17時29分 (ITmedia News)

(Photo)イカロス君「はやぶさ兄さんに僕の広がった姿を見せられたよかった!」
イカロス君のTwitPicより(ITmedia News)
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙ヨット実証機「IKAROS」(イカロス)が6月10日、帆の展開に成功した。
 IKAROS“本人”がつぶやいているという設定のTwitterアカウント「イカロス君」も「展開成功!! やったぁー」と大喜び。イカロス君の“兄さん”こと小惑星探査機「はやぶさ」はTwitterで、「ついにやったな!」と“弟”をほめている。
 IKAROSは光を反射する薄い膜「ソーラーセイル」を張り、太陽光(光子)を受けて進む“宇宙ヨット”で、5月21日、「あかつき」とともにH-IIA型ロケット17号機で打ち上げられた。6月3日に帆の展開を開始し、10日、地球からの距離約770万キロで展開を終了、薄膜太陽電池による発電も確認した。今後、半年かけて金星に近づく計画だ。
 イカロス君は11日、Twitterで「僕頑張ったよぉ〜〜〜〜」「展開成功!! やったぁー」などと大喜び。「はやぶさ兄さん見ててくれた?!」とはやぶさのTwitterに話しかけると、はやぶさは「泣くなよ……ばか。地球のみんなの歓声が聞こえるか? ついにやったな!これでおまえは正真正銘の『ソーラーセイル』IKAROSだ!」と弟の快挙をほめた。
 イカロス君は「はやぶさ兄さんに僕の広がった姿を見せられてよかった!」とほっとした様子。はやぶさは13日午後8時ごろ(日本時間)に搭載しているカプセルを分離し、本体は大気圏に突入して燃え尽きる予定だ。
http://topics.jp.msn.com/digital/general/article.aspx?articleid=304832
(続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

年央雑感(25)

2010-07-18 12:04:55 | Weblog

その「あかつき」と「イカロス」の打ち上げと衛星軌道投入成功のニュースを次に載せる。
この写真は見事に開いたイカロスの帆である。



2.5>【H2A】金星探査機「あかつき」打ち上げ成功
2010.5.21 07:25 このニュースのトピックス:宇宙・天文台

(Photo)金星探査機「あかつき」を搭載し、打ち上げられるH2Aロケット=21日午前6時58分、鹿児島県・種子島宇宙センター

 日本初の金星探査機あかつき」を搭載した国産大型ロケットH2A」17号機が21日午前6時58分、鹿児島県の宇宙航空研究開発機構(JAXA)種子島宇宙センターから打ち上げられた。約27分後、あかつきを分離し、予定軌道への投入に成功した。

 あかつきは約半年間の飛行を経て、今年12月に金星へ到着。金星上空を1周約30時間で周回し、約2年間にわたり大気の観測などを行う。

 打ち上げは当初、18日の予定だったが、天候不良で3日延期された。あかつきの開発費は約146億円、H2Aの打ち上げ費(打ち上げ延期による追加分を除く)は約98億円

 あかつきは赤外線や紫外線などで異なる高度を観測する5台のカメラを搭載。金星全体を覆う硫酸の雲や秒速約100メートルで吹き荒れる暴風などを調べ、謎に包まれた大気のメカニズムを解明する。

 日本が惑星探査機を打ち上げたのは平成10年の火星探査機「のぞみ」以来2度目。のぞみは打ち上げ後の不具合などが原因で火星周回軌道への投入に失敗した。

 17号機はあかつきのほか、小型ソーラー電力セイル実証機イカロス」など計5基の小型衛星を搭載した。イカロスは宇宙空間で“帆”に相当する約14メートル四方の樹脂膜を展開。太陽光が持つ微弱な圧力を受けて飛行する“宇宙ヨット”で、成功すれば世界初の飛行技術になる。

 H2Aの打ち上げは今回で11回連続の成功。信頼性を一段と高め、商業衛星打ち上げビジネスの新規受注に向けて前進した。
http://sankei.jp.msn.com/science/science/100521/scn1005210705000-n1.htm



