世の中、まちがってる、根拠なき反日キャンペーン。

相も変わらず根拠なき反日キャンペーンで、国をまとめようとする輩が存在する。

番外編・プリウス急加速問題(42)

2010-05-31 14:42:54 | Weblog
p95トヨタ、EV開発本腰 米ベンチャーのテスラと提携
産経新聞 2010年5月22日(土)08:00

 トヨタ自動車は21日、米電気自動車(EV)ベンチャー「テスラ・モーターズ」とEV開発で業務提携することに基本合意したと発表した。トヨタは総額5千万ドル(約45億円)を出資しテスラ株を取得。2012年に米国市場でのEV発売を目指す。トヨタは「プリウス」などガソリンエンジンと電気モーターを併用するハイブリッド車(HV)に力を入れる一方、EV戦略では出遅れていた。高級EVの販売で評価されているテスラと組むことで、EV戦略を本格化させたい考えだ。

 トヨタが期待する最大の提携効果はテスラの電池関連技術だ。EVの最大の弱点は1回の充電による走行可能距離が短いことだが、テスラが開発したスポーツカーのEV「ロードスター」の走行可能距離は380キロ。トヨタは、民生用の電池をつなぎ合わせて大容量にするテスラの製造方法を取り入れたい考えだ。

 テスラとの提携に乗り出した背景には、EV戦略の出遅れ感がある。トヨタはEVが本格普及するまではHVが主流となると判断。これに対して世界の自動車大手では、日産自動車が10年12月に日米欧でEV「リーフ」を発売。独ダイムラーも12年、独フォルクスワーゲン(VW)も13年に欧州などでEVを発売する。トヨタにとってもEVへの本格参入は避けては通れない選択となっていた。

 ■渡りに船

 トヨタにとって“渡りに船”だったのは、テスラが今年4月に閉鎖したトヨタと米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)との合弁工場「NUMMI(ヌーミー)」(カリフォルニア州)の一部を購入し、12年をめどにEVの生産を始めるということだ。

 トヨタがヌーミーを閉鎖した際には従業員約4700人のほぼ全員を解雇。地元経済への悪影響から不満の矛先がトヨタに向かうことが懸念されていた。

 「われわれとともに培った25年間のDNAが、未来の産業に引き継がれることをうれしく思っている」。豊田章男社長は20日の米国での会見でこう語り、ヌーミー“再開”を歓迎した。

 テスラによると、来年にはヌーミーの元従業員を1千人程度雇用。会見には同州のシュワルツェネッガー知事も同席し、ヌーミーの元従業員の雇用につながる提携を評価した。

 ■「刺激受けたい」

 一方、トヨタは大規模リコール(回収・無償修理)問題での対応の遅さなどで「大企業病」ともいわれてきた。今回は、そんな中でのベンチャー企業との提携となる。

 豊田社長は1カ月前、テスラのEVを試乗し「未来の風を感じた」といい、テスラのチャレンジ精神や意思決定のスピード、柔軟性に魅力を感じたという。

 提携理由について、豊田社長は「大きな会社になっていくことを求めるよりもベンチャー企業に刺激を受けたい」と強調。停滞感のある社内に風穴を開ける好機とみているようで、自動車アナリストは「創業家出身の豊田社長だから決断できた」とも指摘している。

 ライバルのホンダや日産と比べ、業績回復の遅れは鮮明。証券アナリストは「日産、ホンダはリストラを終えて次の投資に移っているが、トヨタはリコール問題もあり危機対応の途中だ。1周遅れという印象」と厳しい。大量生産・大量販売による規模のメリットを追求してきたトヨタが、「シリコンバレー発」のベンチャー企業の手法をどれだけ取り入れられるかが問われている。http://news.goo.ne.jp/article/sankei/business/industry/snk20100522054.html



果たしてこの提携がトヨタを高みにのし上げる起爆剤となり得るものか、今後の展開に注目する必要がある。トヨタ自動車と豊田章男社長の今後の活躍と発展を期待したいものである。

「エコカー大戦争、世界の自動車業界関係者もびっくり仰天!トヨタと米電気自動車ベンチャー・テスラ提携の真実」(http://diamond.jp/articles/-/8232)

には、テスラとトヨタにとってのメリットなどが詳細に述べられているので是非参照願いたいが、次に概略しよう。

先ずトヨタにとってのメリット

第一は、NUMMIの雇用が一部でも確保される事だ。

(1)NUMMI(ヌーミー)の一部をテスラが買収し、電気自動車の生産を開始する。そのためある程度の雇用が確保される事だ。NUMMIは、ご存知のように、4月1日で閉鎖され従業員は全員解雇されている(3/19,NO.4も参照のとこ)。シュワルツネッガー、カルフォルニア州知事にとっても雇用が確保される事は、とてもラッキーだったに違いない。ただでさえ向かい風の強いトヨタにとっても、これで地元の反発も和らぐと言うものである。しかし生産開始時期は、未定である。ただテスラのモデルSの量産開始は、2012年と言っており、工場予定地を物色中だったようだ。

第二は、トヨタのイメージアップが図れることである。

(2)トヨタはリコール問題では、米国政府をはじめ米国全土からたたきにたたかれて、奈落の底に落ちてしまった。この「トヨタ叩き」は一段落したとはいえ、現在は集団訴訟局面へ入っており別次元の「トヨタ叩き」が始まっているのである。そのため豊田章男社長としては、起死回生の逆転打でも打ちたかったのであろう。米国民に対して少しはポジティブなイメージを送る事が出来たのであろう。

第三は、電気自動車で業界をリードできるかもしれないと思えたことである。

(3)電気自動車はガソリンの代わりに電気を注入(充電)して、走ることになる。そこでガソリンスタンドの替わりに「充電スタンド」があちこちに必要となる。しかもリーズナブルな時間で充電が可能とならなければならない。そのためには、どんな「充電インフラ(設備と仕組み)」が最適かを決めなければならない。この充電システムは、しかも、世界で通用させなければならない。即ち、今の流行言葉の「世界標準」をいかにして勝ち取るか、が重要なのである。そのためには電気自動車の先端を行く米国ベンチャーのテスラと手を組めたと言う事は、トヨタにとってかなりのメリットとなる筈である。

第四には、これは小生の考えだが、電気自動車のバッテリーのあり方に一矢(いっし)を報いる事が出来るのではないか、とも思えるのである。

(4)テスラは現在パソコンなどに使われている一般の民生用のバッテリーを6,831個も束ねて電気自動車の動力源たる蓄電池として使っている。このバッテリーは日本製と言われているが、それらを沢山束ねてシステム化する方法には秀でたものがあると言われている。そこら辺りから、自動車用のバッテリーのあり方にある種の示唆を与えられるのではないか、とも思えるのである。しかしその重量は450kgもある。大の大人が10人近くも余分に載っている勘定にもなるのである。
(続く)
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番外編・プリウス急加速問題(41)

2010-05-28 16:02:12 | Weblog

しかし豊田章男社長も手をこまねいてはいなかった。傍から見ていると、トヨタとしてはハイブリッドだけしか無いようにも見える。まあ肝心のリチウムイオン電池燃料電池にも相当注力しているとは思うが、ハイブリッドに傾注するあまりバッテリーで遅れをとってはどうしようもない。ニッケル水素電池(充電池)はメモリー効果があり自然放電もあるがかなり改良され小型化が進み、 現在のハイブリッド車のバッテリーにはすべてこのニッケル・水素電池が採用されている。しかしより大容量で長持ちする(充放電しても劣化が少ない)リチウムイオン電池が、次世代のプラグインハイブリッド車に使われ始めているが、かなり改良が必要なようだ。日産が「リーフ」、GMが「ボルト」を発売すると言う、トヨタもこの電池技術では、何らかの焦りがあったのではないかと思われる。




p84トヨタ、米テスラと包括提携 電気自動車を共同開発へ
2010年5月21日11時15分

(Photo) 会場にはテスラのEVスポーツ「テスラ・モデルS」も登場=AP
(Photo) 談笑するトヨタの豊田社長とカリフォルニア州のアーノルド・シュワルツネッガー知事=AP

 【ニューヨーク=山川一基】トヨタ自動車と米電気自動車ベンチャーのテスラ・モーターズは20日、電気自動車事業を巡り包括提携すると発表した。トヨタはテスラに出資し、テスラは、トヨタが米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)と共同生産していた米工場「NUMMI」(ヌーミー、カリフォルニア州フリーモント)の跡地で、電気自動車を生産する。両社は生産技術や電気自動車の技術でも協力する。

 トヨタの豊田章男社長とテスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が、テスラ
本社のあるカリフォルニア州パロアルトで共同会見を開いた。豊田社長は「NUMMIで培われたものづくりのDNAが、未来の産業に引き継がれていくことをうれしく思う」と述べた。

 トヨタは、近く実施されるテスラの株式公開に合わせ、5千万ドル(約45億円)を出資し、数%を保有する株主になる。テスラは、NUMMIの一部を買い取り、2012年から量販型の電気自動車の生産を始める。数千人を新規雇用し、1年後には生産台数を年約2万台に引き上げる。

 トヨタはハイブリッド車で世界最大のメーカー。しかし次世代車として有力な充電型の電気自動車では、日産自動車が今年末から「リーフ」を発売、GMも「ボルト」の発売を控えるなど、主導権を握る激しい争いが待ちかまえている。トヨタも12年に独自で充電型の電気自動車を発売する方針だが、自前の技術にテスラの技術を取り込み、開発競争を有利に進める狙いがありそうだ。

 NUMMIは1984年の設立。トヨタとGMの合弁工場として26年の歴史をもつが、GM倒産を機に提携解消と閉鎖が決定し、今年4月に生産を終えた。トヨタにとって、米国進出の記念碑的工場が、最先端技術を活用した新車生産拠点に生まれ変わることになる。

 豊田社長によると、提携のきっかけはテスラがNUMMIの跡地利用に関心を持ったこと。テスラのスポーツカーに興味があった豊田氏が1カ月前にマスク氏を訪ね、短期間で提携合意に至った。
http://www.asahi.com/car/news/TKY201005210100.html



しかしテスラモーターでも特別に本体を改良したリチウムイオン電池を使っているわけではない。パナソニックグループなどからパソコンなどに使われる汎用のリチウムイオン電池を購入して、それを大量につないだものである。この電池のつなぎ方などに独特の発想があると言う。

そのベンチャー的な発想に、豊田章男社長は注目したのだという。トヨタ自動車も元はと言えばベンチャーだった。世界で始めて自動織機を発明した豊田佐吉もベンチャーの中のベンチャーで、その子の豊田喜一郎はその自動織機から飛び出してベンチャーとしてクルマ作りに没頭したのである。そして一寸豊田家は間はあくが、喜一郎の甥の豊田英二となり、息子の豊田章一郎、章一郎の弟の達郎、そして奥田、張、渡辺と非創業家が続き、章一郎の息子の章男へとトヨタ自動車は引き継がれているのである。

そして豊田章男社長は、新しい車の技術革新に取り組みたいのである。それが電気自動車へ向けた取り組みなのである。素人的に見るとその電気自動車への革新は、蓄電池の性能だけなのである。その基本は充放電を繰り返す蓄電池(第2次電池)の機能をいかに高めるか、なのである。1回の充電で何百キロ走れるか、なのである。しかもコストと重量と大きさと耐久性と安全性なのである。自動車本体での革新は車体そのものをプラスチックなどの軽量素材で作るかどうかだけなので、とりあえずはあまり革新は期待されない。問題はその動力なのである。もっともクルマが空を飛ぶようになれば、車体の革新も必要なのだが。

そんな意味では、これらのニュースを読む限りテスラ・モーターズの第2次電池にはそれほど革新的な技術は無いのではないかと、素人としては推察するのである。豊田章男社長もテスラのベンチャー的な雰囲気に期待しているだけのようだ。
(続く)
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番外編・プリウス急加速問題(40)

2010-05-27 10:41:46 | Weblog

トヨタとしても、目には目を、歯に歯を、と言ったところか。その気持ちわからないでも無いが、もう少し落ち着いてから、手につけてもよかったのではないかとも思う。と言うのも、レクサスの旗艦車種に不具合が見つかり、リコールを発表をせざるを得なくなったからだ。これでは、せっかく沈静化しているトヨタへの批判を再度ぶり返すことになりかねない。だからショーン・ケイン達への宣戦布告は落ち着いてからでよかったのである。やはりまだまだトヨタといえども、冷静さを保っているようだが、完全には冷静にはなり切れていないようだ。豊田章男社長も突っ張りすぎないほうがよい。



p75トヨタ:信頼回復途上に痛手 レクサスのリコールで
毎日新聞 2010年5月19日 22時19分(最終更新 5月20日 0時06分)
(Photo)
VGRSの仕組み
筆者注(Variable Gear Ratio Steering、トヨタが開発したギヤ比可変ステアリングのこと)

 トヨタ自動車は19日、ハンドルが一時的にタイヤと連動しなくなる不具合があるとして、レクサスの旗艦車種「LS460」など4車種のリコール(回収・無償修理)を決めた。台数は国内で約4000~4500台、海外分を合わせても1万台余と少ない。しかし、米国を中心に延べ約1000万台に及んだ大規模リコール問題の衝撃がようやく沈静化してきただけに、新たなリコールの発生は、ブランドイメージの低下など痛手となりそうだ。

 「信頼回復には、顧客の不安に瞬時に対応する必要がある」--。トヨタ幹部は、今回のレクサスのリコール決定をそう説明する。一連の大規模リコール問題で、対応の遅れを厳しく批判されたトヨタ。豊田章男社長は再生に向けて「顧客の安心・安全を最優先する」との方針を掲げ、リコールを躊躇(ちゅうちょ)しない姿勢を示している。

 ただ、今回、リコールの対象となったのは、高級車ブランド「レクサス」の中でも最上位クラスのLSシリーズ。セダンタイプの「LS600hL」は価格が1台1000万円以上。メルセデス・ベンツなどに対抗するトヨタの看板高級車種だけに、リコール対象台数以上に、富裕層など顧客へのイメージダウンの影響が懸念されそうだ。

 リコールの原因となったのは、ハンドル操作と前輪の動きを適切に調整する電子制御装置「ギア比可変ステアリングシステム(VGRS)」。もともとトヨタがベンツなど欧州の高級ブランドに対抗する武器の一つとして導入したものだが、今回はその自慢の高度なハイテク装置に落とし穴があった。

 LSのパワーステアリングは電動式で、ハンドルを切るとモーターに熱が発生する。ハンドルをいっぱいまで切った状態を保った場合や、何度もハンドルを切ってモーターが一定以上の熱を持つと、故障を防ぐためVGRSが停止する仕組み。1~2秒でVGRSは再び作動するが、作動前にハンドルを戻し始めると、ハンドルを切る量と実際のタイヤの角度が一致しない状況が一瞬発生する現象が起きた。VGRS作動後はハンドルとタイヤ角度のズレを検知する装置が働き、通常に戻るが、この際のタイムラグが顧客に不安を与えていたという。

 今回の問題は通常の運転ではほとんど起こらないといい、トヨタは説明書に注意書きを入れていた。しかし、顧客からの不安の声が相次いだ以上、信頼回復途上のトヨタにはリコール以外の選択肢は無かった。【米川直己】

 【ことば】ギア比可変ステアリングシステム(VGRS)
 車の速度に応じてハンドル操作を補助し、前輪の動きを最適に調整する電子制御装置。低速走行時には、ハンドルを少し切るだけで前輪が左右に大きく動くようにし、駐車やUターン時の操作を容易にする。一方、高速走行時にはハンドルを動かす角度に対する前輪の動きを小さくし、急ハンドルによるスピンなどを回避する機能がある。トヨタは02年、SUV「ランドクルーザー100」に初搭載。「クラウンマジェスタ」や「レクサスGS」などにも採用を広げた。
http://mainichi.jp/select/biz/news/20100520k0000m020089000c.html




必ずしもトヨタがアメリカ社会で、完全に受け入れられていると思わないほうがよい。集団訴訟を起こされている事もあり、トヨタにとって、今後何が起こるかわからないのである。レクサスの暴走で死亡事故も起きている。その暴走の原因は必ずしもレクサスの欠陥では無いかもしれないが、今は目立った事は控えたほうがよい。目鼻が付いたら、徹底的にやればよい。爆弾などを投げ込まれたら元も子もない。



p77トヨタの米国4拠点に不審物届く
2010年5月20日1時10分

 【ニューヨーク=山川一基】トヨタ自動車の工場など米4拠点あてに、不審な小包が連続して届けられたことが19日、明らかになった。爆発物の可能性もあるため、トヨタは警察当局に届けた。

 同社によると、先週から今週にかけ、ウェストバージニアとテキサスの工場、ケンタッキーの子会社に小包が届いた。またインディアナ工場あての不審な小包が配達途中で見つかったという。
http://www.asahi.com/international/update/0520/TKY201005190480.html
(続く)
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番外編・プリウス急加速問題(39)

2010-05-26 11:46:19 | Weblog

しかしいくら「電子制御システム」に問題は無いといっても、議員の先生達はその事を信用できないらしい。かくなるうえはロンダ・スミスをもう一度公聴会に呼んで、議員の先生方に吊るし上げてもらいたいものだが、偏見に凝り固まっている議員の先生方では埒が明かないであろう。なんとなれば、議員の先生方は、こんな場合にはマフィアや暴力団よりも性質(たち)が悪くなっているからである。選挙のためなら何でもやるのが、議員の先生方の性分である。その点はオバマも同類項なのである(当ブログの2009年2月4日のバラク・フセイン・オバマ大統領のNO.6を参照のこと)。挙句の果てには米議会は、トヨタの依頼で電子制御の不具合の有無を調べている外部の調査にも、疑問を投げかけている。そしてまだETCSが原因ではないかと疑い続けているのである。この件はNHTSAが8月末までにまとめると言っている調査結果に、期待したいものだ。ただし偏見無く正直に報告してもらいたいものだが、自己の主義主張のためなら何事もやらかしかねない米国議会と大統領のことである、このレポートに何が書かれるか分かったものではない。

と言うのも、過去に日本は米国にいやと言うほど煮え湯を飲まされているからである。先にも引用しておいた「ハル・ノート」はその最たる例であり、このため日本はやむを得ず大東亜戦争を遂行せざるを得なくなっている。更にはその伏線として、1919年の「国際連盟」規約委員会での日本の提案した「人種差別撤廃条項」を、運営の規則を無視して強引に葬り去ってしまったウッドロー・ウイルソン大統領の存在もある。(この件は、小生のブログ・2008年12月28日の「日本は侵略国家ではありません」のNO.8の第11節に詳述しているので、是非参照願いたい。)

更には、2009年8月20日の「尖閣諸島問題」NO.110での「広島原爆投下の新事実」なども参照願いたい。アメリカは広島の空襲警報の解除を待って、エラノ・ゲイ(B29)を広島上空に進入させて、日本人に原爆を直接被爆させるように仕向けたのである。しかもルーズベルトは原爆の開発を統括していたが、原爆投下を命じたのはF.D.ルーズベルトの急死を受けて大統領に就任したハリー・S・トルーマンである。彼は原爆投下の前に日本が降伏してしまわないかと危惧していたとも言う。

それにもう一つ。'10.5.24の日経新聞夕刊に載っていたものだが、オバマのホワイトハウスの裏工作が明るみになっている。ペンシルベニア州の上院議員への立候補者を決める民主党の予備選挙では、オバマの推薦する候補者が対立候補者よりも支持されていなかったために、ホワイトハウスは対立候補者に出馬辞退を働きかけていたと言う。結果はオバマの推薦する候補者は予備選に負けている。しかも予備選に勝ったその候補者は、結局、本選では共和党に惨敗したのである。
事ほど左様にオバマも、自分のためなら何をしでかすか分かったものではないのである。だからGMのためなら、どんな手段を使ってもトヨタを潰しにかかっているのである。NASAと言えどもその報告書には、日本政府も注意を払っている必要がある。



p96「出馬辞退なら有力ポスト」 ホワイトハウスの裏工作発覚
2010/5/24 9:51

 オバマ米大統領が支援した現職上院議員が落選した18日のペンシルベニア州での民主党予備選を巡り、ホワイトハウスが対抗馬に「出馬を辞退すれば有力ポストに就ける」との働きかけをしていたことが23日、明るみに出た。11月の上院選進出を決めたセスタク下院議員は取引を拒み、裏工作は失敗したという。支援候補敗退に続く失態は政権への新たな打撃となりそうだ。

 上院選候補を絞り込む予備選で、オバマ氏は昨年4月に共和党から民主党にくら替えしたスペクター上院議員を支援。しかし党内の支持は生え抜きのセスタク氏に集まった。米紙ニューヨーク・タイムズなどによると、オバマ氏がメンツを失うことを懸念した周辺がセスタク氏の引きずり下ろしに動いた。

 ホワイトハウスのギブズ報道官は23日のCBS番組で「法律顧問らに確認したが、不適切な取引はなかった」と主張。セスタク氏はNBC番組でポストの打診があったことは認めたが、裏金提供などの疑惑は否定した。

 共和党には格好のスキャンダルとあり、スティール全国委員長は「取引の詳細を明らかにすべきだ」とコメントした。(ワシントン=大石格)
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C9381959FE0E6E2E2958DE0E6E2E7E0E2E3E29C9CE2E2E2E2;at=ALL



ロンダ・スミスの顔写真やロンダ・スミスの証言の非科学的な事を証明しているブログは、下記の
URLを参照の事。なお小生のブログは4月15日のNO.10を参照の事。
http://blog.goo.ne.jp/think_pod/e/a9aa1311f85c4ddd4ff96c2af2efb153?fm=rss

ロンダ・スミスもさることながらロンダ・スミスを公聴会へ連れ出したショーン・ケインやトヨタの電子制御にイチャモンをつけた南イリノイ大学のギルバート教授らに対しては、トヨタとしては恨み骨髄に徹していた事であろう。彼らの矛盾点をあげつらう事を画策していたようだ。



p73大学教授らの信用失墜を工作?=トヨタが広報戦略-米紙報道
(2010/05/15-16:48) 時事通信

 【ワシントン時事】米紙ワシントン・ポスト(電子版)は14日、トヨタ自動車が大規模リコール(回収・無償修理)問題に絡み、同社を批判していた大学教授とコンサルタントの信用失墜を図る広報戦略を立案していたと報じた。意見広告掲載などの動きには至らなかったが、下院エネルギー・商業委員会が調査しているもようだ。
 同紙によると、トヨタが標的としたのはトヨタ車の電子制御システムの欠陥を証明したと主張していた南イリノイ大学のギルバート教授と、急加速事故を追及していた自動車業界調査会社のケーン社長。今年2月の下院エネルギー・商業委の公聴会で証言した2人に関し、2人の主張の矛盾などを問う世論調査を実施したという。(2010/05/15-16:48)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2010051500264
(続く)
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番外編・プリウス急加速問題(38)

2010-05-25 12:16:54 | Weblog

そして意図せぬ急加速の原因は「フロアマットの引っかかり」としている(5/18,NO.33)が、それは当座の原因であり、まだトヨタは何か隠しているのではないかと疑われているのである。その隠しているのではないかと疑われているものが、「電子制御スロットルシステム」(ETCS)なのである。このブログの再開の要因も、「電子制御スロットルシステム」を犯人に仕立て上げようとする論調があったからである(4/15,16のNO.10,11参照)。事実ショーン・ケインやLAタイムズからプレッシャーをかけ続けられたNHTSAも、いい加減苛立って、トヨタに八つ当たりし出した。トヨタは何か隠しているのではないかと疑いだしたのである(5/10,NO.27)。挙句の果てには、NASAやNAS(National Academy of Science)にまで電子制御の問題の解析を依頼しているのである(4/20,21のNO.14,15)。しかしいまだにその結果は発表されていない。

しかし米下院はこの件に関して5月20日に、例のエネルギー商業委員会がトヨタ車の電子制御に関する公聴会を開催した。誠にしつっこいものであるがアメリカのオバマは、トヨタを悪者に仕立て上げて潰したくて仕方が無いのである。そしてGMにまた王者になってもらいたいのである。しかし、この監視調査小委員会は、なんらトヨタ車の電子制御に関する問題点を見つけられなかった。トヨタは急加速したとされる車を約2千台ほどを調査し、民間調査会社にも調査を委託したが、なんら問題点を見つけることが出来なかったと言う。公聴会では米国トヨタ販売のジム・レンツ社長が証言している。それでも米下院はあきらめないので、トヨタ本社から電子制御の細部が分かる技術屋を召喚するかもしれない。そしてNASAなどの技術陣と対決させる事もやらかす事であろう。



p78急加速問題、トヨタ「電気系統に問題なし」

(2010年5月21日 読売新聞)

米公聴会で証言へ
 【ワシントン=岡田章裕】米下院エネルギー商業委員会監視調査小委員会20日、トヨタ自動車の大規模リコール(回収・無償修理)問題に関する公聴会を開いた。 出席した米国トヨタ自動車販売のジム・レンツ社長は、意図せぬ急加速が多発している原因との指摘がある「電子制御スロットル・システム(ETCS)」について、「原因ではないと確信している」と、改めて電子制御系統に問題はないと訴える見通しだ。
 事前に公表された草稿によると、4月に発足させた自社の特別調査チームが、新たに急加速の苦情が寄せられた2000台を調査した。だが、「電子制御が問題である証拠は全く見つからなかった」という。米民間調査会社による1万1000時間以上の実験や分析でも、問題は発見されていないとしている。
 小委のスチューパック委員長は冒頭、「トヨタは反論に力を入れているようにみえるのが残念だ」と批判。「電子制御系統が原因かどうか、我々もトヨタもなおわからない」と指摘した。一方、米高速道路交通安全局NHTSA)のストリックランド局長は、トヨタの取り組みを評価。電子制御系の欠陥の有無に対する予備調査を8月末までに終えたいとの考えを示した。
http://www.yomiuri.co.jp/atcars/news/20100521-OYT8T00349.htm




そして、米高速道路交通安全局(NHTSA)は8月までには結論を出したいと言っているようだが、この小委員会での証言では、NHTSAはETCSには欠陥は見つかっていないと述べている。しかしNASAやNASまで動員して調査しているからには、何らかの欠陥を作り出すかもしれない。今後の動きからは目は離せない。



p86トヨタ車急加速、電子制御めぐり平行線 米下院公聴会

2010年5月21日12時11分
 【ワシントン=山川一基】トヨタ自動車の大規模リコール(回収・無償修理)をめぐり、米下院エネルギー商業委員会小委員会公聴会20日開かれた。議員側は、トヨタ車が突然急加速する問題について電子制御システムの欠陥ではないかと指摘したが、証言に立ったトヨタ幹部は否定。議論は平行線に終わった。
 議員側が問題にしているのは、エンジンに送る空気の量を調節する電子制御スロットルシステム(ETCS)。これまでにトヨタがリコールを実施したアクセルペダルの不具合などとは別の問題で、もし欠陥とみなされれば対象車が一気に膨らむ。
 公聴会に出席した米国トヨタ自動車販売のジム・レンツ社長は、「調査の結果、ETCSは急加速の原因ではないと確信している」と結論づけた。しかし議員側は、トヨタが調査を依頼した外部会社の中立性に疑問を投げかけるなど、激しく追及した。
 リコール問題を担当する米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)の幹部も公聴会に出席し、NHTSAの調査でもETCSの欠陥はみつからなかったと証言した
 ただ、NHTSAは米航空宇宙局(NASA)などにも調査を依頼。今夏をめどにまとまる見通しのそのリポートが、今後の議論のかぎを握ることになりそうだ。
http://www.asahi.com/business/update/0521/TKY201005210164.html
(続く)
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番外編・プリウス急加速問題(37)

2010-05-24 11:55:28 | Weblog

―トヨタは何をどう間違えたのか。

 トヨタは問題に迅速に対応しなかった。米国では通常、企業の不祥事が起こると、社長が自ら先頭に立って対応し、関連する情報を素早く開示しようと努める。そうすれば、消費者は企業にセカンドチャンスを与えようとするからである。

 たとえば薬品大手のジョンソン・エンド・ジョンソンが頭痛薬タイレノール問題を起こした時、同社は素早く情報を開示して経営の透明性を高め、最終的に製品の安全性を高めて消費者の信頼を回復した。

 もちろん米国企業も時には情報を隠蔽したりすることもあり、これはトヨタだけの問題ではない。しかし、トヨタ車に関しては安全性への信頼が非常に高かっただけに、米国人の戸惑いと不安が大きいのではないか。

2
―米国人はいまどんな不安をかかえているか。

 主に2つあると思う。まず、自分の車は安全に運転できるのかという不安。もう一つは車を買い替える時に中古車の評価額が下がってしまうのではないかとの不安である。

 車の不具合の原因を解明できれば、消費者は前に進むことができる。しかし、今の人々のパーセプション(認識)はトヨタ車に問題があるが詳しいことは何もわからないというものだ。先日のプリウスのブレーキ問題など個々のケースではそれなりに対応しているように見えるが、全体的に消費者の不安を取り除くまでに至っていない。

―トヨタは電子制御装置の欠陥を否定している。

 一方で、「意図せぬ急加速はアクセルペダル関連の不具合だけでは説明しきれない。電子制御スロットルシステムに問題があるのではないか」との指摘も多く、それがまた消費者の不安を高めている。真実がどこにあるのかは、私にはわからない。でも、もし同社が電子制御装置の不具合を知っていながら隠していたとしたら、それは大きな間違いであり、大失敗だ。ただ、万が一、そのようなことを示す文書があれば、法廷で明らかにされることだろう。

 この問題に関連して米国では最近、「臭い物に蓋をする」という日本の諺がよく言われているが、それもトヨタに対する疑いを強める一因になっているようだ。人々がいったん疑いをもつと、それを変えるのは非常に難しい。とくにトヨタは品質や技術で“超人的なブランド力”を築いてきただけに、隠蔽体質の疑いをもたれるのは大きなイメージダウンになる。実際、トヨタは過去の横転事故などに関する重要書類を意図的に隠したのではないかとの疑惑をもたれている。

「臭い物に蓋をする」に対し、米国には「隠蔽は犯罪よりも悪い」との表現がある。つまり、企業が悪事を隠蔽すればより大きなトラブルになりかねないということだ。米国人はそのような企業にはセカンドチャンスを与えようとしないからである。

3
―豊田社長が米議会公聴会で証言したのは効果的だったか。

 豊田社長がはるばる日本からやって来て公聴会で証言したことは、議会も米国民の多くも評価したと思う。私も評価したし、豊田氏が何を話すかに大きな関心をもった。ただ、個人的な感想としては、謝罪を繰り返すよりも、不具合の原因や情報の隠蔽など人々が最も知りたいと思っていることをもっと積極的に発言した方がよかったと思う。

―「豊田社長の謝罪は訴訟で不利になる」との指摘もあるが。

 私はそうは思わない。この訴訟でカギになるのは、トヨタが問題を知りながら対応を渋ったのかどうかということ、それにトヨタ車の市場価値の下落による損害がどのくらいになるかだ。後者の問題はトヨタの広報戦略いかんにかかっているが、その面でいえば社長が公聴会で米国人消費者に謝罪したのは非常によかったと思う。

 米国で急増している医療過誤訴訟でも最近、医師が謝罪するケースは増えている。医師が真摯に謝罪することで家族の心が癒されたり、怒りがおさまったりして裁判にプラスに作用することが少なくないからである。

―訴訟の賠償総額はどのくらいになると推定されるか。

 事故の死傷者の損害賠償責任は免れないだろうが、それでもトヨタの経営を圧迫するほどの額にはならないだろう。賠償金は死亡者一人当たり500万~700万ドルぐらいが妥当と思われるが、50人として合計数億ドル。一部に報道されている一人当たり数千万ドルというのは非常に稀なケースである。

 トヨタに対しては株価下落の損害賠償を求める株主集団訴訟も起こされている。これは米国でよくある訴訟だが、実は原告側が勝利するのは非常に難しい。トヨタのケースでも、「会社側が意図的に情報を操作・隠蔽した」などの証拠が出てこない限り、原告側が勝つのは難しいだろう。

 いまのトヨタにとって最大のリスクはやはり、トヨタ車のオーナーによる市場価値下落の損害賠償を求めた集団訴訟である。

 集団訴訟は解決まで長くかかるので、問題は2年後ぐらいに和解するタイミングがきた時、トヨタ車の評価額がどうなっているかだ。もしトヨタがうまく問題を解決して消費者の信頼を失わないようにすれば、市場価値はそれほど下がらないだろう。だからこそ、トヨタはこの問題に関するすべての情報を自主的に開示した方がよい。トヨタが隠していた情報が裁判のなかで少しずつ明らかにされるというのは最悪で、もしそうなれば消費者はけっしてトヨタを信頼しないだろう。 
http://diamond.jp/articles/-/7870



やはりトヨタにとっての最大のリスクは、トヨタ車の市場価値の下落だと言う。この損害賠償の集団訴訟が起きている。その損害賠償の訴訟には、次の2種類がある。一つは今述べたトヨタ車の市場価値の下落による損害の賠償訴訟である。そして二つ目は、急加速による死傷事故による損害賠償である。そして敢えて三つ目とするのが、株価下落による損害賠償であるが、これは余程の事が無い限り認められないであろうと言っている。この一と二の訴訟は既にカルフォルニアでは、150件以上がオレンジ郡の連邦判事の下で併合されて審理されている。この件は既に、当ブログ4月22日のNO.16に掲載されているので、確認願えれば幸いである。

しかし米国人の不安はもう一つある。それは、問題があると言っているが果たしてそれだけなのか、と言うものである。彼らにとっては詳しい事が分かっていない、と言う事なのである。なんとなればトヨタは問題が明らかになった時に、迅速に対応しなかったからである。そのため何か隠しているのではないかと、米国人たちは疑っているのである。迅速に対応できなかった事情は当ブログの4月30日辺りから詳しく述べているから参照願いたい。更に5月11日のNO.28ではトヨタ社内での豊田章男派とアンチ章男派との内紛が、これらの問題の解決の足を大いに引っ張った事を解説しているのでこれも参照願う。そして信州大学の真壁昭夫教授はこのトヨタの対応の拙さが、問題を大きくした要因の一つだと喝破しているのである(5/12,NO.29)

(続く)
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番外編・プリウス急加速問題(36)

2010-05-21 14:37:14 | Weblog

“よい謝罪”と“悪い謝罪”

現代は“謝罪の時代”である。あらためて指摘するまでもなく、近年、トップマネジメントの公式謝罪が増えている。企業のトップがテレビ画面で頭を下げるシーンは、いまや日常茶飯事となった。

実際、2004年以降、六本木ヒルズの大型回転扉の挟まれ事故をはじめ、姉歯秀次元一級建築士のマンション耐震強度偽装事件、松下電器(現パナソニック)のFF式石油温風機による一酸化炭素中毒事故、シンドラー社のエレベーター挟まれ事故、パロマのガス瞬間湯沸かし器の中毒事故、三菱自動車の大型車タイヤ脱落事故、ソニー製のリチウムイオン電池発火事故などが相次ぎ、各企業のトップが次々に頭を下げた。

加えて、赤福、石屋製菓「白い恋人」、不二家、船場吉兆、雪印乳業、ミートホープ、比内鶏など、食品業界でも偽装発覚が相次いだ。まさしく、日本は第一級の〝謝罪社会〟といっていい。

謝罪には、“よい謝罪”と“悪い謝罪”がある。

まず、タイミングが重要である。今回は、トップの謝罪が遅かったと非難された。もっと早く米国に出掛けて謝罪していれば、かくも大騒動にはならなかっただろうという意見が多いが、話はそう単純ではない。トップが謝罪のタイミングを間違えれば、自殺行為になりかねないし、火に油を注ぎかねないからだ。だから、早ければいいとは一概にいえない。

また、トップが謝罪をするからには、そうとう慎重にならざるをえないのは事実だろう。ちなみに、死者が出た旧松下電器のFF式石油温風機の事故で謝罪したのは、当時の副社長の戸田一雄氏で、社長の中村邦夫氏ではなかった。また、ソニー製のリチウムイオン電池によるPC発火事故でも、謝罪会見に社長は出なかった。

加えて、心からの謝罪の気持ちが伝わらなくてはいけない。話し方、頭を下げる角度、服装など、何か一つでも欠ければ、たちまち揚げ足を取られる。

過去、日本マクドナルド代表取締役会長兼社長CEOの原田泳幸氏が、赤いネクタイで謝罪会見に臨み、新聞紙上で批判を浴びた。先日も冬季五輪スノーボードの國母和宏選手が、公式服の“腰パン”騒動で謝罪会見をしたが「反省してまーす」という軽いノリで発言し、さらなる批判の声が上がったのは記憶に新しいところだ。

課題となるのは、豊田章男氏の謝罪が、グローバル企業として“よい謝罪”であったかということだ。はたして、米国をはじめ、世界の顧客に心からの謝罪の気持ちが伝わったかどうか。豊田章男氏は、公聴会の報告会で、「自分の言葉で一生懸命伝えようと努力致しました。しかし、言葉の壁もあり、どれだけ伝わったかはわかりません」とコメントした。

豊田章男氏の日本の記者会見での謝罪をめぐって、米CBSテレビは「社長は、謝罪の言葉を述べる際に深く頭を下げなかった」と報道した。公聴会での謝罪についての評価をいま下すのは時期尚早かもしれないが、公聴会への出席後、トヨタバッシングが収まったことを思えば、効果があったといって間違いない。

自動車産業に限らず、日本企業は、いまアジア勢との厳しい戦いを強いられている。武器ともいうべき品質に傷が付いたことは、日本企業の競争力の低下を招きかねない。その意味で、トヨタがいかに品質問題を克服し、復活するかに日本企業の今後が懸かっている。

今回のリコール問題で明らかになったのは、トヨタには危機管理のほか、組織の肥大化による官僚化、グローバルマネジメントに関して弱点があることだ。

「オールトヨタ緊急ミーティング」において、登壇した豊田章男氏のほか、米国トヨタ自動車販売社長兼COOのジム・レンツ氏、米国トヨタ自動車販売会長兼CEOの稲葉良み(目へんに見)氏、トヨタ自動車副社長の佐々木眞一氏、同副社長の内山田竹志氏の5人の役員は、販売、技術などの立場の違いはあるにしても、異口同音に「今後、仕事のやり方、組織の在り方を全般的に見直します」と語った。

今回の問題を契機に、トヨタは組織体制の抜本的な見直しとともに、組織能力の再構築に取り組まざるをえないだろう。
http://news.goo.ne.jp/article/php/business/php-20100410-02.html



しかし現実問題として、この問題は更に続く。それはトヨタへの訴訟問題である。このリスクにトヨタは如何に立ち向かうのか、まだまだ目が離せないし、その対応如何ではトヨタの盛衰が左右されないとも限らない。



TOP>経済・時事>News&Analysis
【第168回】 2010年4月13日 週刊ダイヤモンド編集部

p54「トヨタに残された最大のリスクについて語ろう」企業賠償責任の専門家トム・べーカー ペンシルベニア大学教授に聞く

1
トヨタの大規模リコール問題に関するメディア報道は鎮静化に向かう一方、集団訴訟が全米各地で起こされている。原告には死亡事故の遺族に加え、トヨタ車のオーナーや株主なども含まれ、賠償総額は数十億ドルとも数百億ドル(数兆円)とも言われている。そこで企業のリスクや賠償責任に詳しいトム・ベーカー教授に、賠償総額の見通しやトヨタに残されたその他のリスクなどについて聞いた。(聞き手/ジャーナリスト・矢部武)

トム・ベーカー(Tom Baker)
専門は民事訴訟法、保険法など。企業のリスク、賠償責任などを経済・社会学の視点をまじえて研究する著名な学者。法学者、人文学者、社会学者などで組織される研究団体“保険と社会研究グループ(ISSG)”の共同設立者である。最近は、株主代表訴訟のリスクに備える賠償責任保険のプレミアム(保険料)が企業のコーポレートガバナンスやリスク管理などとどう関係しているかの研究に取り組む。また、著書「医療過誤神話(The Medical Malpractice Myth)」(2005年)では、民事訴訟改革(行き過ぎた訴訟を抑制するための)に向けた動きの背景にある誤った考えを批判し、現実的な解決策を提案して高い評価を得た。

―リスクや賠償責任の専門家としてトヨタのリコール問題をどうみるか。

 それは非常に大きな質問だが、まずトヨタが何を間違えたかを言う前に、何をうまくやってきたかを説明しよう。トヨタは長い期間をかけて、「安全で信頼性の高い車をつくる会社である」と人々を説得することに成功した。だから米国人消費者は、同じサイズや性能なら少しぐらい値段が高くても他社の車よりトヨタ車を購入しようとしてきたのである。

 しかし、大規模なリコール問題でトヨタ車への安全性に対する信頼が崩れ始めている。

―全米各地で集団訴訟が起こされているが。

 米国社会では何か問題が起きた時に原因や責任などをはっきりさせるために、訴訟は大きな役割を果たしている。新聞などでも訴訟に関する記事を毎日のように目にする。これは米国人が何百年にもわたって用いてきた問題解決の手段なのである。
(続く)
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番外編・プリウス急加速問題(35)

2010-05-20 13:11:58 | Weblog

「内なる国際化」が遅れた

「これだけ急速にグローバル化が進むと、世界のどこで、何が起こっているのかわからない。まるで、塀の上を歩いているようなものです……」

2000年初頭、トヨタのある役員が、こう不安げに述懐するのを聞いた。

現代の企業は、つねにリスクにさらされている。そのリスクも、多様化している。しかも、トラブルが発生すると、被害は瞬時に世界を駆け巡る。挙げ句に、塀から転げ落ちかねないというのだ。

とりわけ、グローバルに広がった企業活動におけるリスクは予測しがたい。わかりやすい話でいえば、国や地域によって、車の運転の仕方が違っている。道路状況が違うのだから当然で、まさに、世界の「どこで何が起こっているかわからない」のだ。

「告発」についても、同様のことがいえよう。今回激しくトヨタの批判報道をしてきたABCテレビの映像に作為があったことや、「プリウス」のブレーキをめぐって急加速を捏造した運転者が、じつは自己破産者で、車のローンが残っていた事実が、その後、明らかになった。「集団ヒステリー」現象の一種である。

「事業拡大のペースが速すぎた」と、豊田章男氏が、2月24日(現地時間)に開かれた米議会下院の公聴会で反省したように、「集団ヒステリー」現象の背景には、トヨタの度を越した急成長に対するやっかみがあるのは間違いないだろう。

トヨタがグローバル化を加速させたのは、1990年代後半である。1980年のトヨタの海外生産拠点は、わずか9カ国・11拠点だった。10年後の1990年も14カ国・20拠点にすぎなかった。それが、2004年には、26カ国・51の海外生産拠点を数え、2007年には、世界の生産台数は853万台に達した。

2000年代に入ってからのトヨタは、毎年、海外において生産能力を30万台から50万台ずつ増やしていった。それだけトヨタ車が世界各地で売れたからだが、それが結果として、豊田氏のいうように「事業拡大ペースが速すぎ」、すなわち成長のスピードが速すぎたことが品質問題を引き起こしたのは確かだ。なかでも、破竹の勢いだった北米市場は、拡大路線を突っ走った。

トヨタ社内には、当時、「GMを抜いてはいかん」「虎の尾を踏むな」などと、世界一の自動車メーカーになることへの警戒感があった。2004年11月1日の「経営説明会」の席上、当時、会長だった奥田碩氏は、自社の死角について記者から問われると、「社員の驕り」と「延びきった兵站」を挙げた。

だが、トヨタのグローバル化の勢いはその後も止まらず、拡大の一途をたどった。“マーケット至上主義”の暴走である。挙げ句に、リーマン・ショックで深刻な打撃を受ける。拡大路線にストップをかけられなかったかどうかは、今後、経営論の視点から検証されてしかるべきだろう。

じつは拡大路線のウラで、品質に対する不安が進行する。急激なグローバル化によって、品質の問題にほころびが出始めるのだ。トヨタの国内におけるリコール届け出件数は、2001年度に4件5万台、02年度に8件50万台、03年度に5件93万台、04年度に9件189万台と急増していった。さらに、05年度に14件193万台、06年度に8件130万台となった。

その一方でトヨタは、海外事業体の自立化を進めた。生産の現場を支える人材を育成するために、2003年7月、元町工場にグローバル生産推進センター(GPC)を設立し、標準化された技能訓練を行なった。その後、北米、英国、タイにもGPCを設立し、グローバルに人材育成を実施した。

しかしながら、グローバル展開するうえで求められる品質保証に関する人材育成は行なわれなかった。

マネジメントの側面でも、急激なグローバル化に後れを取った。09年6月のGMの破綻後、トヨタは生産台数で世界一の自動車メーカーの座についたが、しかし、マネジメントに関しては、必ずしもグローバル化が進んでいるとはいえなかった。

論より証拠、トヨタの取締役は現在、29人全員が日本人である。青い目の取締役は1人もいない。トヨタの経営が「内向き」なのではないかという批判の声が内外から上がるのは、当然、予測できたはずだ。だとするならば、ボードのグローバル化を図るべきではなかったのか。「内なる国際化」が遅れたところに、トヨタの油断があったといわざるをえない。

4
高級車1台でソフトは約1億行

それから、現代の企業が直面しているもう一つのリスクは、電子化されたシステムだ。しかも、システムの巨大化、高度化、複雑化によって、これまたトラブルが発生すると、現場では対処できないほど影響が拡大する。

これまで安全の確保や危機管理は、多くが現場に任されてきた。現場は、リスクを感知した段階で手を打ち、トラブルを回避してきた。それこそが、現場の強みを生かした日本企業の危機管理の要諦だった。

ところが、電子化による変化がシステムを複雑にし、技術のブラックボックス化に拍車が掛かり、現場の手に負えなくなってしまった。ましてや、「プリウス」などの環境対応車は、非常に複雑かつ高度に電子制御されている。

米国の調査会社によると、車載組み込みソフトのコードは、高級車1台当たり約1億行という。カメラを用いた運転補助装置や安全運転サポート機能の充実にともない、その行数は、今後2、3年で1.5倍になると予想されている。

こうしたプログラムの複雑化は、自動車に限った話ではない。せんだって、ソニーの業務執行役員SVPの島田啓一郎氏にインタビューする機会があった。自動車と同じく、家電製品もソフトウェアのプログラムは複雑化し、商品に入っている組み込みソフトの規模は、5年で約10倍になっている。10年で100倍、15年で1000倍、20年で1万倍と増えつづけ、30年でほぼ100万倍になったという。

島田氏によると、20年前には、VTRやビデオカメラのソフトウェアを自分たちでプログラミングし、印刷して持ち運ぶことができたというが、いまや、そのたぐいのプログラムは、プリントアウトすると「リヤカーを使っても運びきれない」というのだ。

トヨタは、「電子制御スロットル・システム(ETCS)」には「いまのところ、暴走につながる問題は見つかっていない」と発表している。電子制御問題は、トヨタ1社ではなく、業界全体で取り組まなければいけないだろう。あえていえば、複雑化しつづけるプログラム問題は、自動車業界のみならず、製造業全体がぶつかっているのが現状だろう。
(続く)
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番外編・プリウス急加速問題(34)

2010-05-19 10:58:34 | Weblog

ここら辺の事情は次の解説にも詳しく論じられているので、いささか長いものであるがそれも参照願いたい。



p52.5トヨタ「メーカー目線」の敗北:片山 修(ジャーナリスト)http://news.goo.ne.jp/article/php/business/php-20100410-02.html
VOICE 2010年4月11日(日)13:00
1
問題の本質は「危機管理

「成長をすることは、けっして悪いことではないと思いますが、成長のスピードが人材や組織の育成スピードを上回ったことが、結果的に今回の品質問題を引き起こした点は、誠に不本意であり、お詫びさせていただきたい」

こう語ったのは、作業服姿のトヨタ自動車社長、豊田章男氏である。

3月5日、トヨタは豊田市のトヨタ自動車本社本館大ホールにおいて、「オールトヨタ緊急ミーティング」、俗にいえば、公聴会の報告会を開いた。大ホールには、販売店、仕入先などの代表者のほか、作業服を着たトヨタの基幹職ら約2000人が集まった。全員が起立したままである。その様子は、東京本社や各工場などの約9000人の社員に向けて同時中継された。

豊田氏は、公聴会を振り返って、「テレビ、新聞では、繰り返しトヨタの批判が行なわれ、メディアに追い回され、心細い気分でありました」と語り、現地のディーラーやTMA(トヨタ・モーター・ノースアメリカ)のメンバーが傍聴に駆けつけてくれたことに触れて、「皆さまからの温かい声援が、挫けそうになっている自分の心を支えてくれました」といって、米国での報告会と同様に感極まって言葉を詰まらせた。

「お客さまの信頼を取り戻すべく、力を合わせて頑張りましょう」と結ぶと、会場からは大きな拍手がわいたが、世界のトヨタは、なぜ、ここまで追い詰められたのだろうか。

いったい、どこでどう躓いたのか。社内に「驕り」が生まれていたのだろうか。あるいは、トヨタは「平時の危機管理」は得意でも、「有事の危機管理」は不得手だったのか。

リコールをめぐっては、豊田章男氏の世襲問題と結びつけて論じられる傾向があるが、問題の本質はそこにあるのだろうか。

現代のリスクは、ケタ違いに巨大、グローバル、複雑、高度化しており、企業を津波のように襲う。じつは今回、トヨタが直面した危機管理の問題は、グローバル展開する、すべての企業に共通する課題といえる。

以下、現代企業に要求される危機管理を軸に、トヨタのリコール問題について論じてみたい。

欠陥か否かは消費者が決める

現代において、安全のハードルは、確実に高くなっている。これには理由がある。豊かな生活を手に入れた現代人は、享受する高い生活レベルが損なわれることに強い不安を感じる。現代人が健康に異常なほど関心を示すのは、そのことと無関係ではないだろう。

それでいて現代社会は、地球環境問題をはじめ、自然災害や技術のブラックボックス化など、安全を脅かす要因に事欠かない。何がどこで起きるかわからない不安を抱えて生きている。

したがって人々は、リスクに敏感になり、リスクの排除に躍起になる。豊かな生活を脅かすトラブルに対しては、ことのほか過剰に反応する。現代の消費者は、工業社会の消費者とは、明らかに変容している。その認識のギャップが、多くの企業が危機管理に失敗する原因だ。

いきおい高まるのは、企業に対する安全への「期待値」である。消費者が企業活動に、これまで以上に厳しい目を向けるのはそのためだ。だから、企業は安全を最優先せざるをえない。その意味で、「オールトヨタ緊急ミーティング」における豊田章男氏の反省の弁は、正しいのである。

「過去数年間の急成長のなかで、経営の優先順位、一番目はお客さまの安全、二番目は品質、三番目に量、最後にコストという優先順位が崩れていたかもしれません。目先の台数や収益に追われすぎていたかもしれない」

米国USスチールは、1900年代初頭、多くの労働災害に見舞われた。そのころのUSスチールの経営方針は、「生産第一、品質第二、安全第三」だった。それを「安全第一、品質第二、生産第三」に変更したところ、労働災害は激減したという。以後、日本の現場でも見受けられる「安全第一」の標語が世界的に広がったといわれているが、トヨタはいまこそ、この歴史的事実を噛みしめなければいけないだろう。

2010年5月号のポイント
国内政治は混迷を極め、日米関係も冷え切った。5月号の総力特集では、衰弱する日本をどう立て直すか、作家の塩野七生氏、中西輝政氏、西尾幹二氏、牛尾治朗氏ら10人の論客が“歴史の教訓”から復活への道筋を描き出す重量感溢れる提言が満載。
第二特集「苛立つアメリカはどう動く?」ではダグラス・フェイス氏(元 米国防次官)ら、状況に精通する7人のレポートをお届けします。
詳細は、下記のリンクから「特設サイト『Voice+』へ


2
それから、安全のリード役は今日、もはや企業ではなく、消費者であり、トラブルが起きたとき何が問題かを決めるのは、トラブルを起こした当の企業ではなく、社会となる。トヨタの大量リコール問題は、安全に関する社会の認識の変化を浮き彫りにした。

そのことを象徴するのが、2月4日の記者会見の席上、品質保証担当のトヨタ常務、横山裕行氏によるプリウスのブレーキ問題の発言に対する世間の厳しい批判だ。横山氏は、ブレーキのかかりが遅れるのはわずか0.06秒で、「ドライバーの感覚と車の動きのずれ」を、「フィーリング(感覚)」の問題と説明した。

私は、会見の場で「フィーリング」という言葉を聞いたとき、仮にそうだとしても誤解を招くのではないかと危惧した。案の定、「フィーリング」はトヨタバッシングの格好のネタになった。横山氏と同様、品質保証担当のトヨタ副社長の佐々木眞一氏も、2日の記者会見の席上「フィーリング」と口にしたが、思わず口を滑らせたというよりは、たんに品質を評価する際の言葉を口にしただけだろうと思う。

トヨタに限らず、技術者は、技術オリエンテッドになりがちである。しかしながら、安全のリード役が社会である以上、消費者の受け止め方に配慮した発言が必要だったといえる。

安全か欠陥かを決めるのは、メーカーではなく、消費者であり、社会であるからには、世の中が不具合や違和感を感じた時点で、ブレーキは“欠陥”になると覚悟しなければいけなかった。そのことを十分に理解したうえで、問題の対処に当たらなければいけなかったのである。そうでなかったが故に、トヨタは、国土交通大臣の前原誠司氏から、「会社側は大きな問題ではないとしているが、使う側が決めることだ。顧客の視点がいささか欠如している」と批判を浴びたのである。

さらにトラブルに際し、どこまで情報開示するかを決めるのも、これまた企業ではなく、社会である。つまり「情報公開」と「説明責任」は、危機管理における鉄則だ。このことをハラの底から認識していないと、トヨタのリコール問題のように、トラブルは限りなく拡大する。

たとえば、アクセルペダルがフロアマットに引っ掛かって戻りにくくなる不具合について、2007年9月に米国で2車種をリコールしながら、2009年11月、なぜ、同様の理由で約380万台の自主改修を実施すると発表したのか。また、安全に問題がないと説明していながら、なぜ、新しくつくる車のブレーキは直したのか。

こうした疑問に対して、トヨタは、ハッキリと回答を示さなかった。結果、安全上の問題を認識しながら情報を隠したり、現在も開示をためらっているのではないかと疑われた。開示されるべき情報が開示されないと、社会は、激しく反発するのだ。

トヨタは、2月23日に米下院公聴会を前に提出した書面証言で、「技術的な問題に焦点を絞りすぎた」結果、対応が遅れたことを認めた。「供給側の論理」では、もはや安全問題は語れない。

また、これまで企業と消費者とのあいだに存在していた情報の非対称性は、情報社会の進展とともに解消され、むしろ、企業より消費者のほうがより多くの情報をもつケースが出てきた。そして、インターネットなどを通しての消費者の発信力は、いまや格段に高まっている。だから、ひとたび抗議の声が上がると燎原の火のごとく広がり、容易に消し止められなくなる。

にもかかわらず、トヨタは、従来どおりの「メーカー目線」で対応し、騒動の火勢を強めてしまったのではないか。それが積もり積もって、結果的に「驕り」と受け取られたといえる。

危機管理において必要なのは、つねに「最悪のシナリオ」を想定することである。成り行き任せの対症療法的処理では、火ダルマは必定だ。はたしてトヨタは、リコール問題の処理をめぐって、「最悪のシナリオ」を用意していたといえるのか。

トヨタは、2008年9月15日、リーマン・ショックが起こる半年ほど前、米国経済の変異を察知し、3つのシナリオについて検討した。(1)成長シナリオ、(2)減速シナリオ、(3)クラッシュシナリオ――である。採用したのは、(2)減速シナリオだった。

仮に、(3)クラッシュシナリオを採用したとしても、現実はそれを上回る「最悪のシナリオ」となったところに現代のリスク管理の困難さがある。
(続く)
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番外編・プリウス急加速問題(33)

2010-05-18 13:11:12 | Weblog

このデータを見なくても今の豊田章男社長の時代に作られた車のリコールでは無い。しかしこの問題を処理しなければならないのは、豊田章男社長なのだ。創業家の一族なんぞと言う意識は捨てて、と言う事は夢中になって問題解決に当たる事であろう。

今後トヨタが凋落してゆくか、はたまたこれを克服して顧客に愛されるクルマを提供してゆく事が出来るか。環境問題がのしかかる中、これらを解決してゆくには、並大抵な努力だけでは無理である。しかし夢中になれば、道は開ける事であろう。

トヨタは、豊田綱領に回帰して再出発してもらいたいものだ。

それについては、次の3点はぜひとも考慮に入れておくことが必須だ。

(1)顧客目線で、(2)迅速に、(3)情報を開示して、処置と処理(原因系もつぶすこと、再発防止)をしてゆくと言うことで、それにはトップのリーダーシップが欠かせないのである。したがってフロアマットが原因であったとわかった時には、

まず当座の処置としては、

迅速に、純正のマットだけを固定して使用するように徹底して、市販のマットは使わないことの徹底だけに当座は集中すればよかったのであり、(事実、フォードはこれだけで済ませている。)

そして原因系の処理には、

アクセルペダルを短くするなどの根本対策を実施すればよかったのである。これがいわゆる「リコール処理」となる。

このフロアマットの引っかかり問題に、カローラに採用されたCTS社のスティッキーなアクセルペダル問題が大々的に報道され更にプリウスのブレーキが抜けるなどの報道が過熱し、しかも社長交代直後のことで更に内紛状態だったためにトヨタも対応が後手後手となり、報道の加熱とともにこれらの問題の処理にあわててしまって更に問題を大きくしてしまったのであろう、と推察しているのである。もちろんNHTSAとオバマ政権、更には痴呆の鳩山のおかげで更に問題は悪化していったものと推察できるのである。

社長交代直後のトヨタは多分通常状態ではなかったのではないかと推察しているのであるが、そうでなければこれらのリコール問題は、冷静に処理されていたのではないかと小生は考えている。リコールは正式な制度として認知されているのであり、何も恥じるものでもないからである。しかしそんな状況なので、トヨタとしても、社長の陣頭指揮がすばやく出来なかったのであろう。そのため最悪の状態にまで落ち込んでしまったのである。結果として社長の責任が大々的にクローズアップ゜されてしまったのである。まあ、そうであっても会社をうまく動かしてゆくのが、社長の仕事である以上それは豊田章男社長が判断すべきであり、そういう意味で社長の責任は重大なのである。まあ社会的な問題では、社長が真っ先に飛び出して陣頭指揮をする、と言うことが必要で当たり前のことではあるのであるが。



p32【エキスパートに聞く】トヨタリコール問題で問われる日本企業の危機管理能力
2010年 3月 23日 7:46 JST

 リコール問題への対応の遅さが批判されていたトヨタも、米議会での公聴会を機にようやく積極的に動き出した。失われた信頼を取り戻すためにはどうすればよいのか。この問題から日本企業は何を学ぶべきか。戦略コミュニケーションを専門とするフライシュマン・ヒラード・ジャパンの田中愼一社長に聞いた。

 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版:(以下WSJ日本版)リコール問題に関するトヨタの対応をどうみていますか。

 田中慎一氏:去年の8月、フロアマットの問題が出てきた時は適切な対応をとる最初のチャンスでした。でも空気が読めなかった。フロアマットが引っかかったというのは確かにあったのでしょう。しかし、ああいうことが起きた時、トヨタとしてどういう企業姿勢をみせるか、みんな期待していたわけです。

 自動車メーカーとして、部品が想定外の使われ方をし、それで事故が起きた時に、「それは商品欠陥じゃないからトヨタの責任ではない」というのは許されません。これから新しいモデルには、それを想定するようにちゃんと構造改革をすると同時に、今走っている車には少なくとも改善するためのアクションをすぐに取るべきだったと思います。

 もうひとつチャンスがあったのは今年初め、アクセルペダルの問題が出てきた時です。これは完全に構造的な問題です。あの時トップがアメリカに行くなりするべきでした。そこもあまり積極的に対応をしなかったため、ますます後追いになってしまいました。

 1回目のチャンスをミスって、2回目もミスって、3回目のチャンスは公聴会だったのでしょう。公聴会は、少なくともトヨタ自身がイニシアチブを取り始めたということで評価しています。今後豊田章男社長が本当にイニシアチブをとり続けるだけのリーダーシップを発揮することができるのか。それがカギだと思います。

 WSJ日本版:今後トヨタはどのように動けばよいのでしょうか。

 田中氏:やっと今イニシアチブをとったので、トップが先頭を切って徹底的に問題解決のために動くしかないでしょう。途中でトップの姿が消えたらまずいと思います。

 またアメリカに行くべきでしょう。販売店を回り、リコールの状況を調べるなどすべきです。トップが陣頭指揮を執っているという姿を見せることが重要です。

 また、電子制御の部分では質問が出ているわけですから、そこを徹底的に解明しなければいけません。本当に問題ないというのであれば、納得できる形でどんどん究明していく。これからクラスアクション訴訟(集団訴訟)も損害賠償等々にも直面するのでしょうけれども、なるべく誠実に答えていくような姿勢は必要だと思います。

 WSJ日本版:トヨタは米ABCテレビの報道を「無責任」とし、放送の取り消しと公式の謝罪を求めています。

 田中氏:見ている側からすると、そんなことを責めるよりは、まずは対策の方に目を向けてほしいと思います。マスコミに対して訂正しろと言うな、とは言わないけれども、あまり公にするのは賛成しません。それより、もっとユーザーの不安を払拭(ふっしょく)することに一生懸命になるべきです。そういうなかで少しでも主張してしまうと、逃げているとか、当事者意識がない、と思われてしまいます。

 WSJ日本版:問題が起きた直後、トヨタのメッセージの発信の仕方にも問題があったと指摘されています。

 田中氏:クライシスの時のコミュニケーションの取り方は、普通の時とは違います。普通の時は、「この技術はいい。この車はすばらしい」など、メッセージは主張型です。ところが、クライシスが起きた時に主張するとbackfire(逆効果になって)してしまいます。主張してはいけない。受け入れる事が大事です。モードが変わってしまうのです。

 今年2月、豊田社長が(ハイブリッド車)「プリウス」に対する最初の記者会見をした時、ブレーキを「しっかり踏めば止まります」というような発言をしました。これは主張型です。これが受け入れ型のメッセージだったら、「うちのセールスマンが行くまで乗らないでください」となります。

 「ブレーキを強く踏めば止まるんですよ」というのはまだメーカー側の視点です。100%安全かどうか分からないのですから、「今セールスマンが必死にリコールをやっていますから、なるべく乗らないでください」というのが相手の視点に立ったメッセージです。

 WSJ日本版: トヨタの問題から日本企業はどのようなことを学ぶべきでしょうか。

 田中氏:日本のCEO(最高経営責任者)は、クライシスは自分の仕事ではないと思っています。グローバルで活躍する企業、特に欧米の企業は、クライシスはCEOの最も重要な専権事項だという認識があります。いくらビジネスがよくても、いったんクライシスが起きると企業価値がドーンと下がってしまうからです。

 今回分かったことは、トヨタというあのグローバル企業のCEOでさえも、クライシスの対応ではリーダーシップを発揮しなかったということです。トヨタのケースで問われることは、トップCEOの意識のあり方です。ビジネスをしっかりと大きくすることは従来通りCEOの仕事だけれども、クライシスが起きた時に企業価値をどう守るか、そういうところも認識してもらうことが重要だと思います。

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田中愼一(たなか しんいち)フライシュマン・ヒラード・ジャパン株式会社 代表取締役社長

 豪キャンベラ生まれ。本田技研工業デトロイト事務所長、セガエンタープライゼスの海外オペレーション部長等を経て、1997年フライシュマン・ヒラード(本社:米国セントルイス)の日本法人を立上げ、代表取締役に就任。多様化するビジネス課題に直面する日系外資系企業・組織にコンサルティング・サービスを提供している。
近著に「破壊者の流儀」、「オバマ現象のカラクリ―共感の戦略コミュニケーション」(共にアスキー新書)
http://jp.wsj.com/Business-Companies/Autos/node_43991
(続く)
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