世の中、まちがってる、根拠なき反日キャンペーン。

相も変わらず根拠なき反日キャンペーンで、国をまとめようとする輩が存在する。

次世代エコカー・本命は?(26)

2014-12-30 00:00:00 | Weblog

補助金なしで回す仕組みが必要

水素社会の到来に向けて、政府はどのような役割をするべきですか。

遠山:やはり長期的なヴィジョンを示して欲しいと思います。

 新しい産業を立ち上げるため、当初は政府が補助金を出すことが必要でしょう。例えば、燃料電池車の購入者に対しては、200万~300万円の補助金が支給される見込みです。ただ、いずれ補助金なしで回るような仕組みを作らなければならないはずです。

 現状は燃料電池車も燃料電池も価格が高いことが普及のネックとなっています。これは研究開発費が大きくかさんだためですが、これを解消するためにはたくさん作って量産効果を出すか、研究開発費そのものを減らす努力が必要です。

 各企業でバラバラにやっている技術開発を集約するというのも1つのアイディアではないでしょうか。そのためには国が先に仕様を固めることで、企業の負担を減らせるはずです。

 例えば、水素ステーションであれば大規模型ではなく小規模型の普及を促していく。そうすれば数がたくさん出ることになり、1つ当たりの開発コストは引き下げられる。つまり、利益が出やすいということです。

 また、昨年の規制改革会議での閣議決定を踏まえて、水素ステーションなどの保安規制に関する規制緩和も検討されています。
水素ステーションについては、石油元売りなどエネルギー提供企業の中でも懐疑的な見方もあるようです。

遠山:政府の目標として2015年までに100箇所の設置を目指しています。1箇所の設置に5億円以上が必要と言われており、採算を合わせるためには1日に200台が水素を充填することが前提となっています。

 この目標をクリアするためには、タクシーやバスなどフリートユーザーに水素を使って貰うような政策誘導が必須でしょう。例えば、東京や横浜など場所を限定して始めるのです。タクシーやバスは営業するエリアが限定されており、毎日同じようなルートを通ります。定期的に水素燃料を消費するクルマを増やすことで、水素ステーションの採算を引き上げることができます。また、言うまでもないことですが二酸化炭素の排出量も減らせます。

 フリートユーザー向けにはEV(電気自動車)も選択肢となりますが、航続距離が短いことや冬場にエアコンが使いにくいという点も考慮すると燃料電池車が優位と言えるでしょう。

フロントグリルが特徴的なデザインのトヨタの燃料電池車「ミライ」。今年11月18日には価格や仕様が正式に発表される(写真:北山宏一)

米国でもあった「ハイドロジェン・ハイプ」

水素の有用性はこれまでも何度も注目されてきました。ブームで終わらせないためには何が重要ですか。

遠山:様々な水素関連プロジェクトが2020年東京オリンピック・パラリンピックを目指して推進されていますが、それで立ち消えになってしまってはダメだと思います。オリンピックは世界的にも注目される最高のショーケースになりますが、水素社会を実現するためにはもっと長期的な視点が必要でしょう。

 2000年代初頭の米国でも「Hydrogen Hype(水素の一時的盛り上がり)」が起きました。2002 年から米国エネルギー省と米自動車ビッグ3(GM、フォード、クライスラー)による官民一体の研究開発パートナーシップが華々しく始まりました。当時のブッシュ大統領がこのパートナーシップに対して5年間で17億ドルもの研究資金を投じると発表、国として燃料電池車(FCV)の研究と水素インフラの研究を並行して推進することを表明しました。

 しかし、多額の投資にもかかわらず、現在でも米国でFCVは普及していません。そればかりか、FCVに対する悪いイメージが残ってしまい、その後の政府支援に足かせとなってしまっています。普及を急ぐあまりに実現性を省みない活動を拙速に始めた結果、逆に負の遺産が残ってしまったのです。

キーパーソンに聞く

日経ビジネスのデスクが、話題の人、旬の人にインタビューします。このコラムを開けば毎日1人、新しいキーパーソンに出会えます。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20141022/272917/?n_cid=nbpnbo_mlp


ここでは水素社会の可能性として、三つの要素を挙げている。

(1)として、日本のエネルギーセキュリティの確保だ。化石燃料だけに頼るのではなく、原発の稼動が覚束ない現在、水素は日本のエネルギー確保の救世主になる可能性を秘めている。原発とともに水素エネルギーを日本の2大エネルギー源とすれば、経済発展・国民の富の成長は間違いない、これは少しも大げさな事ではないのである。

(2)として、地球環境にやさしいのではないか、と言う事だ。燃料電池(車)が普及すれば、原発と共に、CO2の排出が削減されて地球温暖化対策となりうるのではないか。

(3)としては、そのためには政府の長期ビジョンの設定が必要となることである。幸い現政府としても水素社会への期待は大きいものと思われる。2014.12.10の日経新聞に、「水素ステーションの規制緩和」に乗り出す、との記事が載っていた。水素社会への動きも徐々に活発となってゆくことであろう。



水素スタンドの設置費半減 燃料電池車普及へ規制緩和
セブンイレブン、コンビニ併設20店

2014/12/10 2:00  ニュースソース  日本経済新聞 電子版

 政府は次世代エコカーの本命とされる燃料電池車の燃料を供給する水素ステーションの規制緩和に乗り出す。建築基準や保安規制の緩和で設置コストを半減する。エネルギー各社などの設置計画を後押しし、2015年度中に全国100カ所の整備を目指す。セブン―イレブン・ジャパンが来年度からステーションを併設したコンビニエンスストアを出すなど、企業の動きも広がってきた。

 ガソリンスタンドに相当する水素ステーションは圧縮器で水素をタンクに詰め、充填機を通じて燃料電池車に供給する。爆発しやすい水素を取り扱う安全規制が足かせとなり、建設予定も含めて首都圏で26カ所、全国で45カ所にとどまっている。高圧ガス保安法建築基準法の関連12省令を14~15年度中に見直す。

 タンクにためる水素を増やせるように、水素の圧縮率を高め、現在は燃料電池車7台分しかためられない1カ所当たりの水素の貯蔵量の上限をなくす。より多くの客を受け入れられ、採算がとりやすくなる。圧縮器の保安検査も簡素化する。

 安全を考慮して水素の充填機と公道との距離は現在8メートル以上が原則だが4メートル以上にする案が有力。太陽電池で発電した電力を使い、その場で水から水素を生成して充填する簡易版ステーションの建設も許可する方針だ。

 水素ステーションの建設費は1カ所4億~5億円と欧米の2倍の水準だが、規制緩和で20年ごろに半減を目指す。一般のガソリンスタンドの建設費(1億円程度)の2倍程度で済むようにする。

 規制緩和は水素ステーション建設を加速させそうだ。セブン―イレブン・ジャパンは岩谷産業と組み、水素ステーション併設したコンビニを出店する。まず15年秋にも東京都と愛知県の2カ所で開業し、17年度までに20店に広げる。エコカーの利用拠点として集客力を高める。

 水素ステーションの設置費用は岩谷産業が負担し、同社が運営する。コンビニは24時間営業し、水素ステーションは平日の日中に営業する。岩谷産業はセブンの持つ不動産情報や店舗開発ノウハウを活用して立地条件の良い土地を効率よく探す。交通量の多い郊外の幹線道路沿いを中心に出店していく予定だ。

 JX日鉱日石エネルギーは15年度末までに全国で40カ所、岩谷産業は20カ所の設置を計画しているが、公道から8メートル離すなどの規制を満たす土地を探すことが難しい。「特に都市部で用地選定が難航している」(JXエネ幹部)という。建設条件の緩和でコストを抑制し適地を見つけやすくなり、計画を前倒しで達成できる可能性がある。

 燃料電池車はトヨタ自動車が15日に新型車「ミライ」を発売し、15年度中にホンダも商品化する予定。普及には水素インフラの整備が欠かせないため、経済産業省は規制緩和に加え、来年度予算で建設費の3分の2程度を補助する予算110億円を要求している。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF09H0Y_Z01C14A2MM8000/?dg=1


水素ステーションの建設を規制する「高圧ガス保安法建築基準法」などが改正されて、水素ステーションが建てやすくなれば、水素社会への進展は著しく進むことであろう。
(来年に続く、どうぞ良いお年を!)
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次世代エコカー・本命は?(25)

2014-12-29 00:00:00 | Weblog

と言う事はさて置いて、この前提でのFCVの国内で販売台数は2015年~2017年の3年間では1,200台以上となるので、この台数が水素ステーションに通うことになる。

と言っても2015年度(~2016/3月)には、ホンダも燃料電池車を発売し、日産も2017年に発売を予定しているので、水素ステーションの建設にも相当の刺激となろう。

2015年中に仮に60カ所しか水素ステーションができないとして、ミライ(400台×3年=1,200台)だけでは一ヶ所当たり20台のFCVとなるがこれでステーションが足りるのか足りないのかは、小生にとっては判断はできないがFCVが動き出せば、そこそこ水素ステーションの建設も進みだすことと思うので、FCVが動き出せばそれなりに水素ステーションもついてくる事と思う。それほど心配する事はないであろう。


問題はアメリカだ。ZEV規制があるからどうしても燃料電池車「ミライ」を売らなければならない。そのためには水素ステーションの整備を急がなくてはならない。その点トヨタは抜かりはないようだ。
カリフォルニア州では1万台のFCVを動かすのには68カ所の水素ステーションで事足りると言う調査結果もあるようだ。地理的、社会的状況が加州と日本とでは異なるが、これなら日本の60カ所でも問題ないだろう。



トヨタ、米で水素ステーション配置予測 15年に燃料電池車投入
2014/1/7 10:31  ニュースソース 日本経済新聞 電子版

 【ラスベガス=平沢光彰】トヨタ自動車は6日、燃料電池車(FCV)に燃料供給する水素ステーションの配置予測をまとめた。米カリフォルニア州の主要地域で1万台のFCVを運用するには68カ所の水素ステーションが必要になるという。カリフォルニア州では2016年までに40カ所の整備を計画。トヨタはインフラ整備に合わせて、15年に米国で燃料電池車を投入する。

 調査はカリフォルニア州立大学アーバイン校と共同で実施。7日から米ラスベガスで開催される家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」に先立って明らかにした。トヨタは今回、試作車を米国で初公開する。

 水素と酸素を反応させて電気をつくり、モーターを動かす燃料電池車は「究極のエコカー」とされるが、水素ステーションの整備が普及の課題となっていた。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD07038_X00C14A1EB2000/


と言う事で「水素社会」も何と無く、と言っては失礼に当たるが、動き出してくるであろうから、この水素社会に水を差すことのないようにしたいものだ。


「水素」をブームに終わらせない知恵
ローランド・ベルガー遠山プリンシパルに聞く
2014年10月23日(木)  坂田 亮太郎

水素社会の到来に向けた動きが活性化しているが“既視感”は否めない。資源の乏しい日本にとって期待のエネルギー源である「水素」をブームに終わらせてはならない。ローランド・ベルガーの遠山浩二プリンシパルに要点を聞いた。
(注、Roland Berger Strategy Consultants、ドイツの経営戦略コンサルティング会社)

トヨタ自動車が今年12月にも発売を予定している燃料電池車「ミライ」。車両価格は700万円前後で200万円以上の補助金支給が見込まれている。左は6月の発表会で講演した加藤光久副社長(写真:北山宏一)

トヨタ自動車が今年12月に燃料電池車(FCV)を発売することを表明し、日本国内でも「水素」に対する関心が高まってきました。水素をエネルギーとして見た場合、どのような可能性があるとお考えですか。

遠山:日本のエネルギーセキュリティーを考える上で、水素は非常に大きなポテンシャルがあると考えています。

ローランド・ベルガーの遠山浩二プリンシパル

 東日本大震災の後、国内の電力需要を満たすために化石燃料の輸入量を増やさざるを得なかった。その金額が数兆円にまで膨れ上がったことはご存じの通りです。少しでも化石燃料の依存を減らすためには何ができるかという議論の中で、国内でも広く存在している水素をエネルギーに利用できないかという話になりました。

 もう1つは地球温暖化を防ぐためです。最近ではすっかり注目度が落ちてしまった感はありますが、二酸化炭素の削減に向けたCO2フリーエネルギーとして水素が位置付けられています。

 太陽光発電風力発電などもCO2フリーエネルギーと期待されてはいますが、発電量が一定しないという「ゆらぎ」の問題が避けて通れません。そこで太陽光や風力で生み出した電気エネルギーを水素として貯蔵するというやり方に注目が集まっています。つまり、2次エネルギーとしても水素の活用が期待されているのです。

 また、東日本大震災を期に、大規模集中型のエネルギー供給は脆弱であることが改めて認識されました。系統が途切れてしまった時に各地域に必要な電力をどうまかなうかを考えると、分散自立型のエネルギー網の構築も真剣に考えなければなりません。ここでも森林などに眠っている水素源を活用しようとする動きが広がっています。

世界的に見ても日系企業が先行

産業面でのインパクトはどうですか。

遠山:「究極のエコカー」として燃料電池車(FCV)への期待が高まっていますね。トヨタが2014年、ホンダが2015年、そして日産自動車が2017年に量産型の燃料電池車を発売することを表明しています。

 FCVに水素を供給する水素ステーションについては2015年までに国内で100箇所の設置を目標としています。岩谷産業は2015年度までに東京・大阪・名古屋・福岡の四大都市圏を中心に20箇所の水素ステーションを設置すると発表、7月には兵庫県尼崎市に国内初の商用水素ステーションもオープンさせました。

 家庭用の燃料電池(FC)としてはパナソニックや東芝が既に商品を販売していて、世界的に見ても水素関連で日系企業が先行していると言えるでしょう。

 理由として、水素関連の技術開発は非常に高いレベルが求められるため、技術力のある日本勢に有利だという点が挙げられます。太陽電池パネルは半導体製造のノウハウが生かせるため、あっと言う間に価格競争力のある中国や台湾の企業に席巻されてしまいました。

パナソニックが市販している家庭用燃料電池(FC)。都市ガスから取り出した水素を燃料にして発電し、同時にお湯も供給する
(続く)
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次世代エコカー・本命は?(24)

2014-12-26 00:00:00 | Weblog

先に水素ステーションについては、以前にこんな数字を提示した。上の記事と比較してみる。

先回設置数   2013年度(19カ所)、2014年度(40)、2015年度(40)、2030年度(5,000カ所
(2013.11.30付け)  2015年度中に100カ所程度。

今回設置数   2014/6(19カ所)、2014年度(累計30、新設11)、2015年度(累計60,新設30
(2014.7.2付け)   2027年(100カ所)、2037年(1,000カ所、FCV200万台


2015年度中に100カ所の水素ステーションが、60カ所と減ってしまっている。このようにいまだにはっきりとした水素ステーション設置に関する計画は出来上がってはいないのだ。

事ほど左様にいまだ「水素社会」と言うものは、掛け声だけに終わっているようだが、これも致し方ないことであろう、なんと言っても「燃料電池車」と言うものはいまだ市販されていないからだ。

だから2014.12.15にトヨタが燃料電池車「ミライ」が発売されて、周囲の道路で少しは見かけないとどうしようもない。

まあトヨタの計画でも、

日本では、2015年までには400台(以後も400台/Yと推定する。)
米国では、2015年夏~秋から2017年末までに3,000台
(この3,000台の生産を次のようにかってに推定する。 '15/150台、'16/1,250台、'17/1.600台)
欧州では、2016年から50~100台程度/Y(推定、2016/50台、2017/100台)

以上の11/18の記者発表での数字から、我流で次のように生産台数を類推する。

2015年  2016年  2017年
550台   1,700台  2,100台  累計4,350台

と大雑把にトヨタFCV「ミライ」の生産台数を勝手に、推定してみた。この数字でゆくと、この3年間で4,350台ほどになろう。まあ適当に見繕っても3年間では、高々5,000台程度の生産で国内では1,200台を超える程度の数字となる。但し記者発表では200台の確定受注があると言っていたが、このブログの最初に載せた2014/10/16付けの記事では、購入希望者が「1千台近くにのぼっているもよう」とあるので、国内向け生産が400台/Yよりも大きくなるであろうから、もっと大きな数字となろう。

それに2018年以降になるとZEV規制によりカリフォルニア州をはじめ全米他州にもFCV「ミライ」を配車しなければならなくなるので、2018年は少なくとも4,000台/Y以上は生産しなければならないであろう。相当の生産能力のアップを図らなければならなくなるであろう。

と書いていたら、2014.12.6付けの日経新聞に、トヨタの燃料電池車の生産能力は700台だと書かれていた。これでは先の数字の「ミライ」は生産できない。2015年中にも能力増強を図る必要がある。3倍(2,100台/Y)にすると書かれていたので、2017年までは何とか持ちそうだが、2018年の推定4,000台以上の生産には能力がない。3年後には更なる能力増強が必要となろう。トヨタの社内では当分は休む暇もない忙しさとなっていよう。



トヨタ、燃料電池車増産へ200億円 国内2工場に
生産能力3倍 VWは20年にも投入

2014/12/6付  ニュースソース  日本経済新聞 朝刊

 トヨタ自動車は燃料電池車(FCV)「ミライ」の年産能力2015年末現在の3倍に引き上げる。国内2工場に200億円程度投資する。国内での引き合いが強いほか、米国などへの輸出にあてるため、増産体制を早期に整える。独フォルクスワーゲン(VW)も20年にも日米欧で投入する。世界2強の増産や参入でFCVの普及期が早まりそうだ。

 現在、トヨタのFCVの年産能力は700台。走行時に二酸化炭素(CO2)を一切出さないため、企業や官公庁などから注文が相次いでいる。販売店によると15日の発売までに年産能力を超える受注が見込まれ、「納期を確定できない状況」(トヨタ幹部)になっている。


 15年夏から始める米欧への輸出のための台数も確保する必要がある。特に米カリフォルニア州では販売台数の一定割合を排ガスの出ない車とするZEV規制(総合2面きょうのことば)があり、トヨタもこれに対応するためミライの販売を伸ばす計画を立てている。現状の生産能力では日米の需要に応じることが難しくなっている。このため、トヨタは水素と酸素の化学反応で動力源となる電気を起こす「燃料電池スタック」と、水素を貯蔵するタンク本社工場(愛知県豊田市)で増産する。15年末までにさらに2ラインを加えて年産能力を3倍に増やす。車両を組み立てる元町工場(同)も設備増強する。

 ミライは国内では15年末までに400台の販売を計画。米国では17年末までに累計3千台以上、欧州では16年ごろに年50~100台の販売を見込む。米国を最大の市場と位置づけ、輸出台数も増やしていく。

 トヨタに次ぐ世界2位のVW20年にもFCVを日本を始め、世界で発売する。今までVWはエンジンを小型化し排ガスを減らす「ダウンサイジング車」をエコカー開発の軸に据えてきた。しかし、先進各国の環境規制の強化世界で発売に対応するため、FCV開発を加速する。

 スタックを自前で開発、フル充填した場合の航続距離を500キロメートルとしている。VWは日本は水素ステーションの増設が早いペースで進むとみており、今後、投入車種や価格などを詰める。

 FCVを巡っては、ホンダが5人乗りのセダンを15年度中に発売する計画だ。FCVの共同開発で米ゼネラル・モーターズ(GM)と提携、開発コストを負担し合い安価にFCVを提供できるようにする。日産自動車も資本業務提携している独ダイムラーや、米フォード・モーターと17年にも市販する計画だ。

 今回のトヨタのFCV増産で水素ステーションや燃料電池など国内関連メーカーの投資意欲も高まりそうだ。デロイトトーマツコンサルティングによると、FCV関連の国内での経済波及効果は30年には4兆4000億円に達するとしている。
http://www.nikkei.com/article/DGKKASDZ05HE0_V01C14A2MM8000/
(続く)
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次世代エコカー・本命は?(23)

2014-12-25 00:00:00 | Weblog

まあこの記事は2012.3月時点のものなので、現時点2014.12月ではEVリーフの実用航続距離は228kmと初期モデルの200kmからは幾分かは伸びて、充電箇所も6,050カ所となっているが、正直言って+28kmは誤差の範囲ではないのかなと思われるが、この実用航続距離の短さが電気自動車の最大の泣き所なのである。バッテリーへの充電は、寝てる間に行えばよいと考えれば、少なくとも一日は不安なく走れる性能は必須となる。だからトヨタは電気自動車は、「短距離の移動手段」として超小型EVとしてなら存在価値があると考えて、実証試験を行っている。

いわゆる通勤・通学用や集配・運搬用などの決まった区域を走行する短距離移動用の超小型EVならば、夫々決まった地区間の移動や決まった範囲内の走行だけで済ませられるので、仕組み的にも実用性があろう。

だからトヨタは、近場は超小型EV、遠距離用は「燃料電池車」と割り切って考えている。いろいろな意味で、例えば地球温暖化CO2や大気汚染PM2などの地球環境問題石油枯渇問題などだが、たまたま今は石油価格が下落しているが、自動車の燃料がガソリンから転換しなくてはならなくなる時期が、迫ってからでは遅いのである。

だからトヨタは燃料電池車「ミライ」の発売を宣言したのである。そうすればもう一つの水素社会の課題である水素インフラの整備も、自ずとではないがその進展の刺激としようとしたのであろう。

そうでもしないとなかなか水素インフラの整備は進まないのだ。ただでさえ水物なのだから。



【ビジネスの裏側】“1000万円以下”究極エコカー「燃料電池車」いよいよ販売も、専用燃料スタンド「水素ステーション」“全国でわずか19カ所”の落とし穴
2014.7.2 07:00

トヨタ自動車の燃料電池自動車のコンセプトカー(トヨタ自動車提供)

 水素と空気中の酸素との化学反応で発生した電気でモーターを回す燃料電池車(FCV)を、トヨタ自動車は今年度内に、ホンダは来年中に国内外の市場に投入する。ガソリン車のように排気ガスを出さず、走行中に水しか排出しないため「究極のエコカー」とも呼ばれるが、車体価格が700万~800万円と高額になるうえ、燃料の水素を補給する「水素ステーション」が全国に6月時点で19カ所しかないのが実情だ。厳しい規制高額投資がインフラ整備を遅らせる要因といい、普及の壁となっている。

 1千万円を切る価格

 トヨタは年度内に日米欧でセダン型のFCVを発売する計画だ。価格については「1千万円を切るレベルのめどは立った」(トヨタ広報部)と説明。700万円程度に設定すると発表したが、ガソリン車よりも割高だ。

 ホンダはすでにセダン型の「FCXクラリティ」を開発。平成20年、官公庁や自治体向けに実用化に向けた実験車として月額84万円でリース販売(3年間)をスタートしたが、1台当たりの負担は3千万円以上になる計算。来年、この実験車をベースにしたFCVを市場に投入する予定だが、「普及のためには1千万円は切っていきたい」(ホンダ広報)といい、700~800万円とする考えだ。

 割高になるのは、動力源の燃料電池を高性能化するためのコストがかかるのが原因。価格を引き下げるためには、量産化によるコスト削減が必要となる。

 ネックは割高な建設費と規制

 もうひとつ、燃料電池車の普及に欠かせないのは、燃料をFCVに補給する水素ステーションの拡充だ。

 自動車メーカーやガス会社で作る任意団体「燃料電池実用化推進協議会」は平成22年、FCVの普及に向けた「シナリオ」をつくった。水素ステーションの国内整備を先行させた上で、車体価格を引き下げるためFCVの大量生産に乗りだす。そして37年にFCVが200万台水素ステーションは全国1千カ所とする青写真を描いた。これを受け、自動車メーカーやガス会社など11社が27年に水素ステーションを全国100カ所に展開する共同声明を出した。

 ところが、6月時点で設置された水素ステーションは全国19カ所にすぎない。石油元売り大手のJX日鉱日石エネルギーや岩谷産業が新たな建設を表明し、計画中のものも含めると30カ所になるが、来年中でも60カ所程度にとどまる見通しだ。

 ネックは、割高な建設費や各種の規制だ。

 日本政策投資銀行の試算によると、ステーションに必要となる水素の圧縮機は欧州では8千万円程度が一般的なのに対し、国産の水素ステーションでは1億3千万円もかかる。もうひとつ、圧縮した水素を保管するタンクは欧州1千万円に対して国産6千万円で、コスト増大の要因となっている。

 欧州より国内の安全基準が厳格なのが背景にあり、1カ所当たりの建設費は全体で4~5億円。ガソリンスタンドの1億円を大きく上回る。大阪ガスの関係者は「ステーションの建設費を下げるためには、利用するFCVの普及も進まなくてはいけない。ただ、どちらも高額なので良いサイクルが生まれにくいのが現状だ」と打ち明ける。

 また、高圧ガス保安法に基づき、燃料ディスペンサー(補給器)と公道との距離は6メートル以上と定められており、4メートル以上のガソリンスタンドよりも広い敷地面積を求められる。さらに運転手が自ら水素の補給ができず、水素ステーションのスタッフが補給する必要があるなど規制が多い

 一方、現在整備されているのは、将来的な普及を見越して比較的大型のステーションが大半。同行関西支店企画調査課の山下真里奈副調査役は「大型施設の整備が前例となったことで、逆に新規参入のハードルがあがったともいえる」と指摘する。

 見通せぬ将来

 普及に暗雲が漂っている現状を受け、経済産業省は6月19日、有識者でつくる「水素・燃料電池戦略協議会」を開き、FCVを含めた水素産業を拡大させるロードマップをまとめた。それによると、FCVの車体価格は、37年ごろに、同じグレードのハイブリッド車と同程度に抑える方針を示した。

 海外市場でもFCVを普及させるため、安全基準を統一できるように経済産業省が各国と交渉することなどが盛り込まれている。水素ステーションについても水素の配管や保管タンクの材質や、立地の規制緩和を進める方針を示している。

 山下副調査役は「先行して取り組む業者が損をしないよう、早く規制緩和や補助金の拡充などを進めることが必要だ。それでも来年の目標の達成でさえ困難な見通しなので、その先はさらに不透明だ」と指摘している。
(織田淳嗣)
http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/140702/wec14070207000001-n1.htm
(続く)
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次世代エコカー・本命は?(22)

2014-12-24 00:00:00 | Weblog

ダイムラーも完全な電気自動車ではなくて、レンジエクステンダー式のPHEVプラグインハイブリッドEVを発表した。まだコンセプト車だがそのうち量産車として発売されることとなろう。この車も発電用に3気筒の1.0Lのターボエンジンを積んでいる。ターボだから発電と駆動用に供するのであろう。そうでもしないと航続距離が稼げないのだ。以前に日産の「リーフ」でもヒーターやクーラーを使った通常の走行、特に高速走行では、航続距離は極端に落ちる(160kmが40km程度しか走らない)であろうことを記述している('12.4.20,NO.98参照のこと)。

このような航続距離の低下を防ぐために航続距離を伸ばすためのエンジンを積んだ車、即ちレンジエクステンダー式ハイブリッド車PHEV)が増えるのではないかな、と小生は推測している。

次のブログも参考のためにご一読願う。

ここでは日産の「リーフ」でも冬場(3月)の通常走行では、カタログ上160km(100マイル)走行できるものが、50km位しか走らないと言っている。これが電気自動車での泣き所なのである。だからトヨタもGMもおいそれと電気自動車の発売には踏み切れていないのであろう。




Zero Emission Vehicle Nissan LEAF(日産リーフ)
2012年03月10日 | トレンド

自分の車を修理に出し、この時とばかりに電気自動車(EV)日産リーフを借りて仕事に使ってみました。

完全な電気自動車なのでもちろんエンジンは無く、モーターのみで動く訳ですから非常に静か。
「走行中のタイヤの騒音ってこんなに大きかったんだ」、とあらためて知らされるほど、当たり前の話しだが静かです。

エアコンも充分に良く効くし、ヒーターもガソリンエンジン車よりも早く暖かい風が出てきます。

まず朝8時に日産レンタカー練馬駅前店でリース手続きをし、電気自動車ならではの使い方をレクチャーされ、リロケーション査定のご依頼があった井の頭まで車を走らせました。

ミゾレ交じりの悪天候の中、環七から井の頭通りへと車を進めて行きますが予想以上に力があります。
最も立ち上がりのトルクはガソリンエンジンよりモーターの方が強いので、発進時の力強さはEVならではのものがあります。

しかし、満充電だったバッテリーメーターが目視で解るほどはっきりと減っていきます。

残走行距離の表示も満充電で走り出す前は140km程だったのだが、10kmも走らないうちに残走行距離は80km程まで減ってしまいました。

エアコンを止めると残走行距離の表示は100kmを超えるので、空調関係はかなり電気を食うようです。

リロケーション査定終了後、雨の中を走りつつ、大泉学園 → 平和台と走っていくと、渋滞の所為もあるのですがみるみるバッテリーゲージが下って残り一目盛りとなり、残走行可能距離も20kmを切ってしまいました。

平和台から練馬の日産レンタカーまで帰るのが心配になるくらい減りが早いです。

通常モードではなく、力は落ちるのですがECOモードにすると走行可能距離は幾分伸びるようですが、残走行可能距離の表示を見ると10%~15%程はバッテリーの保ちが良くなるようです。

トリップメーター0kmにして出発、夕方車を返すため日産レンタカーに着いた時のトリップメーターは47km。
バッテリーメーターは残り一目盛り。
残走行可能距離は14kmでした。

インジケーターに表示されている現時点でのバッテリー充電予想時間は200Vで約9時間、家庭用の100V電源だと満充電まで21時間となっています。








充電時間よりも走行距離がとてもネックになりそうで、都内であれば一日ぐらいは充分に走れるだろうと思っていましたが、これが夜間で雨、しかも夏場の暑い時期だったらと考えると、まだまだ一般への普及は難しいのかな?と言った印象です。

実は弊社でも業務用に電気自動車導入を考えていたのですが・・・・
一日50kmしか走れないとなると、まだ導入は厳しいかな?と言った印象でした。

でもとっても静かだし、力は充分にあるし、中もそこそこ広いし、外観はコンパクトで狭い道でも取り回しが楽だし、良いところも多々ありますが、充電時間を考えると自社で急速充電器を備えなければならず、結構導入の敷居は高いです
http://blog.goo.ne.jp/rabbit_k_iwasaki/e/891c64fe74d548a02b9eef2681991ba7


(続く)
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次世代エコカー・本命は?(21)

2014-12-23 00:00:00 | Weblog

ここに書かれていることをまとめてみると、次のようになる。


水素STATION等について

設置数    2013年度(19カ所)、2014年度(40)、2015年度(40)、2030年度5,000カ所

このことをもって2015年には4大都市圏中心に、全国で100カ所程度が建設されると言われている(東京、名古屋、大阪、福岡)。
Gasoline Standは2013.3月末現在(3万6千カ所)

設置コスト  1カ所 (3~5億円、と割高)→欧州(1.5億円)、Gas.Stand(1億円弱) 

割高原因  水素に関する安全規制。→既存天然ガスSTと併設不可。

道路から距離規制。充填気圧が高い(820気圧)→3分で充填するため。資格者しか充填できない。

水素ボンベ[タンク](700気圧)→鋼材・機器類が高価となる。

水素製造  何からどの様に作るか。→LPガス、水電気分解、汚泥メタン、苛性ソーダの副産物

運搬方法、貯蔵方法などもこれから最適な方法が模索されてゆく。


なおここで日産自動車のカルロス・ゴーン社長は、「燃料電池車はそれほど簡単には普及しない、そのため電気自動車の方が優位である」と言うような事を記者団に語っていると言う。まあ日産は「リーフ」を売っていけば加州でのZEV対応は十分である、と思っているようだが果たしてそれほど万全かと言うとそうでもないのかもしれない。

まあ水素ステーションの普及にはかなりの時間が掛る事には、間違いない。

テスラの「モデルS」のところでも述べたが、電気自動車の弱点である航続距離の短さバッテリーへの充電時間の長さは、いまだに解決されていないのではないのかな。

参考までに2012.5.10の小生のブログ「番外編・プリウス急加速問題(112)」の航続距離に関するものを載せるので、ご一読願う。





トヨタが次世代カーを発売 勝者はPHV、EV、それとも?
配信元:産経新聞
2012/01/29 22:23更新





【ビジネスの裏側】

 次世代エコカーの本命をめぐり、自動車メーカー間の主導権争いが激しさを増してきた。トヨタ自動車は(2012年1月)30日、家庭用電源で充電可能なプラグインハイブリッド車(PHV)「プリウスPHV」を発売。ハイブリッド車(HV)と電気自動車(EV)の強みを“いいとこ取り”した次世代エコカーだが、一方でEVも着実に浸透しつつあり、存在感を増している。勝者はどちらなのか?

 国内メーカーによるPHVの量産化はトヨタが初めて。エンジン、電動モーターを併用する点はHVと同じだが、電池容量の増加と外部充電を可能にしたことで、EVのようにモーターだけで走行する距離を大幅に伸ばした。モーター走行距離は約26キロでHV「プリウス」の約10倍だ。

 電池が切れたら自動的にガソリンエンジンを使うHV走行に切り替わる。EVのように電池切れで走行が止まる恐れがなく、またモーター走行の距離を伸ばしたことで、HVより燃費が向上。ガソリン1リットルあたりの燃費は「61キロ」と驚異的な数字を達成した。

 トヨタは、EVを明確にエコカー時代のライバルと位置付ける。佐々木真一副社長は「高い環境性能を求めているが、『今のEVは使い勝手が悪い』と感じている顧客層を狙う」とターゲットを明かす。

関連記事
HVとEVに挑む“第3のエコカー”陣営 http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/business/manufacturer/535924/
ホンダ、第3のエコカーで環境対応車フ… http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/business/manufacturer/535924/

 一方、EVについては日産自動車の「リーフ」の最長走行距離が約200キロ、三菱自動車の「i-MiEV(アイ・ミーブ)」が約160キロ。どちらも「生活の足」としては十分な走行距離だが、トヨタでは長距離走行には不向きなEVの弱点をPHVで克服した点をアピールし、販売増を狙う。昨年11月末の受注開始以来、約2カ月で3千台の申し込みがあり、順調な滑り出しとなっている。

 デロイトトーマツコンサルティングによると、国内自動車販売は、2030年までにEV、PHVの合計が25%を占める見通し。脱石油エネルギーの象徴として「車は本格的な『電動化』時代へ突入する」としている。また、同一距離の走行に必要なガソリン代は電気代の約3倍との試算もあり、コスト面での電気の優位性もある。

 HV、EV、PHVと新システムのエコカーが注目を浴びる一方で、ガソリン車の燃費を大幅に向上させた「第3のエコカー」も無視できないとの指摘も強い。

 ダイハツ工業の軽乗用車「ミラ イース」や、マツダの「デミオ・スカイアクティブ」など、燃費性能をHV並みに上げたガソリン車が登場。ミライースは最低価格約79万円と、エコカーの常識を超える価格で人気を呼ぶ。三菱自、日産、スズキも第3のエコカーを投入予定だ。

 PHV、EVとも価格は300万円超。消費者ニーズは200万円近辺で急速に高まるとされ、まだ割高感が強い。

 デロイトトーマツの坪井孝太パートナーは「価格で優位に立つ第3のエコカーの動向が、PHV普及の阻害要因になるだろう」と解説する。自動車“電化”時代には、電池の性能向上コスト削減が鍵を握りそうだ。(内山智彦)
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/business/manufacturer/543903/
(続く)
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次世代エコカー・本命は?(20)

2014-12-22 00:00:00 | Weblog

短期的に見ると、車に限らず燃料電池の普及には水素スタンドの普及が必須である。これも燃料電池(車)が普及しないと、普及しないし、水素スタンドが普及しなければ燃料電池(車)も普及しない、と言う事だろう。お互いが影響しあうことになる。
まあ、燃料電池としては、車だけに使用されるものではない。現在家庭用燃料電池なども市販されている。そんなこともあり、水素社会の到来には各種の技術革新や社会改革と相当の時間が必要となろう。

今の自動車だって1886年にベンツが3輪の、ダイムラーが4輪の自動車を開発してから、1908年にヘンリー・フォードがT型フォードを発表するまででも、22年も掛っている。しかしT型フォードの累計100万台突破は1915年であるので、その後10年もかからずに100万台には達している。

車だからこんな短さで発展したきたとも言えるが、こと化学反応が主となるFCVについては、こんなものではないのではないのかな。

だから燃料電池車の普及についても、それ相応の時間はかかって当たり前であろう。
何もすぐにでも燃料電池車が売れ出すとは、トヨタと言えども思ってはいまい。

自動車は、馬車の動力である馬をガソリンエンジンと言う内燃機関に取って代わらせたものである。燃料電池車はそのガソリンエンジンを燃料電池という化学反応式の発電装置に代えたものである。

夫々動力源となるものが、飼(か)い葉(家畜に食べさせる草)から石油に変わり、そして石油から水素に変わろうとしている。これは一種の技術革新イノベーションである。


ワットが蒸気機関を発明したのが1765年、そして内燃機関としては、1859年にフランス人エティエンヌ・ルノワールが電気式点火装置を備えた単気筒の2ストロークの内燃機関を試作したのが最初。4ストロールサイクルエンジン1863年にフランス人アルフォンス・ボー・ドゥ・ロシャスが発明している。このときの燃料は水を電気分解した水素ガスが使われた。このエンジンでルノワールが2号目となる自動車を製作して9kmの距離を往復している(とWikipediaに記載されている)。

更に洗練されて4サイクル内燃機関を発明することになるドイツ人ニコラウス・アウグスト・オットーは、1864年には、2ストロークサイクルの内燃機関製造会社を作っている(現在のドイツAGである、Deutz AG ディーゼルエンジンとガスエンジンの製造メーカー)。この内燃機関はワットの蒸気機関に代わって多くの工場で使われたと言う。その後ゴットリーブ・ダイムラーヴィルヘルム・マイバッハも加わり1876年、オットーが4サイクルの内燃機関を発明している。これが「オットー・サイクル」と呼ばれる所以である。1884年にオットーは低圧電磁点火装置を導入した4ストロークサイクルの内燃機関を製作する。これが液体の燃料を使う事が出来た最初の4ストロークサイクルエンジンである。

ダイムラーマイバッハは1885年にオットーサイクルエンジンを積んだオートバイを作り特許もとっている。そして1886年に馬車にこのエンジンを載せた車を作っている。1890年二人はドイツAGを退社しダイムラーエンジン会社を設立している。

もう1人カール・ベンツ1883年に据置型のガスエンジン製造会社を立ち上げ、そして自動車好きだったために1885年に自力走行できる3輪自動車を作り、1886年特許を取っている。そのため自動車の発明者はカール・ベンツと言われている。

ちなみに、その後ダイムラー亡き後1926年にベンツのガスエンジン製造会社とダイムラーエンジン会社が合併して、ダイムラー・ベンツとなり現在のメルセデス・ベンツとなっているのである。

このメルセデス・ベンツが、最初の燃料電池車を走らせている。Aクラスにメタノールを改質して水素を取り出して燃料電池に供給するFCVNECAR3」を、1997年に発表しているのである。その後2000年にはもっと洗練された「NECAR5」を発表している。ほぼ実用化に近い車だったようだが未だに市販化の発表が無いところを見ると、いまだ未完といったところか。なんといっても化学反応プラントといった装置なので、アクセルペダルを踏んでも直ぐには反応が返ってこないと言った問題(2次バッテリーを積んでいない)はまだ解決されていないのかも知れない。

そのためメルセデス・ベンツは2009年に「Bクラス F-CELL」と言うリチウムイオンバッテリーを搭載した燃料電池車を発表している。(http://jp.autoblog.com/2009/09/01/b-f-cell-2010/)
電気自動車としては、2010年にAクラスにリチウムイオン・バッテリーを搭載したEV「E-CELL」を発表している。ベンツも全方位式だ。(http://compacteleauto.blogspot.jp/2010/10/blog-post_27.html)


このように内燃機関も1765年のワットから1884年のオットーの4サイクルエンジンまで110年の歳月が経っている。そしてその2年後の1886年の自動車が発明されている。ガソリンエンジンが物になるまで、およそ一世紀以上の時間が流れたのである。

このような自動車の歴史を鑑みると、2014年12月15日トヨタが始めて燃料電池車ミライを一般販売を開始するからと言って、すぐさま水素社会が来ると言うわけでもないし、また反対に水素インフラが整備されてゆくものでもない。だから燃料電池車なんぞを売り出してどうするのだとか、おいそれと水素ステーションなんぞは整備されるものではないのではとか、水素の製造にはコストなどが掛りすぎて割に合わないのでないかと言った議論は、これを契機とした数十年の技術革新の進展が解決してゆくものであろう。この「MIRAI」が技術革新の契機となって、この環境優先の社会で、水素社会への流れを強めてゆくことであろう。但し道は遠いが、それが「未来MIRAI」なのであろう。


とは言っても、水素供給インフラの整備がどの様に進展するかは、非常に大事な話である。一寸古いが次の記事を見て欲しい。




究極の燃料電池車、コスト課題 水素ステーション整備急ぐ
2013年11月30日(土)08:10(フジサンケイビジネスアイ)  
 
 「究極のエコカー」と呼ばれる燃料電池車(FCV)の普及に向け、最大の課題となる水素ステーションの整備が動き出した。自動車各社が量産車を投入する2015年には首都圏と中京、関西、福岡4大都市圏を中心に全国で100カ所程度が建設される見通しだ。
もっとも、3月末現在3万6000カ所にのぼるガソリンスタンド(GS)には遠く及ばず、FCVの本格普及には関連業界が30年をめどとする5000カ所の早期実現が欠かせない。現状では水素供給設備の導入負担は重く、関連各社はコストダウンを急いでいる。

コスト削減急務

 「インフラの整備には電気自動車よりもコストがかかり2020年までは、どのメーカーも量販できず普及は難しいだろう」。
日産自動車のカルロス・ゴーン社長(2013年11月)20日の記者会見でこう述べ、当面はFCVよりも電気自動車(EV)環境対応車の柱とする考えを強調した。

 実際、水素ステーションの設置費3億~5億円にのぼり、1億5000万円程度とされる欧州の一部より割高で、1億円弱で済む国内のGSとも開きがある。日本では水素関連の安全規制が厳しく、その分だけコストが膨らんでいるのが現状だ。

 建設費が割高にならざるを得ない事情もある。車両への水素供給が3分で済む規格の下では「FCVに積む水素タンクには700気圧の圧縮水素が充填(じゅうてん)され、ステーション側は820気圧になる計画」(経済産業省高圧ガス保安室の名倉和広技術係長)。820気圧は8200メートルの深海に相当する高圧のため、タンクに使う鋼材や関連機器のコストはかさみがちだ。

 これに対し、水素用の圧縮機や、圧縮機に使う特殊鋼を手掛ける神戸製鋼所は、エンジニアリング部門を持つ強みを生かし「ステーションの使い勝手などを検証しながら、機器や施設全体をコンパクトにすることも進めたい」(営業企画部水素・燃料電池推進プロジェクトの三浦真一担当次長)と意欲をみせる。
経産省も、ステーションに使う鋼材や天然ガススタンドと併設する際の距離などをめぐる規制の見直しに取り組み、コスト削減の後押しを目指す。

実験でノウハウ蓄積

 エネルギー各社は当面の目標とする100カ所に向け、13年度中19カ所を整備し、さらに14、15年度各40カ所程度の設置を計画している。

JX日鉱日石エネルギーは4月から5月にかけ、ガソリンスタンドと一体型のスタンドを神奈川県海老名市と、名古屋市緑区に相次いで開設。
それぞれ専用トレーラーで運んだ水素をボンベに貯蔵する方式と、ステーションに水素製造装置を設けて液化石油(LP)ガスから水素を作る方式を採用した。実証実験を通じてノウハウを蓄積し、今後の展開に生かす構えだ。

 東京ガスは、天然ガススタンドと併設するタイプの水素ステーションを東京都練馬区と、さいたま市に建設する計画を持つ。担当者は「人員が共通化でき、無駄な人件費を省くことができる」と狙いを話す。

 LPガス最大手の岩谷産業は「15年までに全国20カ所で水素ステーションの建設を目指す」といい、圧縮機の内製化でコスト削減を図る構えだ。また、産業ガス大手の大陽日酸は費用を抑えた機器を取り入れた一体型ユニットの水素ステーションなどで建設費の半減を目指す。
FCVは米欧でも導入の動きが高まりつつあり、水素ステーションの国際市場もにらんで、関連業界の開発競争は今後激しくなりそうだ。(兼松康、宇野貴文)
http://www.sankeibiz.jp/business/news/131130/bsc1311300810011-n1.htm
(続く)
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次世代エコカー・本命は?(19)

2014-12-19 00:00:00 | Weblog

テスラの「18650」型リチウムイオン電池はノートパソコンに使われているパナソニック製のものだが、以前にはソニー製のリチウムイオン電池のノートパソコンの発火事件も報道されているし、これとは形も性能も違うがGSユアサ製のリチウムイオン電池がB787最新型の旅客機にも使われ、発火事故が起こっている。しかしながらこの「モデルS」に(推定8,000個以上も)使われている「18650」型リチウムイオン電池は、それなりの歴史もありかなり安定した性能を発揮しているので、(注意するに越した事はないが)テスラもそれなりに気にして対策しており異常処理のプログラム組み込んでいるようなので、今後の経過を見守るより他はないだろう。


(4)水素供給インフラの整備

燃料電池車の問題は、次の三つである、とトヨタは考えてFCVの開発に取り組んできたと推定する。

(1)FCVのコストと車両価格
(2)燃料電池セルの耐久性
(3)水素供給インフラ


(1)と(2)はトヨタサイドの問題であるが、(3)は社会インフラの問題である。トヨタだけではどうにもならない。(1)と(2)は何とか解決の目途がたったので、トヨタは燃料電池車MIRAIミライの一般販売を2014.12.15に開始すると発表したものと思う。もちろん価格は相当無理をしたものであろうが、赤字を垂れ流すものからは相当改善したのであろう。そうでもしないと水素インフラの整備なんぞは遅れに遅れてしまいかねない、とトヨタは危惧していたに違いない。一年前の論考であるが、次の文を読んで頂きたい。



自動車考―3.燃料電池車―
2013/12/06 00:00
新 誠一=電気通信大学教授

 自動車考3回目、ずぼらな私も一応、執筆予定を立てている。今回は予定を破って燃料電池車である。

 予定を守れなかったのは、日本経済新聞11月21日付朝刊に出た、トヨタ自動車が2015年に向けて中国でハイブリッド車の開発を支援するという記事のせいである(日経電子版の会員向け関連記事「トヨタ、中国でハイブリッド車共同開発 現地大手2社と」を参照)。同種の報道は我がTech-On!でも既に本年4月にされている(関連記事1)。触発されたのは、前日のTech-On!にトヨタ自動車が燃料電池車を2015年に発売へという「第43回東京モーターショー2013」がらみの報道があったせいである(関連記事2)。

 トヨタ自動車は常々、燃料電池車を本命扱いにしてきた。値段、燃料電池セルの耐久性、水素供給インフラなどに問題があるため、ホンダ、日産自動車とともにリース販売に留めているというのが現状である。付け加えれば、リースでも販売しているのは国内のこの3社だけである。このような状況で2015年の燃料電池車販売を宣言したのは、先に挙げた三つの課題の解決が見えてきたからである。トヨタ自動車は本気である。もちろん、ホンダも2015年販売を宣言している。

 さて、これを踏まえるとトヨタ自動車のハイブリッド車用部品の中国生産という日本経済新聞の記事は興味深い。遊星ギアを使う「THS(Toyota Hybrid System)」の重要性が下がったと読める。ご承知のように、この部分の生産や開発はトヨタ自動車の戦略的技術であり国内に留めていた。つまり、軸足をハイブリッドから燃料電池車に移した。これが、一連の記事から読み取れる。大事である。世界最大の1000万台規模の生産台数を誇るトヨタ自動車が軸足を移したのである。世界が変わる。

水素時代を象徴する乗り物の姿とは

 ここまでは記事の読み方教室。本題の燃料電池車である。現在、リース販売されている3社のものは、「クルーガー」の改造、「CR-V」の改造、「X-TRAIL」の改造である。いずれもガソリン・エンジンを降ろして燃料電池に換装したものである。外見はガソリン車で、燃料電池車と言われても区別がつかない。

 石油から水素への燃料転換を石炭から石油への転換に例えれば、蒸気機関車のボイラーをガソリン・エンジンに換装したようなものである。確かに、電化がされていない区間ではディーゼル・エンジンを搭載した気動車が活躍しているが、これを誰も自動車とは呼ばない。内燃機関の軽さはレールを不要にした。だから、蒸気機関車の「駅から駅へ」の輸送から自動車による「ドアからドアへ」の輸送に変化した。JR貨物が衰退し、宅配便が隆興した。その意味で、ガソリン車の外観をまとった燃料電池車水素の時代の象徴とはいえない。

 水素を燃料とする燃料電池は排気ガスが水分だけである。しかも、振動、音ともに静かである。だから、水素の時代を象徴する乗り物はダウンサイジング。電動車や電動車椅子のイメージに近い。「ドアを越えて、部屋から部屋へ」が水素時代、燃料電池の時代の乗り物である。

 以上は、最近の思い付きではない。このコラムのトップに挙げた著書の一つ『図解 カーエレクトロニクス最前線―ロボット化するハイテク自動車 』(Amazonの書籍案内ページ)で予想した未来である。だから、あえて予定を変更した。過去の予想は時間が評価してくれる。何が当たり、何が外れるか。楽しくもあり、怖くもある。興味の種は尽きない。

コメント

tidex21

文字通り水素カーに水を差す訳ではありませんが...FCはEVです、違いは電気を外部から蓄電するか、車内で水素から発電するかの違いだけです。EVで現在唯一の勝ち組と言えるTeslaを見ても現在の車の範疇で美しいボディをまとっており、異質な形のLeafは一部のマニアにしか売れていません。この意味でトヨタのFCコンセプトもとても売れる車には見えません。加えて言えばFCには触媒として白金が必須であり、量販車に広く採用できるほどの供給量と価格の実現は将来的にも無理でしょう。FCは正に小さな発電所であり、1日に数時間も走行しない一般車に搭載するのは資源の大きな無駄遣いです。バスや定期便トラックの様な稼働率の高い車にしか可能性はないと思います。脱化石燃料として水素に拘るならば水素ガスを燃焼させるエンジンの方が理に叶っています。ロータリーエンジンは水素ガスでも回せる筈ですし、それを駆動源ではなく発電機とすれば最適燃焼効率域での稼動ができますし、水素ガス燃料によるEVができます。FCの劇的なコストダウンを目指すくらいなら、EVへの走行中の外部給電に開発費を投じた方が早く安上がりだろうと思います。FCは据え置きの常時発電用途と考えるべきです。

のぼ

THSを海外に出すのは、基本特許が切れたからでは?
FCVは現状で見果てぬ夢であり、実現はあと10年以上はかかるように見えます。

まさ

本命になるかどうかは世の中を変えることができるプレーヤーが何を本命にしたいかで変わる。
トヨタに加え、ボッシュもFCVを本命としている。トヨタとボッシュがその気になれば世界が動かないはずはない。FCVが本命なのは世界的な動きである。EVは衰退していくだろう。

熟年ドライバー

トヨタは軸足は移してないと思う。単に軸を増やし多角経営の裾野を広げただけである。トヨタのFCVはHEVの技術の延長上にあり、今のガソリンエンジンを燃料電池に置き換えたと考える方が近いと思います。
水素スタンドの普及次第ではあるが、まだ数十年先のことだと思う、トラック、バスなどのFCV化が先ではないかと私は思う。 

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20131204/320425/?ST=AT&P=1
(続く)
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次世代エコカー・本命は?(18)

2014-12-18 00:00:00 | Weblog

NHTSA(Nationa Highway Traffic Safety Administration 米国運輸省道路交通安全局)は、その「モデルS」の衝突安全テストなどを実施(2013年8月実施)して、「最も安全な車」と認定している。認定は2013年12月の事なので、保護板を取り付ける(2014年3月28日発表)以前の認定となる。まあ衝突試験と言っても下の写真にあるように幅広い物体が衝突しているので、床板を突き破るような事はあまり起こらないだろう。問題は幅の狭い鉄板とか鉄棒のようなものが床下や側面を突き破ってバッテリーに損傷を与えた場合だ。このようなケースも一般道で起こらないとも限らない。まあ過去にもGMのレンジエクステンデー型EVの「ボルト」が、衝突試験の3週間後に発火した事もあるので、発火問題はかなり厄介な事なのだ(2012.3.30の当ブログ「プリウス急加速問題(89)」を参照の事)。

しかしオバマとしても、米国としても米国唯一の量産型電気自動車の「モデルS」を、米国発の先端技術車として何としても祭り上げたかったものと思われる。



テスラ モデルS、2014年モデルで最も安全な車に…米運輸省が認定
(レスポンス) 2013年12月31日(火)15時00分

テスラ モデルS のNHTSAの衝突安全テスト

米国のEVベンチャー企業、テスラモーターズの新型EV、『モデルS』。2013年、米国などで複数の車両火災が報告された同車だが、米当局は引き続き、モデルSを「最も安全な車」と認定した。

これは12月23日、テスラモーターズが明らかにしたもの。「米国NHTSA(運輸省道路安全局)によって、2014年モデルの全カテゴリーで、モデルSが最も安全な車であることが再確認された」と発表している。

NHTSAは2013年8月、モデルSの衝突安全テストの結果を公表。最高評価の5つ星を獲得すると同時に、これまでNHTSAが実施した衝突テストにおいて、最も安全性に優れる車と認定した。

ところが2013年10月以降、モデルSは米国などで複数の車両火災を引き起こした。NHTSAはこの車両火災の調査に乗り出しており、先のモデルSに対する「最も安全な車」との評価が変わるかどうか、注目されていた。今回のテスラの発表は、NHTSAのモデルSに対する衝突安全性評価が、車両火災の後でも不変だったことを意味する。

現在、テスラモーターズは、NHTSAからのモデルS車両火災に関する調査結果が出るのを待っている状態。同社は、米国での車両火災の各種データを引用した上で、「(可燃物のガソリンタンクを載せた)一般ガソリン車で車両火災に遭うリスクは、テスラのEVの5倍以上」と述べ、モデルSの安全性をアピールしている。
森脇稔
http://autos.goo.ne.jp/news/ecocar/214060/article.html


まあEVの火災と言えば、EVが多く走っている中国でも起こっている。電気自動車は簡単に組み立てられると言われているが、こと電気の制御に関してはそれほど簡単なものでない。車のように日常道路上を縦横無尽に走り回っている事から、交通事故は頻繁に起こっているので、この事故対策はEVやFCVなど動力源としてバッテリーを積んでいる車にとっては重要なことだ


中国EV炎上事故の波紋
2012年6月12日(火)  吉野 次郎

 先月末、中国の新興自動車メーカー、BYD(比亜迪)のEV(電気自動車)が交通事故で炎上し、3人が死亡するという痛ましいニュースが伝わってきた。BYDは米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏が出資していることでも知られているが、報道を受けて同社の株価は急落した。

 原因はまだ分からないものの、バッテリーからの発火も疑われる。

作り方はミニ4駆と同じ?

 ご存じの読者も多いと思うが、EVの製造は比較的簡単とされてきた。部品点数は、約3万点に上る従来のガソリン車に比べて圧倒的に少ない。また、モーターやバッテリーといった部品同士をつなげるだけで製造できる「組み合わせ」型の製品だと言われてきた。

 ガソリン車と違って、部品同士を微調整して高い性能を引き出す「擦り合わせ」の比重が少ないため、あるEVベンチャーの社長は「『ミニ4駆』を大きくしたようなもの。簡単に製造できる」と言い切る。

 ミニ4駆はモーターで走る組み立て式の模型自動車だ。数年前、子供たちの間で大ヒットしたミニ4駆とEVの基本構造はほぼ同じだという。

 EVの登場でクルマを簡単に作れるようになり、技術蓄積の少ない新興メーカーでも、既存メーカーに短期間でキャッチアップすることが可能となる。そのように期待されていた1社がBYDだった。

 炎上の原因は定かではないが、今回の痛ましい事故はそんな「EVの製造は簡単」という見方に疑問を投げかける。

三菱自社長、「中国勢には負けない」

 4月下旬、中国で開催された「北京モーターショー」で三菱自動車の益子修社長に取材する機会を得た。


4月下旬の北京モーターショーで自動車への充電の仕組みを示した中国BYD(比亜迪)の展示

 同社はEV「i-MiEV(アイ・ミーブ)」を商品化している。益子社長は「EVの製造には、かなり高度な技術力が求められる。特に制御系が難しい。技術蓄積のある既存メーカーと、蓄積の少ない新興メーカーの実力差はハッキリと表れる。中国製のEVも出回っているが、我々のEVとは性能が随分違う。当社はバッテリーの安全性にも、とても配慮している」と言う。

「VWらしさを走りで表現する」

 「EVは1つのシステムとして部品をインテグレートする力が求められる」と語るのは、独フォルクスワーゲン(VW)でEV開発を担当するルドルフ・クレープス執行役員だ。同社として初のEV発売を来年に控え、開発を急ぐ。

 先月末に来日したクレープス氏は次のように語った。

 「バッテリーのセルは外部から購入するが、電力を制御したり、冷却したりするシステムは、自社で開発する。社内の専門知識がふんだんにバッテリー周りに生かされている」

 さらに「バッテリーシステムやモーター、トラクションなどを高度にインテグレートすることで、VWらしい運転感覚、乗り心地、静寂性、制動などのパフォーマンスを引き出す」と言う。誰が組み立てても、同じ品質の製品が出来上がるミニ4駆とは、全く違う作り方を志向する。

 今回の炎上事故は、EVがミニ4駆のように、簡単に作れる代物ではないということの証明なのか。それとも、車両に固有の欠陥があったのか。はたまた全く別の原因があるのか。真相の究明が急がれる。

記者の眼

日経ビジネスに在籍する30人以上の記者が、日々の取材で得た情報を基に、独自の視点で執筆するコラムです。原則平日毎日の公開になります。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20120608/233137/?P=1
(続く)
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次世代エコカー・本命は?(17)

2014-12-17 00:00:00 | Weblog

2件目は2013年10月後半にメキシコで起こっており、詳細は不明と言う。
3件目は2013年11月6日にテネシー州で、トレーラーに追突した「モデルS」が炎上したもの。



米テスラ、破竹成長にブレーキ EV炎上事故10月以降3件
2013.11.9 15:25

6日に米テネシー州で事故を起こし炎上した「モデルS」(AP)

 米ベンチャーの旗手として脚光を浴びてきた電気自動車(EV)メーカー、テスラ・モーターズの高級セダン「モデルS」が、(2013年)10月以降3件の炎上事故を起こした。原因はわかっていないが、EVの心臓部であるバッテリーに問題がある可能性も浮上。米株式市場では、破竹の勢いで上昇してきた株価が急落している。グーグルやアップルのような急成長を遂げると期待されていたテスラの未来に暗雲が垂れ込めると同時に、次世代エコカーの主役といわれるEVの安全性にも不安が広がりかねない。(SANKEI EXPRESS)

保護板が破損

 この6週間で3件目となる事故が起きたのは、(2013年11月) 6日午後のこと。テネシー州の高速道路でモデルSが前を走っていたトレーラーに衝突し炎上した。運転手にけがはなかったが、前部はほとんどが焼けただれた。

 ハイウエー・パトロールや米道路交通安全局(NHTSA)によると、前部に搭載したリチウムイオンバッテリー(電池)を保護するため、頑丈な鉄板を備えているが、トレーラー後部の牽引(けんいん)用バーが鉄板を突き破り、バッテリーが破損して発火したとみられている。

 「何が起きたかを詳しく調べるため、わが社の調査チームがテネシー州に向かっており、今後、さらなる情報が提供できるだろう」

 事故を受け、テスラの広報担当エリザベス・ジャービス・シェアン氏は声明を出し、早急に原因を究明する考えを示した。

 10月1日にワシントン州シアトル近郊で最初に起きた事故でも、モデルSが前を走るトラックの荷台から落下した鉄塊に乗り上げ、鉄板が破損し炎上した。2件目は10月後半にメキシコで起きており、米当局は詳細を把握していないという。

株価は28%下落

 2003年に設立されたテスラのイーロン・マスクCEO(42)は、国際宇宙ステーションへの宇宙船ドッキングを民間企業として初めて成功させたスペースX社の創業者としても知られる名うての起業家だ。

 テスラは08年に小型リチウムイオン電池をパックにして動力源とするEVシステムを搭載したスポーツカー「ロードスター」を発売。10年トヨタ自動車と資本・業務提携した。

 昨年6月に売り出したモデルSの販売も世界的に好調で、今月5日に発表した13年7~9月期決算では売上高が前年同期比約8.6倍の4億3134万ドル(約425億円)に達した。株価もうなぎ上りで、9月30日には193.37ドルを付け、約10カ月で何と470倍に跳ね上がった。

 しかし、1件目の炎上事故の発生以降、下落に転じる。3件目の事故が明らかになった7日のニューヨーク株式市場では前日比8%も下げ、この間の下落率は28%に達した。

 今後の焦点は、発火原因が独自のバッテリーシステムの構造的な問題なのかどうかだ。

 「EVの火災発生リスクについて言うなら、ガソリンで走る一般的な自動車より安全だ」。マスク氏は、1件目の事故発生直後にブログで、安全性を強調した。

 ただ、テスラは7~9月期決算で4000万ドルの赤字を計上するなど利益は出ておらず、株価上昇が期待先行だっただけに、多くのアナリストが「先行きに問題を抱え込んだ」という見方で一致している。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/131109/biz13110915290010-n1.htm


これに懲りたテスラは、床下に分厚い(かどうかは知らないが)保護板を付けた様だ。尤も前後左右の側面にもガードが必要だと思うのだが、側面からぶつけられた場合にもバッテリーは大丈夫なのであろうか。
まあガソリンのほうが余程燃えやすい物質なので、一般のガソリン車のほうが余程危険だとも言えるが、それなりに現在のガソリン車は安全対策には怠りはない筈である。



テスラ モデルS、床下にバッテリー保護カバーを装備…車両火災への対応

(レスポンス) 2014年3月31日(月)08時45分

テスラ・モデルS
米国のベンチャー企業、テスラモーターズのEV『モデルS』。2013年秋、米国で起きた同車の車両火災に関して、テスラモーターズが対策を発表した。

この車両火災は2013年10月、米国ワシントン州シアトル郊外で発生。1台のモデルSが、高速道路を走行中、金属製の落下物に接触。この直後、車両には異常を知らせる警告が出たため、ドライバーは警告に従いスローダウンし、高速道路の出口を降りた。すると、車両のフロント下部から発火し、車両火災に至った。幸いにもドライバーは脱出し、無事。

この事故の原因は、金属製の落下物が大きく、モデルSのアンダーフロアに8cm近い穴が開くほどの大きな損傷を負ったため。これにより、モデルSのフロント部分に積まれた二次電池(リチウムイオンバッテリー)から火災が起きたという。

(2014年) 3月28日、テスラモーターズはこの件に関する対策を発表。リチウムイオンバッテリーを保護するために、チタン製のアンダーボディカバーと、アルミ製ディフレクタープレートを装備するというのが、対策の内容だ。

テスラモーターズは、対策を施したおよそ150台のモデルSを使って、路上の落下物に床下を接触させるテストを実施。「全ての車両で、バッテリーを完全に保護する効果を発揮した」と説明している。
森脇稔
http://autos.goo.ne.jp/news/ecocar/220157/article.html
(続く)
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