世の中、まちがってる、根拠なき反日キャンペーン。

相も変わらず根拠なき反日キャンペーンで、国をまとめようとする輩が存在する。

世界の流れは、EV化(96)

2022-03-31 00:00:00 | Weblog


図2 EVの普及によるカーボンニュートラルに対する疑問
(出所:日経ものづくり)   [画像のクリックで拡大表示]

 EVの普及がカーボンニュートラルに貢献する可能性は高いが、EV一辺倒が良いわけではない。また、EVが普及するためには解決すべき課題があり、その解決策を探る必要がある─。専門家への取材からは、こんな実状が浮かび上がる。

発電時に排出したCO2は?

 加熱するEVブームに一石を投じたのが、日本自動車工業会(JAMA)会長でトヨタ自動車社長の豊田章男氏だった。21年3月に開いたオンライン会見で、総発電量の約75%を火力発電が占め、再生可能エネルギーのコストが火力発電より高い日本の電力事情について触れたのだ(表1)。

表1 日本・海外のエネルギー状況

日本では火力発電所での発電量が海外に比べて高い。2021年3月に公表。(出所:日本自動車工業会)

[画像のクリックで拡大表示]

 この時に豊田氏が強調したのは、「LCA(Life Cycle Assessment:ライフサイクルアセスメント)ベースでの炭素中立の実現」だ。

 LCAとは、製品の原材料生産から廃棄に至る製品のライフサイクル全体で環境負荷を評価する考え方だ。欧州では、EVなどの電池に対して24年からLCAによるCO2排出量の申告を義務付けるなど規制強化の議論が本格化。日本でもLCAの考え方が浸透し始めている。

 この時、なぜ豊田氏は「総発電量の約75%を火力発電が占める日本の電力事情」に言及したのか。それは日本の系統電力の電源構成が、EVのCO2排出量に影響するからだ。

 EV自体が走行時にCO2を排出しないのは疑問の余地はない。しかし、モーターを動かすのに石炭火力などCO2を排出する火力発電所で発電された電気を使っていれば、走行時にCO2を排出しているのに等しい。特に原子力発電所がほとんど稼働していない日本では電源における火力発電所の比率は高い。「EVが増えて電気を使えば使うほど、CO2排出量が増大しないか、本当にCO2排出量がガソリン車より少ないのか」という疑問が頭をもたげる。


「走行時CO2排出量はEVの方が小さい」

 この疑問に対して、使用する電気の電源を考慮しても、「走行時に限って言えばEVのCO2排出量はガソリン車やハイブリッド車(HEV)より『少ない』と言っていい。仮に火力発電所しかない電源構成でもほぼ確実に少なくなる」と答えるのは、電力中央研究所(電中研)グリッドイノベーション研究本部研究参事の永田豊氏だ。理由は「ガソリンエンジンよりモーターの効率の方が良い点に尽きる」という(同氏)。

 この仮説を証明するデータがある。電中研の試算だ*1。永田氏によると、日本の火力発電の約半分はCO2排出原単位*2が石炭火力の半分以下の天然ガス発電であるうえ、電源構成で水力発電が1割程度を占める。最近は太陽光発電も増えている。電中研の試算では、「系統電力のCO2排出原単位が(17年度の全電源平均である)496g/kWhを超えるケースはまずないだろう」(同氏)という。

*1 分析に当たっては、製造と走行に伴う波及効果を含め、温暖化ガス排出量を評価できるように産業連関モデルを拡張した。総務省の「産業連関表(2015年)」や国立環境研究所の「産業連関表による環境負荷原単位データブック(3IED)(2015年)」、富士経済(2017a)、富士経済(2017b)などのデータを基に、分析モデルの部門分類に電動車部門を追加した。

*2 排出原単位
一定量の電気をつくる場合のCO2排出量。
(続く)
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世界の流れは、EV化(95)

2022-03-30 00:00:00 | Weblog

Q4 政府の再エネ目標が達成できないとしたら、その理由は何か(複数回答可)


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Q3で「達成できない」「どちらかというと達成できない」と回答した人に、目標を達成できないと考える理由を尋ねた。「再エネ設備の設置コストが期待ほど下がらない」が7割強と最も多い。「国内では、再エネ設備を設置する場所が限られてきている」という回答も6割弱に上る。設備の設置コストや設置場所が目標達成のネックになると考えている人が多い。「その他」の自由記述では、「政府の無策」「電力業界の抵抗」など、技術的な課題以外の外部要因を指摘する声が目立った。

Q5 今後10年以内に、水素エネルギーは普及すると思うか


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「普及する」「どちらかというと普及する」を合わせると48.8%と、5割弱が「普及する」とみており、水素エネルギーに対する期待は高いといえる。「その他」の自由記述では、「特定の業種では普及する」など限定的な範囲で普及するとの見方もあった。

Q6 水素エネルギーを用いたどのような技術に期待するか(複数回答可)


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Q5で、「普及する」「どちらかというと普及する」とした回答者に聞いた。「水素と酸素で走る燃料電池自動車(FCV)」が7割強、「内燃機関で水素を燃やす水素エンジン自動車」が6割超と、水素を燃料とする自動車への期待が高い。「水素を燃料にした火力発電」も6割弱に上った。「その他」の自由記述では、「水素と二酸化炭素を原料とする有機化合物合成/石油化学代替」「水素と炭酸ガスを用いた化成品の合成」など、水素を原料とする化学製品に期待する声が目立った。

