世の中、まちがってる、根拠なき反日キャンペーン。

相も変わらず根拠なき反日キャンペーンで、国をまとめようとする輩が存在する。

続続・次世代エコカー・本命は?(108)

2017-08-31 16:00:00 | Weblog

このロイターの記事を読んでも、メルケルのどっちつかずの考えがよくわかる。どっちつかずだと言う事はよくわかるが、メルケルがディーゼルの将来に対して何をしたいのかは、さっぱりわからない。

要はCO2やNOxなどの排気ガスをどうしたいのかと言うところが、全くぼやけていると言う事である。「パリ協定」をどのように考えて、自国の自動車産業やエネルギー政策をどのように遂行してゆこうとしているのか、と言うところである。

地球温暖化や大気汚染を防ぐためには、内燃機関エンジンを止(や)めてゆくと言う事が求められているわけであるが、政府としてその覚悟を国民に求めてゆく努力が感じられないと言う事なのである。

当然そのためには政府としては、産業界をどのように導いてゆくかと言う骨太の方針がないのである。あるのは俄か仕立ての一時しのぎの対策だけのように(実際にはそうでないかもしれないが)感じられてしまうのは、まことに残念であるとしか言いようがない。

メルケルとしては9月の議会選挙の後に、CO2問題に対する明確な方針を出すつもりのようにも感ずるが、今はあーでもない、こーでもない式に八方美人的に世間をごまかしてゆこうと言うところなのであろう。

だからディーゼル車の存続を訴えたり、禁止するようなことを言ったりしているのでしょう。



脱ディーゼル「正しい」 独首相、英仏の販売禁止に理解
2017/8/16 15:25
ニュースソース 日本経済新聞 電子版

 「方法は正しい」。ドイツのメルケル首相が欧州で広がるディーゼル車・ガソリン車の販売禁止方針を理解する考えを示し、自動車業界で話題を呼んでいる。ただ、併せて自国の雇用や産業競争力への配慮にも言及、「正確な目標年はまだ明示できない」として、英仏のような時期までは踏み込んでいない。9月に選挙を控えた自動車大国ドイツの置かれた難しい状況が浮かび上がる。

■メーカー批判の裏でにじむ配慮

メルケル首相(左から2人目)とVWのミュラー社長(中央)ら=2015年9月、フランクフルト国際自動車ショー

 メルケル氏は14日付の独誌ズーパー・イルー(電子版)の単独インタビューで、独フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正に端を発したディーゼル車の問題に言及した。「ディーゼルエンジンの排ガスに関し、何が不正だったのかを明確にしなくてはならない」。消費者はメーカーに欺かれていたと指摘した。

 同時にディーゼル車はガソリン車に比べ二酸化炭素(CO2)排出量が少ない点を強調し、「我々は窒素酸化物(NOX)の基準を満たした、最新のディーゼルエンジンが必要だ」と訴えた。今月2日に政府と国内の自動車メーカー首脳がベルリンに集まった「ディーゼルサミット」の方針に沿い、急進的な脱ディーゼル車の方針からは距離を置く考えを示した。

 電気自動車(EV)普及との両輪もにらむ。充電インフラの整備が最重要課題だと言及し、EVシフト支援の考えも示した。もっとも英仏が7月に打ち出した2040年までの内燃機関で走る車の国内販売禁止に関しては、意味があるとしながら具体的な工程表は示したくないとしている。

左からVWのミュラー社長、ダイムラーのツェッチェ社長、BMWのクリューガー社長(ベルリンで開かれたディーゼルサミット、2日)=ロイター

 英仏ほど踏み込めない背景には、日本以上ともいえる官民の蜜月関係を築いてきた独自動車産業の特徴がある。仏自動車業界の関係者は「欧州連合(EU)の規制はベルリン(=独政府)がナイン(ノー)と言えば何も決まらない」とやゆする。欧州委員会が、VW本社のある地元州がVWの第2位株主として買収拒否権を持つのはEUが定める「資本の移動の自由」に反すると訴えても、独政府は馬耳東風。VWを守ってきた。

 今月2日のサミットでは、メーカーがディーゼル車530万台を無償修理することで官民が合意。ミュンヘンなど一部自治体が打ち出していた中心部の乗り入れ禁止を回避し、南ドイツ新聞は「自動車グループがサミットの勝者だ」と評した。

■選挙前の「アドバルーン」

 これには9月に控えた連邦議会(下院)選挙も影響している。自動車の直接雇用だけで80万人。選挙を控え、雇用減にもつながりそうな「40年にディーゼル車を販売禁止」は打ち出しにくい。逆にいえば、雇用確保を盾にしたメーカー主導で議論は進めやすかった。メルケル氏はインタビューで、雇用確保と産業競争力の確保も重要と訴えている。

 もっともドイツではこの官民合意に対し、消費者や一部自治体の不満は根強い。メルケル氏に弱腰批判が及べば、選挙に不利になりかねない。メルケル氏は1990年代には環境相として京都議定書の合意にも携わり、保守政党キリスト教民主同盟(CDU)内では環境リベラル派とされる。英仏の方針について「正しい」としながら、禁止時期の明示を避けた今回の発言は、自らの思いもにじませながらアドバルーンを上げたとみることもできる。

 脱内燃機関方針で先んじたフランスでは、経済紙レゼコーがメルケル発言を受け、「メルケルにとってディーゼルの終わりは避けられない」と報じた。ドイツの流儀を知る隣国は、いずれドイツが官民挙げてEV競争に本格参入してくることは覚悟済みだ。

 独産業界でも準備は進む。3日には自動車部品大手コンチネンタルのウォルフガング・シェーファー最高財務責任者(CFO)がロイター通信に対し、「次世代内燃機関の開発は続くだろうが、23年ごろには経済的に正当化できなくなる」と指摘。完成車メーカーの開発はEVなど電動技術に一気にシフトすると見通した。完成車メーカーと全方位で取引があるコンチネンタル幹部の発言は重い。

 旧東独の科学者であるメルケル氏は慎重に発言を選ぶことで知られる。だが11年の脱原発回帰、15年の難民受け入れ表明のように時に大胆に決断し、主にリベラル派の喝采を受けてきた。EV政策は同国の脱石炭再生可能エネルギー推進などとあわせた総力戦になりそう。産業やエネルギー・環境問題というより政治が前面に出てくるテーマだ。

 英仏が脱内燃機関方針を発表したのは総選挙の後だった。世界最大の自動車市場、中国とも親密な関係を築いてきたメルケル氏は首相4選が濃厚9月の選挙結果を受け、「正しい方法」の具体論にどこまで踏み込むか。その発言は自動車産業の帰趨(きすう)を決めるかもしれない。

(加藤貴行)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ16HBS_W7A810C1000000/?n_cid=NMAIL002


まあそれもこれも、この9月の下院議会選挙のためなのである。

アンゲラ・ドロアテ・カスナー(メルケルは最初の結婚後の姓、現在の配偶者はヨアヒム・ザウアーと言う。Wikipediaより)も一端の科学者である。東ドイツ出身のカスナー(メルケル)は、カールマルクス・ライプチィヒ大学で物理学を専攻して、優秀な成績で学士号を取得、その後1986年に博士論文を提出して博士号を取得している。

現在の夫ザウアーはフンボルト大学ベルリンで物理と理論化学の教授を務めており、かって在籍していた物理化学中央研究所の博士研究員であったメルケルと結婚したのは1998年のことである。

その間の1989年にベルリンの壁の崩壊があり、メルケルはその時に政治活動を始めている、とはWikipediaの概略であるが、それなりに未来を見通せる頭は持ち合わせている筈なので、内燃機関の問題は十分すぎるほど解っているだけに、政治的な解決策に頭を悩ませたのであろう。

(続く)
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続続・次世代エコカー・本命は?(107)

2017-08-30 00:00:00 | Weblog

ドイツはディーゼルの延命を図ったことになる。



独、ディーゼル車530万台無償修理 環境対応で延命
排ガス制御ソフトを修正

2017/8/3 9:44
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

 【フランクフルト=深尾幸生】ドイツ政府は2日、同国内のディーゼル車約530万台を自動車メーカーの負担で修理すると発表した。排ガスの制御ソフトを修正し、大気汚染物質の排出を抑制する。同国政府とメーカー各社が合意した。英仏が2040年のディーゼル・ガソリン車の販売禁止を打ち出すなか、環境対応の強化で主力であるディーゼル車の延命を目指す思惑が透ける。

ダイムラーのディーゼル車(2015年のフランクフルト国際自動車ショー)

 大気汚染の抑止策を協議する目的で独政府とメーカーがベルリンで開いた「ディーゼルフォーラム」で合意した。現行の排ガス規制の「ユーロ6」対応車の一部と1世代前の「ユーロ5」対応車の合計約530万台を対象に、排ガス制御ソフトを修正する。これは同国のディーゼル登録車の3割強に相当する。

 独フォルクスワーゲン(VW)グループと独ダイムラー、独BMW、独オペルがそれぞれ費用を負担する。大気汚染物質の窒素酸化物(NOx)の排出を25~30%抑えることを目指す。

 ソフト改修に必要なコストは1台あたり1万円程度。同20万円前後の浄化装置の追加設置を求める構想もあったが、メーカーが受け入れやすい選択肢に落ち着いた。ダイムラーのディーター・ツェッチェ社長は「最も効果的な手段だ」と合意を歓迎した。

 ソフト改修に加え、古いディーゼル車を持つ消費者が最新の環境対応車に買い替える際の奨励金をメーカーが負担する。BMWは09年以前の「ユーロ4」より古いディーゼル車から買い替える場合、2千ユーロ(約26万円)を割り引く。買い替え対象には最新のディーゼル車も含める。

 VWによる排ガス規制を逃れるための不正発覚以降、欧州を中心にディーゼル車への不信が高まっている。英仏が将来の販売禁止という厳しい措置を打ち出したのに対し、ドイツはディーゼル車の「延命」を図る方針を鮮明にした。

 同国の新車販売(乗用車)に占めるディーゼル車比率は約4割。自動車メーカー経営の柱の一つで約80万人の関連雇用を支える。主力産業を危機にさらすことを避けるため、当面のディーゼル車存続に保証を与えた格好だ。ただ消費者の反発が収まるかは不透明で、合意文書には「効果次第ではさらなる行動が求められる」との一文も盛り込んだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGT02H0R_T00C17A8MM0000/?n_cid=NMAIL002


しかしメルケルの心は揺れている。果たしてディーゼルを延命させてもよいものか。ドイツ国民はどう考えているのか、国民は英仏に追従せよ、と言う方に軍配を上げるかもしれない。選挙もあることだし、どうしようと言ったところではないのかな。

結局メルケルは、自動車か雇用と環境か、という問題に対してはっきりした態度をとらずに、両方のいいとこ取りをしようとするつもりのようだ。



独首相、ディーゼル車の新車販売の段階的禁止を示唆=雑誌
Business | 2017年 08月 15日 11:09 JST    関連トピックス: ビジネス, トップニュース


 8月14日、ドイツのメルケル首相は、他の欧州諸国と同様にディーゼル車の新車販売を段階的に禁止する必要があると表明した。写真はフランクフルト近郊ゲルンハウゼンで撮影(2017年 ロイター/Ralph Orlowski)

[ベルリン 14日 ロイター] - ドイツのメルケル首相は、他の欧州諸国と同様にディーゼル車の新車販売を段階的に禁止する必要があると表明した。「ズーパー・イルー」誌の取材に応じた。同国でのディーゼル車廃止への言及はこれが初めてで、排ガス不正の発覚に伴い同型車の「余命」が限られていることが示唆された。

英仏は2040年までに内燃機関車の段階的廃止を予定しているが、メルケル首相は「具体的な日程は示したくない」と述べた。

フォルクスワーゲン(VW)などが排ガス試験で不正を行ったことが発覚して以来、ドイツの自動車メーカーに対する批判が高まっている。こうしたなか、デマー報道官は7月26日、英国の対応に関連して、メルケル首相はディーゼル車を「悪者扱い」してはならないと繰り返し述べてきたと指摘、英国に追随しないことを示唆していた。

休暇から戻ったメルケル首相は、自動車業界は下取り時の優遇制度やソフトウエアの更新などを提供することで信頼を回復すべきだと呼び掛けた。消費者は「欺かれてきた」とし、約束されていた通りの環境廃出物対策が得られるべきだと述べた。ただ、ディーゼル車はガソリン車より二酸化炭素(CO2)排出量が少ないため、優遇税制は当面継続するとした。

首相は9月の連邦議会選を控えたキャンペーンで、国内自動車メーカーが過ちを犯したことを認めることが重要だと主張した。ただ、労働者に非はなく、雇用を守り自動車産業の持つ力を確保することも重要だと述べた。

首相はさらに、ディーゼル車は環境汚染を制御するために必要であり、政府は新技術の導入を促進しインフラを確実に利用可能にすることで自動車産業の変革を支援すべきだと指摘。「雇用が守られるよう、新時代への円滑な移行を計画しなければならない」とした。
http://jp.reuters.com/article/germany-emissions-merkel-idJPKCN1AV051?utm_source=34553&utm_medium=partner
(続く)
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続続・次世代エコカー・本命は?(106)

2017-08-29 00:00:00 | Weblog

ドイツ裁判所は、古いディーゼル車の各社のアップグレード対策に対して、不十分と却下したようだ。そのため2017.8.2にベルリンで政府と自動車大手(VW・Audi・Porsche、 Daimler、 BMW、 Opel、欧州Ford)は「ディーゼルフォーラム」を開催し、ディーゼル対策を協議した。


[FT]信用失墜の独自動車、ドイツの国民心理揺るがす
2017/8/3 6:30
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

 独フォルクスワーゲン(VW)の本拠地ウォルフスブルクでは、1955年8月5日は記念すべき日だった。100万台目の「ビートル」が生産ラインから出てくるのを群衆が祝った。第2次世界大戦の敗戦と破壊から立ち直った戦後の目覚ましい復活、そしてドイツ経済の奇跡を象徴するようになった車にとって、それは至高の瞬間だった。多くのドイツ人にとっては、ビートルはそれ以上の存在だ。最近のある世論調査では、回答者の63%はビートルがドイツという国そのもののシンボルだと回答した。文豪ゲーテは大差を付けられての2位だった。

フォルクスワーゲンのディーゼルエンジン。ディーゼルはドイツ経済の大きな部分を占めるが、不正などによって信用は失墜した=ロイター
TDI = Turbocharged Direct Injection の略

 2017年まで時計の針を進め、当時のビートルと同じくらい先駆的な新車の発表に話を移そう。米テスラの「モデル3がそれだ。同社のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、モデル3は初の大衆市場向けの電気自動車になると考えている。ドイツでの反応は、多大な関心と羨望とパニックが同等に入り交じったものだった。なぜドイツ企業がこれを作らなかったのか――。

 自動車はドイツの国民心理の中心的な位置を占めている。輸送の手段というよりは、むしろドイツ人の性格の一番いい部分をすべて収束したものであり、効率性、信頼性、精密さに代表される「最高の追求」だ。「Vorsprung durch Technik(ドイツ語で技術による先進の意)」はアウディの標語であるだけでなく、国家的な努力として、自動車はたゆまぬ革新的精神そのものを映していた。

 過去数十年間にわたり、自動車は自由と移動手段を求めるロマンチックな衝動のシンボルでもあった。ドイツのバンド「クラフトワーク」の有名な曲でたたえられているアウトバーンは、欧州で唯一、速度制限のない高速道路だ。また、車以上にステータスを暗示する良い方法はない。割と最近まで、自尊心のある成功したドイツ人は誰もが数年ごとに車を乗り換えていた。

 だが、そうした車を生産する産業は存亡の危機に巻き込まれている。VWのディーゼル排ガス不正スキャンダルが冷めやらぬうちに、大手自動車メーカーが数十年にわたり技術について共謀してきたという疑惑が浮上した。自動車業界の評判と「ドイツ製」のブランドは失墜してしまった。

 このブランドはすでに、カーシェアリング電気自動車、自動運転システムなど、次第に米シリコンバレーが支配するようになっているイノベーションに脅かされていた。自動車業界の経営者らは、怒涛(どとう)のような非難に直面しており、慢心、保守主義、そしてあからさまな違法行為を疑われている。業界の経営トップは2日、ディーゼルの未来についてドイツ閣僚と話し合うためにベルリンに集まる。ディーゼルは、業界の健全性にとって極めて重要だが、国民の健康にとっては次第に有害と見なされるようになった技術だ。

 筆者のような外国人にとっては、立場がこれほど逆転するのを見ると不安な気持ちになる。英国と米国では、確立された組織が近年、壊滅的な信頼喪失を目の当たりにしてきた。だが、ドイツはおおむね混乱と無縁でいられた。ドイツ経済は2008年の不況を比較的無傷で乗り切ったことから、政財界にとっては普段と変わらぬ生活が続いた。

 労働者の代表が取締役会に名前を連ねる、合意に基づく大企業の文化は、体制の安定を維持することに寄与した。ドイツ銀行のジョン・クライアン最高経営責任者(CEO)など数人の例外を除くと、経営者が国民の怒りを買うこともめったにない。もしかしたら、それはドイツ人経営者が一般的に米国人経営者ほど稼いでいないためかもしれない。ドイツの経営者報酬は2015年の平均で510万ユーロと、米国の1640万ユーロを大きく下回っている。

 だが、不満は募っている。昨年の調査は、貯蓄者が低金利に苦しめられる中で銀行に対する信頼感が急激に低下したことを示していた。また、独ビルト紙のために世論調査機関EMNIDが実施した調査では、ドイツ人の過半数が今、自動車メーカーは信用できないと考えていることが分かった。
 
ドイツ人はまだ、「Exportweltmeister(輸出世界チャンピオンの意)」としての国のアイデンティティーの要である自動車産業に誇りを持っている。実際、VWとメルセデス・ベンツ、BMWはドイツの貿易黒字の半分を占めている。だが、脅威にさらされているのは、まさにこの支配力だ。テスラのモデル3が発表されたのと同じ月に、英国はフランスに続き、2040年までに化石燃料を動力とした自動車を完全に廃止することを誓った。これはドイツ人にとって潜在的に大きな打撃となる。産業労働者のおよそ10%が内燃機関に依存しているからだ。それからわずか数日後には、ドイツの裁判所が古いディーゼル車をアップグレードする自動車メーカー各社の計画を不十分として却下し、よりによってダイムラーが本社を置くシュツットガルトで運転が禁止される可能性が出てきた。

 破滅を暗示する予言は、国家的衰退について警鐘を鳴らしている。ビルト紙のあるコラムニストは、自動車産業は石炭産業や家電産業と同じ運命をたどりかねないと述べた。果たしてダイムラーがグルンディッヒやブラウプンクトといった企業の後に続く可能性があるのだろうか。

 1885年に生産された史上初の自動車「ベンツ・パテント・モトールワーゲン」は、シュツットガルトのメルセデス・ベンツ博物館の目玉展示物だ。ドイツにとって悪夢は、ベンツの発明が生み出した輝かしい近代産業が過去の遺物になるかもしれないことだ。

By Guy Chazan
(2017年8月2日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK02H2L_S7A800C1000000/



その結果、ディーゼル車530万台の修理を、根本的と言うよりもどちらかと言うと安直なリーズナブルな負担でメーカーが行うことを決めてしまった。そして大都市へのディーゼル車の乗り入れは、禁止されることはなく継続されることになった。
(続く)
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続続・次世代エコカー・本命は?(105)

2017-08-28 00:00:00 | Weblog

原油価格低迷の意味

 国際エネルギー機関(IEA)によれば、2015年の世界の石油需要の約56%は輸送用燃料であり、そのうち約8割が自動車燃料と考えられる。産油国にしてみれば、今回のフランス政府の方針表明は、市場における核心的な需要の喪失を意味する。既に、インド政府も、2030年を目途にガソリン車の販売禁止の方向を打ち出しており、一部の北欧諸国も同様の検討を行っているといわれる。

 産油国としては、こうした動きが続くことを警戒していることであろう。

 しかし、OPEC産油国は地球温暖化対策に対抗するための措置を、既に2014年秋の段階で講じていると見られる。

 2014年11月のOPEC総会におけるシェア確保戦略発動による減産見送り決議である。一般的には、シェールオイルの増産に対抗して、価格戦争を仕掛けたとされている。バレル当たり100ドルから50ドル水準への価格引き下げによって、生産コストの高いシェールオイル減産を目指したことは確かである。

 同時に、高価格を維持することによる需要減少と石油代替技術の開発の阻止を目指したものとも考えられる。OPEC産油国にとって、シェア確保戦略とは、現在の石油市場のシェアも重要であるが、将来のエネルギー市場における石油のシェアの維持も視野に入れた構想である。

 特にサウジアラビアにとっては、「石器時代が終わったのは石がなくなったからではない」(ヤマニ元石油相)。シェール革命も、技術革新による資源制約の克服であった。サウジは石油資源の枯渇よりも、石油の需要を奪う新技術の登場を一番恐れている。サウジアラムコ(国営石油会社)の新規株式上場(IPO)も、地球温暖化対策による原油資産の座礁資産(Stranded Asset、資金回収できなくなる資産のこと)化に対するリスク分散、一種の「保険」であるとする見方もある。

 現時点においてEVは、走行距離の問題やバッテリー寿命などの技術的問題、給電施設などインフラの問題があって、まだまだ普及段階とは言えない。だが、将来技術開発が進めば、そうした問題点は一つずつ解決されてゆくだろう。

 EVの普及を先送りさせるには、産油国として打つ手は、財政赤字に耐えつつ、原油価格を低迷させ、技術開発のインセンティブをそぐことぐらいしか考えられない。

 おそらく、2016年の年末以降、協調減産でOPECと行動を共にしているロシア等の非加盟主要産油国にしても、同じ認識を持っているであろう。

 最大の産油国であり、最大の自動車生産国である、アメリカはどうか。エネルギーの自立(自給化)と同時に、自国の雇用の確保を目指すトランプ政権にとっては、パリ協定や地球温暖化対策など、関係ない。現状の方針を進めてゆくしかない。

 そうなると、OPECと非加盟主要産油国は、短期的にはシェールオイルとシェアを争い、中長期的には石油代替技術と需要を争いつつ、現状程度の協調減産を続けていくことになる。

 したがって、今後、相当長期にわたって、原油価格は現状程度で低迷を続けるのではないかと考える。

このコラムについて

石油「新三国志」

 2016年末、今後のエネルギー業界を揺るがす出来事が重なった。1つはサウジアラビアが主導するOPEC(石油輸出国機構)とロシアなど非加盟国が15年ぶりに協調減産で合意したこと。もう1つは米国内のエネルギー産業の活性化を目論むドナルド・トランプ氏が米国大統領に就任したことだ。サウジとロシア中心の産油国連合による需給調整は原油価格の下値を支えるが、トランプ政権の規制緩和などにより米シェール業者の価格競争力は高まり原油価格の上値は抑制されるだろう。将来の原油需要のピークアウトが予想される中、米・露・サウジの三大産油国が主導し、負担を分担する新たな国際石油市場のスキームが誕生しつつある。その石油「新三国志」を、石油業界に35年携わってきた著者が解説していく。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/022700114/072400008/?P=4



フランスの内燃機関自動車販売禁止方針は、ディーゼル自動車技術に対するギブアップ宣言であり、フランス自動車業界に対する「転身」要請かもしれない。」と書かれているように、フランス政府は自国の自動車業界に対して、ディーゼルから電動化への転身を促しているものと思われる。

ディーゼルに関しては、ルノーと言えども不正がなかったとは言えない状況であり、フランス政府もある意味早急にディーゼルからの脱却を図りたかったものと思われる。

何故かと言うと、今年の3月には、カルロス・ゴーンの了解の下にルノーも排ガス不正をしていたのではないかとの報道がなされており、その1年前には窒素酸化物のNOxの排出量が規制値をかなり超えていたために、ルノーは当局の取り調べを受けている。

この件は当ブログの2017.6.6NO.47~などを参照願いたいが、この件でゴーンは日産自動車の社長の座から退いたものと思われるのだが、そんなこともありフランス政府は自国の自動車産業を、この「モビリティ革命」から守りたいと思ったのではないのかな、などと邪推もできる。


そろそろ自動車業界でもいろいろな動きが現れてくることであろうが、排ガス不正の張本人の国の肝心なドイツの動きはどんなものであろうか。

先ずドイツの電源事情は、原子力発電からの撤退を宣言しているので、電動化への転身にははなはだ不都合な状態である。

ドイツは石炭火力が主で、「発電における石炭と天然ガスへの依存度はそれぞれ46%と13%だ。自然エネルギーが21%と比較的高いものの、火力比率が高いため、電化は温暖化対策にならない。」と書かれているように、ドイツの電源事情には非常に問題がある。

更にはドイツはフランスと違った世界第4位の自動車大国なので、いくら排ガス不正の当事国だと言っても、おいそれとは電動化へと(政府としては)舵を切るには規模がでかすぎる、と言ったところである。

しかも石炭からガスに火力発電の燃料を切り替えようとしても、その天然ガスは自国では算出しないので、今はロシアからの輸入に頼っている状況であるので、なおさら始末が悪い。経済制裁の対象国からの輸入は、早々には増やせないのであろう。

だからドイツは簡単にはディーゼル車などのICEVの禁止には、同意し難いのであるが、しかもドイツ国内では「自動車メーカーは信用できない」と言うのが、世論の大半となっているので尚更性質が悪い上に、自動車に関してはリーダーであったドイツではあるが、このところアメリカ勢に押されているからメルケルも気が気ではないのであろう。シリコンバレーしかり、テスラしかりである。

メルケルにしては、ディーゼル廃止の時の流れには逆らえないが、そうかといってICEVは廃止すると言って国内産業を衰退させてしまっては、労働者からの総スカンを食わないとも限らないので、自身の存立の問題ともなりかねない。9月には議会選挙もあることであるし、態度をはっきりしかねていると言うよりもはっきり言わないと言うところなのであろう。

もともとドイツと言う国は、自分に都合がよければ友達でも裏切ることが出来る、と言う性格の国である。対外的にはいい顔をして、自国産業の保護を優先することになろう。

(VWの排ガス不正のその最たる例である。日本が中国で内戦に引っ張り込まれた原因は、このドイツの裏切りがあったからである。ドイツは日本と同盟関係にありながら、中国から希少金属などを買うために中国を裏で軍事援助をして武器を売り込み、日本と戦争をするように蒋介石を焚きつけていた。)

(続く)
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続続・次世代エコカー・本命は?(104)

2017-08-25 00:00:00 | Weblog

パリ協定の性格

 2017年6月1日、トランプ大統領は、選挙公約に従って、米国のパリ協定からの脱退を発表した。ただ、実際の脱退は、発効3年後から通告可能で、通告の1年後に効力を有することから、将来の話になる。

 そのトランプ大統領のG20ハンブルグ会議とフランス訪問の直前のタイミングで、パリ協定のホスト国として、地球温暖化対策の積極的推進を表明し、リーダーシップを取ろうとしたマクロン大統領の政治的決断は「凄い」というほかない。

 特に近年、EU(欧州連合)内では、メルケル独首相の主導権が目立ち、フランスの影が薄くなっていただけに、マクロン大統領の国際的な発言力強化につながるものであった。環境立国は、EUとしての未来戦略でもある。

 パリ協定は、2015年11〜12月にパリで開催された、第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で締結され、16年11月発効した国際条約である。しかし、パリ協定は、同床異夢の産物であり、内容が十分に整合的であるとは言い難い。

 パリ協定では、まず世界共通の長期削減目標として、産業革命前からの気温上昇を2度(可能ならば1.5度)未満に抑制するとし、先進国だけでなくすべての国が削減目標を自ら策定し、国内措置を履行、5年毎に目標を提出することとした。

 ところが、各国目標が達成されても、削減量が大きく不足し、全体目標は達成できないことから、各国は5年ごとに目標を見直し、これを強化していくこととされている。「グローバル・ストックテイク」と呼ばれる一連の仕組みだ。

 COP21終了後、会議報告を聞いた時、環境NPO・環境省関係者は2度目標の合意を、産業界・経産省関係者は各国目標の履行を強調していた。筆者は同じ会議の報告とは思えなかったことを記憶している。当然、EU各国は、全体目標の実現を重視している。

ディーゼル車の行き詰まり

 実は、米国は脱退するまでもなく、パリ協定で自ら課した削減目標(2025年に2005年比26~28%削減)の達成は何ら難しいことではない。シェール革命により、米国内の天然ガス(パイプラインガス)価格が下がり、火力発電用燃料は石炭からガスにシフトしており、二酸化炭素排出量は順調に減り続けている。

 したがって、トランプ大統領がいくら石炭復権を叫んでもその実現は難しい。米国石炭産業の後退は、パリ協定ではなく、シェール革命によるものである。そのため、トランプ大統領にとっての問題は、目標見直し時の目標の緩和禁止規定の解釈の問題に過ぎないとする指摘もある。

 確かに、地球温暖化対策は人類の持続的発展にとって喫緊の課題ではあるが、先進工業国において、現時点で、現状の自動車産業を否定する政策方針を打ち出すことは、驚きである。

 現在の自動車産業は、エンジンをはじめ部品点数も多く、関連産業のすそ野も広く、雇用に与える影響も大きい。日本自動車工業会によれば、車体・部品関連の製造業雇用者だけで約80万人、販売・サービス等の自動車関連産業全体では550万人の雇用者があるといわれる。それに対し、EVは、モーターを中心に部品点数も少なく、雇用吸収力も必ずしも大きいとは言えない。わが国では、こうした決定を国民的議論なしに突如発表することは無茶な話だろう。

 現時点で、フランスが内燃機関自動車の禁止方針を打ち出した背景には、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)による米国燃費規制違反を契機とするディーゼル乗用車の技術的限界もあるのであろう。7月18日には、独ダイムラーが燃費規制とは無関係としつつも、「メルセデス・ベンツ」ブランドのディーゼル車の大規模リコールを発表したところであり、また、7月5日には、スウェーデンのボルボ2020年には販売全車種を電動車にすると発表している。

 伝統的に、フランスを代表する自動車会社ルノーを含め、欧州系の自動車メーカーは、ディーゼル乗用車に強い。にもかかわらず打ち出されたフランスの内燃機関自動車販売禁止方針は、ディーゼル自動車技術に対するギブアップ宣言であり、フランス自動車業界に対する「転身」要請かもしれない。

 わが国では、石原慎太郎・元東京都知事のディーゼル排ガス規制時の経緯からディーゼル車へのイメージが悪いが、欧州では、ディーゼル車はガソリン車よりむしろハイテクなイメージがあり、燃費不正発覚以前には、乗用車の新車登録ベースで、ガソリン車よりディーゼル車の方が、むしろ多かった。同クラスの乗用車で、ディーゼル車の方が20%程度燃費が良いこと、燃料税もガソリンよりディーゼルが安い国が多いことも、欧州のディーゼル車人気の要因であった。

 一般に、燃費規制排ガス規制の間には、エンジンの構造上、トレードオフの関係があるといわれる。公害問題華やかなりし時代には、大気汚染対策としての排ガス規制の強化が進んだが、その後の地球温暖化が問題となってからは、燃費規制が徐々に強化されてきた。そうした中で、燃費規制と大気汚染対策、特に窒素酸化物(NOx)規制を両立させることが難しくなってきたことが、VWの燃費不正の背景にある。その後、燃費不正は、多くのディーゼル車メーカーに広がった。

 なお、マクロン大統領は、前のオランド政権の経済・産業・デジタル大臣時代、ルノーに対する政府関与を巡って、ゴーン率いる経営陣と対立したこともあった。だが、ルノーは早い段階からEVの本格的導入に向けて取り組んでおり、わが国でもEVに強いと見られる日産自動車・三菱自動車と資本提携している。

原子力発電による電気

 もう一つ、フランスが内燃機関自動車の禁止方針を打ち出し、EV等の電動車に舵を切った背景には、フランスの電力がほとんど二酸化炭素を排出せずに作られていることもある。

 電気事業連合会の資料によれば、フランスにおける電源別発電電力の構成比(2014年)は、石炭・石油・天然ガスで5%、原子力で77%、水力・再生可能エネルギーその他で17%だった。化石燃料起源の電力は5%に過ぎず、8割近くが原子力起源の電力で、クリーンな電力であると言える。

 これに対し、わが国では、化石燃料86%・原子力0%・再生可能エネルギー14%と、化石燃料起源の電力が圧倒的に多く、現時点では、EVは温暖化対策にならない。自動車の走行段階でCO2排出がなくとも、発電段階でCO2を出すのではトータルでクリーンな自動車とは言えない

 1970年代に石油危機を2度経験し、フランスでは、エネルギー安全保障確保の観点から、石油依存脱却の切り札として、原子力発電の強化を図って来た。チェルノブイリ事故が起きても、また福島第一原発の事故の後でも、原子力への依存・信頼は揺るがなかった。「中東の石油より、自国の科学者を信じる」という言葉もあった。2016年の一次エネルギー供給ベースでも石油が32%に対し原子力は39%を占めた(英エネルギー大手BPが毎年発行している「BP統計」2017年版)。

 その取り組みが、地球温暖化対策においても、功を奏していると言える。そもそも、パリ協定自体、そうした確固としたエネルギーの基盤がフランスになければ、まとまらなかったに違いない。わが国が直面している環境保全・エネルギー安全保障・経済成長のいわゆる「3E」のトリレンマから、フランスは解放されているのである。

ドイツの立場

 フランスの内燃機関自動車禁止方針発表に、最もショックを受けたのは、ドイツのメルケル首相であったかもしれない。ドイツは、EU内でフランスと並ぶ環境保護国家であり、温暖化対策のリーダーである。しかし、現時点では、フランス同様に、将来の内燃機関自動車禁止方針は打ち出せないであろう。

 なぜならば、国内自動車産業の規模がフランスの約3倍であるからだ。2016年の世界の自動車生産量は、中国2812万台、米国1220万台、日本920万台、ドイツ606万台がトップ4位であり、フランスは第10位の208万台である(日本自動車工業会調べ)。

 また、発電における石炭と天然ガスへの依存度はそれぞれ46%と13%だ。自然エネルギーが21%と比較的高いものの、火力比率が高いため、電化は温暖化対策にならない。

 ドイツは、温暖化対策先進国と言われながら、ロシアからの天然ガス依存上昇に対する安全保障の配慮からか、石炭火力を温存する政策を伝統的に採用してきた。政治的にも、石炭労組の発言力は未だに強い。原子力発電の将来的廃止を打ち出す中、今後は、日本同様、「3E」のトリレンマから抜け出すことは難しくなるものと思われる。
(続く)
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続続・次世代エコカー・本命は?(103)

2017-08-24 00:00:00 | Weblog

■高まる英国生産のリスク

 だが足元で状況は変わりつつある。昨年からの英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を巡って、外資系企業が現地生産を続けるリスクが顕在化してきた。米ゼネラル・モーターズ(GM)が英国に2拠点を構える子会社の独オペルを売却した一因だ。今度は英国の脱ガソリン・ディーゼル車のリスクが加わり、国内で売れないエンジンを生産し続ける意味は大きく低下する。

 一部企業は動き出している。独BMWは25日、傘下の英国ブランド「ミニ」初のEVを19年から英国で組み立てると発表した。JLRは昨秋、18年から1回の充電で500キロメートル走行できるEVを販売する計画を明らかにした。

 日本勢はどうか。トヨタは足元のHV販売が欧州でも好調で、4割近い伸びが続く。だが英政府の方針ではHVも禁止対象になり、長期戦略の見直しを迫られそう。HV主軸だったホンダも似ている。一方、日産は欧州ではEV販売で先行し、提携先の仏ルノーと足並みをそろえシフトはしやすい。日本車3社の株価は26日そろって上昇した。まだ株式市場は影響を注視している段階のようだ。

■洋上風力のコスト低下、方針転換を促す

 英政府の新方針はエネルギー問題とも密接に絡む。政府は25年までに石炭火力発電所の運転を停止する方針を決めている。日本では日立製作所が参画する原子力発電所に注目が集まるが、石炭の代わりに原発を強く推す声は少数派。最近の話題は洋上風力発電所だ。遠浅の北海で建設しやすく、原発並みの安定した発電量が見込め、コストも下がってきた。

 英政府などがまとめたリポートによると、15~16年に最終的に投資が決まった洋上風力8事業の平均発電コストは、12~14年実績から2割低下。12年時点に政府が掲げた「20年に1000キロワットあたり100ポンド」という目標を4年前倒しで実現した。

 EV普及には充電インフラの整備が不可欠だが、蓄電池価格が低下し分散型の電源の使い勝手も増した。EV普及には電力システムの変革が並行しており、発電時も車の走行時も温暖化ガスを出さない社会の実現に近づくかもしれない。

 次の焦点はドイツの動き。ドイツでも脱ガソリン・ディーゼル車の議論は根強く、フォルクスワーゲン(VW)など3強はそろってEVシフトを打ち出している。EUは加盟国の基礎票28票を使い、旧植民地などを巻き込みながら国際会議の議論を主導。グローバルに企業活動も規定する「デジュール・スタンダード(公的標準)」づくりは得意技で、化学品規制などの先行例はある。EVの経済性の議論だけでなく、政治力のある欧州主要国がEVシフト・脱石炭に動き出した深謀にも目をこらす必要がある。

(加藤貴行)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ26HHH_W7A720C1000000/?n_cid=NMAIL002



アメリカは、トランプが石炭産業を擁護しても、シェール革命が進行しているためにアメリカの石炭産業は衰退してゆくのではないか、と次の論考は言っている。そして価格の安いシェールガスに、黙っていても火力発電用燃料はシフトしてゆくので、トランプが「パリ協定」から脱退すると言っても、アメリカのCO2排出量は自然と減少しているとのこと。

何もトランプの妄言には心配はいらないようだが、ではなぜフランスはICEVの販売禁止を言い出したのか。

先ず一つには、フランスがCOP21ホスト国であり、「パリ協定」の言い出しっぺであること。だから地球温暖化に対しては、世間が「アッと驚くこと」を発表する必要があった、訳だ。

そんな気まぐれで自動車の禁止を言い渡されては堪(たま)ったものではないが、フランス自動車業界では、主要な存在であるディーゼル乗用車の技術的限界に突き当たっており、次の世に自国の自動車産業を向かわせる必要を政府としては感じていた、と言うのが第二の理由である。

禁止でもしない限り、電動化に乗り遅れてしまいかねないと、政府は危惧したかもしれない。

第三の理由は、フランスの電力事情が原子力発電が中心であった事である。フランスでは電力の大半が原子力発電で賄われているという。原子力77%、石炭・石油が5%、再生可能エネルギーが17%と、化石燃料が5%に過ぎないからである。

だからいくらEVが電気を使っても、その電力はCO2フリーに近い形で供給されるからである。

そのため環境保全とエネルギー確保に対しては、両立させることが出来るのであり、温暖化対策を強化しても経済発展に対しては、何の制約ももたらさないのである。

日本の場合は、経済を成長させるためには電気が必要であり、それは石油を燃やす火力発電に頼らなければならないことに、現状ではなっている。そうするとCO2を大量にばらまくことになり、環境問題を引き起こすことになる。

日本は現在、Environment、Energy、Economyの「3E」のTrilemmaトリレンマに陥っているが、フランスは3Eトリレンマからは解放されているのである。

そしてまた、電気自動車の拡大やそれに伴う原子力発電、再生可能エネルギーの利用拡大は、中東産油国にとっては、重大な関心事項となっていると言う。

次の論考を参照願う。



フランスがガソリン車の販売を禁止する真の理由
石油「新三国志」
産油国は低価格戦略で対抗するしか道がないのか
2017年7月27日(木)
橋爪 吉博


フランスのマクロン大統領は最大の政治的効果を狙って、仏米首脳会談の直前に内燃機関自動車の販売禁止方針を打ち出した。その背景には自国の自動車産業電源構成を冷静に見極めた深い戦略がある(写真:Sipa USA/amanaimages)

 7月6日フランスのユロ・エコロジー大臣(環境連帯移行大臣)は、2040年までに二酸化炭素の排出削減のため、国内におけるガソリン車およびディーゼル車販売を禁止すると発表した。

 具体的内容やそこに至る道筋など詳細は明らかにされていない。また、EV(電気自動車)の走行距離やバッテリー寿命など技術的課題、そして給電インフラや産業構造転換など社会経済的課題が現時点では解決されていないことから、実現は難しいとする見方もある。

 しかし、フランス政府の発表は、G7の先進国政府として初めての、内燃機関自動車の販売禁止方針の表明である(7月26日には英国も2040年までにガソリン・ディーゼル車の販売を禁止する方針を打ち出した)。そして、パリ協定離脱を宣言した米トランプ大統領が初めて出席するG20(7月上旬にドイツ・ハンブルグで開かれた20カ国・地域首脳会議、以下G20ハンブルグ会議)とフランス訪問の直前という絶妙のタイミングで、最大の政治的効果を狙って打ち出された、マクロン仏新大統領の決断であった。

 本稿では、このフランスの発表の狙いと背景を分析するとともに、今後の産油国、特に三大産油国の対応について検討してみたい。
(続く)
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続続・次世代エコカー・本命は?(102)

2017-08-23 00:00:00 | Weblog

まあ排気ガスを排出する内燃機関ICEVのクルマの販売を禁止する目的は、地球温暖化の防止大気汚染を防止するためである。今までCO2で代表して言及していた排気ガス問題であるが、CO2はどちらかと言うと地球温暖化に関与し、大気汚染には窒素酸化物のNOxが主に関与している。ディーゼルエンジンはCO2の排出が少ないため、欧州では排気ガス対策にはNOx対策を必要とするディーセルエンジン車で済ませるつもりであった。

当然NOx対策も必要となるが、それは別仕立ての仕組みで済まそうとしていたものが、例のフォルクスワーゲンの2015.5月のアメリカでの排ガス不正問題で、それもおじゃんとなってしまった。

そのため「パリ協定」の排ガス対策には、欧州は、EVまっしぐらとなっている。

VWのディーゼル車の排ガス不正は、排気ガス中のNOxを分解するための排ガス中に噴射する尿素水の量を、通常走行中にケチったためである。



尿素水がなぜ必要か

排気ガス対策とは

自動車NOx・PM法改正後の基準を満たすためには、トラック・バスの排気ガス対策が必要です。
排気ガス対策のための装置の一つが、尿素水によって有害物質を分解する「尿素SCRシステム」です。以下では、尿素SCRシステムの概要をご説明します。

尿素SCRシステムとは

尿素SCRシステムとは、尿素水を排気ガスに噴射することでNOx(窒素酸化物)を分解するシステムです。尿素水に含まれるアンモニア(NH3)が窒素酸化物(NOx)と化学反応し、窒素(N2)と水(H2O)に還元されます。この仕組みにより有害な窒素酸化物は、無害な物質に分解されます。
http://eco2light.com/about/index.html


クルマの台上試験では、その尿素水の噴射を通常通りになるように仕込んで、NOxを分解させて試験をパスさせるが、通常走行ではその尿素水の噴射をさせないようにするか極端に少なくするように仕組んだソフトを組み込んでいたからである。

欧州のディーゼル車は、VWに限らず他のメーカーも同様に同じようなソフトを搭載していたようで、
Mercedes Benz、Audi、BMW、Porsche を含むドイツ5社は、どうも結託していたようで、すべて違法ソフトを組み込んでいた様だ。BMWだけは、「そんなことはしていない」と頑強に否定して、リコールを拒んでいるようだが、他社は無償修理に応じたようだ。



BMW、「独車5社がカルテル」現地報道を否定
2017/7/24 18:57
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

 【フランクフルト=深尾幸生】独BMWは23日、独自動車大手5社がカルテルを結んでいたという独誌の報道を否定した。「BMWの自動車は不正を犯しておらず、法規を満たしている。ディーゼル車も当然含む」とのコメントを発表した。

 BMWや独フォルクスワーゲン(VW)、独ダイムラーなどは、ディーゼル車の排ガス浄化装置の尿素タンクを小さくするように談合したと報じられた。「BMWが適切な排ガス処理をしていないとの批判は明確に否定する」と述べた。

 他社との話し合いについては尿素を供給するためのインフラの設置についてだったとしている。BMWは複数の技術を組み合わせることで、他社に比べて尿素の注入量が少なく済むという。

 ダイムラーやアウディが最新の排出規制(ユーロ6)のもとで発売した車種についてもソフトの更新をする方針を発表したが、BMWは「BMWのユーロ6対応のディーゼル車はリコール(回収・無償修理)もソフト更新も必要ない」と強調した。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ24HOJ_U7A720C1TI1000/?n_cid=SPTMG002



イギリスはこのディーゼルの排気ガスに相当悩んでいたようで、フランスのICEVの販売禁止の発表に喜んで便乗したようだ。ブレグジットを控えるイギリスは、クルマがEUから技術的に遅れてしまっては、ますます取り残されてしまうとの焦りもあったことであろう。思い切ったことをしたものだ。イギリスの自動車メーカーは、いずれにしても、電動化へ大変革を迫られることになる。

そうなるとイギリスでクルマを生産するメリットは益々無くなることにはならないのかな。トヨタなどはイギリスから脱出することを真剣に考えた方がよい。早ければ早い方がよいのでは。



止まらぬ「脱ガソリン・ディーゼル車」ドミノ

2017/7/26 15:32  ニュースソース  日本経済新聞 電子版

 欧州発の「脱ガソリン・ディーゼル車」ドミノが止まらない。英政府が2040年までに販売を禁止する方針を発表すると、英メディアが25日一斉に報じた。今月上旬に同様の方針を打ち出したフランスに次ぐ動きだ。18世紀、蒸気機関の発明と国産石炭の活用で世界を引っ張った英国の産業転換の象徴となる。英国に進出する日本の自動車大手の影響も大きい。

■大気汚染対策を徹底、HVも販売禁止へ

英国に拠点を置く自動車大手はEU離脱に次ぎ、脱ガソリン・ディーゼル車の対応も迫られる(日産自動車のサンダーランド工場)=ロイター

 「政府はディーゼル・ペトロール(ガソリン)の終わりを発表へ。2040年までにすべての新車は完全に電動化しなければならない」。英紙タイムズ(電子版)はこう報じた。ゴーブ環境相が26日に方針を発表するという。タイムズや英紙ガーディアン(同)によると、ガソリン車やディーゼル車だけなく、これらにモーターをつけたハイブリッド車(HV)も禁止の対象になる。

 フランス地球温暖化対策が目的だったのに対し、英国の主眼は大気汚染対策にある。英メディアによると、ディーゼル車がはき出す窒素酸化物(NOX)などの有害物質で、国内では約4万人が死亡しているという。英政府の方針では、20年以降は大気汚染対策に改善がみられないディーゼル車に対し、地方自治体が課税できるようにもなるという。

 もっとも英国が電気自動車(EV)に全面移行するまでのハードルは高い。英国の新車販売(16年)に占めるEV比率はわずか0.4%、プラグインハイブリッド車(PHV)を加えてようやく1.4%だ。同様に内燃機関の車の販売禁止に動くフランスやオランダ、ノルウェーといった他の欧州主要国と比べ極めて低い。

 英政府の方針は自動車業界に大転換を迫る。一時は産業が衰退したが、サッチャー政権が外資を積極的に呼び込んだ。その結果、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダや独米勢が現地に工場を建設したり、現地の企業を買収したりした。08年には旧植民地インドのタタ自動車が英ジャガー・ランドローバー(JLR)を買収する象徴的な事例も。典型的な「ウィンブルドン現象」で「メード・イン・ブリテン」の自動車はよみがえった。

(続く)
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続続・次世代エコカー・本命は?(101)

2017-08-22 00:00:00 | Weblog

またルノーは次の示すようなシティーコミューターも持っているので、EV化にはおさおさ怠りがないものと推察できる。



2017.7月某日、ブルターニュのキブロンのさるホテル前にあったシティーコミューター「Twizyツイージー
価格は約100万円弱、2人乗りの475kg、L=2.33m、W=1.4m、リチウムイオン電池、17bhpモーター、最高速度は80km、航続距離100km だと言う。充電は3~4h、スペインのルノー工場で生産。


そして、フランスに倣って、イギリスまでもがガソリン車やディーゼル車の販売を2040年には禁止する、と言い出した。ブレグジツトと合わせてイギリで生産する自動車メーカーには、大変革をもたらすものとなろう。どうする、トヨタ?





欧州発、電気自動車シフト 「脱石油」世界の潮流に
2017/7/27 0:49
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

 【ロンドン=黄田和宏】欧州発の電気自動車(EV)シフトが加速している。英政府は26日、2040年までにガソリン車やディーゼル車の販売を全面的に禁止すると発表した。世界の石油消費の7割弱は自動車など輸送用が占めるが、環境対策として「脱石油」が世界的な潮流になりつつある。自動車メーカーの戦略や需要が伸びる電力の確保に向けたエネルギー政策は対応を迫られる。

26日、英政府は2040年までに国内でのガソリン車・ディーゼル車の販売を全面的に禁止すると発表した=ロイター

 英国のゴーブ環境相は26日、英BBCで「新車販売の禁止により(10年間で)ディーゼル車とガソリン車を全廃する」と語った。26日発表した措置は、排ガスによる都市部での深刻な大気汚染問題地球温暖化に対応するのが狙い。EVの普及を促すことで、国内での関連技術の開発を後押しする。

 地方自治体による排ガス抑制策を支援するため、2億5500万ポンド(約370億円)の予算を用意し大気汚染対策に計約30億ポンドを投じる。汚染が深刻な地域では、規定を満たさない車両の乗り入れ禁止や通行に課金するなどの措置も導入する。

 欧州では燃費に優れるディーゼル車の利用が多いが、最近は車から排出される窒素酸化物(NOx)により大気汚染の問題が深刻になっている。独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)による排ガス不正問題の発覚などにより、ディーゼル車の性能に対する不信の高まりも全面禁止の動きを後押ししている。

 環境意識の高い欧州では、オランダノルウェーで25年以降のディーゼル車やガソリン車の販売禁止を検討する動きもある。自動車大国のドイツでも昨秋に30年までにガソリン車などの販売を禁止する決議が国会で採択された。法制化には至っていないが、「脱燃料車」の機運が高まっている。

 うねりはアジアにも及んでいる。インド政府は今年4月「30年までに販売する車をすべてEVにする」との目標を表明し、中国でも類似の政策が打ち出されている。一気にEVにシフトして自国の有力産業に育成しようとの思惑も働いている。

 日本政府も30年までに新車販売に占めるEVやプラグインハイブリッド(PHV)などの割合を5~7割にする目標を掲げる。ただ従来型の燃料車向けの部品など多くの関連メーカーがあるだけに、大胆な政策変更をしにくい面もある。

 国際エネルギー機関(IEA)によると、16年のEVなどの新車販売は75万台超。累計では200万台を超えた。20年には最大2千万台、25年には同7千万台と予測する。

 EVの普及はガソリン需要を押し下げる。経済産業省が6月に公表したエネルギー白書によれば、世界の石油消費の内訳は自動車など輸送用が14年時点で65%を占めた。格付け会社フィッチ・レーティングスは欧州の新車販売割合でEVが10年以上5割を保つと、ガソリン需要が4分の1減ると分析する。

 逆に電力需要は伸びる。例えば日本では、すべての乗用車がEVに替わると消費電力量は単純計算で1割増えるとの試算もある。EVシフトを進めるには電力の供給量確保がカギになる。

 英国は環境に配慮して風力などの再生可能エネルギーの比率を2割強に高め、石炭への依存を減らしているが、電力供給は現状でも綱渡りだ。原子力発電所の老朽化により、新規の原発を予定通り建設できなければ、20年代にも電力不足に陥るおそれがある。

 欧州を中心に再生エネルギーは発電コストが低下しているが、原発は福島第1原発事故をきっかけに世界的にも推進が容易ではなくなっている。EVシフトを進めるには、温暖化や大気汚染の対策と両立させながら電力需要拡大に対応するエネルギー政策が求められる。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDC26H3R_W7A720C1EA2000/
(続く)
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続続・次世代エコカー・本命は?(100)

2017-08-21 00:00:00 | Weblog

前章でも触れたように、2015.12.12に「パリ協定」が採択され2016.11.4にそれが発効している。

これで(アメリカのトランプは抜けてしまったが)全世界が、地球の温暖化を防ぐためには、地球の気温上昇を産業革命以前よりも2℃未満に抑えることをしなければならなくなった訳だ。さもないと地球は(大袈裟に言うと)焼け焦げてしまいかねないのだ。そのためには地球上のCO2排出を、2050年までには、ゼロにしなければならないのである。

COP21の議長国であったフランスローラン・ファビウス外相が、汗水たらしてまとめ上げたこの「パリ協定」を、実のあるものにしてゆかなければならないという自負が、フランスにはある。

従ってオランドから代わったフランス大統領のマクロンは、アメリカのトランプに対しても、地球温暖化対策では完全な主導権をとってCO2削減の進めてゆく必要があると考えている。アメリカのトランプに対しても、己の発言(パリ協定からの離脱)が間違っていたと言う事を、思い知らせる必要があると考えていたに違いない。

そんな時(2017.7.7~8)に、ドイツ・ハンブルグで「主要20か国・地域(G20)首脳会議」が開かれた。当然アメリカのトランプも出席する。このG20では、自由貿易気候変動が主要議題(それに北朝鮮問題)となることは、当然の成り行きであった。

幸いにしてこの会議では、米国が離脱を決めた地球温暖化対策「パリ協定」履行では、アメリカを除く19か国・地域がまとまることが出来、アメリカなしでも行動が出来ることを示したものと見られている。

マクロン大統領は、ここぞとばかりに、「パリ協定」離脱を表明したアメリカのトランプに、気候問題を当て付ける必要があると考えたのではないのかな。

まあそれだけでもないのかも知れないがG20開催日前日に、フランスとしての二酸化炭素(CO2)排出削減の計画を発表したのだった。その柱の一つが、2040年までにガソリン車とディーゼル車などの走行時にCO2を排出する車の販売禁止すると言うものである。

フランスには、ルノーの電気自動車「ゾエZoe」と言うものがあるが、それほどは売れていないと言う。

2012年発売開始したZOEは、当初160kmしか走らなかったものだが210km、240kmと伸ばして、2016.4月には累計生産台数が5万台に達したと言う。2016.9月のパリモーターショーで発表された最新型は約400km近くは走ると言う。しかし実際には300kmも走れば御の字のようで、同種のバッテリーが次期日産リーフにも搭載されるのではないかと噂されている。日産はバッテリー会社を中国に売っ払うつもりなので、さもありなんと頷ける。



GetNavi クルマ&乗り物
ルノーの新型EV「ゾエ」の航続距離が400kmへ! 日産リーフはどうなる?
2016/10/17 22:13

実際の走行でも300kmは航続

ルノーが欧州市場においてコンパクトEVの「ZOE(ゾエ)」をマイナーチェンジ、発売した。最大の特徴は、大容量バッテリー「ZE40」の搭載により、航続距離が400km(NEDCモード=新欧州ドライビングサイクルモード)にまで延びたことだ。

ルノーによれば、実際の走行では300km程度になるというが、それでも現行型の日産リーフよりは航続距離が長くなりそうで、リーフが改良したあかつきには、同種のバッテリーの搭載が期待される。

なお新型ゾエの標準グレードは「インテンス」で、16インチアルミホイールや電動格納式ドアミラーを装備。また、新型を機に登場した限定車「エディション・ワン」は、レザーシートやBOSEサウンドシステムなどの上級装備をプラス。ボディカラーはイットリウムグレーとなる。
http://getnavi.jp/vehicles/77190/



ルノーは2040年までにはあらゆる種類のEVを投入してくるのではないのかな。あらゆる種類と言うと大げさだが、中心はこの手のコンパクトカーが中心となり、公式用に使われるある程度の大きさの車も当然EVとなる訳で、バッテリーの開発にしゃかりきにならざるを得ないであろう。
(続く)
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続続・次世代エコカー・本命は?(99)

2017-08-19 00:00:00 | Weblog
(12)モビリティ革命の進展や如何に?

トヨタは2015.10.14に「トヨタ環境チャレンジ2050」を発表している。

そこで「6つのチャレンジ」を表明して、2050年には新車や新工場でのCO2の排出を限りなくゼロにすることを約束している。

当ブログの2017.6.15のNO.54を参照願いたいが、その6つを次に羅列してみる。

1. 新車CO2ゼロ、2050年新車CO2排出量90%削減(2010年比)

2. Lifecycle CO2ゼロ

3. 2050年工場CO2排出ゼロ(2010年比)

4. 水環境影響最小化、水使用量最小化 排水管理

5. 循環社会・システム構築、適正処理やリサイクル技術・同システム展開

6. 人と自然が共生する未来、自然保全活動のグル ープから世界へ展開


ここで注目すべきことは、「2050年の新車のCO2排出を限りなくゼロにする」と言う事である。

と言う事はトヨタは新設自工場で2050年に生産する新車は、ほとんどすべてがCO2を排出しないクルマ、即ちEVかFCV(やPHV,HV)にすると言っているのである。しかもその工場でもCO2は排出しないエネルギーを使用して稼働していることになる。

まあ再生可能エネルギー水素の社会になっている、と言う事なのであろう。2050年と言えば、2015年からは34~5年が経過していることになるから、どれほどの工場が新しくなってCO2を排出しないようになっていいるかはわからないが、「天変地異にも等しい変革が起きていることになろう。


などと感心していたら、とんでもない(というわけでもないが)ニュースが伝わってきた。

フランス2040年までにICEV(Internal Combustion Engine Vehicle内燃機関自動車)の販売を禁止すると言うのだ。




フランス、EV社会へ大転換 ガソリン車禁止の余波

2017/7/7 16:05
ニュースソース 日本経済新聞 電子版

 フランス政府が(2017.7.)6日、2040年までに国内のガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する方針を明らかにした。自国に世界大手のメーカーを抱える国が、ガソリン車禁止を明確に打ち出したのは初めて。実はフランスに似た動きは欧州やアジアでも相次ぐ。同日には40年時点で全世界の新車販売に占める電気自動車(EV)比率が5割を超えるとの予測も出た。電動化の流れが一段と加速する。

■G20直前、マクロン流のエコアピール

ルノーのEVは航続距離400キロメートルに達する(3月、ジュネーブ国際自動車ショー)=AP

 仏のユロ・エコロジー相が6日に記者会見し、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」の目標達成に向けた、二酸化炭素(CO2)排出削減の計画を発表した。柱の一つが、40年までのガソリン車など走行時にCO2を排出する車の販売禁止。さらに22年までに予定する石炭火力発電所の停止なども着実に進め、50年までに国全体のCO2排出量を差し引きゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すという。

 7日からはドイツで20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれる。マクロン仏大統領は就任以降、パリ協定からの離脱表明や保護主義的な主張を続けるトランプ米大統領に対抗し、メディアを意識し情報発信をしてきた。トランプ氏も参加するG20を前にした、「マクロン流」の広報戦略の一環とみるのが自然だ。

 産業界への影響は大きい。フランスはルノーとグループPSAの二大メーカーが本社を置き、トヨタ自動車や独ダイムラーも工場を構える。16年の乗用車販売台数は約200万台と、ドイツ、英国に次ぐ欧州第3の規模だ。仏自動車工業会(CCFA)によると、自動車産業に従事するのは約20万人、関連産業も含めると約230万人に達する。

 フランスは欧州ではEV普及に熱心なことで知られるが、限界がある。17年上半期の新車販売ではガソリン車・ディーゼル車が95.2%を占めた。ハイブリッド車(HV)は3.5%、EVは1.2%にとどまるのが実情だ。

 ルノーのEV「ゾエ」は欧州市場のEV販売ランキングで常に上位に位置する。だが、市場全体に占める存在感は小さく、収益貢献もまだ先だ。ユロ氏も、国内自動車メーカーなどへの影響は「厳しい」と認めた。同時に、国内メーカーは他社に先駆け変革をすることができると期待を示した。仏政府はルノーとPSAの大株主で、官民連携で戦略転換を進めやすい面はある。

■各国に広がるガソリン車販売禁止

 欧州ではCO2排出抑制と、都市部の大気汚染対策の両面からディーゼル車などへの逆風は強まる。オランダやノルウェーでは、25年までにガソリンやディーゼルを燃料にする内燃機関の車の販売を禁止する動きがある。

 ドイツも同様のうねりがある。連邦参議院(上院)は昨秋、30年までにガソリン車などの車の販売を禁止する決議を採択した。連邦議会(下院)で法案が成立したわけではなく、ドブリント運輸相も決議を「非現実的」と評した。決議に拘束力はないが、欧州最大の自動車大国でさえこうした議論が公にされるのが現実だ。

 アジアにもこの波は及ぶ。代表がドイツを抜き世界4位の自動車市場になったインド。ゴヤル電力・石炭・再生可能エネルギー相は4月、「30年までに販売する車をすべてEVにする」と野心的な計画を表明した。EVに一気にシフトして自国産業を育成しようという狙いで、中国でも似た政策が打ち出されている。

 メーカー側の動きも急だ。米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は2日、初の量販EV「モデル3」の納車を今月末から始めると表明。ボルボ・カー(スウェーデン)は5日、19年以降に販売するすべての車をEVかHVにすると発表した。すでにルノーは充電1回の航続距離を400キロメートル(欧州基準)に伸ばしたEVを発売。18年には独フォルクスワーゲン(VW)傘下の独アウディと独ポルシェ500キロメートルを走れるEVを投入する予定だ。

■「20年代後半、ガソリン車より安く」

 調査会社のブルームバーグ・ニューエナジー・ファイナンス(BNEF)は6日、40年時点の世界の乗用車販売に占めるEV比率は54%に達するとの見通しを発表した。従来予想の35%から大幅な上方修正だ。新たな予測では20年時点のEVは全体の3%、25年では8%。その間に電池価格の下落と容量の増加が進み、「25~29年までにはEVの販売価格が内燃機関の車より安くなる」とみる。

 5月にはスイス金融大手UBSが、欧州では18年時点でEVを購入した場合のトータルコストが、ガソリン車と対等になるとのリポートを出し、業界で話題を呼んだ。ただ、これはEVを最後まで乗っての計算。BNEFの予測では、20年代後半にEVを店頭で買う時点から競争力を持ち、普及のハードルが一段と低くなる。

 BNEFは市場別の40年の新車販売のEV比率も公表し、欧州が約67%、米国58%、中国51%の見通し。「早くEV採用を進めた国は40年にはリーダーになる」と指摘し、具体的にノルウェー、フランス、英国の名前を挙げた。

 40年には世界の路上を走る車の33%がEVになるという。同社シニアアナリストのサリム・モーシー氏は「EVは確実に力強く成長するが、世界規模でさらに多くの充電インフラ投資が必要になる」と指摘する。EV充電の用途もにらんだ、再生可能エネルギーなど分散型電源の整備など関連投資の動きも活発になりそうだ。

(加藤貴行)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ07HHP_X00C17A7000000/
(続く)
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