世の中、まちがってる、根拠なき反日キャンペーン。

相も変わらず根拠なき反日キャンペーンで、国をまとめようとする輩が存在する。

続・次世代エコカー・本命は?(76)

2016-07-29 00:00:00 | Weblog

この事故を受けてNHTSAも調査を開始したと言う。調査結果には注目が集まることになるが、テスラの他にトヨタをはじめ各自動車メーカーやIT企業のGoogleやAppleも、自動運転については研究開発を進めているので、気になっている筈だ。

何といっても、我々の生活を大きく変える可能性がある技術であり、次世代エコカーには当然備わって居なければならない機能となってきているので、各社は大いに耳目をそばだてている筈だ。

まあ簡単に自動運転と言ってはいるが、「Level2」の技術であり厳密に言わなくても自動運転ではない。

NHTSAは、自動運転のレベルを次のように定義している。(Wikipediaより)

レベル0 加速・操舵・制動とも、すべてドライバーが操作して運転する。
レベル1 加速・操舵・制動のうち自動ブレーキなど、いずれか一つをシステムが行うもの。
レベル2 加速・操舵・制動のうち二つ(複数)の操作をシステムが行うもの。
レベル3 加速・操舵・制動のすべてをシステムが行い、緊急時などはドライバーが操作する。
レベル4 加速・操舵・制動の全てをシステムが行い、ドライバーは全く関与しない。完全自動運転。

この完全自動運転となると、ドライバーは運転操作は何もしない。豊田章男社長の言う”クルマを操る歓び・もっといいクルマを作ろうよ”は、ない。それでも完全自動運転車へのニーヅは存在しているので、将来的には、この完全自動運転車とドライバーが運転する車と二つの性格の車に分けられてゆくのではないのかな。分けられると言うと少し語弊があるが、自動運転機能付き自動車とそうでない普通の車、と考えてもよい。まあ完全自動運転車となると相当かたちも変わってくるとは思うが相当先のことになると思われるので、徐々に自動運転機能が導入されてやがては完全自動運転の車の登場となってゆく、と言うステップをとることになろう。

この死亡事故で、自動運転の開発戦略の練り直しが迫られることになるのではないか、と言った論評もあるが、より慎重にはなるのは致し方ないことであるが方向性は変わらないものと思われる。

世の中に沢山の交通事故が発生しているように、人間は間違うものでありその人間が考えたシステムであるので、当然この運転支援システムには間違いは存在していると思わなくてはならないのである。

このテスラの「Autopilot」には、状況認識のためのセンサーとしては、カメラミリ波レーダー・超音波センサーを搭載していた。そしてその情報をどのように認識・判断するかと言った頭脳に該当する判断を司るソフトウェアが、重大な役割を果たすことになる。

ここらあたりの(運転支援)システムは、イスラエルMobileye社が作っているものらしい。それをテスラが幾分か改良して、自車に搭載したもののようだ。

今回の事故は太陽が関係していると言っているので、センサーが的確に状況を認識出来ず、更にそのような場合にはソフトウェアにも不備があって車を制動するなどの操作しなかった訳だ。だからこのソフトウェアには、大いに改良の余地があるものと思われる。判断が出来ない状態に陥った場合には、そのソフトウェアは安全サイドに車を導くと言った判断をしなければならないからだ。

テスライーロン・マスクは、センサーでも人間でも認識できないような太陽の反射があった、などと人のせいにしているが、もしそういう事で弁解するのであれば、これは明らかにテスラのモデルSの「Autopilot」の欠陥であろう。認識できなかったならば、即座に車を止めると言ったことを、そのプログラムはすべきなのであるし、認識出来なかったと言うセンサーにも問題があるのではないのか、と感じられる。




テスラの死亡事故は「太陽のせい」か?
技術の限界を伝える難しさ
鶴原 吉郎

2016年7月19日(火)


今回死亡事故を起こした米テスラ・モーターズの「モデルS」(写真:テスラ・モーターズ)

 殺人の罪を犯したムルソーが、裁判でその動機を聞かれ、「太陽が眩しかったから」とこたえる――。フランスのノーベル賞作家アルベール・カミュの代表作の一つである「異邦人」の有名な場面だ。殺人を太陽のせいにするこの小説は、「不条理」を表現した作品だと言われる。

 すでに旧聞に属するが、5月7日に、米テスラ・モーターズの「モデルS」が、運転支援システム「オートパイロット」の作動中に、高速道路を横切ろうとした大型トレーラーに衝突して運転者が死亡する事故を起こした。オートパイロットの作動中に運転者が死亡する事故を起こしたのは今回が初めてだ。その原因としてテスラは「トレーラーの白色の側面が、明るい空を背景としていたために(against brightly lit sky)」人間もオートパイロットもトレーラーを認識することができず、ブレーキを作動させなかったことを挙げている。

 オートパイロットは、「自動操縦」というその名とは裏腹に、自動運転システムではなく、ドライバーを支援するシステムと同社は位置づけている。安全確保の義務はドライバーにあり、システムが安全に動作しているかどうかを監視するのもドライバーの役目だ。しかも、事故車のドライバーが走行中にDVDを鑑賞していた疑惑も浮上しており、テスラに対する批判的な論調は目立たない。ただ、オートパイロットがトレーラーを認識できなかった理由を空の明るさのせいにするテスラの説明に関しては、筆者は「不条理」だと感じた。

高速道路なのにトレーラーが横断?

 そもそも今回の事故は不可解なことが多い。最初に感じた疑問は、今回事故を起こしたテスラ車は高速道路を走っていたはずなのに、なぜトレーラーが道を横切るのか? というものだった。そこで米国のメディアの報道を調べてみると、日本のニュースで高速道路と翻訳されていたのはHighwayという言葉だった。これは日本語でいう国道に近いニュアンスで、日本語で一般にいう信号や交差点のない高速道路はFreewayと呼ばれることが多い。国道であれば、交差点があっても驚くには当たらない。日本と同様に米国の道路でも左折車(米国は右側通行なので、左折車は対向車線をまたぐことになる)よりも直進車が優先されるので、直進してくるクルマとの安全な距離を見誤ったトラクターにも一定の責任はあるはずだ。

事故の状況。トラクターは左折しようとして高速道路を横断しているとき、反対車線から直進してきたテスラ車が側面に衝突した。(グーグルの写真を基に筆者が作製)
[画像のクリックで拡大表示]

 ところで、筆者がなぜ「不条理」と感じたかといえば、テスラのオートパイロットは、カメラだけでなく、ミリ波レーダーも搭載しているからだ。確かに、太陽の光が強くて、それが白いトレーラーの側面に反射したら、人間もカメラも眩しくて、トレーラーを見つけにくいかもしれないとは思う。しかし、太陽の眩しさは、ミリ波レーダーには関係ない。ミリ波レーダーは、ミリ波と呼ばれる波長の短い電波を発射して、物体に当たって戻ってくるまでの時間を測定することで、物体の有無や、物体との距離を測定するセンサーだからだ。

 レーダーにはレーザー光を使う、いわゆるLiDAR(ライダー)と呼ばれるタイプもあるのだが、ライダーやカメラは、物体の検知に光を使うので、雨や雪などの天候では光が遮られ、測定性能が低下する。これに対しミリ波は、雨や雪の影響を全く受けないわけではないのだが、光に比べるとその影響は少なく、また空気中での減衰も光より少ないので遠くの物体までの距離を測定するのに適している。なので、まさに今回のような事故を避けるためにあるようなセンサーなのだが、ミリ波レーダーはどうして役に立たなかったのか。それが筆者の疑問だった。
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続・次世代エコカー・本命は?(75)

