世の中、まちがってる、根拠なき反日キャンペーン。

相も変わらず根拠なき反日キャンペーンで、国をまとめようとする輩が存在する。

Ghosn,Gone with the Money(15)

2018-12-29 00:00:00 | Weblog

そんなわけで、「悪い奴ほど勾留期間が長くなる」の喩がある訳ではないが、クリスマスイブの現時点(2018.12.24)では、カルロス・ゴーンは来年の2019.1.1まで勾留されることになっている。ゴーンは拘置所で年を越すことになる。

ここで今一度カルロス・ゴーンとグレッグ・ケリーの逮捕の状況を整理しておこう。


2018.11.19 金融商品取引法違反(有価証券報告書虚偽記載)容疑で逮捕される。'11/3~'15/3期
2018.11.21 10日間の拘留が認められる。2018.11.30まで。
2018.11.30 10日間の拘置延長が認められる。勾留期間は、2018.12.10まで。
2018.12.10 ゴーン・ケリーと日産が金商法違反で起訴される。'16/3~'18/3期の有価証券報告書の虚偽記載で、再逮捕する。
2018.12.11 再逮捕されたゴーン・ケリーの10日間拘留を認める。2018.12.20まで。
2018.12.20 ゴーン・ケリーの拘留延長請求が却下される。東京地検の準抗告も棄却。
2018.12.21 ゴーンを会社法違反(特別背任)容疑で再逮捕する。自身の損失を日産に付け替え、更に資金を第三者に流出させた罪。
2018.12.23 ゴーンの10日間の拘留を認める。2019.1.1まで。
2018.12.25 グレッグ・ケリー保釈される予定。(実際に同日22:45頃拘置所から出て来た。)
2019.01.01 ゴーン、拘留延長、2019.1.11までの予定。



ゴーン容疑者、年末年始も勾留の公算 
2018.12.23 00:51社会事件・疑惑
日産・ゴーン事件の波紋
(https://www.sankei.com/main/topics/main-35939-t.html)

ゴーン容疑者をめぐる逮捕後の刑事手続き

 特別背任容疑で再逮捕されたカルロス・ゴーン容疑者は、クリスマスや年末年始を拘置所の中で過ごす公算が大きくなった。東京地裁が東京地検特捜部の勾留延長請求を却下する異例の事態から、急転直下の3度目の逮捕。海外メディアの「長期勾留」批判に押される形で地裁が特捜部の捜査手法に「ノー」を突きつけたことへの「反発」のようにも映るが、捜査の狙いは世界的なカリスマ経営者の企業犯罪の摘発だ。

 経営危機に陥った日産を大胆なリストラでV字回復に導いたゴーン容疑者。特捜部は社内の権力が集中したことで「会社の私物化」を重ねてきたとみた。

 最初の逮捕容疑となった報酬の過少記載は、1億円以上の役員報酬の個別開示が義務付けられたことを契機に始まった。世界の潮流である株式市場の透明性確保と企業統治の向上を目的に作った規制を、いきなり破った疑いがある。法定刑も10年以下と重く、「形式犯」との批判は当たらない。

 そして、特捜部が会社私物化の「本丸」とみたのが特別背任での立件。会社法に規定され、企業のトップが任務に背き会社に損害を与える悪質性の高い犯罪だ。

 ただ、特別背任には「自己または第三者の利益を図る目的で会社に損害を与える意図」という高い立証ハードルが存在する。確実に摘発するためには慎重な裏付け捜査が必要で、身柄を拘束しない任意捜査では限界がある。情報が漏れればゴーン容疑者や側近らに証拠隠滅される恐れがあるためだ。

 このため特捜部は報酬過少記載事件で逮捕してから一気に並行して企業犯罪の捜査も加速させたのだが、その過程で裁判所の理解を得られなかった。背景には海外からの日本の刑事司法制度への批判もあったとみられる。特捜部は法と証拠に基づき捜査しており、萎縮する必要はないが、そうした批判に耐えうるような結果を出さなければならない。(大竹直樹)
https://www.sankei.com/affairs/news/181223/afr1812230002-n1.html


今回の背任容疑での逮捕では、一回目の拘留が2019.1.1までで、二回目の拘留が許可されれば、2019.1.11まで勾留することが出来る。しかし更なる何らかの事情が出てこない限り、拘留はここまでになるかもしれない。

これに反して、グレッグ・ケリーは2018.12.25の22:45頃保釈されて拘置所から出てきた。



1カ月ぶり ケリー被告保釈 茨城県内の病院で治療へ
カテゴリ:国内 2018年12月26日 水曜 午前6:37

日産自動車の前代表取締役、グレッグ・ケリー被告は25日夜、およそ1カ月ぶりに東京拘置所から保釈され、そのまま茨城県内の病院に入った。

ケリー被告は、手を後ろに組んだようにして東京拘置所から出てくると、車に乗り込み、大勢の報道陣が駆け付けた中、保釈された。

その後、26日午前0時ごろに茨城県内の病院に入った。

持病の首の治療を受けるためとみられている。

ケリー被告は、日産自動車前会長のカルロス・ゴーン容疑者の5年間の報酬を、有価証券報告書に少なく記載していた罪で起訴された。

ケリー被告は保釈後、「保釈によって外の世界に戻ることができました。言われるような虚偽記載は一切やっていません。わたしが無実であることは、法廷の場で明らかにされていくでしょう」とのコメントを発表した。

関係者によると、ケリー被告は保釈に際し、住居は日本国内の特定の場所に制限され、海外の渡航や、一部の日産関係者との接触が禁止され、日産の株主総会や取締役会への出席には、裁判所の許可が必要だという。

日産自動車・西川社長は、「(ケリー被告保釈の受け止めは?)司法の手続きにのっとりやっていることなので、それはそれで」と述べた。

日産の西川社長は、ケリー被告が「虚偽記載は、一切やっていない」とのコメントを発表したことに対し、「コメントすることはない」と述べた。

また、日産の全従業員に、ケリー被告側と接触しないよう指示したことを問われると、「(従業員が)動揺しない方がいいから、配慮すべきことだと思う」と答えた。
https://www.fnn.jp/posts/00408560CX



「悪い奴ほどよく眠る」の喩の通りに、 「私は、言われるような虚偽記載は一切やっていません」と嘯いている。「私」が有罪であることは、法定の場で明らかにされることでしょう。

保釈には四条件が付いている。
(1) 国内の一定の場所に居住すること。(2) 海外渡航は禁止。(3) 日産関係者との接触は禁止。(4)株主総会・取締役会への出席は裁判所の許可必要。

では、よいお年をお迎えください。ゴーンさんも!

(続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Ghosn,Gone with the Money(14)

2018-12-28 00:00:00 | Weblog

第四回目
さて、次が第四回目の検査不正である。

問題は「底なし」だと、次のニュースは報じている。ゴーン改革により、生産に直接関係のない検査工程では、人員が補充されず、更には設備も更新されず状態で、行わざるを得なかった、というような書きっぷりである。日産も、四回目の検査不正を起こして、初めてゴーン改革の悪弊に言及している。




日産、「ゴーン事件」最中にまた不正=問題、底なしの様相
2018年12月06日18時38分

 カルロス・ゴーン容疑者の逮捕で揺れる日産自動車で、新たな品質検査関連の不正が明らかになった。日産は今年9月、昨年秋以降に発覚した一連の品質不正の終結を宣言したばかりだったが、問題は「底なし」の様相を呈してきた。

ゴーン体制、19年の功罪=検査不正では姿見せず
(https://www.jiji.com/jc/article?k=2018112000988&g=eco)

 「コストカッター」と呼ばれたゴーン容疑者が1999年に日産の実権を握って以降、同社の生産現場では、採算性を過度に重視する傾向が強まった。データ改ざんなどの不正が起きたのは、品質検査を担う人員や設備が不十分で、現場に作業をやり直す余裕がなかったことが一因とされる。

 日産の不正に関する第三者委員会が今年9月に公表した報告書は「2000年代以降に排ガス測定値の書き換えが常態化した」と指摘。不正の背景について、コスト抑制に力点を置くあまり、「工場の維持・発展に不可欠な要素が失われた」と利益偏重に傾く企業体質を批判した。

 日産は9月、不正の再発防止に向け、検査担当者の増員などに取り組む方針を表明したばかりだが、問題を食い止められなかった格好。多額の利益を稼ぎ出し、首脳陣に億円単位の高額報酬を支払う一方、現場は疲弊し、士気が低下している恐れがある。西川広人社長ら現経営陣の責任も問われそうだ。

 ゴーン容疑者が金融商品取引法違反の容疑で逮捕されたことを受け、企業統治改革の断行も迫られている。同容疑者が長年トップに君臨し、絶大な権限が集中していた体制からの脱却が急務だ。

