世の中、まちがってる、根拠なき反日キャンペーン。

相も変わらず根拠なき反日キャンペーンで、国をまとめようとする輩が存在する。

続続・次世代エコカー・本命は?(20)

2017-04-28 00:00:00 | Weblog

だから「EV事業企画室」とはすぐにEVを作る組織なのか(どうかは判然としないが)、今更どんなEVを作るか企画しても仕方がないのではないのかな。もしそんなことが必要となるのなら、トヨタはとても遅れていることになる。

トヨタ社内やトヨタグルーブ内での役割分担の割り振りを決める、と言うのならわからないでもないが、(素人的に考えると)グループ内でバッテリーをどう作るのか、と言うのが最大の関心事ではないのかな。だからどこでどんな性能のバッテリーを作らせるか、を考えるということなら少しは解るのであるが。今頃どんなバッテリーを作らせるか、などと考えているのであれば、相当遅れていることになるので、やはり(EVの構成要素はすでに出来上がっているので)どのようなEVを作るか、ということであろう、と理解したい。

トヨタはリチウムイオン二次電池の開発もやっており、今回発売した「プリウスPHV」はHV車のニッケル水素電池ではなく、リチウムイオン電池を積んでいる。先代のPHVと比べると性能は2倍以上となっている。

         PriusPHV  先代PHV ゴルフGTE アウトランダーPHEV
EV走行距離  68.2km   26.4km   53.1km   60.8km
Batt.総電力量 8.8kwh    4.4kwh   8.7kwh   12kwh
Batt.総質量   120kg     80kg  

このようにバッテリーの性能は2倍となっているが、重量は5割増しに抑えている。しかし120kgのリチウムイオン電池をラッゲージの下に格納しているために、重量の関係でリアドアをCFRP炭素繊維強化樹脂、Carbon Fiber Reinforced Plastics)製として軽量化を図っている。しかもダブルバブルと呼ばせている波だった形状のため、その成型が難しく深刻な生産遅れが生じて、国内発売を半年も遅らせることとなってしまったことはすでにご承知のことと思う。しかもそのBatt.の重さのためにリアシートの乗員は2名にせざるを得なかったようで、はなはだ残念である。

それと、このプリウスPHVも完全なZEV対策車なので、アメリカで半ば専用で売るつもりなのではないのかな。だから5人乗りなどに拘(こだわ)る必要はなかったものと思われる。我々にとっては、孫を連れて子供夫婦が帰省した時には、リア席に3人乗せる必要があり、5人乗りは必要なのだが。だから小生にとっては期待していたのであるが、買い替え候補から外さざるを得ないのである。

ことほど左様にバッテリー性能には、神経を使うものである。トヨタは以前はリチウム空気電池を持ち上げていたが(http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20130218/266471/?P=1 を参照のこと)、今はリチウム空気電池から、アルミニウム空気電池に研究の主眼を移しているようで、EVにはこの電池を使うつもりのようだ(とは小生の憶測であるが)。性能としては、リチウムイオン電池の10倍の性能は期待できると言う。

するとトヨタの電気自動車は、400~500kmの航続距離のものとなるのではないのかな。但しこの手の性能のEVの発売は、小生の全くの推測ではあるが、2020年頃となろう。ただ2018年加州のZEV規制を乗り切らなければならないために、そこそこの性能のEVは今年中には発売するのではないのか、とも思っている。




蓄電・発電機器:リチウムを超える「アルミニウム」、トヨタの工夫とは
2016年12月21日 09時00分 更新

電気自動車に必要不可欠なリチウムイオン蓄電池。だが、より電池の性能を高めようとしても限界が近い。そこで、実質的なエネルギー量がガソリンに近い金属空気電池に期待がかかっている。トヨタ自動車の研究者が発表したアルミニウム空気電池の研究内容を紹介する。開発ポイントは、不純物の多い安価なアルミニウムを使うことだ。

[畑陽一郎,スマートジャパン]

電気自動車100%への道

 自動車各社は環境に適合する車両の研究開発にまい進している。最終的にはガソリン車が、二酸化炭素を全く排出しない自動車に置き換わる形だ。

 現在は燃料電池車と電気自動車が実用化されており、中でも電気自動車が市場に受け入れられている。例えば米Ford Motor(フォード)の全米における自動車販売台数(乗用車)の内訳だ。2016年11月の販売台数のうち、5.9%をプラグインハイブリッド車や電気自動車が占めている。

 米Bloombergが2016年6月に発表した予測「New Energy Outlook 2016」によれば、2040年には電気自動車の比率が新車販売において全世界で35%に到達。総電力需要の8%を占めるに至るという(関連記事、http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1606/17/news031.html)。

 電気自動車の動力源は電気であり、内蔵する電池から電力を得ている。現在はリチウムイオン蓄電池(二次電池)を利用しており、構成材料である正極や負極、電解液などの材料開発が続いている。

金属空気電池に期待がかかる

 だが、リチウムイオン二次電池の性能(容量)には理論上限があり、現状は上限に近い水準にある。「トヨタ自動車では、将来に向けて全方位的に環境車両の開発を進めている。われわれのグループは電気自動車向け、すなわち高容量の電池に関する研究を中心に行っている。現在高容量の電池としては金属空気電池が知られている。高容量の金属の負極と大気中の酸素を組み合わせることで劇的にエネルギー密度を高める機構だ」(トヨタ自動車 東富士研究所 電池材料技術・研究部 電池研究室で主任を務める陶山博司氏)*1)。

 金属空気電池の性能はどの程度なのだろうか。図1に主な金属空気電池の重量エネルギー密度を示した*2)。1kgの金属に何ワット時(Wh)の電力を蓄えられるかという理論容量の比較だ。

*1) 2016年11月29日~12月1日に幕張で開催された「第57回電池討論会」における発表「NASCN電解液添加によるAl空気一次電池負極の放電特性改善」より。
*2) Md. Arafat Rahman et.al,"High Energy Density Metal-Air Batteries: A Review" Journal of The Electrochemical Society, 160(10) A1759-A1771(2013) に掲載された数値に基づき、本誌が作成

図1 主な金属空気電池の重量エネルギー密度(理論値) アルミニウム空気電池はリチウム空気電池に次いで2番目にエネルギー密度が高い。左端に参考例として示したリチウムイオン蓄電池の10倍程度の容量である 出典:High Energy Density Metal-Air Batteries: A Reviewに掲載された数値から作成

 ガソリンのエネルギー密度は1万3000Wh/kgと圧倒的に高い。ただし、ガソリンの燃焼エネルギーを運動エネルギーに変換する効率は低く、注2の論文によれば、実際に利用できるのは1700Wh/kgだという。

 これに直接対抗できるのが金属空気電池だ。ただし、金属空気電池にも扱いにくい性質がある。「リチウム空気電池は非常に課題が大きい。亜鉛空気二次電池は繰り返し充放電によってデンドライトが生じ、電池の内部短絡が問題になる」(陶山氏)。リチウム空気電池には、電解液の種類によるものの、負極の保護層が腐食しやすいことや、過電圧(損失)が大きい、大電流を取り出しにくいといったさまざまな課題がある。

 そこでアルミニウム空気電池、それも一次電池に注目したのだという。「亜鉛やリチウムの空気電池で生じる問題が起きず、高出力で高安全な電池ができる」(陶山氏)。自動車に適した性質だ。

 アルミニウムは入手できる金属のうち、最も資源量が多い(クラーク数)。鉄をも上回る。このため、自動車に大量採用された場合、希少なリチウムに対して優位性がある。鉱石から金属を生成する際に多量の電力を必要とするものの、再生可能エネルギー由来の電力を使えば二酸化炭素排出増にはつながらない。使い終わったアルミニウム化合物は再度金属に戻すことが可能だ。金属アルミニウムの製造、再利用を含めて電池として捉えることもできる。


充電できない電池が役立つ

 研究対象となった一次電池は充電ができない。いわば使い切りの電池だ。これは電気自動車には適さない性質ではないだろうか。

 「車載電池の容量は現在でも非常に大きい。これを一般的な電気プラグで急速充電しようとすると、電池側がどんなに頑張ってもインフラが制約になってしまう。それに対して金属空気一次電池では放電後のバッテリーパックを交換する『メカニカルチャージ式』を採用することで、急速補充が期待できるのではないかと考えている」(陶山氏)。

 急速充電器は、普通充電器よりも高価だ。さらに短時間で充電しようとすると大電流を扱う機器が必要になるという主張だ。電池本体を交換式にしておけば、電池の容量が多くなっても交換に必要な時間はさほど変わらない。容量が100%残っている電池を差し込めば、そのまま「満充電」状態になる。
(続く)
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続続・次世代エコカー・本命は?(19)

2017-04-27 00:00:00 | Weblog

とは言っても、何か始めなければ始まらない。取りあえずと言うわけではないが、4人だけの組織であってもEVの開発は、至急始めてもらいたいものだ。



時事深層 COMPANY
トヨタ初、「4人だけ組織」の狙い
EVの開発に動き出す


日経ビジネス2016年11月28日号目次

トヨタ自動車が12月、EV(電気自動車)の開発に特化した社内ベンチャーを立ち上げる。グループ会社から専門家を集める少数精鋭の組織は、トヨタでは初めてとなる。素早い判断を下し、EVで先行する他社に対抗する。

 「各社からEV(電気自動車)開発のノウハウを持つ幹部クラスを集める」。トヨタ自動車関係者はこう明かす。

 トヨタは11月17日、EV開発に特化した社内ベンチャーを立ち上げると発表した。わずか4人の超少数精鋭部隊で、豊田章男社長の直轄下に置く。トヨタに加え、デンソー、アイシン精機、豊田自動織機のグループ3社がそれぞれ1人ずつ人材を出す。

 外部人材を交えた少人数での社内ベンチャーはトヨタでは初めての試み。どのような人材が選ばれるかに注目が集まる。関係者によると各メンバーや今後の計画など新組織の具体的な内容を12月1日にも発表する予定。開発が進むにつれて増員する見通しだという。

開発の短期化が課題に

EV本格参入でエコカー全方位開発へ
●トヨタ自動車が持つ次世代エコカーと主な車種

 トヨタは「究極のエコカー」と位置付けるFCV(燃料電池車)の「ミライ」を2014年12月に発売。同じ燃料電池システムを使った燃料電池バスを2017年1月に発売する。HV(ハイブリッド車)、PHV(プラグインハイブリッド車)にEVも加え、次世代エコカーを全方位で開発することになる。

 新組織の狙いは開発の加速だ。2018年には米国のZEV(排ガスゼロのクルマ)規制厳格化と中国でのNEV(新エネルギー車)規制導入が控える。いずれもHVは対象外となり、EVの存在感が高まる可能性がある。豊田社長は「ベンチャー組織としてその分野だけを専門に考え、スピード感のある仕事の進め方を確立する」とコメントした。

 ある欧州自動車メーカーの幹部は「EVでは開発サイクルはぐっと短くなる。トヨタの開発サイクルは27カ月と業界で最も短い部類だが、我々はEVで20カ月を達成する」と意気込む。部品点数が少なくなるEVでは、製品の投入サイクルが短くなると予想される。トヨタは最低限の人数で素早い意思決定ができるベンチャー組織で対抗する。

 もう一つの狙いとみられるのが、EVにおけるグループ各社の役割を明確にすることだ。今回、メンバーとして加わる3社はトヨタグループの中核企業で、既にEV分野で実績がある。デンソーはクルマの頭脳であるECU(電子制御装置)をEV向けに開発しているほか、トヨタが2012年に限定発売した小型EV「eQ」や日産自動車「リーフ」向けにヒートポンプ式エアコンを出荷している。アイシン精機はHV用トランスミッションなどの実績が豊富。EVではトランスミッションが不要になるとの見方もあるが、「足回りの技術開発のノウハウはEVでも生きる」(アイシン精機広報)。

 豊田自動織機には世界シェアトップのフォークリフト事業で培った電動化技術が眠る。アジア諸国で普及する3輪EVタクシー向けに超小型インバーターやモーターを納入するほか、三菱自動車の小型EV「アイ・ミーブ」や欧米メーカーの各種EVにエアコン用の電動コンプレッサーを出荷する。

 いずれもトヨタ以外のメーカー向けで実績を積み重ねているが、トヨタのEV戦略が定まらなくてはグループ内で事業が重複する恐れがある。

グループ内での重複を避ける

 例えば、HVやEVに必要なモーター事業をいまだトヨタ、デンソー、トヨタ紡織、豊田自動織機が持つ。EV向けでも、既にインバーターはアイシン精機と豊田自動織機で技術領域が重なり、グループ内でも競争している。

 トヨタは2014年以降、シートやトランスミッション、ブレーキなどを対象にグループ内で重複する事業の整理・再編を進めてきた。EVでもグループ各社の役割を明確にして投資や事業の重複という二の舞いを避け、開発効率を高める狙いもある。

 EVの開発は以前よりも水平分業が進むなど、産業構造が大きく変わる可能性がある。独BMWが韓国サムスン電子からバッテリーの提供を受けるなど、異業種との提携も進みつつある。
 新組織は「ケイレツ」の力を最大化する従来型のトヨタ流にも見える。「自前」と「外部調達」のラインをいち早く見定め、グループ外の企業との提携も視野に入れた開発ができるかが次の焦点となる。
(島津 翔)

包括提携結ぶマツダもEV本格参入

 トヨタ自動車の新組織設立の発表と時期を合わせるかのように、同社と包括提携を結ぶマツダも、2019年にEVに本格参入することを表明した。

マツダは一時リース販売していたEVに本格参入する

 2021年以降に導入予定のPHVも含め、電動化技術の開発ではトヨタとの協業が視野に入る。しかし、次世代エコカーで全方位の開発を進めるトヨタとは対照的に、マツダは内燃機関にこだわる姿勢を崩さない。

 「まずやるべきは内燃機関で最高の燃費を実現すること」。11月15日、報道機関の前で2019年のEV投入を表明した小飼雅道社長は、内燃機関の重要性を繰り返し強調した。2017年後半には北米市場に、得意のクリーンディーゼル車を投入することも同時に発表した。

 マツダはディーゼルエンジンなど一連の低燃費技術「スカイアクティブ」を原動力に、リーマンショック後の苦境から復活した。その同社がEVの開発を進めている背景にあるのは、米カリフォルニア州のZEV規制だ。2018年からマツダも規制対象となる。さらに、マツダの現行商品の中で唯一ZEVの環境車としてカウントされ得るHVは、同年にその枠組みから外れる。

 一方、ZEVのような車種別の環境規制がない欧州市場について、小飼社長は「(2018年度に導入予定の)第2世代のスカイアクティブ技術で、CO2(ニ酸化炭素)排出量がさらに改善されることが大きく寄与する」と話す。次世代エンジンを導入したHVやPHVが欧州の主軸になる。ただ、始動時の燃費の悪さなど内燃機関の弱点を電動技術でカバーするという考え方で、あくまで主役は内燃機関だ。

 国内アナリストは「マツダにはHCCI(予混合圧縮着火)エンジンという切り札がある。これが実現すれば、内燃機関を軸にしてまだまだ戦える」と話す。HCCIは点火プラグを使わず、ガスの圧縮により自然着火させること。マツダはHCCIを世界で初めて導入することを目標としている。「究極の燃焼技術」とも称され、実現すれば同社の燃費の平均値は約3割も改善する。

 マツダの内燃機関へのこだわりは「ウェル・ツー・ホイール(油井から車輪まで)」という概念に基づく。EV、FCVも電気、水素を作る時にCO2を排出する。走行時以外も含めて排出量を最適化するためには、内燃機関の改良が最優先になるという考え方だ。「現状、主要国でウェル・ツー・ホイールを基に規制をしている例はない」(マツダ国内広報部)。

 自らの強みである内燃機関を強化しながら、規制に対応するために電動化を使い分ける。マツダの両面戦略が功を奏するかにも注目が集まる。
(寺岡 篤志) 日経ビジネス2016年11月28日号 12~13ページより
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/NBD/15/depth/112200442/



トヨタの新組織の狙いは開発の加速と、グルーブ各社の力を効率よく束ねて遠回りなどせずに一直線にEVを開発することのようだ。トヨタはハイブリッド車は基本形であり、バッテリーを強化してエンジンを無くせば、すぐにでもEVになると豪語していたし、そのバッテリーをFuel Cellに置き換えればすぐにでも(と言ったかどうかは知らないが)燃料電池車が出来る、と思っていた様だ。
(続く)
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続続・次世代エコカー・本命は?(18)

2017-04-26 00:00:00 | Weblog

但しいくらEVが普及したからと言って、中国の大気汚染問題が解決するわけではない。何と言ってもPM2.5の発生元は、巷で焚かれている石炭ではないのかな。この石炭を何とかしないと、中国の大気汚染問題は解決しない可能性がある。

中国で売られているEVやPHVの性能がどんなものかは知らないが、それほど気張ったバッテリーは搭載されてはいないのではないのかな。だからそこそこの性能のEVでも、今までは売れたのではなかったのかな。以前そんなことも書いた記憶があるが、時代が進んできた現在ではそうも言っておれないのかもしれない。

何はともあれ、中国でクルマを売るとしたら、EVは必須となろう、否中国だけでなくても。



(6)トヨタ、EV開発へ。エコカー全方位対応。

そんな訳でトヨタとしても、EVを手掛けなければならなくなってきたということだ。いささか遅きに失した感もあるが、2016.12.1付でEV開発の組織を立ち上げることになる。但し僅か4人のベンチャー組織だ(今では30人位になっているようだが)。

もともとトヨタは、街乗りコミューターの「i-Road」をものにしているし、iQをベースに「eQ」と言うEVを開発しているので、EVに無縁だったわけではない。ただ僅かな距離しか走らない電気自動車なんぞは「クルマ」ではない、と言う不遜な?考えを持っていた様だ。これもC級ライセンスを持つ「走り屋」の豊田章男社長の考え?だったようで、そのためEV開発には少し出遅れた感がある。今となっては、FCVでは、EVの領域の全てを、カバーしきれないのではないのかな。



トヨタ自動車が「EV事業企画室」を始動!電動化加速へ
2016/12/05 08:03 by Avanti Yasunori

2014年に、水素で発電してモーターで走行、水しか排出しない「究極のエコカー」とされるFCV(燃料電池車)「MIRAI 」を世界に先駆けて量産化したトヨタ自動車。



そのトヨタが今度はEV(電気自動車)の開発に向けて大きく動き出しました。12月1日付けでEVの開発や戦略を担当する「EV事業企画室」を社内に設置したのです。(https://clicccar.com/2016/11/24/418416/)

昨今のEV駆動用バッテリーの性能向上で航続距離拡大が見込めるようになったことや、欧米における環境規制強化に伴い、競合他社がEV開発に積極的に乗り出している状況を踏まえ、トヨタもHVやPHVを含め、全方位で対応する方針に出たようです。

「EV事業企画室」はまさにその先導役を担う部署で、豊田自動織機、アイシン精機、デンソーからも人材を募り、グループ企業の技術やノウハウを結集した僅か4名の少数精鋭で構成されています。

豊田章男社長直轄の組織となっており、加藤光久・寺師茂樹 両副社長を統括役員に、室長には現行4代目プリウスの開発を手掛けた豊島浩二氏が就任。

既存の社内組織に属さない、独立した社内ベンチャー的な組織運営を目指しており、意思決定を迅速化することで、EVの早期商品化につなげる考えといいます。

欧州ではVWが排ガス不正問題以降、EV戦略を鮮明に打ち出しており、BMWも電動化による新戦略を発表、ダイムラーもEVを軸にした新ブランド「EQを立ち上げるなど、電動化への動きが活発化しています。

また米国ではテスラに加え、GMEV「ボルトの航続距離を拡大、国内でも日産がEV開発の実績を持つ三菱自動車を傘下に入れるなどで動いている状況。

既に米テスラと共同開発した「RAV4 EV」や、小型乗用車「iQ」のEV版「eQ」、トヨタ車体によるパーソナルEV「COMS」、バイク感覚で運転できるユニークな「i-ROAD」などの開発実績を持つトヨタだけに、今後のEV開発に向けた動きが大いに注目されます。
(Avanti Yasunori・画像:トヨタ自動車)
http://clicccar.com/2016/12/05/423003/


トヨタのこの社内ベンチャー組織は、あまりにも泥縄式のように見える。今更縄を綯(な)っても遅すぎると言う物であろう。今やることはEVを作ることであり、企画することではない、と思うのだが。
(続く)
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続続・次世代エコカー・本命は?(17)

2017-04-25 00:00:00 | Weblog

参入規制および普及の課題

 2012年以降に登録したエコカー639車種のうち、年間生産千台以上の車種は77車種に過ぎないことから、企業乱立が見受けられる。また、エコカーメーカーが車両生産・出荷を優先するため、製品の品質問題も露呈している。中国品質協会が2015年に実施した調査によると、エコカー関連の苦情率がガソリン車の2.4倍に上がり、「航続距離が短い、充電時間が長い、内装が粗い」が主な苦情としてあげられる。さらに、補助金支給をめぐって、グループリース会社への卸売による虚偽取引、補助金受給した車両から電池の不正転売などの問題が多発している。



 制度の悪用や品質の低下が懸念されているなか、政府は今後段階的に補助金を引き下げ、2020年以降は補助金支給を中止する方針を明示した。2016年には「エコカー普及車種リスト」を公布し、補助金支給の対象が3,409車種から247車種に減少し、エコカーメーカー90社に対する補助金支給の適正調査も開始した*4。また、政府は2016年8月に設計開発能力、生産能力、アフターサービス・製品安全保障能力などのエコカー参入基準を引き上げ、「2年以内で審査を完了できない既存エコカーメーカーも生産ライセンスの一時停止」と規定した。*5業界ではエコカーメーカー10社を目途に集約するムードが漂っているなか、北京新能源汽車、奇瑞汽車などの5社がすでにライセンスを取得したことから、各社によるライセンスの奪い合いも白熱化すると見られる。

 他方、各地の充電スタンド性能の相違や業界標準の未普及がインフラ遅れの一因となっている。2015年末時点、中国の充電スタンド設置台数がエコカー保有台数の8%に過ぎず、一般消費者に普及しているとはいえない。こうした状況下、政府は2020年に充電スタンド480万ヵ所、充電ステーション1.2万ヵ所の設置を目指し、目標を達成した都市に対する補助金枠の積み増しなどのインセンティブを設けている。今後、市場と政府がいかにバランス良く役割分担できるか、具体的にはインフラの整備や消費者市場への浸透がどのように進められていくのかを引き続き注目していきたい。

日系企業の対応

 現在、中国ではガソリン車・HEVのコンセプトを超えた新市場の創出、次世代産業育成構想の下、政府主導による「跳び型」発展戦略(HEVを一足飛ばし)が見受けられる。一方、手厚い産業支援策を実施したことにより、地場企業が政策に過度に依存し、R&D能力の向上には負の影響をもたらし、「エコカー開発のバブル」も懸念されている。今後補助金の恩恵が期待できないなか、地場企業はR&D体制の構築に取り組んでおり、品質の向上やコストの削減を図っている。一方、電池・モータ等の基幹部品・部材・システムに関しては、地場企業のR&D能力が弱いため、その大半を外資系企業から調達しているのが実情である。

 かかる状況下、中国政府はエコカーおよび基幹部品分野において、外資系企業の進出を合弁形態でのみ可能とする制限を設けている。安川電機が奇瑞汽車と合弁でインバーターやモータ等の電気駆動システムの製造を計画し、パナソニックは北京汽車と合弁でEVエアコンのコンプレッサー生産を発表し、大連でリチウムイオン電池の生産も計画している。また、三井化学によるリチウムイオン電池向け電解液の生産や、日立金属によるネオジム磁石(EV軽量化材)の生産などの合弁事業もリリースされた。

 他方、補助金の減少により地場企業の外資系企業に対する価格競争力が弱くなり、エコカー市場のシェアも変化していくと予測される。江淮汽車と合弁事業の模索などに取り組んでいるVWの布陣をみると、合弁パートナーとの協業やエコカーの開発が日系完成車メーカーの喫緊の課題であろう。日系部品メーカーはエコカー分野の強みを生かしながら、現地パートナーの選別や販路の確保など、シナリオを持って中国戦略を描く必要もある。


*1 中国ではエコカーは新エネルギー車(NEV)と呼ばれており、EV・PHV・燃料電池車がNEVの補助金対象となっている。日系企業が得意とするハイブリッド車は省エネ
車と定義され、補助金対象外である

*2 三縦は「燃料電池動力システム」、「ハイブリッドシステム」、「純電動システム」を、三横は「動力電池技術」、「駆動モータ技術」、「電気制御システム」を指す

*3 中国政府が2006〜2020年の間に四段階の企業別燃料費規制(CAFC)を実施
し、100km走るのに必要な燃費が2020年に5.0ℓになる(15年平均は6.7ℓ)と規
定している

*4 2016年9月には金竜聯合汽車等5社の不正に対する処分を公表し、不正金額は
約150億円に上った

*5 工業和信息化部「新能源汽車生産企業及産品准入管理規定」(2016年8月)、「企業平均燃料消耗量与新能源汽車積分並行暫行管理弁法」(2016年9月)による


(図表1)中国エコカー市場(2016年1~11月)
生産  販売
2015年 34   33万台
2016年 45 40

BYD(35%) 北汽(15%) 吉利(14%) 衆秦(8%) 上汽(7%) 奇瑞(5%) 江准(5%) Tesa(3%) 他(8%)


(図表2)世界エコカー販売(2016年1~10月)

BYD8    4,291台
テスラ    57,669
日産     47,282
BMW     46,651
北京汽車   36,923
VW      29,139
三菱自    26,511
シボレー   24,534
ルノー    23,780
フォード   20156

https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/world/info/globalnews/pdf/global1701-02_04.pdf


ライセンスとか補助金などと言えば、賄賂と不正が蔓延ることになるのが中国の常である。例にもれずそのような危惧を表明している論考を見つけたので掲載するので一読願う。また次のURLも一読されるとよい。http://diamond.jp/articles/-/104446


日産自・現代自も・・中国の補助金目的の新エネ車販売 不正蔓延る
[ 2016年9月10日 ]

中国政府は、車両排ガスや工場煤煙による大気汚染対策から、また、中南海の住民も鼻毛が伸びてしょうがないことから、20年までに新エネ車のEVを500万台普及させ、充電網も完成させる方針。

ただ、充電網はまだ普及段階であり、都心部でも充電設備が不足している。それを補うのが、電気での航続距離の伸びるPHVであり、充電設備不足を解消する新エネ車と位置づけている。

政府は、新エネ車(EV/PHV)を普及させるため、各種メリットのほか、高額の補助金を購入者に対して支給している。
その補助金をめぐり、多く不正が蔓延っていると、当局が今年2月から調査に乗り出していた。

中国の新エネ車(EV/PHV)販売の昨年比較  単位:万台
 
     2015年      2016年
     万台 EV PHV  万台  EV   PHV 
1~7月  8.9 5.5 3.4   20.4  15.2   5.2
前年比           129.2% 176.4% 52.9%
年計 33.1 24.7 8.4
  

 
中国財政省は2016年2月から、エコカー普及のために政府が給付している補助金の詐取行為に対する一斉取り締まりを開始した。北京、上海、江蘇など全国25省・直轄市で来月下旬まで実施すると2月3日付人民日報などが伝えた。

2013~15年度に政府補助金を受けたエコカーメーカー全90社と、エコカーを購入した企業や事業体、補助金給付にかかわる地方政府の担当部門が対象。
 
9月8日、中国財政省はEV/PHVを対象とした補助金制度を悪用し、約10億元(約153億円/15.370円)を違法に受け取っていたとして、国内会社5社の生産ライセンスを取り消し及び罰金を発表した。
 
9月8日~9日、中国国営メディアは、エコカー補助金不正需給問題が拡大し、日産自動車、現代自動車、吉利汽車(シーリー)、安微江准汽車(JACモーター)、比亜迪(BYD)の子会社などを含む20社の関与を指摘している。
 
<不正検査内容>
1、メーカーが、補助金を受ける際に提示したデータや電気自動車(EV)電池の調達数と販売数が適切かどうか、
2、車両販売数に虚偽がないか、
3、不適切な車両の買い戻しを行っていないか、
4、虚偽の取引や販売価格の偽装が行われていないか
などを調査し、違反行為があれば厳しく処分する。
 
エコカーの補助金をめぐっては、
5、一部メーカーが、補助金取得目的で、はじめから市場に出す予定のない低品質の車両を量産し、グループのリース会社に販売した形にして補助金を詐取したり、
6、補助金を受給した後に車両から電池を取り出して再利用するなどの不正が横行している
との指摘されている。
楼継偉財政相は1月、エコカー補助政策を20年以降に廃止する方針を表明。補助金の詐取行為を厳しく取り締まる考えを示していた。
 
<EV/PHV販売台数>
中国自動車工業協会によると15年のEVとPHVの販売台数は33.1万台世界一となった。

今年も1~7月までの新エネ車合計は前年同期間比で29.2%も増加しており、普及に勢いが付いている。

2015年は33.1万台を販売されたが、バスなどの商用車が12.4万台で占有率は37.4%だった。

バスに対するEV補助金は、中央政府と地方政府からそれぞれ30万元の計60万元が支給されるという。
 
なお、韓国勢蓄電池大手のサムスンSDILG化学は、中国当局が新たに設けた蓄電池の認定を受けられずにいる。理由は、バスの炎上事件、その原因だった蓄電池の仕様が、三元系バッテリーで、両社も仕様が同じだったことによるもの。

そのため両社は中国当局に対して何回も審査に出しているが、認証を受けられず、現在も補助金対象から除外されている。

中国では、EVに両社の蓄電池が搭載されなくなっている。

認証の別の事由では、THAADミサイルの韓国配備方針への報復
とも見られている。

EVの場合、車両価格に占める蓄電池の価格は1/3以上とされ、蓄電池が補助金対象でなければ、車両メーカーは当該電池を採用できない。

ただ、外国勢系で現在までに認められているのは2社あまりで、純国産の保護貿易主義の観点から除外したものとも見られている。
 
 
2016年 新エネ車販売推移 :万台
      計  EV  PHV
1~2月  3.5  2.4  1.1
  3月  2.3  1.8  0.5
  4月  3.1  2.4  0.7
  5月  3.5  2.6  0.9
  6月  4.4  3.4  1.0
  7月  3.6  2.6  1.0
1~7月計 20.4 15.2  5.2

・新エネ車が売れるのは、大気汚染対策の国の政策、補助金が出ることと、抽選なしのプレート取得およびプレート取得代(ガソリン車8万元)免除などある。
 
http://n-seikei.jp/2016/09/post-39610.html



さて、一つ前の論考の図表2のエコカーの台数はほとんどがEVかPHVであり、その意味でFCVのトヨタの名前はない。FCVは中国ではこれからと言うよりもかなり先のもので時機尚早なのである。これがEV系のエコカーを持っていないトヨタの悲哀である。先ごろPHVを出したとはいえ、相当出遅れていることには間違いない。中国でのVWとの差を挽回することは、当分の間できないのではないのかな。小生は、中国ではそれほど気張る必要はないものと思ってはいるが、特に大気汚染問題が深刻なのでCO2を出さないEVは必須のエコカーとなるのである。
(続く)
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続続・次世代エコカー・本命は?(16)

2017-04-24 00:00:00 | Weblog

NEV規制のNEVとはNew Energy Vehicleと言い、いわゆるエコカーのことである。対象となるクルマは、EV、PHV、FCVの3車種だけでありHVは含まれていない。中身は違うだろうが 、カリフォルニア州のZEV規制と同じ性格のものであろう。中国としては、二番煎じとなってしまうので、ZEV規制とは呼びたくなかったものと思われる。ZEVをNEVと呼ばせて、悦に入っているものと思われる。まあそうは言っても、中国版のZEVゼロエミッション規制であることには間違いない。

もう、ぐちゃぐちゃだ。本気で中国ビジネスを考え直さなければならない」と当事者達も言っているように、中国のNEV規制は我々素人には皆目見当もつかない。

しかし、2018年からはエコカー生産は「ライセンス制」となり、自動車取得税の減額もなくなり補助金も減額されてゆき、そのうちなくなるようだ。だから中国でどのようなエコカー戦略をとっていったらよいのか、疑心暗鬼の状態なのだろう。しかも例によってライセンス取得にはそれなりに「コネ」も必要なようで、ひょっとしたら日系企業は貰い損ねるなんてこともあり得るのではないのかな。

それにしても2017.1.1から補助金の交付額を引き下げたようで、それまでは販売店はそれなりにもらえたものが少なくなるため、その分の値引きが難しくなり値上げに踏み切っていると言う。だからエコカーの販売も徐々に頭打ちになってゆくに違いない。

そうなれば、いくら中国政府の心証が良いVWと言えども、バンバンと売り上げが伸びることもなくなるのではないのかな。



経済】【中国】エコカー値上がり、購入補助減額分を価格転嫁
2017年02月12日17時15分

中国の新車販売市場でこのところ、電気自動車(EV)などのエコカーの一部車種が実質値上げされている。補制度見直しの一環として、中国政府が2017年1月1日から交付額を引き下げたため。この減額分を消費者に転嫁するメーカーが早速見られ始めた。業界関係者の間では、「エコカー値上げは必然的な流れ」との見方が大勢を占めるという。中国経済週刊が7日付で伝えた。

他社に先駆けて、比亜迪(BYD:1211/HK)は実質値上げに踏み切っている。すでに補助減額分をそのまま消費者への実勢販売価格に反映。春節前に購入契約を結んだ消費者に対しては、特別キャンペーンとして5000~8000人民元(約8万~13万円)のキャッシュバックを自腹で用意した。しかしそれでも、昨年に比べて消費者負担は増えている。BYDのEV「e5」を例にとると、国からの補助金は1台当たり4万4000人民元減額された。メーカーからキャッシュバックを受けたとしても、3万人民元を超える負担増となる。消費者からは、「価格面の魅力がなくなれば、ガソリン車を買ったほうが良い」との声も聞かれるという。

半面、当面の対策として、補助減額分のすべてを自社負担するメーカーも散見される。補助減額の当局発表があった直後に、北京汽車傘下の北汽新能源汽車は「全車種を春節中は値上げしない」と宣言。補助減額分を自社で全額補う方針を打ち出した。ただ、これは春節セール期間中の限定措置。同社契約ディーラーの担当者は、「春節連休が終わったいま、必然的に値上げされるだろう」と話した。

中国政府は昨年末、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)などの新エネルギー車向けの購入補助制度を17年から見直すと発表した。補助金交付基準を引き上げると同時に、交付額を引き下げることを明らかにしている。これによって1台当たりの交付額は20%圧縮された。さらに地方政府から給付されるエコカー補助についても、中央から給付される補助金額の50%以下に抑えるよう通達されている。昨年までは「最大1:1」の比率が認められていた。

工業和信息化部(工業情報化部)の報告によれば、中国の新エネルギー車販売は、2年連続で世界最多を記録した。16年の通年では、生産が51万7000台、販売が50万7000台に伸びている。保有台数は100万台の大台を突破。世界全体の5割を超えた。

【亜州IR】  《SK》   提供:フィスコ
https://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n201702120065


まあ情報収集力も解析能力もない小生にとっては、この中国のNEV規制の中身は解らないが、日本企業にとっても影響は大なのであろう。

次の記事を一読して、その感触をつかんで頂きたい。



中国エコカー産業の成長と日系企業の対応
みずほ銀行 国際営業部 調査役 湯 進
mizuho global news | 2017 JAN&FEB vol.89
湯調査役

 8年連続で自動車生産・販売の世界首位を維持した中国は、「自動車大国」から「自動車強国」への脱皮に向けて、次世代自動車分野で戦略的布陣を急いでいる。中国政府は「第13次5カ年計画(2016~2020年)」で、製造業の競争力向上を国家戦略として推進し、なかでも電気自動車(EV)・プラグインハイブリッド車(PHV)を中心とするエコカー産業が戦略的に育成分野となっている*1。こうした中長期の産業育成策にともなう市場の形成や、技術・部材の需要も日系企業には追い風になると考えられる。

政府主導下の産業発展

 中国では既存のガソリン車技術が遅れているなか、大気汚染の深刻化やガソリン輸入への過度な依存もあり、政府は2012年に「新エネルギー車産業発展計画(2012~2020)」を発表し、エコカー産業の育成に力を入れている。2015年には「中国製造2025」および10大重点育成産業を打ち出し、「2025年までに自動車市場におけるエコカー比率が20%、自主ブランドシェアが80%」などの目標を掲げている。

 日本がハイブリッド車(HEV)に開発の重点を置くのに対し、中国は既存特許等の参入障壁が比較的に低いとされるPHVやEV分野の発展に取り組んでいる。中国では地場有力エコカー企業が立地する都市がモデル地区として指定され、2010年から個人向けのエコカー補助金支給制度を始めた。また政府は、エコカー「三縦三横」*2技術の向上およびR&Dシステムの構築に急いでおり、中国版ゼロエミッション規制(ZEV)の導入や厳しい燃費規制などにより、地場企業の「エコカーシフト」も促そうとしている*3。 すなわち公的助成金によるエコカー需要の創出や基幹部品の量産が実現できれば、基幹部品・車両価格の低減が見込まれ、エコカーの普及にもつながる。こうした潮流下、中国のエコカー生産台数は2014年に7.8万台、2015年に33.1万台、2016年には40万台を超えると見込まれている(図表1)。

地場企業の成長と異業種参入

 補助金支給制度の波に乗り、多くの地場メーカーは成長を遂げている。BYD汽車、北京汽車の2社が世界エコカー販売トップ10にランクインされており、中国市場でも約5割のシェアを占めている(図表2)。1995年に電池事業でスタートしたBYD汽車は、世界初の量産型PHV「F3DM」の開発(2008年)、PHV「秦」の発売(2013年)など、エコカーシフトの姿勢を見せている。エコカー販売台数は2015年に6万台、2016年1~10月には8.4万台に達し、2年連続で世界1位となっている。同社は2013年に「542戦略」と呼ばれる技術目標(0〜100km/hの加速が5秒、4輪駆動、100kmあたり必要燃料が2ℓ)を打ち出し、PHVシリーズの発売によりラインアップの拡充を進めている。

 中国では小型EV(ホイールベース2.3m以下)がコストパフォーマンスで好調を維持し、現在のEV販売の6割超を占めている。北京汽車が低価格小型EV「Eシリーズ」の好調により、2016年1〜10月期に販売台数約3.7万台で中国のEV販売首位となっている。当社はEV買替補助金を設け(最大27億円)、中古車両の買い取りや自動車ローン利子の負担などを通じて、地元市場における需要の喚起を図っている。

 また、異業種からの新規参入も目立っている。エアコンメーカーの格力電器は珠海銀隆(地場EVメーカー)を、自動車部品大手の万向集団がKarma Automotive(米PHVメーカー)を買収し、エコカー業界への参入を果たした。アリババ、テンセント等のネット関連企業はエコカーベンチャーを立ち上げ、EVメーカーへの委託生産に取り組んでいる。現在、中国エコカー市場では、外資系企業が関連製品を投入し始めているものの、地場メーカーが依然9割超の市場シェアを占めている。地場メーカーの攻勢を受け、世界2位のテスラ(米)は中国では苦戦しており、2016年1〜10月の販売台数が約7,000台でとどまっている。
(続く)
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続続・次世代エコカー・本命は?(15)

2017-04-21 00:00:00 | Weblog

しかし、VWがリードする巨大な中国市場では政府の各種補助金で追い風を受けたわけだが、この補助金は1月で期限切れ(2016/12末で終了)となると書かれていたが、業界からの要望を受けて2017年末まで自動車取得税の減税については延長することを決めている。但し10%→5%だったものを10%→7.5%と減税幅を縮小する。更に補助金についてはEVとPHVについては減額されていく様だ。そのため今年は、昨年のような好業績を達成するのは、少しは難しくなるのかも知れない。
アメリカは、VWにとってはこれからの市場であり、アメリカで売れなくても今年や来年の当座はそれほど問題はない。しかしさらなる成長には、アメリカは大事な市場となる。どうアプローチするか、VWの戦略は見ものだが、こと中国に関しては税金や補助金などの規制がコロコロと変わるので、VWにとっても厄介だ。



(5)中国市場のエコカー規制はどうなる?


中国では、2018年からエコカーの生産をライセンス制にするようで、ライセンスの無い企業は生産が出来なくなるようだ。しかもそのライセンス取得の基準もはっきりしていないようで、必然的に腐敗の蔓延る基となりかねないものだ。そしてそれと同時に取得税の減税処置を終了とし、補助金も段階的に削減してゆくと言う。



中国、エコカー生産に壁 18年からメーカー数制限
2017/1/12 6:45
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

 世界最大の自動車市場である中国で「2018年問題」が浮上してきた。政府が電気自動車(EV)などエコカーを生産できるメーカー18年から絞り込む政策を近く発表し、同年に先進国並みの環境規制を導入することも決まったためだ。小型車減税は今年で終了し、エコカー補助金も今後大きく削減される。拡大の続いた市場は18年から激変する可能性が高まってきた。

 「もう、ぐちゃぐちゃだ。本気で中国ビジネスを考え直さなければならない」。日系メーカー幹部らは今、こう言って、いら立ちを隠せない。

 17年に3千万台の大台をうかがう中国の自動車市場が水面下で揺れている。事の発端は昨夏。政府がメーカー側に示した1通の文書にあった。

 「今後、エコカーを生産できるメーカー数を制限する。18年以降に生産したければ、政府が許可する新しい生産ライセンスを取得せよ」。おおむね、そんな内容だ。

 中国では「ライセンス許可が必要なところ、腐敗あり」と言われるほど許認可は厄介だが、各社が慌てたのにはほかにも理由があった。中国政府が先進国並みの環境規制「NEV規制の導入も検討していたからだ。

独VWは“ルール違反”とも取れる、3社目の中国メーカーとエコカー事業で提携した(写真はVWの新型PHV。昨年4月の北京モーターショーで)

 同規制は、EVやプラグインハイブリッド車(PHV)など環境負荷が小さい車を相当な量を売らなければ通常のガソリン車の販売は認めない厳しい内容だ。

 つまり、エコカーのメーカー数を大きく制限する一方、エコカー販売は厳しく義務付ける。中国でエコカーはEVやPHVで、通常のハイブリッド車は含まない。計画では現在約120社に達するエコカーメーカーを、18年以降は20社程度まで絞る案で検討が進む。

 全く逆にも見える2つの政策の狙いはなにか。

 中国で昨年、エコカー補助金不正受給が横行したことが、まずは背景にある。グループ内の企業間でEVを販売したように見せかけるのは序の口。その売ったと見せかけた車から電池だけ抜き取り、別の車に載せ、新たにEVを売ったように見せる不正受給も相次いだ。こうした悪質な企業の排除が政府の狙いだ。

 一方、中国では大気汚染が深刻で環境対策は待ったなし。先進国並みの厳しいNEV規制の導入が必要と判断したのだ。

 ただ、2つの政策が始まる18年まで1年を切り、エコカー投入を準備するには時間が限られる。そもそも日産自動車やホンダ、トヨタ自動車の現地合弁など大半のメーカーは新ライセンスの取得すらできていない。

 だが、そんなメーカーをさらに混乱させる事が相次いで起こっている。

 まずは独フォルクスワーゲン(VW)だ。昨年9月、中堅の安徽江淮汽車(JAC)とともにエコカーの合弁会社をつくると発表。VWにとっては中国企業との間で結ぶ3社目の提携で「2社まで」と定める外資規制への違反は明らかだ。

 だが、この案件は、JACが本社を置く安徽省の出身の李克強首相が、地元企業のJACを後押しした大型のEVプロジェクトだ。表だって問題視されず、他のメーカーは「(中国政府と元々近い関係にある)VWや中国企業が特別扱いされるのはおかしい」と憤る。

 2つ目はすでに中国企業8社が18年以降のエコカー製造の新ライセンスを得たこと。メーカーを絞り込む政策そのものがまだ発表されていないなかでの不可解な動きだ。

 当然、取得基準も明確になっていない。ライセンスを得た企業には北京汽車系、奇瑞汽車系
の実績のあるメーカーもあるが、技術やノウハウのない新規参入組が目立つ。そこには「中国市場で今後、エコカーが急増する」(外資系メーカー)のをにらみ、中国企業を競争優位に立たせたい露骨な思惑が見て取れる。

 一方、これまで中国市場の拡大をけん引してきた外資系大手の間では「限られた新ライセンスを本当に取得できるのか」という不安が渦巻く。

 中国政府は景気対策で導入した小型車減税を17年末に打ち切り、18年は反動減の恐れが強い。エコカー販売台数を16年に40万台超まで増やした補助金の削減も加速する。

 健全な市場が今後、中国に根付くには公平性をいかに確保するかがまずは不可欠。今回の政策転換には再考の余地が十分にあるといえそうだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDX11H0U_R10C17A1FFE000/
(続く)
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続続・次世代エコカー・本命は?(14)

2017-04-20 00:00:00 | Weblog

排ガス不正問題では、米国のVW幹部がFBIに逮捕されたと言う。これからVW本体への波及も進むのではないのかな。注目する必要があろう。VWが排ガス不正に手を染めていった状況は、小生のブログ「続・次世代エコカー・本命は!(22~)」(2016.5.3~)を参照願う。



VW幹部をFBI逮捕 排ガス虚偽報告の疑い 欧米報道
ロンドン=寺西和男
2017年1月10日09時11分

 独フォルクスワーゲン(VW)の排ガス規制の不正問題をめぐり、米当局に虚偽の報告をしていた疑いがあるとして、VWの幹部が7日に連邦捜査局(FBI)に逮捕されたと、複数の欧米メディアが9日報じた。排ガス不正問題をめぐって米国でVW幹部が逮捕されたのは初めて

特集:フォルクスワーゲン不正問題(http://www.asahi.com/topics/word/フォルクスワーゲン.html)

 VWは排ガス規制を逃れるため、ディーゼル車に不正ソフトウェアを搭載していた。米紙ニューヨーク・タイムズなどによると、幹部は2014年から15年春にかけて米国におけるVWの排ガス規制順守部門の責任者を務めた。FBIはこの幹部が米当局に虚偽の報告をし、不正ソフトの発覚を遅らせるうえで中心的な役割を果たした疑いがあるとみているという。

 ロイター通信によると、FBIは告発状で、この幹部らが15年7月、本社の経営陣に米当局は不正ソフトに気づいていないと報告し、経営陣も開示を求めるよりも隠し続けることを承認したと指摘。不正は15年9月に米当局が発表して公になった。
 VWの米国の広報担当者は9日、「VWは司法省に引き続き協力を続ける。捜査中の案件などにコメントをするのは適切でない」との声明を発表した。(ロンドン=寺西和男)
http://www.asahi.com/articles/ASK1B1V2NK1BUHBI00L.html


VW本体に関しては、独検察が捜査しているようだ。適切な情報開示を怠ったということで、トップへの捜査を始めている。


排ガス不正、VW幹部を捜査 独当局、株価ゆがめた疑い
ロンドン=寺西和男
2016年11月6日23時26分

 独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は6日、独検察当局がVWの最高意思決定機関である「監査役会」トップのハンス・ディーター・ペッチュ会長ら2人について捜査を始めたと発表した。排ガス規制不正に関する適切な情報開示を怠り、株価をゆがめた疑いがあるとみられている。

特集:フォルクスワーゲン不正問題
(http://www.asahi.com/topics/word/フォルクスワーゲン.html)

 ペッチュ氏は昨年9月に不正が発覚した時点で、VWの財務担当取締役を務めていた。VWは6日の声明で、「取締役会はドイツの法律にそって開示義務を完全に果たしていた」とする一方、検察当局の捜査に全面協力するとした。

 不正問題の発覚を受け、VWの株価は一時、大幅に下落した。不正は米環境保護局(EPA)が公表して発覚。しかし、独検察は、それ以前にVW側がEPA側からの問い合わせで不正を把握しながら適切な情報開示を怠って株価をゆがめた疑いがあるとして、マルティン・ウィンターコルン前最高経営責任者(CEO)の捜査を進めている。(ロンドン=寺西和男)
http://www.asahi.com/articles/ASJC674GLJC6UHBI01J.html


このVWの排ガス不正の責任問題もそのうちに明らかになってくるものと思われるが、経営トップも絡んでいるので、はなはだ厄介だ。ドイツ政府も取り扱いに苦慮することになろう。と言うのもVWをつぶすわけにもいかず、さりとてしっかりとお灸も据えないと世界の目が納得しないからだ。何といってもドイツはユダヤ人の虐殺を、ヒトラーとナチスだけに責任を負わせて、ドイツ自体には責任はないと未だにごまかしているからだ。そしてそのことを隠すためか、日本などには厳しく当たっている。まことにメルケルをはじめドイツは不誠実な国なのである。

さて世界の目があるから、VWも不正対象車の無償修理には真面目に取り組まなければならない。
当初は2016年中に終えたいとしていたが、とてもじゃないが対象車両が1,100万台もあるので、計画通りにはいっていない。それでも2017年の秋には修理を完了させたいと言っている。本当にできるのかな。



VWリコール、17年秋までの完了目指す EU域内
ロンドン=寺西和男
2016年12月21日23時46分

 独フォルクスワーゲン(VW)は21日、排ガス規制の不正問題について、欧州連合(EU)域内で、すべての不正対象車のリコール(回収・無償修理)に必要な許可を独運輸当局から取得したと発表した。これを受け、VWは欧州域内で2017年秋までにリコールの完了を目指すという。

 不正対象車は世界で約1100万台で、EUの28加盟国ではうち約850万台が対象だった。VWは今年1月末からリコールに着手していた。

 VWは米国でも20日、米当局などとの間で、排気量3リットルの不正車をリコールや買い取りで対応することで合意したと発表。今回の合意で、米国内でもすべて不正車への対応のめどがついた形になる。(ロンドン=寺西和男)
http://www.asahi.com/articles/ASJDP6KSYJDPUHBI030.html


と言ったように、今年もVWは多事多難だ。
(続く)
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続続・次世代エコカー・本命は?(13)

2017-04-19 00:00:00 | Weblog

次の記事は昨年の6月の物なので、やや古いものだが、一読願う。日経電子の版(バーン)なのでそれ程間違ってはいないものと思われるが、費用のくくり方や集計時期によりかなりの変動があるようだ。2017.3.15の東京新聞によると、「米国の当局と合意した支払額は民事と刑事を合わせて約二百億ドル(約2兆2970億円)に達する。規制逃れ問題による支出はヤマを越えたとの見方が出ている一方、株主や顧客の損害補償請求の大半が未決着で、最終コストは見通せない。」としている。




VW、1.5兆円支払いで米当局と和解 排ガス不正で
2016/6/28 23:12 (2016/6/29 1:26更新)
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

 【ニューヨーク=稲井創一】独フォルクスワーゲン(VW)によるディーゼル車の排ガス不正問題で、VWと米当局は28日、VWが総額147億ドル(約1.5兆円)を支払うことで和解した。米国における自動車メーカーの訴訟和解金(制裁金)としては、トヨタ自動車の12億ドルを大きく上回り、過去最高となる。

 VWは排気量2000ccの不正車の買い戻し費用や罰金、集団訴訟の和解金などに約100億ドルを支払う。該当する不正車は47万5000台あり、所有者には5100~1万ドルの補償金を支払う。さらに環境関連費用や電気自動車の普及促進などに47億ドル支払う。主力車の2000ccの不正問題を巡り米当局などと和解したことで、米国での同社の排ガス不正問題はヤマ場を越える

 今回の不正問題で、主力エンジン技術「ディーゼル」の燃費に対する信頼性が大きく低下し、世界の自動車メーカーのエンジン開発戦略にも影響を及ぼした。

 VWは次世代燃費車の軸足をディーゼル車から電気自動車に置いた新たな成長戦略を米国でも推進する。ただ、米国内でシェアは約2%と苦戦。ブランドイメージが大きく傷ついたこともあり、米国での反転攻勢は容易ではなさそうだ。

 米国では米メキシコ湾で発生した原油流出事故での和解金を巡り、2015年10月に英石油大手BPが米政府・州政府に208億ドル(約2.1兆円)支払うことで最終合意した。米国での環境汚染や規制面で違反すると巨額の支払いが企業に課せられるリスクが鮮明になっている。米国で事業展開する日本企業にとっても、従来以上の厳格な法令順守が求められそうだ。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM28H9S_Y6A620C1MM8000/



CO2排出規制ではVWは当座は、ディーゼルエンジンで何とか乗り越えようと考えていた様だが、「ディーゼルゲート」で壁に突き当たってしまった。そのため急遽(でもないが)、EVにかじを切っている。

片やトヨタとしては、HVがあまりにも人気に博していたので、少し目が眩(くら)んでいた様だ。その反面、CO2の排出をゼロとすることが求められていたから、一直線にFCVに傾注し過ぎていた嫌いがあり、近中距離用途の移動体に対してはトヨタとしても後れを取ってしまっている

まあ大雑把に言えば、移動の用途としては、近距離、中距離、長距離の三つの区分が考えられるが、トヨタとしては、近距離は「i-Road」や「i-TRIL」があり長距離はFCV「ミライ」があるが、中距離用途としてはHVやPHVを当てると言う考えだったようで、PureEVを開発しようとはしていなかった(かどうかかは知らないが)。HVがあまりにも当たったので、PureEVの開発を疎かにした感がある。このことは2015.2.12の「次世代エコカー・本命は?(54)」でも少し言及しておいたが、環境対策上、一切CO2を出してはいけない時代が、遅かれ早かれ来るものと思ってかかる必要がある。そのためHVは環境対策車ではなくなったのである。トヨタは、HVにちょっと胡坐をかいていた感があったのではないのかな。だから早急にHVからは卒業する必要があったのである。今思うに、FCVよりもPureEVの開発を優先すべきだったのではないのかな。優先順位を間違えていたのかもしれない。

この状況は「自動運転車」の開発にも言える、クルマは人が運転するものだと言う考えから抜け出せなかった。クルマは人を移動させるもの、と言う考えになかなか行き着かなった、と言うわけだ。

CO2ゼロのためには、PureEVは、どうしても必要なのである。HVではダメなのである(と言うわけでもないが、HVはどちらかと言うといわゆる低開発国向けとなろう。)。このことは別途扱うこととして、VWの問題に戻ろう。


VWは2016年は世界販売がトップになり財務状況('15/12月期は大幅赤字、'16/12月期は黒字だった)も何とか持ちこたえたと言っても、課題は大ありだ。

先の3月15日の日経新聞によると、

まず第一に、黒字になったと言ってもその大半は、ポルシェとアウディが稼いてでいる。VW本体の営業利益率は1.8%とかつかつだった。それも排ガス不正の引当金が減ったためだと言うし、VWグループとしては、利益の6割はポルシェとアウディが稼いでいる反面、台数はVWの乗用車が6割を売っている、と言った状況のようだ。

だから、これからのEVや自動運転などの巨額な技術開発の費用を賄うには不安が残るようで、人員削減に踏み切らざるを得ないようだ。VWグルーブ全体で3万人の人員削減37億ユーロの合理化で、労使と'16/11月に同意していると言うが、そのため労使関係もぎくしゃくしだした、と書かれている。

第二の課題は、排ガス不正の責任問題

第三の課題はトランブ政権の動きだと言う。VWはメキシコ工場の依存度が高く、ドイツは2016年最大の貿易黒字を計上しているから、内心穏やかではない筈だ。この件は別途取り上げよう。




VW、3万人の人員削減へ コスト削減で投資資金を捻出
ロンドン=寺西和男
2016年11月19日00時33分

 独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は18日、世界で計3万人の人員削減に踏み切ると発表した。排ガス規制の不正逃れ問題を受け、環境対応車の軸足をディーゼル車から電気自動車(EV)に移しており、投資の元手を確保するためにコスト削減に踏み切る。

フォルクスワーゲン不正問題

 VWグループはアウディやポルシェのほか、VWブランドの乗用車部門、商用車部門など12ブランドに分かれている。削減対象はVWブランドの乗用車部門が中心で、ドイツのVWブランドの乗用車部門の2万3千人を含む。強制解雇はせず、早期退職などで対応する。これにより2020年以降は年間37億ユーロ(約4330億円)のコスト削減の効果を見込んでいるという。

 VWは不正問題を受け、遅れていたEVなどの開発を急いでおり、EVや自動運転につながるデジタル技術などに今後数年間で35億ユーロを投じる計画だ。ただ、リコール(回収・無償修理)や訴訟対応などに計182億ユーロを引き当てるなど対策費が膨らんでおり、コスト削減で投資資金を捻出する。

 VWの純損益は昨年12月期決算で15億8200万ユーロの大幅な赤字になった後、今年1~9月期は前年同期比49・9%増の57億3800万ユーロと黒字に転換している。ブランド別の営業利益は、ポルシェが前年同期より増益、アウディもほぼ前年並みだが、グループ販売の約6割を占めるVWブランドの乗用車は44%減った。収益回復のため、VW乗用車部門でのコスト削減が課題になっていた。(ロンドン=寺西和男)
http://www.asahi.com/articles/ASJCL35CCJCLUHBI010.html
(続く)
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続続・次世代エコカー・本命は?(12)

2017-04-18 00:00:00 | Weblog

トヨタサイドで言うと、中国への進出の遅れ、アメリカでの販売の停滞、プリウスPHVの販売後れなどで国内販売が停滞したことなどが挙げられているが、それらのことは織り込み済みで年前半の生産停止がなければ、十分に年間販売トップの座は維持できたものである。

VWサイドでは、中国販売が長年の努力傾注の結果が表れたとか、「ディーゼルゲート」(排ガス不正問題)の影響がブランド力のおかげで軽微に済んだことなどが、言われている。

しかし主原因はトヨタの躓きであり、愛知製鋼の爆発事故、アイシン九州の生産ストップ、アドヴィックスの爆発事故による18万台の減産に尽きるものである。今年になっても3月20日のトヨタ車体いなべ工場で火災が発生しているから、油断は禁物である。どれほどの減産となったかは小生は詳らかではないが、これ以上この種の事故が起きないことを願うばかりである。

それにしても「ディーゼルゲート」事件からの挽回は速かったものだ。まだこまごました問題はあるようだが、さすがVWグループのブランド力は大したものだ。



(4)VW排ガス不正問題、和解へ!


しかし排ガス不正問題でのVWへの制裁金(訴訟和解金)と言われるものは、総額約202億ユーロ(約2.47兆円)に上ると言う。えらいこっちゃ!。


VW不正で和解、復活への道険しく
The Wall Street Journal. STEPHEN WILMOT 1/12/2017(1月12日)

© Provided by The Wall Street Journal.

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

***

 独フォルクスワーゲン(VW)にとって、10日は一見めでたい日となったかに見えた。年間販売台数が過去最高に達したと発表するとともに、2015年の排ガス不正を巡り米司法省と和解に近づいているとの報道を認めた(訳注:同社は11日、有罪を認め、総額43億ドルの罰金を支払うことで司法省と合意した)。★約5000億円となる。

 しかし、同社の回復を妨げる最大の障害は排ガス不正事件ではない。今はVW復活を期待して投資するタイミングではない。

 米司法省との協議の進展がVW株をここ1カ月押し上げてきた。しかし、株主にとって本当に重要な問題、すなわち「VW」ブランドの収益性の低迷は依然、好転の見通しが立っていない。VWは回復に向けて2つの道を歩んでいるが、投資家はそれを混同して自らを危機に陥れている。

 排ガス不正問題は、どちらかと言えば局所的な問題だ。10日の欧州市場の取引終了後、VWは米政府と和解間近であるとの報道を認めた。同社によると、民事および刑事上の罰金は総額43億ドル(約4960億円)。同社は既に不正事件の関連費用として182億ユーロ(約2兆2240億円)を引き当てているが、シティグループの試算では、さらに20億ユーロ追加される見通しだ。

 同社の優先株式(普通株式に相当)は11日午前の相場で3%上昇した。

 同社は10日、2016年の販売台数も発表した。前年比3.8%増の1030万台となり、全メーカーの中で首位に立つ見込みだ(もう一つの有力候補であるトヨタはまだ数字を発表していない)。販売好調の主因は2つある。1つは、シュコダやアウディ、ポルシェなどグループブランドが多岐に渡るおかげで、グループ全体としてはVWの排ガス不正問題の影響をさほど受けずに済んだこと。もう1つは、VWがリードする巨大な中国市場が政府の各種補助金で追い風を受けたことだ。補助金は1月で期限切れとなるため、昨年のような好業績を達成するのは難しくなる。
(注、但し取得税減税幅を半減して1年間延長されるようだ。)

 中国以外ではVWブランドは苦戦した。最も不調だったのは米国に加え、意外にもドイツで、2016年の販売台数は前年比7.2%減となった。排ガス不正問題は法的には解決しても、商業的には解決していない。

 VWにとって利益改善に向けて本当に取り組むべき問題はコストだ。回復に向けた2つの道のうち、こちらの方がむしろ重要だ。同社はVW部門の営業利益率を2020年には4%に倍増させると表明している。しかし、労組の支持を得るため、10年間は自主退職による人員削減しか行わないことに同意した。また、同社は幅広い電動パワートレイン技術に投資しているが、それは戦略的観点からというよりも人員維持が目的だ。

 VWの株主構造は、いまだに資本ではなく労働者が会社を支配していることを示している。最新のニュースにだまされてはいけない。復活を目指す闘いは、よく見積もっても長引く公算が大きい。

http://www.msn.com/en-us/news/other/vw%e4%b8%8d%e6%ad%a3%e3%81%a7%e5%92%8c%e8%a7%a3%e3%80%81%e5%be%a9%e6%b4%bb%e3%81%b8%e3%81%ae%e9%81%93%e9%99%ba%e3%81%97%e3%81%8f/ar-AAlM6Op


VWは既に182億ユーロを、この排ガス不正問題の処理費用として、引き当てていると言う。今回の罰金として43億ドルが課せられると言う。それを含めるとこの182億ユーロでは足りなくなり、総額202億ユーロとなろう、とこの記事は言っている。とするとおおよそ日本円にして、2兆4684億円となるようだ。(2017.3.15の日経新聞では、排ガス不正の引当金は2兆7000億円に積みあがったと言っているが、これはレートによる違いか。)

これは全世界での処理費用だと思われるのだが、ことアメリカだけでの費用は総額147億ドル(約1.5兆円)になると言う。トヨタがプリウス急加速問題で支払った総額が12億ドルだと言うので、VWとしてもたまったものでは無いはずだ。

(続く)
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続続・次世代エコカー・本命は?(11)

2017-04-17 00:00:00 | Weblog
ディーゼル不正問題で揺れたVWがトヨタを抜き世界一の販売台数になった理由とは?
投稿日: 2017年1月12日 TEXT: 山本晋也

中国を中心にアジア太平洋地域での販売増が大きく影響

フォルクスワーゲン・グループの2016年暦年のグローバル販売台数が1031万2400台となることが発表された。悲願の1000万台オーバーを実現し、初めてトップとなることが確実視されている。


2015年には北米に端を発したディーゼルエンジンのエミッション不正問題、いわゆる「ディーゼルゲート」があり、後半失速したフォルクスワーゲンだが、2016年はフォルクスワーゲンの乗用車だけでも598万7800台と前年比2.8%増。売上を伸ばしている。


ちなみに、フォルクスワーゲン・グループに含まれるのはフォルクスワーゲンのほか、アウディ、ポルシェ、シュコダ、セアト、ランボルギーニ、ベントレー、ブガッティ、スカニア、MANといったブランド。
とはいえプレミアムブランドの販売台数は少なく、アウディ(2016年の販売台数は187万1300台)、シュコダ(同112万7700台)、セアト(同41万200台)、ポルシェ(23万7800台)、フォルクスワーゲン商用車(同48万100台)といったブランドで台数を稼いでいる。


地域別のセールスでみると、前年比12.2%増の中国を含むアジア太平洋地域431万8700台も売っているのが目立つ。ちなみにヨーロッパ地域は前年比4.0%増の420万6500台で、フォルクスワーゲン・グループにとってアジア太平洋地域のほうが市場は大きくなっているのだ。


ディーゼル不正問題のアメリカ市場は数字を落としたがそれでも回復傾向にある

ディーゼルゲート」について、まだ片が付いたとはいえないアメリカ市場は2.6%減となっているが、その販売台数は59万1100台。ヨーロッパや中国市場と比べると桁がひとつ小さい市場なのだ。なお北米においても徐々に回復傾向にあるという。
そのほか、市場自体のシュリンクにより、ロシアが前年比4.3%減、ブラジルは33.9%減となっているが、いずれも15から25万台規模の市場であり、全体としての影響は少ない。



つまり、フォルクスワーゲン・グループの販売台数が1000万台を超えたのは、中国市場が前年比12.2%増398万2200台と大幅に伸びたことが原動力となったといえる。

一方、2015年まで4年連続で世界ナンバーワンの販売台数を誇ったトヨタ・グループ世界販売台数は1000万台を超えるものの、フォルクスワーゲン・グループには届かない模様だ。

トヨタとしては、2016年に愛知製鋼の事故や熊本地震の影響による操業停止があったことも、トップを明け渡す原因のひとつになっているといえそうだ。


もっとも、前述したようにフォルクスワーゲン・グループが多数のブランドを抱えているのに対して、トヨタ・グループの販売台数というのはトヨタ、レクサス、ダイハツ、日野の4ブランドの販売台数を合計したものである。

基本的には協業戦略をとるトヨタだが、資本比率を高め合算対象になるメーカー(ブランド)が増えるようなことがあれば、またトップ争いの状況は変わっていくだろう。
https://www.webcartop.jp/2017/01/64647/2


まあトヨタがトップから陥落した原因、言い換えればVWがトヨタからトップの座を奪い取った理由は、諸々の原因があり一概には決めかねるものである。
(続く)
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