2016-07-28 00:00:00 | Weblog


不正問題への対応が課題
その一方で、燃費不正の問題でいちばん迷惑を受けている軽自動車4車種の顧客に対する補償を、三菱自動車はまだ示すことができていません。
軽自動車の生産停止は6月も続き、その後の再開の見通しもたっておらず、部品メーカーへの影響も広がっています。深刻な経営不振に陥りルノーとの提携を決めた当時の日産にゴーン氏が迎え入れられ経営を立て直したときと比べて、今の三菱自動車の置かれた状況は大きく異なります。
そうしたなかでの今回の“電撃提携”は果たして成功するのか
その第一歩としては、不正のあった軽自動車の顧客が納得できる補償を行うことや、日産から迎え入れる元役員を中心に開発部門の改革を進めることなどを通じて、三菱自動車がどのように信頼回復への道筋をつけていけるのかが問われることになります。

三菱自動車の次期経営陣
http://www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/2016_0527.html


この三菱自の次期経営陣の概要は次の通り。(6/24の株主総会で就任済み)

左から
(1) 三菱自動車会長兼社長 益子修67才 (まあ留任と言う事か)
(2) 開発部門担当副社長 山下光彦63才 (日産自動車元副社長、当時は日産の技術顧問)
(3) 海外部門担当副社長 白地浩三62才 (三菱商事出身、4/1付三菱自執行役員社長補佐)
(4) 財務部門担当副社長 池谷光司59才 (三菱東京UFJ銀行専務執行役員)
 

日産からの増資は今年の10月と言う事になる。そして日産が三菱自動車の筆頭株主となり、取締役11人中4人が日産サイドの人間となるようだ。会長はその4人の中から選出されると言う。当然益子氏は引退と言う事になる。不正の責任人物と見られてもおかしくない人物だからである。
社長は誰が選ばれるかは不明であるが、会長も社長も日産からと言う事はないと思われるから、当然三菱サイドから選ばれることになる。新規に誰かが社長として呼ばれることはないであろうから、結局白地浩三氏辺りが社長候補なのであろう。


まあこれでゴーンの悲願であった一千万台クラブへの仲間入りができることになったので、この三菱自動車の燃費偽装問題も一段落となろう。

まあ特別調査委員会の調査結果はどんなものになるのか、内容のあるものなのかは、はなはだ疑問のあるところであるが、この問題ばかりにかかずらわっている訳にもいかないので、次の移ろう。




(7)テスラ「モデルS」、自動運転中死亡事故


2016年5月7日、アメリカフロリダ州のHighwayで、簡易自動運転機能「Autopilot中のテスラモデルS」が、左折中のトレーラーの側面に衝突してその運転者が死亡する、と言う衝撃的な事故が発生していた。2016年6月30日にテスラが発表している。それによると、車にはブレーキをかけた形跡が全くなかったと言う。

Highwayとは幹線道路・公道と言う事で、いわゆる日本で言う高速道路を意味しない。高速道路の場合はFreewayと言うそうだ。だからHighwayには交差点が存在する。

このとき、この「Autopilot」は、自車の直前に障害物が横切っていると言う認識は全くなかったことになる。

この事故に対して、テスライーロン・マスクCEOは、言い訳に躍起になっている。いくら人の運転の比べて、「Autopilot」の方が安全だなどと言う数字を出しても、Autoと言う言葉がつく以上、Autoは絶対に事故は起こらないと思ってしまうものだ。だからそのものずばり「Level2Pilot」とか「Semidangerous Pilot」(この英語が正しいかどうかは知らないが)とかにする必要があろう。




Tesla「Model S」、簡易自動運転中に死亡事故
清水 直茂
2016/07/01 16:35
Tesla「Model S」、簡易自動運転中に死亡事故

[画像のクリックで拡大表示]

 米Tesla Motors社は米国時間2016年6月30日、電気自動車のセダン「Model S」で簡易的な自動運転機能「Autopilot」を動作中、死亡事故が起きたことを発表した。米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)が調査し始めた。Tesla社によると、Autopilotの動作中における死亡事故は初めて。

 2016年5月7日、米国フロリダ州の高速道路の分岐点で、前方のトラックにModel Sが追突した。運転していた男性が死亡した。「空が明るくて眩しい状況で、車両も人も前方のトラックを認識できなかった」(Tesla社)とする。ブレーキがかかった形跡はないようだ。

 Tesla社は2015年10月、ソフトウエアを更新することで、Model SのAutopilotを実用化した。前方車両への追従やステアリング制御を伴う車線変更、自動駐車などの機能を実現した。Model Sに搭載するAutopilotは、自動運転技術の水準で「レベル2」に相当する。事故を起こしたときの責任は運転者にある。

 Tesla社は、「Autopilotはこれまで1億3000万マイル以上走った実績があり、今回初めて死亡事故が起きた。米国では9400万マイルに1度、死亡事故が発生する」との声明を発表。人の運転に比べて、Autopilot機能は安全であることを強調した。
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/070102868/
(続く)
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続・次世代エコカー・本命は?(74)

2016-07-27 00:00:00 | Weblog

三菱自による顧客と日産への補償内訳
2016年6月24日(金) 16時58分


三菱自動車工業の益子修会長は24日、株主総会後に燃費不正行為に関連する特別損失の項目ごとの内訳を明らかにした。

22日時点で「その他」と一括した項目について内訳を公表することで、燃費不正行為に係る財務上の影響は今期限りとする根拠をより明確にする狙いがあったとみられる。

同社は16年度の燃費不正関連費用の特別損失は1500億円と見込む。そのうち500億円は「お客様へのお支払い」。軽自動車ekシリーズの1台10万円、登録車5車種の一部に1台3万円の補償を行う部分で、17日に公表された。今回、明らかになったのは、残りの1000億円「その他」の項目。その詳細は以下の通り。

・支払い対応費用(150億円)...支払い事務手続き、事務局開設、告知、代替車、弁護士などの費用と、販売店が対応するサービス費用

・販売関連費用(400億円)...日産自動車本体と系列販売店などへの逸失利益補償

・生産購買関連費用(350億円)...水島製作所の生産減による減損処理費用(100億円)、同従業員の一時帰休対応(40億円)、サプライヤーへの補償

・その他(100億円)...無料点検のサービスキャンペーン、エコカー減税ランクのラベル張替え、改定カタログの製作、用品販売の減少

部品メーカーなどサプライヤーへの対応について、益子氏は次のように語った。
「下請法対象の取引先、補償の要請の意向を表明している一般の取引先あわせて60社ほどある。6月末までは生産ができないので、その期間の具体的な補償額の提示とエビデンスの提供を要請済みで、資料が揃えば7月初めにも支払いが可能で、一部の会社からは資料が出てきている。これらは生産購買費用の350億円の中で処理をしていく。サプライヤー補償についても実際に動き出している」

また、日産自動車への補償については「正式の合意はしていないが、事務方で打ち合わせを続けているので大きく変更になるとは考えていない」と、不安を打ち消した。同社への補償では、見込まれた新車販売額、販売で発生したであろうサービス収益や用品販売額を見込んでおり、系列の販売店についても同様の対応をする。 《中島みなみ》
http://response.jp/article/2016/06/24/277442.html


結局三菱自動車は立ち行かなくなり、日産に助けを求めることになってしまった。34%の資本と役員4人を日産から迎えて、日産の傘下に入らざるを得なかったわけだ。

どのみち三菱自動車は、単体で、このエコカー戦争の荒波を乗り越えることは出来ない筈だった。

そのため、この燃費不正の発覚で、二進(ニッチ)も三進(サッチ)も行かなくなったことで踏ん切りをつけた三菱自の益子修会長が、ゴーンに助けを依頼せざるを得なかった訳だ。

これまでも言及しておいたが、労せずしてゴーンが三菱自を手に入れた格好となる。

良くまとまっているので次の論考を参考迄に読んでほしい。舞台裏がよくわかる。



日産・三菱自 “電撃提携”の舞台裏
2016年5月27日 18時40分

相次いだリコール隠しから10年余りを経て明らかになった三菱自動車工業の燃費不正問題日産自動車三菱自動車を事実上、傘下に収める業界再編に発展しました。不正の公表から、資本業務提携の会見まで僅か20日余り。普通なら考えられないスピードでまとまった提携劇を見ると、日産のカルロス・ゴーン社長の経営者としてのしたたかさが浮き彫りになってきます。
日産・ルノーと三菱自動車を合わせれば年間の販売台数が950万台規模と、トヨタ自動車、フォルクスワーゲン、GM=ゼネラル・モーターズの世界トップ3に肉薄するグループが誕生することになる“電撃提携”。その舞台裏について、経済部・自動車業界担当の岩間宏毅記者と宮本雄太郎記者が解説します。

燃費不正の三菱自が打診
三菱自動車が、軽自動車4車種で実際より燃費をよく見せる不正を公表した記者会見から一夜明けた4月21日、日産のゴーン社長と三菱自動車の益子修会長が会談しました。
三菱自動車が生産し日産に供給している軽自動車2車種の生産・販売が停止したことなどについて、三菱自動車が謝罪するための会談でしたが、このトップ会談をきっかけとして、提携に向けた極秘交渉がスタートします。

提携を打診したのは三菱自動車でした。もともと年間の販売台数が100万台規模にすぎない三菱自動車が今後も生き残っていくためには、ほかの自動車メーカーとの本格的提携が必要だと考えていた益子会長。不正を行った、車づくりの根幹を担う開発部門の改革を含めた支援を求めるなら自動車メーカーしかない、軽自動車を中心に協力関係を築いてきた日産しかないと判断したのです。


日産“34%”出資を決断
提携を打診された日産の対応は素早いものでした。
三菱自動車に燃費不正の原因や影響が広がるリスクなどの説明を求めたうえで、大型連休を返上して、ごく限られたメンバーで出資比率などを検討。その結果、三菱自動車に示した案は、「日産が三菱自動車に34%出資する」というものでした。
34%の出資というのは、日産が一気に三菱グループ主要3社を上回る筆頭株主となり、三菱自動車を事実上、傘下に収めることを意味します。日産の検討の過程では、燃費不正の真相解明や再発防止策がまとまる前に提携に乗り出すことは消費者や行政の反発を招きかねないとして、社内から慎重な対応を求める意見もあったといいます。
しかし、こうした意見に対しゴーン社長は、「早くやろう。疑心暗鬼やうわさが広がることもよくない」と逆に交渉の加速を指示。連休明け早々に、社内の各部門の担当役員に、両社の業務提携で期待できるメリットを報告するよう指示を出します。そして、不正の公表から20日後の今月(5月)10日に両社の資本業務提携が固まりました。両社のトップがそろって会見した日の2日前のことでした。

ゴーン社長の“したたかさ”
まれに見るスピードで進んだ提携劇ですが、日産・ルノーで世界トップを目指してきたゴーン社長のしたたかさも浮き彫りになります。
今回の提携では、日産が三菱自動車に対し2373億円を出資します。巨額な資金には違いありませんが、燃費不正の影響で三菱自動車の株価が問題発覚前より大きく下落したことを考えると、出資額は大幅に減ったという見方もできます。
不正が拡大する懸念などに対しては、外部の調査委員会による不正問題の調査や三菱自動車への資産査定で重大な事実が出ないことを出資の条件としていて、リスクを排除する手を打っています。
さらに、日産と三菱グループ3社を合わせて出資比率が過半数とする内容も盛り込み、引き続き三菱グループが主要株主として日産と協力する枠組みを設け、東南アジアなどで強い三菱の「スリーダイヤ」ブランドを維持できるようにしています。
これらを満たしたうえで、開発や購買など幅広い分野で三菱自動車との提携効果を発揮し、世界戦略を強化するねらいなのです。
(続く)
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続・次世代エコカー・本命は?(73)

2016-07-26 00:00:00 | Weblog

そんな八重樫を三菱自動車は、特別調査委員会の委員として選任した。まさに打ってつけの人事であろうが、三菱自が八重樫らを自由に働かせることが出来るかどうかで、この調査委員会の果実も違ったものとなってしまうであろう。まあ普通の会社なら、自己修正能力が備わっている筈なので問題ないのだが、他人に頼らなければ修正できないと言う事は、三菱自動車はまったく会社の体をなしていないと思われても仕方ないであろう。

だからもう一人企業マネジメントの専門家も特別調査委員会のメンバーに加えるべきではないのかな、と小生には感じられる。車、管理、法律と言う3機能の専門家が揃わないとこの問題の原因究明、再発防止には結びつかないのではないのか、と思えるのである。それから、当然当事者側からも一人会社の内情に詳しい者も加えることが大切ではないのかな。弁護士ばかり3人も雁首を揃えていても、自己満足に過ぎないことに終わってしまわないのかと、勘ぐりたくもなる。委員会の枠が4人なら、弁護士1人を当事者側の人間に置き換えることが必要ではないのかな。

何はともあれ、特別調査委員会の活動状況やその果実は、やってみないことには今はわからない、と言う事である。トヨタ・スズキの提携交渉の成り行きと共に、見守るしかない。


しかし燃費が良い(?)と思ってその軽自動車を購入した顧客にとっては、まことに迷惑千万なことである。人によっては憤懣やるかたないことと思われるが、何らかの補償が必要となる。

該当の軽自動車は2013年5月から生産されている。三菱自などの案内によると、その車を2016年4月21日まで使用していた顧客が対象となり、一台10万円を支払うと言う。それ以外の顧客には(大雑把に言って)使用年数に1万円を乗じた額を補償すると言う。

詳しくは次の日産の案内(一部省略あり)を照会願いたい。(補償内容は2016年6月17日 発表



デイズ」「デイズ ルークス」の新届出燃費値/補償内容について

補償内容

対象となるお客さま
 「デイズ」または「デイズ ルークス」を2016年4月21日までにご使用いただいていたお客さま(自動車検査証に記載の使用者さま)

補償の内容
 <お支払い金額(1台あたり)>

① 以下②③④以外のお客さま:10万円

② 残価設定型クレジットをご利用のお客さま:契約年数に1万円を乗じた額。ただし、現契約終了時に買取(現金一括又は再分割)される場合は、現契約終了後に「10万円」から「契約年数に1万円を乗じた額」を差し引いた額をお支払いさせていただきます。

③ リースにてご利用のお客さま(2016年4月21日までにリース契約をご締結されたお客さま):契約年数に1万円を乗じた額。ただし、現契約満了時に車両買取権を行使される場合は、現契約満了後に「10万円」から「契約年数に1万円を乗じた額」を差し引いた額をお支払いさせていただきます。

④ 過去(2016年4月20日以前)にご使用いただいていたお客さま:使用年数に1万円を乗じた額。

お支払い金額の考え方
 新届出燃費値と旧届出燃費値との差による燃料代の差額
 今後の車検時等に想定される自動車関連諸税の増額分

その他
 新届出燃費値と旧届出燃費値との差異により、ご購入時の減税ランクに差が生じ、追加納税義務が発生した場合は、三菱自動車工業株式会社が対応いたします。
なお、補償の具体的な手続きにつきましては、2016年7月下旬を目途に、ダイレクトメールや当社ホームページ等にてご案内予定ですので、今しばらくお待ちくださいますようお願いいたします。

【本件に関するお問い合わせ専用窓口】
補償お支払い事務局コールセンター
0120-230-345 *(年末年始を除く)受付時間 9:00~17:00
*2016年8月31日までは9:00~20:00

新届出燃費値


http://www.nissan.co.jp/TOP/ANNOUNCE/160623.html


燃費が変わる(悪くなる)ことによって、ガソリン代の他に自動車取得税や重量税にも影響する。燃費をよくしたことにより少ない税金しか支払っていないことになり、本来は悪い燃費なので追加の税金支払いが生ずることになる。これらは三菱自が直接税務署に支払うことになるので、顧客に関係するのは燃料代だけとなるのだが。

しかしこの数字を見るとかなりの燃費偽装を行っていたことになる。この数字を見ると、おおよそ10%から20%近くもサバを読んでいたことになる。

こんなことが世に通る筈がない。罰(バチ)が当たるのは当然である。


車種 実燃費  偽装燃費  差異(サバ読み)
A  23.6km/L  26.0km/L +10.12%
B  25.8      30.4     +17.83%
C  22.2      26.6     +19.82%
D  21.8      25.0     +14.68%

(続く)
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続・次世代エコカー・本命は?(72)

2016-07-25 00:00:00 | Weblog

八重樫武久氏は、当時プリウスの開発責任者であった内山田竹志(第2開発センターチーフエンジニア)と同期で、東富士研究所でエンジン制御や環境技術を担当していた。

当時トヨタはHV車の量産化に四苦八苦していた。95年末当時トヨタ経営トップの奥田社長からは、97年中に販売せよ、と当初予定から2年も前出しを迫られていた。

結局この奥田の無茶ぶりに押し切られて、HV車は97年中に販売することになってしまった。そこで混乱の真っただ中のHV技術陣の中に、呼び込まれたのが八重樫武久であった。

八重樫をはじめ、内山田、そしてトヨタ技術部の部・課長から係長・一般社員達の血の滲むような苦難と努力の2年間が始まった。その甲斐あって1997年12月10日、「21世紀に間に合いました。」とのキャッチコピーで、世界初の量産型ハイブリット車プリウスの販売が始まったのであった。

その立役者の一人が八重樫武久氏であった。その後TSHⅡなどのハイブリッドシステム全般の開発に従事し、その功績からすると役員に列せられてもおかしくなかったと感じられるが、理事で2005年にトヨタを退職している。

ハイブリッド車プリウスは、トヨタをここまで巨大にした立役者的な技術であった。ハイブリッドなくしては、今のトヨタはなかったものと思われる。トヨタの歴史を振り返ってみて、豊田喜一郎の自動車開発の他には技術的にトヨタをトヨタたらしめている技術は、ハイブリッド技術(とFCV)の他にはないであろう。FCVはこれから伸びる技術であり先行きが楽しみであるが、現在トヨタをトヨタ足らしめているのはこのハイブリッド技術である、と小生は思っている。

しかしHVがいくら燃費によいと言っても、これからは限りなく燃費ゼロ、すなわち化石燃料を使わない車が希求される時代となろう。それを見越してトヨタはFCV「ミライ」を開発したのであった。




ハイブリッド車誕生 驚異の燃費、原動力は執念
2015/11/15 3:30
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

 日本車の躍進に拍車がかかった1990年代後半、米欧自動車大手はなおも「技術は自分たちが上」と信じていた。そんな中、世界を驚かせたのはガソリンエンジンとモーターを巧みに使い分け、燃費効率を飛躍的に高めたトヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」だった。開発の裏には、70年代の排ガス規制で敗北感を味わった技術者たちの執念があった。

■動かないプリウス

 「車はできたが、実は49日間全く動かなかった」。今年の東京モーターショーを前にした10月14日。トヨタ会長の内山田竹志は環境戦略の記者会見で、97年に発売された初代プリウスの思い出話を披露した。その背後には、年内に発売する予定の4代目プリウスの画像が映し出されていた。

 プリウスが初めて姿を見せたのは95年秋の東京モーターショー。開発責任者が内山田だった。だが「ハイブリッド車でいこう」と役員が決めたのはその数カ月前。時間との闘いの中、「動かないプリウス」は参考出品車としてそのままモーターショーに出された。

 その後2年が本当の生みの苦しみだった。ハイブリッド車といっても世界中のどの自動車メーカーも商品化したことがない。ガソリンエンジンとモーターをどうかみ合わせればいいか。高圧電流をどう制御するか。すべてが初めてだった。

 ハイブリッド方式を選んだ当時副社長の和田明広(現アイシン精機顧問)は「色々な方式を試したが、結局それしかなかった。燃費をとにかくガソリン車の2倍にしたかった」と話す。

 燃費が2倍。それには3つの意味があった。1つは過去に置かれた現実だ。70年代以降、トヨタは排ガス規制に悩まされ続けていた。世界で当時最も厳しい環境規制だった米大気浄化法(マスキー法)が成立したのが70年。ホンダの低公害エンジン「CVCC」に先を越され、他社を後追いする悪循環が続いた。

 最悪なのが国内だった。75年、76年、78年と3段階で来た「日本版マスキー法」対応では当時社長の故・豊田英二が国会に呼ばれ、進捗の遅れを非難された。和田など当時の技術者は「あれほど悔しかった日々はない」と異口同音に言う。

 2つ目は米カリフォルニア州が93年に制定したZEV(無公害車)法(規制は98年から)だ。マスキー法対応を乗り越えたトヨタだったが、無公害車を一定割合で販売することを義務づけた、より厳しい新規制への対応が待ち構えていた。

 そして3つ目温暖化問題だ。日本は97年12月に京都で開かれた第3回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP3)の議長国に決まり、「積極的に動け」「21世紀を方向づける車がほしい」との声が社長以上の上層部から強まった。

■「97年中に出せ」

 和田も内山田もそうした声に抗しきれなくなる。「できるとしても98~99年だな」。だが当時社長の奥田碩は「97年中に出せ」と言い、後に引かなかった。COPの年だった。

 96年1月の技術者会議。部、課長クラスから「絶対無理です」との声が飛んだ。和田は「じゃあ、これより重要な案件があるのか」と声を荒らげた。結局、97年を目指すことになったが、不満の声はくすぶった。

 2月。静岡の東富士研究所で長年環境技術を担当した内山田の同期、八重樫武久(元トヨタ理事)がハイブリッドシステム開発のまとめ役として異動してきた。70年代の排ガス対応の拠点が東富士。八重樫も悔しさを味わった一人だった。

■電気自動車の蓄積

 なぜプリウスは2年でできたのか。八重樫は「電気自動車の蓄積があった」と話す。ZEV規制案が浮上した90年代初め、トヨタは電気自動車開発を始めていた。インバーター、パワー半導体、モーター。ハイブリッド車に必要な技術はすでに「内製できるところまで来ていた」という。

 八重樫がもう1つ指摘するのは技術者の力だ。トヨタの技術開発部門はまださほど大組織化しておらず、「技術者一人ひとりが全体を見渡して、当然のように幅広い仕事をこなした時代だった」と振り返る。

 97年12月。プリウスが無事発売されると、国内外から賛否両論が巻き起こった。ある欧州自動車メーカーのトップは「あんな複雑なシステムがなぜ動くのか」と驚いた。また別のあるトップは「あれはやり過ぎだ。主流に残る技術じゃない」と言った。だが、98年1月の米デトロイト自動車ショーは多くの自動車メーカーが「ハイブリッド車」のコンセプトカーを出展、追随する姿勢をみせた。

 プリウスの技術はその後、「カローラ」などの主力車にも載せられ、ハイブリッド車は現在、トヨタの世界販売の約12%を担っている。内山田は「50年にはガソリンエンジンだけで動く車が限りなくゼロになる」と予測する。各国の環境規制を考えるとエンジン単体での技術革新は限界もある。トヨタの車には近い将来、ハイブリッド技術が必ず載る時代が来る。

 電気自動車燃料電池車の時代もやがて来る。世界で初めて商品化にこぎ着けたのはいずれもトヨタのほか日本の自動車メーカーだ。だが本格的な普及には課題も多い。先頭ランナーで居続けようとしたら、技術者たちに立ち止まっている余裕はない。(敬称略)

 編集委員 中山淳史が担当しました。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO94024890V11C15A1TZG000/?df=3
(続く)
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続・次世代エコカー・本命は?(71)

2016-07-22 00:00:00 | Weblog

ゴーン氏の長期政権に綻び?

 フジサンケイグループの広告大賞を日産が受けた。テレビCMの「やっちゃえ、NISSANシリーズ」が対象となった。グランドプリンスホテル高輪の贈賞式には日産の星野朝子専務執行役員が出席した。同氏は、4月1日付で「ヘッド・オブ・オペレーション・コミッティ-ジャパン」となり、国内販売の責任者となった。日産ディーラーのある社長は、星野氏について、「ディーラーの評価は高くない。日産のクルマが国内で売れない原因のひとつになっている」と指摘する。ゴーン氏の長期政権は、人事面でも綻びを見せ始めていたのかもしれない。

 星野氏について、もう少しみてみよう。星野氏は、星野リゾート代表の星野佳路氏の妻。慶應義塾大学卒業後、日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)に入行。3年で退職すると米ノースウエスタン大学ケロッグ経営学大学院でMBAを取得。2002年にゴーン社長にスカウトされて日産に入社。その後、トントン拍子に出世し、昨年専務執行役員に昇進と同時に日本マーケティング本部、日本営業本部の担当になった。いってみれば、星野氏はマーケティングの専門家。ディーラーから見れば、星野氏は単なる“ゴーンのお気に入り”にすぎない。信頼関係が構築できなければ、売ってもらいたいクルマをディーラーに押し付ける荒業などできっこない。

 ほかにも懸念点はある。米コンシューマーリポート誌の「嫌いな車トップ10」に日産のクルマが4車種も入った。日産のほかは米・クライスラーが4車種、韓国の現代自動車と起亜自動車がそれぞれ1車種。日本車は日産車以外入っていない。日産、クライスラー、現代、起亜に共通するのは、信用力の低い借り手向けの自動車サブプライムローンを使ってクルマを売っているメーカーである点だ。ちなみに、「嫌いな車トップ10」の2位は日産の小型セダン「セントラ」だった。

 ゴーン氏は、事あるごとに「日産とルノーは対等な関係」と言う。しかし、その実態は「共同開発と称して日産の技術とコストで開発したクルマのおいしい部分をルノーが持っていく」関係だ。インドでは、車台などのプラットホームを日産と共同開発した小型クロスオーバー車「クウィッド」をルノーが先行販売し、売れ行きは順調だ。一方、日産は10カ月遅れで「ダットサン」ブランドで投入。日産のシェアはダットサンと合わせてわずか1%。ルノーと日産の対等な関係など絵に描いた餅である。

 ゴーン氏は三菱自に対しても共同開発、部品の共同購入を提案するだろう。今度は、三菱自のおいしい部分をルノーがさらっていくことになる。

危機感が欠如している三菱自動車

 韓国環境省が5月16日、日産のディーゼル車「キャシュカイ」が排ガス規制を不正に逃れたとして、販売中止と814台のリコールを命じ、3億3000万ウォン(約3000万円)の課徴金を課すと発表した。韓国日産社長を、燃費が良いように見せかける排出許容基準違反などの疑いで刑事告発する方針だとした。

 日産側は「不正はしていない。韓国当局の主張は誤りだ」と全面的に否定している。日産の幹部や技術者が訪韓して、主張の正当性を訴える。

 日産が英国で製造し、韓国日産が輸入販売している「キャシュカイ」は欧州の排ガス規制「ユーロ6」をパスしており、「他国(この場合は韓国)の規制当局が独自に行った厳格な試験を経て得られた判断と一貫性を欠く」としている。韓国環境省が日産の主張を退けると、日韓の経済摩擦という大ごとになる可能性もある。

 韓国国内では、韓国日産などを相手取り購入代金の返還を求める集団訴訟を起こす準備が進められているとの報道もある。

 こう見てくると、ゴーン氏は内憂外患なのである。その打開策が三菱自動車のM&A。大バーゲンセールとなってしまった三菱自だけが割を食ったという図式なのかもしれない。三菱グループの沈黙も気がかりだ。

 経済同友会の小林喜光代表幹事(三菱ケミカルホールディングス会長)は5月17日の記者会見で、三菱自の燃費データ不正問題について「三菱自動車には危機感がまったく欠如している」と痛烈に批判した。合わせて「企業の文化、ブランドをつくり上げるのには時間がかかるが、(こうした事件が起こると)1日で崩壊してしまう。トップは悪いことをしてはいけないことと、安全の確保を徹底すべきだ」と強調した。
(文=編集部)
http://biz-journal.jp/2016/05/post_15227_1.html



だからEV連合を作ると言っても、両社とも一筋縄ではいかない状況に陥っているものと思われる。

まずは、三菱自が現在の偽装問題に決着をつけなければならない。共同購入やプラットホーム共通化、電気自動車(EV)戦略の拡大などの具体策は、その後だ。」と言っているように、三菱自動車はどのようにこの偽装問題に決着をつけるのだろうか。また日産はそれに対して、どのように口を出してゆくことになるのであろうか。口出しするほどの余裕は日産にあるのだあろうか、と言う疑問も残る。

三菱自動車は燃費偽装に関する特別調査委員会を、4/25に設置している。その委員は弁護士3名であったが、自動車に関してはいずれも素人である。そのため自動車の玄人で、しかも第三者となる外部有識者として、トヨタ自動社出身の八重樫武久氏を6月3日に追加選任した。






三菱自の燃費不正、調査委員会に初代 プリウス THS開発リーダーの八重樫氏
2016年6月3日(金) 14時50分

三菱自動車は、燃費不正問題に関して、4月25日付で設置した特別調査委員会の委員として、トヨタ自動車出身の八重樫武久氏を追加選任したと発表した。

八重樫氏は1969年トヨタ自動車に入社。1996年には、初代『プリウス』のトヨタハイブリッドシステム(THS)開発リーダーとして尽力。以降、ハイブリッドシステム全般の開発に従事してきた。2005年にトヨタを退職し、現在は、自動車環境技術コンサルタントとして活躍している。

特別調査委員会の委員は、元東京高等検察庁検事長の渡辺恵一委員長、委員の坂田吉郎弁護士、吉野弦太弁護士と合わせ、4名となる。 《纐纈敏也@DAYS》
http://response.jp/article/2016/06/03/276313.html
(続く)
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続・次世代エコカー・本命は?(70)

2016-07-21 00:00:00 | Weblog

EVの基本技術で主導権を握る

社名変更発表後、記者の質問に「(資本提携までの進展が)早くて驚いた」と語った富士重・吉永社長

 スバルは2021年にEV投入を決めた。

 吉永社長は「トヨタを頼らずに、自力で開発を進める。ZEV規制においてHVが除外されてしまい、EVを出さざるを得なくなった」と話す。これまでHV開発、さらにはZEVに部分的に対応できるPHVの開発において、資本関係のあるトヨタから基本技術の供与を受けてきた。

 だが、トヨタはEVを商品化していないから、技術供与を受けたくとも受けられない事情がある。

 スバルは2010年頃まで自社でEVを開発してきた過去がある。「しかし、電池のレベルが上がってしまった。当時の知見を生かしながらも、基本から取り組んでいく」と吉永社長。

 例えばだが、スバルのようなメーカーに対して、PHVやHVにおけるトヨタのように、EVの基本技術を供与する役割を日産はできるはずだ。コストと時間軸との関係から、自社開発にこだわるメーカーは限定されていくことだろう。もちろん、自動車メーカー以外の、EV、PHVへの新規参入をもくろむベンダーやICT企業などへの供与も視野に入るはずだ。

 長期的な技術と思われがちなEVだが、ZEVの規制強化は17年後半から。もう待ったなしの状況だ。三菱自は二度にわたるリコール隠しにより、多くの技術者が会社を去ってしまった。それでも、新しく生まれる企業連合にとって今は、EVの覇権を目指して世界に打って出る大きなチャンス、ではある。

このコラムについて

永井隆のニュースもう一掘り

「ニュースを嗅ぎつける猟犬たれ」。若い頃、社会部系のベテラン記者からよく言われました。ネットも携帯もない時代、頼りになるのは自分のカンと人的なネットワーク。優秀な猟犬にはなれませんでしたが、老犬となった今、経済ニュースをもう一掘りして地下に光を当てていきます。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/111800013/051200002/?P=1


まあ日産・三菱EV連合が出来上がればそれに越したことはないのだが、果たしてそれがうまく出来上がるかが問題なのではないのかな。今の三菱自動車の内情がどんなものかは推察のしようが(小生には)ないが、きっと相当混乱している状態なのではないのかな。さらには優秀な人材は相当数すでに会社を去っているかも知れない。

それに日産サイドでもそれなりに問題が山積みしているようだ。
国内販売も精彩を欠いているようだし、リーフもテスラのEVに押されっぱなしのようだ。ゴーン社長兼CEOは間違いなく焦っている。だから日産問題を他に向ける意味もあり、三菱自動車との提携話を急いだのではないのか、と言った勘繰りである。



日産、嫌いな車トップ10に4車種選出…肝入りEV販売が壊滅的、不正疑惑で刑事告発か
2016.05.25 文=編集部 企業・業界


日産自動車のカルロス・ゴーン社長兼CEO(UPI/アフロ)

 国民の間で不満のマグマがうっ積した時、為政者がどうするかというと、不満を外に向けるために戦争を起こすことがよくある。

 企業の場合は、さしずめ大型のM&A(合併・買収)だろう。

 日産自動車のカルロス・ゴーン社長兼CEO(最高経営責任者)は心情を絶対表情には出さないが、「間違いなく焦っていた」という関係者の証言がある。

 先駆者と自負している電気自動車(EV)の売れ行きが思ったように伸びず、米国ではテスラ・モーターズなどに脅かされている。このほど発売したテスラのEV「モデル3」予約が1週間で30万台を突破。日産のEV累計世界販売台数(20万台)を超えてしまった。これでゴーン氏の危機感はピークに達し、「三菱自動車をなんとしてでも取る」となったというのだ。

 新興国市場向けの戦略車として立ち上げた「ダットサン」ブランドの販売がインドやインドネシアで低迷している。

 ルノー・日産連合には、次々と難題が降りかかっている。ルノー・日産連合傘下のロシア自動車最大手、アフトワズのブー・アンデルソン最高経営責任者(CEO)が3月に退任した。同氏はゴーン氏が送り込んだのだが、アフトワズの業績は不振を極めた。ロシアの2015年の新車販売台数は前年比で35.7%減少し、アフトワズも31%減った。アフトワズの15年の損失は
740億ルーブル(1200億円)に達した。

 日産はブラジルなど新興国で工場を相次ぎ開設したが、新興国経済が失速。固定費負担が重荷となっている。

 こんなことも起きている。日産は4月29日、北米を中心に世界で、乗用車「マキシマ」の新型車やEV「リーフ」など353万2610台をリコールすると発表した。助手席に人が座っているかどうかを探知する装置に欠陥があり、衝突時に助手席用のエアバッグが膨らまないおそれがあるという。「今回のリコールは、タカタ製のエアバッグ問題とは関係ない」(日産の広報担当者)としている。
(続く)
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続・次世代エコカー・本命は?(69)

2016-07-20 00:00:00 | Weblog

ゴーンは協業を断るどころか、これ幸いと三菱自の不正につけ込んで、安く三菱自を囲い込む算段を考えたに違いない。その結果が2,370億円と言う最安値で、三菱自の34%もの株をものにしたのである。

益子修会長兼CEOも自分の立ち位置を確保できたことに安堵していることであろう。

三菱自動車にとっても日産にとってもそれが吉と出るか凶と出るかは定かではないが、益子修会長兼CEOにとってはまさに吉と出たのである。

それにもう一つ、三菱自は世界で初めて量産型電気自動車を発売した会社であり、日産自動車は「リーフ」と言う量産型電気自動車を持っている。両社を合わせれば、電気自動車の開発としてそれなりのメリットがあるのではないか、と言った論評もある。三菱自にどれだけ技術者が残っているかはわからないが、まじめに両社が取り組めばそれなりのシナジー効果は得られるのではないのかな。

トヨタとしても、燃料電池車「ミライ」があるからと言ってのほほんとしてはおられない筈だ。



日産・三菱自連合はEV帝国を築けるか
永井隆のニュースもう一掘り
三菱自とスピード婚、日産の“勝算と不安”

2016年5月13日(金) 永井 隆

三菱自・益子社長と握手し、取材陣のカメラに笑顔を見せる日産・ゴーン社長

早かったので驚いた

 社名を「スバル」に変更する富士重工業の吉永泰之社長は、日産自動車と三菱自動車工業の資本提携についてこう話した。

 三菱自動車による軽自動車の燃費偽装が、表面化したのは4月20日。それから、ゴールデンウィークを挟んでわずか22日後に、日産が2370億円を出資しての資本提携の発表である。

 この点を、日産のカルロス・ゴーン社長は「(2011年から)5年間にわたり三菱自とアライアンスを続けてきて、信頼関係はあった。今回の偽装問題が、提携を早めた面は否定しない」と話し、一方の益子修三菱自会長は「軽自動車以外の分野でも、話し合いはしてきた」と打ち明ける。

「お父さんが倒れて、結婚が決まったカップル」

 日産のある首脳は話す。

「偽装が発覚する前から、両社に提携拡大への機運があったのは事実。互いに惹かれ合っているカップルがいたものの、どちらも告白はしない状態が続いていた。そこに、女性の父親が急死するという突然の不幸が起こり、一気に結婚合意に至った、とまぁ、こう説明すればわかりやすいだろう」

 では、これからどうなるのか。

「まずは、三菱自が現在の偽装問題に決着をつけなければならない。共同購入やプラットホーム共通化電気自動車(EV)戦略の拡大などの具体策は、その後だ。そもそも三菱自は、三菱グループという親戚を頼って経営を再建した。経営的には立ち直ったが、深い部分の心根は治ってはいなかった。外部(の日産)が入ることで、今度こそ再生して欲しい」

 今回の提携は、ゴーン社長と三菱商事出身の益子会長とのトップ会談で即決させていったもの。日産、さらにはルノー日産アライアンスは、提携を機に三菱商事との関係を深くさせて、これまで弱かったアジア地域での販売力の増強につなげる、など、いくつもの可能性が考えられる。

 ただし、注目したいのは環境技術の中心であるEVにおいて、盟主としての存在感を高めていけるかどうか、だろう。

 三菱自は2009年、量産型EV「i-MiEV」世界で初めて商品化した会社。一方の日産は、テスラモーターズの新型車の“予約分”を除けば(こちら)、いまでもEVの盟主であるのは間違いない。

 前回も書いたが米カリフォルニア州のZEV(ゼロエミッションヴィークル)規制強化をはじめ、世界中で環境規制は目白押しだ。世界の自動車大手は、EVか燃料電池車を商品化していかないと、例えば加州では事業そのものが行いにくくなる

 日産はNECと共同開発した、ラミネート型のリチウムイオン電池を持つ。三元系(マンガン、コバルト、ニッケル)プラス電極を採用した新型電池も開発。これはEVの航続距離に効く。一方の三菱も、GSユアサとの共同の角形電池を持つ。

 両者が深くタッグを組むことで、EVに参入するメーカーを巻き込んで、“陣営”を築くことも不可能ではない。電池や電池を組んで管理する技術は、EVの基本となる。パソコンに例えるなら、OSでありインテル製のマイクロプロセッサーに当たるだろう。さらに、ICTの活用による自動運転などが加わっていく。

 EVのOEMは果たせるし、電池を含めた電動部分のベンダーとして技術供与も可能になる。しかも、三菱自にはアウトランダーに代表されるプラグインハイブリッド車(Plug-in Hybrid Vehicle=PHV)もある。PHVでも同様のビジネスは果たせる。何しろ、EV、PHV、さらにハイブリッド車(HV)まで持っているのは、今回誕生する日産・三菱自連合だけである。
(続く)
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続・次世代エコカー・本命は?(68)

2016-07-19 00:00:00 | Weblog

三菱自が燃費不正で益子会長を「温存」していたということは、不正を公表した時点ですでに益子会長を資本提携の顔としたかったからである。だから4/20の謝罪会見の場には益子会長を敢えて出さなかったのである。だから2016.4.20の17時から国土交通省で開かれた三菱自動車の燃費不正に関する謝罪会見では、社長でCOO(最高経営執行責任者)の相川哲郎氏だけが矢面に立ったのである。その場には会長兼CEO(最高経営責任者)である益子修氏の顔はなかった。既に日産・三菱自の資本提携の話は深く静から進行していた、と言うわけである。