そのイカロスは、6月10日、帆の展開に成功している。この写真は「あかつき」から分離されたカメラ衛星から撮ったものである。14mの帆が完全に広がっている。この帆に、イカロスは太陽光を受けて進んでゆくことになる。「イカロス」は、そのことを実証するための衛星なのだ。そしてちょうどその3日後の6月13日夜には、小惑星イトカワに着陸して地球に帰還した「はやぶさ」が大気圏で燃え尽き、カプセルを無事オーストラリアのウーメラ砂漠に軟着陸させている。「はやぶさ」の7年に渡る宇宙旅行は、海外でもかなりの注目度でもって報道されている。「あかつき」や「イカロス」のことを話す前に、海外での報道の一部を次に紹介しよう。これは、岩谷文太氏の下記のものから拝借している。岩谷氏は米国在住の歴史検証者のようにお見受けする。海外での反応が数多く載っているが、そのうちのひとつを掲載する。是非このURLを訪問して、確認してほしい。
http://redfox2667.blog111.fc2.com/blog-entry-228.html




日本の宇宙プログラム Economist.Com
18.5栄光の炎
日本は宇宙で二つの成功を達成

エコノミスト 2010年6月15日

 先々週にファルコンが宇宙に打ち上げられた:イーロン・マスク氏の民間融資のファルコン9ロケットである。
 そして今週は別なファルコンが宇宙から戻って来た。6月13日にはやぶさ(ファルコンの日本名)がオーストラリア南部の夜空を疾走した。それが小惑星の表面から採集された初の岩石サンプルを運んでいると研究者達は願っている。
 写真が示すように再突入で宇宙船の大部分は燃え尽き、炭素フェノール樹脂製の耐熱シールドでプロテクトされた小さな部分が残りウーメラの近くの砂漠に着地した。このカプセルには地球と軌道が交差する全長500mの小惑星イトカワの物質が入っている事が期待されている。
(Photo) 火球となったはやぶさ、右下の光点は射出されたカプセル
 それがまず第一点で、日本の宇宙局のJAXAは実に、第二点として6月10日に地球を周る軌道のソーラーセイル小型衛星のイカロスの打ち上げに成功している。
 この2つのうち、短期的にはイトカワ任務がより壮観であるが、それは太陽フレア、ボルダー上の着陸、そして地球帰還の3年延期など災難続きであった。しかしその帰還は、JAXAの筑波宇宙センターの地球司令部チームのトラウマ的経験により成し遂げられた。
 それでも長期的にはイカロスがより重要な任務になるかもしれない。ソーラーセイルは宇宙旅行の高速手段ではないが低燃費である。それは日光からエネルギーを得るため燃料が必要ない (反射光が僅かな圧力を帆に加え前進する)。
 それでもこのソーラーセイルは薄く巨大なものであり、打ち上げ時に折り畳まれている必要があるため装備が難しい。従って200平方メートルのイカロスの帆を拡げるのはかなりの偉業である。
 それは現在どれだけの光量子の風を提供出来るかの腕前を試されている。
 イカロスは5月21日に打ち上げられた (それはJAXAの金星ミッションにリフトを繋いだ)。
 2003年に打ち上げられたはやぶさは2005年にイトカワの軌道に乗った。その意図は表面に接近し発射体を撃ち込んで幾らかの粉塵を得る事だった。それは上手く行かなかったようであるが、探査機は小惑星の表面に約30分停止していたため、数ミリグラムの粉塵でも採集して回収カプセルに入っている可能性があり、検査を待っている。
 もしそうであるなら、それは宇宙船によって地球に持ち込まれた4番目の地球外物質になる。前例はアポロ任務や3回のロシアの無人月面機に持ち帰られた月の岩石、2004年のスターダスト計画でワイルド2彗星から収集された物質、そして2001-04年のジェネシス計画で収集された太陽風サンプルである。
 もちろん地球外物質は隕石の形で毎日地球に来ているが、その大半は事実上小さな小惑星であり、はやぶさの収穫品に本当の新発見があるかどうかはまだ分らない。
 皮肉な事に、JAXAがカプセルの着陸地点として選んだ場所は、1950-70年代に行なわれた英国の廃止された宇宙プログラムのロケット『ブラックナイト』『ブラックアロー』『ブルーストレーク』の打ち上げ地である。
 日本の宇宙計画は今のところかつての英国よりも遥かに成功している。自国の負債を見て何を仕分けするか悩んでいる思慮深い日本人は、この偶然の一致を悪い前兆と見るかもしれない。しかし一国が落としたバトンをもう一国が拾い上げるのはむしろ運の良い事である。
[訳=岩谷]
The Economist. "A blaze of glory", Jun 15th 2010.; Updated: "A blaze of glory", Jun 17th 2010.
(続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

