2013.3.6に発表したこの大幅な組織改変が豊田社長の、2010.2.24の米下院公聴会召喚での屈辱に対抗する回答でもあった。豊田章男社長は、「小さなトヨタ」への組織改変でその仇をとったものでもあった。その「小さなトヨタ」で、アメリカで走らせる豊田章男社長の車を、どんどん造り上げてゆくことを誓ったのである。
UPDATE2: トヨタ<7203.T>、自動車事業に4つの部門を設置 大幅組織改編で意思決定を迅速化
2013年 03月 6日 19:37 JST
[東京 6日 ロイター] トヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート)は6日、自動車事業に4つの部門を設置する大幅な組織改編を発表した。各部門が独自に事業モデルを採用し、各事業と収益に対する責任を明確化するとともに、意思決定の迅速化を図る。
4つの部門は、高級車「レクサス」事業を担当する「レクサスインターナショナル」、日本・北米・欧州を担当する「第1トヨタ」、中国を含めた新興国を担当する「第2トヨタ」、部品の企画・開発や生産技術、生産機能を集約した「ユニットセンター」。4月1日付で組織を改編する。
「レクサスインターナショナル」はすでに2年前に導入しており、会見した豊田社長は意思決定が速くになったと評価。トヨタブランドも先進国と新興国で分割し、最適な事業モデルを導入できるようにする。レクサス事業は豊田社長が責任者、トヨタブランドを担う第1トヨタ、第2トヨタは副社長が責任者となり、企画から生産・販売まで一貫して管理する体制とする。
また、世界に6つある地域本部を8本部体制に変える。このうち半分の4つ本部は日本人以外を本部長にすえるなど、それぞれの地域に根差した人材を中心に事業を展開する。豊田社長は、技術開発や雇用の確保のために死守するとしてきた国内生産300万台について「トヨタがトヨタであるために必要だ」と述べ、維持していく姿勢を改めて示した。
<社外取締役も登用>
トヨタは同日、伊原保守取締役専務役員と須藤誠一専務役員が副社長に昇格する人事を発表した。一方、現在の副社長3人は退任。トヨタの副社長は7人から6人に減る。また、初の社外取締役として米ゼネラル・モーターズ(GM.N: 株価, 企業情報, レポート)グループの元副社長など3人を迎え入れる。6月に開く株主総会後の取締役会で正式に決める。
ハイブリッド車(HV)「プリウス」を世に送り出した内山田竹志副会長は会長に就任し、豊田社長を引き続き支える。張富士夫会長は退任し、名誉会長に就く。布野幸利氏、新美篤志氏、佐々木眞一氏の副社長3人は退任する。
このほか、GMグループの元副社長で、独立コンサルタントのマーク・ホーガン氏、日本生命相談役の宇野郁夫氏、証券保管振替機構社長の加藤治彦氏を社外取締役に登用する。
豊田社長は13年度に就任5年目を迎える。今回の人事で、社長就任時に名を連ねた副社長の顔ぶれはすべて入れ替わる。昇格する伊原専務はトヨタ輸送、須藤専務はトヨタ自動車九州で社長を務めた経験があり、新体制は加藤光久氏、前川眞基氏を加えた4人の副社長が子会社の社長経験者となる。
豊田社長は就任直後から大規模リコール(回収・無償修理)や東日本大震災、タイ洪水などの対応に追われてきたが、ここにきて為替が円安に傾くなど事業環境が落ち着いてきた。豊田社長の持論である「もっといいクルマづくり」に向け、社内組織を見直し、持続的成長に向けた基盤固めを進める。
(ロイターニュース 杉山健太郎;編集 久保信博)
http://jp.reuters.com/article/forexNews/idJPTK062862720130306
この組織改変で古手の副社長はすべて退任し、豊田章男社長が選んだ副社長6人となった訳だ。これも「小さなトヨタ」の具現化の一つなのでしょう。そして「ミライ」の開発を進め、円安の影響も相当大きかったが、利益も最高益を計上できるまでになってきている。
トヨタ、営業最高益2.7兆円 15年3月期
円安や構造改革寄与
2015/2/5 0:33
ニュースソース
日本経済新聞 電子版
米国ではピックアップトラックが好調=ロイター
トヨタ自動車の快走が続いている。4日に2015年3月期の連結営業利益(米国会計基準)見通しを前期比18%増の2兆7千億円に上方修正した。最高益を見込んでいた従来予想をさらに2千億円上回る。円安を追い風に輸出採算が上向き、北米では原油安で利幅の厚い大型車が伸びる。構造改革もてこに稼ぐ力は世界でも高い。
同時に発表した4~12月期の売上高は前年同期比5%増の20兆1156億円、純利益は13%増の1兆7268億円だった。
足元の好調を受け、通期の売上高を5%増の27兆円、純利益は17%増の2兆1300億円に上方修正した。この日、会見した佐々木卓夫常務役員は「台数増などに頼らない収益構造の改革が実を結んだ」と語った。
トヨタは国内生産の半分強を輸出に回すため、円安の恩恵は大きい。今回、通期の想定為替レートを1ドル=104円から109円に見直す結果、営業利益を1750億円押し上げる。
原油安も追い風だ。米国ではガソリン価格の下落で大型車に人気が集まっている。トヨタではピックアップトラック「タコマ」や多目的スポーツ車(SUV)の「ハイランダー」が伸び、全体の利益をけん引する。
国内工場の改革も実を結んだ。金融危機後、営業赤字になったのを機にスリム化に着手。製造ラインなど生産体制の見直しでコスト削減を徹底した。国内工場が利益を出すのに必要な稼働率はかつて8割だったが、足元は7割稼働でも黒字が出せるようになり、1台あたりの利益も上向いた。
こうした取り組みの結果、金融危機前の最高益を記録した08年3月期と比べても稼ぐ力は上回る。本業の収益力を表す売上高税引き前利益率は当時が9.3%。今期は当時よりなお5円の円高だが、それでも利益率は約11%と7年前を上回る。販売台数で拮抗するライバルの独フォルクスワーゲン(VW)の7%と比べても高い。
今後の課題は成長のための投資と高い収益力をどう両立させるかだ。世界ベースで車作りを革新する「TNGA」の投資が本格化するほか、13年春から凍結している工場新設を今後、再開する可能性がある。
国内企業の代表格として賃上げや取引先企業への配慮も求められる。トヨタは15年度上期(4~9月)、取引先に対する部品の値下げ要求を見送る方針だ。金融危機後、一貫して削ってきたコストは再び膨らむ方向だ。
株式市場でも利益の伸び鈍化を懸念する声が出ており、利益額や利益率は金融危機前を上回ったが、株価は4日終値が7728円と、07年に付けた上場来高値(8350円)を下回っている。
http://www.nikkei.com/markets/kigyo/gyoseki.aspx?g=DGXLASGD04H62_04022015MM8000
(続く)