世の中、まちがってる、根拠なき反日キャンペーン。

相も変わらず根拠なき反日キャンペーンで、国をまとめようとする輩が存在する。

カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(68)

2023-05-31 00:00:00 | Weblog

 今回各メディアでも大きく取り上げられた「26年までに新たに10モデル、年間150万台計画」の大まかな骨子は、佐藤社長から概要説明があった通り、大きく分けて、これまでのbZシリーズの延長線上にある先進国用の中上級価格帯モデルと、実用ニーズを担う新興国用の短距離小型ベーシックモデルに分かれるはずだ。

26年までに10モデル投入、年間150万台の販売を目指す    

 その他、既にスタイルが発表されているスーパースポーツEVもこれに加わるだろう。かつてのレクサスLFAを彷彿(ほうふつ)とさせるモデルである。

米国で開催されたモントレー・カー・ウィーク2022でお披露目されたコンセプトモデル「Lexus Electrified Sport」    

 このクルマの果たす役割は、言うまでもなくトヨタのBEVのイメージリーダーである。21年12月に行われたトヨタのBEV戦略説明会で、質疑応答に答えた豊田章男前社長は「今までのトヨタのBEVには興味がなかった。これからのBEVに興味がある」と言った。「トヨタの、あるいはレクサスのクルマらしい乗り味」、それはつまり金太郎飴ではないBEVということだが、本当にそういうものがつくれるのかどうか、これまで積み重ねて来た言葉が問われることになる。

●トヨタが公開した「次世代のバッテリーEV」

 ただ、中嶋副社長が「心揺さぶる走りとデザインを兼ね備えたまさに次世代のバッテリーEV」という説明の件に差し掛かった時、バックに映し出されていたクルマは、この「Lexus Electrified Sport」ではなかった。全く未発表のクルマが映し出されていたのである。

プレゼンで紹介された次世代のバッテリーEV         

 明らかに新型プリウスのデザイン系統に属するスタイルで、既存のBEVと印象が違う。これまでのBEVの造形は、ボディシェイプとしては、古典的なセダンかSUVがほとんど。ノーズ回りの造形をグリルレスにすることで、BEVらしさを演出してきた。

 まれに「フィアット500」や「マスタング・マッハe」のような、自社のアイコン的デザインを取り入れた少数のクルマが注目を集めていたマーケットに、トヨタは、明らかにスペシャリティのジャンルを狙った、4ドアのクーペライクデザインセダンを投入しようとしている。それはブランドイメージをけん引すればよい限定的販売台数のスーパースポーツと異なり、本当に顧客の選択肢となる商品群の中で、旗艦となる商品だろう。

 Cピラー回りの処理を見る限り、明らかにリヤドアを備えた4もしくは5ドアモデルである。少々見飽きた感が出てきたSUVに代わって、クーペライクデザインのセダンBEVは、基礎的なシェイプそのものに未来感がある。その未来感を担うのは、内燃機関車の常識を超えて、極端に低いノーズと、ハイライトを強制的に入れるためのプレスラインをもたないぬるりとした面構成で作られた造形だ。

 一例としてノーズの起点からフロントタイヤ上へと続くフェンダーの厚みを、既存のBEV、例えばこれまで先進的でスタイリッシュといわれてきたテスラモデル3と比べてみると、その違いは分かりやすいだろう。

 同時に「シャープで低く、視覚的に軽いルーフラインと、力強く踏ん張った大きな4つのタイヤ」という伝統的クルマのデザインとしての“カッコいい”を備えてもおり、このコンセプトを見る限り、最終的な仕上がり次第では伝統の延長に新たな世界を拓いた新提案といえるものになるのかもしれない。

●デザインから期待できる車両キャラクターの方向性

 モデル3との比較において、余談を述べれば、床下にバッテリーを置くレイアウトをスタンダードにしたテスラのデザインでは、ドライバーの着座位置はどうしても高くなる。当然頭上のクリアランス確保のためには、ルーフ高は上がる。

 テスラは、ドアとサイドウインドーの境目、それはつまりウエストラインを下げ、グラスルームを厚く取ったデザインにまとめた。パッケージとして合理的とも言えるが、一方でクルマの普遍的なカッコ良さを担う、薄く低く幅広くというデザインセオリーには反することになる。グラスルームを薄く小さく取ったトヨタのコンセプトモデルと比べると明らかにその印象は異なって見えるはずだ。

 ノーズから完全に連続して立ち上がるAピラーと、後席頭上にピークが置かれたこのデザインは、新型プリウスで始まった新しいトヨタデザインだ。空力的にはテスラのように、もっとピークを前に持って来たいところを、グッと我慢してスタイルを優先するためにピークを後ろへ移動させている。

 しかしそのおかげで、従来のドライバー上にピークがあるデザインの無駄なルーフ高を削れた。前方に置いたピークから、後席頭上へ向かって下降していくラインを描くと、リヤパッセンジャーに必要な空間を確保するために、前席頭上のルーフピークを高くしなくてはならない。

 よって、ルーフピークを後退させることで、前面投影面積を減らし、よりバランスの良い前後室内空間がつくれる。空力(リアのリフト)の不利は独特の制流機能を持つアンダーフロア形状でクリアしてくることが予想される。そこはプリウスと同じ手法になるだろう。

 何より、このデザインは明確に車両キャラクターの方向性を示している。このカッコで遅い、あるいは鈍重な身ごなしはない。そしてその走りに関しては、新型プリウスと同等以上の仕上がりが期待できるはずである。
(続く)
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カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(67)

2023-05-30 00:00:00 | Weblog

この二車種を見ると、若者向けファミリー向けと購買層を明らかに分けて、クルマを開発していることがわかる。

当然のことではあるが、ただやみくもにバッテリーの電気自動車であれば事足りると言ったものではない。夫々どのような消費者を対象にしたBEVを作って売っていくのかと言った、分析が必要である。

その上でさらに、どんな趣味趣向に合ったクルマにするのか、と言った細かな作りこみも必要となるので、よく言われているように、バッテリーとモーターさえあればよいと言った安直なものには、決してならないのである。

だから大変なのではあるが、トヨタとしては、そんなことにはお構いなく(とは言わないが)どんどんBEVを世に出してゆくことが必須なのである。これを怠れば、生き残れないものと覚悟しておく必要があろう。

だから社長が変わったのでしょう。

それでは、中国向け以外にはどんな車が出てくるのであろうか、興味のあるところではあるが、おいそれとこれですとはトヨタも発表なんぞはしないでしょうし、出来ないでしょう。以前には(2021.12.14)、BEVのクレイモデルを16台もお披露目していたのですが。


https://dime.jp/genre/1284655/ より。  クレイモデル16台

具体的な実車モデルを提示できればそれに越したことはないのであるが、それはまだ先の話となるであろうが、今現在はトヨタ社内は大わらわの状態であろう。

しかも実務担当の副社長たち3人も、代わってしまったわけであるから。

この退任させられた3人の副社長たちは、佐藤恒治新社長と同年代であり、何かと新社長としてはやりづらいということで、この交代は豊田章男新会長の配慮であると言った見方もあるようだ。

CTO(最高技術責任者)だった前田昌彦氏(54才)は、中国本部の副本部長として中国でのBEVの開発に従事することになるようだが、CTOからアジア・中国担当と言うことは一種の降格と言ってよいものであろう。

更には新副社長の二人は何れも佐藤恒治新社長よりも、相当の年上だ。
CTOの中嶋裕樹副社長は京大大学院卒の61才、CFOの宮崎洋一副社長は神奈川大学経済学部卒の59才、佐藤恒治社長は早稲田大学工学部卒の53才である。

53~54才の若手副社長に代わって、いわば二番手の老齢の新副社長の手腕にはどのように期待できるものなのか、未知数だと(そこには)書かれている。

(詳しくは「週刊ダインやモンド」の'23.5.27日号を参照の事)

と言ったところで、トヨタのBEVの先行きは、どんなものになるであろうか。佐藤恒治氏が、辣腕の実力派の経営者であれば、話は別となるであろうが。

やや楽観的過ぎる感が無きにしも非ずだが、「池田直渡「週刊モータージャーナル」の続きを見てみよう。



池田直渡「週刊モータージャーナル」
トヨタの新社長就任で、どんなクルマが出てくるのか

2023年04月11日 08時00分 公開   [池田直渡,ITmedia]

 前編では、佐藤恒治社長のプレゼン内容を中心にトヨタの戦略全体を見渡す分析を行った。



新体制になったトヨタは、どんなクルマを出すのか© ITmedia ビジネスオンライン

 後編では、中嶋裕樹副社長の説明パートを中心にトヨタのクルマづくりがどうなっていくかを見ていくことにする。佐藤社長が掲げた経営方針でも、「これからも、『商品で経営する』クルマ屋トヨタの一丁目一番地です」と、トヨタの不変の最重要課題として挙げているだけにその商品がどうなるかの詳細は極めて重要である。

 まずは全体の話だが、前編でも確認した通り、トヨタは引き続きマルチパスウェイの軸をぶらさない。図1にある通り、地域と顧客のニーズに幅広く対応するために、全部で6つの異なるパワートレイン群を展開する。


図1:トヨタが展開する6つのパワートレイン群   

 BEV(バッテリー電気自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド)、FCEV(燃料電池車)、HEV(ハイブリッド)、H2(水素内燃機関)、CN燃料(カーボンニュートラル燃料内燃機関)だ。

●BEVの商品戦略

 まずはおそらくは最も注目を集めるであろうBEVから始めよう。以下、中嶋副社長のスピーチから抜粋する。

 「足元のラインアップを拡充させ、2026年までに10のモデルを新たに投入し、販売台数も年間150万台に達します。一方、クルマ屋が創る今までとは全く異なる次世代バッテリーEV26年に投入致します。電池を極限まで効率良く使い、航続距離を2倍に、さらに心揺さぶる走りとデザインを兼ね備えたまさに次世代のバッテリーEVです」
(続く)
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カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(66)

2023-05-29 00:00:00 | Weblog

現在発表されている2車種について公開されている情報を整理しておきたいと思います。

bZ Sport Crossover Concept 
       


PHEVとBEVの販売で世界を席巻しつつある中国のBYDと共同開発する車種となります。2020年に稼働を開始したトヨタとBYDの合弁会社「BYD TOYOTA EV TECHNOLOGY」主導のもと、若者を想定したスタイリッシュでアクティブなデザインに仕上げられています。実際の市販車は第一汽車との合弁会社「一汽トヨタ」が製造・販売を行います。モデルのコンセプトは「Reboot」であり、乗り込んだ瞬間に気分が変わるという考えを取り入れているといいます。

若いユーザーをターゲットにしており、パーソナルスペースを提供する機能を強調。ドライバー アシスタンスなどのインテリジェント機能を含め、購入後もその機能がアップデートできるように開発されています。BEV含めてこれまでの日本車では少し手薄だったこれらの分野もbZ Sport Crossover Conceptでは充実をはかりました。

ちなみにトヨタがBYDと電気自動車を共同開発するのはこれが初めてではありません。この2つの会社の協力関係は2022年10月に発表されたbZ3ですでに形になっており、今回のbZ Sport Crossover Conceptはそれに次ぐ車種となります。BYDはもともとバッテリー会社として誕生した経緯もあり、リチウムイオンバッテリーに関連する卓越した技術を持っています。そのBYDと、世界的自動車メーカーであるトヨタがタッグを組むことで、より中国市場、中国の購買層に根ざした商品開発を行なっていくという狙いがあります。   



2022年12月に中国で予約受注が始まったbZ3。バッテリー容量49.9kWhと65.3kWhの2タイプで価格は16万9800元(約331万円)〜。今のところ日本での発売予定はありません。

bZ FlexSpace Concept         



こちらは広州に本拠地を置く中国の自動車メーカー「広州汽車」との共同開発によって誕生したモデルです。

トヨタは広州汽車との合弁会社「広汽トヨタ」を設立しており、現地でのトヨタ車種の製造と販売を行っています。近年では広州汽車がトヨタの名前が入らない自社ブランドで販売するハイブリッドモデルに、トヨタが開発した「トヨタハイブリッドシステム」を搭載する例が見られ、2社は電動化の時代になっても密に連携し、市場の声に耳を傾けた商品開発を行なっています。

bZ FlexSpace Conceptは実用性重視、ファミリー向けのSUVであることを念頭に置いて開発されたとのこと。トヨタはこのモデルのコンセプトを「Cozy Home」(心地よい家)とし、家族が安心して快適に、自由に使える空間をつくることを目指しています。広い室内空間、使いやすさ、先進の安全性、信頼できる航続距離のほか、さまざまなインテリジェント機能を提供しています。家族、友人、カップルが毎日の生活をさらに楽しくするのに理想的な車として開発を進めてきました。なお、サイズ感はbZ4Xと同等かこちらが少し大きめといったところですが、車高が低く設定されているためとてもスタイリッシュな印象を与えます。

bZ Sport Crossover Conceptでは若い世代を中心に昨今の中国で流行りを見せているクーペスタイルSUVで流行に敏感な若者がユーザーになってくれることを想定。一方、bZ FlexSpace Conceptでは大空間かつ居心地の良さを念頭に置いたファミリー層を想定と、2車種の間には明確なターゲットの違いがあります。

若者向けクーペスタイルSUV、ファミリー向け実用的なSUVは、どちらも現代の中国では加熱している重要なマーケットとなっています。

(編集部注/EVsmartブログでは原則として発売されるかどうかもわからないハリボテのコンセプトカーは紹介しない方針ですが、今回は2024年には中国で発売すると明言されていること。また、トヨタのBEV戦略が中国市場を軸に構想されていることを感じ取れる内容でもあったので、取り上げることにしました)

2023年4月の新体制発表会にてトヨタは 2026 年までに合計10 モデルの新しい BEV 市場投入を計画していることを明らかにしました。今回発表された2台もその中に含まれています。すでに発売されているbZ3を含めて、トヨタのBEV戦略はおもに中国市場を見据えたもの? という印象でもあります。

同じく2026年までに年間150万台のBEV販売目標を発表しており、新世代のBEVは「はるかに効率的なバッテリーを使用することで航続距離を2倍にすると同時に、心臓を鼓動させるデザインと走行性能を提供する」ことを示しています。日本市場で発売するEVは「はるかに効率的なバッテリー」が完成してからということなのでしょうか。日本市場のEVラインナップがどうなるのか。また、中国を含めた世界で「2026年に150万台」販売できるトヨタのEVの全貌について、さらに新たな情報を期待したいところです。



2022年11月のロサンゼルスオートショーでは、 bZ Compact SUV Concept が出展されました。

今回発表された中国市場向けモデル以外にも、グローバルで展開予定のBEVを何モデルか中国にも投入する予定もあります。電動化における先鋒として知られる中国市場において、BEV、PHEV、HEV、そして中国政府が国策として開発を推進しているFCEV(水素)も含めた「全方位戦略」を展開するトヨタは今後も注目されることでしょう。今回の上海モーターショーでは「2024年、日本国外で水素燃料システム専用の最初の工場が北京で生産を開始する」ことも発表しました。

取材・文/加藤 久美子写真/加藤 ヒロト

https://blog.evsmart.net/toyota/2023-toyotas-bz-at-the-shanghai-motor-show/
(続く)
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カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(65)

2023-05-26 00:00:00 | Weblog

【上海モーターショー】トヨタが bZ シリーズとして2024年に発売予定2台のEVを世界初披露
2023年5月2日 

2023年4月18日から27日まで開催された上海モーターショー。発表された新型車のほとんどが電気自動車で、中国を中心とした世界のEVシフトがいよいよ明確になってきた印象です。トヨタもbZシリーズの次期モデルとしてBYDなどと共同開発中の2車種を世界で初めて披露しました。



上海モーターショーには多数の新型EVが登場!         

2022年、中国では前年比8割増となる536万台ものNEV新エネルギー車(BEV/PHEV/FCV)が販売されました。この数字は同年販売された新車全体の2割程度となっています。2022年に日本で販売された新車の台数(420万台)を大きく上回るもので、自動車全体の販売台数2686万台と2009年にアメリカを抜いて世界トップを走り続けています。政府の後押しもあってNEVの販売台数も急増。現在、中国の新車販売台数の約2割がNEVとなっています。

2022年に536万台ものNEVが売れた理由には中国特有の事情もあります。それは2022年末で中国政府による「購入補助金」が完全に打ち切られたことによる駆け込み需要です。現在は政府による購入補助金完全になくなりましたが、NEVへの優遇として取得税の免除とナンバープレート発給などはまだ続いています。中国ではガソリン車に対するナンバープレートの発給に上海、北京、杭州などの大都市ではとくに厳しい制限をかけています。クルマを買えばナンバーがついてくるのが当たり前の日本では到底考えられませんが、中国では排ガスを出すクルマの台数を増やしたくない&新エネルギー車の普及を進めるという目的もあってNEVに対する優遇措置をとっているのです。

中国乗用車協会が公表したデータによると、2023年3 月に中国で販売された新車乗用車の約 3 分の 1がNEVとなっています。2022年の1年間合計では5分の1でしたので、補助金がなくなったとしてもそれほど大きな影響はないと言えるでしょう。

世界でもっとも電動化が急速に進む中国ですが、このような中、4年ぶりのフルスケール(上海と北京が1年ごとの開催。2021年はCOVID-19の影響で縮小開催)開催となった上海モーターショー2023にも多数のNEVがお披露目されました。

日本メーカーも日産アリゾンやホンダ「e:N(イーエヌ)」シリーズなどの新車種、そしてトヨタ自動車も市販を前提とした2車種のBEVを世界初公開しました。

bZシリーズ2台のニューモデルをお披露目

bZ Sport Crossover Concept   

bZ FlexSpace Concept    

2021年の上海モーターショーでは、トヨタ初のグローバルBEV「bZ4X」が発表されましたが、今回発表されたのは、「bZ Sport Crossover Concept」 「bZ FlexSpace Concept」と名付けられた2台です。新たに発表された2モデルは2024年中に中国での発売を目指しているとのこと。

トヨタのプレスカンファレンスは上海モーターショー開催初日の18日朝9時にスタートしました。2023年4月1日付で新たに代表取締役社長として就任した佐藤恒治氏はビデオメッセージにて登場。継続して中国現地の企業と提携し電動化にコミットしていくことを表明しています。

トヨタは昨年10月に中国でbZ3BYDと共同開発したセダンタイプのBEV)を発表し、今年4月から受注を開始しました。販売開始からすでに5000台の注文が入っているそうです。中国市場ではBEVの値下げが相次いでいますが、bZ3も発表時には18万9800元だったのが、今年4月の発売時には16万9800元と2万元(約40万円)の値下げを行っています。

一汽トヨタがシリーズモデルとして生産・販売する「bZ Sport Crossover Concept」は「若い Z 世代の顧客」にアピールする「パーソナル スペース」を提供するConceptで、広汽トヨタが生産・販売する電動SUV「bZ FlexSpace Concept」は実用性に重点を置いたファミリー向け車両となります。

実はプレスリリースにおいてこれら2車種のコンセプトカーはBEVであること以外、車両のスペックなど詳細が明らかにされていません。

どんな電気自動車なのか?

明らかになっていることはbZ Sport Crossover Conceptがトヨタ、一汽トヨタ、トヨタ モーター エンジニアリング & マニュファクチャリング チャイナ (TEMC)、および BYD トヨタ EV テクノロジー (BTET) によって共同開発されていることです。BYDが開発に大きく関わっていることから、先に発売されているbZ3同様、 BYD の ブレードバッテリー技術が採用されている可能性は高いと思われます。

また、トヨタ、GAC(広州汽車)、GAC-Toyota、TEMC が共同開発中の bZ FlexSpace Conceptは、GAC またはその子会社である GAC Aion の EV 技術に基づいている可能性も大きいと考えられます。

現在発表されている2車種について公開されている情報を整理しておきたいと思います。
(続く)
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カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(64)

2023-05-25 00:00:00 | Weblog

と言うことではあるが、かなりの長文で集中して読まないと理解が進まないのだが、「佐藤社長のプレゼンのまとめ部分をちゃちゃっとやってしまおう。」と言った部分を、簡単にまとめると次のようなものかな。
ご一読し、ご批判願う。


佐藤社長のプレゼンのまとめ部分」の要約

①各地域別のパワートレイン比率(or BEV比率)

2022年 BEV PHEV HEV ICE  合計
ドイツ 17% 12% 12% 59%  100%
 中国   18% 6% 8% 68%  100%
 米国   5%   1% 8% 86%  100%
 印尼   1%   - -   99%  100%  (インドネシア)

(注)この数字は、市場構成比だとしているので、販売台数などではなくて、2022年末時点などでの夫々の市場に存在している車両の総台数に占めるパワートレインの比率であろう。
それとも2022年に販売された車両総台数の構成比なのかは、わからない。

トヨタは世界を相手に車を販売しているので、EUと中国だけに(主に)販売しているドイツなとと異なり、すべてのパワートレインのクルマを売ってゆく必要がある訳である。
例えばインドネシアでBEVを売れと言っても、それは無理なこと。

②トヨタの地域別小売り台数(2022年)

  日本 北米 欧州 アジア 中国 その他  合計 
  13% 26% 11% 14% 20% 15% 956万台

  世界中で、満遍なくクルマを売っていることになる。

③だから、マルチパスウェイ・Multi-pathway が必要となる。

トヨタとしては、あらゆる種類のパワートレインのクルマを造って売ってゆく必要がある、と言うこと。

 HEV PHEV BEV FCEV H2 CNfuel・合成燃料

参考でにICE(内燃機関)でCO2フリーにする方法としては、(以前にも指摘しておいたが)次の様な方法があるのでご参考までに。

・ガソリンエンジン・ICEを使わない方法。
1)BEV(バッテリー電気自動車)→当面の激戦区である。
2)FCEV(燃料電池自動車・H2と酸素で発電する一種の電気自動車である。)
3)PHEV(エンジン付きの外部充電可能なEV、HEVとBEV の結合車、厳密には
    CO2フリーではないが、一般的にはZEVとしている。)

・ICEの燃料をCO2フリーとする方法。
4)HICE(Hydrogen Internal Combustion Engin 水素エンジン)
5)Synthetic fuel(合成燃料、CO2→CO(+)H2←H2O⇒FT合成→CnH2n)※
6)e-fuel(electro fuel、再生可能エネルギーによる電気で作った合成燃料)
7)biofuel(バイオマス・生物資源を原料とする燃料、トウモロコシ、サトウキビなど)

※当ブログ「世界の流れは、EV化(81)」(2022.03.10)を参照の事。


BEVは、米国のテスラを除き他社はすべて赤字である、と言われている。
トヨタも赤字覚悟でBEV事業に取り組んでゆかなければならない。そのためにもHEVでの利益が必要となる。

④各地域ごとのトヨタのBEVの取り組み

 先進国  bzシリーズ性能強化と車種拡大
  内米国  '25年に3列SUVの現地生産、Batt.工場増強
 中国   '24年に現地開発2モデル追加
 新興国  各種ニーズに対応、Pickup truck・小型BEV投入

⑤トヨタは、フルラインナップでの脱炭素で成長

 先進国 (BEV)+(PHEV・HEV)+(若干のICE、CN)
新興国 (若干のBEV)+(HEV)+(ICE)  
 合計    1,000万台 + α

'22年までのHEVの累計販売台数は2,250万台となり、CO2削減効果はBEVに換算すると約750万台となる(走行時だけのCO2削減効果で?)。

LCAベースでみると、BEVとHEVとではCO2の排出量はほぼ同じベースとなるという試算もある(当ブログの'23.4.5のNO.28参照のこと)。Batt.の製造時や火力発電時のCO2排出量が無視できない量となる、と言うことである。

これはCO2排出ペースでは、HEV,3台でBEV,1台に相当するという計算であるが、実際にはHEV,2台でBEV,1台に相当すると言ってもよいのではないのかな、と小生は思っている。

⑥今後の成長戦略としては、

 2026年 BEV,10車種 150万台・年販売(BEV=BEV+FCEV)
 2030年 BEV,30車種 350万台・年販売(同上)

 と言うことは、イメージとしては次のようになるのかな。

  BEV+FCEV 350万台
  HEV・PHEV 450万台
  ICE、CN 250万台~200万台
  合計  1,050万台~1,000万台程度  と言ったところか。


と言うことで、「トヨタは佐藤社長体制で何がどう変わるのか」と言う問いに対しては、

もっといいクルマをつくろうよ」と言う哲学は変わらずに引き継いでゆくので、これが「継承」であり、各地域にマッチした電動化・BEV化の積極的推進での脱炭素化が「進化」である、と小生は理解したのであるが、しかしながらやり方はあくまでも全方位戦略である。

そのためには、今後トヨタは積極的にBEVを投入しなくてはならないもの思われる。

何がどう変わって、どんな車が出てくるのかに対して、差し当たっては、「中国」と「EU・米国」であるが、「EU」はぼちぼち(?)と言ったところだが「米国」にはZEV規制があり待ったなしの状態なのでしょう。。

中国へは、早速新型EV2車種を、上海国際モーターショーで発表している。


     bZ Sport Crossover Concept  bZ FlexSpace Concept   
 用途   若いZ世代向け        ファミリー向け
      パーソナルユース       実用性重視
 ボデー  クーペSUV         箱型SUV
共同開発  BYD、一汽トヨタ        GAC(広州汽車)、広汽トヨタ
 機能   OTA、機能アップ        インテリジェント機能
 発売   2024年、中国         2024年、中国

と言ったところが新型BEVの概要であるが、詳しくは次の論考をご一読願う。
(続く)
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カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(63)

2023-05-24 00:00:00 | Weblog

 図9は、各地域別のパワートレイン構成比だ。国によって比率は大きく違う。単純にBEVを抜き出せば、ドイツは17%、中国は18%、米国は5%、インドネシアは1%。インドネシアに「ドイツの事情に合わせろ」と言っても無理だし、ドイツに「米国の事情に合わせろ」と言っても無理だ。それぞれのマーケットでクルマの使われ方も、経済的な豊かさも、インフラ事情も違う。だから地域ごとにパワートレインも異なるし、そもそもBEVに求められるスペックも違うはずだ。

図9:各地域別のパワートレイン構成比     

 というわけで結論として図10が示される。これから2050年までの26年間を見通せば、図9の比率はどんどん変わっていく。その全てに対応するためにはマルチパスウェイが必要であるという結論になる。そういう意味ではトヨタの結論は豊田社長時代と何も変わってないといえるし、それこそが継承になる。

図10:全てのパワートレーンを強化   

●今後どう変わっていくのか

 ではどう変わっていくかの短期的見通しを示したのが図11で、先進国ではbZシリーズ、つまりBEVの性能を強化するとともにラインアップを拡大する。新興国では多様なニーズに対応して地域に応じたパワートレインを用意し、働くクルマのCO2を削減する次世代ピックアップトラックを発売。加えて都市内ニーズに対応するために電池容量を限定して、販売価格を下げた小型BEVをリリースしていく。

図11:各地域のBEVの取り組み        

 そしてさりげなくすごいことを言っているのが、その次の図12だ。左側のグレーの四角形と右側のそれを比べてほしい。これは台数を表しているので、つまり先進国では既存の台数をトータルで維持できるとトヨタは考えており、同時に新興国では台数を大幅に積み上げる予測でいる。こうした資料をつくる時、説明で言及こそしないものの、そういう数字的ファクトではうそをつかないように丁寧につくるのは当然のことだ。つまり、ここの部分のイメージは図を制作した人の頭の中にあることだと考えて良い。

図12:事業成長の構図       

 ざっくりと見ると、先進国と新興国に含まれる水色のBEVの面積の合計は新興国の増加分より少ないが、BEVが売れた分、まるごと内燃機関付きモデルが減るという構図ではない。BEVの合計台数を過去の発表数字350万台と仮定するならば、おそらく100~150万台程度内燃機関付きモデルが減って、350万台のBEVが加わることになる

 それが何を示しているかを読み取れるだろうか? トヨタは、従来のサプライヤーに内燃機関部品の大規模な縮小を求めず、販売増加した分についてBEVの部品生産に切り替えて行けば、現状の内燃機関付き車両の部品生産はほぼ規模を維持したまま行かれるルートを考えている。言い換えれば、550万人の雇用を維持しながら、トヨタ全体では、BEVの生産台数を大幅に増やしていく戦略を示しているのだ。

 それが台数と営業利益に何をもたらすのかを描いているのが図13になる。こちらも全くさりげなく、というかバレないように「新興国の成長」の上に書かれている「HEVの台数・収益増」という言葉はまさに匂わせそのものだ。しかもそういうことができるのが「トヨタだからこその稼ぐ力」だと言うのである。もちろんそんなことが本当にできるかどうかは分からないが、彼らが描く絵図はそういうことを意味している。

図13:トヨタが目指すさらなる基盤強化       

●爆発的に伸びる新興国とは

 では、その市場が爆発的に伸びる新興国とはどこか? それはいまバブルに沸いているASEANだろう。テーマとしては違う捉え方をして書いた記事だが、トヨタがすでにタイのマーケットに手を打っているのは1月の記事「トヨタは日本を諦めつつある 豊田章男社長のメッセージ」を参考にしていただければ分かりやすいだろう。実際のところ佐藤社長のプレゼン資料もこの後、タイでの事業に関する資料が数ページ続く。筆者の読みが的外れということはなさそうに思える。

 ところで、各媒体をにぎわしている「26年までに新たに10種の新EV、年間150万台販売」というBEV戦略の話はどうした、という問いに答えるのは、文字数の関係で後編で続けたい。(後編、4月11日掲載予定)

筆者プロフィール(池田直渡)
 1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミュニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。
 以後、編集プロダクション、グラニテを設立し、クルマのメカニズムと開発思想や社会情勢の結びつきに着目して執筆活動を行う他、YouTubeチャンネル「全部クルマのハナシ」を運営。コメント欄やSNSなどで見かけた気に入った質問には、noteで回答も行っている
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2304/10/news060.html
(続く)
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カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(62)

2023-05-23 00:00:00 | Weblog

●トヨタが世界に対して果たす役割

 さて、その上でトヨタが社会、あるいは世界に対して果たす役割は何かと言えば、それはこれまで通り「幸せの量産」である。何を何台つくるかはそのための手段でしかないし、もっと言えば単なる結果であって、経営課題として常に一番上に置くのはあくまでも「幸せの量産」ということになる。

 「幸せの量産と言われてもどうも腑に落ちない」人もいるだろう。そこを説明したのが図2だ。トヨタは世界各地域でクルマを販売するグローバル企業であり、地域によって求められるクルマも技術も異なる。これまでトヨタが何度も説明してきたマルチソリューションとは、「幸せの量産」のために、多様な地域の人々の暮らしそれぞれに合わせた最適な答えを複数用意することであり、それら複数のクルマを最速かつ合理的に生産するために共通基盤技術であるTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)を採用していくことになる。

図2:トヨタは多様な地域の個性に合わせた商品を展開する  

 TNGAの採用によって、各地域で具体的にどのように顧客の支持を得られるようになったのかを表したのが図3である。2005年比で小売台数総合計を32%増やしながら、地域ごとのシェア比を均等に近づけている。乱暴に言えば日米がメインの会社から、アジアや中国でもマーケットの取れる会社へと転換を図っているということになる。

図3:18年以降進めてきた地域軸経営によって、総量の増加に加えて、地域の柱が多角化した

 もちろん、そうやって多様な地域のニーズに応える商品をつくることで、コスト的に厳しくなっては意味がない。そこを説明するのが図4である。左のリーマンショックの08年と部品不足で生産が思うようにいかなかった22年を比べると、22年は08年比で台数を8%落としながら、営業利益を32%増やしている。そんなことができているのは「TNGAをはじめとする原価低減」の効果であり、それによって得られたものは「稼ぐ力」と「未来への投資力」である。

図4:稼げる体質の強化と、原資の確保による安定的な未来投資  

 という話になると必ず出てくるのが「トヨタばっかりもうけやがって」という陰口なのだが、挙げた利益を「国・お客様・仕入れ先・株主・従業員」にどのように分配してきたかを示すのが図5で、多くに具体的な金額が入っている。まあこれだけのエビデンスを出しても文句を言う人はなくならないとは思うが、数字ベースで見るとこういうことだ。図のタイトルにトヨタの主張が込められている。

図5:従業員や株主、仕入先などのステークホルダーとともに成長するトヨタのサイクル

●トヨタが描く電動化戦略

 さて、ここまでが全体的な話で、ここから各論に入っていく。まずは電動化戦略について、これまでの成果を表したのが図6だ。2250万台と書かれているのはHEV(ハイブリッド車)の累計販売台数である。

 これをBEV(バッテリー電気自動車)に換算すると、約750万台に当たるとトヨタは主張しており、電動化プログラムの中でそれだけのCO2削減を達成してきたことを述べている。まあ「敵はCO2」とするならば妥当な主張だと思うが、「CO2をどれだけ減らしたかは関係ない。とにかくBEVをどれだけ売ったかが全て」と主張する人には通じそうもない説明である。

図6:トヨタの電動車累計販売台数   

 では、BEVをどうやって増やしていくかを説明するのが図7と図8になる。プリウスの発売以来25年で、HEVの原価を6分の1に低下させ、ついにガソリン車の利益を超えたことが示されている。BEVの事業的可能性を見た時、現実的な話として中国系のメーカーは国からの多額の補助金が入っているので評価のしようがない現状を考慮すれば、きちんと利益を上げているのは世界でテスラだけである。

図7:HEVの収益性について図8:利益の拡大で実現した「未来への投資」「みんなで成長」「CO2低減」   


図8:利益の拡大で実現した「未来への投資」「みんなで成長」「CO2低減」         

 トヨタがBEVのラインアップを増やした際に、テスラ同様黒字になると考えるのはあまりにもご都合主義である。常識的にはBEVに取り組んでいる各メーカー同様、BEV事業は赤字になると考えるのが妥当なので、そのBEVの赤字対策は終わったよ。ということをこの資料は説明している。底が抜けたザルのように赤字が出ても維持できる体制をHEVの利益率向上によって確保したということになる。トヨタはもう少しBEV事業で儲かる会社が増えてから参入したかったのだが、腹を括って「大出血我慢比べ」に参入する覚悟をした。そういう戦い方になるBEV事業を始めるに当たって、まずは滑落防止のザイルを用意したことを示すのがこの図である。

 というところから先は個別の製品戦略の話に移るので、中嶋副社長のプレゼンになるのだが、その前に佐藤社長のプレゼンのまとめ部分をちゃちゃっとやってしまおう。
(続く)
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カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(61)

2023-05-22 00:00:00 | Weblog

トヨタは佐藤恒治新社長の下、この体制でBEVの2030年、30車種、350万台に挑むことになるわけだ。

2023年4月7日には、その中間目標としてバッテリーEVを、

2026年までに、       2030年までに、
 10モデル          30モデル
 150万台(年、世界販売)   350万台(年、世界販売)
'25年に米国で生産
全方位戦略は維持(HV,PHV,FCV,H2,CN

と言う数字を発表した。



トヨタ、26年までにEV年150万台販売 米国で生産も
2023年4月7日 5:00 (2023年4月7日 14:41更新) [有料会員限定]


トヨタ自動車は7日、2026年までに電気自動車(EV)を新たに10モデル投入し、世界販売を年間150万台にすると発表した。22年のEV販売実績は2万4千台で、そこから4年で60倍以上の規模になる。米国で25年から現地生産するとも明らかにした。

同日、都内で「新体制方針説明会」を開いた。1日に就任した佐藤恒治新社長に加え、中嶋裕樹氏、宮崎洋一氏の両副社長が登壇した。

トヨタのEV戦略はこれまで「30年に販売350万台」と30車種の投入を掲げており、その途中経過を示した形だ。次世代EVの専門組織を新設し、開発コストを減らしていく方針も明かした。

地域別のEV戦略では米国で3列シートの多目的スポーツ車(SUV)現地生産するとした。既に明らかにしているEVで中核となる電池の工場の新設でも、生産を増強していく方針を示した。

中国では24年に現地開発モデルを2車種追加するとした。先進国では22年に初の量産EVとして発売した「bZ4X」をはじめとした「bZ」シリーズの性能強化やモデル数の拡大に務める。新興国ではピックアップトラックや小型車も出していく。

佐藤氏は新体制のテーマについて「継承と進化」と話した。ハイブリッド車(HV)のほか、FCV(燃料電池車)や水素エンジン車も含めた「全方位戦略」を進める点は堅持する。一方でEV戦略も加速する。FCVでは商用車を中心に進めていく。

佐藤氏は新たに「トヨタモビリティコンセプト」も発表した。クルマ、モビリティー、社会システムの3点から「価値の拡張」などを訴えた。クルマの価値はEVの活用のほか、コネクテッド、「アリーン」と呼ぶ、次世代車の安全制御機能などを一括で動かす車載用の基盤ソフトについて触れた。

モビリティーについては空飛ぶクルマや小型EVなどの普及を掲げた。社会システムでは静岡県裾野市で建設中のスマートシティ「ウーブン・シティ」内での実証実験について言及した。佐藤氏は「クルマの進化の先にモビリティーがある」と話した。

【関連記事】

・トヨタ佐藤社長「EV有用性理解」「豊田会長役割大きい」
・トヨタ、EV「28位」からの急加速 水素など全方位は維持

多様な観点からニュースを考える
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
中西孝樹ナカニシ自動車産業リサーチ 代表アナリスト

今後の展望
新体勢決定後僅か2カ月、CEO就任から何と1週間での方針説明会です。佐藤CEOの強い意気込みを感じます。そうは言っても、僅か2カ月でトヨタが進めていかなければならない全てのマトリックス(ソフトXデジタルXBEV)を埋めつくす完全で詳細な方針説明ができるとは思われません。過去の失敗(?)に学び、奇をてらわず新アプローチと組織改革を愚直に進め、先送られてきた決断をいち早く下そうとする姿勢が見えれば、本日の方針説明は評価できると考えています。まずは、電池とBEVをどう進めるか。これだけは集中した方針の説明が欠かせないと思います。
2023年4月7日 7:17

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFD063UY0W3A400C2000000/?n_cid=NMAIL006_20230407_Y



トヨタは「佐藤恒治新社長」の下で、「モビリティカンパニー」や「BEV」へのシフトをどのように成し遂げようとしているのか、非常に興味あるところである。


 池田直渡「週刊モータージャーナル」
トヨタは佐藤社長体制で何がどう変わるのか

2023年04月10日 08時00分 公開       [池田直渡,ITmedia]

 1月の社長交代発表から3カ月が経過した4月7日。ようやくトヨタ自動車の新体制方針説明会が開かれた。


トヨタはどう変わるのか© ITmedia ビジネスオンライン 

 予想はしていたことながら、範囲は広範におよび、簡単には記事にまとまらない。誠に書き手泣かせの説明会であった。既に大手マスコミ各社からは、中嶋裕樹副社長の説明パートでの発言「2026年までに10種の新EVを投入」「販売台数も年間150万台」ばかりが強調されているが、それは大きな絵柄の中のごく一部、うそではないがトリミングされた真実の一部にすぎない。

 というわけで、今回はその大きな絵柄をトヨタの発表資料に沿って説明していきたい。

 さて、まずは佐藤恒治社長のプレゼンからだ。ポイントは3つ。トヨタは「クルマの価値の拡張」「モビリティの拡張」「社会システム化」3つのテーマに取り組んでいくことになる。佐藤体制のテーマは既に1月の段階で「継承と進化」であると定義されており、豊田体制の流れをくみながら、正常進化させていく形である。

図1:トヨタが取り組む3つのポイント      

 継承とは何かをひも解けば、それは「もっといいクルマをつくろうよ」であり、それを事業として見れば「これからも、『商品で経営する』クルマ屋トヨタの一丁目一番地」ということになる。ではどうやってもっといいクルマをつくるのかと言えば、その要となるのがチームプレーになると佐藤新社長は語る。「世界37万人のトヨタの仲間と、仕入先、販売店の皆さまと一緒に、全員でクルマをつくっています

 豊田章男という飛び抜けた経営者の後を継いで、いきなり円熟期の豊田氏と変わらず経営ができる人材は世界中を探してもいない。豊田前社長は14年経験を積み重ねたベテラン。そこに1年目から同じだけのプレゼンスを備え、同じように経営しろと要求するのはさすがに無理難題がすぎる。

 だからこそ佐藤社長は「チームで、同時に、有機的に動く」ことを新しい変化として掲げているし、豊田前社長はそれを会長として支えて、独り立ちさせようと考えている。仲間と共に戦う。それこそが佐藤新体制の大きな特徴であるといえるだろう。
(続く)
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カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(60)

2023-05-19 00:00:00 | Weblog

と言うことで、トヨタも新体制でBEVの開発へまい進することになる。

電気自動車がCO2の唯一の解決策だと言う訳ではないが、いよいよBEV戦国時代に突入と言うことだ。




トヨタ次期社長、新体制でEV開発を加速へ-CFOなど幹部一新
稲島剛史2023年2月13日 15:29 JST更新日時 2023年2月13日 17:56 JST

車台など全てをEV最適で考えた次世代車をレクサス開発、26年目標
EV化などが迫る中、トヨタは社長を若返り-全方位戦略は維持へ

トヨタ自動車は13日、佐藤恒治次期社長(53)の新体制下で電気自動車(EV)の開発を加速する考えを明らかにした。

  佐藤氏は記者会見で、具体的な取り組みとしてEVの足元のラインアップを拡充すると発言。2026年を目標に電池やプラットフォーム(車台)、車の作り方など全てをEV最適で考えた次世代車両を同社の高級車「レクサス」ブランドで開発していくと語った。

トヨタの佐藤次期社長Photographer: Toru Hanai/Bloomberg  

  トヨタは先月('23年1月)26日、執行役員の佐藤氏が昇格して社長、豊田章男社長(66)は代表権のある会長に就くと発表した。自動車業界は「100年に1度の変革期」を迎えていると言われ、トヨタは佐藤氏の指揮の下、新たな経営陣でEVや自動運転といった新たな技術への対応を図ることになる。

  欧米の自動車メーカーを中心にEVへの転換が進むのに対し、トヨタはハイブリッド車(HV)や燃料電池車(FCV)なども含めた全方位で開発を続ける方針だ。トヨタは21年12月、EV販売目標の引き上げや電動化に向けた大規模な投資計画を発表したが、環境団体などからはEVに後ろ向きとの批判が根強くある。

  佐藤氏は、幅広い選択肢を提供するマルチパスウェイ(複数の道筋)の方針は「全く一切ぶれることなく、変わっていない」と強調。その考え方の中でEVも「重要な選択肢」だとし、地域や国でエネルギー事情が違う中で「ワンソリューションで解決できる問題ではないということを強く思っている」と語った。


トヨタ新執行部のメンバーPhotographer: Toru Hanai/Bloomberg   

(左から新郷和晃氏宮崎洋一氏佐藤恒治次期社長中嶋裕樹氏サイモン・ハンフリーズ氏(日刊自動車新聞))、黒字が副社長


  トヨタは同日、4月1日付で社長に就く佐藤氏の下で幹部を務める陣容を発表。宮崎洋一氏が副社長に昇格し、現在のチーフコンペティティブオフィサーのほか、最高財務責任者(CFO)を兼任する。また、トヨタのミッドサイズ・ヴィークル・カンパニーのトップを務める中島裕樹氏も副社長に就任し、チーフテクノロジーオフィサー(CTO)を兼任する。

  現在の副社長3人はアジアや電動化など同社が重点事業と位置付けるテーマの「現場のリーダーとして陣頭指揮」を執ることになる。

  現在CFOを務める近健太副社長は、トヨタ傘下で自動運転技術やスマートシティーの開発などを行う子会社でCFOに就任予定。同子会社は4月に現在のウーブン・プラネット・ホールディングスからウーブン・バイ・トヨタに改名するという。

関連記事:
トヨタ新社長に53歳佐藤氏、「車進化させる」-EVシフトの波迫る
トヨタ社長交代、変革期に53歳若手にバトン-豊田氏は会長に (3)
(会見での発言などを追加して更新します)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-02-13/RQ08NYDWRGG201


4月1日付 執行役員体制

宮崎 洋一 副社長
      Chief Financial Officer(CFO
      Chief Competitive Officer
      事業・販売(President)

中嶋 裕樹 副社長 
      Chief Technology Officer(CTO
      Mid-size Vehicle Company(President)
      CV Company(President)

新郷 和晃  Chief Production Officer
       Toyota Compact Car Company(President)

Simon Humphries Chief Branding Officer
(サイモン・ハンフリーズ) クルマ開発センターデザイン領域(統括部長)

(https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/38774288.html)

(続く)
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カーボンゼロ、クルマの未来はどうなる?(59)

2023-05-18 00:00:00 | Weblog

電気自動車・BEVの肝は、当然の事、バッテリーである。トヨタのバッテリー確保量の280GWhは、VWの240GWhよりも大きい。

先にも示したが、この量で何台のBEVが作られるか計算してみると、

BEV 一台当たりのバッテリーの搭載量を仮に、60KWhとする。

VW  240GWh/60KWh=240×10^9/60×10^3=4.0×10^6=400万台
トヨタ 280GWh/60KWh=280×10^9/60×10^3=4.7×10^6=470万台


'23年05月02日のNO.47の当ブログでは、

VWは30年のEV販売を400万~500万台と述べているので、まあこの計算はほぼ正しいものと見立てると、

トヨタも同じように計算すると470万台となるが、トヨタは2030年でBEVを350万台売ると言っているので、470万台との間にはGapが存在することになるが、バッテリーの搭載量を70KWh/台とすると、400万台となり350万台に近付くので、トヨタはコンパクト車よりも中・大型のSUVクロスオーバー車を中心としたBEVを考えているのではないのかな。

と言うこと(Batt.を多く積む)は、かなりの高額なクルマとなるわけで、中高級層以上の富裕層向けに商売をすることになるものと思われるが、日産や三菱が軽自動車のEVを出しているので、それに対抗する意味で、軽のEVも出さざるを得ないものと思われるが、どんなものであろうか。

それとも350万台はBEVとしては控えめな数字として、トヨタは発表したものなのか。本当はもっと多いBEVを考えているものなのか。

又はスバル用のバッテリーも含んだ数字なのかもしれない。と言うことは、
470-350=120万台が(スバルには一寸多すぎる。40~50万台か)スバル用のバッテリーと言うことか又はマツダやスズキ向けも含んでいるのか。

と言ったところで、何はともあれトヨタ社内はそろそろ、BEVのために戦争状態ではないのかな。佐藤恒治新社長も大変だ。

そんなこんなで、トヨタとしても、BEVは根本から見直して開発する気になったようだ。が、社内関係部署の苦悩も思い知らされるものだ。

今のTNGA系のプラットフォーム(PF)ではICE(内燃エンジン車)とBEVとの共通のPFなので(?)、専用車台の開発に舵を切ったようだ。まあ、当然の成り行きだと思うが。


トヨタ、EV設計見直し 専用の車台開発、生産体制も整備―効率改善狙う
2023年01月26日07時03分

トヨタ自動車の電気自動車(EV)「bZ4X」(同社提供)  


 トヨタ自動車が、電気自動車(EV)の設計や生産体制の見直しに乗り出した。モーターなどを載せる車の基礎部分「車台」について、コストが安いEV専用タイプの開発を検討。工場にはEVだけを造る生産ラインも設け、量産体制を整える。EVの普及が想定を超えて進む中、生産効率を高め、米テスラや中国の比亜迪(BYD)などのライバルを追撃する。

「水素も将来有望な技術」 脱炭素化でトヨタ社長
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022121401093&g=int

 トヨタは2021年12月、30年までにEV30車種を投入し、EVの世界販売台数を年350万台(21年は約1万4000台)へ引き上げる計画を発表。22年には初の量産型EV「bZ4X」を発売した。

 「bZ4X」には、EVだけでなくエンジン車やハイブリッド車にも流用できる共通構造の車台を採用。EV市場の本格的な拡大にはまだ時間がかかるという想定の下、EVをエンジン車などと同じラインで造れるようにし、生産効率を上げることがこの車台を開発した狙いだった。

 だが、世界のEV需要は足元で急激に伸び、「加速度が非常に上がっている」(幹部)。さらなる量産が必要になった場合、EVに不要な構造物などが付いている共通車台では逆にコスト高で非効率になるため、テスラなどと同様、EV専用の車台が必要とみて検討を急いでいる。

 一方、EVの生産体制の見直しにも着手した。現在、「bZ4X」は元町工場(愛知県豊田市)でエンジン車などと同じラインで組み立てているが、25年をめどに高岡工場(同)に専用ラインを設ける方針だ。EV専用とすることで生産効率を高め、今後の増産にも備える。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2023012500957&g=eco



そのために、トヨタは社長まで変わることになってしまった、ものと思われるのだ。

2023年4月1日付けで、佐藤恒治執行役員(53)が社長兼CEOに昇格し、
豊田章男社長(66)は代表権のある会長に就く。



トヨタ自動車社長に佐藤恒治氏 豊田章男氏は会長に
2023年1月26日 15:35 (2023年1月26日 17:29更新)

(VTR)

トヨタ自動車は26日、4月1日付佐藤恒治執行役員(53)社長兼最高経営責任者(CEO)に昇格すると発表した。豊田章男社長(66)代表権のある会長に就く。14年ぶりの社長交代となる。豊田氏はリーマン・ショック後の赤字から経営を立て直し、マツダやスズキとの資本提携も相次ぎ決めた。佐藤氏のもとで電気自動車(EV)などへの移行を急ぐ。

【関連記事】「トヨタ変革に不可欠」豊田章男氏、後任の佐藤氏に期待
トヨタの佐藤恒治氏     

豊田氏はリーマン危機直後の2009年6月に創業家出身として14年ぶりに社長に就任した。09年に781万台だった販売台数を19年には過去最高の1074万台まで増やした。ハイブリッド車(HV)の販売を日米で増やしたほか、水素を燃料にする燃料電池車(FCV)も商品化した。

開発や生産を効率化するため国内自動車大手との提携も決めた。マツダスズキに資本参加したほか、SUBARU(スバル)を持ち分法適用会社にし、ダイハツ工業も完全子会社にした。

豊田氏は26日に開いたオンライン記者会見で「トヨタの変革をさらに進めるには私が新社長をサポートする体制が一番良いと考えた」と述べた。新型コロナウイルス禍による販売減なども最悪期を脱したとみて社長職を譲る。内山田竹志会長(76)は退任する。

社長に就く佐藤氏は部品開発などの技術者出身で、現在は高級車「レクサス」部門のトップを務める。会見で「車の本質的な価値を守り、新しいモビリティーのかたちを提案したい。新たな時代に向けて挑戦する」と語った。豊田氏は「佐藤氏なら商品を軸にした経営を前に進めてくれる」と話した。

佐藤 恒治氏(さとう・こうじ)92年(平4年)早大理工卒、トヨタ自動車入社。20年執行役員。53歳

【関連記事】
・トヨタ2月世界生産約75万台、前年同月比1%増
・試される「逆風下で強いトヨタ」 増産体制構築がカギに
・トヨタも分け入る鏡の国 「常時接続」時代のPDCA

多様な観点からニュースを考える
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

中西孝樹ナカニシ自動車産業リサーチ 代表アナリスト

ひとこと解説
嵐の中の船出の2009年から実に13年間、豊田社長が会長となる決定が下されました。次期社長への交代は近く予想されたことですが、現在のEVやソフトウェア開発でのつまづきの収拾を実現してからのタイミングが濃厚かなと個人的に考えていましたので、このタイミングはややサプライズ。3副社長からの選定となる可能性が高かったと思われましたが、53歳の若い佐藤次期社長への任命の理由は、①トヨタ文化の伝承者、②クルマが大好きなこと、③若さの3つだそうです。豊田社長は、「トップの体力、気力、情熱が必要だ」と語り、次期社長を軸にチーム経営を進め、モビリティカンパニーへの転身の加速化を目指す考えです。
2023年1月26日 16:22234

慎泰俊五常・アンド・カンパニー株式会社 代表取締役

分析・考察
一般的に意思決定の精度のピークは50代といわれています(脳機能の衰えと経験蓄積がちょうどよいタイミングで釣り合う時期)ので、このような業界変化を向かえている局面にある大企業で50代前半の社長が誕生することは大変望ましいことだと思います。なお、ゴーン氏が日産にやってきたときは45歳でした。
2023年1月26日 18:26

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFD266SP0W3A120C2000000/?n_cid=NMAIL006_20230126_Y



今は5月の11日だから、既に佐藤恒治氏がトヨタの社長兼CEOとなっているのだが、豊田章男氏は佐藤恒治新社長に「モビリティカンパニー」や「BEV」へのシフトを託したことになる。

佐藤恒治氏は、https://global.toyota/jp/company/profile/executives/によると、

1992年3月 早稲田大学理工学部機械工学科卒業
1992年4月 トヨタ自動車株式会社入社
2020年1月 同社 執行役員就任、 同社 Lexus International Co. President
2020年9月 同社 GAZOO Racing Company President
2021年1月 同社 Chief Branding Officer

2023年4月 同社 執行役員・社長就任

佐藤恒治氏は現在は執行役員・社長と言うことで、取締役にはなっていないが、2023年6月の株主総会で代表取締役社長に選任されることでしょう。

(続く)
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