回答者プロフィール
調査方法:ニュース配信サービス「日経ものづくりNEWS」の読者を対象に、アンケート用URLを告知した上で回答を依頼。2021年12月28日~22年1月6日に実施し、678の回答を得た。


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https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01936/00004/?i_cid=nbpnxt_sied_blogcard




「ガソリン車からEVへ」だけが正解か、公共交通シフトも選択肢に
高市 清治 日経クロステック/日経ものづく 2022.02.09

 「電気自動車(EV)ありきで議論が進んでいるように思う」「あたかもEVがカーボンニュートラルの切り札のように世論が操作されていないか」─。

 日経ものづくりが2021年12月から22年1月にかけて実施した「EV・水素・再エネなど炭素中立の疑問点に関する調査」には、回答者からこんな意見が多数寄せられた。「EVの普及が炭素中立に貢献すると思うか」という問いに対し、「貢献する」という回答は61.5%となった一方で、「貢献しない」との回答も33.0%あった(図1)。3割強がEV偏重の議論に懐疑的な見方をしている。



図1 3割が「貢献しない」と回答
「EVの普及が炭素中立に貢献すると思うか」という問いに対しては、「貢献しない」との回答は3割を超えた。ニュース配信サービス「日経ものづくりNEWS」の読者を対象に、アンケート用URLを告知した上で回答を依頼。2021年12月28日~22年1月6日に実施し、678の回答を得た。(出所:日経ものづくり) [画像のクリックで拡大表示]

 電気だけを使ってモーターで駆動するEVは走行時に二酸化炭素(CO2)を排出しない。そのため一般的にはEVが普及してCO2を排出するガソリン車に取って代わるのを無批判に認める風潮が見受けられる。しかし、アンケート調査の結果からは、こと製造業に関わるエンジニアや経営者の間ではその論調が必ずしも受け入れられていないと分かる。

 アンケート調査の回答や専門家への取材から、EVに対する「疑問」は大きく3つに分類できる(図2)。[1]EVは本当にカーボンニュートラルなのか。[2]仮に貢献できたとして、EVが一般的に普及するのは現実的なのか。そして[3]EVがガソリン車に取って代わる「脱・ガソリン車」が本当に唯一の解なのか─である。
(続く)
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世界の流れは、EV化(94)

2022-03-29 00:00:00 | Weblog

このような世界の潮流であるから、当然「世界の流れはEV化」となるわけであるが、EV化だけがCOP26の正解と言うものではなかろう。

CO2の排出を減らすのであれば、EV化と同時にあらゆるモビリティを(CO2削減の)検討対象としなければならないであろうことは、誰でもが考えることである。

一人一人が一台づつマイカーなどで通勤などすれば、いくらEV化が進んだとしても温室効果ガスは減少してくれないのではないのかな。

CO2を排出する火力発電で作られて電気、バッテリーをはじめとするEVの製造過程で排出されるCO2などを考えれば、公共交通機関の利用の方が余程環境にやさしいのではないのかな、と言った論考も存在するし、世間一般ではEVはICE(内燃機関)から半分も置き換わらないと思われている様だ。





「EVは過半に達しない」が7割超、再エネ比率目標達成にも懐疑的
数字で見る現場 EV・水素・再エネなど炭素中立の疑問点に関する調査


高市 清治 日経クロステック/日経ものづくり 2022.02.02

「電気自動車(EV)がガソリン車を代替する比率は過半に至らない」「2030年に再生可能エネルギーの割合を36~38%まで高める政府の目標は達成できない」と考える人がいずれも7割――。日経ものづくりが2021年12月から22年1月にかけて実施したアンケート調査でこんな結果が出た。一方で「今後10年以内に、水素エネルギーは普及する」と考える人は5割弱。水素を燃料とする自動車への期待は高い。

Q1 今後10年以内に、EVはガソリン車を代替すると思うか


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「今後10年以内に、電気自動車(EV)はハイブリッド車を含むガソリン車を代替すると思うか」との問いに対しては、「ほとんどEVにならない」(13.3%)、「ある程度EVになるが過半にはならない」(60.6%)が合わせて7割強を占めた。少なくとも今後10年程度でのEVの普及には懐疑的な見方の人が多い。

Q2 EVが普及しないとしたら、その理由は何か(複数回答可)


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Q1で「ほとんどEVにならない」「ある程度EVになるが過半にはならない」と回答した人に、EVが普及しないと考える理由を尋ねた。6割超が「充電ステーションなど社会基盤が整わない」「炭素中立な電力の確保が難しい」「充電時間が長すぎる」を挙げた。充電ステーションの不足や炭素中立か否かなど、EVの機能・性能とは別に、普及のために必要な外部条件が不十分と考えられているようだ。「その他」の自由記述では、「電池の寿命が短い」「電池材料が不足する」などバッテリーに対する不安や、「プラグインハイブリッド車の方が総合的に優れている」といった指摘が目立った。

Q3 政府の再エネ比率目標は達成できると思うか


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「2030年に再エネ(再生可能エネルギー)の割合を36~38%まで高める政府の目標は、達成できると思うか」という問いに対しては、「達成できない」「どちらかというと達成できない」という回答が合わせて7割弱に上った。太陽光発電や風水力発電など再生可能エネルギーの比率を急激に高めようという政府目標に対しては、懐疑的な見方が強い。
(続く)
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世界の流れは、EV化(93)

2022-03-28 00:00:00 | Weblog

新技術は脱炭素に有効なのか

 そのため、冒頭に述べたように製造業の現場にも疑問が渦巻いているのは確かである。

 その最たる例が、電気自動車(EV)だ。日本はHEVで先行してきたが、欧州や中国の動きにみられるように、EVへの移行が既定路線として語られている。果たしてEVは本当に最適解なのだろうか。 「どこまでカーボンニュートラルに貢献するのか熟慮することなくEV推進に大きくシフトしている」─。日本総合研究所フェローの井熊均氏は、“EVバブル”とも言える状況に警鐘を鳴らす。

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2022/02/09

 本誌アンケートの自由意見にも、「ライフサイクル全体でEVはCO2を削減できるのか」「EVが増えたら電力の需給バランスはどうなるのか」などの声が集まった(表)。

表 脱炭素への疑問

日経ものづくりが実施した脱炭素の疑問に関するアンケート調査に485件の自由意見が寄せられた。その一部を抜粋。(出所:日経ものづくり)       [画像のクリックで拡大表示]

 再生可能エネルギー(再エネ)や水素もしかりである。FIT制度*2を背景に、太陽光発電や風力発電に対する期待は大きい。原理的にCO2を排出する火力発電や東日本大震災の記憶が残る原子力発電と比べ、クリーンで安全な電源であるのは間違いない。

*2 FIT制度
再生可能エネルギーで発電した電力を国が定める価格で電気事業者が買い取る制度。

 一方、主力電源として再エネに期待できるのか不安に思う人も少なくない。「日本は地理的に導入量に限度があるのでは」「再エネだけでなく蓄電技術も必要」─。こちらも本誌アンケートに届いた本音だ。

 長らく次世代のエネルギー媒体として研究されてきた水素にも疑問が募る。燃料電池自動車や水素還元製鉄などで近年さらに注目されるが、コストに加えて製造・輸送時のCO2排出といった課題がある。やはり本誌アンケートにも、「輸送を含めたコストを減らせるのか」「水素ステーションが足りない」といった声が寄せられている。

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 2022年1月20日、川崎重工業が建造した液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」がオーストラリアに到着した。同船は21年12月末に神戸を出港。褐炭から製造した水素を現地で積み込み、22年2月下旬ごろ...
2022/02/03

 「脱炭素の理念は分かるが話が急すぎる」─。取材で会った鉄鋼メーカーのプラント技術者はこう心境を吐露した。

 とはいえ、持続可能な社会を目指す上で、CO2の削減自体は避けられない課題である。技術競争も激しさを増すばかり。既に、太陽光パネルやEVの生産量では、中国が日本を圧倒している。実のある脱炭素で商機をつかむためにも、関連市場と技術の動向を冷静に見極める必要がある。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01936/00001/


きっかけは菅義偉(元)首相の2020.10.26に所信表明演説であった。もともとは安倍晋三前首相時代から準備が進められていたものであった、と言われている。

ネタに困っていた菅首相の「所信表明演説」の第七項に組み込まれたものであった。

公明党からの後押しもあったやに聞く。しかも環境対策は世界の潮流となっていたから、ある意味当然の帰結でもあった、と言っても過言ではなかろう。だから安倍首相時代から準備されていたのである。


第七項
気候変動対策や環境・エネルギーに関する課題への取り組みを加速化させ、エネルギーの安定供給と、持続可能で強靭な脱炭素社会の構築に努める。


と言うものであった。

当然世界各国からは称賛を浴びている。最大の温室効果ガス排出国の中国は、2060年が目標であり日本はそれよりも10年も早い2050年に、カーボンゼロを(実質的に)達成しようというものであった。

世界は日本を褒めるよりも、中国の2060年CN(カーボンニュートラル)を責めるべきである。中国はその技術も資金もあるにも拘らず、2060年までの長きにわたってCO2を垂れ流ししてゆこうとしているからだ。



画像のクリックで拡大表示
「気候変動対策を加速」「脱炭素社会の構築」が明記されている政権合意
9月15日に締結された自民党と公明党の政権合意文書

https://project.nikkeibp.co.jp/energy/atcl/19/feature/00001/00036/

(続く)
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世界の流れは、EV化(92)

2022-03-25 00:00:00 | Weblog

我々は「世界の流れはEV化」が進む中で、冷静さを半ば失っている状態なのかもしれないのだ。本当にEV化するだけで、「脱炭素」が図られるものなのか、冷静に判断する必要があろう。


「乾いた雑巾を絞れ」過熱する“脱炭素”に求められる冷静な視点

斉藤 壮司 日経クロステック/日経ものづくり 2022.02.15

カーボンニュートラル(温暖化ガス排出実質ゼロ)はどこか腹落ちしない─。こう感じる人は少なくない。日経ものづくりが実施した脱炭素への疑問に関するアンケート調査に、485件もの自由意見が寄せられた。

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「EVは過半に達しない」が7割超、再エネ比率目標達成にも懐疑的

 「電気自動車(EV)がガソリン車を代替する比率は過半に至らない」「2030年に再生可能エネルギーの割合を36~38%まで高める政府の目標は達成できない」と考える人がいずれも7割――。日経ものづくりが...
2022/02/02

政府宣言から1年、急激な脱炭素シフト

 2020年10月に、菅義偉首相(当時)が「2050年のカーボンニュートラル達成を目指す」と宣言してから、1年あまりが経過した。20年度における日本の温暖化ガス総排出量は11億4900万t。政府は30年度に13年度比46%減の7億6000万tまで削減し、50年度に実質ゼロとする目標を掲げている(図1)。20年10月の宣言は、世界120以上の国・地域がカーボンニュートラルを目指すと宣言する中で、足並みをそろえたものだ。その後、産業界では急速に脱炭素の動きが加速。その影響は、製造業を含めたほぼ全ての業界に及んでいる。


図1 日本の温暖化ガス総排出量

2050年に温暖化ガス排出の実質ゼロを目指す。20年度までの数値は、環境省と国立環境研究所が21年12月に公表した「2020年度(令和2年度)の温室効果ガス排出量(速報値)について」を引用した。(出所:環境省などの資料を基に日経ものづくりが作成) [画像のクリックで拡大表示]

 ただし、これまで日本企業が省エネルギー技術や環境技術で世界から大きく遅れを取ってきた訳ではない。燃費の良いハイブリッド車(HEV)や高効率の火力発電などは、その代表格だったはずだ。

 ちなみに、日本の二酸化炭素(CO2)排出量のうち、製造業を含む産業部門34.7%を占める(図2)。最も多いのは鉄鋼業界で、同部門の40.2%、日本全体の14%弱である。もちろん、同業界では以前からプロセス改善や廃熱回収に取り組んでおり、日本鉄鋼連盟は16年、「日本の鉄鋼業のエネルギー効率は世界最高水準であり省エネ対策の余地は少ない」との見解を示していた*1。


図2 日本のCO2排出量の内訳

製造業を含む「産業」部門は全体の34.7%を占める。発電および熱発生に伴うエネルギー起源の排出量は各部門に配分されている。環境省と国立環境研究所が21年4月に公表した「2019年度(令和元年度)の温室効果ガス排出量(確報値)について」を引用した。 (出所:環境省、国立環境研究所) [画像のクリックで拡大表示]

*1 日本鉄鋼連盟が2016年1月に公表した「鉄鋼業の地球温暖化対策への取組 低炭素社会実行計画実績報告」。

 ところが、世間の雰囲気はカーボンニュートラルの一声で厳しくなった。鉄鋼業界を含め、真面目に環境対策を進めてきた企業も、「乾いた雑巾をさらに絞れ」と言わんばかりの難題を突きつけられている。

(続く)
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世界の流れは、EV化(91)

2022-03-24 00:00:00 | Weblog

「充電渋滞」をどう解決するか

 さて、このイーモビリティパワーですが、2021年に経済産業省が開催した「カーボンニュートラルに向けた自動車政策検討会」に興味深い資料を提出しています。その内容は一般にも公開されています。

 資料では、充電インフラの現状における「設置場所の課題」を三つ挙げています。

 一つ目は、充電インフラが増えていることがあまり知られていないことです。

 二つ目は、北海道や東北など、充電器の空白地域が目立つこと。高速道路でも、SAやPAの間隔が70km以上離れている区間が全国で18区間あります。

 そして三つ目は、東京・大阪・名古屋など大都市部には充電器の数が多くても、設置場所が有料駐車場や自動車ディーラー施設内に偏在しており、ユーザーにとって使い勝手が悪いことです。

 また、充電器の稼働率でみると、稼働率が高い設置場所は「カーディーラー」が最も多く、次いで「コンビニ」「道の駅」「大規模小売店」、そして「SA・PA」と続きます。
 一方で、稼働率が低いのが「地方自治体の施設」「宿泊施設」「観光施設」「ガソリンスタンド」「ゴルフ場」「空港」など公共の性格を帯びた場所が目立ちます。

2022年発売予定の日産新型クロスオーバーEV「アリア」

2022年発売予定の日産新型クロスオーバーEV「アリア」

 そして、ユーザーとして大いに気になるのが、いわゆる「充電渋滞」ではないでしょうか。

 まだまだBEV普及初期である現時点でも、高速道路のSAなどでは、急速充電で3台待ちといった状況がすでに現実になっています。

 基本的に、急速充電は1回30分が目途のため、仮に自分の前に2台のBEVがいる状況だと、自車の充電が終わるまで1時間半以上かかることを覚悟しなければなりません。

 こうした状況について、イーモビリティパワーは「充電器1台あたりの平均稼働率が20%を超えると充電渋滞が発生する時間帯が増える」と分析しています。

 つまり、1日あたり10回以上の急速充電をおこなう充電器で充電渋滞が発生しやすくなるというのです。

 対策としては、一つの充電設備で複数の充電口を持つシステムの導入があります。直近では、イーモビリティパワー、東京電力、ニチコンが200kW・6口(1口最大出力90kW)の急速充電器を開発し、2021年12月から首都高速の大黒PA(横浜市鶴見区)に設置し、今後は全国で拡充する予定だといいます。

 ただし、当然ながら充電器の導入コストが上がるため、採算性をどう確保するかが大きな課題です。

 また、既存の充電器は2010年代初めに国が推進したBEVとPHEVの普及政策の際に設置された設備も多く、充電器の寿命が8~10年ほどであるため、2022年から2024年頃に設備更新のピークを迎えることが確実視されています。

 そうした状況ですが、筆者(桃田健史)が各方面に取材している限り、充電器の稼働率が低い公共施設などでは、これまで採算性が悪かったことなどから、新たにコストをかけて設備を更新することを決めかねているケースが少なくないと聞きます。

 BEVの本格普及に向けて、改めて充電インフラの今後について、社会全体で考えるべき時期だと強く思います。

https://kuruma-news.jp/post/481286



VWのディーゼルゲート事件に端を発したEV化問題は、(あえて問題と言うが)世界の環境問題へと飛び火していったわけだが、必ずしもEVが環境に良い訳ではない。LCAベースでのCO2排出量を計算すれば、BEVとHEVとではHEV(ハイブリッドイレクトリックビークル・いわゆるHV)の方がCO2の排出量は少ないケースが(電源構成によっては)多いことが判明しているので、EV、EVと騒ぐ必要はないのである。

電動化戦争迎え撃つトヨタ 世界気候変動とクルマ電動化の未来」(奥田富佐二著)によれば(P33)、トヨタプリウスと日産リーフのCO2排出量は次の通りである。

トヨタプリウスE 72g/km
日産リーフe+ 88g/km

そして次のようにも言っている(P35)。


 この試乗比較で改めて確認されたのは下表に示すようにEVリーフのカタログ燃費と実走行燃費の大きな乖離でHVとの差を如実に表している。リーフの場合はカタログ一充電走行距離322kmに対して試乗結果が216kmと100km以上の差があり燃費詐称と言われかねない数値だ。
・・・・・・・・・
 いずれにしても、上表の比較の通りEVが内燃エンジン搭載のHVにCO2排出量でも全く歯が立たない以上、車のEV化など全く意味がないということになり由々しき問題である。


と言うことはそれなりに示唆に富んだものではないのかな。
(続く)
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世界の流れは、EV化(90)

2022-03-23 00:00:00 | Weblog

ちょっと考えれはわかることではあるが、BEVであるソニーカーが流行するには「充電スタンド」の普及が必須条件となるのではないのかな。



「充電器」がEV普及の足かせに? どうなるインフラ拡充 まもなく到来「設備更新ピーク」なぜ?
桃田健史 2022/03/05 18:10

本格普及に必要なのは「充電インフラの拡充」

 ついに日本でも、本格的なBEV(バッテリー電気自動車)シフトが始まるのでしょうか。

 2022年の発売モデルでは、トヨタ「bZ4X」、スバル「ソルテラ」、日産「アリア」、さらには日産と三菱が共同開発した軽EVなど、新型BEVが目白押しです。

【画像】ガソリン車の給油口って意外とシンプル? 中の構造を見る!(62枚)
(https://kuruma-news.jp/photo/481286)

 輸入車でも、テスラ「モデル3」は販売絶好調ですし、メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、ポルシェ、ボルボなど、BEVモデルラインアップのさらなる充実が続きます。

© くるまのニュース 提供 BEVに充電設備は欠かせない

BEVに充電設備は欠かせない

 こうした状況を踏まえ、自動車メーカーやインポーターの関係者に対し、「BEVシフトが色濃くなってきた現時点で、改めてBEV本格普及のために必要なことは何だと思いますか?」と聞きました。

 すると、やはり最も多かった答えは「充電インフラの拡充」でした。

 この考え方は以前からあり、BEV普及のための3条件の一つといわれてきました。

 3条件とは、「車両価格がガソリン車やハイブリッド車並みに下がること」「満充電での航続距離が充分にあること」、そして「充電インフラが整うこと」の三つです。

 まず、車両価格については、まだまだ高いとは思いますが、電池、モーター、インバーターというBEV主要部品の量産効果が徐々に現れてきており、モデルによっては一般ユーザーのショッピングリストに載るレベルまで下がってきたといえます。

 また、サブスクリプションモデルなど、新しいクルマの使い方が日本でも広まることで、車両残価を気にせずにBEVを楽しめるようになりそうです。

 次に、航続距離については、基本的に電池容量を大きくすることで対応できますが、そうなれば当然、車両の価格にも跳ね返ります。それを量産効果によって抑制することになります。

 また、全固体電池など新しい技術によって、従来と同じ体積(大きさ)でもエネルギー密度が上がることで航続距離がさらに伸びることが期待されています。

 そして、BEV関係者の多くが指摘した充電インフラについては、今まさに“大きな課題”といえるでしょう。

 地図情報関連企業のゼンリンによると、日本国内にあるBEVまたはPHEV(プラグインハイブリッド車)向けの充電施設は、2021年2月時点で急速充電器が7950基、普通充電器が2万1700基で合計約3万基あります。

 このうち、東京電力、中部電力、トヨタ、日産、ホンダ、三菱などが出資し、充電インフラの整備と拡充をおこなうe-Mobility Power(イーモビリティパワー)が連携している充電器は、急速と普通を合わせて2020年12月末時点で2万1700基です。

 イーモビリティパワーは、日産のZESP3(ゼロエミッションサポートプログラム3)や、トヨタのEV-PHV充電サポート、メルセデス・ベンツのCharge充電カードなど、国内外メーカー各社の充電に関する会員カードが使える仕組みを提供しています。

 当初、2014年にトヨタ、日産、ホンダ、三菱が共同で立ち上げた日本充電サービス(NCS)がありましたが、2019年10月設立のイーモビリティパワーがNCSの事業を2021年4月に承継し、充電サービスのさらなる拡充を目指しているところです。
(続く)
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世界の流れは、EV化(89)

2022-03-22 00:00:00 | Weblog

■世界のEV競合、早い経営スピード

世界のライバルに目を向けると、EV企業のスピードは速い。台湾の鴻海精密工業は21年10月、同社初となるEV試作車3種を発表した。EV事業への参入を表明してから2年足らずで、開発中のEVプラットフォーム(車台)のパートナー数は2000社を超える。米新興のフィスカーなどとの提携も決めた。米国のほか、24年末までに欧州、インド、南米で工場進出も検討している。

モビリティー市場を切り開くディスラプターになれるか。今回の提携でそれぞれの創業者が持っていた「創造性」と「チャレンジ精神」を取り戻せるかがカギとなる。

■人まね嫌いの井深氏と本田氏、40年の友情


ソニー創業者の井深大氏(左)とホンダ創業者の本田宗一郎氏は、親交が深かった

ホンダの三部社長が入社した1987年には創業者の本田宗一郎氏は終身最高顧問としてホンダの創業精神の支柱だった。本田氏が91年に亡くなったのと軌を一にして、ホンダはバブル崩壊後の国内販売不振や円高で経営危機までささやかれるようになった。

ソニーも創業者の井深大、盛田昭夫の両氏が世を去って2000年代に入ると主力のエレキ事業の不振が続き、12年3月期に過去最大の4567億円の最終赤字に陥った。両社とも創業者から世代交代が進むとともに、意思決定のスピードが鈍り、経営の混乱につながった苦い歴史を持つ。
本田氏と井深氏は、戦後まもない同時期に町工場から出発し、ものづくりで世界企業を育てた。2人は根っからの技術者かつ名経営者であると同時に、互いを尊敬しあう親友で、公私にわたり40年の交遊があった。井深氏は2歳年上の本田氏を「おあにいさん」と呼び兄貴分として慕った。
2人の友情を示すエピソードがある。評論家の大宅壮一氏が「ソニー・モルモット論」を唱えたときのことだ。ソニーは色々と新しいことを先駆けてやっているが、最終的には大企業に取り込まれてしまい、モルモットを使った「実験」にすぎないという意見だった。

井深氏は怒るどころか、「ソニー・モルモット論には大賛成だ。いつでも、この役を喜んで引き受けましょう」と応じた。むしろ、怒り心頭になったのは本田氏だった。「金をふんだんに持っている大企業は万能であるという考え方は、1世紀前のマルクス主義と同じ考え方で、もしそれが真理ならば、今日のソニーや私の会社はありえなかっただろう」と自著「俺の考え」でその理由を記した。

ソニーが開発したビデオ「ベータ方式」は、「VHS方式」との規格競争に敗れたが、本田氏は最後までビデオはベータを使い続けたほどだ。
井深氏は自著「わが友 本田宗一郎」で本田氏との関係をこう記している。「性格的にはまったく正反対なところがあるが、哲学・考え方に大きく共通するところがあった」とし、「技術者として本田さんと私で共通していたのは、厳密にいえば技術の専門家ではなく、ある意味で"素人"だったこと」と記した。
「この技術があるから、それを生かして何かしようなどということは、まずしませんでした。最初にあるのは、こういうものをこしらえたい、という目的、目標なのです。二人とも人まねが嫌いですから、今までにないものをつくろうと、いきなり大きな目標を立ててしまいます」と本田氏との共通点を回想した。

人まねをせず、失敗を恐れずに新しいことに挑戦する。モビリティーの革新に挑むソニー・ホンダの新タッグにとって、色あせないメッセージである。

(大本幸宏、広井洋一郎、伴正春、阿部晃太朗)

【関連記事】
・ソニーとホンダ、EVで提携 新会社で25年に発売
・ソニーとホンダEV連合 ソフト×量産、トップ会談で構想
・ホンダの三部社長「車超えた価値を」 ソニーとEV提携
・ソニー、EVで難敵Appleに先手 武器はIT・エンタメ

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC04E6U004032022000000/



ソニーとホンダが注目を浴びる特別な電気自動車を開発しようとしているが、BEVである以上避けては通れない問題が存在している。

それは頻繁にバッテリーに充電しなければならないであろう、と言うことである。と言うのも「乗る人各自に最適な車内空間や移動体験を提供する」とあるように、ソニーカーの車内ではテレビなどが映り、さらにはステレオ音響が響き渡り、快適な空調の「エンタメ空間」となっていることでしょう。

この快適な移動空間では、それなりの電力を消費することになる、と思われる。それなりに大きなバッテリーが必要となり、快適であればあるほど電気の消費量は多くなると言うことを意味する。

快適な空間は利用すればするほど、バッテリーの電力が消費されることになり、頻繁のバッテリーに充電する必要に迫られることになる。当然航続距離も短くなってくる。
だから、頻繁に充電が必要となってくること、これが問題である。

そのためには「バッテリーへの充電インフラ」が必要となる、と言うことである。この充電インフラの整備は、BEV普及のための3条件の一つでもある。

尤もBEVの基本条件はその航続距離車両価格であり、上記条件にこの二つを足してBEV普及の3条件と言われている。

それにしてもBEVを使用していて、ガソリンスタンドならいざ知らず、バッテリー充電スタンドを容易に見つけることが出来ることが一番大事なこととなる、と言うことであろう。

(続く)
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世界の流れは、EV化(88)

2022-03-21 12:00:00 | Weblog

ソニー・ホンダ「創造力」再起へタッグ EV主導権狙う
2022/3/5 11:30
日本経済新聞 電子版

電気自動車(EV)分野での提携を発表し握手するソニーグループの吉田憲一郎会長兼社長(左)とホンダの三部敏宏社長(4日、東京都港区)

ソニーグループとホンダが電気自動車(EV)の分野で提携した。本体から独立した共同出資会社を2022年中に設け、技術者が創造的に設計・開発できる自由な環境を整える。両社のEV戦略に漂う停滞感を打破し、技術や事業モデルの開発スピードを上げる。自動車産業が100年に1度といわれる変革期を迎えるなか、米中のスタートアップ企業に対抗できるEV革新に「出島」から挑む。

人が近づくと座席の位置や室温をその人にあわせてあらかじめ調整する。好みの映像・音楽コンテンツがライブ会場にいるような臨場感で自動で流れる。行き先を告げるだけで目的地までの道が自動で案内される。気分が落ち込んでいるときはあえて遠回りして景観のよいコースを選ぶ――。

ソニーの吉田憲一郎会長兼社長はEVの未来の一つに「アダプタビリティー(一人ひとりの利用者に適応すること)」を挙げる。走行データなどを収集して、乗る人各自に最適な車内空間や移動体験を提供するという意味だ。


ソニーが発表したEVの試作車(1月、米ラスベガス)

開発の軸がソフトウエアに移るなか、事業モデルも変化する。ホンダの三部敏宏社長は3日、部品会社など400社超が参加するオンラインで開かれた取引総会で「EVは(売り切りから)リカーリング(継続課金)事業になる」と繰り返していた。

■革新出遅れに危機感

「イノベーションは辺境で生まれる」といわれる。パソコンメーカーだった米アップルが、通話が主体だった携帯電話を再発明してコンピューティング機能を備えるスマートフォンを生み出し、「ディスラプター(破壊者)」となった歴史が象徴する。自動車もガソリン車からEVへ急速にシフトするなか、イノベーションの端境期にある。

21年夏に始まった両社の提携協議が短期間で結実したのは、モビリティー時代の革新に出遅れることへの危機感が背景にある。ホンダの三部社長は「車業界の変革の主役は異業種や失敗を恐れない新興企業に移っている」と言い切る。

米テスラはEVの世界販売が100万台に迫り、ソフトウエアの追加・更新など課金サービスで稼ぐ仕組みを作りあげた。EVでは稼げないと自動車業界でいわれるなか、21年12月期の連結純利益は前の期比7.7倍の55億1900万ドル(約6300億円)、売上高営業利益率は12.1%で、トヨタ自動車の22年3月期の通期予想(9.5%)を上回る。

両社がEV新会社を「出島」として独立させた狙いは、「異業種同士の化学反応を起こす」(三部社長)ことにある。新会社で開発したソフトやサービスを2社以外も使えるようにするなど、「オープン化」戦略をとりやすくなる。25年に第1弾の車種を投入した後は、新たな提携先も呼び込み、ソフトやサービスの開発力を一層高め、モビリティー向けサービス基盤で業界標準を狙う。


ホンダ自体のEV戦略とは一線を画す新しい価値を狙う」。三部社長は4日の会見で、新会社がホンダ本体のEV事業と別物であると強調した。

■ホンダのEVシフト、「笛吹けど踊らず」

三部社長は21年4月の就任直後、40年に新車販売での脱エンジンを宣言し、日本車メーカーで最も早くEVシフトにカジを切った。詳細な計画まで煮詰めず、高い目標をまず掲げた。あるホンダ幹部は「40年と明言したのは、技術者の奮起を促すためだ」と話す。

ただ、三部社長の描くスピード感でEVシフトは進んでいない。21年10月、事実上の社長直轄組織である「電動事業推進室」を設けてEV対応を担わせた。別のホンダ幹部は「三部社長は社内のEV化への動きの遅さに歯がゆさを感じている」と直轄化の理由を解説する。さらに22年4月からは同室を「事業開発本部」とし、四輪事業本部や二輪事業本部と同格にまで格上げさせ、全社的な電動化の司令塔に据える。

三部社長は「ソニーとの提携でできた技術やサービスをホンダが取り込む可能性はある」と話す。出島を通じて、ホンダの技術者を揺さぶりつつ、EV戦略の停滞感を打破したい考えだ。

ソニーにとってホンダは、EVの事業化を実現するための最後のピースとなる。20年1月に試作車を発表して2年が過ぎ、センサー、通信技術、エンタメなど「進化に貢献できる技術が見えてきた」(吉田社長)という半面、量産技術などの課題に直面していた。

EV開発を主導する川西泉常務は「車の製造は設計開発と結びつきが強く、製造だけ分離しようとしても簡単にはいかない」と語る。ホンダと組めば、量産委託と共同開発を一石二鳥で実現できる。

ソニー役員は「ホンダとは斬新さや挑戦を好む点が似ている。社風が近いから、組めばスピード感が生まれる」と期待する。吉田社長は21年末から三部社長との会談を重ねるなかで、「ホンダとは馬が合う」と周囲に話していた。
(続く)
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世界の流れは、EV化(87)

2022-03-18 00:00:00 | Weblog

水素を直接燃焼させるためには、水素エンジンの項でも述べたようにブレイグニッションガ起きやすく燃焼速度が速すぎるために、燃焼速度が早いガス火力での混焼の方が合っている。

しかし日本での火力発電は石炭火力が主力となっているため、ガスと比べて燃焼速度が遅いため、水素を直接混焼させるためには相応しくない。そのため石炭と同じ燃焼速度のアンモニア・NH3であれば、石炭火力との混焼が可能となりその分CO2の削減にも寄与することになる。

しかもアンモニアであれば、すでに肥料用途で広く世に出回っているため既存のアンモニア流通経路を活用することで、燃焼用途に利用が可能であることも利点となる。

ただし、アンモニア貯蔵タンクや混焼設備などは、新たに必要となるが、もう一つの課題は、燃焼時に窒素酸化物・NOXの排出が増加することである。そのためには、既存の脱臭装置を活用することで改善されることが分かっているので、問題ではあるがそのうち解決策も出てくるのではなかろうか。

そんなことで、EUでも「欧州水素戦略」を2020年7月に発表し、水素やアンモニアの活用を戦略的目標として脱炭素政策を進めてきている。この件は下記の論考などを参照願う。


脱炭素の切り札?にわかに脚光を浴びる「アンモニア発電」とは何か
2021年3月3日
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20210302/se1/00m/020/035000c




このように地球温暖化対策は、単にクルマを電気自動車・BEVにすればよい、と言うものではない。目標は間違えては困るのである。我々が目指すところは、「脱炭素化」であってEV化ではない。EV化はその一つのものであるが、バッテリーの製造段階を見てもいかに大量のCO2が排出されているか、と言うことも考慮する必要があり、このままEV化が進むとも思えないのである。

我々はEV化を唱える前に、そのもととなる電源構成をいかに環境にやさしいものに転換してゆくかを考えてゆかなければならないものである。

再生可能エネルギーや原子力による発電、水素の利活用による発電そして石炭火力発電の削減と廃止に向かって、これから更なる努力を重ねてゆくことが最重要である。

EV化がそれだけで地球温暖化を防ぐと思っていたら、大間違いであることが少しはわかったところで、ひとまず筆をおこう。また何かあれば、続きを始めたいと思っているが、我々はEV化と言うよりも脱炭素化に、それこそ死にもの狂いで取り組まなければならないのである。


(終わり) 2022.02.25 21:59


EV化を先頭に脱炭素化が必要だ、と書いてこのテーマを終了していたが、二日前の3/4に、ソニーとホンダが電気自動車・EVの設計・開発、製造・販売で事業提携し、共同出資会社を作り2025年にEVを発売すると発表した。製造に関してはホンダの工場に委託することになるので、新会社は設計・開発と販売を業とすることになろう。

ソニーは2020年にEV「VISION-S」を発表し、更に2022年のCESでは「VISION-S2」を発表して、安全性を高めるセンサーやクルマ本体ではなくて付属機器である画像センサーや車内で利用するための通信技術や音響・映像コンテンツを紹介して、車内空間を移動中に有意義な「エンタメ空間」にすると発表した。

ソニーはいわゆるクルマのスマホ化と言う中身だけを見せたわけだが、それを搭載する外身と言うかそれの基盤となるクルマ本体をどうするかが、課題であった。それが今回のホンダとの提携話である。ホンダの(製造する)車両にそのソニーの「センサーやコンテンツ」を搭載すると言うもので、ホンダの工場でそのクルマを製造することになろう。

ホンダと言う会社は、日本では唯一の独立系の自動車製造・販売会社である。

日本には、トヨタ系、日産・三菱・ルノー系とホンダと言う三つの自動車会社群がある。かっては数十社あった自動車会社が、この三つに統合されていったものである。そのホンダは、トヨタ系に入ったスバルやマツダと違い、ただ一つ残った独立系の自動車会社である。ちなみに日本の自動車会社は、次の14社である。

いすゞ自動車、カワサキモータース(オフロード四輪、二輪)、スズキ、SUBARU、ダイハツ工業、トヨタ自動車、日産自動車(仏ルノーが43.4%株所有)、日野自動車、本田技研工業、マツダ、三菱自動車工業(日産が34%株所有)三菱ふそうトラック・バス(DaimlerTruckAG社傘下)、ヤマハ発動機(四輪バギー、二輪)、UDトラックス(旧日産ディーゼル→ボルボ→いすゞ100%取得2021.4.1) の14社。名称から「株式会社」は省略してある。
(https://www.jama.or.jp/industry/maker/index.html)


トヨタ自動車、 日産自動車本田技研工業、の3グルーブに二輪のカワサキとダイムラー傘下の三菱ふそうトラック・バスの二社が存在している。四輪メーカーとしてはホンダだけ1社が独立系として存在している状況で、米国のGMとEVの開発・生産では提携しているので、GM系かと思われる節もあったが、今回のソニーとの提携でこのCASEの難局を乗り切ってゆくつもりのようだ。


どんな形のクルマになるのかまだ想像つかないが、自動運転を前提に空間が移動する「会議室」とか「事務所」とか移動する「居間」とか「書斎」とか「娯楽室」と言ったことを想像すればよいのか、そんな単純なものではないかもしれない気もするが。

使い方によってなんにでも使える「空間」となるわけだが、果たしてどれだけのニーヅ・需要があるのかは未知数であろう、と小生は感じている。自動運転はいざ知らず、あれば便利だが、それだけのことに終わってしまう可能性も無きにしも非ず、と言う気もするのである。

汽車や船舶・航空機などの長時間利用するモビリティに、そのようなものを設けた特別室が設置されて移動中に使われる、と言うことはあり得るのであるが、もちろんクルマにも適用可能ではあるが、果たしてどれほどの利用価値があるものであろうか、疑問のあるところでもある。

ホンダもどんなものになるのかは確信が持てないようで(とは小生の感じであるが)、ホンダ本体の中には取り込まずに別組織(当然別会社)として動かして、ホンダ本体には影響させずにホンダ本体のEV事業はそのままで継続させるようだ。

何はともあれ、2025年にソニーとホンダが売り出すEVは、どんな形のもの(具体的なモビリティにしてもアダプタビリティにしても)になるのか、見ものである。大いに期待すると言う訳でもないが、期待して待とう。

言っておくが、「クルマ」がスマホになるわけではない。スマホ的機能がクルマに搭載されて、スマホ的な使われ方が多くなるということから、クルマが何になるのかはまだ誰にも分っていないのではないのかな。

このソニーの諸センサーを含む車載用ソフトウェアコンテンツはオープンだというので、他の事業体にも販売されることになるので、どんな展開となるのか興味あるところでもある。
(続く)
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