 今月4日には社外取締役3人が起業統治改革の協議を始め、近く報酬制度などの在り方を検討する委員会を立ち上げる。不祥事の連鎖にもがく日産は、品質問題の克服と企業統治改革という難題の両立を突き付けられている。(2018/12/06-18:38)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018120600741&g=eco



企業統治改革を起業統治改革と誤植しているのは愛嬌であるが、時事通信社も原稿の読み直しはしないのであろうか、と言われても仕方がないのであろう。

結局日産は、リコールを届けることになった。まあリコールを届けなくてもよかろう、とは思ってはいない筈であるが、どうなっちゃっているのか、日産、と言いたい気分ではないのかな。

再発防止対策を施した筈なのでもう再発はないと思っていた所で、再発しているとはどういうことか。
結局、本気で再発防止対策を行っていなかった、と言う事ではないのかな。

こんなことであるから、ゴーンに大金を持っていかれるのであろう。



検査不正で4度目リコール=日産、14万台超を届け出-ブレーキやステアリング
2018年12月13日14時54分

 日産自動車は13日、出荷前のブレーキ検査などで不正が行われていたとして、乗用車「ノート」など11車種計14万8780台(2017年11月~18年10月製造)を新たにリコール(回収・無償修理)すると国土交通省に届け出た。

 日産が出荷前の検査不正でリコールを実施するのは17年秋の発覚以降4度目で、対象車の総数は129万台余りになった。検査不正に伴う費用などとして17年度分は約900億円を計上しており、今回のリコールで影響はさらに拡大する。
 日産によると、駐車ブレーキの制動力検査で、操作すべきではないブレーキペダルを使用したり、ステアリングの検査で測定値を社内基準に収めるために、不適切な手法が取られたりしたケースがあった。不正は追浜工場(神奈川県横須賀市)とオートワークス京都(京都府宇治市)の工場で行われていたという。

 7日に開いた会見で、日産幹部は現場の検査員に不適切という認識はなく、頻度も少なかったと主張。追浜工場では40年前の古い設備が使われ、投資が不足していたとの考えも示した。
 リコールの対象車はノートのほか、乗用車「リーフ」「ジューク」「シルフィ」「キューブ」「マーチ」、小型トラックの「アトラス」、マイクロバスの「シビリアン」、いすゞ自動車から受託生産した「エルフ」「ジャーニー」、三菱ふそうトラック・バスから受託生産した「ふそうキャンター」。

 自動車の出荷前の検査不正は、SUBARU(スバル)やスズキなどでも発覚している。(2018/12/13-14:54)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018121300466&g=eco



現場の検査員に不適切という認識はなく」と幹部が言っているが、これこそ大問題ではないのか。

即ち完成検査に対する認識が全く間違っていた、という証拠となろう。法定の完成検査を完成検査と思ってなかったのである。

現場も現場なら、日産自体のマネジメントもマネジメントである。これでは全く管理の体を成していないのではないのかな。

だからISO9001の認証取り消しは、国内向け車両だけに限らずに日産全体に対しての認証取り消しとすべきだったのではないのかな。管理その物が行き届いていない訳であるから。

ゴーンがそれほど(会社経営に関して)立派だと言うのであれば、この体たらくな日産のマネジメントにはすぐ気付いて改革の俎上に乗せた筈だ。このように4回も検査不備が続いていたと言う事は、言われるほどゴーンが秀でている(日産を立派に再生させた)とは言えないのではないのかな。

以上が日産の4回に渡る車両の完成検査不正のあらましであるが、整理のために一覧表にしてみよう。



(1) 2017.9.18
 日産車体湘南工場へ国交省が立ち入り、無資格検査員の検査実施を指摘。調査の結果、追浜、栃木、九州の日産3事業所と日産車体、同九州の関連2工場でも無資格検査が見つかっている。
2014年9月以降(2017.9月までに)新規登録を行った車両が該当するとして、再検査実施。

(2) 2018.7.9
 日産の国内5工場で、新車の排ガス検査の試験で測定値の改ざんと試験環境が法規からの逸脱があった、と発表。栃木、追浜、日産車体湘南、同九州、オートワークス京都の5工場で、不正を確認する。対象は1171台

(3) 2018.9.26
 車の構造や性能を調べる「精密車両測定検査」で、測定値の改ざんや検査未実施が新たに見つかったと発表する。1205台。ここにきて漸くゴーン改革の悪弊に言及する論調が現れる。

(4) 2018.12.13
 駐車ブレーキの制動力検査やステアリング検査で測定方法に不適切な手法を使っていたことが判明した。追浜工場とオートワークス京都の約14万9千台が該当する。旧式測定機による不良検査であり、人手と設備への投資不足が原因と言う。


この4回に渡る完成検査にまつわる不正は、ゴーン改革のコストカットの結果による人員不足老朽化検査測定機器の更新遅れによるものが主なものであった。

しかもゴーン改革は、マネジメントレベルの向上には一切寄与していなかったことが、図らずも暴露されてしまったのである。

ゴーンが来てから日産の業績が向上したことは、紛れもない事実である。しかしその結果、会社としてのマネジメントレベルは、反対に停滞していったのではないのかな。

そうでもなければ、4回も同じような不具合は連続しなかったのではないのか。
尤もゴーンにとっては、日産と言う会社の管理レベルが向上しては困ることになるかもしれないと、危惧していたのでないのかな。都合よくお金を引き出せなくなるかもしれないから。

業績が向上するの従って、ゴーンは、日産を自分の財布だと思うようになってしまったのであろう。
日産を自分の便利な財布にしておくためには、会社としての管理レベルがそうそう向上しては困るのである。ほどほどにしておくことが重要であったのであろう。

そのためにも社内に、自身のテコを作ることから始めた様である。自分に意見をする者、反対意見を述べる者などは、次々と左遷されていった。いわゆる報復人事と言う奴である。このようにしてゴーンは、日産を自分の手の内に入れていったのであろう。

日本にいる期間よりも海外特にフランスにいる期間の方が長かったのではないのかと思われるので、ルノーでも同じように悪さはしなかったのかと疑問が出るが、ルノーでは金をくすねるようなことはしなかった筈だ。と言うのも、なんとなくカルロス・ゴーンの高慢な態度を鑑みると、日本人や東洋人に対する人種的偏見があるのではないかと、小生は勘ぐってしまうのである。東洋の倭人・JAPに恵みを垂れに来た、という蔑みの感覚が無きにしも非ずだ。だからJAPから金をくすねても、問題はないと考えていた筈だ。だから今でも(囚われの身になっても)悪さはしていない、と息巻いている。

(続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Ghosn,Gone with the Money(13)

2018-12-27 00:00:00 | Weblog

この検査は車の構造や性能を調べる「精密車両測定検査」と言われるもらしい。改ざんの他に、検査そのものをパスしてしていなかったと言う。それでもクルマの性能には影響がない、と言っている。まあ品質は工程で作り込むと言う事で、生産工程で品質は作り込んでいるので、検査工程での再検査は念のためと言う事らしいのであるが、法律で決まったいることなので疎かにしてもらっては困るのである。


日産、構造検査も改ざん スズキは燃費測定で2700台
2018年9月27日 朝刊

 日産自動車は二十六日、新車出荷前の検査の不正に関する調査報告書を公表した。七月にデータ改ざんが発覚した燃費・排ガス検査に加え、車の構造や性能などを調べる「精密車両測定検査」でも、推定で延べ二百五十三台のデータ改ざんが判明。八月に燃費・排ガス検査の不正が発覚したスズキも同日、再調査の結果、新たに二酸化炭素(CO2)排出量を意図的に小さくするなどの改ざんが二千七百三十七台であったと発表した。

 同様の検査不正があったSUBARU(スバル)も早ければ月内に再発防止策を国に提出する方針だが、大手自動車メーカーの検査の不正の発覚に歯止めがかからない状況だ。

 日産の完成車検査で不正が分かったのは昨年九月以降、三回目。横浜市の本社で記者会見した山内康裕執行役員は「今回でうみは出し切ったと考えている。今後は二度と起こさないことがポイントだ」と述べた。

 日産の精密車両測定検査では、十一項目で不正を確認。車体の全幅など六項目でデータ改ざんがあり、ブレーキ液の残量警告灯の点灯確認など三項目は検査そのものをしていなかった。これらの不正は最初の不正が発覚した昨年九月以降も続いていた。再検証の結果、車の性能に問題がないことは確認できたという。

 不正が相次いだ要因を日産は「検査員の人員不足」「完成車検査軽視の風潮」などと分析。山内氏は再発防止策として、今後六年で千七百億~千八百億円の設備投資をし、本年度中に検査担当者など六百七十人を増員する方針を示した。

