世の中、まちがってる、根拠なき反日キャンペーン。

相も変わらず根拠なき反日キャンペーンで、国をまとめようとする輩が存在する。

世界の流れは、EV化(16)

2021-11-30 00:00:00 | Weblog

 ■EVへのシフトを図るGMにとって大きな痛手

 今回のリコール問題がGMのEV戦略に与える影響は大きい。なぜなら、GMにとってEVシフトをはじめとする自動車の電動化は、すり合わせ技術の弱さから脱却して成長を目指す重要なチャンスだからだ。

 2008年9月15日に発生した“リーマンショック”によって、自動車に加えて金融事業に注力したGMの経営は行き詰まった。2009年6月にGMは自力での再建をあきらめて“連邦破産法11条(通称、チャプター・イレブン)”を申請した。それによってGMは国有化され、2013年12月に国有化は終了した

 第2次世界大戦後の米国経済にとって、GMは自動車産業を象徴する企業であり、重要な雇用基盤の役割を果たしてきた。それゆえ、リーマンショック後の経済環境において米国政府は国有化によるGMの経営再建を重視し、雇用の回復につなげようとした。

 2014年1月技術畑出身のメアリー・バーラ氏がCEOに就任したことによって、GMは転換点を迎えた。就任直後バーラCEOが対応したのがリコール問題への対応だった。2001年頃からGMは完成車の技術的な欠陥を把握していたにもかかわらず、対応をとらなかった。

 ■米国の代表格メーカーでさえ、安全な車を作るのは難しい

 その背景には、GMがモノづくりよりも、金融ビジネスに傾斜したことがある。特に、2001年後半から2005年半ばごろまでの米国経済で、“住宅バブル”が発生し、膨張したことは大きい。資産価格の上昇をよりどころにして金融機関は貸し出しを増やし、それを元手にして米国の家計は自動車などへの消費を増やした。

 その状況下、GMは、自動車販売金融事業などを手掛けるかつてのGMAC(ジーマック)を運営した。GMACは、短期の資金調達を行い、それをもとに消費者により期間の長い資金を貸し付けて利ざやを稼ぎ、収益を獲得した。その考えが強くなった結果、GMは技術面への問題、欠陥などに真正面から向き合うことが難しくなったと考えられる。

 逆に言えば、米国の自動車産業の象徴だったGMでさえ、1万点もの部品が使われるエンジンをはじめ約3万点もの部品をすり合わせて安心、安全な自動車を生産することは容易ではない。そう考えると、世界的なEVシフトはGMが成長を目指すための“渡りに船”だ

 ■GMがLG化学を選んだ「価格の低さ」

 2016年にGMは韓国のLG化学から車載バッテリーなどを調達し、シボレー・ボルトEVの生産を始めた。GMがLG化学を選んだ理由は、バッテリー価格の低さだろう。評価の方法にもよるがEVの価格のうち3~4割をバッテリーが占めるとの見方がある。バッテリーの調達価格の引き上げは、完成車メーカーが利益率を高めるための重要な取り組みの一つだ。

 シボレー・ボルトEV以降、GMとLG化学およびLGエナジーソリューションの関係は強化されている。その象徴が、GMがLGエナジーソリューションとの合弁事業によって開発したEVプラットフォームの“アルティウム”だ。LGエナジーソリューションは車載バッテリー事業の体制強化のために株式の新規公開を計画している。

 アルティウムではバッテリーパックを水平、あるいは垂直に並べることによって、車種に応じたバッテリー性能の最適化が可能だ。アルティウムは、かつて米国で人気を得た“ハマー”のSUVにも用いられる。さらにGMはアルティウムのアーキテクチャに自動運転など先端の技術を搭載したEV生産を目指している。それによって、2035年までにGMは全乗用車をゼロ・エミッション車にする方針だ。

 ■発火はサムスンSDIのバッテリーでも

 それだけに、リコール問題はGMにとってEV戦略の躓(つまづ)きといっても過言ではない。NHTSAによると、2020年11月、ボルトEVのバッテリー発火を理由にリコール(ソフトウェアのアップデート)が実施された。しかし、それでも対応は十分ではなく、再び充電中の発火が報告され今回のリコールにつながった。

 2017~2019年モデルのボルトEVが今回のリコールの対象だ。NHTSAは所有者に対して屋外、あるいは家屋から離れた場所に対象車両を駐車し、夜間は充電すべきではないとの対応策も公表した。

 韓国企業が製造する車載バッテリーからの発火は、ボルトEVだけではない。韓国国内ではLG化学製のバッテリーを搭載する現代自動車のEV“コナ・エレクトリック”の発火問題が続いてきた。また、米フォード、独BMWでも搭載されているサムスンSDI製のバッテリーに起因する発火が起きている。中国メーカー製の車載バッテリーによる発火も起きている。

 ■安全技術よりも価格競争を重視した結果…

 その一方で、わが国の自動車メーカーが生産するHV、PHV、EVに関して発火事故の発生などは報じられていない。その差は、安全性に対する企業の考え方の違いにある。わが国企業は過酷試験などのテストを徹底して行い、速度、温度、湿度(水分)、埃(ほこり)、油脂などの付着など、さまざまな環境下で安全に、安心して使用できる自動車の製造技術を磨いてきた。

 足許の中国や北米市場での日本車の販売増加は、そうした技術への評価の裏返しだ。当たり前だがバッテリーを含め、安全技術の向上にはコストがかかる。

 韓国企業が生産するバッテリーの発火問題は、韓国企業がわが国企業と同等の技術を確立できていないことを示唆する。韓国企業は価格競争力の強化を安全技術の向上よりも優先したといえる。それによって、LG化学などは車載バッテリー市場でのシェアを獲得した。

 しかし、韓国企業がその姿勢で成長を目指すことは難しい。足許、韓国企業は中国企業に追い上げられている。中国政府は研究開発費を積み増し、企業の製造技術の引き上げと、製造原価の引き下げを重視している。LG化学にとって発火問題はCATLなど中国の競合企業を利することになりかねない。

 ■市場の分業化に韓国企業は対応できるか

 今後の展開として、車載バッテリー市場では二極化が進む可能性がある。耐久性など品質の高い素材やパーツの生産面で、わが国の企業には比較優位性がある。その一方で、生産コスト面では当面は中国、長い目線で考えると他のアジア新興国などが優位性を発揮するだろう。

 中長期的な世界経済の展開として、わが国企業が素材を供給し、それを中国や他の新興国の企業などが調達して車載バッテリー生産の国際分業が進む可能性がある。そうした変化に、韓国企業がどう対応できるかは見通しづらい。

 また、完成車メーカーレベルでは、GMがホンダとの提携によって車体の共有化や燃料電池の共同開発などを進めている。今回のリコールはGM、さらには米国の消費者がわが国のモノづくりの力をより受容する機会になり得る。それは、わが国の自動車メーカーが手掛ける電動車への需要を支える要因にもなるだろう。自動車メーカーやそのサプライヤーをはじめわが国企業は安心、安全を支える技術に磨きをかけ、最先端分野でのその活用をよりスピーディーに目指すべき時を迎えている。
 
 真壁 昭夫(まかべ・あきお)

 法政大学大学院 教授
 1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授などを経て、2017年4月から現職。
 (法政大学大学院 教授 真壁 昭夫)
https://www.sankeibiz.jp/business/print/210730/bsc2107301132007-c.htm


GMのシボレーボルトEVは、韓国製のバッテリーを載せている。韓国LG化学の子会社のLGエナジーソリューションという会社が、その車載バッテリーを生産している。このバッテリーが原因で車両火災が頻発している。日本製の車両(EV,PHV,HVなど)では、一切火災などは起こっていない。
(続く)
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世界の流れは、EV化(15)

2021-11-27 00:00:00 | Weblog

オランダのフローニンゲンでは、VWのEV、ID.3が燃えている。LGエナジーソリューションのバッテリーを積んでいた。

ヒュンダイ(現代自)もリコールだという。VWもリコールを実施せざるを得ないだろう。




VW電気自動車ID.3が火災で全焼…LGがバッテリー供給
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2021.08.23 13:54

オランダで充電を終えたフォルクスワーゲンの小型電気自動車ID.3で火災が発生した。人命被害はなかったが、車両は全焼した。 [写真 ユーチューブキャプチャー]

フォルクスワーゲンの小型電気自動車ID.3で火災が発生し、全焼したことが確認された。電気自動車専門メディアのインサイドイブEVsによると、ID.3の火災は(2021年8月)14日(現地時間)にオランダのフローニンゲンで発生した。

IDは充電を終えた状態だった。運転手は3歳の子どもを乗せて座席に座った状態で、後輪の方から出ている煙を確認した。運転手と子どもはすぐに車から出て人命被害はなかったが、車両は全焼した。フォルクスワーゲンは火災事故に関する独自の調査に着手した。

フォルクスワーゲンのID.3とID.4に搭載されているリチウムイオンバッテリーはLGエナジーソリューションが供給した。インサイドEVsは「フォルクスワーゲンID.3のその他の火災事故はまだ確認されていない」とし「ID.3の最初の火災である可能性が高い」と伝えた。ID.3は昨年の発売直後に部品問題でリコールを実施するなど販売の過程が順調でなかった。

国内外の量産車企業は電気自動車の火災のため頭を悩ませている。ゼネラルモーターズ(GM)はシボレーボルトEVリコールを発表した。リコール対象車だけで14万台を超える。現代車も7万台以上のコナ電気自動車のバッテリーリコールを進めている。世界最大の電気自動車市場の中国でも電気自動車の火災が続いている。フォルクスワーゲンも今回の火災原因調査でリコールを実施する可能性を排除できない。

専門家らは電気自動車の火災を内燃機関から電気自動車に転換する過渡期の事故と解釈している。産業研究院のチョ・チョル研究委員は「現在市場に出ている電気自動車の大半は内燃機関の車を基盤にバッテリーとモーターを搭載して生産したモデル」とし「専用プラットホームを適用した電気自動車の販売が増え、試行錯誤を繰り返せば、火災事故は減っていくだろう」と話した。

https://japanese.joins.com/JArticle/282175




GMやVWまでもが、安いからと言って馬韓国LG化学の子会社のLGエナジーソリューションが作ったバッテリーを、自社のEVに載せてしまっている。しかしそのLGのバッテリーは、日本企業の信頼性の高い技術には、まだまだ届いていないことを示している。日本の自動車会社の作るHV、PHV、EVでは、発火事故は発生していないからだ。

馬韓国のもう一つの企業であるサムスンSDI製のバッテリーでも火災事故が起きているという。そのため米FORDや独BMWでも、発火事故が起きているという。

まあここ当分は馬韓国政のバッテリーが搭載された車は買わない、乗らない、と言うことだ。




GMの「EV車発火リコール騒動」で露呈した“韓国製バッテリー”の問題点
2021.7.30 11:32

 ■LG社製のバッテリーが「発火の恐れ」

 7月23日、米自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)は、電気自動車(EV)モデルの“シボレー・ボルトEV”バッテリーから発火する恐れがあるとしてリコール(回収・無償修理)を米国運輸省の道路交通安全局(NHTSA)に届け出た。過去1年間でシボレー・ボルトEVのリコールは2回目だ。


 今回のリコール問題の影響は大きい。まず、GMの電動化にとって痛手だ。シボレー・ボルトEVはGMが他のモデルの電動化を進めるための基礎的な役割を担ってきた。次に、問題のバッテリーを製造したLG化学およびそのグループ会社などの韓国バッテリー業界にとって、今回の発火問題は素材面を含めバッテリー製造に関する基礎的な技術に不安があることを利害関係者に示す機会になった。

 見方を変えると韓国企業は、価格競争力と、安心と安全を支える基礎的な製造技術の両立が難しい。LG化学が発火問題の迅速かつ抜本的な解決が難しい場合には、傘下企業の株式新規公開や研究開発体制強化のための資金調達は難航する恐れがある。それは、車載バッテリー市場における中国企業のシェア拡大を勢いづかせる要因になるだろう。
(続く)
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世界の流れは、EV化(14)

2021-11-26 00:00:00 | Weblog

GMはこのシボレーボルトEVのリコールの原因を、韓国LGエナジーソリューション製のバッテリーの製造上の欠陥であると公表している。原因となる部品メーカーの名前を公表することは、異例だと言われている。

しかも良品のバッテリーの交換修理は、'21年10月からと遅れていたようだ。それまではボルトEVの所有者は、ひやひやしながら充電しなければならないし、運転しなければならないという不便をこうむることになる。





GMのEV電池リコール、LGの製造上欠陥と異例の指摘
清水 直茂 日経クロステック 2021.08.24

 米GMが2021年8月20日に発表したリチウムイオン電池を原因とする電気自動車(EV)の追加リコール(回収・無償修理)。電池メーカーである韓国LG Energy Solution(LGエナジーソリューション)製造上の欠陥が原因であることを明らかにした。リコールに際して完成車メーカーが部品メーカー名を公表し、欠陥があると指摘するのは異例だ

2017年型Chevrolet「Bolt EV」(出所:GM) [画像のクリックで拡大表示]

 GMは、19~22年型のChevrolet(シボレー)「Bolt EV」などについて約7万3000台を追加でリコールすると発表した。GMは同年7月下旬にも同車種の17~19年型のリコールを発表していた。立て続けのリコールで、GMのEV開発に試練が訪れる。

 GMがLGの電池製造工場を調べたところ、電池セルの製造過程に起因する2つの欠陥が見つかったという。アノードのタブとセパレーターが破れる可能性があり、充電中に発火につながる危険性がある。

 GMには、充電中に電池から発火したという複数の報告があった。リコールして、対象車両の全ての電池を交換する。追加のリコール費用は10億ドル(約1100億円)を見込む。今後、GMとLGで費用分担の話し合いを進める。

 リコールに際しては一般に、消費者に販売する立場の完成車メーカーが矢面に立ち、部品メーカーが表舞台に出ることは少ない。最近ではエアバッグの大規模リコールで部品メーカーのタカタが矢面に立ったものの、リコール規模がかつてなく巨大で、社会的に大きな影響があった。

 一方、今回のリコール規模はそれほど大きくない。それでも電池メーカーであるLGがリコールの矢面に立たされるのは、EV開発において完成車メーカーと電池メーカーが対等の立場になっていることがありそうだ。リチウムイオン電池はその他の多くの自動車部品と異なり、車両の性能や価格を大きく左右する中核に位置するためである。GMとLGは車載電池の合弁会社を設立している。

 なおGMはリコールで電池を交換するまでの間、ユーザーに対して大きく3点を要望した。(1)充電状態を90%以下にすること、(2)電池残量について走行距離換算で70マイル(113km)未満にならないようにすること、(3)屋内で一晩中充電しないこと――である。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/11058/?i_cid=nbpnxt_sied_blogcard


GMリコールのEV、LGが電池生産再開 10月から交換に対応
本多 倖基
日経クロステック/日経Automotive 2021.09.21

 米General Motors(ゼネラル・モーターズ、GM)は2021年9月20日(米国時間)、電池セルの製造上の欠陥が原因でリコール(回収・無償修理)した電気自動車(EV)Chevrolet(シボレー)「Bolt EV」について、電池の生産を再開したと発表した(図1)。早ければ同年10月中旬に交換用の電池をGMの販売店に出荷する。電池を製造する韓国LG Energy Solution(LGエナジーソリューション)は対応を急ぐ。

図1 Chevrolet「Bolt EV」
GMは21年7月と8月に相次いでBolt EVなどをリコールした。写真は同年8月に発表したリコールの対象に含まれる22年型のBolt EV。(出所:GM) [画像のクリックで拡大表示]

 GMによると、LGエナジーソリューションが電池の生産を再開したのはオランダと米ミシガン州の工場である。LGエナジーソリューションは電池の信頼性を高めるため、これらの工場に新たな製造工程を導入したほか、GMと協力して品質保証プログラムを見直したという。同社はGMへの電池の供給量を増やすため、生産能力の増強も進めている。

 GMは電池の欠陥への対策として、電池の損傷の有無を診断するソフトウエアを発売することも発表した。同ソフトにより電池の損傷が見つかった場合、電池を優先的に交換できる。今回リコールした車両のすべてのユーザーが対象で、約60日以内に予約受け付けを始める。インストールは販売店でできるという。

関連記事1
GMのEV電池リコール、LGの製造上欠陥と異例の指摘

関連記事2

GMのEVに相次ぐ発火、原因名指しのLGに巨額賠償の試練

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/11251/?i_cid=nbpnxt_reco_atype

(続く)
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世界の流れは、EV化(13)

2021-11-24 00:00:00 | Weblog

シボレーボルトEVのバッテリーによる火災事故のリコールである。
最初が'20年11月、次が'21年7月、そして今回が'21年8月となる。原因究明に時間がかかったようで、どこからどこまでが不良バッテリーであったかが、なかなかわからなかった、と言うことか。

ちなみにこのバッテリーは、韓国のLGエナジー ソリューション製だ。




GMのEVに相次ぐ発火、原因名指しのLGに巨額賠償の試練
趙 章恩 ITジャーナリスト 2021.09.03

 米GMは2021年8月20日、同社の電気自動車(EV)「Chevrolet Bolt EV(シボレー・ボルトEV)」のリコール(回収・無償修理)対象を広げると発表した。バッテリーの発火事故が相次ぎ、GMは20年11月と21年7月にもリコールを発表。今回の追加リコールで同車種の直近生産分まで対象を拡大した。原因が明らかになるまで同車種を販売中止にするという。GMが名指しで欠陥の原因と指摘したのが、Bolt EVが採用する韓国LG Energy Solution(LGエナジーソリューション)のバッテリーセルだ。GMは同社と韓国LG Electronics(LG電子)にもリコールの費用負担を求める考えで、LGは試練に立たされている。

[画像のクリックで拡大表示]
リコール対象となった2019年型「Chevrolet Bolt EV」 (出所:米GM)


 3回にわたるリコールで、リコール対象はBolt EVの全モデル、合計約14万台に広がった。GMは米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)に対して発火原因を「バッテリーセルの製造上の欠陥」と報告したという。セルの負極タブと分離膜が破裂する可能性があり、充電中に発火するおそれがある。LGエナジーソリューションとGMが共同調査にあたっている。

 リコールに伴う費用は18億ドル(約2000億円)に膨れ上がったとみられる。GMはリコール費用をLGにも求める考えだ。LG電子とLGエナジーソリューションは21年4〜6月期の決算において、リコール対策費用としてそれぞれ2346億ウォン(約220億円)、910億ウォン(約90億円)を充当した。

GMのリコール詳細
GMのEV電池リコール、LGの製造上欠陥と異例の指摘

 米GMが2021年8月20日に発表したリチウムイオン電池を原因とする電気自動車(EV)の追加リコール(回収・無償修理)。電池メーカーである韓国LG Energy Solution(LGエナジーソリュ...
2021/08/24
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/11058/?i_cid=nbpnxt_sied_blogcard

 ただしリコール対象が広がったことで、用意した額に収まらない可能性も出てきた。調査結果次第で、GMとLG側でリコール負担の比率も変わる。LGエナジーソリューションのバッテリーセルを巡っては、韓国・現代自動車(Hyundai Motors)も発火のおそれがあるとしてリコールを決めた。その際のリコール負担比率はLGが7割、現代自動車は3割だった。韓国内では、GMとLGの負担比率も同じような割合になるとみている。

 GMのリコール対象拡大を受けて、LGエナジーソリューションの親会社である韓国LG Chem(LG化学)の株価は大幅下落した。LGエナジーソリューションは21年6月、新規株式公開(IPO)に向けて韓国取引所に上場予備審査を申し込んでいた。しかしGMのリコールを受けて、審査の延長を依頼したという。LG化学は、LGエナジーソリューションの上場によって10兆ウォン(約9000億円)以上の資金を確保し、米国や欧州、中国といったメジャーなEV市場にバッテリー生産工場を増設する計画だった。しかしGMのリコール拡大で、その目算は狂ってしまった。

巨額リコールもLGとGMの関係は今後も安泰か

 試練に立たされるLGであるものの、韓国内ではLGとGMのパートナーシップは今後も揺るがないという見方が強い。

 理由の一つがLG化学とGMが、共同出資会社「Ultium Cells LLC」を設立し、米オハイオ州とテネシー州にバッテリー工場を建設中である点だ。工場に巨額投資をしているため、両社の関係はすぐには切れないという見立てだ。

 実際、GM 最高経営責任者(CEO)のMary Barra(メアリー・バーラ)氏は21年8月26日に米Bloombergのインタビューに答え、「LGエナジーソリューションは大事なパートナー」「欠陥はBolt EVに限られていて、21年後半発売予定のEVに採用するバッテリープラットフォームには影響しない」と語っている。

 韓国証券業界内では、巨額リコールにもかかわらずLGエナジーソリューションの企業価値が落ちることはないと楽観視する見方が多い。世界的にEV向けバッテリーの供給不足が続いていることや、技術的な難しさからLG エナジーソリューションに代わる企業がすぐ現れるわけではないといった理由からだ。もっともEV向けバッテリーの主流が角型へ変化する中、LGエナジーソリューションはラミネート型バッテリーに集中しすぎていないかという指摘もある。

 韓国にとってバッテリー分野は、世界のトップを狙う戦略的な市場だ。韓国政府は21年7月、次世代2次電池の分野で世界トップを目指す「K-バッテリー発展戦略」を発表した。世界トップを目指す上で重視するのが米国市場であり、LGエナジーソリューションと韓国SK Innovation(SKイノベーション)、韓国Samsung SDI(サムスンSDI)の韓国電池メーカー3社は、米国への投資を拡大する計画だ。

K−バッテリー発展戦略の詳細
韓国が次世代電池覇権に3.8兆円投資、「K-バッテリー発展戦略」

 韓国政府は2021年7月8日、30年に次世代2次電池の分野で世界トップを目指す「K-バッテリー発展戦略」を発表した。「K-バッテリー、世界をチャージする」というキャッチフレーズで、韓国をグローバル企...
2021/07/21
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00039/?i_cid=nbpnxt_sied_blogcard

 米国内に生産工場を持たなかったサムスンSDIは、顧客である米EVスタートアップのRivia(リビアン)の工場があるイリノイ州に工場新設を検討していると韓国メディアが報じた。同社は米国内に工場を新設する方針については認めている。

 SKイノベーションは21年8月、石油開発事業とバッテリー事業を分社化すると発表した。分社化によってバッテリー事業に対して戦略投資しやすくなる可能性がある。同社はエネルギー貯蔵装置(ESS)市場にも進出し、バッテリー事業の多角化も図る計画だ。

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01231/00042/?P=2
(続く)
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世界の流れは、EV化(12)

2021-11-23 00:00:00 | Weblog

ちなみにバイデン大統領は2030年までにEV,FCV,PHVを50%にせよと言っているが、加州やGMは2035年までに全車種をZEVに切り替えると言っているので、その中間の2030年にZEVを50%はそれほど難しいことではなかろう、と思われる。



GM、35年までに脱ガソリンへ-40年までに「カーボンニュートラル」
David Welch
2021年1月29日 13:33 JST
From 
「カーボンニュートラル」目標はフォードより10年早い達成目指す
EV移行と利益確保の両立がGMにとって大きな課題に

米ゼネラル・モーターズ(GM)は28日、販売する全車種を2035年までに二酸化炭素(CO2)を排出しないゼロエミッション車に切り替えると発表した。40年までに全世界の事業と車両で「カーボンニュートラル」の実現を目指す。

  CO2排出量と吸収量が差し引きゼロの状態になる「カーボンニュートラル」の目標で、GMはライバルのフォード・モーターより10年早い達成を目指すことになる。発表を受けてGM株は28日の米株式市場で一時7.4%上昇、終値は前日比3.5%高の51.04ドルとなった。


メアリー・バーラCEO    写真家:ジェフコワルスキー/ブルームバーグ

  こうしたGMの取り組みは、ガソリンを大量に消費するトラックやスポーツタイプ多目的車(SUV)を生産する自動車メーカーという古いイメージを一新し、電気自動車(EV)市場で米テスラの牙城を切り崩そうとするメアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)の戦略の一環。同CEOはすでに、25年までにEVに計270億ドル(約2兆8000億円)を投資する方針を発表している。

  GMにとっての大きな課題は、利益率が相対的に低いEVにシフトする中で利益をいかに確保するかだ。現在、同社の利益の大半はピックアップトラックとSUVが稼ぎ出している。マーク・ロイス社長は先に、自社のバッテリーパック「アルティアム」のコストが下がりつつあり、EVも利益を生むようになると述べていた。



GMの電気自動車「キャデラック・リリック」
出典:キャデラック
原題:
GM Plans to Sell Only Electric Zero-Emission Models by 2035 (2)(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-01-29/QNOE20T0AFB601



米国をはじめEUでもテスラの電気自動車が幅を利かせている。GMとしても目の上のたんこぶとして、重くのしかかっているようだ。EVに集中するようだ。25年までに270億ドル(2兆8千億円)を投資するという。一年に6千億円ほどの投資となる。

35年までには、新車の全てもZEVにすると言っているので、まだまだ投資は増やさなければならないだろう。年間5~6千億円程度の金で、すべての新車をEV・ZEVに切り替えられるとも思えないのであるが、どんなものであろうか。すべての車種にZEVがあるようになる、と言うことではないのかな。なんといってもバッテリーが肝となるが、そのバッテリーで、GMは相次ぐ発火に見舞われているようだ。そのために3回も、リコールを繰り返している。

(続く)
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世界の流れは、EV化(11)

2021-11-22 00:00:00 | Weblog


バイデンが新車に占めるZEVの割合を、2030年に50%に引き上げる目標を、2021.8.5に大統領令として発令したからには、GM、Ford、Stellantis の3社もうかうかとはしていられない筈だ。日系メーカーとしても同様である。

これは、もともとのバイデン政権の政策目標の一つであったわけで、必然的な成り行きであったわけだ。だからある意味予想されていたことで、EUがこれより厳しい環境規制を発表しているから、それほど驚いた印象は、デトロイトにはない筈だ。

上記のデトロイト3も、共同声明を発表して2030年までにはZEV比率を40~50%とすることを表明している。しかし、当然のこととして、インフラ整備や消費者へのインセンティブなどの電動化戦略を政府に要望している。EVには充電ネットワークが必要なことぐらい、ただっ広いアメリカのこと、当然のことで、都市部に限ればそれほど難しいことではないかも知れないが、全米に広げるとなると話は違ってくることぐらい、誰にでもわかることででしょう。

だから当分は電動化と言っても、西海岸とか東海岸の都市部に限られるのではないのかな。カリフォルニア州が良い例だ。



バイデン米政権、2030年までに新車の半数以上をEV、FCVとする大統領令
2021年08月06日 添付資料(53 KB)

ジョー・バイデン米国大統領は8月5日2030年までに販売される新車(乗用車と小型トラック)の50%以上を、電気自動車〔EV(バッテリー式電気自動車とプラグインハイブリッド車)〕と燃料電池車(FCV)とする大統領令を発令した。

米国で排出される温室効果ガス(GHG)のうち、交通・輸送部門が占める割合は28%で、そのうち乗用車と小型トラックの排出量が59%を占める(2018年時点)。大統領令に先駆けて発表されたホワイトハウスの声明によると、今回の大統領令による目標が達成すれば、2030年に販売される新車からのGHG排出量を2020年比で60%以上削減できることから、2030年までに全米からのGHGネット排出量を2005年比で50~52%削減したいとするバイデン政権の達成目標を後押しするとみられている。

自動車業界団体や環境団体、メーカーなど関係者は新たな目標値をおおむね歓迎した。ゼネラルモーターズ(GM)、フォード、ステランティスのデトロイト3は、2030年までの全新車に対するEVおよびFCV比率を40〜50%とする共同声明を発表。ただし目標達成には、連邦政府が消費者に対するインセンティブや包括的な充電ネットワークを含む、より効率的な電動化戦略をタイムリーに実現する必要があるとしている。

日系メーカーでは、トヨタが「われわれの役割を果たしていく。(今回の目標値は)環境に最適で、米国内の従業員、ディーラー、サプライヤー、その他の利害関係者43万6,000人の雇用を守ることになる」と述べた。ホンダは、2019年にフォードを含む4社とともに締結したカリフォルニア州との「クリーンカー枠組み協定」(2021年6月29日付地域・分析レポート参照)として共同声明を発表。今回の目標値を踏襲するとした上で、「われわれはカリフォルニア州とともに気候変動の分野で引き続き業界をリードしていく」と述べた。また、消費者のEV需要を構築し、パリ協定を順守するには、全米統一の排出基準や、充電施設への継続投資、消費者インセンティブといった連邦政府による大胆な行動が不可欠、と付け加えた。

全米自動車労働組合(UAW)も、雇用維持を考慮した今回の目標値に賛同し、「(EV化において)米国は欧州、中国に後れを取っている。今回の発表は自動車産業とUAWメンバーにとって将来の仕事の確実性をもたらすものだ」と述べた。さらに、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事も、連邦政府と協力して環境対策に努める意向を示した。なお同州は、ニューヨーク州など11州(注)とともに、2035年までに販売される全新車をゼロエミッション車(ZEV)とする方針を発表している(2021.4.21付け)

また、大統領令では、排ガス規制を所管する環境保護庁(EPA)と、燃費規制を所管する運輸省(DOT)に対し、2027年型車から少なくとも2030年型車の乗用車と小型トラックに関し、GHGを含む排出ガスと燃費の新たな基準値を制定し、2024年7月までに最終規則をつくることなどを指示した(添付資料表参照)。

大統領令においては、これら新基準値の制定に当たって、所管省庁であるEPAとDOTが協力して行うことや、自動車業界におけるイノベーションと製造の加速、国内サプライチェーンの強化、高給と福利厚生を提供する雇用の拡大を念頭に、商務省、労働省、エネルギー省との調整を行うことが指示されている。また、カリフォルニア州および同州の基準値を踏襲する州とも調整することや、労働組合、各州、業界、環境団体および公衆衛生の専門家などの利害関係者から広く意見を求めること、なども盛り込まれている。

(注)ニューヨーク州、マサチューセッツ州、メーン州、コネチカット州、ロードアイランド州、ワシントン州、オレゴン州、ニュージャージー州、ハワイ州、ノースカロライナ州、ニューメキシコ州
(大原典子) ビジネス短信 34e767f15a0d8a26


https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/08/34e767f15a0d8a26.html



なお加州は、ニューヨーク州など11州(上記 注)とともに、2035年までに販売される全新車をゼロエミッション車(ZEV)とする方針を発表したこの書類は、 2021.4.21付けとなっているが、GMなどはそれを見越してそれよりも3か月も早い1月には、2035年までに実施すると、CN(カーボンニュートラル)の宣言を行っている。

GMをはじめとするデトロイト3にとっても、この地球環境問題に対しては手をこまねいてはおられないものであった。

(続く)

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世界の流れは、EV化(10)

2021-11-19 00:00:00 | Weblog

これに対して、バイデン大統領は2030年には全米で、新車の半分はZEVにせよ、という目標を発表したのだ。

加州の2025年の22%も厳しいものであるが、その5年後の30年には、これを50%にせよというものである、しかも全米で。

EUは2030年に(21年比)55%の削減、2035年には100%削減というもので、さらに厳しい。

アメリカ市場では日本車が最も多く販売されていることから、日本の各社はこれを受けて戦略を大幅に見直す必要が出てきたものと思われる。特にZEVを持たないメーカーは大変である。




バイデン政権 2030年に排気ガスゼロ車 新車の50%に 目標発表
2021年8月5日 19時28分



アメリカのバイデン政権が、電気自動車など排気ガスを出さない車の新車販売に占める割合を、2030年に50%に引き上げる目標を発表しました。世界第2位の自動車市場も環境対策の強化に乗り出すことになり、各メーカーは戦略の見直しを迫られることになりそうです。



バイデン政権は5日、自動車分野の気候変動対策の目標値を発表し、電気自動車や燃料電池車など走行中に排気ガスを出さない「ゼロエミッション車」について新車全体に占める割合を2030年に50%に引き上げるとしています。

EU・ヨーロッパ連合が7月、2035年に事実上、禁止すると発表したハイブリッド車を含むガソリン車は販売を認めるものの、目標の達成に向け、電気自動車の充電設備の拡大や、燃費規制の強化に取り組んでいくとしています。

中国に次ぐ世界第2位の自動車市場アメリカが環境対策の強化に乗り出すことで日本メーカーを含む各社は戦略の見直しを迫られるとみられます。

このうちGM=ゼネラル・モーターズやフォードなどは、政府に賛同する共同声明を発表し、2030年までに年間販売台数の40%から50%をゼロエミッション車に切り替える目標を示しました。

ただ、アメリカの去年の新車全体に占める電気自動車の割合は、2%程度にとどまっています。

国土の広いアメリカでは、充電や価格に課題がある電気自動車は不向きだという指摘や、エンジンや石油などの産業の雇用減少を懸念する声もあり、目標の達成に向けては曲折も予想されます。

世界で相次ぐ環境車目標

気候変動対策への関心が高まる中、世界では電気自動車などを普及させるための目標が相次いで打ち出されています。

▼EU・ヨーロッパ連合は7月、2035年以降の新車販売を、排ガスを出さない「ゼロエミッション車」にし、日本のメーカーが得意とするハイブリッド車を含むガソリン車や、ディーゼル車の販売を事実上、禁止する方針を発表しました。

▼イギリスは2030年までにガソリン車やディーゼル車の新車販売を禁止し、2035年にハイブリッド車も禁止するとしています。

▼日本は2035年までに乗用車の新車販売をすべてハイブリッド車や電気自動車、それに燃料電池車などのいわゆる電動車にする目標を掲げています。

▼世界最大の自動車市場の中国でも専門家の団体が2035年をめどにすべての新車をハイブリッド車や電気自動車にするという工程表をまとめています。

ただ、各国の目標に対しては、消費者の利便性や、エンジンや石油といった産業や雇用への影響など、さまざまな面から反対の声も出ていて、今後は、各国政府の計画の実現に向けた具体的な進め方も焦点になります。

日本メーカーへの影響は

日本の自動車メーカーにとってアメリカは主要な市場で、バイデン政権の新たな目標を受けて戦略を見直す動きも出てきそうです。

バイデン政権が目標に示した走行中に排気ガスを出さない「ゼロエミッション車」には、▽EV=電気自動車や▽外部から充電できるプラグインハイブリッド車、▽水素で発電して走るFCV=燃料電池車などが含まれるとみられます。

トヨタ自動車は、アメリカでの車の販売が全体のおよそ4分の1を占めていますが、2030年には、販売する新車の70%を主力のハイブリッド車のほか、プラグインハイブリッド車、EV=電気自動車、燃料電池車にする計画です。

これらをどのような構成にしていくかが課題となりそうです。

また、アメリカでの販売が全体の3割を占めているホンダは、バイデン政権の目標について「目標を支持し、電気自動車に対する消費者の需要を喚起していきたい」というコメントを出しました。

ホンダは北米で販売する新車のうちEVと燃料電池車の割合を2030年には40%、2040年は100%にする計画ですが、2030年時点の対応が課題となりそうです。

このほか、アメリカで車を販売している日産自動車SUBARUマツダなどもハイブリッド車を含めた電動車やEVの投入目標を設けていますが、バイデン政権の新たな目標を受けて、開発や投資の戦略を見直す動きも出てきそうです。


https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210805/k10013183051000.html
(続く)
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世界の流れは、EV化(9)

2021-11-18 00:00:00 | Weblog

そんな中で、菅義偉首相(当時)が、トヨタと日本製鐵の社長と、脱炭素で意見交換をしたという。早速「国境炭素税」に関して欧米との話し合いの事前準備かと勘繰ったが、そうでもなかったようだ。この件で、日本として戦略的に進めることができれば、大したもんだと思いたいものだが。


首相が脱炭素で意見交換 トヨタ社長、日本製鉄会長と
2021/2/14 15:00 (2021/2/14 17:03更新)
日本経済新聞 電子版

菅義偉首相は14日午後、首相公邸でトヨタ自動車の豊田章男社長、日本製鉄の進藤孝生会長と相次いで会談した。2050年の脱炭素社会の実現に向けた方策について意見を交わした。

進藤氏は面会後、記者団に「ゼロカーボンを目指して我々の考え方を聞いていただいた。大変有意義だった」と語った。

豊田氏は東京五輪・パラリンピック大会組織委員会会長の辞任を表明した森喜朗氏が女性を蔑視した発言を巡り「誠に遺憾だ」とのコメントを発表している。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE141DN0U1A210C2000000/


さてアメリカの話が出たところで、バイデン大統領は脱炭素のための自動車政策をどんなふうにやりくりしようと考えているのであろうか。

ご承知の通りアメリカには、カリフォルニア州のZEV規制が存在している。





自動車の将来動向:EVが今後の主流になりうるのか 第2章
2019-02-15


(略)



米国加州のZEV規制
米国加州のZEV規制は、2018年以降大幅強化されました。図表8の従来のZEV規制では、先進PZEV(HV)/PZEV(ガスエンジン)がクレジット対象でしたが、2018年以降のクレジット対象は、ZEV/TZEV対象車のみに強化されました。これまでクレジット対象であったHVは、日本メーカーが得意としていた分野でしたが、規制対象となり、また、対象メーカーも従来の6社から12社に増加されました。(スバルとJaguar Land roverもIVMに含まれるはずだが!、すると6+8=14社となる筈。)



  IVM 2.9 3.8 4.7 5.6 6.5 7.4 8.3 9.2%
(TZEV+1/5ZEV)

TZEV: Transitional(過渡的) ZEV 又は Transient(一時的) ZEV で、PHEV(PHV)を指す。
ZEV : Zero Emission Vehicle 排ガスゼロ車でBEVとFCV(とHICE)
HICE: Hidrojen Internal Combustion Engine ?、水素エンジン
vol4-09 ダウンロード

(略)


https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/automotive-insight/vol4.html



このZEVの対象メーカーは2017年までは、

加州で年間6万台以上を販売する日産、トヨタ、ホンダ、GM、フォード、クライスラー の6社(LVM)だけであったが、2018年からはその販売台数が年間2万台以上(IVM)と引き下げられたために、次の8社が新たに規制対象に加わることになった。

BMW、ダイムラー、VW、ジャガー・ランドローバー、マツダ、スバル、現代、起亜

LVM : Large Volume Manufacturer
IVM : Intermediate Volume Manufacturer


例えば、2018年のLVMは販売台数の4.5%に当たるクレジットを稼がなければならないが、そのうち2%のクレジットはZEV(EVかFCV)で、TZEV(PHV)では最大2.5%までのクレジットとすること。

しかもこの加州のZEV規制に賛同する州は、11州となっている。
なお、加州を含むこれら12州は早速2035年までに、全新車をZEVにすることを発表している。



(注)ニューヨーク州、マサチューセッツ州、メーン州、コネチカット州、ロードアイランド州、ワシントン州、オレゴン州、ニュージャージー州、ハワイ州、ノースカロライナ州、ニューメキシコ州
(大原典子) ビジネス短信 34e767f15a0d8a26


https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/08/34e767f15a0d8a26.html

(続く)
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世界の流れは、EV化(8)

2021-11-17 00:00:00 | Weblog

もしそんなことになったら、世界の貿易はかなり混乱することになろう。大問題であるが、中国がCO2排出の削減に真剣に取り組む契機となれば、御の字である。

日本も積極的にこの制度作りに参画してゆく必要がある。




脱炭素 「国境調整」で欧米中駆け引き 日本も対応急務
編集委員 西村博之
2021/2/12 11:00
日本経済新聞 電子版

バイデン政権で気候変動問題を担当するケリー大統領特使=UPI共同

脱炭素を前面に掲げる米バイデン政権の誕生を受け、温暖化対策が不十分な国からの輸入品に事実上の関税を課す「国境炭素調整」をめぐる駆け引きが活発になってきた。導入を予定する欧州米国に同調を呼びかけ、その動向に中国も神経をとがらせる。貿易の波乱要因になりうるだけに日本も目が離せない。

Nikkei Views
編集委員が日々のニュースを取り上げ、独自の切り口で分析します。
1月21日、欧州委員会のティメルマンス上級副委員長は待ちわびたように就任直後のケリー米大統領特使に電話をかけた。気候変動対策を担う両者は国境炭素調整措置(CBAM)をめぐり意見交換した。2023年に制度を導入する欧州連合(EU)は20年12月の報告書で「欧米共同で世界のひな型を作る」ことを提言しており、同様の呼びかけをしたとみられる。

欧州委員会のティメルマンス上級副委員長

米ピーターソン国際経済研究所のアダム・ポーゼン所長は「CBAMは今後の国際協調を左右する政治・経済両面で極めて重要な問題だ」と話す。米欧が連携できるかは日本も含め世界に影響を及ぼすとも指摘する。

CBAMは「国境炭素税」とも呼ばれ、要諦は環境対策にコストをかけた域内製品と、そうでない輸入品との価格差をなくす点にある。規制が緩い国からの輸入品に対しては生産時に出した二酸化炭素(CO2)量に応じて関税や排出枠の購入義務を課す。これにより域内企業の競争力を保ち、同時に規制が不十分な国に対策を促す。



EUは産業ごとに排出量の上限を定め過不足を取引する排出枠取引制度があり、これを実質的に世界に広げる動きだ。域内企業がもつ環境技術やノウハウを経済成長につなげる狙いもある。

バイデン大統領は選挙時に温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」の合意を満たせない国からの製品に「炭素調整料」を課すと公約しており、EUは共同歩調をとれると踏んでいる。米商工会議所もバイデン政権誕生の前日に「市場原理に基づく温暖化ガスの削減を支持する」と表明、連邦レベルの炭素税やCBAMに前向きな姿勢を示した。

温暖化ガスの排出量が世界最大の中国はCBAMが「保護主義を招く」とけん制してきた。だが国内では1月から排出量の4割を占める火力発電業界を対象に排出枠取引が始まった。こうした国内制度が定着すればEU同様、国境での炭素調整は進めやすくなる。

最大の温暖化ガス排出国の中国も対応に乗り出した(江蘇省にある石炭火力発電所、CFOTO=共同)

危機感を抱くのが日本だ。「米国や中国に出遅れれば日本がルール作りで不利になる」と経済産業研究所(RIETI)の渡辺哲也副所長は話す。そこで同研究所は昨年末、CBAMの研究会を設けた。政府は脱炭素に向け国内での炭素税や排出枠取引制度の検討に着手したが、並行して国境での炭素調整をめぐる日本の戦略をさぐる。

制度導入にあたっては課題も多い。第一に貿易への影響。世界貿易機関(WTO)は「公徳」や「天然資源の保護」が目的の貿易制限を認めるが、CBAMがこれに当たるかは明確でない。
第二に対象の業種。当初は鉄鋼、セメントなどエネルギー集約型の業種が挙がるが、将来は電気自動車(EV)の覇権を競うEUが、電源の脱炭素化が遅れる中国製の輸入を阻むとの見方もある。輸入品が生産時に出す温暖化ガスをどう測るかの基準も含め、業界の激しい攻防が予想される。

企業が生産コストの引き下げを狙って規制の緩い国に工場を移す「炭素漏洩(カーボンリーケージ)」への対策も焦点だ。規制が緩い国からの輸入に関税を課すと同時に、そうした国への輸出には逆に関税を「還付」し、より効果的に工場の域外シフトを防ぐ案もある。

早稲田大の有村俊秀教授らの研究では対象業種や課税基準、還付の有無で各国・産業への影響や脱炭素の効果は顕著に変わる。「悪魔は細部に宿る」と言われるゆえんで、利害調整は容易でない。ともすれば欧米中が三つどもえ、あるいは2対1の構図で争う「炭素貿易戦争(カーボン・トレード・ウォー)」を招くと警告する専門家もいる。

脱炭素への起爆剤にも毒薬にもなる国境炭素調整。対立の芽を摘み、国際協調の好機とするには日本を含む各国・地域の緊密な対話が必要だ。
編集委員が独自の切り口で分析「Nikkei Views」一覧へ

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK056SZ0V00C21A2000000/?n_cid=NMAIL006_20210212_H
(続く)
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世界の流れは、EV化(7)

2021-11-16 00:00:00 | Weblog

先の論考に次のようなフレーズある。

CO2排出量の多い電源で生産し、EUに輸出するような電池は、基準をクリアできず販売できない恐れがある。

これはとても厳しい規制である。課徴金が掛けられるのではなくて、販売してはいけないというものである。とても厳しい。

この考えは、いわゆる「国境炭素税」という機能に行き着く。CO2を多く出して作られる環境に悪い製品だからと言って、すべてを輸入禁止には到底できない。その代わりに、できるだけCO2を出さないように工夫して作って貰いたいと言うことである。CO2を基準以上に排出して生産される製品には関税を掛けようというものである。


国境炭素税、すなわちEUの言う国境炭素調整措置(CBAM)として、実施されようとしている。

CBAMとは、Carbon Border Adjustment Mechanism で、気候変動対策が不十分な国からの輸入品に対し、生産過程で排出された炭素の量に応じて、自国と同等の排出負担を課す措置のことである。EUは他国との通商摩擦を起こしても、環境対策のためなら実施するつもりのようだ。

日本もうかうかしてはいられない。石炭火力発電なんぞは、早急に辞めなくてはならないことのなる。
そして石炭火力を補うものは、今のところ原子力発電(と再エネ)しかない。



EU脱炭素、日米と同床異夢 国境炭素税で摩擦辞さず
2021/8/2 23:00 (2021/8/3 4:57更新)
日本経済新聞 電子版

EUの気候変動対策を発表するフォンデアライエン欧州委員長(7月14日、ブリュッセル)=AP

欧州連合(EU)の欧州委員会が域内の温暖化ガスの排出を2050年までに実質ゼロにする目標実現に向けて包括案を公表した。掛け声だけでなく、具体案を出すのは主要国・地域で初めてだ。環境覇権を狙うEUの野心が透ける。

「欧州は(世界を)先導する準備ができている」。フォンデアライエン欧州委員長は7月14日、包括案を公表した記者会見の冒頭発言をこう締めくくった。EUが気候変動分野のトップランナーであり続けるには、他国との摩擦も辞さないとの決意表明でもあった。

なかでも強い姿勢を示すのが国境炭素調整措置(CBAM)だ。EU関係者によると、環境規制の緩い国からの輸入品に事実上の関税をかけるCBAMについて、日米などの国から「EU単独で発表するのか」との問い合わせが相次いだ。自国のどの産業にどの程度の影響があるか、制度設計を尋ねる内容だった。

実際に導入されれば他国にとっては負担増になる。環境・通商摩擦が起きるのは明白だ。ケリー米大統領特使(気候変動問題担当)は3月、CBAMを「最後の手段とすべきだ」とけん制した。バイデン米大統領も6月のEU首脳との会談で懸念を伝えた。

それでもEUは独自の発表にこだわった。CBAMの負担額は域内の排出量取引制度の価格をもとに算出する。05年から制度を導入したEUには「ノウハウが蓄積されている」(ティメルマンス上級副委員長)。

EUは、排出量取引など国レベルの炭素価格を持たない日米がCBAMを直ちに採用するのは難しいとみる。中長期で日米とCBAMで連携する「グリーン同盟」を組む可能性は排除しないものの、EUが主導権を握るとの意思表示といえる。

背景には米中のどちらかが環境覇権を握ることへの警戒感がある。IT(情報技術)を巡る技術覇権争いでEUは米中に後れを取った。欧州委がいち早く対策を公表したのもEUの温暖化ガスの排出量は世界の8%にすぎず、EUの存在感がかすみかねないとの危機感からだ。欧州政策研究所のエルカーバウト・リサーチフェローは「野心的な対策であり、他国に対してEUが(環境政策の主導権を握る)ゲームに参加していると理解させた」と語る。

中国が勝てば、世界の脱炭素化の首根っこを押さえられる。国際エネルギー機関(IEA)によると、電気自動車(EV)の生産に欠かせないレアアース(希土類)の加工で中国は9割近いシェアを握る。リチウムとコバルトは6割前後だ。

米国はバイデン氏が大統領に就任し、温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」への復帰を決めたが、将来にわたって国際的な指導力を発揮できるか不透明感を払拭できない。ブッシュ元大統領(第43代)が京都議定書の批准を拒否し、トランプ前大統領はパリ協定から離脱した過去があるからだ。共和党政権に戻れば歴史が繰り返される可能性は否定できない。

包括案はCBAMに加え、ガソリン車やディーゼル車など内燃機関車の35年までの事実上の販売禁止達成や、自動車や冷暖房の燃料に炭素価格を課すなど家計の負担増にも踏み込んだ。

ポーランド経済研究所などの試算では、EUの低所得者層の平均年間負担額が自動車で44%、冷暖房で50%増える可能性がある。比較的所得の低い東欧などに不満がくすぶっている。

一部の業界団体も反発している。機械や電気、電子関連の団体はCBAM導入で、原材料価格が上昇する可能性への懸念を表明した。欧州自動車工業会は内燃機関車の販売禁止を「単一の技術を禁止するのは現段階では合理的ではない」と批判した。

EUは内部に不満や反対論を抱えながらも、4億5千万人の市場を後ろ盾に域外の国や企業に新たなルール導入を迫る姿勢を鮮明にした。日本や米国とは共通の価値観に基づき、対中政策などで共同歩調をとるが、環境分野では日米と同床異夢の状況を強めている。

(ブリュッセル=竹内康雄)

【関連記事】
・巧者EU、引き寄せるESGマネー 出遅れ日本は素通り
・欧州が主導する取捨選択、ルールが決する競争力
・CO2値付け結論先送り 負担増に慎重論、欧州に出遅れ

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR16EC10W1A710C2000000/


もし国境炭素調整措置(CBAM)が設定されれば、一番困るのは中国となろう。

中国からは日本をはじめ欧米に大量に輸出しているし、中国には欧米の企業がたくさん進出している。

しかもアメリカのバイデン大統領は、「パリ協定」の合意を満たせない国からの製品に「炭素調整料」を課すと公約しているようで、EUのCBAMと同じような考えを持っているようだ。だからバイデンの米国は、EUと共同歩調が取れそうなのだ。

(続く)
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