年央雑感(24)

2010-07-17 11:10:42 | Weblog

これも忘れてもらっては困る。H22年度の国家予算92兆円のうち44兆円以上が国債なのである。これは民主党のばら撒き政策の結果、国家予算の約半分近くの48%が国債などで賄(まかな)われる事になったのである。この割合は、民主党政権になって急増しているのである。次にH19年度からの国家予算の総額とそのうちの国債費等の数字を示す。

        予算総額  内国債費等  その割合%
H19年度 82.9兆円   25.4兆円   30.6%  (自民党政権)
H20年度 83.1      25.3      30.4   (自民党政権)
H21年度 88.5      33.3      37.6   (自民党政権)
H22年度 92.3     44.3     48.0   (民主党政権)


当時の自民党政権は国債の発行額を33兆円以内に収めるべく努力したのである。当時のニュースには、よくこの33兆円なる数字が現れたものであるが、民主党政権になってからは、傍(はた)からそんな嗜(たしな)みは無い。税収が縮小する状況からは、到底考えられない放漫な財政となったのである。この民主党の無定見なばら撒きの結果、自民党政権が折からのリーマンショックからの経済の低迷の中、苦心に苦心を重ねた緊縮財政を放漫財政へと道を誤らせてしまったのである。その結果がこの体たらくなのである。これは単年度で済む話ではない。継続するのである。これは我々の子や孫の代に影響する。まあ、国民も馬鹿ではないから、もうこれ以上は騙されないぞと、参院選では鉄槌を民主党に与えたのである。




21.8行政改革’10参院選 無駄なくす道筋明確に
'10/7/5 (中国新聞The Chugoku Shinbun ONLINE)

 増税論議ばかり取り上げられるが、無駄の削減は忘れていないか。そう思う有権者は多かろう。

 菅直人首相は就任以来、消費税の話となれば熱弁を振るうものの、行政改革については前ほど力が入っていない印象も受ける。

 先月公表した財政運営戦略でも将来にわたる財源不足を強調し、具体的な歳出削減策は示していない。財務省など官僚のシナリオのように見える。「増税ありき」との批判にどう応えるのか。

 「税金の無駄遣いをなくす」というのが民主党の基本政策だ。参院選のマニフェストでも第一に掲げる。昨夏の衆院選と違うのは、節約によって9兆1千億円の財源をひねり出す、という数値目標が消えたことだ。

 民主政権が財源確保の切り札としていたのが行政刷新会議の事業仕分けである。独立行政法人や公益法人など官僚の天下り先に多額の税金をつぎ込む構図をあぶり出した。だが本年度予算に反映できたのは7千億円足らず。削減効果は期待通りとはいかなかった。

 「予算を組み替え、無駄を省けば財源はいくらでもある」という主張は、すっかり影を潜めた。当初の思惑が外れたのなら、それなりの説明が必要だ。そのうえでどう仕切り直しをするのか。歳出削減の新たな道筋をはっきり示すべきである。

 今や自民党や公明党なども、官僚の既得権益にメスを入れよと主張している。問われるのは実行力だろう。

 事業仕分けのガラス張りの議論は国民の喝采(かっさい)を浴びたが、事業の一部だけ取り出すやり方には限界がある。すべてに網を掛けられるよう態勢をどう強化するか。国会も、本来のチェック機能を取り戻すべきだ。