 スズキは「過去一年の測定データに不正はない」と説明していたが、検査成績書の数値と元の測定データが食い違う例が判明。二〇〇九年五月以降の測定データが残る車のうち、14・6%の二千七百三十七台で新たにCO2の排出量などの改ざんが発覚した。 (森本智之)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201809/CK2018092702000171.html



次の記事では、設備投資の遅れを挽回するためなのか、今後の6年間で1700~1800億円の設備投資と、首切りで不足した約670人の増員を行うと言っているが、これこそがゴーンによるリストラの悪影響以外の何物でもないのであろう。検査軽視の風潮が蔓延していたと言うことは、まさにその証なのである。

だからカルロス・ゴーン自らが出てきて、説明謝罪すべきものである。このことを指摘されるのが怖くて、ゴーンは出てこれなかったのである。




日産自:計画通りの生産優先、検査軽視の風潮ー排ガス不正で報告
鈴木偉知郎、馬杰、平野和
2018年9月26日 15:00 JST 更新日時 2018年9月26日 18:02 JST

役員から現場監督者まで重大性の認識が極めて薄かった
再発防止を目指し、工場での人員増強や老朽化した設備の更新を予定

日産自動車は26日、7月に発覚した排ガスや燃費測定の検査結果を改ざんするなどしていた不正についての原因分析と再発防止策をまとめた報告書を発表した。報告書では不正が起きた原因として、完成検査員の人員不足や計画通りの生産出荷を優先する検査軽視の風潮があったなどと指摘した。

  日産自は7月、国内の五つの工場で決められた環境とは異なる条件の下で排ガス・燃費の測定試験を行ったり、測定値を改ざんしたりするなどの不正行為があったと発表。対象車種は19車種、1171台としていたが、調査の結果1205台となった。国が定める保安基準は満たしているとして、リコール(無料の回収・修理)は実施していない。 

  今回の報告書によると、検査員は規範に違反することを認識しながら、測定値の改ざんを行っていたほか、検査員を監督する立場にある工長が、検査の実務を経験したことがなく、検査内容を理解していなかった。また、一部工場で検査に使用する設備に不具合があったことも、影響したという。

  検査員の証言から排ガス・燃費に関する不正以外にも検査の不実施やデータ改ざんが行われていたことも新たに分かった。一部工場においてブレーキ液残量警告灯の確認を実施していなかったほか、車体の全幅が検査規格を逸脱した場合、法令の規制を逸脱していないことを確認の上、測定値を検査規格内の数値に書き換えるなどしていた。対象車数は延べ253台。

  再発防止策では、排出ガス測定装置のプログラムのデータが書き換えられないようにするほか、同測定での試験条件を逸脱したデータを自動的に無効化するなどの仕組みを取り入れる。老朽化した設備の更新や再発防止のため取り組みも含めて、今後6年で1700億ー1800億円の設備投資を計画している。工場での人員は管理者も含めて今年度に約670人を増員する予定。

  同日午後、横浜市内の本社で会見した山内康裕チーフ・コンペティティブ・オフィサー(CCO)は「役員から管理職、工場の監督者層にいたるまで完成検査の基準・規定に反することの重大性の認識が極めて薄かったという点において、昨年の問題と根が同じと認識している」と語った。経営陣の責任については「まずは再発防止策に集中して取り組んでいきたい」と述べた。

  日産自の不正をめぐっては昨年9月、無資格の作業員が新車の完成検査を行っていたことも判明している。その後も同様の行為を繰り返していたことが発覚している。
(会見の内容などを追加します.)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-09-26/PFN9BH6JTSG101


完成検査の基準・規定に反することの重大性の認識が極めて薄かった」と言い繕っている(様に見える)が、実際のところ手当てされていなかったために、やろうとしても出来なかったのが根本原因ではなかったのかな。


以上みてきたニュースには、ゴーンの構造改革(日産リバイバルプランなど)に関しての論評は見当たらないが、マスコミも少々報道の仕方が偏っているのではないのかな。相当偏向している、と言った方が正解なのであろう。総じて日本のマスコミは、基本に立脚した正しい報道が出来ていない。

次の産経のニュースにはかろうじて、ゴーンのリストラに関する問題点を指摘する論調が載っていたので、紹介しよう。



【主張】新車検査の不正 構造改革へ危機感あるか
2018.9.29 05:00
 自動車の完成検査をめぐる不正が、またも拡大した。日産自動車で新たな検査項目での不正が判明し、スズキでは排ガスや燃費の測定データで改竄(かいざん)がみつかった。

 一連の検査不正は昨年9月、日産で資格を持たない担当者による検査が発覚して以降、各社が調査するたびに新たな不正が明らかになる。

 そのたびに経営トップが法令順守の徹底を約束するが、不正の根絶はできない。

 とくに懸念されるのが、人手不足による検査体制の不備である。人員削減などのコスト対策を優先し、必要な検査要員を確保していないなど、構造的な問題が明らかになっている。

 これは日本の自動車産業への信頼失墜だけでなく、国際的な産業競争力の低下にも直結する深刻な事態だ。業界全体で、厳しく受け止めるべきである。

 日産がまとめた調査報告によると、すでに判明している燃費や排ガスの測定データの改竄に加え、ブレーキ液残量の警告灯でも検査をしていなかったりクラクションの音量データを偽ったりしていたスズキは8月時点の燃費・排ガス検査の不正報告で「データの改竄はない」と説明していたが、さらなる調査で、改竄の事実が判明したのだという。

 いずれも、当初の社内調査では自らの検査不正を発見できていなかった。「本当に不正は根絶されるのか」という消費者の疑念は深まるばかりである。検査不正を排除するには、全社的な意識、構造の改革が必要である。その危機感があまりに希薄ではないか。

 とくに日産は、2000年代以降に排ガス測定値の改竄が常態化したという。仏ルノー出身のカルロス・ゴーン氏が主導してリストラを進め、新興国で相次ぎ工場を建設した時期と重なる。厳しいコスト削減が不正を招く要因になったのは確かだろう。

 スズキでも、少ない検査要員が膨大な完成検査に従事していた実態が判明している。SUBARUも検査設備などに対する投資が不十分だった。各社とも厳しい国際競争の中で完成検査をおろそかにしてきた構図が読み取れる。

 独アウディの輸入車でも検査不正がみつかるなど、問題は拡大するばかりだ。国土交通省は、検査の実効性を高め、業界全体に構造改革を強く促してほしい。
https://www.sankei.com/column/news/180929/clm1809290001-n2.html
(続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Ghosn,Gone with the Money(12)

2018-12-26 00:00:00 | Weblog

2度めは、これまた日産(とスバル)の排ガスデータの改ざん問題である。2018.12.14の当ブログのNO.4で既に紹介してある。2018.7.9発表第二回目の日産の国内5工場での排ガス測定値改ざん問題である。日産と同時に、スバルでも書き替え不正が報告された。


スバル書き換え900台 検査データ不正で報告書
2018/4/27 17:43
日本経済新聞 電子版

 新車の検査で燃費や排ガスデータの書き換えが判明したSUBARU(スバル)は27日、社内調査の報告書を提出した。不正は少なくとも2012年12月から始まり、確認できただけで約900台で書き換えがあった。法令に定められた保安基準を逸脱した事例はなかった。同日、記者会見した吉永泰之社長は「企業風土に由来する問題と認識している」と述べた。

 不正は群馬製作所の本工場(群馬県太田市)、矢島工場(同)で見つかった。新車の完成検査工程にある、一部の車を抜き出して燃費・排ガスを調べる現場で書き換えがあった。

 不正が確実に行われていた期間は、2012年12月~2017年11月。測定の対象となった車は6939台、装置などにデータが保存されていたのは6530台だった。書き換えが行われたのは903台で、正しい測定値を基に計算し直しても、法令に定められた保安基準や社内の品質管理の基準は満たした

 データが残っていない12年11月以前も、書き換えが行われた可能性は高い。従業員から02年ごろに行われていたとの供述があり、報告書ではそれ以前も「可能性を否定できない」とした。

 現場の検査員と、数人をとりまとめた班の班長が書き換えを行っていた。複数の班を統括する係長の指示や、報告を受けた例は無かったが、かつて実務をしていた人もおり、書き換えを認識していた可能性がある。

 品質管理の基準への誤った理解から基準内の数値でも修正をかけていた。自らの技量不足を隠すためなど稚拙な理由もあった。スバルでは燃費・排ガス測定業務で新たに現場向けの業務マニュアルを策定したり、監査体制の再構築したりして再発防止に努める。

 報告書では問題の根源を規範意識の欠如やコミュニケーション不足など「完成検査員問題と同様の問題に由来する」と指摘。「病巣は深い」と言い切った。

 3月には吉永社長が6月に会長へ退く人事を発表。経営は新執行部に委ね、吉永社長は企業風土の改革に集中するとしている。

 スバルのある幹部は「対消費者のビジネスは1つの過ちが致命傷になる。この緊張感が欠けていた」と自戒を込める。国内販売は3月まで5カ月続けて前年を割り込んだ。スバルが本当に変われるのか、消費者は冷徹に見極めようとしている。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29937480X20C18A4XA0000/?n_cid=SPTMG002


3度めが、このマツダ、スズキ、ヤマハの3社で不適切対応であった。これが日産の二回目の排ガス測定値改ざん問題に伴って、国が調査をして芋づる式に明らかになったものである。

本論は、日産の二回目排ガス検査不正問題排ガス検査不正問題2018.7.9発表日産の国内5工場での排ガス測定値改ざん問題)であることをお忘れなく。この日産以外のクルマメーカーの1度目から3度めまでの完成検査問題は、この(日産の不正)関連で明らかになったものである。

さて次は日産の3回目の検査不正問題に移ろう。


第三回目
日産は2018.9.26に、2018.7.9発表日産の2回目排ガス検査不正問題に対する社内調査の最終報告書を国交省に提出した。

この報告書の公表と同時に、これ以外の新たな複数の不正が見つかったとして、それらを公表した。今回の完成検査不正は、以前の不正よりもやや重大なものであるように、小生には思われる。



日産が完成検査で新たな不正、検査未実施や測定値を書き換え
2018年9月26日 / 17:24 / 3ヶ月前

 9月26日、日産自動車は、新車出荷前の安全性などを最終確認する「完成検査」での不正に関する詳細な調査結果を国土交通省に報告し、公表した。写真は同社のロゴ。メキシコのシウダー・フアレスで昨年5月撮影(2018年 ロイター/Jose Luis Gonzalez)

[東京 26日 ロイター] - 日産自動車(7201.T)は26日、新車出荷前の安全性などを最終確認する「完成検査」での不正に関する詳細な調査結果を国土交通省に報告し、公表した。燃費・排出ガスの測定試験で国が定めた基準を守っていなかったこれまでの不正に加え、他の検査工程でも検査の未実施や測定値の書き換えなど複数の不正が判明した

具体的には、本来なされるべきブレーキ液の残量警告灯の機能確認試験が実施されていなかったほか、一部の車両で車外の騒音や最大安定傾斜角度が確認されていなかった。前照灯の照射方向や車の全幅、警音器の音量、ハンドルの最大回転数など8つの項目で測定値や試験条件が書き換えられていたという。

事実関係や原因などの調査の実施に関しては、社内だけでなく、第三者である西村あさひ法律事務所に委託した。日産は問題の背景や原因について、完成検査員の「規範意識の鈍麻(どんま)」や「人員不足」、「完成検査軽視の風潮」、「現場管理の不在」など10項目を挙げ、昨年来取り組んできた再発防止策を見直すとした。

燃費・排出ガス測定で数値の書き換えがあった台数は、今回の不正発覚を受けて7月9日発表時から34台増え、1205台となった。ただ、車両の品質はいずれも保安基準や検査規格に適合しているという。
白木真紀
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」

https://jp.reuters.com/article/nissan-data-idJPKCN1M60Z4
(続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Ghosn,Gone with the Money(11)

2018-12-25 00:00:00 | Weblog

まあ日産の国内向け車両の品質はISO的には保証されていない、と言う事なのか。

ちなみにトヨタは、ISO9001の認証などは取得していない。どうも国際認証など取得しなくても、品質の保証にはそれなりの自負をもっているからだという。

と言ってもトヨタとしても、2010年2月に米国の下院と上院の各種委員会の公聴会に召喚されて、リコール隠しがあったのではないかと、つるし上げを食っているので、それほど大きなことは言えない口だ。この場合、真の狙いは、トヨタの電子制御スロットルシステムの中身を手に入れるためだとも、言われているが、事の起こりは、2009年8月にサンディエゴでレクサスES350が暴走事故を起こして、一家4人が死亡した事故であった。

後でわかったことではあるが、販売店から代車として提供されたレクサスES350に、他車種のフロアーマットが敷かれており、それがアクセルぺダルに引っかかり戻らなくなり、暴走したと言う事だった。

しかしこの結果電子制御スロットルシステムの不具合が疑われ、トヨタは袋叩きにあった訳だが、NASAやNAS米国科学アカデミーまで動員して調査したが、どこにも欠陥は見つからなかった。しかしトヨタはリコールを遅らせたというようなことで、莫大な制裁金を支払わされたうえに、システムの中身を知られてしまったことになる。

まあ少し気になることは、この運転手は何故ギアをニュートラルにしなかったのか、大いに疑問があると言う事。走行中にEGを切るには、3秒ほどIG.スイッチを押し続けなければならないらしいが、EGを切れなくても、トルコンのハンドルをニュッートラルには出来た筈だ。

この件については、小生のブログ「番外編・プリウス急加速問題(1)~」(2010.03.16~)を参照願う。尚この時には別のもう一つ他のブログも一緒に投稿しているので、画面をスクロールさせて、そのあとにこのプリウスのブログは出てくるので、そのつもりで見てほしい。

さて、次は、第二回目排ガス検査に関する不正の話にに移ろう。


第二回目
2018.12.14の当ブログのNO.4で紹介した2018.7.9発表日産の国内5工場での排ガス測定値改ざん問題である。この時には、実はスバルにも測定値の改ざんが起こっている。

この時はこの改ざんを受けて、国交省が自動車各社に調査を求めていた。その結果1か月後に、マツダ、スズキ、ヤマハの3社で不適切対応が見つかっている。



乗用車8社の半数に波及 排ガス燃費検査問題
2018/8/9 14:23
日本経済新聞 電子版

 マツダ、スズキ、ヤマハ発動機の3社が新車の出荷前の品質管理検査でルールを逸脱する不適切な対応をしていたことが9日明らかになった。昨秋に発覚した日産自動車の無資格者による検査不正以降、完成検査を巡る問題が芋づる式に表面化している。一連の完成検査問題は乗用車8社のうち半数の4社に及び、日本のものづくりの信頼が傷つきかねない。

(VTR)

「検査が工場任せになっていたことは反省すべき点」「規律が緩んでいた」。スズキの鈴木俊宏社長は9日、東京都内で記者会見し、排ガス検査などの不適切行為の理由を説明した。「顧客や取引先に多大な迷惑を掛け、心からおわびする」と陳謝し、再発防止に取り組む考えを強調した。

 スズキは2012年6月以降に生産した四輪車の6401台で無効な測定値を有効にしていた。抜き取りデータが残る1万2819台の約半数にあたる。ローラーの付いた装置上で走行させて排ガスを測る際、速度や測定時間が決められた範囲を逸脱していた。データの書き換えは無かったとしている。

 これに先立ち国交省は同日、スズキのほかマツダ、ヤマハ発で不適切な検査があったと発表した。マツダでは14年11月以降の四輪車の72台、ヤマハ発は16年1月以降の二輪車の7台で不適切な対応が判明した。

 一連の完成検査問題は大きく3度に分けて明らかになっている。17年秋以降、日産とSUBAUR(スバル)で無資格者が検査をしていた問題が発覚した。この延長線上で両社が今春以降に明らかにしたのが燃費・排ガスの成分量を書き換える不正だ。国の保安基準より厳しく定める社内基準を満たしていなかったため、書き換えが常態化していたもようだ。

 書き換え不正を受けて国が7月に求めた調査で、マツダ、スズキ、ヤマハ発の3社でも測定の条件が守られていないケースがあることが新たに分かった。トヨタ自動車、ホンダ、三菱自動車、ダイハツ工業では完成検査不正は見つからなかった。日本の乗用車8社のうち4社に問題が及ぶ事態となった。

 スバルでは吉永泰之社長(当時)が6月の株主総会後に代表権と最高経営責任者(CEO)の職を返上している。3社は書き換えが無かったことを勘案して経営責任を検討するとみられる。

 完成検査とは別に、16年には三菱自とスズキで開発時の燃費データ測定で国の規定に沿わない試験を行っていたことが発覚している。完成検査問題はこれに比べると「世の中を欺くような話ではない」(ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹アナリスト)。

 ただ16年以降、品質にかかわりかねない問題が頻発しているようにユーザーの目には映る。傷ついたブランド力を取り戻すためには、法令やルールを守る意識を徹底させ、再発が起こりえない仕組みを構築することが欠かせない。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33990680Z00C18A8000000/?n_cid=NMAIL006



ここに「完成検査問題は大きく3度に分けて明らかになっている。」と記されている。

1度めは、日産(とスバル)の無資格者による完成検査問題である。スバルも無資格者が新車点検を実施していたのである。次のニュースを参照のこと。




全車種25万台リコールへ 社長が陳謝
会員限定有料記事 毎日新聞2017年10月27日 17時24分(最終更新 10月27日 23時33分)

無資格者が新車検査をしていた問題で記者会見するSUBARU(スバル)の吉永泰之社長=東京都渋谷区で2017年10月27日午後5時13分、渡部直樹撮影

吉永社長が記者会見で「群馬県太田市の2工場で」発表

 大手自動車メーカーのSUBARU(スバル)は27日、新車の出荷前に安全性を最終チェックする完成検査を無資格の従業員にさせていたと発表した。無資格者が検査に関わった12車種、約25万5000台のリコール(回収・無償修理)を近く実施する。無資格検査の発覚は日産自動車に続き2社目。日本の自動車メーカーの品質管理体制が問われる事態になっている。

 スバルによると、不正は30年以上、続いていたという。東京都内の本社で27日に記者会見した吉永泰之社…
https://mainichi.jp/articles/20171028/k00/00m/020/009000c
(続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Ghosn,Gone with the Money(10)

2018-12-24 00:00:00 | Weblog

吃驚したなあ、もう!ゴーンが保釈されるかと思ったら、特別背任の疑いで再逮捕されてしまった。2018.12.21の10:40頃のことであった。東京拘置所前には、ゴーンの保釈を今か今かと記者達が群がっていたが、完全な肩透かしとなった。これも含めて、ゴーンのことは今後とも追及してゆきたいと思っているが、検察は何としてもゴーンを出さないつもりの様だ。それだけほこりをかぶってきていると言う事ではないのか。

では、本論に戻ろう。



■全国の販売店はどう対応するのか(編集部)

 日産は38車種、約116万台のリコールを国土交通省に届け出たが今後の展開としては、10月末までに対象車種を割り出し、該当者のユーザーにお詫びと点検を要請するDM(ダイレクトメール)を発送した。ユーザーはそのDMを携え、該当車を指定された販売店に持ち込むことになる。これを各サービス工場に在籍する資格のある検査員が点検し問題がなければユーザーに引き渡し、走行が可能となる。ところが実際は問題が山積している。

 点検に要する作業時間は1台について2~4時間程度かかるといわれる。車検とほぼ同じチェック項目をクリアしなければならないからだ。したがってユーザーが愛車を持ち込んでから点検作業が終了するまでショールームで待たせるわけにはいかない。ユーザーはいったん自宅に帰るとすれば、その足や費用は誰が負担するかである。終了した愛車は営業マンが届けることになる。

 サービスマンの半数(1店舗4~5人程度)は自動車検査員の資格を持っているので、この人たちが点検作業にあたる。ところがこちらのスタッフも日常は定期点検、車検、修理の業務を行っているので、そちらの作業を遅らせることはできない。

「販売店は作業にかかった費用をメーカーに請求するので、経営には多少のプラスになると思いますが、営業マン、サービススタッフは残業といってもそれほど手当が上がるわけではないのでくたびれもうけですね」(首都圏日産営業マン)とコメント。

 また「お客さんにお詫びをする。そのうえ、引き取り納車で時間を取られるのでその間、本来の新車販売業務ができないのがつらいです」と頭を抱える。

■10月中旬段階では現場の混乱はあまりなかった

 日産販売店の現場はどのように受け止め、どうなっているのか。10月中旬、首都圏の東京、千葉、埼玉地区の日産系列店を回り取材した。

 東京地区のプリンス店では「ニュースが流れてから、問い合わせが多くなっていますが、まだ応対で困っている状況ではありません。答えるのに時間を取られますが、新車販売に影響が出るのは、実際にリコール車が入庫する今月末からだと思います。ただ、ノートe-POWERやセレナの販売への影響はまだありませんが、リーフは多少出始めているような気がします。航続距離が延び、スタイリッシュで性能もよくなっているので人気が高いのですが、リコール対応で納期が遅れ気味ですので、スタートダッシュの勢いを多少そがれた感じもします」と不安顔だ。

 千葉地区の日産店では「お客さんのもとにDMが届くのは今月(10月)末からなので、それまでは嵐の前の静けさという感じですね。問い合わせや商談時にリコール問題で時間を取られることはあっても、キャンセルはまだ発生していません。整備士達は怒りを秘めています。まだ作業がスタートしていないので、なんともいえませんが、静かに構えている状況だと思います」。

 埼玉地区の日産店では「既納ユーザーは愛車がどうなっているのか問い合わせるケースが確かに増えています。まだ明確になっていないのでお客さまからの苦情はあまりきていません。ただ、対象台数があまりにも多いので引き取り納車で不満が出るのは覚悟しています」と来るべき嵐に気持ちを引き締めているといった状況だった。

 国交省は日産に対して過去の運用状況や再発防止策の報告を求めているが、単なるリコール対応ではなく、組織的な偽装が行われていた場合、大がかりな処分が行われる可能性もありうる。その結果次第では、今後のニューモデル投入スケジュールに支障を来す可能性もある。

 注目すべきは2018年最大のヒット車になるのでは……と目されている、セレナe-POWERの発売だ。東京モーターショーに出品された段階では、「2018年春に発売」とアナウンスされていた。はたしてスケジュールどおり発表できるのか。すでに多くのユーザーが購入に前向きな問い合わせをしているという。

ヒットが予想されるセレナe-POWER。スケジュールに影響が出なければよいが……

 今回の発覚を受けて、国交省は各自動車メーカーに完成検査の入念な調査と報告を命じた。その結果、スバルの群馬工場で同様の「無資格者による完成検査と捺印」が発覚。同社もトップが会見、謝罪、リコールとなった。

 本件を取材して実感するのは、むろんメーカー側のコンプライアンス(法令遵守)に対する考えの甘さと、完成検査制度の曖昧さだった。

 本件がもたらしたのは、「これまでコツコツと積み上げてきた、国産自動車メーカーに対するなんとなく感じていた信頼感」が揺らいだという結果だった。これを挽回するためには、また再びコツコツと信頼を積み上げていくしかない。そしてそれは自動車メーカーだけでなく、検査側である国交省も一体となって進めていくべきだ。
https://bestcarweb.jp/news/business/2026



この論考は一寸長文すぎた感があるが、2017.9.18になぜ日産の組立工場へ抜き打ちに立ち入り検査があったのかと言うと、噂ではあるが、待遇に不満のある期間従業員の内部告発があった様だ、と書かれている。そうでもなければ、こんな立ち入りはそうそうなかろう。

しかも10月に入っても、無資格検査が各工場で続いていた、と言うではないか。何をかいわんやである。


運が悪かったと言えば悪かった訳ではあるが、いろいろとニュースに接してみると、尤もそんなめぐりあわせではなかったかと思われる(日産内部の管理体制の悪さの結果立ち入り検査へ)。いわば自業自得だったのではないのかな。

ISO9001の品質管理の国際規格の認証も、取り消されてしまう。まあ、当然である。と言っても国内向け車両に対してであるが、ISOの現場審査の時には、補助検査員達は別の職場に回されていたと言う。社内でもこの補助検査員制度には問題がある、と認識していた証拠ではないか。是正するどころか解決を先送りしている。一部どころか全面取り消しでもよかったのではないのかな。




日産のISO認証を取り消し 国内向け車両生産
2017/11/15 10:20
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

 日産自動車で発覚した無資格検査問題を受け、品質管理の国際標準規格「ISO9001」の認証機関が日産の国内6工場における国内向け車両の生産に関する認証を取り消したことが分かった。日産の広報部門は「販売や部品の取引に支障はないと認識している」とした上で、「今後は認証の再取得に取り組み、信頼回復に努めたい」と話している。

 対象となったのは日産の追浜工場(神奈川県横須賀市)や栃木工場(栃木県上三川町)など計6工場。9月下旬にこれらの工場で資格を持たない従業員による完成検査が発覚したのを受け、ISOの審査を手掛ける日本ガス機器検査協会(東京・港)が立ち入り調査を実施。10月31日付で従来の認証範囲を縮小して国内向け車両の生産を除外することを決めた。各工場の海外向け車両の生産に関しては認証を取り消していない。

 ISO9001は企業などに一定水準の品質管理体制が備わっているかを評価する国際標準規格。スイスに本部を置く非政府組織、国際標準化機構(ISO)が定め、民間の機関が審査と認証を担っている。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23494990V11C17A1EAF000/?n_cid=NMAIL006
(続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Ghosn,Gone with the Money(9)

2018-12-21 00:00:00 | Weblog

■原因は法令遵守意識が希薄だった? それとも人手不足?

 会見の席上、西川社長は今回の無資格検査の問題について、
「国交省が検査に入るまで、まったく認識していなかった」

 と釈明した。しかし、その後の調査では1枚の検査記録データに検査員の名前は同じだが、形状が異なる2つの押印がある書類も見つかった。

 無資格の検査員は正規検査員から本人用とは別の印鑑を渡され書類に押印していたという。ブレーキの利き具合など安全性にかかわる最終的なチェックを行う完成車両の検査を有資格者になりすまして検査書類を作成していたというわけだ。

 学生時代には授業をサボった友達の代わりに点呼の際に「代弁」を頼まれたことがあったが、不正は不正でも日産の工場での「替え玉」検査の偽装とは比べようもない。

 そもそも、道路運送車両法では、出荷前の新車は本来1台ごとに運輸局の車検場に持ち込んで、ブレーキやライト、排ガスなどが国の基準を満たしているか検査を受ける必要がある。

 ただ、新車を大量生産するメーカーは、自社の「完成検査」で保安基準を満たすと国交省に認められた「型式」どおりに製造したかをチェックすれば、車検を受けたとみなされ、その証明により路上を走る車両として認められる

 国による出荷前検査をメーカー責任で代行する仕組みであり、国が定めた「完成検査員」は、各社が知識や技能を考慮し、自社で指名した従業員が検査するように求めている。

 日産が全工場で認定した正規の「完成検査員」は約300人、補助検査員は約20人。西川社長は「経営拡大路線で人手が足りなくなるなかで起きたわけではない」と、人員コストの削減が不正の背景にあるとの見方を否定したが、生産の現場からは「手数が足りなくて作業が遅れることもしばしばある」(日産工場従業員)との悲鳴も聞こえる。

 いっぽうで、「匠の技を持つ熟練工と違い、3カ月も実習すれば資格が取れるのに、なぜ、検査員の育成指導を強化しなかったのか」(ライバルメーカーの生産管理担当)との声もある。

■日産が失ったのは約250億円のリコール費用と信頼

 西川社長は記者会見で「モノづくりの世界ではあってはならないことだ」と猛省したうえで、「検査そのものは確実に行われていた。安心して使ってもらえないことはない」と強調した。

 百歩譲っても「ルール違反」を見逃すわけにはいかないが、西川社長が「安全性には問題がない」と主張しているのは、補助検査員でも一定の技能知識に習熟しており、完成検査に必要な項目は、作業工程の各段階でも不具合はないか常に厳しくチェックを積み重ねているという理由からだ。

 それでも、10月6日には、2014年1月6日から2017年9月19日に製造されたスズキや三菱自動車などの生産(OEM)分も含め38車種、約116万台のリコールに踏み切った。

 約250億円の費用を見積もっているが、いち早く再点検することで購入者の不安や疑念を解消し、無資格検査問題の決着を図りたい狙いがある。

 しかし、中期経営計画の公表を延期し、今年の「日本カー・オブ・ザ・イヤー」の出場辞退(自粛)など、日常業務でも波紋が広がっている。

 しかも状況はさらに悪化する。

 西川社長は、先の10月2日の会見では「9月20日以降は認定の検査員が100%行うようになった」と発言していたが、10月18日に報道された新たな情報として、10月11日まで、日産車体湘南工場で検査を無資格者が継続していたことが、第三者を交えた社内調査で発覚している。国や消費者に対しても虚偽の発言をしたことにもなる。

 徹底した原因究明と再発防止策が急務だが、長年にわたり、日産の完成検査の現場で組織的な偽装工作が横行していた可能性は否定できず、傷ついた信頼の回復は容易ではないだろう。


会見に臨んだ日産の西川社長。日本自動車工業会の会長を務めているが、東京モーターショー期間中は、筆頭副会長であるトヨタの豊田章男社長が「会長代行」として公式行事を務めることになった

■なぜこの時期に立ち入り検査したのか?

 それにしても、国交省はなぜ、この時期に抜き打ちで立ち入り検査を行ったのだろうか。巷では「現場を軽視する経営陣への嫌がらせで、待遇に不満の期間従業員の告発」(業界関係者)との噂話もあるが、真相はやぶの中。そこで注目したいのは衆院解散・総選挙が急浮上した直後に、立ち入り検査を行ったことである。

 石井啓一国交相は「使用者に不安を与えて極めて遺憾。安全性の確保と再発防止の徹底について厳正に対処していく」とコメントした。森友・加計学園問題などで批判を浴びた安倍内閣が、常態化した不正行為を正す改革姿勢をアピールして支持率の低下を食い止めたいとする意図も読み取れる。

 前述のように、石井国交相も「制度の根幹を揺るがす行為」と批判したが、制度そのものが時代に即さないとの指摘もある。資格者の選定も曖昧な基準を再検討するなど検査制度の抜本的な見直しに真剣に取り組むべきだろう。

 日産の偽装工作の疑いが発覚してから、ほぼ1カ月半になるが、信頼を裏切るような「反則行為」だけに、監督官庁の国交省やユーザーもあっさり見逃すことができないのは当然だろう。

 危機意識の甘さや現場との風通しの悪さなども浮き彫りとなり、今後、原因究明がどこまで進められるのか、日産の無資格検査問題は、経営責任が問われる新たな局面を迎えている。

(続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Ghosn,Gone with the Money(8)

2018-12-20 00:00:00 | Weblog

この無資格者による完成検査問題を時系列にまとめてみると、このようになる。


2017.09.06 新型リーフ、幕張メッセ・大ホールで、発表イベント。
2017.09.18 日産車体湘南工場に国交省職員が立ち入る。無資格検査判明。
2019.09.19 追浜工場で新型リーフのオフライン式兼世界生産累計1億5千万台達成祝賀式典
2017.09.19 日産他工場でも同様な無資格検査判明。
2017.09.20 暫定対策を実施、但し効果なく依然と無資格者による検査が行われる。
2017.09.27 日産、各工場長を集め国交省の立ち入りには正直の応えよと指示。不適切対応在り
2017.09.29 日産5工場での完成検査工程で、無資格者の点検検査があったこととその後の経過(対策)を、日産部長クラスが、記者発表する。役員クラスではない。
2017.10.02 新型リーフ発売開始
2017.10.02 西川廣人社長が記者会見、9/20以降は100%認定検査員と発表
2017.10.04 国交省、日産6工場に立ち入り調査実施。3年以上前から無資格検査を確認。
2017.10.06 約116万台('14.1.6~'17.9.19製造分)のリコールを発表。
2017.10.18 日産車体湘南工場にて、10/11まで無資格者が検査を継続と報道。他の4工場でも無資格検査が続いていた。
2017.10.19 西川社長が記者会見で、該当車種のリコール実施を表明する。
2017.10.30 対象車種ユーザーにDM発送。以後持ち込み点検となるが、販売店は多忙となる。
2017.11.✕✕ 日産、国交省へ調査報告書提出


まあこうなると、2017.4月より取締役会長となったカルロス・ゴーンの責任は、重大となる。2001年より日産の取締役社長で最高経営責任者CEOで、2008.6月からは取締役会長兼社長で最高経営責任者CEOであったからである。無資格検査の真っ最中に、ゴーンは日産の総責任者だったことになる。

世間に安心・安全な車両を供給することが、総責任者たるカルロス・ゴーンの最大の責務なのである。



国交相「厳正に対処」 日産の無資格検査継続で
2017/10/20 12:07
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

 日産自動車で無資格の従業員が完成検査をしていた問題を巡り、石井啓一国土交通相は20日、閣議後の記者会見で、問題公表後も同社の4工場で無資格検査が続いていたことについて、「再び使用者に不安を与え、制度の根幹を揺るがす行為。事実関係を把握し、厳正に対処する」と述べた。

 同社の西川広人社長は19日の記者会見で、無資格検査を継続していた工場から出荷した車約3万4千台について、再検査やリコール(回収・無償修理)を検討する方針を表明。石井国交相はリコールについて「当然そういったことになると想定している」と述べた。

 今回の不正の原因に関して、同社は社内の意思疎通が十分でなかったと強調しているが、石井国交相は「安全確保には組織内の連携が不可欠。日産にそうした体制がないのであれば、管理体制の再構築をしっかりする必要がある」と指摘した。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22492850Q7A021C1CR0000/


意思疎通が十分でなかった、などと言っているが、これこそが問題ではないのかな。まさに技術の日産には組織内の連携が不十分である、と言明しているようなものである。本当に技術の日産なのか、疑われてしまいかねない。日産の顔のゴーンが表に出てこないのも問題だ。


日産の無資格者完成検査問題とは何だったのか
2017年11月15日 / ビジネス  https://bestcarweb.jp/news/business/2026


 2017年秋、「日本のモノ作り神話」を揺るがす大きな事件があった。
 (2017年) 9月29日、国交省の立ち入り検査を受けて、日産が型式指定自動車を生産している国内6工場で、無資格者が完成検査を行っていたことが発覚したのだ。
 一時期、完成検査をすべて停止して再調査を実施したこの問題も、11月中旬の今ではあまりメディアの話題にのぼることはない。
 しかしこの大きな問題を記録する意味でも、「日産の完成検査問題とは何だったのか」を今一度改めてここで検証しておきたい。
文:福田俊之
ベストカー2017年11月26号

■問題の発覚は、「お祭り気分」の直後だった

「この1カ月間は、まるでお祭り騒ぎお通夜の物哀しい気分を同時に味わったような複雑な心境だった」

 と、日産の中堅社員は疲れ果てた表情で振り返る。

 夏が過ぎて秋の涼風を感じるようになった2017年9月6日。日産の約7年ぶりにフルモデルチェンジした新型リーフの発表イベントは、幕張メッセの大ホールを貸し切り、世界各国から報道陣をはじめ、販売店や取引先関係者など約5000人を招待するという超豪華なイベントだった。

 しかも、発表イベントから2週間足らずの9月19日には、新型リーフの生産拠点でもある横須賀市の追浜工場内で、量産開始のオフライン式と世界生産累計1億5000万台達成同時に祝う式典が盛大に行われた。こうした式典には作業服姿のカルロス・ゴーン氏が見慣れたものだったが、出席した西川社長はダークスーツ姿で約1000人の従業員を前に「予約受注が4000台を超えており、気を引き締めて万全の品質でリーフをお届けできるようにがんばっていただきたい」とメッセージを送った。

 そんなお祭り気分も束の間、自業自得とはいえ、出鼻をへし折られたようなショッキングな大事件が発覚。社内は一転して重苦しい雰囲気に包まれた。

 日産の工場では新車の出荷前に必要な完成検査を、無資格の従業員が行っていた事実が明らかになったからだ。

 その不正は2017年9月18日、国土交通省(国交省)が平塚市にある日産車体の湘南工場抜き打ちで立ち入り検査してわかった。さらに追浜工場、栃木工場など国内の車両組み立ての6つの工場すべてで同様の検査体制だったことも判明した。


■なぜ最初から西川社長が謝罪会見を開かなかったのか?

 対応に追われた日産は、9月29日夜には緊急記者会見を行い、企画・監理部と広報担当の部長クラスが出席。経過説明とともに深々と頭を下げて謝罪した。

 本来、経営を揺るがしかねない不祥事が発覚した場合は、経営トップか、それに準ずる代表権を持つボートメンバーが説明するのが通例だ。昨年、三菱自動車とスズキが燃費データ改ざんを公表する際は経営トップが対応している。

 ところが今回、日産の西川廣人社長が重い腰を上げて記者会見を開いたのは、部長クラスによる最初の会見から3日後の10月2日夕刻。会場は都心から離れた日産横浜本社だった。

 経緯を説明し、「お詫びを申し上げる」と陳謝したものの、(企業が謝罪会見を開いた際には通例となっている「深々と頭を下げる行為」はなく)淡々と事情説明に終始した会見だった。

 以前、トヨタ自動車もリコール問題が取り沙汰された際に、当時マスコミ取材に消極的だった豊田章男社長の会見を夜遅く名古屋のオフィスで行ったことがあった。

 在京のメディアのなかには最終の新幹線に乗り遅れて始発まで駅周辺で夜を明かした記者もいたという。取材となれば、いつ、どこでも駆けつけるのが記者の使命だが、「上から目線の対応では、危機管理意識が足りないと思われてもしかたない」(大手メーカーの広報担当)との指摘もある。この時点での日産の対応も(「謝罪会見ではない」と印象づけるための危機管理処置だったのかもしれないが、のちに発覚する諸々の状況を考えると)、企業体質そのものを如実に反映した認識の甘さがあったと言わざるを得ない。
(続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Ghosn,Gone with the Money(7)

2018-12-19 00:00:00 | Weblog

日産、完成検査の不備に関する調査結果と再発防止策を発表
編集部:小林 隆
2017年11月17日 17:05

11月17日に完成検査の不備に関する調査結果と再発防止策を発表。日産自動車 代表取締役社長兼最高経営責任者の西川廣人氏が会見を開いた

 日産自動車は(2017年)11月17日、車両製作工場の完成検査において不適切な取り扱いが行なわれた問題について、調査結果内容と再発防止策について発表した。

 日産は同日、調査結果内容と再発防止策について国土交通省に報告。「完成検査制度は法令に基づく制度であり、当社は本制度のもと、国に代わって完成検査業務を実施しております。今回の件は、当社がその義務を怠っていたことで国土交通省の信頼を損なうこととなった、大変重大な事態だと受け止めております。当社は、しっかりと安全確保を第一に、法令遵守の推進と今回決定した対策の確実な実施(既に実施済みの対策含む)を進め、皆様の信頼回復に全社一丸となって尽くしてまいる所存です」とコメントを発表した。

 調査結果内容では、オートワークス京都を除く車両5工場(追浜、栃木、日産自動車九州、日産車体湘南、日産車体九州)において、主に「テスター検査」と呼ばれる工程で完成検査員に任命されていない補助検査員が完成検査を行なうことが常態化しており、補助検査員は貸与された完成検査員の印鑑(完検印)を完成検査票に押印していた。工場によって差はあるものの、多くの車両工場で1990年代にはすでに常態化していたとみられ、栃木工場では1979年から実施されていた可能性があることも判明した。

 また、9月18日の国土交通省による日産車体湘南工場への立入検査で指摘された完成検査工程の不適切な取り扱いについて、9月20日までに再発防止策を講じたものの、その後も日産車体湘南、追浜工場、栃木工場、日産自動車九州、日産車体九州で完成検査員に任命されていない補助検査員や作業員らによって完成検査の一部が行なわれていた

 9月20日以降も続いた不適切な完成検査の具体的事例について、日産車体湘南では完成検査項目の1つである「ハンドル切角」検査を、追浜工場では「エアバッグ」等の検査を、栃木工場では「盗難発生警報装置」「車室外乗降支援灯(点灯)」「ドアロックストライカー」検査を、日産自動車九州では「タイヤ」「スプリング」「走行用前照灯自動制御装置」検査を、日産車体九州では一部の検査を完成検査員に任命されていない補助検査員や作業員らが実施していたことが明らかになった。

 こうした問題に対し、日産からは「完成検査ラインの構成およびオペレーションの修正」として以下の対策を講じたことなどが発表されている。

9月18日以降の一連の日産工場への国土交通省の立入検査の中で、完成検査員による印鑑の不適切な使用、具体的には任命されていない検査員に印鑑を貸し与え使用させていることが発覚。これに対応して、予備印を廃棄した。<実施済み>

印鑑は各工場の監督者(係長または工長)による一括管理・保管、使用状況の記録等で管理を強化し、運用ルールを業務処理基準書に定めた。<実施済み>

完成検査の実施場所を区画化、セキュリティーゲートを設け、完成検査員以外の人間の立ち入りを制限した。これは全工場で実施済みである。セキュリティレベルをさらに上げていくために、顔認証による入出場管理の導入を計画する。<2017年度末までに実施>

任命された完成検査員であることを可視化するため、完成検査員の作業帽を赤色に変更し、帽子に資格を明示した。また、作業中の完成検査員の写真、資格、検査内容を掲示板で確認できるようにした。<実施済み>

完成検査ライン(所謂テスターライン)の中に、編成上、完成検査ではない工程を混入せざるを得ないが、テスターライン上の全ての工程を完成検査員が担うことで完成検査員以外の者がいない状態とした。<実施済み>

完成検査員の技能訓練は従来、各工場のテスターラインで実施してきたが、今回テスターラインは、完成検査員以外入れないという方策を徹底するため、全ての教育・訓練を追浜工場に備えた訓練用テスターラインで実施することとし、訓練を開始した。<実施済み>

追浜工場はじめ各工場において完成検査票と標準作業書(実際の検査作業)の間に乖離があることが判明したが、これが検査項目の実施漏れに繋がる恐れがあり、11月7日の生産再開に合わせ、全工場において完成検査票と標準作業書の整合確認を実施した。<実施済み>
https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1092250.html


この報道を精査してみると、2017.9.20の暫定対策と言ってもよかろう対策は、効果がなかったようでこれも由々しき問題である。

こんな話(暫定対策)は、管理・監督者の口から直接現場監督者や作業者にキチンと伝えれば、済む話の類だと小生には思われるのである。それが出来ていないと言う事は、日産の現場管理がどうなっているのかと、疑問視されても仕方がない。

本対策(恒久対策)は、従って、2ヵ月も経った(2017年)11月17日に発表している。上記ニュースによれば本対策は7項目で、それぞれ実施済みと表現されているが、何時実施されたのかが判るように工場別の実施時期を記載すべきだと思われる。少なくとも、それが検索できるようにすることだ。

そうすれば、各工場の現場監督者や管理者も、更に管理・監督を強化したことであろう。



日産無資格検査、3年以上前から 書類偽装が横行、国交省が全工場立ち入り
2017/10/5付
ニュースソース
日本経済新聞 朝刊

 日産自動車で無資格の従業員が完成検査をしていた問題で、検査の書類上は有資格者が担当したように偽装し、有資格者の判子が押されていたことがわかった。国土交通省は4日までに国内すべての6完成車工場に立ち入り調査を実施。調査結果などから無資格検査が3年以上前から横行していたとみて実態の解明を急いでいる。

 国交省の道路運送車両法に基づく通達によると、出荷前にエンジンやブレーキなどの安全性をチェックする完成検査を担当するのは、社内で認定された検査員と規定している。しかし日産の工場では、社内の資格テストに合格した「完成検査員に加え、合格していない「補助検査員も完成検査に携わっていた。

 完成検査の書類には確認部位などを書き込み、担当者が確認印を押す。関係者によると、日産の工場では、無資格者が検査の一部を担当したのに、書類には担当していない有資格者の名前が記載され、判子が押されていたケースが複数見つかった。現場で無資格検査の偽装工作が横行していた疑いが強いという。

 日産によると、今年9月末時点で全国に完成検査員は約300人、補助検査員は約20人いる。完成検査員になるには実習経験と資格テスト合格が条件で約3カ月かかる。さらに完成検査員になっても所属工場が替わるたびに資格を取り直さなければならない。

 この問題は国交省が9月18日に神奈川県平塚市の工場を立ち入り調査した際に発覚した。日産の西川広人社長は今月(10月)2日の記者会見で謝罪し、原因と再発防止策をまとめ国交省に報告すると表明。在庫約3万4千台を再点検し、販売済みの約121万台のリコールを近く同省に届け出る。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO21888100U7A001C1EA2000/



この時期日産は、新型リーフの新発売などで、ある意味、有頂天になっていたのかもしれない。
やっちゃえ、日産」の掛け声通りに、到頭日産は本当に「やっちゃった」のである。

(続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Ghosn,Gone with the Money(6)

2018-12-18 00:00:00 | Weblog

この時しっかりとした再発防止策がなされていれば、と言っても性根から悪のゴーンに対しては、反省・改心などという言葉は辞書にはなかったに違いないから、馬の耳に念仏となろう。


この時もルノーは、「「あらゆる排ガス規制を順守して自動車を製造、販売している」との声明を出し、疑惑を否定した。」と報道されているので、今の拘置所にいるゴーンが自分の不正行為を、「不正などしていない、適法に処理している」と抗弁しているのと同じ状況のようである。今回もその手で逃げるつもりなのか。

こんな訳であるから日産の排ガス不正も、ルノー譲りなのではあるまいか。但し一回目の不正はゴーンの着任前から行われていたようだ。

さて日産の4回に渡る排ガス検査に関する不正について、言及してみよう。


第一回目
事の初めは、2017.9月の新車の無資格検査員による点検検査問題であった。検査資格の無い者が、新車の法定点検を行っていたのである。

この完成車の法定点検は、国土交通省が「知識・技能を有する有資格者であること」と定めている。但し有資格と言う意味は、自社で教育して認定すればよいことになっているので、マネジメントが行き届いていれば、その充足には問題はなかろう。

この法定検査を日産は、補助検査員と言う認定されていない者が、行っていたと言う事のようだ。検査自体はローラーテスターなどの一定の検査機器が行うものなので、検査員の職人的な技能・技術はそれほど必要はないものと思われますが、クルマの走行上の安全を担保するものであるので、決められたことを決められた通りに行う事は非常に大切なことで、技術的には問題はないと日産は言っているようだが、このような大事な完成検査が決められたとおりに行われていないと言う事は、日産の管理能力・マネジメント能力が問われることとなり、その意味で由々しき問題となろう。

その証拠に、4回も同じような検査での不正が起こっていると言う事。これが将にその証拠であろう。


その究極行き着く先が、日産トップのカルロス・ゴーンによる有価証券報告書への、自分の報酬額の虚偽記載や経費などの不正利用なのであろう。




日産、出荷前の完成検査を未認定者に任せる…影響は6万台+過去3年間の全車種に
2017年9月30日(土) 01時15分


日産自動車九州


左・日産トータルカスタマーサティスファクション本部・杠(ゆずりは)直樹エキスパトリーダーと右・広報担当の濱口貞行部長

日産自動車 特別編集

世耕経済産業大臣と仏ル・メール経済代務大臣が会談、日産・ルノーのアライアンス維持サポートを確認
日産の取締役会、カルロス・ゴーン会長を解任…全会一致で決議
ゴーン容疑者、逮捕前に日産・ルノー統合を水面下で画策[新聞ウォッチ]

編集部にメッセージを送る

(2017.09.)29日、週末金曜日の19時、開催予告から開始までわずか1時間足らずというあわただしい中で、日産自動車の会見は始まった。

「販売会社の在庫車の登録手続きを停止する決断をしました。これは国土交通省の立入調査があり、車両製造の最終である完成検査工程一部不備があったことによるもの」(広報担当・濱口貞行部長)

公道を走るためには車検を受けなければならない。完成検査は、その“ゼロ回目の車検”に当たる。組み上がった完成車に対して、検査員が規定の検査をして完成検査終了証を発行することで、初めて販売会社に卸すことができる。ユーザーが新車を手にするのは、その後に運輸支局や検査登録事務所で新規登録をしてナンバーを付けた後だ。

日産はこの“ゼロ回目の車検”でミスをした。完成検査を補助検査員に任せていたのだ。この検査は社内で経験と研修を通った検査員が行わなければならず、日産では完成検査員と呼び、認定されたことを示すバッジを身に付けている。完成検査員はそれぞれの自動車会社が自社で認定すればよいが、公道を走るための基準に適合しているかどうかを検査するわけだから「検査に必要な知識及び技能を有する者のうち、あらかじめ指名された者」と、国交省が通達で定めていた

9月18日、生産拠点の1つである日産車体湘南工場に立ち入った国交省職員の指摘で、日産は「初めて知り」確認を行ったところ、追浜工場、栃木工場、日産自動車九州同社3事業所と、日産車体、日産車体九州関連会社で、認定を受けていない補助検査員が検査を行っていたことが分かった。

「検査自体は行っている。補助検査員も検査員として働いているし、安全性は問題ない。ただ、登録前の車両は(制度上)その確認ができていないということになるので、それを確かめて再出荷する」(トータルカスタマーサティスファクション本部・杠直樹エキスパートリーダー)とするが、国交省が指摘した18日までに前記5つの生産拠点にある出荷前のすべての未登録車両は約6万台。そのすべてを正規の完成検査員で再検査することになった。登録を止めたというより、「完成検査の確実な実施を確保するように業務体制を改善すること」という国交省の指摘を前に、登録できなくなったというに等しい。

補助検査員が検査を行っていた可能性のある車両は、軽自動車を除く、日産が国内販売するすべての車両に及ぶ。

影響は今後、すでにナンバーを取得して走っている日産車でも及ぶ可能性がある。まだ1回目の車検時期が到来してない新車、つまり2014年9月以降に新規登録を行った車両についても再検査を行う必要性が出てくるかもしれないのだ。同社では補助検査員が完成検査員の肩代わりをしていた実態をつかみ切れていないからだ。現在、同社が過去にさかのぼって完成検査票に残された検査員を確認中で、今回の会見では明らかにされなかった。

「リコールのルールに基づいて、可能性のある車両はすべて行う」(杠氏)と話すが、全容も見えず、その具体策は未定だ。


再検査を行う生産拠点と、リコールの可能性がある…
(https://response.jp/article/2017/09/30/300453.html)
《中島みなみ》

https://response.jp/article/2017/09/30/300452.html



2017.9.18国交省の立ち入りがあり無資格検査が指摘され2017.9.29夕刻に日産は記者会見で無資格検査を公表した。そして立ち入りからから2ヵ月後の2017.11.17に、日産は不適切検査の内容とその再発防止対策を発表している。

ただ気になるのは、補助検査員による法定検査が1990年代には既に行われていた、と言う事である。1990年代が何年に該当するかはわからないが、ゴーンは1996年6月に日産に来ているので、この件はゴーンとは直接関係があると言う事ではなかろう。ただ経営者としては日産の最高責任者という地位にいるので、それ相応の責任がゴーンにはあると言うことになる。

なお栃木工場では1979年から無資格検査が行われていたと、その報告書には書かれているので、ゴーンの経営責任もさることながら、日産プロパーの問題でもある。

(続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする