GMの再建プロセスを日本経済新聞などの情報を元の整理してみると、次のようになる。
(1)混迷
GMは、2005年~2008年で800億ドルの赤字を計上し、'08年秋には資金繰りが悪化し政府に支援を要請していた。
(2)整理
結局、2009年6月1日に破産法11条の適用を申請して破産してしまった。6/29にはNUMMIからの撤退を発表。7/10には新生「GM」が発足している。優良資産だけを引き継ぐ。オバマは500億ドルの公的支援(70億ドルはすでに返済済み)、60.8%の株式保有(430億ドル)。
GMの現在の株主構成
米政府 60.8%
全米自動車労組(の医療保険基金) 17.5%
カナダ連邦政府・オンタリオ州政府 11.7%
旧GMの債権者など 10.0%
(3)再建
2009/7、政府が「新車買い替え制度」で販売を支援。AT&Tの元会長ウィッテーカー氏が会長就任、レガシーコスト(年金・医療費)の負担軽減、10工場の閉鎖、ブランド半減や幹部刷新など社内改革を断行、トヨタ品質問題発生、'10/1~3と4~6月期と黒字化。
(4)再上場
2010年8月18日再上場を申請する。9月に経営陣刷新。11月前後に再上場実施。政府保有の普通株式の一部売却へ。
(5)課題
今後ともGMは黒字を維持できるか疑問。国内の支援策とトヨタのリコールによる販売増、中国での販売好調、などはいずれも大中型車とピックアップトラックが中心。環境技術とは無縁の動き。開発費抑制で新車投入が遅れ、「技術の空白」が発生。ハイブリッド技術のトヨタ、ディーゼルエンジンのVW、オバマは電気自動車に賭ける。しかしGMの電気自動車「シボレーボルト」は、日産の「リーフ」よりも3割りも高く、技術も古い。GMの稼ぎ頭は大中型車が中心。8/18に、上海汽車集団と1.0~1.5Lガソリンエンジンと変速機の共同開発を発表。
このように見てみると、やはりオバマやGMは電気自動車に賭けているように見える。しかし現在のGMを再生させるほどには、電気自動車の技術、なかんずくバッテリーの技術は高いのか。やせてもかれてもGMと言えば世界一の技術を持っていた世界一大きな自動車メーカーであった。侮ることの出来ない存在であることには間違いない。オバマは、アメリカと言う国を挙げてGMをバックアップして電気自動車の開発を進めてきている。そのために、あらゆる方面から、トヨタをつぶそうと攻めてきている。ここ一、二年の両者の動きには目が離せない。トヨタにとっては今の日本政府が頼りにならないところが、癪に障るところであろう。出来うれば、民主党の党首選で小沢が勝利して、菅が破れかぶれで国会を解散させて衆議院の総選挙に撃って出てもらいたいものだが、自民党も頼りないと言ったら頼りないので、当分頭の痛い日が続くことであろう。
さて、北米仕様のカローラのECUメーカーはデルファイ社だというTech-Onの記事を掲載してこのテーマを終えよう。
p122トヨタの「カローラ」リコール、エンジンECUの部品メーカーは米Delphi社
2010/08/27 17:57 Tech-On 林 達彦=日経Automotive Technology
トヨタ自動車が北米で「カローラ」など136万台をリコール(関連記事)する原因となったエンジンECU(電子制御ユニット)の部品メーカーが米Delphi社であることが分かった。
「1ZZ-FE」エンジン用の同ECUに関しては過去にエンジンが始動しないといった不具合が報告されている。今回の不具合との関連性は不明なものの、トヨタのサービスマニュアルにもエンジンが始動しない不具合に対応するためのECU交換手段が「TSB EG042-07」として2007年9月から掲載されている。トヨタ車オーナーのコミュニティサイトでは、「停止後に再始動しなくなった」、「走行中にエンジンが停止した」といった不具合に関する書き込みが多く見られ、トヨタは2010年3月、NHTSA(米高速道路交通安全局)に対応策を検討中であることを報告していた。
NHTSAに対するエンジン停止に関する苦情は、ロイターの報道によればカローラ、Corolla Matrixで26件あったといい、2009年11月に暫定的な調査に着手していた。3月の時点で、トヨタは2005~2007年型の対象車種に対して、ECUの不具合についてハンダ付け部の亀裂などが原因との見解を示していたが、実際にリコールしたのは8月26日と5カ月後となった。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20100827/185269/
(終わり)