世の中、まちがってる、根拠なき反日キャンペーン。

相も変わらず根拠なき反日キャンペーンで、国をまとめようとする輩が存在する。

次世代エコカー・本命は?(109)

2015-04-30 00:00:00 | Weblog

同社は「MQB」停滞の主要因であるドイツ本国の高い人件費を抑制すべく、内製部品の投資を凍結、外部調達に切替えてコストダウンを図る動きを見せており、日本の部品メーカーにも安値による部品調達の打診が続々と舞い込んでいるそう。

トヨタもVWと同様に設計共通化手法「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」 による開発効率向上活動に2012年から取組んでおり、次期プリウスへの適用を目指しています。
(下記の 「 トヨタが「TNGA」と銘打つ車両設計改革の狙いとは? 」を参照のこと。)

同社は翌年4月、「TNGA」の強化に向け、「TNGA企画部」と「商品・事業企画部」を新設。
社内統制の体系も見直して外部環境を先読みしながら、開発能力、収益目標、商品投入タイミングを見定めて中長期のラインナップを決定。

今後両社が推進する設計共通化活動「TNGA」と「MQB」は発注先偏向の可能性など、膨大な裾野企業の将来を大きく左右するだけに購買政策も重要な要素に。

トヨタとそれを追うVWのどちらに最終的に軍配が上がるかはまさに「組織力」による勝負になって行くものと予想されます。

〔関連記事〕

決算で最高益達成のトヨタが業績予想を据え置く理由
http://clicccar.com/2014/08/11/264226/
次期プリウス「軽量化徹底」で燃費・動力性能大幅向上か?
http://clicccar.com/2013/09/04/229600/
「80点主義」に決別 ! トヨタがデザインの社内審査体制見直しへ
http://clicccar.com/2012/04/12/134727/
トヨタが「TNGA」と銘打つ車両設計改革の狙いとは?
http://clicccar.com/2012/03/24/125686/
クルマ造りが変貌する!? 日産の「CMF」、VWの「MQB」とは?
http://clicccar.com/2012/02/29/118661/
(Avanti Yasunori)
http://clicccar.com/2014/08/24/265442/



さてVWのMQBから横道にそれてしまったが、FCVの話に戻そう。トヨタは2018年ZEV規制もあり、FCVの普及には本気だ。ボチボチと水素ステーションも営業を始めているようだが、まだ本当にボチボチだ。今のところ全国で稼働中の水素ステーションは19箇所と次の記事には書かれているが、5月中旬には愛知県日進市に地元企業の東邦ガスがLPG・天然ガスやガソリンを販売している施設に水素ステーションを併設し、開業すると2015.4.20に発表しているので、そのうちには20箇所となるようだ。

今のところトヨタはFCV「ミライ」の年間生産計画をたったの700台ほどでスタートしたが、予想に反して注文が多く現在生産能力増強に必死に取り掛かっている。なんといっても2017年の秋からは、トヨタはこの「ミライ」を年間3.000台以上カリフォルニア州で売らなければならない。だからトヨタも「ミライ」も本気なのだ。



ミライを走らせて感じたトヨタの水素へのホンキ度【TOYOTA MIRAI試乗】
2015/04/15 19:28 by 編集長 小林和久
先日(2015.4.13)東京芝公園にあるイワタニ水素ステーション開所式には安倍首相も訪れ、日本にとって国を挙げてのエネルギーの方向性水素であるという印象を強めている印象です。

(安倍総理あいさつの抜粋
「 安倍内閣の下で規制を一挙に改革し、世界で最初に、燃料電池車と水素ステーションの商業化が実現しました。それから一年足らずに、全国76箇所で水素ステーションを整備することが決まりました。世界にも類のないスピードと規模で水素エネルギーのインフラ整備が動き出しています。間違いなく、日本は水素エネルギー革命のフロントランナーとなったと言っても良いと思います。」http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/actions/201504/13iwatani.html)




といっても、まだまだ稼働中の水素ステーションは全国19カ所。トヨタ・ミライの生産は年間700台から2000台、3000台に増やされるとアナウンスされていますが、いま注文しても手元に届くのは3年後とも予想されています。いわゆる普通の人が水素をエネルギー源とする燃料電池自動車に乗るのはまだまださきのこと、ミライもとりあえず出してみて世の中にアピールするためのクルマであるんじゃない?と思っているかたも多いことでしょう。

ところが、今回実際に試乗してみて、このクルマは本気なんだ、ということが伝わってきました。
(続く)
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次世代エコカー・本命は?(108)

2015-04-29 00:00:00 | Weblog

そしてもう1つ、MQBで造られた車に関するもの。


ゴルフ・ヴァリアント MQBシャシーが馬脚を露わした・・・
2014-01-28

http://web.volkswagen.co.jp/information/promotion/2014/122203/#/flash=e20ff794485c9256b4c5a7996108006b@Golf%20Variant%20R-Line  より挿入したGolf Variantの画像です。

  VWは確かにあまり好きなブランドではないけども、マツダやスバルと並んでより良いクルマをドライビングフィールを損なわないことを第一に考えたクルマ作りは素直に評価したい。トヨタやホンダがハイブリッド(HV)や燃料電池車(FCV)などを大量に導入してドラスティックに「クルマ=公害のイメージを変えようとする意図ももちろんよく分かる。どちらも勇気を振り絞って投資を行いクルマ社会をもっと良くしていこうという姿勢は十分に評価できる。今ではメルセデスやBMWも慌てて日産やトヨタに擦り寄ってでも、この動きに付いていこうとしてるくらいだ。

  これらのメーカーから出される最新モデルはどれも素晴らしくて、ブランドへの絶対的な信頼感からかプロの批評家の評価もやや過剰気味な気もしないでもない。中には足元をすくわれるような要注意モデルも見られる。鬼の首を取ったような言い方でやや恐縮だが、先日登場したゴルフ・ヴァリアントは目を惹く価格でその気になって契約してしまったあとで、ゴルフとはいろいろな点で異なるクルマだというのが後から露呈する(だろう)。こんなことならカローラフィールダーHVにしておけば良かった! なんてことにはならないだろうけど・・・toyo町の方が燃費は確実に上。

  そもそも「MQB」というシャシー開発システムに根本的に異を唱える人はいないのか? 5ナンバーのヴィッツと最高級ミニバンのアルファードを同じシャシーでトヨタも作っているけど、アルファードに驚異的な運動性能なんて誰も求めていないから、商品企画としては成立する。しかしVWは走りを重視する不特定多数のラインナップを一つのプラットホームで受け持つというシステムを作った。発想は子供のブロック遊びと一緒で、各部を必要な長さのモノに換えるという設計。もしポルシェ・パナメーラがMQBで作られていたら批判は殺到するのだろうけど。

  日産・栃木工場のように「V36スカイライン」「フーガ」「インフィニティQ50」「GT-R」「フェアレディZ」「スカイラインクロスオーバー」といった少量生産の高性能モデルのみを同一ラインで作ることはすでに行われている。けどゴルフのような大衆モデルをタイや中国の工場で集約生産するってどんだけコストに過敏なんだって思う。アジア生産となると販売の主役はポロだから1.2Lエンジン中心のラインナップでゴルフヴァリアントまで担当する。ゴルフと同じ2635mmのホイールベースを使うヴァリアントだが、新たにMQBになった結果、予想以上の乗り心地の悪化が起きているようだ。日産でもフェアレディZなどの出来に不満が起こっているようだ。コスト重視の生産方式はもちろん必要なのだけど、大きく傾倒しすぎると可哀相なクルマを生む結果に終わるのかも・・・。
http://d.hatena.ne.jp/cardriveg


そしてこの業界やマスコミもこのVWの「MQB」とトヨタの「TNGA」の先行きには、興味津々のようだ。


トヨタの改革「TNGA」とVWの「MQB」軍配はどちらに?
2014/08/24 06:03 by Avanti Yasunori

今年上半期(1‐6月)の世界販売で過去最高の509万7000台を記録、3年連続で首位を堅持しているトヨタ自動車

同社は5日の決算報告会で2014年暦年の販売台数計画をアジア市場の情勢を踏まえ、当初計画から11万台減となる1,022万台(前年比+2%)へと下方修正しました。

さらに2013年から3年間に渡って工場の新設を凍結。それまでの業績急拡大に伴う品質問題発生やリーマンショック後の赤字転落への反省から、むやみに台数を追う事を止め、「もっといいクルマづくり」に専念すると宣言。

豊田章男社長は今期業績予想について「意志を持った踊り場」と位置付けており、「短期の業績に一喜一憂せず、研究開発投資など必要な事は1年かけてしっかり仕込んでいく」としています。

一方、2018年までに世界販売台数、収益性など総合力で首位を目指すVWは上半期にトヨタとの販売台数差を約3万台にまで縮めており、年内に1,000万台の大台突破を目指しています。

ところが、こうしたVWの業績急拡大の裏でリーマンショック前のトヨタに似た歪みが生じているとの指摘が出始めているようです。
日経新聞が伝えるところによると、VWの主力車である「ゴルフ」で初めて適用した設計共通化手法「MQB(モジュラー・トランスバース・マトリックス)」が軌道に乗らず、設備の大規模更新などでコスト高を招いており、収益が悪化している模様。
(続く)
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次世代エコカー・本命は?(107)

2015-04-28 00:00:00 | Weblog

FCV普及のためには車両の低価格化・インフラ整備が急務

FCVは次世代カーの本命とされているため、多くのメーカーで開発が進行中。前述のとおり、市販直前の段階までこぎつけているメーカーも多いようです。トヨタがハイブリッドカー「プリウス」を発売したときは、他にハイブリッドシステムを本格的に開発しているメーカーはありませんでした。当時の状況とは対照的です。

しかし、開発が進んでいながら、発売に踏み切らないメーカーが多いのが気にかかるところ。むしろ、FCVの普及が困難であることを予感させます。

実際、FCVの普及には車両の低価格化水素ステーションの整備が必須であり、それが非常に難しいこともすでによく知られています。加えて、「MIRAI」の発売によってFCVの経済性についても明確になってきました。

昨年末、石油元売りの大手であるJX日鉱日石エネルギーが、水素の販売価格1kgあたり1,000円(税別)と発表しました。トヨタ「MIRAI」の場合、満タンにしたときの料金は4,300円になるそうです。

「MIRAI」は満タンでの航続距離を650kmとしているので、4,300円を650で割れば、1km走行するのに必要な燃料代を算出することができます。その金額は約6.6円。一方、ガソリン車の場合、燃費を25km/L、レギュラーガソリンの価格を150円とすると、1km走行するのに必要な金額は6.0円となります。

つまり、「MIRAI」の燃料代は、燃費の良いハイブリッドカーと同レベル、ということになるのです。ちなみに、これは偶然ではありません。「MIRAI」は燃料代が燃費の良いガソリン車並になることを目標のひとつとして開発されていますし、水素の価格を発表したJX日鉱日石エネルギーも、ハイブリッドカー並みの燃料代となるように水素の価格を設定したことを発表しています。

しかし、「MIRAI」の車両価格は補助金を差し引いても500万円前後と非常に高価。燃料代がハイブリッド並でも、あまり経済的な車とは言えません。経済性の良さを考えるなら、現状ではハイブリッドカーに軍配が上がってしまうのです。

FCVと並ぶ究極のエコカーであるEV(電気自動車)も車両価格が割高な印象ですが、充電にかかる費用は極めて安価です。1km走るのに必要な費用は約1.3円にすぎません(日産「リーフ」のカタログデータより)。それでも販売は苦戦していることを考えると、FCVの普及はさらにハードルが高くなりそうです。

トヨタ、FCVに関連する全特許の無償提供により普及を後押し

年明け早々に、トヨタはFCVに関して保有するすべての特許を無償公開すると発表しました。自社の利益より環境問題を優先した良識ある決断と言えるでしょう。しかし、裏を返せば、FCVの普及に対して強い危機感を抱いているということでもあります。

公開された5,610件にも及ぶ特許のほとんどは、期限付きの無償公開です。また、主要メーカーはFCVを市販直前まで開発しているので、今のタイミングでの特許公開によってFCVの開発が大きく前進するかについては疑問が残ります。

ただし、水素ステーションの関連特許70件は無期限で無償公開されました。これによって、多くの企業の参入を促し、開発競争を起こす呼び水にはなるかもしれません。

このように、FCVの普及には課題が多く、まさにいばらの道です。しかし、特許公開にまで踏み切ったトヨタや、多額の補助金を出す行政は、そのいばらの道を突き進む覚悟です。その先にあるのは、CO2排出問題石油依存から脱した水素社会。そこまで行き着けるのか、行き着くにはどれくらい時間がかかるのか、注目したいところです。

2015年1月15日掲載

ガイドプロフィール

山田 正昭(やまだ・まさあき)
フリーライター

自動車雑誌、バイク雑誌の編集を経て、フリーランスとして独立。Webに活躍の場を移し、多数のサイトで執筆活動を展開中。自動車、バイクのほかカーナビやデジタルガジェットのインプレッション記事も得意とする。
https://www.zba.jp/car-kaitori/cont/column-20150115/


確かにFCV「ミライ」は燃料電池の他に水素タンクを二つも搭載しているので、クラウンよりも大きなクルマとなっているし、当座は4人乗りとしている。そこらあたりを見て、「「MIRAI」はシステムをボディのあちこちに分散させてなんとか詰め込んでいる印象で、車内はかなりタイト。乗車定員も4人となっています。しかし、ホンダのFCVは5人乗りで登場するようです。」と表現しているのだが、なんと言っても「ミライ」はすでに一般に市販されている。しかもクルマとしての出来も、相当良い様だ。

しかし、ホンダのFCVは一年も販売を先送りしてしまった。いくらコンパクトに出来ており5人乗りだと言っても、まだ販売されていない。「パッケージ型スマート水素ステーション」なども売り出そうとしているので、ホンダもFCVには相当力を入れているようだが、なんと言ってもまだ市販されていない。発表したのは「コンセプトカー」だ。誰かが言っていたが、一般に販売しない車なら、なんとしても発表は出来るものだ。未だ販売しないと言うことは、販売できない車の状態にある、と言うことであろう。

発売されている車を取り上げて、未発売のクルマの方が良いようだ、などと評論するライターもライターだが、トヨタも言っているように、ホンダのFCVの販売を心から望んでいるのだ。はやくたくさんのFCVが、公道を走る日がきてもらいたいものである。FCVと水素ステーションはどちらも早期に必要なものだ。そういう意味でトヨタとしては、ホンダにも日産にも、そしてVWにも、早く燃料電池車の販売を始めてもらいたいのだ。

2015.2.4のNO.48ではゴルフの燃料電池車、「ゴルフ ハイモーション」について述べているので参照願いたいが、ドイツとドイツ人は狡猾なので、安倍内閣とトヨタや岩谷産業などが必死に作った水素インフラが出来た頃を見計らって、日本に燃料電池車を投入してくるつもりのようだ。だからVWは当てにならない、と思っていたほうが良いであろう。

この「ゴルフ ハイモーション」は、新車種ではなくゴルフのボデーを使って作られている。VW得意の「MQB(エムクーベー)」という新世代のプラットフォームで、作られていると言うことか。

このMQBは、トヨタの「TNGA」と同じものの様だ。と言っても両社はそれぞれ2012年に公開しだしたので、社内的には10年近く前から煮詰めていたものであろう。そうでなければ早々にMQBベースの車が発売されることはないであろう。と言うことはVWの方が早く量産化しているので、VWの方が早く手をつけたものと小生は推測している。その頃トヨタは生産拡大の一途で、本格的にTNGAに手をつける余裕はなかったものと思われる。概念は相当前から研究されていたものと思われるが、だから豊田章男社長時代となって初めて陽の目を見ることになったものであろう。だから豊田章男社長としては、忸怩たる思いがあったことであろうと推測できる。


MQBとは、「Modulare Quer Baukasten」(ドイツ語 モデュラーレ・クヴェアバオカステン)、拙訳すると「規格化した横置き用車台」とでも言おうか、現代風に呼ぶと「横置き用プラットフォームモジュール」とでも言っておこう。この機関には内燃機関やFCVやEVも含まれるものと思われる。だから、VWは、EVにせよFCVにせよ、同一ボデーで作られているのであろう。

ちなみに英語では、「Modular Transverse Matrix(モジュラー・トランスバース・マトリックス)」(拙訳、横置き用車台モジュール)である。

しかしVWとしてもこのMQBの採用に際しては、すんなりとはいっていないようだ。



独VWの新モジュール生産体制MQBに課題、生産遅れや残業増も
2014年 07月 30日 10:04 JST

[ウォルフスブルク(ドイツ) 29日 ロイター] - ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW) が打ち出した「ゴルフ・ハッチバック」の国内生産体制強化。VWは、好調な需要に対処するためと説明しているが、複数の関係者が明らかにした話では、同社が導入した新たなモジュール生産体制「MQB」に問題が生じたことが原因の一つだったようだ。

MQBは急増するモデルの共通部品を増やし、コストの大幅削減を図るもので、新興国需要が鈍る中、VWは期待を掛けている。

ところが、一部の組み立てラインで、こうした試みはやっかいな課題であることが判明。生産の遅れや残業の増加を招いているという。

ある従業員は「自ら招いた多くのトラブルに対処している。残業は通常業務となった観がある。一部は全く余計なものだ」と自嘲気味に話した。

VWは2018年までに世界首位に立つ目標を掲げている。生産ペースを加速し、コストを下げつつ、これまで例のない幅広いモデルを製造できる体制を目指しており、MQBはその核心に位置付けられている。
http://jp.reuters.com/article/companyNews/idJPL4N0Q508I20140730
(続く)
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次世代エコカー・本命は?(106)

2015-04-27 00:00:00 | Weblog

充填時間は3~4分

 パッケージ型スマート水素ステーションは24時間に1.5kgの水素を製造可能だ(図4)。これはFCXクラリティが約150km走行可能な量だ*3)。パッケージ内には蓄圧タンクが8本内蔵されており、35MPaの水素を最大約18kg、貯蔵できる。蓄圧タンクだけで3台のFCXクラリティを満タンにできる計算だ。

*3) ホンダFCXクラリティ(ZBA-ZC3)は4人乗りのセダン。高圧水素タンク(35MPa)の容量は171Lであり、航続距離は620km(10・15モード時)。

図4 スマート水素ステーションの主な仕様 出典:ホンダ


 「FCXクラリティーの水素タンクが空の状態から3~4分で満タンになる」(ホンダ)。充填速度は他社の水素ステーションと変わらない(図5)。ただし、多くの競合他社は70MPaを最大充填圧としている。「70MPaのタンクを備えた他社の燃料電池車に今回の装置で充填した場合、満タンにはならないものの、60数%までは達する」(ホンダ)。圧力は半分だが、5割以上充填できるということだ。

図5 水素注入のためのノズル 出典:ホンダ


普及への課題は何か

 パッケージ型スマート水素ステーションを利用すれば、小面積の土地に短時間で水素ステーションを設置できる。設置期間が短いことは、設置コスト引き下げにも効く。残る課題は何だろうか*4)。

 適用法規だ。商業地に水素ステーションを設置する場合、防火壁や散水栓など(過大な)規制が多い。関係省庁に規制適正化を求める必要がある」(ホンダ)。市街地に設置できるよう、岩谷産業とともに実証実験を重ねていくとした。なお、今回の設置場所は商業地ではないため、半径5m以内に火気が存在しないなどのわずかな規制しか掛かっていないという。

*4) この他、水素の製造コストが課題になる。化学工業の副産物である副生水素などを運び込む場合と比較して、(再生可能エネルギーによる)電力を用いた水電解はコストが高いとされている。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2014年7月に公開した「水素エネルギー白書」では、製造法ごとの水素の製造コストをまとめている。苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)製造の副成水素は20円/Nm3、石油精製時では23~37円、水の電気分解(水電解)では76~136円だという(関連記事 http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1409/01/news078.html)。なお、ホンダは水素の製造コストを公開していない。
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1409/22/news038.html


「常圧の水を注入して、35気圧(35MPa、メガパスカル)の水素を直接得ること」ができると言っているので、ここら辺りにこの装置の味噌があるのであろう。水の電気分解自体が35気圧下で行われているのか、分解された水素がそのまま35気圧(35MPa、メガパスカル)に加圧されて出てくるのかはわからないが、そこがホンダの工夫したところであろう。だからホンダは水素タンクの圧力を35気圧に拘(こだわ)ったのであろう。

と言うことはさらに一押しして70気圧にも簡単?に出来るのではないのかな。そうすれば水素ステーションの問題は早晩解決されることになるのではないのかな。・・・と、いろいろなところで技術革新が進行してゆくものと思われる。意外と水素社会の実現も早いのかもしれない。

しかし水素社会の実現はそんなに甘いものではないと言う論評もある。



FCV(燃料電池車)は普及する?
年の始めに考える「究極のエコカー」の現状と課題


ガイド:山田 正昭 2015年1月15日掲載

有害な排気ガスを一切排出しない究極のエコカー、それがFCV(燃料電池車)です。昨年末に発売されたトヨタ「MIRAI」は予想をはるかに上回る受注を獲得し、増産が決定しました。それに先立つタイミングで開催されたロサンゼルスモーターショーでは、ホンダ、フォルクスワーゲン、アウディが相次いでFCVのコンセプトモデルを発表。中でもホンダは2015年度内の発売を目指すと発表しています。しかし、FCV普及のためには、水素ステーションの整備、車両や水素の低価格化といった難題を解決しなければなりません。石油依存から脱却した水素社会の到来はまだまだ先の話のようです。

トヨタがFCVの市販車である「MIRAI」を昨年末に発売したのは記憶に新しいところ。1月15日には、ホンダ2016年3月の発売を発表しました。新たなエコカーの時代はすぐそこまで来ているかのようにも思えますが、FCVの普及は順調に進むのでしょうか。


あと数年で各メーカーのFCVが勢揃いする?

FCVは、水素と酸素を反応させて電気を作り出す燃料電池を搭載した自動車。燃料電池はガソリンエンジンなどの内燃機関に取って代わるパワーユニットとして、長いあいだ開発が進められてきました。そして、2014年11月にトヨタの「MIRAI」が発売されたわけですが、FCVの開発に成功しているメーカーはトヨタだけではありません。(この内容は間違いです。FCVミライの発売は2014.12.15です。トヨタは2014.11.18に記者発表で発売日を公表したもので、発売はあくまでも12/15です。)

ホンダは昨年11月のロサンゼルスモーターショーで「FCV CONCEPT」を発表し、2015年度内の発売を目指すとしました。ホンダ版FCVはシステムが極めてコンパクトなのが特徴で、そのほとんどすべてをボンネット下のエンジンルームに収めることができます。

MIRAI」はシステムをボディのあちこちに分散させてなんとか詰め込んでいる印象で、車内はかなりタイト。乗車定員も4人となっています。しかし、ホンダのFCVは5人乗りで登場するようです。

また、ホンダは車両に加えて、外部給電器スマート水素ステーションも発表し、三位一体での普及を目指すとしています。外部給電器は災害時などにFCVから家庭用電源を供給するための可搬型の装置。スマート水素ステーションはホンダ独自技術の高圧水電解システムで水素を作り出せるステーションです。

同じロサンゼルスモーターショーでフォルクスワーゲンも燃料電池の研究車両「ゴルフ ハイモーション」を発表しました。フォルクスワーゲンでは燃料電池のために専用モデルを用意するという発想をせず、「FCV」という言い方もしていないのが特徴です。

フォルクスワーゲンは、「MQB(モジュラー・トランスバース・マトリックス)」という新世代のプラットフォーム(自動車の基本構造)を採用しており、MQBはその開発段階からあらゆるパワートレインを搭載できる設計。すでにガソリン、ディーゼル、天然ガス、電気、それにプラグインハイブリッドのパワーユニットを搭載している実績があります。

燃料電池についても、単体で開発したパワートレインを「ゴルフ」など既存のモデルに搭載する、というのがフォルクスワーゲンのスタンスです。そしてそれは、公道テストを繰り返すほど完成に近づいています。

さらにアウディもロサンゼルスモーターショーでFCVを披露。しかも、走行可能な車両を会場に持ち込み、報道陣向けに一般公道での試乗会まで実施しました。

各社とも、「発売のタイミングでトヨタに先を越されたが、技術開発で後塵を拝しているわけではない、すぐに追いつき追い越せる」と言わんばかりです。
(続く)
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次世代エコカー・本命は?(105)

2015-04-24 00:00:00 | Weblog

白金の使用量の低減から白金の代替触媒の開発、更には人口触媒の発明にまで言及しているので、そのうちに白金に代わる画期的な触媒も開発されることになるであろう。これが技術革新である。日進月歩とは言うがそれほど早く開発されるほど簡単なことではない。だから燃料電池車の普及時期としては、2020年から2030年と言う。場合によっては2040年にまで伸びてしまうかもしれない。先の走行中給電の実用化も2030年頃といっていたので、白金に代わる新触媒の開発と走行中給電の実用化とは、いい勝負と言ったところか。

だからと言ってイーロン・マスクの言う「燃料電池は馬鹿電池」と言われるほど、馬鹿ではない。この上ない「クール電池」なのである。

水素にしても簡単な方法で、と言うよりも水の電気分解装置を小さくパッケージしたものだが、いずれにしても簡便に水から作り出せる方法も考え出されているようだ。




電気自動車:水素を「水」から作り出す、四畳半のステーション
» 2014年09月22日 11時00分 更新

ホンダは2014年9月、さいたま市、岩谷産業と共同で燃料電池車に水素を供給する独自の水素ステーションを設置した。特徴は2つ。水と電気だけを用いて、その場で水素を製造できること。ステーション全体を1つの小規模な「箱」に収めたこと。水素ステーションの大量普及に備えた形だ。
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 ホンダは2014年9月、さいたま市、岩谷産業と共同で燃料電池車に水素を供給する独自のステーションを設置した(図1、図2)。「パッケージ型スマート水素ステーション」と呼ぶ。

 リース販売中のホンダの燃料電池車「FCXクラリティ」に水素を充填できる*1)。「当社の燃料電池車だけではなく、他社の燃料電池車にも水素を供給可能だ」(ホンダ)。

図1 さいたま市見沼区と設備の設置位置

*1) さいたま市東部環境センター(さいたま市見沼区膝子)内に設置した。商用サービスではなく、実証実験という位置付けだ。経済産業省による燃料電池自動車用水素供給設備設置補助事業の対象とはなっていない(補助金を受けていない)。なお、同センターでは、ゴミ焼却の余熱を利用した廃棄物発電を実施しており、その電力で水素を製造している。

図2 パッケージ型スマート水素ステーション(左)と燃料電池車FCXクラリティ 出典:ホンダ

水と電気だけで水素を製造、設備をポンと置くだけ

 特徴は大きく2つある。まず水と電気だけを用い、その場で水素を製造できることだ。「装置に55~60kWhの電力を与えると、水素を1kg製造できる。使用する水の量は公開していないものの、分子量から計算すると9kgになる」(ホンダ)。水素を外部からステーションに運び込んだり、都市ガスを改質して水素を作り出す場合に比べて、設置場所を選びやすい。例えば離島でも導入可能だ。

 もう1つの特徴は、ステーション全体を図2のように1つの小規模な「箱」に収めたことだ。パッケージ型と呼ぶ。高圧水素タンクや充填ノズルなど主要構成部位を全てパッケージ型に収納したシステムは世界初だと主張する。

 ホンダは2012年3月、2年間の実証実験のため、さいたま県庁に「ソーラー水素ステーション」を設置している。水素を作り出す仕組みや製造能力は今回と同様だ。今回はパッケージ化(小型化)できたことが新しい(図3)。設置面積を25分の1にできた。

図3 既存の水素ステーションとの比較 出典:ホンダ

 パッケージの専有面積は約2.4m×3.2m。四畳半程度の面積だ。設置場所を選びやすいことに加えて、設置工事が容易になるという利点がある。大量普及時に有利だろう。「あらかじめコンクリート土台を作り、水道管と200Vの電力線が引き込まれていれば、すぐに設置できる。パッケージを運び込んでクレーンで持ち上げ、据え付けるだけだ。今回も1日で作業が終わった」(ホンダ)。

 ホンダの水素ステーションには技術的な強みもある。

独自の高圧水電解システムが強み

 「当社が開発・製造した『高圧水電解システム」の他、複数の部品を用いて岩谷産業がパッケージを製造した」(ホンダ)。つまり、ホンダの強みは高圧水電解システムにある。水を電気分解して水素を製造する装置だ。

 特徴は常圧の水を注入して、35気圧(35MPa、メガパスカル)の水素を直接得ること。製造した水素を高圧タンクに蓄積する際、コンプレッサーで圧縮する必要がない。同社が2010年に発表した研究結果によれば、太陽電池で電力を得て、加圧しない通常の水電解システムで水素を製造すると、得た電力量のうち、約20%をコンプレッサーと除湿用のヒーターで使うことが分かったという*2)。これは電気分解の際に無駄になる電力量よりも大きい。

*2) 「ホンダのソーラー水素ステーション(SHS)開発の取り組み」、水素エネルギー協会機関誌、Vol.35 No.3(2010)「水素ステーションの現状と課題」
(続く)
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次世代エコカー・本命は?(104)

2015-04-23 00:00:00 | Weblog

燃料電池車への白金の使用量は、大型車で150g×7,000円=105万円となり、FCV「ミライ」には一台で百万円程度の白金が使われていることになる。尤もトヨタとしてはこの白金の使用量を相当減らすことに成功しているようなので、これほどまでにはなっていないものと思われるが、いずれにしても白金を使っている以上FCVの普及はそれほど進まないものと、思っているほうがよかろう。

だからトヨタとしてもこの白金に変わる触媒探し触媒の開発にはシャカリキになっていることであろう。




FCVの低コスト化に光!白金に変わる触媒研究で成果
http://clicccar.com/2014/11/03/276405/
2014/11/03 08:03 by Avanti Yasunori テクノロジー, ニュース・新車, 環境・エコ

FCV(燃料電池車)を今年の12月に700万円程度で発売すると発表したトヨタ自動車。


補助金を含めれば500万円程度になるようですが、先端技術搭載車だけあって、同クラスの4ドアセダンと比較すればかなりの高額車である事は間違いありません。


(出展 トヨタ自動車)

トヨタとしてもさらなる低コスト化に向けて動き出しているようですが、普及価格にまで下げるには総コストの約60%を占める発電用の「FCスタック」と呼ばれる燃料電池本体の大幅なコストダウンと「量産効果」の2点が求められています。

中でも、FCスタックの化学反応を促進させる電極用の「白金触媒」がコストを増大させる要因になっており、白金(Pt)の使用量を低減する事が重要課題となっています。

(出展 トヨタ自動車)

「白金」の世界全体の推定埋蔵量は3~8万トン程度とされており、主な産出国は南アフリカ共和国、ロシア、カナダで、多くは南アフリカに偏在。

グラム当たりの価格が5,000~7,000円と非常に高価で「NEDO」(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)によれば、FCV1台に使用される白金の量は小型車(80kW)で32g中型車(150kW)で62g大型車(250kW)で150gとのこと。

FCV1台あたりの平均使用量を50gとすると、白金だけで25~35万円ものコストに。

現状の「白金」産出量は年間180トン程度で、世界の自動車年産台数の10%以下しか需要を満たせない状況と言います。

(出展 トヨタ自動車)

白金の推定埋蔵量は3万6000tに過ぎず、白金触媒を使うかぎり、燃料電池車の普及は望めない状況。

そうした中、日清紡ホールディングス群馬大学の尾崎教授と共同で開発した「カーボンアロイ触媒」が白金の代替触媒としてほぼ同等の発電性能を有することが確認されたそうです。

この「カーボンアロイ触媒」は数%の窒素を含んだ炭素を主成分としてカーボングラファイトに窒素とホウ素を入れてアロイ化したもので、白金と同様に燃料電池の酸素還元反応を促進、溶出を起こさないため、燃料電池自体の寿命延長にも役立つと言います。

価格は白金の6分の1、もしくは10分の1程度まで低減可能とか。

また一方では奈良先端科学技術大学院大学兵庫県立大学の研究グループ微生物の持つ酵素が常温常圧という温和な環境条件下で水素分子を分解して電子を取り出す反応を触媒する点に着目。

(出展 兵庫県立大学)

触媒反応を担う分子の構造を真似た人工的な触媒を作れば、燃料電池の高性能化、低コスト化が図れると共に、水素を使う化学合成などの産業分野でも有用な触媒ができるとして、研究成果をドイツの学術雑誌「Angewandte Chemie International Edition」に公開しています。

同研究グループが反応に伴う活性部位の分子構造の変化や鉄硫黄クラスターの電子の状態を詳細に調べたところ、活性部位に最も近い「鉄硫黄クラスター」が電子を失い酸化されている時だけ反応が進んでおり、「オン」「オフ」を切り替えるスイッチ役をしていることを発見。

このスイッチを容易に操作できるようになれば、必要に応じて効率を高める技術に繋がる可能性が有るとしており、人工触媒の設計や化合物の合成にも役立つと見込んでいるようです。

(Video)

燃料電池は化学反応を利用した技術だけに、産学連携による多方面からのアプローチにより、新たな低コスト化の道が開ける可能性を秘めており、2020年を目処とするFCVの本格普及に向けた研究がいっそう活発化することになりそうです。

■日清紡ホールディングス Webサイト
http://www.nisshinbo.co.jp/r_d/activity.html
■奈良先端科学技術院大学 物質創成科学研究課
http://mswebs.naist.jp/
■兵庫県立大学 理学部 生命理学研究課 発表資料 (PDF)
http://www.naist.jp/topics_pdf/admin_baec9c61715589d081afa0bd5a3cd605_1413448987
http://clicccar.com/2014/11/03/276405/
(続く)
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次世代エコカー・本命は?(103)

2015-04-22 00:00:00 | Weblog

新型電池と言い、ワイヤレス給電と言い、今年はさらに進化した内容のものが出てくるものと思われる。このように技術は日進月歩しているのでEVにしろFCVにしろ、しばらく目を離していると、格段に進んだものに進化して世に出てくることにびっくりすることであろう。目を見張るようなことが起こることになれば良いのだが。


(8)FCV・白金触媒やその他の技術革新について

燃料電池にしても、いろいろな改良や新発明が行われている。そしてコスト低減が進んで、使い勝手もよくなってゆくものと思われる。

燃料電池車としては水素ステーションの設置がさしずめ最も緊急をするものではあるが、それよりも急がれるのは燃料電池車のコスト削減である。それには先ず、高価な白金触媒に代わる安価な触媒開発が急務となる。しかしすでにその芽は伸び始めているようだ。何はともあれCO2フリーの唯一(?)の技術である、大事に育てていきたいものだ。



燃料電池 もっと安く東工大 触媒を節約/トヨタ 電極簡素に 車体価格下げ狙う
2014/9/30付  ニュースソース 日本経済新聞 朝刊

 燃料電池車の動力源となる燃料電池のコストを下げる技術開発が相次いでいる。東京工業大学九州大学は燃料電池で電子をやりとりする触媒で高価な白金量を減らすトヨタ自動車日産自動車パナソニック電極を変えて簡単な構造の電池をつくる。東京大学は燃料の水素をためるタンクの材料を節約する。車体価格を下げ、普及につなげる狙いだ。


 東工大山口猛央教授らは触媒に使う白金の量を3分の1に抑えた。白金触媒に鉄などを混ぜ、白金の原子間の距離を変えて触媒の効率を3倍にした。耐久性も従来より高い。10年の使用を想定した試験で検証済みで、5年後にも実用化する。

 燃料電池車には30グラム程度の白金を使う。安い金属を白金で覆う考えもあったが、耐久性が落ちる課題があった。

 九州大中嶋直敏教授らは小さな白金の粒をカーボンナノチューブ(筒状炭素分子)に固定する方法を考案した。粒が小さくても塊にならず、電池の性能が下がらない。白金の量10分の1になるという。

 トヨタ日産パナソニックなどのチームは、燃料電池の電極表面に並ぶ炭素の粒を柱の形に変え、触媒に効率良く酸素が届くようにした。反応でできた水を取り除く構造を研究し、電極1枚あたりの発電効率を上げ、数百枚は必要になる電極を減らし燃料電池のコストを1割以上削減する。

 燃料電池に水素を供給する設備のコストダウンも欠かせない。東大吉川暢宏教授らは日産と共同で水素タンクの製造コストを1割減らすめどをつけた。

 高い精度のシミュレーション(模擬実験)技術を使い、タンクに巻く炭素繊維強化プラスチックの無駄を省く。タンクを8500万カ所に分けて計算し、強度を保って使用量が少ない条件を探る。

 燃料電池車はトヨタが2014年度内に市販する予定だ。新エネルギー・産業技術総合開発機構は普及には燃料電池のコストを現在の100万円程度から50万円程度に下げる必要があると試算している。
http://www.nikkei.com/article/DGKDZO77721280Z20C14A9TJM000/


この記事では、触媒として使用される白金の量を将来的には10分の1に減らすと言う。次の記事は、その白金に替わる材料を使って触媒を作ると言うものである。だからこれが実用化されれば、相当のコストダウンとなろう。このようにFCVにおいても技術革新は進んでいるのである。


帝人、燃料電池車の触媒安く白金使わず、10分の1以下狙う
2014/10/21付 ニュースソース 日本経済新聞 朝刊

 帝人は自動車各社が市販を検討する燃料電池車向けに安価な触媒を開発した。高価な白金の代わりに割安な鉄と窒素を使う。今のところ性能は現在の約70%にとどまるが、改良して白金以上の性能を目指す。触媒の価格を10分の1以下に下げるのが目標だ。サンプル提供の相談にも応じる。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構のプロジェクトで開発した。東京工業大学の協力も受けた。米電気化学会の国際会議で発表した。

 開発したのは燃料の水素イオンと電子、酸素から水を作る触媒の新材料。現在の触媒は炭素粒子に白金を付けているが、白金を鉄と窒素に置き換えた。白金は産地が南アフリカやロシアに偏るが、鉄と窒素は入手に困らない。

 原料には塩化鉄などの鉄化合物、窒素を含む高分子のポリアクリロニトリル(PAN)を使った。鉄化合物とPANを溶媒に溶かし、アンモニアを入れた気体中などで熱処理すると、直径数百ナノ(ナノは10億分の1)メートルの粒子ができた。この粒子を触媒に使って燃料電池を試作し、1アンペアの電流で約0.4ボルトの電圧を発生した。
http://www.nikkei.com/article/DGKDZO78654240Q4A021C1TJM000/


トヨタもこのことは十二分に弁えている様で、現在必死に白金に変わる触媒の開発に取り組んでいるものと思われる。しかも白金の埋蔵量は、高々8万トン程度だと言われ、しかも南アとかロシア、カナダなどに偏在していると言う。とすると燃料電池車を普及させるには、この白金の確保が鍵となってくるが、このような状況であればFCVの普及はそんなに易々とは進まないものと思われる。

しかし次の記事を読むと白金に代わる触媒などが、次々と(は少し言いすぎではあるが)発明されている様だ。

(続く)
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次世代エコカー・本命は?(102)

2015-04-21 00:00:00 | Weblog

 KAISTが走行中給電が可能なシステム「OLEV:On-Line Electrical Vehicle」の開発を始めたのは今から6年以上前。2009年2月には、KAISTの敷地内でゴルフカート、同年6月に大型バス、同年7月にSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)の実車走行を実験(図2)。12月には4台の大型バスを製造し、所内での運行を実施している。

 2010年3月には、ソウル大公園内の走行ルートで、園内移動用の列車型EVの営業走行も始めた。3両を連結し合計19トンの列車を牽引するEVで、最高出力240kWのモーターを搭載している。Liポリマー2次電池を搭載し、容量は24.8kWh。最高速度は時速40kmだった。道路の下には給電用のコイルが敷き詰められており、総延長2.2kmの区間のうち400mほどに給電区間を設けることで、「2次電池の搭載量を通常の20%程度にできた」(KAIST)という。

 KAISTはその後も開発を続けている。2015年3月20日のシンポジウムに登壇するKASITのChun T. Rim氏(Professor, Nuclear & Quantum Engineering)は、「現在、第5世代のOLEVを開発中だ。出力は100kW。道路内に配置した送電レール(コイル)と車両の受電コイルが20cm離れていても、80%を超える電力伝送効率を実現できる」と自信を覗かせる。

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20150310/408361/?ref=RL3&n_cid=nbptec_tec00001&rt=nocnt


後編では定点充電から走行中充電の話となり、韓国企業の開発状況が相当進んでいることを紹介している。充電時の走行速度が何キロがわからないが、走行中充電ができればバッテリーは少なくてすむことになる。

次に紹介するTDKが開発した非接触型充電方式では、走行中給電の実証実験も開始していると言う。走行速度は時速5km程度らしい。これではまことに物足りない感じがするが、先ずは走行しながら充電することへのトライとしては、意義深いのではないのかな。しかしこんなことではKoreaに負けてしまうか。



充電、駐車するだけEV向け、TDKが非接触型
2014/10/21付  ニュースソース 日本経済新聞 朝刊

 TDKは、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)に向けた非接触の給電システムを開発した。EVやPHVを駐車場にとめるだけで、有線ケーブルを使わずに充電できる。道路上に敷き詰めれば、走行中に給電することも可能という。2018年ごろに自動車に採用されることを目指す。

 TDKは4月、米ベンチャーのワイトリシティ(マサチューセッツ州)と提携し、EVの無線給電に関する技術ノウハウを取得していた。今回のシステムは、ワイトリシティの技術を基に、TDKが得意とする磁気コイル技術を活用して実現した。

 システムの内容は、非接触給電に必要な無線給電用の送電コイルと受電コイル。コイル間の距離が10センチメートル以上離れても、電力を送れるという。自動車メーカーなどに向け、15年上期からサンプル提供する。

 EVの走行中給電に関しても、実証試験を開始した。

 1周あたり30メートルのテストコースの路面下部に、5メートルおきに6台の送電コイルを敷き詰め、試作車を走らせた。時速5キロメートルで、120キロメートル走行できることを確認済みという。

 EVやPHVへの非接触給電に関しては、トヨタ自動車や日産自動車が実用化に向けた実証試験を進めている。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ18H0M_Q4A021C1TI0000/



このような技術が実用化されれば、EVにとってはこの世の春であろう。と言ってもどの程度のコストになるかが問題である。

まあバッテリーであるからして充電の問題が出てくるのであるが、燃料電池車であればこの充電問題はない。発電燃料となる水素を搭載しているから、充電時間とか走行中充電インフラ問題などは発生しない。ここら辺がBEVに対する燃料電池車の優位点なのであろう。



エコカー戦争、EVはFCVに絶対勝てない理由 利便性と燃料充填で圧倒的な差
ビジネスジャーナル 14 時間前 2014.12.31 16:00
© Business Journal 提供

 プリウスに代表されるハイブリッド車の帰趨はどうなるのか。競合するのは前回連載で取り上げた燃料電池自動車(FCV)と電気自動車(EV)となる。これらの優位性について主としてエネルギー効率の観点から議論されがちだが、実は燃料の充填方式の違いが普及に大きな影響を与える。

 決定的な違いは、FCVが専用の水素ステーションに行かなければならない一方、EVは電源設備があれば自宅でも充電できるという点だ。よって、一見するとEVのほうが利便性に勝るようにみえる。

 しかし、EVに電源を接続するためには、専用の充電設備を設置しなければならない。家庭用100V電源で設置できる設備は「普通充電器」と呼ばれ、EVをゼロの状態からフル充電するまで7~8時間を要する。オーナーは毎日帰宅するごとにマイカーにプラグ接続し、朝まで置いておかなければならない。

 加えて、EVは約15Aの電力を使用するという。家庭用配電盤は通常10A程度であり、最大に増やしても20Aである。所有者が夕方帰ってきてマイカーをプラグにつないだとたん、自宅の電気器具の使用が朝まで大幅に制限され、毎月の基本電力料が大幅に上がる

 EVの広汎な普及のために阻害となる要因は、まさにこの充電方式である。外部スタンドとなる充電ステーションが経済合理性を有するためには、対象であるEVのクリティカル・マス市場成立のための最低必要量)が必要となる。

 よって、普及していくにはまず大都市からとなるが、自家用車オーナーのどれだけが自宅に駐車場と専用充電器を設置するかがカギとなる。当然設置のためには外構工事が必要となるが、現行の充電設備費補助制度は個人住宅を想定していない。ちなみに補助条件の一つとして社団法人次世代自動車振興センターは「充電設備が公道に面した入口から誰もが自由に出入りできる場所にあること」としている。

●航続距離と燃料充填時間で大きな差

 一方、FCVの場合、そのような家庭での面倒が起こらない。先日岩谷産業が発表したような水素ステーションに乗り付けて、水素ガスを充填すればいいだけのことだ。これは現在のガソリン補給と同じやり方なので、消費者が刷り込まれてきた消費行動と合致して抵抗感がない。せいぜい、プロパンガスを使っているタクシーが専用スタンドを覚えておくくらいの感覚になるだろう。

 またEVと比べて航続距離が長く(500km以上)、充填時間は短い(3分程度)。EVは急速充電器で15~30分程度であり、簡便さにおける水素ガス充填の優位性は明らかだ。

 FCVとEVを比較する場合、このような消費者目線の便宜性議論が有用で必要である。
(文=山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役)

●山田修(やまだ・おさむ)

経営コンサルタント、MBA経営代表取締役。20年以上にわたり外資4社及び日系2社で社長を歴任。業態・規模にかかわらず、不調業績をすべて回復させ「企業再生経営者」と評される。実践的な経営戦略の立案指導が専門。「戦略カードとシナリオ・ライティング」で各自が戦略を創る「経営者ブートキャンプ第10期」が10月より開講。1949年生まれ。学習院大学修士。米国サンダーバードMBA、元同校准教授・日本同窓会長。法政大学博士課程(経営学)。国際経営戦略研究学会員。著書に 『本当に使える戦略の立て方 5つのステップ』、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(共にぱる出版)、『あなたの会社は部長がつぶす!』(フォレスト出版)、『MBA社長の実践 社会人勉強心得帖』(プレジデント社)、『MBA社長のロジカルマネジメント-私の方法』(講談社)ほか多数。(http://senryaku.p1.bindsite.jp/)

http://biz-journal.jp/2014/12/post_8435.html
(続く)
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次世代エコカー・本命は?(101)

2015-04-20 00:00:00 | Weblog

 Qualcomm社は、買収によって獲得した技術をベースに電動車両向けのワイヤレス給電システム「Qualcomm Halo」の開発を進めている。最近では、MERCEDES AMG PETRONASのF1チームとの共同研究も始めた(関連記事3)。
図2 Qualcomm社の3.3k~20kWの出力範囲で対応可能なワイヤレス給電システム

 Qualcomm社のワイヤレス給電システムの特徴の1つは、複数の出力に対応できる点である。受電コイルが3.3kW品と6.6kW品、20kW品があり、送電コイルは20kWまでのすべての出力に対応する(図2)。自宅で夜間に8時間掛けてゆっくり充電するだけなら3.3kWあればよい。外出先で急速充電したい場合は20kWに対応するワイヤレス給電システムを選択するといった具合だ。

 技術課題として長らく指摘されてきた送電コイル受電コイル位置ずれの問題は、自動駐車技術との組み合わせで解決できる。本連載の前編で紹介したホンダだけでなく、デンソー自動駐車ワイヤレス給電機能を組み合わせたシステムを開発した。2013年10月に開催された「第20回 ITS世界会議 東京2013」でデモンストレーションを披露した。

 デンソーは、自動駐車と自動充電が可能なシステムを「スマートチャージング」と名付けて提案した(関連記事4)。管制センターの指示によって、駐車場においてある車両を自動走行させ、車両を指定時刻に指定場所へ自動で移動させるデモンストレーションだった(図3)。
 
 自動走行には、前後左右を見る4個のカメラと、前方の物体を検知するレーザ・レーダ、位置精度を向上させる準天頂衛星による測位、内蔵の地図データを用いた。
図3 デンソーの自動駐車と自動充電が可能なシステム「スマートチャージング」のデモ


 自動駐車に関しては、ドイツRobert Bosch社も実用化を後押しする。Bosch社が開発したシステムでは、駐車場内に入ったら運転者は車両から降り、スマートフォンなどで「自動駐車開始」の指示を送る。まずは安全を考慮して運転者が立ち会った状態で使えるようにする。周囲の状況把握には、欧州で広く使われている超音波センサ(ソナー)を中心に用いる。

 位置ずれ対策としては、送電/受電コイルの構造を工夫することも有効だ。ワイヤレス給電用のコイルの形状は、円型と角型の2種類に大別できる。歴史の長い円型品は、コスト面などで優位性がある。一方の角形品は、水平方向の位置ずれに対する許容量が大きい優位性があるという。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20150309/408249/?ref=RL3&n_cid=nbptec_tec00001



前編では送受信に使う電波の周波数帯の規格の話や、送受信コイルの位置決めをどのようにするのかの各自動車会社の工夫を述べている。


そして中篇では自動車メーカーだけでなくIT企業や自動車部品メーカーもこのワイヤレス給電事業に参入して、自動駐車機能でワイヤレス給電を実施しようとする試みを紹介している。


そして次の後編では、走行中給電に言及している。しかし実用化は相当先のようだ。



動き出した自動車向けのワイヤレス給電(後編)
まだ主導権が握れる走行中給電
久米 秀尚
2015/03/13 03:20

 無線で電力を伝送するワイヤレス給電技術。既にスマートフォンなどの携帯機器では製品化済みだが、自動車でもいよいよ実用化のフェーズに突入する(関連するセミナー)。国際標準規格化の議論が大詰めを迎えており、2015年5~6月にも方向性が固まるためだ。

 これにより、自動車が止まった状態でのワイヤレス給電技術を用いた充電(定点充電)機能を市販車に搭載する環境が整う。本稿では、自動車向けのワイヤレス給電技術を巡るここ数年の動きを振り返ることにする。

 自動車メーカーの動向を中心にまとめた前編は、こちら。エレクトロニクス業界を巻き込んだ開発競争を整理した中編は、こちら。


図1 Volkswagen社のEV「e-up!」は、フロントフードの下のエンジンルームに普通充電口を配置した。充電ケーブルを差し込むには、まず後部の荷室内から充電ケーブルを出して、フロントフードを開ける必要があり、やや使い勝手が悪い。

 間もなく実用化が始まる、自動車が止まった状態でのワイヤレス給電技術を用いた充電(定点充電)。第1弾の製品に向けた技術開発の目途は立っている可能性は高いが、これで開発が終わるわけではない。

 電動車両およびそのワイヤレス給電システムが普及期に突入する際には、更なる電力伝送効率の向上やコストの低減が欠かせないからだ(図1)。

 経済産業省の担当者は、「電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)を普及させる上で、充電インフラの拡充は欠かせない。その点で、ワイヤレス給電への期待も大きい」と語る。

 自動車向けのワイヤレス給電に関してはもう1つ、将来大きな成長が期待される市場がある。それが、走行中車両への充電(走行中充電)システムだ。走行中の電力供給を可能にすることで、電動車両に搭載する2次電池の容量を抑えて車両コストを低減しながら、航続距離も延ばすという発想である。

 「100年後のクルマは『エンジン』『電池』『急速充電』ではなく、『モーター』『キャパシター』『ワイヤレス』で走るだろう。走行中のワイヤレス給電システムには新しい技術が必要」――。走行中のワイヤレス給電システムに向けた新たな技術開発の重要性を説くのが、東京大学大学院 新領域創成科学研究科 教授で、自動車技術会では技術担当理事を務める堀洋一氏だ。

 実用化はまだ先で、「2020年の東京オリンピックで技術をアピールし、2030年ごろの普及を目指す」といったシナリオを書く研究者が多い。つまり、開発した技術次第で市場で優位に立てる可能性が大いにあるわけだ。

 だが、うかうかしていられるほどの余裕はない。自動車技術会 ワイヤレス給電システム技術部門委員会 幹事の横井行雄氏は「日本は出遅れている。指をくわえて見ているのはもったいない」と警鐘を鳴らす(関連記事)。

 日本勢にとって脅威となるのが、韓国の政府系研究機関であるKAIST(Korea Advanced
Institute of Science and Technology、韓国科学技術院)だ。横井氏によれば、KAISTは「1MW級の走行中充電技術を今後5年以内に確立しようと精力的に開発を進めている」という。

図2 KAISTが2009年2月に発表した第1世代のOLEVであるゴルフカート
    H m7T)
(続く)
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次世代エコカー・本命は?(100)

2015-04-17 00:00:00 | Weblog

EV「リーフ」などで試作済み

図3 日産自動車のEV「リーフ」を用いた試作車

 過去を振り返ると、日産自動車はこれまでに、「ハイパーミニ」と「リーフ」によるワイヤレス給電システムの実験を報道関係者に公開している(関連記事2、関連記事3)。展示車両で想定したシステムの最大出力は3.3kW。満充電までは240Vで8時間とした。地面側のコイルは、公共の場所ではなく、車両所有者の自宅駐車場に設置するという。

 地上側のコイルと車両側のコイルの位置ずれを防ぐため、アラウンドビュー・モニターを使った自動駐車システムを採用し、駐車する車庫の位置をナビゲーションシステムに登録しておくことで、車庫に入った際に自動駐車システムが起動する。

 取り組みを強化しているのは日産自動車だけではない。トヨタ自動車は、電動車両向けのワイヤレス給電の実用化を目指して2014年2月に愛知県豊田市で実証実験を開始した(関連記事4、関連記事5)。同社は、プラグイン・ハイブリッド車(PHEV)「プリウスPHV」をベースに磁界共鳴方式のワイヤレス給電システムを組み込んだ車両を開発済み。搭載するワイヤレス給電システムの出力は2kW。使用する周波数帯域は、国際標準規格としてほぼ合意の得られた85kHz帯を採用した。電力伝送効率は80%程度である。

図4 ワイヤレス給電機能を組み込んだトヨタ自動車の「プリウスPHV」

 トヨタ自動車によれば、「実証実験では、(地面に設置した)送電コイルと(車両の底部に設けた)受電コイルの距離(コイル間ギャップ)は15cm程度離れている。水平方向の位置ずれは、左右にはタイヤ1本分弱(20cm程度)を許容している。前後方向の位置のずれはカーナビの支援によってほとんど出ない想定で開発した」という。

ホンダは自動駐車と組み合わせ

 ホンダも開発を進めている。同社は2014年6月16日にワイヤレス給電システムを搭載した「フィットEV」の実験車両を公開した(関連記事6)。埼玉県さいたま市で実証中のスマートハウス(次世代省エネ住宅)の取り組みの一環として開発を行っている。実用化の目標時期は2016年ごろという。

 特徴的なのは自動駐車システムと組み合わせた点だ。自動運転によって精度よく駐車するシステムを用いることで、「駐車精度は縦方向に±5cm、横方向に±10cmの幅で、送電コイルの上に自動的に駐車できる」(ホンダ)という。これにより、80~90%の電力伝送効率を維持できるようにした。
 (次回の中編は【3/11公開予定】、最終回の後編は【3/13公開予定】です)
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20150309/408100/?n_cid=nbptec_tecml&rt=nocnt



『 ★日産が登壇★韓国KAISTが来日★
【自動車向け】ワイヤレス給電シンポジウム2015
~EV充電が実用フェーズに、その先には走行中給電も~

電力を無線で伝送するワイヤレス給電技術に関するセミナー「ワイヤレス給電シンポジウム 2015」を、3年ぶりに開催します。自動車向けにフォーカスし、間もなく実用化が始まる定点充電と、将来技術として期待の大きい走行中給電という、ワイヤレス給電の2大トピックの最新動向を、業界第一線で活躍する講師陣に解説していただきます。
・日産自動車が国際標準化動向を解説
・Qualcomm社が開発技術や欧州の動向を詳報
・韓国KAISTが走行中給電システムの詳細を披露
など全6講演!詳細は、こちら。

日時:2015年3月20日(金)10:00~16:45(予定)
会場:JA共済ビル カンファレンスホール(東京・永田町)
主催:日経エレクトロニクス/日経Automotive 』



動き出した自動車向けのワイヤレス給電(中編)
エレクトロニクス業界も巻き込んだ開発競争に

久米 秀尚
2015/03/11 03:20

 無線で電力を伝送するワイヤレス給電技術。既にスマートフォンなどの携帯機器では製品化済みだが、自動車でもいよいよ実用化のフェーズに突入する(関連するセミナー)。国際標準規格化の議論が大詰めを迎えており、2015年5~6月にも方向性が固まるためだ。

 これにより、自動車が止まった状態でのワイヤレス給電技術を用いた充電(定点充電)機能を市販車に搭載する環境が整う。本稿では、自動車向けのワイヤレス給電技術を巡るここ数年の動きを振り返ることにする。

 自動車メーカーの動向を中心にまとめた前編は、こちら。

 ワイヤレス給電システムの開発に注力するのは、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車を開発する自動車メーカーだけではない(図1、関連記事1、関連記事2)。自動車業界に身を置く多くの企業だけでなく、エレクトロニクス企業も巻き込んだ開発競争に発展しているのだ。

図1 Audi社が開発した電動車両向けのワイヤレス給電システム

 エレクトロニクス系の企業の中で、特にワイヤレス給電システムの研究開発に力を注いでいるのが米Qualcomm Technologies社だ。同社は2011年11月に、電磁誘導方式のワイヤレス給電技術に関する特許を多数保有するニュージーランドUniversity of Aucklandから、同技術の関連資産を買収することを発表した。
(続く)
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