世の中、まちがってる、根拠なき反日キャンペーン。

相も変わらず根拠なき反日キャンペーンで、国をまとめようとする輩が存在する。

続・戦後70年談話はヒストリーで!(34)

2015-10-20 00:00:00 | Weblog

(私のコメント)
アメリカの見えない国家戦略は、アメリカの外交をよく分析しないと見えてこない。アメリカの大統領の言っている事とやっている事が矛盾しており、同盟国の日本を叩き潜在敵国の中国と戦略的パートなシップを謳う外交は、日本人には理解に苦しむ事だ。北朝鮮のミサイル発射を巡る安保理決議も日本はアメリカに裏切られて議長声明で終わってしまった。

ソ連崩壊以降のアメリカの外交の基本は、ナンバー2である日本を徹底的に抑え込む事であり、戦略的パートナーである中国と組んで日本を弱体化させることだ。日本を弱体化させることで超大国となる中国から守ってやると言う姿勢で在日米軍を半永久的に置いて日本から金を出させるのがアメリカの国益になる。

今週もパキスタン支援国会合が東京で開かれますが、アフガニスタン支援国会合もイラク支援国会合も日本は参加して大金を支援していますが、日本は金をばら撒くばかりでそれを外交に生かしているとは言えない。アメリカは金が必要な時だけ日本にすり寄ってきて金を出させる。EUは全体でも6億ドル程度なのに日本は10億ドルも出す。

経済援助は外交政策として必要ですが、自主的なものでなければならない。イラクにしてもアフガニスタンにしてもパキスタンにしてもアメリカがさんざんボコボコにしてきた国であり、ボコボコにしてから助けてあげると言った自分勝手なアメリカの行動に日本がお付き合いをしてあげる理由は無い。

日本はむしろアメリカの自分勝手な行動を諌めるべき立場なのですが、むしろ日本の首相は従属的な態度を振舞うのが通例になっている。アメリカは世界の警察官と言うよりもマフィアの親分と言うべき国であり、敵であるマフィアには友好的な態度で接して、部下に対しては血の粛清でマフィアの秩序を守ろうとする。

グルジアもアメリカにとってはかわいい子分のはずですが、ロシアとの武力衝突を避けてグルジアを裏切ってしまった。韓国も台湾も中国との対立を避けるためには切り捨ててしまうかもしれない。イラクやアフガニスタンには戦争を仕掛けておきながら、極東では戦略的な撤退が続いている。北朝鮮が核を開発したりミサイル実験をしても制裁するつもりは無いようだ。

日本の外交は吉田ドクトリンに変更はないようですが、米ソの冷戦構造では有効な戦略でも、冷戦が崩壊して米中によるG2体制を目指しているアメリカに対しては吉田ドクトリンは時代錯誤である事に政治家も国際政治学者も気が付いていない。むしろアメリカは中国と連携して日本封じ込め戦略をとっているものと見られる。それは90年代のクリントン外交を見れば明らかだ。


アメリカは冷戦崩壊以降の敵の姿が見えなくなって疑心暗鬼となり、誰が敵で誰が味方であるかを見失ってしまった。9・11テロ事件における常軌を失ったアメリカの態度は世界を震え上がらせましたが、結局はイラクとアフガニスタンを血祭りに上げて鬱憤を晴らした。だからその矛先がいつ日本に向けられるかもしれない注意が必要だ。

アメリカの唯一の弱点は経済力が衰退して来た事であり、ドルの基軸通貨体制に軋みが生じてきている事だ。アメリカはIT革命だとか金融革命だとか言う幻想を作り上げては世界から金を集めて金融帝国を作って世界支配を目指そうとした。しかしIT革命も金融革命もガセである事がばれてバブル崩壊が起きている。

もしかしたらオバマ大統領はアメリカのゴルバチョフなのでしょうか? ソ連の崩壊も経済の行き詰まりからおきましたが、アメリカも経済が行き詰ってアメリカ軍もイラクやアフガンで勝利なき戦いを続けている。このような状況にもかかわらず日本は能天気にアメリカ従属姿勢を続けているのですが、90年代の日本叩きに懲りてアメリカに対して何も言えない。

アメリカ政府は80年代から何度も日本政府に対して戦略的対話を呼びかけましたが、日本からはなんらの戦略構想も打ち出す事が出来なかった。それがアメリカの疑心暗鬼をよんで日本叩きに繋がったのだろう。しかし叩いたところで日本はアメリカへの従属しか打ち出せなかったから呆れ返ってしまった。集団的自衛権すら放棄しているのだから同盟国ですらないと言う事になる。

しかし集団的自衛権を認めればアメリカがイラクと戦争をすれば日本もイラクと戦争する事になり、アフガニスタンにも軍隊を派遣する事になる。小泉内閣の時にも自衛隊の出動が求められましたが復興支援という名目で自衛隊が出た。インド洋への補給活動も、ソマリア沖での海賊対策でも自衛隊が出動していますが、何らかの戦略に基づいた行動なのだろうか?

アメリカの日本弱体化政策と集団的自衛権は矛盾した政策に見えますが、日本をアメリカの完全なコントロール下に置くという見方からすれば矛盾しない。自衛隊はアメリカ軍の指揮下に入り植民地軍としての忠誠を求められている。中国がこのまま軍事大国化して台湾や朝鮮半島に戦争を仕掛けてきたら、アメリカ軍の指揮下で自衛隊が中国と戦う事になるのだ。

田中良紹氏のブログでも日本を自立させない事がアメリカの戦略であり、明治維新以来米英にとっては日本は番犬であり、清朝や帝政ロシアと戦争させられてきた。それと同じような状況に日本はあるのですが、集団的自衛権を認めれば再び日本はアメリカの番犬になってしまう。


このような複雑な状況では日本独自の戦略を言えと言っても無理なのであり、日本はアメリカの番犬になるまいと無言の抵抗を続けているのですが、アメリカの方も米中によるG2体制と言うフェイントを出してきた。地政学的に言えば大陸国家である中国とアメリカとは同盟国とはなり得ない。中国が大国化すればするほどアメリカとの利害の衝突が起きる。その点から言えばブレジンスキーのG2体制発言は気が狂ったとしか思えない。

日本は日米安保条約によって国内にアメリカ軍の基地で固められてしまっている。こんな状態で外交や軍事を考えろと言うのは無理な話で、どうしたら日本は真の独立を勝ち得るしか当面の目標は無い。アメリカが衰退して行って自発的に日本から出て行ってくれる事を願うしかないのであり、在日米軍が日本に駐留している限り日本が独立国であるというのは幻想に過ぎない。

http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/b46937dc4bc9bf82c3ccd8cdf8a1f046



だから何度でも言うが、先にも述べたように

『ここから日本が導き出さなければならない結論は、上述したように「第四のパラダイム・シフト」を決行して、

・自主的な核抑止力を持ち、自主防衛能力を構築することであり、さらに
同盟関係を多角化して、
軍事技術の確保も多角化することである。


と言うことを説明した。』

と言うことでないと、日本は滅びてしまう。

下の2項は何とか進んでいるように見えるが、問題は1項である。なんとしても最小限の自主核抑止力を構築する必要がある。これは日本のサバイバルに必須なことである。日本国民の一刻も早い覚醒(かくせい)を期待したい。

(終り)
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続・戦後70年談話はヒストリーで!(33)

2015-10-19 00:00:00 | Weblog

株式日記と経済展望

株式をはじめ政治経済外交文化歴史などの論評です。

アメリカの戦略は、日本は、米中両国が共同して封じ込めておく事だ。
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/s/%B0%CB%C6%A3%B4%D3/5

2009年04月18日 | 外交 by CyberBuzz

アメリカの戦略は、日本に自主防衛させてはならないが、中国の軍備
増強に反対しない。日本は、米中両国が共同して封じ込めておく事だ。


2009年4月18日 土曜日

◆仮想敵国日本 4月12日 田中良紹

アメリカが日本を「仮想敵国」と見て作戦計画を立てた事が二度ある。一度目は戦前で、日本が日露戦争を始めた明治37年に「ウォー・プラン・オレンジ(オレンジ作戦計画)」が策定された。計画では米軍がサンフランシスコからオアフ、ミッドウェイ、グアム、フィリッピン、沖縄というルートで日本本土を攻撃する。

 ところがその翌年に日本海海戦で日本はロシアのバルチック艦隊を撃破した。世界も驚いたが、最も驚いたのはアメリカのセオドア・ルーズベルト大統領である。太平洋が日本海軍に制覇される恐怖を感じた。ルーズベルトは議会の反対を押し切ってハワイの要塞化を進め、大西洋艦隊に太平洋巡航を命じた。日本攻撃の予行演習である。大統領は勿論日本に対しては味方のような顔をした。日本を対ロシアの防波堤にする必要があったからである。そのせいか日本は大西洋艦隊の演習をアメリカが日本との同盟を強調していると勘違いし、時事新報は日本に寄港した艦隊を「友好の印」と書いた。「仮想敵国」に味方と思わせることこそ外交の要諦である。後に太平洋戦争でアメリカは「オレンジ作戦」の通りに日本を攻撃した。

 二度目は戦後の経済戦争である。日本の高度経済成長は世界を驚かせた。そして自動車、家電製品などの集中豪雨的な輸出攻勢に海外の製造業は大打撃を受けた。「日本は倒産と失業を輸出している」と外国は非難したが、日本の輸出攻勢は止まらなかった。最も深刻な影響を受けたのはアメリカである。ベトナム戦争の出費もあり、双子の赤字に苦しむアメリカは反撃を開始した。

 第一撃は1971年の「ニクソン・ショック」である。アメリカのニクソン大統領が突然金とドルとの交換を停止、金に裏打ちされた固定相場制を変動相場制に変えた。1ドル360円時代は終わり、円高が始まって日本の輸出産業は打撃を受けた。しかしそれでも日本の輸出は止まらない。輸出で外国からドルが流れ込み、それを外国に貸してまた利息を得る。1985年、遂に日本が世界一の金貸し国、アメリカが世界一の借金国になった。

 アメリカは第二撃を繰り出す。「プラザ合意」である。1ドル200円台の円相場を100円台に誘導した。日本の輸出産業は再び打撃を受けたが、それでも外需依存は変わらない。それどころか日本の低金利政策はバブル景気を作り出し、国中が土地投機に走り、金融機関の弱みを握った暴力団が銀行の資金でアメリカの不動産を買い漁った。日本経済はアメリカにとってソ連以上の「脅威」となった。日本にもソ連と同様の「封じ込め戦略」が必要と認識された。

 アメリカは日本の経済構造を徹底的に分析し、政官財の癒着構造をあぶり出し、司令塔が官僚機構にあることを突き止めた。日本の弱点を知り尽くした上でアメリカは日本の牙を抜く作業に取りかかった。ところが冷戦崩壊とバブル崩壊が一緒に来て、アメリカの作業を待たずに日本経済は自滅した。

 高度成長のからくりは「官僚主導の計画経済」とそれを支える「国家総動員態勢」にある。官僚の作る「政策」が完全遂行されるように、政権交代を求めない野党と行政指導に逆らわない企業、そして国民の目をくらますメディアの協力で高度成長は成し遂げられた。その構造にひびが入り、日本は「失われた時代」を迎えた。

 日米安保体制は日本をアメリカの核の傘で守ると同時に日本を自立させない方法である。それは中国も北朝鮮も知っている。彼らは日米安保こそ日本を強力な国家にしない「ビンのふた」だと思っている。彼らはアメリカだけを向いていれば自国の安全を図る事が出来る。日米安保の存続は、アメリカ、中国、北朝鮮のいずれにも共通の利益である。

 そこでアメリカは考えた。戦前は日本の軍事的脅威、戦後は日本の経済的脅威にさらされた。冷戦後は二つの脅威を同時に封じ込める必要がある。冷戦崩壊後の世界をこれまでとは全く異なる視点で見ているアメリカが、アジアにだけは冷戦が残っているとの口実で日米安保を存続させ、それに経済を絡めた。

 アメリカにとって中国は最大の市場であり、朝鮮半島、ロシア、中央アジアをにらむ時のパートナーである。北朝鮮の存在は日本にアメリカの軍事力のありがたさを思い起こさせる。奇妙なことだが、中国と北朝鮮は日米安保があるから日本を脅威に感じず、日本は中国と北朝鮮の脅威があるから日米安保を必要とする。そして自力で自国の安全を守れない国はどのような経済的要求にも応えなければならない。

 日米安保はアメリカにとって見事なまでに「日本封じ込め」を可能にした。だから金融危機で苦境に立つアメリカが苦境を分け与える相手は日本である。日本にカネがある限り日本のカネを利用できる。これがアメリカの対日戦略である。何が起きても日本は「日米同盟強化」を言い続けなければならない。こうして「仮想敵国日本」はアメリカの前から消え失せた。
 


◆バラク・フセイン・オバマ大統領(32) (2009年)3月9日 chinkoro中国の反日政策

(1)3回のパラダイム・シフトの項では、米政府は1942年から「日本に自主防衛させない」と決めていたと、Michael Sherry, “Preparing for the Next War”YaleUniversity Pressを引用して記述しているが、伊藤貫氏は「正論・1月号」にも「オバマ米新大統領の”チェンジ”が日本にもたらすもの」とする一文を載せている。それによると、1941年8月の時点で、アメリカ政府は既に「戦後の日本を、永久に武装解除すると決めていた」と、キッシンジャー元国務長官は記述している、と述べている。アメリカは「日本を戦争に追い込む」ことを計画し、そして叩き潰して「2度と自主防衛できない国にする」ことを、日米戦争が始る前に既に決めていたのである。

そして2008年の米民主党にも「アメリカは日本に自主防衛させてはならないが、中国の軍備増強に反対する必要はない。日本は、米中両国が共同して封じ込めておくべきだ」と考えている者が多い、と述べている。
クリントン夫妻、ホルブルック特別代表(元国連大使)然り。1942年のF.ルーズベルト大統領の「米中による日本封じ込め」政策と同じ考えであり、米民主党の親中嫌日的な政策は、いつまでたっても変わらない。共和党でも同じであると言う。

ブッシュ(息子)は2003年ごろまでは親日的であったが、2004年以降、父親やキッシンジャーに説得されて、「米中両国で日本を封じ込めておく」と言うアジア戦略に賛同するようになる。そして「日本を押さえつけておく為に必要だ」と納得して、2008年米朝合意をしたのである。ジョージ・W・ブッシュは、決して親日ではないし、アメリカに依存する外交政策は間違いである。

米ソ冷戦の終わった後も、政治家や国際政治学者の著作や論文には、「日本は、アメリカの保護領に過ぎない」とか「実質的な属国である」と描写されていると言う。21世紀になった現在でも、「日本に、永久に自主防衛能力を持たせない。日本が2度と外交政策を実行できない国にする」と言うアメリカの日本に対する基本的考え方は継続されており、変わっていないと言う。

今後、オバマ政権が日本に対して表面的にはどんな甘い言葉を使おうが、日米関係のこの基本的な構造からは外れることはない、とこの筆者は結論付けいてる。そして、「オバマは計算高い民主党のポリティシャン(政治屋)であり、2012年の大統領再選に不利になるような言動はしないだろう」と言っている。

彼は信念タイプの政治家ではなく、政治を一種のゲームに勝つように立ち回る「ゲームズマン・タイプ」の政治家とみなしている。そのためオバマは、自分の政治キャリアに不利になるような言動を徹底的に避ける。そのため、「変革」は掛け声だけであろうと予測している。そしてこの対日戦略の枠組みからは決して外れることはないし、中国と真正面から対抗してまで、日本や台湾を守ろうとはしないであろう、と予測している。

たった1回の戦争に負けただけで、「自分の国は自分で守る」と言う当たり前の義務を果たすことをやめてしまった日本は、今後、「偉大な中華帝国」の属領となるだろう。そして、日本が中国勢力に併合されても、世界中、どこの国も日本に同情しないだろう。

日本と言う国は、北朝鮮が核武装し、日本の女性や子供を拉致しても、自国の国民を自分で守ろうとすらしない国である。そんな卑怯な国に同情する国など、世界中に存在するわけが無い。このように結論付けている。しかし、そこから脱却する為の方策も述べている。

それは先に述べたように、

・自主的な核抑止力を含む自主防衛能力を構築すること。

・同盟関係を多角化すること。

これらのことは先に述べた提案と同じであるが、三つ目はまともなものであり是非とも実現させたいものである。

・兵器の確保や軍事技術の開発について、アメリカだけに依存せずに、ヨーロッパ、インド、ロシア、イスラエルとも、共同して進める必要がある、と提案している。

「米中両国に弄(もてあそ)ばれる」日本外交から脱却する為には、多極化したバランス・オブ・パワー外交が必要なのである。日本の同盟関係と軍事・外交・技術の協力関係を多角化し、多極的なバランス・オブ・パワー外交を推し進めることが、日本の生き延びる道である。さし当たっては、F-22なんぞの採用にこだわらず、ブラックボックスを設けないとしている「ユーロファイター」を採用することである。

(続く)
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続・戦後70年談話はヒストリーで!(32)

2015-10-16 00:00:00 | Weblog

「・・・この安倍演説は日米同盟緊密化の動因であり、結果だったと言える。

安倍演説についてはもう日米双方で山のような論評が述べられてきたが、この演説は日米同盟の強化と言う観点から間違いなく大成功だったと言えよう。この点で同演説は戦後日米関係史に大きな転換点を刻んだと述べても過言ではないだろう。

演説は、上下両院議員の大多数である500余人が着席して耳を傾ける中で四十五分にわたった。議員たちが起立して厚い拍手を送るスタンディング・オベイションは数えきれないほどだった。

共和党のベーナー下院議長は「演説は日米同盟の誇り高く歴史的な転機となった」と礼賛した。民主党のバイデン副大統領(上院議長)は「アジア諸国に共感を示したことに最も好感を持った」と述べた。民主党のモンデール元副大統領(元駐日大使)は「Aプラスの最高評価の演説であり、安倍首相の訪米全体が大成功だった」と絶賛した。共和党の重鎮のマケイン上院議員は「日米の歴史の共有による和解を知らしめる歴史的な演説だった」と評価した。
・・・」


それから安倍政権が推進する「平和安保法制法案」にも、アメリカは早くから賛同していた。このことが東アジアの安定と民主主義を守ることにつながる、と考えられているのである。このことも「ウォールストリート・ジャーナル」の7/18付け社説を引用しながら、次のように述べている。


「・・・日本が安保体制を変えねばならない切迫した理由は中国の軍事的な台頭とアジア地域での侵略的な行動であり、アメリカの国防費の削減だといえる。日本はアメリカ、フィリピンや韓国とより緊密に防衛行動を進めねばならない。

集団的自衛権の行使は、第2次対戦以来の日本の平和と安定の推進での模範的な実績を汚すことはない。それどころか集団的自衛権の行使容認は、日本に民主主義と規則に基づく国際秩序を防衛する責任をより多く負うことを可能にするだろう。・・・」


この背景には当然オバマ政権の対中姿勢の変化がある。中国は、米軍を仮想敵国としてその軍備を、強烈に増強している。中国人民解放軍の専門部隊が主役のアメリカへのサイバー攻撃、更には国際規範を無視した海洋進出などは、言ってみればオバマ政権の対中姿勢の軟弱さが惹き起こしたものである。

遂にオバマも、中国を名指しで非難した。2015.7.1に発表した「国家軍事戦略」では、「中国の行動はアジア太平洋の緊張を高める危険なものだ」と警告し、特に「南シナ海での中国の行動や主張は国際法に反する」と非難したのである。

また次の三点でも、古森氏は日米同盟の緊密化を実感できる出来事であったと、結論付けている。


1つは、2015.3.27の自民党の高村正彦副総裁の演説である。これはワシントンの大手研究機関、戦略国際問題研究所(CSIS)での日米安保関係のシンポジウムにおける基調演説であった。

高村氏の理路整然とした演説は非常に説得力があり、大きな拍手が沸き続けたという。そして日ごろ出る中国や韓国の研究者などからの文句も、ぴたりと鳴りを潜めたと言う。小森氏は、日本政府代表へのこの反応は異例だった、と述べている。

2つ目は、2015.7.16にこの戦略国際問題研究所(CSIS)での、自衛隊の河野克俊統合幕僚長の講演であった。タイトルは「日米同盟の推移と前進」と言うものであった。大勢の米側聴衆を前に、日米同盟の強化を堂々と述べたものであった。

3つ目は海上自衛隊の武居智久幕僚長のワシントンでの講演であった。それは2015.7.29に、民主党系の有力研究機関「カーネギー国際平和財団」での一般向けの講演であったが、この講演も盛況であった。

この二つの講演では、日米の制服組がずらりと並んでいたと言う。長年のこのような緊密な交流は皆無であり、日米同盟の緊密化を示すものと古森氏は実感できたと述べている。

米軍と自衛隊との連携の緊密化はこのように、戦後70年を過ぎて進んでいるのは、確かであろう。

しかしだからといってオバマが、日本固有の領土である尖閣諸島を中国の攻撃から必ず守ってくるとは限らないのである。

そこが問題なのである。

{「むしろ我々が失望だ。米国はちゃんと中国にものが言えないようになっている。中国への言い訳として(失望と)言ったにすぎない」と指摘。「同盟関係の日本をなぜ大事にしないのか

日本は、アメリカとの同盟関係を強固なものだと、信頼してはいけないのだ。だから自力で自国は守ることを考える必要がある。それも早急に核武装も検討することだ。さもなくば日本は滅びてしまう。}


これは2015.10.5のこのブログのNO.23で述べた結論である。確かに日米同盟は緊密化している、しかしだからと言って自国の安全保障を完全に他国に委ねてしまってよいものか、考えることが必須である。


日米同盟が緊密化していると言っても、それは表面的なことだけではないのか。アメリカの日本に対する哲学と言うか扱い方にまで、波及してきているものとは到底実感できないのだ。

それは、アメリカの哲学が次のようなものであるからである。と言うことはアメリカの属国状態にある日本に対しての、アメリカの態度である、と言うことではないのか。

かなり古いが2009年の考察を載せてこのテーマを終えよう。(まだこのURLは生きています。)

(続く)
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続・戦後70年談話はヒストリーで!(31)

2015-10-15 00:00:00 | Weblog

そしてこの「パラダイムシフト」の話は2009.3.9に終了しているが、その続きは小生の2009.3.16のブログ「尖閣諸島問題(1)」へと続けたのである。ここではその「パラダイムシフト」のまとめをしているので、頭の整理も兼ねてそれを再掲しよう。



先のテーマでは、日本は過去3回の「パラダイム・シフト」を成し遂げてきたことを述べた。そして現在は、アメリカの一極構造の国際情勢が崩れて多極構造化した。そしてこのアメリカの押さえが利かなくなった多極国際構造の中で、日米安保体制と言えども安泰ではなくなり、このままの状況では日本はサバイバル出来なくなってきている、と言うことを説明した。

このままの状況とは、アメリカの圧力に屈し続けて自主防衛能力を持てない、と言う状況のことである。日本の隣には、中国と言う屈強な共産主義国家が存在する。中国は日本を併合したくて、したくて切歯扼腕している国なのである。事実1995年に、中国の首相を務めた李鵬 がオーストラリアのポール・キーティング首相に、「日本と言う国は40年後には無くなってしまうかもわからない」とか「30年もしたら日本は大体つぶれるだろう」(だからあんまり深く日本とは付き合うな)、と述べている。もちろん「中国が日本を併合するから」である。

このような事態を避けるためには、日本は「第4のパラダイム・シフト」をしなければならない。日本が生き延びるためには、「日本が自主防衛する」ことが必要であり、自主防衛すると言うことは、「自主的に核抑止力を持ち、米国への依存度を減らし同盟関係を多極化する」と言うことが必要なのである。このような「第4のパラダイム・シフト」をしなければ、日本は、チベットやウイグルのように中国の属国となってしまうからである。

なぜこのような「パラダイム・シフト」をしなければならないかと言うと、国際政治には四つの重要なポイントが機能しており、日本は将にそのポイントにもてあそばれているからである。

第一に国際社会は、本質的に無政府状態であり」、強国が弱小国を占領・併合しても誰もそれを罰することが出来ないと言うことである。そのため、

第二には、「国家にとって生き残ることが最も大切な仕事」となるのである。そのために最も重要な仕事は国防政策となるのである。そして、そのため

第三には、「自分の国は自分で守る」ことが必要となる。このことは、1919年の国際連盟規約委員会におけるアメリカの裏切りにより、日本は「人種差別撤廃条項」を葬り去られ、さらには、1945年には、アメリカ・ルーズベルトとイギリス・チャーチルがそそのかし、ソ連・スターリンは1941年に締結した「日ソ中立条約」を踏みにじり、日本領であった満州国及び南樺太・千島列島へ奇襲攻撃を仕掛けた。そのため中国残留孤児問題、シベリヤ抑留問題、北方領土問題が発生したのであるが、このように条約や同盟関係は当てにならないのであり、日米安保条約があっても結局は、自国のサバイバルは自分で確保し保障するしかないのである。

現在の日本はこれらのポイントに対して、全くの無防備の状態に置かれているのであり、この状態が続いてゆけば、日本は将に中国に併合されてしまうことになってしまう。

そしてこのことに対処するには、
第四に、外交政策は、怜悧・冷徹な「バランス・オブ・パワー計算コスト・ベネフィット計算」で決しなければならない、と言うことである。

アメリカと言えども永久に日本を守ることはしないし、現にアメリカは日本を永久に無防備の状態にしておこうとしている。

ここから日本が導き出さなければならない結論は、上述したように「第四のパラダイム・シフト」を決行して、

・自主的な核抑止力を持ち、自主防衛能力を構築することであり、さらに
・同盟関係を多角化して、
・軍事技術の確保も多角化することである。


と言うことを説明した。そしてこのことが如実にわかる現実が、尖閣諸島問題である。将に国際社会が無政府状態で誰も咎めることをしないことをよいことに、日本の固有の領土である尖閣諸島を中国は併合しようとしているのである。否、尖閣諸島どころか、中国は、日本そのものを支配下におくつもりなのだ。その状況を以下説明してゆきたい。





今年2015年になって中国による南沙諸島のファイアリー・クロス礁(永暑礁)やジョンソン南礁(赤瓜礁)などを埋め立てて、三千m級の滑走路まで作ってしまった。将にこのことが現実となってしまっている。

これもオバマの弱気のなせる業であったのであるが、以上述べてきたオバマの中国に対する態度などは2014年時点のものであるが、ここに来て(ちょっと遅きに失してはいるが)事情は少しずつ変わっていているようだ。中国へ強く当たりだしてきたいる様だ。

オバマ政権の間違った現状認識のために揺れ動き、弱体化していた日米同盟も、堅固さを示すようになってきているのだ。「日米同盟は強まった」とする『Voice』(PHP研究所)の2015年10月号古森義久氏の論文には、そのことがつぶさに記載されている。その内容を紹介しながら、如何に「日米同盟」は強まったのかを記述してみよう。

先ずは今年2015.4.29(米国時間)の、アメリカ議会上下両院合同会議での安倍首相の演説である。これが大成功であった。このことを古森氏は次のように述べている。

(続く)
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続・戦後70年談話はヒストリーで!(30)

2015-10-14 00:00:00 | Weblog

(1)3回のパラダイム・シフトの項では、米政府は1942年から「日本に自主防衛させない」と決めていたと、Michael Sherry, “Preparing for the Next War”, Yale University Pressを引用して記述しているが、伊藤 貫氏は「正論・1月号」にも「オバマ米新大統領の”チェンジ”が日本にもたらすもの」とする一文を載せている。それによると、1941年8月の時点で、アメリカ政府は既に「戦後の日本を、永久に武装解除すると決めていた」と、キッシンジャー元国務長官は記述している、と述べている。アメリカは「日本を戦争に追い込む」ことを計画し、そして叩き潰して「2度と自主防衛できない国にする」ことを、日米戦争が始る前に既に決めていたのである。

そして2008年の米民主党にも「アメリカは日本に自主防衛させてはならないが、中国の軍備増強に反対する必要はない。日本は、米中両国が共同して封じ込めておくべきだ」と考えている者が多い、と述べている。クリントン夫妻、ホルブルック特別代表(元国連大使)然り。1942年のF.ルーズベルト大統領の「米中による日本封じ込め」政策と同じ考えであり、米民主党親中嫌日的な政策は、いつまでたっても変わらない。共和党でも同じであると言う。ブッシュ(息子)は2003年ごろまでは親日的であったが、2004年以降、父親やキッシンジャーに説得されて、「米中両国で日本を封じ込めておく」と言うアジア戦略に賛同するようになる。そして「日本を押さえつけておく為に必要だ」と納得して、2008年米朝合意をしたのである。ジョージ・W・ブッシュは、決して親日ではないし、アメリカに依存する外交政策は間違いである
米ソ冷戦の終わった後も、政治家や国際政治学者の著作や論文には、「日本は、アメリカの保護領に過ぎない」とか「実質的な属国である」と描写されていると言う。21世紀になった現在でも、「日本に、永久に自主防衛能力を持たせない。日本が2度と外交政策を実行できない国にする」と言うアメリカの日本に対する基本的考え方は継続されており、変わっていないと言う。
今後、オバマ政権が日本に対して表面的にはどんな甘い言葉を使おうが、日米関係のこの基本的な構造からは外れることはない、とこの筆者は結論付けいてる。そして、「オバマは計算高い民主党のポリティシャン(政治屋)であり、2012年の大統領再選に不利になるような言動はしないだろう」と言っている。彼は信念タイプの政治家ではなく、政治を一種のゲームに勝つように立ち回る「ゲームズマン・タイプ」の政治家とみなしている。そのためオバマは、自分の政治キャリアに不利になるような言動を徹底的に避ける。そのため、「変革」は掛け声だけであろうと予測している。そしてこの対日戦略の枠組みからは決して外れることはないし、中国と真正面から対抗してまで、日本や台湾を守ろうとはしないであろう、と予測している。

たった1回の戦争に負けただけで、「自分の国は自分で守る」と言う当たり前の義務を果たすことをやめてしまった日本は、今後、「偉大な中華帝国」の属領となるだろう。そして、日本が中国勢力に併合されても、世界中、どこの国も日本に同情しないだろう。

日本と言う国は、北朝鮮が核武装し、日本の女性や子供を拉致しても、自国の国民を自分で守ろうとすらしない国である。そんな卑怯な国に同情する国など、世界中に存在するわけが無い。このように結論付けている。しかし、そこから脱却する為の方策も述べている。

それは先に述べたように、

・自主的な核抑止力を含む自主防衛能力を構築すること。
・同盟関係を多角化すること。

これらのことは先に述べた提案と同じであるが、三つ目はまともなものであり是非とも実現させたいものである。

・兵器の確保や軍事技術の開発について、アメリカだけに依存せずに、ヨーロッパ、インド、ロシア、イスラエルとも、共同して進める必要がある、と提案している。

「米中両国に弄(もてあそ)ばれる」日本外交から脱却する為には、多極化したバランス・オブ・パワー外交が必要なのである。日本の同盟関係と軍事・外交・技術の協力関係を多角化し、多極的なバランス・オブ・パワー外交を推し進めることが、日本の生き延びる道である。さし当たっては、F-22なんぞの採用にこだわらず、ブラックボックスを設けないとしている「ユーロファイター」を採用することである。
090309(32)



この「パラダイム・シフト」の核心は、『憲法九条』の破棄改憲であることは明らかである。これがなければ日本の存続はかなり怪しいと覚悟しておく必要がある。

この「パラダイム・シフト」を実施しなければ、この美しい日本を、我々の孫、曾孫(そうそん、ひまご)、玄孫(げんそん、やしゃご)、来孫(らいそん)等に残すことが出来ないと自覚することが、我々日本人には大切な事なのである。

(続く)
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続・戦後70年談話はヒストリーで!(29)

2015-10-13 00:00:00 | Weblog

要するに、この「太西洋憲章」は、あくまでも欧米列強(白人国家)にのみ適用され、有色人種(日本など)には適用外で、欧米列強が有する植民地は絶対に手放さない、有色人種には独立は絶対に許さない、白人国家の支配下に置くと言っているのである。

この「大西洋憲章」の4ヶ月後に「大東亜戦争」が始るのであるが、この戦いは白人から東亜の植民地を開放する戦いであった。即ち、「白人対有色人種の戦い」と言う意味合いを持っていたのである、と言うよりも、「白人対有色人種の戦い」そのものであった。

この「大西洋憲章」の考えをべースにアメリカは、「戦後の日本を、2度と独立した外交政策が実行できない国にする。日本から、永久に自主防衛能力を剥奪しておく」と言うことを決めていたのである。アメリカは日本のおかげで、中国に利権を獲得できなかったことを、いかに無念と思っていたことか、このことでよくわかるのである。アメリカの潜在意識の中には、「大西洋憲章」が色濃く残っていたのであろう。そのこころは、人種差別の温存である。

こんな国のアメリカに日本の主権が握られていて、よいものであろうか。やがては中国に売られてしまう、と言うことが現実味を帯びてくるのである。ただし中国も有色人種である。しかし中国は核を持っている。アメリカはその核に敬意を表しているのである。インドにも敬意を表したではないか。紙に書かれた約束をいかに有効なものとするかは、どうも、核武装が必要なのである。これは今までの考察でわかる。果たして四つ目のポイントは何であろうか。

日本の信頼する同盟国「アメリカ合衆国」は、果たして、信頼できる国なのか。以上見てきたように、米国は大西洋憲章の原則を、今でも堅持している、と推定できる。こんな国を信頼できる、と言えるものか。否、信頼できない。もともと国際社会は、無政府状態と言ったではないか。
090305(30)
5.四つ目のポイント

四つ目の原則は、「イデオロギーや好き嫌いの感情を、外交政策に持ち込んではならない」と言うものである。

日本の親米保守には、「アメリカは好きだから、米国の言う通りに日米協力すればよい」と考えている者が多い。その一方、親中左翼は、「中国は良い国だ。中国政府の言う通り”謝罪と反省”を繰り返していれば、日中友好は実現するだろう」と思い込んでいる。

しかし外交政策とは、冷静・怜悧なバランス・オブ・パワー計算コスト・ベネフィット計算によって決められるべきものであり、イデオロギーや好き嫌いの感情を外交政策に持ち込むと失敗する、と結論付けている。1930年代の日本の大陸進出はコストが掛かりすぎるものであったので、割が合わなかった。これは(1)3回のパラダイムシフトの項で述べた。この意味での外交の達人と言われる人には、伊藤博文、チャーチル、ド・ゴール、スターリン、周恩来などが該当する、とこの筆者は言っている。

国際政治でのリアリスト外交のこの原則は、絶対に忘れてはならないものである。戦前の日本人がこの原則を守っていたら、中国大陸で戦線を拡大するような愚考は避けられた筈である。そして「気がついたら四方を四核武装国に包囲され、自主的な抑止力を持てない状態になっていた」と言う窮状は避けられた筈である。外交政策のパラダイムとは、単なる「学者の屁理屈」ではないのである。

きちんとしたパラダイムを選択できない国民は、まともな国家戦略をもつことも出来ない、と言うことになる。そこでこの筆者(伊藤 貫氏)は次のことを提案している。

ミニマム・ディフェンス(必要最小限の自主的核抑止力)の構築、そのために国防予算をGDPの1.2%(6兆円)まで増やす。

日印軍事同盟を締結する。

日露協商を構築する。

と言うもの。現在の日本を取り巻く地政学的環境を考えると、自主的な核抑止力と同盟関係の多角化はバランス・オブ・パワーを維持する上でどうしても必要だからである。

核の洗礼を受けている唯一の国の日本としては、核アレルギーがあることは判る。しかしバランス・オブ・パワー状況において、どれほど日本が不利な状況に置かれているかを、認識しなければならないのである。日本にとって有利な方向へ変えるのに役立つ国家とは、感情やイデオロギーを排して協力すべきである、とこの筆者は結んでいる。将にその通りである。

CIAは、2010年後半にも中国の実質経済規模は世界一になると予測している。更に中国の実質軍事予算は、4年ごとに倍増している。そして米国の軍事予算は経済危機のため「今後5~6年は増加しないだろう」といわれている。遅かれ早かれ、中国の軍事力はアメリカのそれを凌駕することとなろう。ならないにしても拮抗することとなる。日本を取り巻く地政学的条件は、今後ともますます悪くなってゆく。

日本は米占領軍に押し付けられた”平和国家(即ち無力国家)”パラダイムを捨て、リアリスト・パラダイムを採用すべきである。何時までもアメリカへの依存主義の外交論を繰り返していると、李鵬の言うように「日本などと言う国は、20年くらい後には消えて亡くなってしまう」と言う予告が、現実なものとなってしまう。

ここで二つ、三つ追加しておきたい。
(続く)
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続・戦後70年談話はヒストリーで!(28)

2015-10-12 00:00:00 | Weblog

4.四つ目のポイントの前に

今まで述べた三つのポイント(国際政治での注意点)を考察すれば、「永遠に信頼できる同盟関係など存在しない。自国のサバイバルは、自分達で確保し、保障するしかない。」と言うことがお分かり頂けたことでしょう。これに反して、リアリスト外交を実践し最強の核装備を有して自国及び自由陣営を守ろうとしているアメリカは、日本から自主防衛の権利を剥奪しておきたいのである。アメリカのこの日本に対する植民地政策は、一体全体どこからどんな理由で出てきたのであろうか。欧米諸国以外では、言ってみれば有色人種のチビッ子の日本人が唯一の近代化を達成したが、その結果アメリカは日本と東アジアで衝突することとなる。「よくもこの偉大なアメリカの思いを踏みにじってくれたな、邪教を信ずるような異教徒のジャップには、一人前の顔をさせるものか。」と言ったアメリカの有色人種の日本人に対する蔑(さげす)み感情から出て来たとしか思えないのである。

その証拠に、アメリカのウッドロー・ウイルソン大統領は本人提案の「国際連盟」規約委員会の議長を務めていたが、日本はその規約に「人種差別撤廃条項」を加えるように提案したのであるが、議長を務めるウイルソンは全会一致を理由にそれまでの多数決の原則を無視して本提案を葬り去ってしまったのである。この議決は、出席者16名中11名の賛成多数を得たものであった。しかもウイルソンは挙句の果てには、その議長役も放り出して帰国してしまったのである。そして自ら提唱した「国際連盟」にも参加しなかったのである。1919年(大正8年)2月13日のことである。(前回のブログ「日本は侵略国家ではありません。」'08.12.19~での「田母神論文」の第11節の解説でも述べているので、そちらも参照願いたい。)

時代は下がるが、1941年(昭和16年)8月14日フランクリン・ルーズベルト米大統領ウィンストン・チャーチル英首相とは大西洋上で会談し、「大西洋憲章」と言う共同宣言を発表した。

その内容は次の通りの物であったが、

1.領土不拡大
2.政治形態選択の自由
3.公海の自由
4.武力行使の放棄
5.侵略国の武装解除

と言った一見するとすばらしい物であるが、その実、欧米列強の植民地制度を前提とした中での原則であって、有色人種には適用しない物であった。

例えば、

第3項では、「米英は、、主権や自治を奪った者に対しては主権や自治を返還することを希望する」と言っているが、チャーチルはインドの主権は「大英帝国が有している。」と議会でも答弁してインド人には主権を返還する必要が無いと言っているし、

第2項では、「米英は、関係国民の自由意思と一致しない領土変更は行わない。」と領土の現状維持をうたっているものの、関係国民とは欧米列強を言っているのであり、有色人種には適用されないのである。
(続く)
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続・戦後70年談話はヒストリーで!(27)

2015-10-09 00:00:00 | Weblog

米国の「国家情報会議」と言うものがある。National Intelligence Council(NIC)とは、CIAやその他の大学や研究所などの一般機関からの情報に基づき、中・長期の政治情勢を予測し評価して大統領と政府閣僚に報告する諮問機関である。

そのNIC が'08.11.20に2025年の世界情勢を予測した報告書を発表した。その中では、米国のライバルとなるのは、中国、インド、ロシアなどの新興国だと分析し、とりわけ中国については、2025年までに「世界2番目の経済規模と主要な軍事力を獲得する」と予測している。日本については、自民党の優位が崩れ、内政・外交とも再構築を迫られるとし、米国の国力低下を受け、「同盟の力は今日ほど強固ではなくなる」と予測。日本の地位は米中のパワーバランスの間で「板ばさみ状態」になるとして、日本が親米、親中に傾くなど4種類のシナリオを挙げている。この項は下記ニュースを引用している。(http://sankei.jp.msn.com/world/america/090118/amr0901181918005-n1.htm)

そして伊藤 貫氏の論文に戻りそのシナリオを説明しよう。

最初の二つは現在と同様、日本がアメリカとの同盟関係を維持して独立国として存在し続けるシナリオである。

三つ目のシナリオは、アメリカの「核の傘」が無効であることが明らかになり、日本が中国の勢力圏に併合されてしまうシナリオである。

四つ目のシナリオは、米中両国の「合意」によって米軍が東アジアから撤退し、アメリカに見捨てられた日本が中国勢力圏に吸収されてしまうシナリオである。

つまり、今後15年ほどで(2025年までに)、日本は中国の属国となってしまう確率が50%もあると、「信頼できる同盟国」の米国の情報分析官が予測しているのである。それだけ日本のサバイバル率は低いのである。そのためには、どうしたらサバイバル率が上がるのか、を必死に考えなければならないのである。

3.三つ目のポイント

国が生き残ってゆくためには、当然のことながら「自分の国は自分で守る」と言うことになる。これが三つ目のポイントだ。

条約や同盟関係は、当てにならない。国家の意図は、何時変わるか予測できない」のである。「永続する同盟関係など存在しないし、永続する敵対関係も存在しない。永続するのは自国の国益だけだ」とは、19世紀のイギリス首相のパーマストンの言葉。自国の国益に都合が悪くなれば同盟関係は破棄されたり、形骸化・空洞化したりする。これは当たり前のことである、とこの筆者は結論付けている。

ここに一つのサンプルを提示しよう。

日本は、1941年(昭和16年)4月13日に、ソ連との間で「日ソ中立条約」を締結した。相互不可侵及び他国から攻められた場合にはお互いに守りあい、更に満州国とモンゴル人民共和国の領土の保全と相互不可侵を定めた物である。有効期間は5年であり、廃棄する場合には満了1年まえに通告することになっている。

そのソ連は、1945年8月8日の深夜、「日ソ中立条約」の破棄を宣言し、8月9日午前零時をもって突如 満州国及び南樺太・千島列島へ奇襲攻撃を開始した。日本大使館から日本への電話回線はすべてソ連政府により切断されていた。日ソ中立条約は当然有効であった。ソ連は「屁理屈」をつけて踏みにじったのである。1945年2月のヤルタ会談(ルーズベルト、チャーチル、スターリンによる首脳会談)での密約を楯に、満州、南樺太・千島列島を占領するために侵攻したのである。このため多数の中国残留孤児問題、60万人の不法なシベリア抑留問題と10万人近くの過酷死の発生、北方領土問題が発生したのである。

この一件を見ても、如何に条約や同盟関係が当てにならないか、と言うことがわかるであろう。現在の日本国の基本中の基本である「日米同盟」も、いつまでも効力を発揮する物でもないことを認識すべきである。現に北朝鮮に対しては、日本の要求に逆らってまで、アメリカはテロ支援国家指定を解除しているではないか。それよりも、アメリカは「北朝鮮の核武装をきっかけとして日本が核を持つことを、どうしたら阻止できるか」と言う点に努力を集中していたのである。慌てて日本に飛んできた「コンドリーザ・ライス」の血走った顔が思い浮かぶ。アメリカが北朝鮮に妥協的な態度を取り続けるなら、日本は核武装論に傾くかもしれないと、当時の麻生外相はライス米国務長官に内々示唆したと見られている。それにライスは驚愕して慌てて日本に飛んできたのである。どうして驚愕したかと言うと、1972年に当時のニクソン大統領が北京を訪問し、周恩来との間で「日本には核武装させない」とする密約を結んでいたからである。この密約は今でも生きており、日本が核武装論に傾けば米中間に亀裂が生じて六カ国協議は瓦解する。だからライス長官は血相を変えたのである。これは、正論1月号の日下公人氏の文章に書かれているものである。だからアメリカは日本を中国に売り渡すかもしれないのである。

条約や同盟関係は、当てにならない。国家の意図は、何時変わるか予測できない」と、前述したが、もう一つその良い例がある。前章の【6】の(4)「ケサン」の地名のところで、1972年に開始されたハノイなどへの北爆による脅威にさらされた北ベトナムはやむなくアメリカと停戦協定を締結する。1973年1月27日に結ばれたパリ和平協定である。これにより南北ベトナム間に停戦が成立したのであるが、1975年3月10日に北ベトナムはパリ協定に違反して南ベトナムに大攻勢をかけて、南ベトナムを併合してしまう。この協定違反に対しても国際社会は何も言わなかったし、言えなかった。強い軍事力を持つ国が結局は生き残ったのである。紙に書かれた約束なんぞは、国益の前では、反故同然なのである。
(続く)
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続・戦後70年談話はヒストリーで!(26)

2015-10-08 00:00:00 | Weblog

(3)自主核の保持と同盟の多角化の必要性

国際政治での現実の考え方(リアリスト学派)には、四つの重要なポイントがある。米中露英仏5ヶ国の国家戦略もこれを基礎としている、と言う。反対に日本政府だけが、単純で小児的な「友好と信頼と協調」外交、「謝罪と反省」の外交を繰り返して、米中露からは玩具のように弄(もてあそ)ばれているのである。

1.一つ目のポイント

「国際社会は、本質的に無政府状態である」と言うことが、大前提である。

現在の国際社会には国際法や国連と言う物が存在するが、強国が弱小国を攻撃したり、占領・併合しても、弱小国は無き寝入りするしかないのが現実である。強国は、残虐な侵略戦争や犯罪行為を実行しても処罰されないのである。

例えばソ連共産党、中国共産党は数千万人以上の民間人を無差別に虐殺しているし、米国もメキシコ、キューバ、フィリピン、日本、ベトナム、イラク、アフガニスタンなどで450万人以上の非武装の民間人を殺害しているが、一度もその戦争犯罪行為を処罰されていない。国際社会には強国を罰する力がないのである。今年1月のイスラエルのガザ侵攻では、600人以上の民間人が殺害されていると言う。この「パレスチナ問題」では、ここ60年間で誰もイスラエルを処罰することが出来なかったのである。

要するに、「強い国は何をしても処罰されない。弱小国が強国の犠牲となっても、誰も助けてくれない」と言うのが、国際社会の特徴である、と結論付けている。

即ち「国際社会は無政府」なのである。協調性と依存心が強く、「他国の善意を信ずる」などと言うことは、自国を滅ぼしてしまうことの何ものでもないのである。要は、国際社会には、真の正統性(正当性)を持つ権威や権力や統治機構は存在しないのである、と結論付けている。そしてそのために何をしなければならないか、を考えなければならない。このことが大切なのである。

2.二つ目のポイント

国際社会の無政府性から当然の帰結として行き着く原則は、
「国家にとって、サバイバル生き残ること)が最も大切な仕事」と言うことである。

国際政治学者の研究によると、過去2世紀間に他国からの攻撃や侵略によって消滅したり併合されてしまった国は、51ヵ国あるという。

そしてその間の「国家の死亡率」は、24%になると言う。現在の日本は、四核武装国に包囲されている。中国、ロシア、北朝鮮、アメリカである。そして特に米中のパワー・バランスは、近年頓(とみ)に中国に有利となる方向へ傾いている。そのためこの24%と言うサバイバル率は、既にもっと縮小しているのではないかと、この筆者(伊藤 貫氏)は懸念している。そしてそのために、「国家にとって最も大切な義務はサバイバルである。したがって国家にとって最も大切な政策は国防政策である。」と、シカゴ大学の国際政治学者のジョン・ミアシャイマー氏の論を引用している。そして近代的な国民国家の誕生も、自国を守り自国を存続くさせる為に形成された物である、と論じている。

国家にとっての最初の義務はサバイバル、そのために最も重要な仕事は国防政策、そして、国防政策は経済政策よりも優先順位が高いのである。「国防よりもカネ儲けに専心していれば良い」とする「吉田ドクトリン」は、最大の間違いである。そのため国防政策を重視しなくなった日本にたいして、中国の李鵬元首相は、「日本などと言う国は20年くらい後には消えてなくなってしまう国だから、まともに相手にする必要はない」と、オーストラリアの首相に述べている。このことを筆者は、中国の指導者は将来を見通すリアリスト的な戦略性が備わっている、と表現している。

李鵬は、1988年から1998まで、趙紫陽の後をついで中国国務院総理(首相)を勤め、1989年と2002にも来日している。Wikipediaによると、1995年頃、日本について、オーストラリアのポール・キーティング首相に、

「日本と言う国は40年後には無くなってしまうかもわからない」(☆1)、あるいは「30年もしたら日本は大体つぶれるだろう」(☆2)と言った内容の発言をしたとされている。また、1995年に「日本などと言う国は20年後には消えてなくなる」と発言したと、テレビ番組「TVタックル」(テレビ朝日系)で紹介された、と言う。

(☆1)平成7年(1995年)11月8日、第134回国会、国際問題に関する調査会 第2号
自民党の笠原潤一氏の質問

「この前、ちょうどAPECを控えて、我が自民党で御承知のようにAPECの問題でアメリカとオーストラリアに行ってもらったんです。そのときに、オーストラリアのキーティング首相がこう言ったんです。中国の李鵬さんと会ったらどう言ったかといいますと、日本とのいろんな話をしたら、いや日本という国は四十年後にはなくなってしまうかもわからぬと、そう言ったというんです。これはうそじゃありません、これはほかの先生みんな行って言っているんですから。」

(☆2)平成9年(1997年)5月9日、第140回国会、行政改革に関する特別委員会 第4号
武藤国務大臣の回答の一部で

「・・そのオーストラリアへ参りましたときに、オーストラリアの当時のキーティング首相から言われた一つの言葉が、日本はもうつぶれるのじゃないかと。実は、この間中国の李鵬首相と会ったら、李鵬首相いわく、君、オーストラリアは日本を大変頼りにしているようだけれども、まああと三十年もしたら大体あの国はつぶれるだろう、こういうことを李鵬首相がキーティングさんに言ったと。」

もう一つの事実を紹介しよう。
(続く)
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続・戦後70年談話はヒストリーで!(25)

2015-10-07 00:00:00 | Weblog

米政府は1942年(昭和17年)から「戦後の日本を、2度と独立した外交政策が実行できない国にする。日本から、永久に自主防衛能力を剥奪しておく」と決めていた(★)
アメリカが敗戦国日本に押し付けてきた”平和憲法”や東京裁判史観は、「日本から、永久に自主防衛能力を剥奪しておく」と言う目的のため設定された政策である。1947年(昭和22年)の国務省の内部文書には、「日本が独立国としての運命を歩むことを許さない。日本をアメリカの衛生国として機能させる」と記述されている。つまり「形式的には日本に独立を回復させた後も、自主防衛能力を剥奪された属領にしておく」ことが、米政府の真意であった。
日本は1952年(昭和27年)に「独立」を回復したが、当時、ダレス国務長官は「対日講和条約は、アメリカの日本占領が継続することを意味する」とイギリス政府高官に説明している。米政府は日本を独立国として扱うつもりはなかったし、日本政府が真の独立を回復しようとする動きを許容するつもりも無かったのである。
(★)Michael Sherry, “Preparing for the Next War”, Yale University Press

1951年9月8日、サンフランシスコ対日講和条約が調印され、日本は独立国となった。そして10月18日、吉田茂首相は閣僚等をつれて靖国神社に参拝している(「映画「靖国」に物申す」'08.8.22の第3節)。しかし吉田は、後に言われだした「吉田ドクトリン」の「日本の復興を優先して、経済重視、国防は二の次と言う経済中心の商人国家の道」を歩ませてしまった。必ずしも吉田の本意では無かったかもしれないが、この吉田ドクトリンと呼ばれた奇形の国家観に従って、アメリカに自主防衛能力を剥奪された状態を当然のこととして経済成長だけを優先させる国家観を信奉する政治家ばかりが、日本の首相になってしまった。今からだから言えるのかもしれないが、経済と国防は半々、もしくは少しでも国防重視の国づくりを進めるべきであったし、現在も進めるべきであると思う。

「米中朝露・四核武装国に包囲され、中国の軍事予算は4年ごとに倍増しているにも関わらず、自主防衛能力を剥奪された状態を不思議とも思わずカネ儲けだけを国家の大事と考えている。」「日本は自主防衛しなくてよい。アメリカの保護に依存していれば良い。」と言う安易な国家観が定着している、この状態をもたらしたものは元はといえば「吉田ドクトリン」なのである。吉田は日本が独立した時に、靖国神社に参拝しすばやく憲法も改正すべきであった。それができた筈でありその意志もあったと思うのであるが、それをしなかった事で吉田は日本に最大の禍根を残したのである。その意味で彼は最悪の謀反人といわれても、致し方ない。


(櫻井よしこ氏「週刊新潮」'08.10.2日号によれば、次の通り。)
であれば、麻生氏は、経済再建、社会保障などとともに、少なくとも、集団的自衛権の行使を可能にする道を切り拓き、日本国の安全保障体制まともな民主主義国の体制に近づけることを使命として打ち出すのが良い。
http://yoshiko-sakurai.jp/index.php/2008/10/02/%e3%80%8c%e6%94%bf%e6%b2%bb%e3%81%af%e5%9b%bd%e6%b0%91%e3%81%ae%e5%bf%83%e3%81%ae%e7%b3%a7%e3%81%ab%e3%81%aa%e3%82%8c%e3%82%8b%e3%81%8b%e3%80%8d/#trackbacks
090225(25)

    
(2)新たなパラダイム・シフトを、「日本は生き残れるか」

しからば日本再生の「パラダイム・シフト」は何か。

現在の国際構造は、米ソ二極構造からソ連崩壊を経てアメリカ一極構造となり、今は多極構造へと変化している、と言う。即ち21世紀の国際政治は、米欧露中印による五極構造に移行しつつあると言う。この五極はいずれもを持っている。これに日本を加えて六極構造とするためには、日本が自主的な核抑止力を構築して自主防衛すれば日本はサバイバル出来て、国際政治は六極構造となる。

しかし日本が今後も米政府からの圧力に屈服し続けて自主防衛能力を持たないならば、日本は2020年代に中国の勢力圏に呑み込まれてしまう可能性が強い、と述べられている。その場合には、世界は五極構造であり、世界地図から日本国と言う独立国は消滅して大和族自治区の文字が載ることとなる。日本がサバイバルできるか否かは、日本人の知性と決断に掛かっている、と言っている。

最高学府で学んでいても「日本は核武装すべきだという論理を主張して、近隣諸国と付き合うことが可能だと考えてるとしたら、あまりに世間知らずだ。」などと戯言(たわごと)を唱える馬鹿がいるのも確かだか、こんな戯言に耳を傾けていたら日本は早々に滅ぼされてしまう。

そして伊藤 貫氏は次のように言っている。

この「日本が自主防衛すべきか否か」と言う問題は、日本人が国際政治学の主流派であるリアリスト学派のパラダイムを受け入れるか否か、と言う点に懸かっている。

リアリスト学派のパラダイムと言うことで、政治学の学説を言っているのではない。国際政治の中での一般的なあり方を言っているのであり、国際政治での考え方を言っているのである。即ち国際政治の中で、国家が生存してゆけるかどうか、と言うことであり、生存してゆくためにはどんな考え方をしなければならないか、と言うことなのである。

国家として生き延びてゆくために、「自分の国をどのようにして守ってゆくか」と言う大問題を検討することが、国際政治学なのであると小生は理解するのである。

日本の生存を確保するために、「日本は自主防衛をする、自主的に核抑止力を持つ」と考えてそれを実行することが大切なのである。

現在のチベットとウイグルを見ていただきたい。19~20世紀のポーランド然り、ポーランドは1918年に独立したが第2次世界大戦ではドイツとソ連に侵略されて国土が分割されてしまった。戦後の1952年に国家主権を回復したが、冷戦時代にはソ連に蹂躙された歴史をもつ。ソ連の崩壊を受け、1989年に民主化を果たし共和国となる。自主防衛力を持たない国ほど悲惨な目にあう。既にチベットやウイグルと言う国は、中国に滅ぼされてしまっている。それらの国では漢民族は好き勝手なことをやっていると言う。国が滅びると言うことは、まことに惨めなことなのである。

日本が生き延びるために、このこと、即ち、「日本が自主防衛をする」、「そのために核を持つ」、「そして同盟関係を多角化する」と言う政策が必要だ、と言う考え方(パラダイム)が必要なのである。このようにきちんとした外交パラダイムを構築しないことには、国際政治の権力闘争(パワー・ストラグル)に負けてしまう。覇権主義国(戦勝国)から無力化パラダイムを何時までも押し付けられていれば、ポーランドやチベット、ウイグルと同じ運命をたどることとなってしまう。

「日本はミニマム・ディフェンス(必要最小限の自主的核抑止力)をもつべきだ。日米同盟を維持しつつ米国に対する依存度を低減し、同盟関係を多角化すべきだ」と言うパラダイムへシフトしなければならない、と言っている。将にその通りである。

以下日本の自主核と同盟の多角化が如何に必要か、の理由を述べる。
(続く)
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