 無駄の温床とされる総額176兆円の特別会計は手つかずだ。政府は10月に仕分けをするというが、行政改革の本丸だけに官僚の抵抗も予想される。どの会計からどれほど財源を生み出せるか、きちんと目標を立てる必要がある。

 公務員制度の抜本的な改革も急がれる。政府は国家公務員人件費の2割削減を約束している。ところが第一歩となるはずの法改正は前首相の退陣で廃案になった。支持母体の連合に遠慮せず強い姿勢をどこまで貫けるだろうか。

 与野党こぞって掲げる天下り根絶も道半ばだ。菅政権になってから、国家公務員が出向する形で独立行政法人などの役員に就く「抜け道」を認めた。官僚の側に配慮して手を緩めた感もある。

 民主政権の姿勢は生ぬるいとして、自民やみんなの党は地方公務員も含めた削減を打ち出す。単なる数合わせなら、本来必要な仕事に影響してくる恐れもある。公務員がなすべき職務の全体像まで踏み込んだ議論が欠かせない。

 国民の負担増を議論する前に、国会も身を削る覚悟が要る。多くの党が打ち出す衆参の定数削減に踏み出すのか、議員歳費や政党助成金を見直すのか。改革の本気度が試されている。
http://www.chugoku-np.co.jp/Syasetu/Sh201007050069.html



その最大の被害者のひとつは、日本の科学技術なのである。2010.6.25の当ブログNO.3でも言及しておいたが、あの「はやぶさ2」の予算は麻生政権で17億円を付けていたものを、あの蓮舫のおかげでたったの3千万円に削られてしまったのだ。

しかし自民党政権時代に蒔いた種は、順調に育っていた。金星探査機あかつき」が5月に打ち上げられている。この「あかつき」は世界初の金星気象衛星となり、金星を回る軌道を周回して金星の大気などを2年間観測するという。そしてこの「あかつき」を打ち上げたH-ⅡAロケットには、「イカロス」と言う「宇宙ヨット」なる小型の衛星も相乗りしている。これは宇宙ヨットの実証機で、14m四方の膜を広げてそれに太陽光を受けて推進することを実証するための世界初の衛星なのだ。
(続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

年央雑感(23)

2010-07-16 14:18:35 | Weblog

それにしても民主党の「消費税」は唐突だったし、更には「事業仕分け」なる大風呂敷を広げた割には、その結果は微々たる物だった。そんなにムダが転がっている筈は無いのである。必要な財源なんぞは「ムダの削減」で捻出できると息巻いたいたが、一体民主党は自分の蒔いた「ばら撒き」をどう収めるつもりか。



東京新聞TOKYO Web 【政治】
21.6消費税 かじ切る時か 民主政権『無駄削減』に限界
2010年7月4日 朝刊
 「子ども手当をもらっても、子どもの文房具なんかの消費税が上がったら、意味ないんじゃないかしら」

 東京都世田谷区の主婦安藤真由美さん(44)は、民主党が消費税の引き上げを言い始めたことに戸惑っている

 昨年九月、政権選択の衆院選を経て首相になった鳩山由紀夫氏は「四年間は、消費税を上げない」と明言した。特別会計を含めた総予算を見直して、徹底的に無駄を削れば、子ども手当や高校無償化など“家計にやさしい政策の財源は、捻出(ねんしゅつ)できるはずだった。

 だが現実は、甘くなかった。行政刷新会議が行った事業仕分けで、捻出したのは約一兆円。片や二〇〇九年度の税収は、当初の見積もりより約九兆円少ない三十七兆円程度にとどまり、一〇年度予算では四十四兆三千億円もの国債が発行された。国と地方の長期債務残高は、一〇年度末の見込みで約八百六十二兆円。自公政権時代の〇八年度末より約九十二兆円増える。

 政権交代以来、約九カ月半たった。この間、鳩山・菅の両政権は無駄を切り詰める点では一定の成果をおさめたが、同時に、その限界も悟った。「鼻血も出なくなるまで無駄を削減する」という基本姿勢は変わらないが、鼻血が出ないほど切り詰めても財政は健全にならないと観念したのだ。そして菅直人首相は、消費税の引き上げ議論の封印を解いた。

 なお無駄の削減にこだわり続けるべきなのか。それとも、今こそかじを切って増税を考える時なのか。消費税アップの議論は、ここが出発点となる。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2010070402000047.html


それにしても、今年H22年度だけでも7.1兆円ものムダを見つけて、更にそれを削減しなければならないのである。その方策が、例の行政刷新会議の「事業仕分け」なのである。民主党が、枝野幸男と蓮舫らに指示して始めたものであるが、昨年の11月に行われた第一回の事業仕分けでは、2010年度予算の概算要求から3兆円以上を削ることを目標にしていたが、結果として6,900億円しか削れなかったようだ。これでは困るのである。なんとなれば、2010年度では7.1兆円が必要なのでそれだけひねり出すと言っていたものを、いつの間にか事業仕分けでは3兆円となり、実際に削減できたとする額は僅かの6,900億円だというのである。もっとも暫定税率の廃止とか高速道路の無料化などは、H22年度には実施されてはいないが。



21.3行政刷新会議の事業仕分け
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/budget_requests_screening/
2010.6.23 18:43

第1弾の判定結果
2009年に行われた仕分け作業では、当初2010年度予算の概算要求から3兆円以上削ることを目標にしていたが、菅直人副総理・国家戦略担当相は仕分けの結果を反映し、6900億円を削減するよう閣僚委員会で指示。目標を大きく下回る結果になった。

期待や評価
予算編成のプロセスや税金の使途が透明化されたことについては、与野党ともに評価する声がある(毎日新聞「事業仕分け:与野党が論争 公開の意義は一致 スパコンは復活も」)。

疑問や批判
麻生前首相が「国会議員でもない民間人が何の資格でやっているのか」と疑問を呈したほか、議論の拙速さや費用対効果の側面だけから論じられることへの懸念がある。このほか、財務省が極秘の査定マニュアルを仕分け人に配布し(時事通信)、政治主導ではなく財務省主導との見方もある。

「事業仕分け」とは

行政刷新会議が、各省の事業について、必要性があるか、国がやるべき仕事かなどをチェックする作業。ワーキンググループを設置して、公開の場で行う。仕分けの結果に法的強制力はなく、この結果が予算の判断材料の一つとなる。
公開の場において、外部の視点も入れながら、それぞれの事業ごとに要否等を議論し判定するものであり、透明性を確保しながら、予算を見直すことができる有効な方法です。
内閣府 行政刷新会議「事業仕分け」

[関連情報]
事業仕分けは「悪いリストラ」の典型になっていないか?
http://diamond.jp/articles/-/7083
【事業仕分け】スパコン判定見直しの舞台裏 見えた「仕分け」の限界
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/091122/stt0911222235009-n1.htm
(続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

年央雑感(22)

2010-07-15 16:29:09 | Weblog

それにしてもあの「バカ蓮舫」が東京選挙区で、選挙区としては過去最多の得票で当選したと言う。世の中、間違っていないかい、最多当選とは。東京都民がバカだとは言わないが、せめてトップ当選は阻止して貰いたかった、と思っている。もっとも現在の民主党では、宣伝できるものと言えば蓮舫くらいしかいなかったのであるから、注目が集まるのもし方ないのではあるが、それにしても日本のことをなんとも思っていない輩が、過去最多得票とは。蓮舫のお陰で、日本の科学技術は衰退しかねないのだ。



29<参院選>東京選挙区の蓮舫氏 過去最多の171万票獲得
7月12日10時50分配信 毎日新聞

(Photo)当確が伝えられボランティアと握手する民主党の蓮舫行政刷新担当相(右)=東京都渋谷区で2010年7月11日午後8時6分、三浦博之撮影
 今回の参院選で選挙区、比例代表通じて最も多く得票したのは「事業仕分け」で活躍した東京選挙区の蓮舫行政刷新担当相(民主)。唯一、100万票を超え、選挙区では過去最多の171万票を記録した。これまでの最多は「小泉ブーム」で自民党が大勝した01年に同じ東京選挙区で保坂三蔵氏が獲得した140万票だった。

【特集「参院選」】蓮舫氏はこんな人
http://mainichi.jp/select/seiji/10saninsen/mai/kaihyo/area_meikan.php?mid=B13000019019

 比例代表の最多得票は秋野公造氏(公明)の83万票。五輪柔道金メダリストの谷亮子氏(民主)は35万票だった。過去最多は04年の浜四津敏子氏(公明)の182万票。個人名だけで投票した全国区時代は石原慎太郎氏(自民、現東京都知事)が68年に301万票を記録している。

 民主党の獲得した44議席は04年の50、07年の60を大きく下回り、04年以降拡大してきた党勢が失速。非改選の62議席と合わせた106議席は過半数に16足らず、獲得議席がゼロに終わった国民新党などと合わせても110議席。非改選を含め11議席に躍進したみんなの党に協力を求めても過半数に届かないため、改選議席を二つ減らしながらも19議席を持つ公明党などとの連携も探らなければならず、菅直人首相は厳しい政権運営を迫られる。

 自民党が50議席を上回り改選第1党となるのは、64議席だった01年以来。しかし、比例代表は過去最低だった98、07年の14議席を2議席下回った。

 公明、共産、社民3党は改選議席から減らし、新党改革とたちあがれ日本は比例の1議席にとどまった。地方自治体の首長経験者らが結成した政治団体・日本創新党は議席獲得に至らなかった。【田中成之】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100712-00000042-mai-pol



蓮舫のあの薄気味悪い笑い顔が、TVなどに頻繁に(とは言わないが)流れている。それを見るたびに気分が悪くなる。最悪だ。民主党の敗北は、「消費税問題の内容が正しく伝わっていなかった。今すぐ上げる訳ではない」などと偉そうなことを言っているが、そんな言い訳なんぞは聞きたくもない。蓮舫は、いやしくも行政刷新担当大臣なのだ。小生は、行政刷新担当大臣の職責と消費税密接に関係している、と理解している。行政刷新担当なる職は、例の「事業仕分け」なる大いなる無駄づかい(と小生は言っているのだが、事業仕分けなんぞは本来は担当の大臣とその補佐達がやるべきことであろう!)から派生して作られたものである。民主党は自民党の予算の作り方には膨大な無駄があるから、その無駄を見つけ出して無くせば、H22年度からH25年度間で16.8兆円も削減できると主張している(民主党Manifesto2009より)。だから行政刷新の行方を見極めて、それを党内で徹底的に議論させてそれから消費税をどうするかと言う議論になるのではないかな。そういうことを党内で蓮舫が(すべてではないにしても)担当大臣として、しきっていかなければならない立場ではなかったかな。そんな基本的なこともどこかに置き忘れて、最多でのトップ当選で浮かれていて貰っては困るのである。「消費税問題の内容が正しく伝わっていなかった。今すぐ上げる訳ではない」などと、他人事のように言ってもらいたくはない。それは、お前の仕事の一部でしょうが。


さて、その民主党Manifesto2009で節約出来るとする内訳は次の通りである。
(http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2009/)

1.国の総予算(H21年度)207兆円をベースに徹底的に効率化。ムダ使い、不要不急な事業を根絶する。9.1兆円

2.税金などを溜め込んだ「埋蔵金」や資産を国民の為に活用する。
     5.0兆円

3.租税特別措置などを見直す。
     2.7兆円

4.合計16.8兆円を捻出する、と「民主党マニフェスト2009」では説明している。

そしてその削減した財源を次のように使うとマニフェストでは宣言している。

平成22年度  7.1兆円
平成23年度 12.6兆円(累計)
平成24年度 13.2兆円(累計)
平成25年度 16.8兆円(累計)

平成22年度では、7.1兆円もの予算が必要となるのである。

この16.8兆円は、次の項目に支出するとしている。

        子供手当て・出産支援
        公立高校の実質無償化
        年金制度の改革
        医療・介護の再生
        農業の個別所得補償
        暫定税率の廃止
        高速道路の無料化
        雇用対策     で、合計16.8兆円も必要としているのである。
(続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする