世の中、まちがってる、根拠なき反日キャンペーン。

相も変わらず根拠なき反日キャンペーンで、国をまとめようとする輩が存在する。

続・次世代エコカー・本命は?(98)

2016-08-31 00:00:00 | Weblog

2016年の重大災害でなぜ長期に渡り工場停止になるのか

 重大災害によって被災した拠点のみならず、日本全国の組み立てラインが1週間以上の長期に渡り停止しました。私はこの現実を知り「なぜそんなに長期停止になるのか?」と疑問を覚えました。

 原則として、トヨタでは余分な在庫を持たないリスク管理の目的も兼ねて複社購買を前提としています。同じ部品でも、1社だけでなく複数の仕入先から調達可能にしているのです。そうすることで何かあった時のリカバリーができます。例えば、他社ではタイヤを調達する際に自社の製品の型式に特定のタイヤメーカー&そのタイヤ型式をひも付けしてしまうことが多いのです。そのため、該当タイヤ型番の生産ラインが止まると欠品で組み立てがとまります。トヨタではそれを防ぐためにタイヤの機能を明確にして、その基準を満たす複数の同等品を引き当てる管理にしているハズなのですが……。

※複社購買:(1)別の会社の同等規格の部品を同等と認識し、(2)その同等品をそれぞれの一定比率で複数のメーカーから購入すること

 今回の災害発生で1週間以上も日本全国の組み立てラインが止まって再稼働しないのは、複社購買がうまく機能していなかったのではないかと推察します。例えば、熊本で50%生産、別の生産地または別会社で50%生産であればもっと早く回復できるはずです。2直で1社被災したのであれば、3直化と土日稼働で復旧できるはず。熊本での購買比率が高過ぎたため、停止期間が長かったのではないかと思われます。

図2 被災時の代替生産の対応方法(クリックで拡大)

重大災害に備え製造業がやるべきことは何か

 では重大災害に備え製造業がやるべき事について次に解説していきます。

1)複社購買を前提とする。

 先に述べた内容から分かる通り、複社購買を前提とする体制を構築することが望ましいと言えます。そうすることで非常時に代替生産による短期復旧が可能になります。ここで大事なことをお話しします。購買部門の使命は何か? それは「長期安定的にものを調達する」と言うことです。

 最も避けるべきは、

1. スケールメリットによるコスト価格ダウンだけで飛びつくこと
2. 目先の入門価格でよいものを提示されて飛びつくこと
3. 目先の値段だけにとらわれて極端にリードタイムの長いものを買うこと

などです。私は上司から「安いには理屈があるから納得するまで買うな」と教えられてきました。

 複社購買とは同じ品番で複数の会社から調達ができることです。複社購買できない場合でもせめて、生産地は分けるべきです。例えば、東日本と西日本。中国では魏、呉、蜀(編注:魏=華北、呉=華南、蜀=内陸部の意)、インドでは北と南、米国では西海岸、中西部、東海岸といった分け方が理想です。

 ところが、よく複社購買が不可能だという話が出てきます。私は以前、船のエンジンオイルについて「航海の安全確保のため、できない」という説明を受けたことがあります。実際には、これは神話に過ぎなかったことを解き明かしました。

 ぜひ仕入先の営業マンや自社の調達係の言うことをうのみにせず、理論的に検証してご判断ください。意外と、不可能なことが可能になり、そこがコスト低減ポイントになるのです。これについてはまたの機会に解説させていただきます。

2)在庫は極力減らす

 1)で代替生産による調達が可能となっていれば、余分な在庫は持つ必要はありません。

 ただし、在庫ゼロにしなければならないということではありません。お客さまを待たせることは機会損失になりますので、在庫を極小化する努力をするということです。

 「必要なときに、必要なものを、必要なタイミングで供給できる」ことがあるべき姿です。今では多品種少量生産が当たり前ですが、需要を整理すると、大抵の商品は繰り返し生産が必要なものと年に数回しか出ないものに分かれます。

 年に数回しか出ないものはロングテールと一般的に呼んでいます。よくあるのが繰り返し生産必要なものとロングテールを同じ設備を使って生産しています。そのために、購入する設備は高スペックになりがちです。設備の費用は能力が高くなればなるほど、指数曲線を描き高くなります。例えばスーパーカーは時速300km出ます。軽自動車の最高時速が120kmとするとその能力はスーパーカーの40%ですが、かと言って価格がスーパーカーの40%にはなりません。

 その高い設備にロングテールまで生産させようとするために、段替えを惜しんで少量品の在庫を過度に抱えたり、逆に段替えばかりしたりして稼働率を落とすなどのおかしな現象を招いています。

 実は、ロングテールは色々な工夫をして少量もしくは1個で作る工夫をすればよいのです。極端な例かも知れませんが、樹脂成型であれば3Dプリンタを活用する、といった全く違う発想で考えるとよいでしょう。材料の変更によって材料コストが10%程度しか変わらないのであれば、極少量品については採用すべきです。これについてもまたの機会に解説させて頂きます。

 少量ずつ生産しようとすると段替えが多く発生します。段替えにかかる時間および段替えによって発生する材料の廃棄を段替えロスといいますが、段替えロスを減らす工夫も必要です。例えば樹脂成型の場合は、段替えで材質を変えると材料が混ざってしまうので、材料の廃棄の無駄が多く発生します。金型を変える時間よりもこちらのロスの方が金額的には大きいのです。従って、機械別に同じ材質の材料から作る品番をそろえるなどの工夫をして、金型の交換のみのロスにする方法をとるとよいでしょう。そのために材質は共通化するといった取り組みも併せて行う必要があります。

 段取りには、誤差、公差を賢く使います。生産現場では大抵材料をきちんと計測していますが、計測には時間がかかります。良くある例ですが、食品で何gといっても997gとか1005g必要といった場合、1kgの袋からしっかり電子秤で計量する必要があるのでしょうか? これは誤差、公差の範囲になることが多いのです。実際に食べてみると誰も区別できません。

 それであれば、1kgの1袋をそのまま投入すればよいのです。せめて何gでなく、できるだけマスを使って擦り切り1杯にすべきです。

 日本では、何でも匠の世界といって、難しいことを超人的に道具を使わずに行うことを優遇する傾向にあります。米国人はそんなことはせず、すぐにマニュアルと道具により誰でもできるようにする傾向があります。日本人もその点は米国の文化に学ぶべきです。

 これが一番重要ですが、基本は消費者の近くで生産することです。食の世界で言われているフードマイレージに相通ずる所があります。できる限り消費者の近くで小まめに生産して供給することで、リードタイムを短くし、輸送コストと在庫を減らすのがあるべき姿なのです。

 現実に使用されている海外コンテナ輸送に利用する北米大陸横断のコンテナ列車はその全長が実に3kmもあるのです。これが何時間もかけて移動し大量の物を運んでいます。すごい量の物資が日本や東南アジアから運ばれているのだなあと驚きました。

 また私は以前、米国西海岸で1隻の自動車運搬船から5000台の輸出した日本車が降りてくるのを見たとき、これを現地の米国人が日本の侵略だと思ってもおかしくないと感じました。映画で見た、エイリアンが宇宙船から降りてくる光景とダブったのです。そんなことをしなくても米国の西海岸や東海岸で生産をすれば良いのです。

 メキシコなど税制の優遇があれば、それを活用するのは悪くありません。ですが、それも1カ所で生産するのでなく、できるだけ消費地に近い場所の西、東と分散するべきです。
(続く)
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続・次世代エコカー・本命は?(97)

2016-08-30 00:00:00 | Weblog

一般的に言って、「必要なものが必要な時に必要な量だけ」手に入れば、それに越したことはない。何も余分なものを持つ必要がないのである。これを実施するためには、色々な仕掛け・仕組みが必要となるのだが、真っ先に思い浮かぶのは、「必要なものが必要な時に必要な数だけ」供給されるように、後工程にその情報を知らせることである。

後工程は、その情報をもとに必要なものを必要な量だけ用意して、その時に前工程に持ってゆき、決まったところに納める。そうすれば前工程は必要なものがある訳なので、生産は滞りなく続けられることになる。

今回は地震によって部品工場の生産ラインが破壊されて、ものが出来なくなった。従って必要なものが作れなくなってしまったのであるから、当然必要な時に必要なだけ届けることが出来なくなる。

後工程・今回は車両組立工場では、組み付ける部品が届けられなくなってしまったので、当然在庫は持っていないので組み付ける部品が無くなり次第、組み立てラインは止まることになる。これは当然なことです。

この仕組みで動かしている以上、前工程からものが届けられなくなれば、後工程の製造ラインは停止するのはごく自然な事です。何があっても製造ラインが止まらないように、余分な部品を持っていれば、いわゆる沢山の在庫を持っていれば、それだけで在庫資金が嵩みますし、在庫場所も必要となり、その物の先入れ先出しなどの管理や、整理整頓・数量管理、または誤欠品の防止などに余分な労力が必要となる。

だから在庫は極力少なくして、ジャストインタイムを実行することが大切なこととなります。これはたまに起こる災害などによる生産ラインの停止による損害などと比較しても、はるかに大きい利益をもたらすものです。もちろん生産ラインの停止に対しては、出来る限り早く復旧させることは、大切である事は言うまでもありませんが、災害のために生産ラインが壊れれば、後工程の生産ラインが止まることは当たり前なのです。反対に後工程が止まらなければ、どこかにおかしいこと(ムダ)がある筈です。




鈴村道場(2):マスコミが言う「トヨタ生産方式は重大災害に弱い」は本当なのか
2016年05月31日 10時00分 更新

トヨタ生産方式の達人・鈴村尚久氏による連載コラム「鈴村道場」。今回は、重大災害による工場停止をテーマに、製造業が重大災害に対してどう取り組むべきかについて解説する。

[エフ・ピー・エム研究所 鈴村尚久/構成:株式会社アムイ 山田浩貢,MONOist]
(http://www.itmedia.co.jp/author/210858/)

 2016年1月の愛知製鋼工場事故による生産停止、そして同年4月に発生した熊本の震災による生産停止が記憶に新しいですが、グローバル化の進展により世界各国で重大災害が起こる頻度は年々増加しております。もはや重大災害は起こるものとしての備えが必要であり、自動車をはじめ日本の製造業が重大災害に対してどのように対応すべきかについては大変重要な事柄だと思います。

 今回は、重大災害による工場停止をテーマとして、製造業が重大災害に対してどう取り組むべきかについて解説します。


重大災害発生に対し、工場停止することはいけないのか

 トヨタ系の工場が停止するとマスコミが鬼の首を取ったかのごとく「トヨタ生産方式の弱点が露呈した」と指摘します。結論から言いますとこれは「いけないこと」ではなく、「健全性をあらわしている」のです。重大災害が起こった時に止まらないのであれば常に過剰な在庫を保有していることになります。何年に1回起こる災害に対し、生産余力の確保の目的で在庫を持つために掛かる付帯費用は莫大になります。

 ですが、普通の会社は物を倉庫にしまう。次にそこから物を払い出す。そのために自動倉庫をITで制御する。なぜ必要になるのか? それは不必要なものを買うからです。トヨタ生産方式では、例えば組み立てメーカーにタイヤを運ぶ際にはライン脇までトラックが運びます。これを同期化といい、今は当たり前のこととなっています。JIT(ジャストインタイム)の1つの形態です。

 エンジン、トランスミッション、エアコン、タイヤ、シートなどは同期化しており、順序引きをしています。この方式だと倉入れ、倉出しがいらない。従って、「倉庫がいらない」→「管理費はゼロ」→「キャッシュを蓄える」ことができる。また、在庫を抱えるとシリーズの打ち切りの時に膨大な工数をかけて数を数えて在庫消費ポイントのコントロールをすることになってしまいます。

 トヨタ生産方式では余分な在庫は保有しないことを前提とした考え方にのっとっています。言い換えますと、トヨタ生産方式では「非常時はラインを止めろ」というのが正しいのです。それは原因を探って皆が認識し&必死で対策するためにやっています。非常時に現地現物を見て、真の要因を明確にして確実な対処を行うためであり、再発防止につなげることが最終目的なのです。ただし、勘違いしないでいただきたいのは「ラインが止まった」でなく、「ラインを止める」ということです。


図1 トヨタ生産方式の考え方(クリックで拡大)
(続く)
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続・次世代エコカー・本命は?(96)

2016-08-29 00:00:00 | Weblog

何のための「RESCUEシステム」かと言われても仕方がない状況の様に見えるが、少なくともこれだけトヨタ車に使われている部品であるから、当然優先的にバックアップ策が検討されていてもよかったのではないのかな。

しかもこの部品は、地震が頻繁に起こる可能性がある熊本平野に位置している工場で生産されていたのである。

だから災害の可能性部品の使われ方で層別して、管理対象の部品の優先度をつけておくべきだったのではないのかな。当然トヨタはそうやってほとんど完全な形でこの「RESCUEシステム」を作った筈であるが、「上手の手から水が漏れる」の喩の様にこの「ドアチェック」は漏れていたものと思う。

全ての部品に対してこの「RESCUEシステム」で管理することは出来ないので、何らかの方法で管理すべき部品を優先順位付をした筈であり、これだけの部品であるので当然この「ドアチェック」は該当部品としてリストアップされたのであろう。しかし何らかの特性でこの部品は重要管理部品から外れてしまったのではないのかな。たぶんあまりにも膨大な作業となるので、こんな簡単な部品は何とかなるのではないかと言った安易な考えで、管理対象からに外されてしまったのではないのか、と想像される。

多分熊本平野と言う地震多発地帯であると言うキー項目に思いが至らなかった、のではないのかな。そうでなくても、トヨタ車の国内生産の9割に使われている部品が、アイシン精機子会社の一社だけに任されていたと言うことは、明らかに間違いであろう。平時において復社発注にしなくても、トヨタとしてアイシン本体で即バックアップできる体制を整えさせる様指示するとか、アイシン本体でも何らかのバックアップ体制を独自に考えておくべきであった。アイシンは以前にも(1997.2.1)自社の生産ラインが火事となり、トヨタ本体の生産ラインの停止の原因となっていたことを忘れてはならない。



失敗百選 ~アイシン精機で工場火災(1997)~
【事例発生日時】1997年2月1日

【事例発生場所】愛知県刈谷市

【事例概要】                         

大手自動車部品メーカー、アイシン精機刈谷工場(プロポーショニング・バルブ:PVの生産工場・トヨタ車の90%を担っている)での火災により、トヨタグループの中で刈谷第一工場でしか生産していなかったPVの供給が完全に停止。PVは生産にかなりの加工精度を要求され、車種ごとに形状が微妙に異なるなど、他工場での代替生産が難しかった。このため、在庫を極力持たない「かんばん方式」を採用していたトヨタの全工場や同じく供給先だった三菱自動車工業の主力工場の操業も停止。トヨタだけで減産規模は7万台以上となった。

【事象】
大手自動車部品メーカー、アイシン精機刈谷工場(プロポーショニング・バルブ:PVの生産工場・トヨタ車の90%を担っている)での刈谷第一工場の中央ラインから出火、初期対応が遅れ火災が拡大した。PVの供給が完全に停止。トヨタの全工場や同じく供給先だった三菱自動車工業の主力工場の操業も停止。トヨタだけで減産規模は7万台以上となった。

【経過】・・・・・・・(略)

http://www.sydrose.com/case100/315/


ここでも該当部品はトヨタ車の90%に使われているブレーキ関係の重要な部品であった。ブレーキの踏み圧を前後輪のブレーキにうまく分配する役目をするバルブであるので、それなりの加工精度が必要となる。機能などはこのURLを参照されるとよい。
(http://www.advicsaftermarket.co.jp/support/brake/detail/25/index.html)

アイシン精機のこの部品の加工ラインが火事となり、トヨタの全工場、また三菱自動車の生産ラインも停止することになったものである。だから今回の熊本地震は、アイシンにとっては、謂わばやってはいけない災害の再発だったのである。このときの教訓が何にも役立っていなかった、と言われても致し方ないであろう。アイシンは、トヨタにとって、鬼門である。

日本は地震大国であるので、過去にも同じような災害は発生していたのである。2007年新潟県中越沖地震での、リケンピストンリングの被災による国内完成車メーカーが一斉に生産ラインを停止せざるを得なかったこと、新しくは2011年東日本大震災での福島・ルネサスエレクトロニクスの被災による半導体部品の供給停止による完成車メーカーの生産ラインの停止など、まだ記憶に新しいことである。

過去に同じような経験があるにもかかわらず今回も同じことが起こってしまっている。、これがこの問題の一つの重要ポイントであろう。即ち、どのようにして管理対象の部品の優先度をつけて、バックアップ体制を作ってゆくか、と言う事である。


更に気になるのは、アイシン精機の子会社での配電設備の故障が長引いたことである。電気は生産工場にとっては、最重要な生産要素となろう。それを司る設備の故障がなかなか治らないのでは、重大問題である。しかもその一つの設備で、アイシン九州(熊本市)アイシン九州キャスティング(同)の2つの工場で共用されていたと言う。だから一つの設備が壊れれば、2工場に影響する。それほど大事な設備であるから、何らかの事前対策が必要ではなかったのか、と言うことである。

当然「金型」や「治工具」と言った重要生産要素的設備類の管理は、それなりになされていた筈であるが、それと同じくらいに重要な設備の管理も大切なことである。2011年の東日本大震災での部品調達のための「RESCUEシステム」と共に、工場稼働のための重要設備の対策も実施されていたここと思うが、今回の事故は一部ではこれが出来ていなかったと言う事を示したものであろう。トヨタとしても今までに施した対策の見直しが、必要なことと思い知らされる事象となるのではないのかな。

これが2つ目の重要ポイントであろう。工場の諸設備に対する対策についての見直しは、当然トヨタはわかっている筈である。すでにそれ相応の対策が打たれていることと思う。

3つ目の問題は、「在庫を持たないジャストインタイムがサプライチェーン寸断の影響を増大させた」というものである。

(続く)
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続・次世代エコカー・本命は?(95)

2016-08-26 00:00:00 | Weblog

トヨタとしては、2011年の東日本大震災による生産停止に懲りて、「RESCUEシステム」と呼ぶデータベースを構築して、すぐに生産に支障が出る品目を特定し、別の調達先への代替生産を迅速に実施できるようにしてきたと言う。

しかし今回は、それでも段階的とはいえ1週間も生産ラインを停止せざるを得なかった。「これがあったことにより、代替生産の検討には素早く入ることが出来た」などと、負け惜しみを言っているようだが、それでも1週間も生産ラインを停止せざるを得なかったと言う事は、この「RESCUEシステム」がうまく機能しなかったと言う事ではないのかな。

供給が停止した部品は、「ドアチェック」と言うものでアイシン子会社では月に90万本以上も生産していると言うし、その結果、トヨタの国内生産車の約9割にこのアイシン製ドアチェックが使われているという。



アングル:地震ショック続くトヨタの部品供給、最大9万台の生産に影響も
Business | 2016年 04月 20日 23:02 JST

 4月19日、熊本地震の影響で、トヨタ自動車が全国各地で生産停止に追い込まれている。部品調達が滞っているためだ。写真は2012年3月岩手県の同社系列工場で撮影(2016年 ロイター/Chang-Ran Kim)

[東京 20日 ロイター] - 熊本地震の影響で、トヨタ自動車(7203.T)が全国各地で生産停止に追い込まれている。部品調達が滞っているためで、15日から停止した福岡県の工場に続き、車両組立工場の大半を19日から段階的に休止する。

同社は2月にも愛知製鋼 (5482.T)の事故で国内組立工場を約1週間止め、約9万台の生産が遅れた。今回の地震でも、株式市場では最大9万台の生産に影響が及ぶとの見方が出ている。

<地元九州、系列への依存度>

トヨタは中部、関東、関西、東北に広がる車組立工場の大半で19日から23日までに段階的に稼働を停止。最終的には26の生産ラインが止まる予定。全国的に操業を休止せざるを得なくなったのは、系列のアイシン精機(7259.T)の子会社などが被災し、部品供給が滞っているためだ。20日には25日から28日にかけて順次再開することを決めたが、元町工場(愛知県豊田市)など一部の工場では28日まで休止が続き、27日に再開のめどを判断する。熊本市内にあるアイシンの子会社2工場は電力供給が断たれており、ドアやエンジンなどの部品が生産できずにいる。自社の愛知県内にある各工場で代替生産をすでに開始しており、海外からの調達も検討しているが、工場再開のめどは立っていない。

トヨタにとってボトルネックの1つが、ドアが急に開閉しないように制御する「ドアチェック」と呼ばれる部品で、アイシンは月90万本以上を生産。自動車業界アナリストらによると、トヨタの国内生産車の約9割にこのアイシン製ドアチェックが使われているという。   トヨタ子会社のダイハツ工業(7262.T)も部品調達に支障が出て、中津工場(大分県中津市)と久留米工場(福岡県久留米市)の稼働を18日から22日まで見送る。両社とも輸送コスト抑制などの点から九州で生産する車には九州の部品をなるべく使うようにしており、ダイハツでは1台あたり平均約6割が九州で調達した部品という。

<9月以降も生産挽回の必要も>   

みずほ証券の森脇崇シニアアナリストは、トヨタの減産規模は8―9万台で「短期的には営業利益で500億円前後のインパクト」と試算。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の杉本浩一シニアアナリストは、減産規模6万3500台(ダイハツの7500台含む)で4―6月期の営業利益へのマイナス影響は300億円強と推計する。

トヨタはグループ会社の愛知製鋼の事故で生産が遅れたため、4月から休日出勤や残業による生産の挽回に入り、8―9月をめどに取り戻す予定だった。両氏とも2017年3月期末までにトヨタが生産を挽回するとみて通期での影響は軽微とみるが、愛知製鋼の事故対応による増産も重なり、杉本氏は「10―12月期も頑張って生産しないと取り戻せないのでは」との見方を示している。

<日産は九州工場の操業継続>

同じくアイシンや熊本県内の取引先から部品を調達していた日産自動車(7201.T)。16日は設備の安全や部品供給体制を確認するため九州工場(福岡県苅田町)の稼働を見合わせたが、18日からは稼働率を落としながらも操業を続けている。なぜ日産は工場を止めずに済むのか。 日産も九州での生産では九州産部品を多く使っているが、加えて、本州より距離が近い韓国や中国から調達した部品も積極的に使用している。海外調達では飛行機や船での輸送リスクなどを考慮し、在庫を多めに持つ。杉本氏は、トヨタのほうが日産より九州からの部品調達が多く、かつ在庫も少ないため、生産休止が広がったとみている。 在庫は最小限にして生産効率を追求するトヨタのいわゆる『ジャスト・イン・タイム』。この思想は平常時にはうまく機能するが、11年の東日本大震災のような災害時には「アキレス腱」にもなると指摘するアナリストもいる。だが、ダイハツ幹部は「今後も『ジャスト・イン・タイム』の哲学は維持し続ける」と強調する。

<影響長引く恐れも>

アイシンの影響は広がる恐れもある。同社からエンジン部品を調達していた三菱自動車(7211.T)は20日までとしていた水島製作所(岡山県倉敷市)での軽自動車生産の休止を22日まで延長。その先はつど検討するといい、綱渡り状態だ。同じくアイシン部品を採用するマツダ(7261.T)の国内工場は今のところ22日まで稼働する見込みだが、25日以降は部品供給に支障が生じないか確認中という。

熊本県内の車載用半導体工場の状況も不透明なため、不安の声が上がる。三菱電機(6503.T)の工場(合志市)では家電やハイブリッド車のモーター駆動に用いるパワー半導体モジュール製品を生産するが、設備被害の確認作業が続いている。同社はこの製品で世界首位クラスのシェアを誇る。ルネサスエレクトロニクス(6723.T)の川尻工場(熊本市)は東日本大震災で被災した那珂工場(茨城県ひたちなか市)に比べて「被害は限定的」(広報)のようだが、詳細はまだ不明。21日をめどに生産再開日を公表する。  

*内容を追加して再送します。
(白木真紀、田実直美、山崎牧子 編集:北松克朗)
http://jp.reuters.com/article/toyota-kumamotoeq-idJPKCN0XH0A1?pageNumber=2



と言う事は、これだけトヨタ車のすべてに使われている部品に対してのバックアップが、この「RESCUEシステム」では完全な形ではとられていなかった、と言う事ではないのかな。
(続く)
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続・次世代エコカー・本命は?(94)

2016-08-25 00:00:00 | Weblog

それに熊本地震による部品供給の途絶については、サプライチェーンリスク管理の在り方にも疑問が残るものである。


熊本地震で全国のトヨタの工場が止まる理由
ジャストインタイムの罪か、フォース・マジョール(不可抗力)か
2016年4月19日(火)池松 由香、島津 翔

被災したアイシン精機子会社の工場(熊本市) (写真:菅 敏一)

 トヨタ自動車は熊本で発生した地震の影響で、国内にある16の車両工場のうち15工場段階的に、23日まで停止する。アイシン精機の子会社であるアイシン九州(熊本市)アイシン九州キャスティング(同)の工場が被災し、ドア部品エンジン部品の調達が滞ったためだ。トヨタは2月初旬、愛知製鋼の爆発事故を受けて全16工場を6日間にわたって停止し、約9万台の生産を遅らせた。今回もサプライヤーの被災がトヨタの車両生産全体に大きなダメージを与えることになりそうだ。

 アイシンの2工場は14日から稼働を停止している。「14日夜に全従業員が避難し、18日午前に初めて内部を確認したが、生産エリアの被害状況はいまだ完全に把握できていない」(アイシン精機広報)という。

東日本大震災の教訓は生かされたか

 状況確認を難しくしている要因の一つに、2工場が共同で使用している配電設備の故障がある。周辺の停電は解消されているが、工場内部は通電していない。そのため、「どのラインが稼働できるのかの判断にはまだ時間がかかる」(同)。

 トヨタは2011年東日本大震災の時も、半導体部品などのサプライチェーンが寸断されて工場の稼働を停止した。その後、リスク分散体制を整備。ティア2(2次下請け)を含め、数千点の部品調達先と代替生産が可能な工場を洗い出し、「RESCUEシステム」と呼ぶデータベースを構築してきた。有事の際、すぐに生産に支障が出る品目を特定し、別の調達先への代替生産を迅速に実施できるようにするためだ。

 実際、今回の震災でこれが生きたという。「東日本大震災以前だったら、このタイミングで調達が滞りそうな部品を特定し、代替調達先の検討に入ることはできなかっただろう。今回はすでに検討の段階に入っている」(トヨタ広報)。24日以降の工場稼働については、20日をめどに判断する予定だ。

 とはいえ、今回も工場を一定期間、停止せざるを得なかった。こうしたことが起こるたびに出る批判が、「在庫を持たないジャストインタイムがサプライチェーン寸断の影響を増大させた」というもの。しかし、そう言い切れない事情が自動車などの組立メーカーにはある。

分散生産にコストの壁

 サプライチェーンの寸断リスクを減らすには、同じ部品を複数工場で生産する「分散生産」が効く。そんなことはトヨタとて百も承知だが、「全ての部品を分散することはできない。分散できる部品についても、代替委託先の生産能力に限界があるため、すぐに対応してもらえないこともある」(あるトヨタ関係者)のが実情だ。

 全ての部品について代替生産ができない理由は明快。分散生産にはコストがかかるからだ。自動車部品の多くは金型を必要とするが、金型の製作には通常数千万円単位のコストがかかる。生産場所を複数設ければ、それはそっくりそのまま製品価格に跳ね返る。

 「今回の被災によるサプライチェーンの寸断はフォース・マジョール(不可抗力)の範囲内ではないか」。こう見るのは、調達・購買コンサルタントの坂口孝則氏だ。被災リスクの対策には、事前策事後策の両方がある。事前策としてトヨタは、前出のRESCUEシステムを構築した。事後策については、トヨタが工場を止めた原因となった部品の影響度や、復旧のためにトヨタが実践した対策の具体的内容が分からないため、現時点で評価することは難しい。

 しかし、坂口氏は「事後策でポイントになるのは、急なお願いをした時にどれだけの取引先が協力してくれるかにある。その点、トヨタは良好な関係を築けているように見える」と指摘する。現在、アイシン精機は他社への生産委託に向けた準備を急ピッチで進めている。「海外を含めれば、同様の部品を作っている工場は必ずある。輸入も含めて検討している」(同社)。

 なお、今回の工場停止に最も大きな影響を与えた部品は「ドアチェック」とされる。ドアの開く方向や動きの固さを一定に保つための部品だ。被災工場では月間90万本以上の同部品を出荷していた。

 エンジン部品では、エンジンの動力を車輪に伝達する部品「タイミングチェーン」のアルミ製カバーの生産が滞った。この影響はトヨタに留まらず、三菱自動車にも及んでいる

ニュースを斬る

日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/041800313/?P=1


フォース・マジュールとは

古くから認められてきた「不可抗力」による契約責任の免除

Force Majeure(以下、フォース・マジュール)」とは、「不可抗力」を意味するフランス語であり、地震・洪水・台風・戦争・暴動・ストライキなど、予測や制御のできない外的事由全般を指します。フォース・マジュールに類似する概念として「Act of God」(神の行為)がありますが、Act of Godが地震・洪水・台風などの自然災害に限られるのに対して、フォース・マジュールは、自然災害に限らず、戦争・暴動・ストライキなど人間によって引き起こされる出来事や事情も含むところに特徴があります。
http://www.hitachi-hri.com/keyword/k073.html

と言う事のようですが、

この熊本地震によるアイシン精機の子会社の被災による生産ラインの停止は、福岡県のトヨタ九州の宮田工場が4月15日からすでに停止しているが、2016.4.17から4.23までの間他の15工場でも段階的に生産ラインを停止すると言う。

この結果、先に提示した記事によれば、約8万台の生産後れがでている。

(続く)
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続・次世代エコカー・本命は?(93)

2016-08-24 00:00:00 | Weblog

今年のトヨタは愛知製鋼の製造工程での爆発事故(2016.1.8発生)やアイシン精機の子会社のアドヴィックスでの爆発事故(2016.5.30発生)、その間には2016.4.14の熊本地震によるこれまたアイシン精機の子会社が被災して部品供給が停止して、車両組立工場を全面的に停止している。

だからトヨタとしては年の後半、と言っても秋から年末にかけて、マスコミの話題にはなりたくはなかったものと思われる。顧客対応と共にそんなこと(マスコミ対策)もあり、早めにプリウスPHVの販売開始の延期をアナウンスしたものであろう。しかしながらこれは、トヨタにとってはボロはボロでも大ボロである。

まあボロと言えば、3回も車両の生産ラインを止めざるを得なかったことも、大ボロの一つではなかろうか。



(9)トヨタ3度も生産ライン停止

トヨタ、3度目“試練” 国内生産また停止 愛知の工場爆発、さらに減産か
2016.6.1 06:28

  
 トヨタ自動車がまた試練に直面している。(2016年)5月30日に系列のアイシン精機子会社で爆発事故が発生した影響でブレーキ部品供給が滞り、トヨタも一部車両工場での生産を31日夜から停止した。今年に入って、グループの愛知製鋼工場の爆発事故や熊本地震で計17万台の減産を強いられており、今回の事故が“トリプルパンチ”となる懸念もある。

 アイシン子会社でブレーキ部品の国内シェア約50%のアドヴィックスの刈谷工場(愛知県刈谷市)で事故は起きた。これに伴いブレーキ部品の供給が不足しており、トヨタの車両生産にも影響が出ている。
 トヨタは31日夜に高岡工場(愛知県豊田市)など4工場6ラインでの生産を止め、1日朝からは元町工場(同)など9工場14ラインでの車両生産を取りやめる。トヨタは生産への影響について「精査中」とするが、アドヴィックスの生産停止が長引けば、大幅な減産につながりかねない。

 ただでさえトヨタの生産は逆風続きだ。1月8日愛知製鋼の工場で発生した爆発事故ではエンジンや変速機に使われる特殊鋼が不足し、トヨタも2月に国内での車両生産を停止。約9万台の生産に遅れが出た。4月熊本地震ではアイシン子会社工場が被災し、ドア部品などの供給がストップ。トヨタも一時的な生産休止に追い込まれ、約8万台の減産になった。こうした度重なる不測の事態の発生により、トヨタが遅れた生産分を取り戻すのはさらに難しくなってきている。

 ■トヨタの国内生産の動きと最近の関連トラブル

 2016年

 1月 8日 グループの愛知製鋼の知多工場で爆発事故が発生

 2月 8日 愛知製鋼の事故で鋼材が不足、国内にある全ての車両組立工場が生産を約1週間停止(約9万台の生産遅れ)

 4月14日 熊本地震でグループのアイシン精機の子会社が被災

 4月15日 福岡県の車両組立工場が稼働停止

 4月17日 部品不足のため、国内の大部分の車両組立工場で生産を順次停止すると決定

 4月25日 愛知県など一部工場で車両生産を再開(約8万台の生産遅れ)

 5月 6日 車両生産を全面再開

 5月30日 アイシン子会社のブレーキ部品大手アドヴィックス爆発事故(約1万台の生産遅れと仮定)

爆発があった自動車部品製造会社「アドヴィックス」の刈谷工場=5月30日、愛知県刈谷市【拡大】   
http://www.sankeibiz.jp/business/news/160601/bsa1606010500005-n2.htm


(株)アドヴィックス爆発事故でトヨタは、5/31~6/1と約2日間の生産ラインを止めている。6/2には生産は再開されたと言っているが、この1.5日から2日間の車両組み立てラインの停止により減産台数は如何ほどになるのであろうか。

愛知製鋼の爆発事故での6日間の生産停止では、9万台の減産と言っているので、1日に換算すると1.5万台の減産となっている。それを参考に今回のアドヴックスの影響は全社的でないとして、1万台は超える程度の減産となったのではないのかな。

とすると、この3回の事故での生産への影響は、少なく見積もっても9+8+1=18万台ほどの減産となろう。

トヨタは国内生産300万台は維持すると言っているので、1年間の稼働日を250日とすると、1日の生産台数は1.2万台となる。これは少なく見積もっているので、現状は1.2万台/dayよりは多くなろうが、これで計算すると18万台/1.2万台・日=15日となるので、20日稼働・月とするとほぼ3週間の稼働が必要となる計算となる。この遅れは、トヨタと言えども今年中には挽回できないであろう。1.5万台/dayとしても12日となり、2週間半ほどの稼働が必要となる。これを月2回の土曜日などの臨時出勤(定時稼働)でこなそうとすると、15日÷2日/月=7.5ヵ月も掛かってしまう。と言う事は2016年7月から月2回の臨時出勤で挽回しようとすると、来年の2月までかかってしまう事になる。当然社内的にも労働組合などとも、臨時出勤に関してかなり突っ込んだ話し合いが必要となろう。

まあこれは7月から挽回生産を開始すると言った前提であるので、年初からシャカリキに挽回生産を実施していれば話は別になるが、残念ではあるが、2016年の世界生産・販売台数トップは、VWに譲らざるを得ないであろう。

何も世界販売がトップでなくてはならないと言うわけでもないので、そうシャカリキになる必要はないのではあるが、

2016年1~6月の世界販売台数は

VW 511万6800台
トヨタ 499万2000台
 差 12万4800台

と言う事なので、18万台の減産がなければ優に世界販売台数でも、VWに引けを取らなかった勘定となる。

まあそれよりも、なぜトヨタ系の関連会社で爆発事故が続いたのであろうか、と言う事の方が重大なことである。当然それぞれの作業の過程で、何らかの手違いが発生した結果の事である訳で、トヨタグループ全体に社内風紀的にいわゆる何かが、緩んでいた結果ではなかろうか。これを締め直すには、並大抵な事では出来ないのではないのかな。トヨタも正念場である。

(続く)
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続・次世代エコカー・本命は?(92)

2016-08-23 00:00:00 | Weblog

トヨタ、新型PHVの発売延期 後部ドア生産遅れ
2016/8/3 20:23
ニュースソース 日本経済新聞 電子版

 トヨタ自動車が新型プラグインハイブリッド車(PHV)「プリウスPHV」の発売を延期する。当初は今秋を予定していたが、今冬に遅らせる3日に発表した。新型車はトヨタ車としては初めて、軽く丈夫な樹脂でできた後部ドアを採用する計画。この生産が遅れており、当初の発売時期までに必要な台数がそろわないと判断したもようだ。

 部品メーカーに同日、今秋の新型プリウスPHVの生産計画を下方修正すると伝えた。10月は約4000台から1500台程度に減らしたもようだ。関係者によると、トヨタは樹脂部品を多用したスポーツ車の生産実績がある元町工場(愛知県豊田市)で後部ドアを生産するが、安定的に量産するのに時間がかかっているという。

 トヨタは家庭用電源で充電可能なPHVをハイブリッド車(HV)に続く環境対応車の柱と位置付け、2012年にプリウスPHVを発売した。全面改良によりガソリンを使わないで走行できる距離を伸ばし、約7万5000台にとどまっている販売に弾みを付ける計画だった。
http://www.nikkei.com/news/print-article/?R_FLG=0&bf=0&ng=DGXLASDZ03I02_T00C16A8TI1000



今年トヨタは、熊本地震などによる部品供給が滞り3度も生産ラインを止めている。そのために2016/1~6月の世界販売は500万台を割り、VWを下回っている。トヨタは下半期でこの生産後れを挽回して、巻き返しを図るつもりであった。その挽回生産のためにプリウスPHEVの新車立ち上げを少し遅らせるのかなとも思ったが、豈図らんや、そんなことではなくて単に新車の生産が出来なかったと言う事のようだ。最近のトヨタにとっては珍しいことではないのかな。だから肝心な時に大ボロが出てしまったことになる。何といってもその増産対象には、このプリウスPHEVも一役買わせるつもりであったからである。新型プリウスPHEVの生産は、愛知県豊田市の堤工場で9月後半より月間4,000台から5,000台ペース(6万台/年)で生産する計画だったと言うから、生産延期は相当の痛手となる筈だ、少なくとも心理的にはかなりのショックをトヨタに与えるものである。


<トヨタ>1〜6月期世界販売500万台割れ VW下回る
2016年07月28日 20:33

 トヨタ自動車は28日、2016年上半期(1〜6月)の世界販売台数(ダイハツ工業、日野自動車を含む)が、前年同期比0.6%減の499万2000台だったと発表した。海外販売が5年ぶりの前年割れとなり、国内も軽自動車の販売が低迷。熊本地震などで車両生産が一時停止した影響もあった。独フォルクスワーゲン(VW)の511万6800台を下回り、上半期は2年連続で首位を明け渡した。

 トヨタの販売台数が上半期で500万台を割ったのは3年ぶり。海外はインドネシアなど新興国の一部で好調だったが、北米や中東で低迷し、全体では0.7%減の386万台。国内は新型プリウスなどの販売が好調だったものの、0.2%減の112万台にとどまった。グループ会社の工場で相次いだ事故や地震の影響で計18万台の生産が遅れ、軽自動車税の増税でダイハツが7.7%減になったことが響いた。

 一方、VWは排ガス不正問題の影響が残ったが、傘下の高級車ブランド「アウディ」などの販売が好調で、グループ全体では1.5%増加した。米ゼネラル・モーターズ(GM)は1.2%減の475万台だった。

 15年の暦年の販売台数は、排ガス不正でVWが993万台にとどまり、1015万台のトヨタが4年連続で首位だった。16年はトヨタが1011万4000台の販売を計画し、VWも1000万台以上を目指す。トヨタは新型のプリウスPHV(プラグインハイブリッド車)の投入などで下半期に巻き返しを図る構えだ。【竹地広憲】
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/business/mainichi-20160729k0000m020060000c.html


もう一つ、プリウスPHVは加州の2018年ZEV規制をパスする対象車で、トヨタは燃料電池車ミライと共にこのプリウスPHVで、対応する予定である。まだ1年あるとは言え、これではトヨタも台無しである。但し態々(わざわざ)国内と断っているからには、加州向けなどは予定通り今秋の発売となるのかな。


新型プリウスPHVの(国内)発売時期を延期
2016年08月03日 

 TOYOTAは、新型プリウスPHVの(国内)発売時期を、当初予定していた今秋から、今冬に延期することといたしましたので、お知らせいたします。

 プリウスPHVは、2012年1月からハイブリッドに次ぐ次世代環境車の柱として発売を開始し、現在までに日本、米国、欧州を中心に、約7万5千台(2016年7月末時点)を販売しております。今回モデルチェンジ予定の新型車は、4代目プリウスをベースとしながら、EV走行距離の大幅拡大や先進的なデザインの採用など、お客様がPHVに求められる要望に応えることで、電気を活用した新しいカーライフスタイルを提案できるクルマを目指し開発に取り組んでまいりました。

 今回、お客様により良いクルマを着実にお届けするため、発売時期を延期することを決定しました。何卒ご理解賜りますようお願いいたします。
http://newsroom.toyota.co.jp/jp/detail/13014343/


新型プリウスPHVの(国内)発売時期は、ネットニュースなどによると、9月に受注を開始して、10月26日頃に発売を始めると言う事だったようなので、計画通りなら10月26日から引き渡しが始まると言う事に対して現状の生産遅れの状況ではさばき切れないことになり、それこそマスコミなどから盛んに突つかれることとなろう。こういうことに対してトヨタはとても神経質である。
(続く)
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続・次世代エコカー・本命は?(91)

2016-08-22 00:00:00 | Weblog

EVとしても使える新型「プリウスPHV」、年間生産6万台!
2016/06/17 06:07 by Avanti Yasunori

トヨタ自動車が「スマートコミュニティJapan 2016」(6月15日-17日)で、新型プリウスPHV(国内仕様)を初公開しました。(http://clicccar.com/2016/06/12/378011/)

現行モデルの2倍の大容量リチウムイオンバッテリー(8.8kWh)を搭載しており、モーターによる航続距離を現行の26.4kmから60km以上にまで引き上げています。

エンジンとモーターを併用するHVモードでの燃費は37.0km/L(JC08モード)。日本仕様には世界初となる最大出力180Wのソーラーパネルをルーフ上に装備。

日中に発電した電力を一旦、12Vニッケル水素バッテリーに蓄電、その後まとめて駆動用二次バッテリーに電力を供給することで、バッテリーの電力消費を補いながら、モーター走行距離や燃費の向上に貢献します。

ちなみにソーラーパネルのみによる発電で1日あたり最大5kmの走行が可能とか。

現行モデルとは異なり、ベース車のプリウス(HV)と車体の前後意匠を大きく変えることで、一目で判別できるとともに、よりスポーティなイメージになっており、海外でも広く受け入れられそうな雰囲気を漂わせています。

新型プリウスPHVは日米欧向けを中心に今秋の発売を予定しており、愛知県豊田市の堤工場で9月後半より月間4,000台から5,000台ペース(6万台/年)で生産する計画になっているそうです。

今回、トヨタがPHVに力を入れている背景には、海外の主力市場である米国で、2018年モデルからHVがZEV(ゼロエミッションビークル)の対象外となるためで、同様に中国市場においてもHVが補助金支給の対象(PHV・EV)外という実情があります。

新型では200V/16Aに加えて、100V/6Aの家庭用電源を利用して充電できるという改善が盛り込まれています。CHAdeMO規格の急速充電にも対応しており、約20分でバッテリー容量の80%まで充電可能。

外部への給電も可能で、AC100Vのコンセントを車内2カ所に備えており、同時に最大1500Wまで家電などを利用できるそうです。
同社の説明によると、新型では日常走行なら、ほぼエンジンを使わずにモーターのみで走れるようになっているそうなので、事実上のEVとして使えそう。

バッテリー増量によるリヤの重量増に対応するため、バックドアには軽量なCFRP(カーボン樹脂)を採用。これにより、造形の自由度が増したことから、空力に寄与する2つの膨らみを持った「ダブルバブルバックドアウインドゥ」を採用。

リヤ周りの大きな特徴になっており、左右方向の後方視界も拡大しています。
車両価格は未発表ですが、現行モデルはHV比で約60万円高の設定になっており、販売が伸び悩む一因になっているだけに、新型ではどこまで価格差を抑えられるかが、大いに注目されます。
(Avanti Yasunori ・画像:トヨタ自動車)
http://clicccar.com/2016/06/17/379294/3/


新型プリウスPHVの生産は、愛知県豊田市の堤工場で9月後半より月間4,000台から5,000台ペース(6万台/年)で生産する計画だったと言うが、これが元町工場でのバックドアの生産が滞り減産せざるを得なかったようだ。

(続く)
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続・次世代エコカー・本命は?(90)

2016-08-19 00:00:00 | Weblog

(8)トヨタプリウスPHEV、発売延期

2016.8.15のNO.86で、次のように「トヨタのボロ」について言及している。

いつかどこかでボロが出ないとも限らないが、トヨタの経営上今のところ本当にボロも出ていないのか疑問のあるところである・・・

しかし、早速大きな「ボロ」が出てしまっている。



「プリウスPHV」の発売を延期 トヨタ、生産遅れで今冬に
2016.8.3 12:47

日本で初めて公開された新型の「プリウスPHV」=東京都江東区【拡大】

 トヨタ自動車は3日、プラグインハイブリッド車(PHV)「プリウスPHV」の新型車の発売時期今冬に延期すると発表した。当初は今秋を予定していたが、生産が遅れ、販売に必要な台数が確保できない見通しとなったため。

 トヨタは「より良い車を着実に届けるため、当初計画よりも立ち上がりの生産台数を抑えることになった」と説明している。

 新型のプリウスPHVは、電池容量を大幅に拡大。ガソリンを使わずに現行型の2倍を超える60キロ以上の距離の走行が可能となったのが特長。現行のプリウスPHVはこれまでに世界で約7万5千台を販売している。
http://www.sankeibiz.jp/business/news/160803/bsa1608031247005-n1.htm


トヨタの公式ニュースリリースは次の通り。わざわざ国内と断っていることには、何らかの意味があるのか。


新型プリウスPHVの(国内)発売時期を延期
2016年08月03日 

 TOYOTAは、新型プリウスPHVの(国内)発売時期を、当初予定していた今秋から、今冬に延期することといたしましたので、お知らせいたします。

 プリウスPHVは、2012年1月からハイブリッドに次ぐ次世代環境車の柱として発売を開始し、現在までに日本、米国、欧州を中心に、約7万5千台(2016年7月末時点)を販売しております。今回モデルチェンジ予定の新型車は、4代目プリウスをベースとしながら、EV走行距離の大幅拡大や先進的なデザインの採用など、お客様がPHVに求められる要望に応えることで、電気を活用した新しいカーライフスタイルを提案できるクルマを目指し開発に取り組んでまいりました。

 今回、お客様により良いクルマを着実にお届けするため、発売時期を延期することを決定しました。何卒ご理解賜りますようお願いいたします。
http://newsroom.toyota.co.jp/jp/detail/13014343/



このPHVのベースとなったプリウスは4代目で、2015.12.9に日本では発売開始となっている。

トヨタ自慢のTNGAと言う車台の基本構造を採用した最初の車である。もちろん構成部品の共通化などによるコスト低減も目的の一つであろうが、軽量且つ低重心で操縦安定性運動性能の向上も主目的の一つで、それと共に低燃費化を図った「もっといいクルマ」を作るための基本となる車台と位置付けられたものである。

そしてこの新型プリウスはこのTNGAを採用することによって低燃費と低重心の斬新なデザインを実現させ、更にはその走行性能も格段に向上させている。辛口のモータージャーナリストなどによれば、「それほど変わり映えがしない」などと言うコメントもあるが、相当進化しているのは事実のようだ。

そんな新型プリウスのPHVの日本仕様車が、2016.6.15公開されている。不評だった現行PHVのEV走行距離26.4kmから、新型プリウスPHVは60km以上に伸ばしてきている。そのため次のように、鳴り物入りで公開されたのである。

ルーフには世界初となるソーラーパネルまで装備して、バッテリーに電力を供給することになっている。

更にはベース車のプリウスとは車体の前後意匠を大幅に変えることで、PHVたることを際立たせている。特にバックドアは意匠と空力のために、真ん中を凹ませた特異な形としている。そのため材質はカーボン樹脂(CFRP,Carbon fiber reinforced plastics、炭素繊維強化プラスチック)を採用しているが、今回これがアダとなり生産を混乱させているようだ。

(続く)
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続・次世代エコカー・本命は?(89)

2016-08-18 00:00:00 | Weblog

心境の変化 

 自動運転に対するトヨタの態度については、社内外で疑問があがっていた。報道陣はグーグルに大きな後れを取っているように見える理由を同社に求めた。当時、トヨタの幹部は、研究が同様に進んでいると考えていると述べる一方、この技術は運転手に代わる技術ではなく、運転手を支援する技術があるという、豊田氏も受け入れられるような答えを述べていた。

 豊田氏は積極的に現場と接触を図っているものの、最前線からの情報が自分になかなか上がってこない時があると指摘。「上がってきた時には遅い情報という意識がものすごく強い」と話した。

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サーキットレースの準備をするトヨタの豊田社長 Photo: Alex Domanski/Reuters
 
 鯉渕氏によると、同氏が率いるチームが行っている取り組みなどを外部に知らせる方法を広報チームとまず相談し始めた。そして、自動運転技術が活用されるべき分野を限定すべきではないことを話した。

 最終的に、3人の幹部がこの問題を社長に進言することを決めた。鯉渕氏と、技術開発本部本部長の伊勢清貴氏、広報部長の橋本博氏だ。豊田氏がすでに考えを変えていたと聞いて3人は驚いたが、豊田氏によると、この会合がトヨタの転換点となり、「そのおかげで(様々な動きや発表が)非常に早まった」という。

 豊田氏は2014年パラリンピックの選手たちと会ってから心境に変化が生じたと話した。選手たちは、障害者が簡単に乗車したり、操縦できるように設計されただけの車に乗りたくないと豊田氏に話していたのだ。

 豊田氏はお気に入りのスローガンが従業員の一部を混乱させたかもしれないと認めた。「Fun to driveというのは、ものすごく多様的に考えていく必要性がある」ことに気付いたと述べた上で、それでもこの目標を断念したくないと付け加えた。同氏は自動運転車について、究極的に交通事故を削減するべきだとも話した。

 トヨタの公のスタンスが変わるのは速かった。11月にはAIを研究するシリコンバレーの新施設に10億ドルを投入すると発表。この研究施設を率いるのは米国防総省の高等研究機関でロボット工学分野のマネジャーを務めたギル・プラット氏だ。

 また、グーグル・ロボティクスの元責任者も、トヨタが新研究施設で採用する予定の200人の研究者の中の1人として採用した。さらに、同社は「ディープラーニング(深層学習)」を手がける東京のベンチャー企業に800万ドルを投資。鯉渕氏によると、トヨタで自動運転技術を研究しているのは東富士研究所で約70人、シリコンバレーでさらに100人ほどいる。

 豊田氏は自動運転であろうがなかろうが、車は自由を提供すべきだと話した。

 「ドライバーにフリーダム(自由)を与える、そして(ユーザーから)愛というものを与えられる移動手段であることは、絶対に失ってはいけない自動車のエレメント(要素)だと思う」
【訂正】第1段落の「役員」を「幹部」に、第14段落の吉貴氏の肩書きを「役員」に、第21段落の「通年で初めての赤字」を「数十年ぶりの通年の赤字」にそれぞれ訂正します。また第46段落の「同氏」を削除します。
http://jp.wsj.com/articles/SB12053837977855664124504581475241719654566



直接のきっかけは豊田章男社長が、2014年にパラリンピックの選手たちと会ってからだと言う。

選手たちは、障害者が簡単に乗車したり、操縦できるように設計されただけの車に乗りたくないと豊田氏に話していたのだ。

これはどういう意味なのだろうか、と暫く小生は考え込んでしまった。健常者が運転する普通の車では、障害者はそれほどうまく運転は出来ないであろう。だから障害者でも運転が出来るように施された車にならざるを得ないのではないのか。なのにそんな車には乗りたくない、と言っている。これでは障害者は、クルマには乗れなくなってしまうのではないのかな、云々と感じたのだ。

でも障害者は、クルマを運転したいと思っている。

障害者たちは、「格好良い自動車に乗りたがっているパラリンピックの選手たちと会った」と言っているように、格好良い車に乗りたいのだ、そんな車を運転したいのだ。

と言う事は、障害者が簡単に乗車したり、操縦できるように設計されることによって、車が格好悪くなっては困るのである。あくまでも、それでも格好のよい車を障害者たちは操りたいのである。操りたい、とは少し言い過ぎであるが、障害者たちは格好良い車での移動(の自由)を欲しているのである。

ここに運転支援の技術、自動運転の技術が必要となってくるのである。これこそが障害者たちの「Fun to Drive」なのであろう。きっと豊田章男社長は、そんな感慨に打たれたのではなかろうか。


以前に(8月4日、NO.80)「自動運転機能は、高齢ドライバーや車を必要とするが車を操作できない人達にとっては、垂涎(すいぜん)のものとなろう。」と述べたことがあったが、これこそがその Fun to Drive なのである。

だからトヨタのスローガンである「Fun to Drive」は、当初は豊田章男社長の言う”クルマを操る歓び ・ もっといいクルマを作ろうよ”だけであったものが、”もっとよい移動手段たる車も作ろうよ”と言う概念も含むことになるのである。

操る歓びをもっと与えてくれるいいクルマも必要であり、もっと自由によりよい移動手段を与えてくれる自動運転車も必要なのである。

これも「Fun to Drive,again」なのである。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックの時には、トヨタをはじめ各社の自動運転車のオンパレードとなっているのではないのかな、楽しみである。そんなことも見越して、トヨタはウーバーとも提携しているのではないのかな。

(続く)
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