と言う事は現行の軽自動車のekワゴンやekスペースの開発には、日産も相当かかわっていた筈である。だからこの燃費不正に関しては日産は相当前から、薄々だったかどうかは知らないが、当然気付いていた筈である、と言った論評もある。



三菱自の不正、指摘した日産への疑惑広がる…早い段階で把握か、強烈なプレッシャーも
2016.05.09 文=河村靖史/ジャーナリスト 企業・業界

三菱自動車・相川哲郎社長(中央)

 三菱自動車工業は、軽自動車の燃費試験の不正に関して1991年から法規に定められた以外の方法で取得したデータを提出していたことや、実際の試験を行わずに机上でデータを算出していたことを国土交通省に報告した。相川哲郎社長は一連の不正について「全容は解明できていない」としており、今後、外部の専門家で構成する特別調査委員会が中心となって原因究明などに乗り出す。

 原因としては、燃費競争の激化や日産からの要求に応えるためだったという見方が強まっているが、共同開発している日産は本当に不正を知らなかったのかという疑問も広まっている。

 三菱自が国交省に対して4月26日に報告した内容で明らかになった不正は、主に2つ。ひとつは、三菱自の軽自動車「eKワゴン」と日産にOEM(相手先ブランドによる生産)供給している「デイズ」の型式指定を取得するため、国交省に提出した走行抵抗データを偽造していたこと。

 型式指定の取得には、国交省所管の交通安全環境研究所に燃費を計測してもらう必要がある。「シャシーダイナモ」と呼ばれる台上で燃費を測定するが、実際の走行では空気抵抗やタイヤの摩擦抵抗があるため、「惰行法」と呼ばれる決められた方法で自動車メーカー自らデータをとって提出、同研究所は提出されたデータを活用して燃費を測定する。

 三菱自は燃費をよく見せるため、道路運送車両法で決められたものと異なる方法でデータを取得し、さらに平均値のデータを提出すべきところ、計測データのなかで小さい値を国交省に提出していた。三菱自によると、これによって正規な方法で測定した場合の燃費と比べて「5~10%燃費がよくなっている」という。

 また、マイナーチェンジモデルの型式指定を取得する際には、車を実走行させてデータ取得すること自体行わず、目標とする燃費となるように机上で計算し、走行抵抗のデータを提出していた。

 もうひとつの不正が、1991年から25年間にわたって、問題となっている軽自動車以外の車両でも、法規で定められた「惰行法」の手法以外でデータを取得し国交省に提出していたことだ。惰行法による走行抵抗データ取得は、91年に道路運送車両法で指定された。しかし、三菱自は主に米国市場で使用していた「高速惰行法という手法でデータ取得を計測し続けてきた。同法では、惰行法よりも燃費が悪い数値が出ることもあったが、継続して使い続けてきた。

低燃費競争

 これら不正を行ってきた理由は「調査中」で明らかになっていない。三菱自2000年、2004年と2度のリコール隠しから経営危機に陥り倒産寸前となったところ、三菱重工業、東京三菱UFJ銀行、三菱商事の「三菱グループ御三家」による金融支援を受け、再生してきた。最初のリコール事件の際、当時資本提携していたダイムラー(当時のダイムラー・クライスラー)の品質管理手法を導入、04年のリコール事件の後には「企業倫理委員会」を設置してコンプライアンスの徹底を図ってきた。

 道路運送車両法で定められた方法以外で走行抵抗データを取得する行為は、これらリコール事件後、コンプライアンスの徹底していた時にも続けられてきた。高速惰行法では燃費が悪くなるケースがある。このため「『これでいいんだ』と思って疑わずにやっていた可能性がある。法規を満たしていないという意識がなく、これが社内のやり方だと思っていた可能性がある」(相川氏)としている。違法なデータ取得方法を25年間にわたって続けてきた理由は不明だが、高速惰行法は惰行法よりもデータ取得に要する時間が半分程度であり、新型車の開発期間を短縮するためだったとの見方もある。

 不正の背景には、軽自動車の低燃費競争があるとの見方は強い。今回、燃費で不正を行ったeKワゴンとデイズの開発で11年2月の当初掲げた燃費の目標は、26.4km/lだった。しかし、役員も出席する社内会議で燃費目標は5度にわたって引き上げられ、最終的に13年2月には29.2km/lにまで目標は引き上げられた。

 当時はガソリン価格が高い水準で推移していたこともあって、低燃費で車両価格の安い軽自動車が人気で、低燃費競争が激化していた。12年9月に発売したeKワゴンのライバルであるスズキ「ワゴンR」の燃費が28.8km/lを達成すると、今度は12年12月にダイハツ「ムーヴ」が29.0km/lを達成した。

 社内会議で29.2km/lの目標が示された理由について「ムーヴの値を基に提案したと考えられる」(三菱自・中尾龍吾副社長)としており、軽ハイトワゴントップの低燃費を達成しようとの意識が、不正の背景にあったことがうかがえる。三菱自は、燃費目標の引き上げに経営陣が関与していたことは否定しており、相川氏も「私は知らなかった」と明言。中尾氏は「他社の燃費情報を技術部門に示すと、こういったことをやれば(一段高い)目標燃費を達成できるとのエビデンス(根拠)が示され、目標を引き上げている。技術的な手法、こういうことをやればできるという報告がなければ目標を引き上げることはない」と話す。

日産の期待

 さらに三菱自が不正に踏み切った理由として、自動車メーカー役員は「日産の期待に応えようとしたのでは」と分析する。

 燃費で不正を行っていた三菱のeKワゴンと日産のデイズは、両社初の共同開発車だ。日産は、自社の技術力を採用した軽自動車を開発して、国内市場で存在感が増している軽自動車の販売てこ入れをするため、三菱自と軽自動車を企画・開発する合弁会社NMKVを折半出資で設立した。三菱自としても国内市場で強い販売力を持つ日産と提携して日産向け軽自動車を生産することにより、工場の稼働率アップや量産効果によるコストダウンが見込める。

 実際に、不正対象の軽自動車62万5000台のうち、日産が46万8000台と、三菱自の15万7000台の約3倍で、三菱自の軽自動車を生産する水島製作所は日産の軽自動車が支えているともいわれる。

 三菱自は明言していないものの、軽自動車の燃費目標の策定には、共同開発している日産もかかわっているとみられる。

「日産が掲げる燃費目標を達成できずに軽自動車の委託生産を受けられなくなれば、困るのは三菱自だったはず。日産からのプレッシャーが、不正に走った原因なのではないか」(業界関係者)

早い段階で把握か

 また、今回不正が発覚したのは日産による指摘がきっかけだったが、共同開発なのにもかかわらず日産側は当初から不正を認識していなかったのか、疑問視する声も多い。相川氏は「開発合弁会社から当社に開発が委託されている。技術を開発に織り込むなかで日産からさまざまな知見も頂いている。そういった意味では共同開発だが、開発の責任は三菱が全責任をもっている」と述べ、走行抵抗のデータ提出は三菱自が担当だとして、日産の関与を否定する。

 ただ、三菱自にとって日産は軽自動車を大量に購入してくれる重要な顧客であり、日産の関与を否定するのは当然だ。日産のカルロス・ゴーン社長は「(不正行為の)全貌が解明されるまで待つ。すべての事実が出そろってから(関係を見直すかどうか)決定を下す」と、日産は「被害者」との立場を鮮明にする。

 少なくとも、日産は三菱自が燃費で不正を行っていることは早くから認識していた節がある。日産はスズキからも軽乗用車のOEM供給を受けている。日産が三菱自と軽自動車での協業を強化していくなかで、日産とスズキの軽自動車分野での関係は薄れており、スズキから供給されている日産「モコ」は生産打ち切りが決まっている。にもかかわらず日産とスズキから提携解消のアナウンスはなく、現在も日産はモコの在庫販売を細々と続けている。(モコはスズキのワゴンRのOEM版である。)

 業界関係者は「早い段階で三菱自の不正を知った日産が、三菱自との軽自動車協業が打ち切りとなったリスクを考慮して、スズキとの関係を継続しているのではないか」と訝る。

 日産は14年、国内生産100万台レベルとするため、三菱自に委託している軽自動車の生産を自社生産にする方向で検討を開始した。最終的に軽自動車を自社生産した場合のコストが見合わないことや、輸出モデルの国内生産が増えて国内生産100万台超のメドが立ったため昨年、eKワゴンとデイズの後継モデル開発の主体を日産とし、生産は引き続き三菱自が担うことで両社は合意している。

 ただ、今回の不正の発覚で、両社の軽自動車での協業が解消に向かう可能性は高まっている。その理由が何にせよ、三菱自は今回の不正により日産という大きな後ろ盾を失うことになりかねない状況に置かれた。
(文=河村靖史/ジャーナリスト)
http://biz-journal.jp/2016/05/post_15017_1.html


この2016.05.09付けの論考ではまだ日産の資本提携(5/12)の話は公表されていないので、三菱自は日産との協業を断られることを極度に恐れていたような雰囲気になっていたような書きっぷりであったが、これはあくまでも三菱自動車の感じ方で、ルノー・日産のカルロス・ゴーンの感じ方はこれとまったく逆であった。
(続く)
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続・次世代エコカー・本命は?(67)

2016-07-18 00:00:00 | Weblog

1000万台クラブの覇権争い

 日産はルノーの子会社で、三菱自はその日産の傘下に入る。結局、ルノーが三菱自のいいとこ取りをすることになるわけだ。

 ルノー・日産グループに三菱自の販売台数が加わると、世界販売台数は959万台となる。トヨタ(1008万台)、独VW(993万台)、米GM(984万台)に次いで世界第4位の地位が確かなものになる。いずれも15年の販売実績だ。

 今後、世界の自動車マーケットは“1000万台クラブ”のメンバー企業が覇を競うことになる。トヨタ、VWは1000万台を売った実績があり、GMも手が届きそうだ。三菱自動車を傘下に収めた日産も仲間入りする環境が整う。

 ルノー・日産連合はゴーン氏の長期政権が続き、世界各地でさまざまな問題が多発している。長期政権の矛盾を外に逃がす意味でも、三菱自のM&Aは格好の出物だったわけだ。

 三菱自の会長にはゴーン氏が就任する方向だ。日産から会長を含めて4人の役員が派遣され、11人の経営陣(ボード)の3分の1を制することになる。社長は三菱自から出す予定だが、技術のことが本当にわかる人物に替える。日産の傘下に入る前には、益子修会長(三菱商事出身)と相川哲郎社長(三菱自動車出身)は引責辞任するとみられていたが、益子氏はゴーン氏との関係で取締役として残る可能性が出てきた。

「日産側は益子氏が社長に復帰する案を秘かに練っている」(日産筋)
 トップ人事も注目点だ。

乏しい全容解明の意思

 相川社長の当事者能力の欠如が今回のスキャンダルで露になってきた。5月11日の3度目の記者会見に出てきた相川氏の顔つきはまるで別人。実父の相川賢太郎氏(三菱重工元社長・会長)の後押しで三菱自社長に就任したが、益子会長が心配したように、やはり「社長の器」ではなかったという評価も多い。

 5月11日の3度目の記者会見で初めて姿を見せた益子氏は、相川氏ら同席者による燃費不正の経緯説明に対して、相川氏の力量不足を痛感したような表情を浮かべていた。

 益子氏は同11日の会見で、データ改竄に関与したのが開発部門の関連会社、三菱自動車エンジニアリングであったことを明らかにした。しかし、三菱自で改竄を指示したのが誰で、経営陣による組織的な関与があったのかどうかなど核心部分の解明がまったく進んでいない。軍事産業である三菱重工は極密情報を隠すのが習い性になっている。この負のDNAを三菱自は受け継いでいるといわれている。現下の三菱自に、全容を解明する意思がないように映るのはこのためだ。

 全容が解明されないままで相川氏が引責辞任するというケースも想定されている。

“ゴーン流”のしたたかな駆け引き

 三菱自と日産は2011年に合弁会社を設立し、軽の共同開発を始めた。日産は開発部門のトップを三菱自に送り込む。その上で、三菱自の水島製作所を拠点として、日産は独自の設計に基づく軽自動車を生産することになる。生産拠点を一体運営することになるとしているが、内実はもっとドロドロしている。三菱自は「軽からの撤退は考えてない」(益子氏)ため、日産の軽自動車が三菱自にOEM(相手先ブランド)供給されることも考えられる。

 三菱自の多目的スポーツ車(SUV)「パジェロ」はタイやインドネシアでは人気が高い。日産はトヨタ自動車やホンダに比べてアジアのシェアは低い。中国を除くアジアの販売台数が世界販売に占める割合は10%にも満たない。三菱自のタイなど複数の生産拠点を活用して東南アジアで現地生産に乗り出し、日産車の販売を増やしたいとの思惑がある。

 両社は軽で共同戦線を張っているが、電気自動車(EV)の開発でも協力する。EV路線で孤立気味の日産にとって三菱自は数少ない仲間でもある。EVの軽の共同開発が、資本提携後の最初のプロジェクトになる可能性もある。

 軽の生産拠点を持たない日産は、三菱自が潰れては困るのである。燃費データ改竄問題で、日産の被害がどの程度になるかを今後精査することになる。日産側が請求する金額が多くなればなるほど、投資額2373億円から実質的に相殺される。

ゴーン流のしたたかな駆け引きが展開されることが予想される。三菱自の経営危機が、日産にとって絶好のチャンスとなったことだけは間違いない。

周到な準備

 三菱自の軽自動車4車種の燃費データの不正は日産自動車の指摘で発覚した。日産が重たい事実を伝えたのは昨年秋だったとされる。三菱自がこの事実を公表したのは今年4月20日だった。相川氏の記者会見における対応のまずさも影響し、新車販売台数が半減するなど三菱自はあっという間に窮地に追い込まれた。

「創業以来の経営危機」(三菱グループ企業の首脳)

「日産は今年に入ってすぐから、少人数のタスクフォースを編成。三菱自を買収する場合のシミュレーションを行ってきた。4月20日の相川氏の記者会見を見て、日産側は『三菱自は持たない』と判断。具体的なプロポーザルを策定する作業に入った」(日産筋)

 この間、三菱自の株価は急落した。大型連休最終日の5月8日、ゴーン氏は動いた。軽の共同開発会社を立ち上げるときの窓口で、気心も知れている益子氏に直接、資本提携を申し入れた

 三菱自はこの提案に飛びついた。三菱グループ御三家の支援が、前回の経営危機のときのように期待できないこともあって、益子氏は日産の傘下入りを決断したという。短期間のうちに交渉がまとまったのは、三菱自がそれだけ切羽詰まっていたからである。

三菱グループの落日

 三菱重工業は客船事業の大幅赤字などの四重苦で、16年3月期決算で赤字に転落した。同じく同期赤字に転落した三菱商事の垣内威彦社長は「(燃費不正の)事情がよく理解できておらず、具体的なことは言えない」と三菱自の不正問題と距離を置いていた。三菱UFJ銀もマイナス金利政策が業績に逆風となっている。

 リコール隠しで経営危機に陥った05年には、御三家を中心に三菱グループで総額5400億円の支援を行ったが、今回は環境が大きく違う。「三菱自動車から三菱の冠を外させろ」といった極論が、三菱グループ各社トップが集まる定例会合「金曜会」の一部にはあったほどだ。

 三菱重工の内部も複雑だ。宮永俊一社長は、経営支援するにしても「株主にきちんと説明できる範囲内」で慎重に判断するとしていた。相川氏の実父で元三菱重工会長・社長の賢太郎氏が「週刊新潮」(新潮社)上での放言も、同社内や三菱グループ内で強い反発を呼んでいた。その上、05年の三菱重工のコミットを「やり過ぎ。過剰なコミット」との見方が社内にあって、大宮英明会長、宮永氏とも動きたくても動けない。

 三菱グループの落日の間隙を、日産が巧妙に衝いた

安い買い物

 三菱自は日産や日産販売店にも、生産中止に伴って発生した損失を補填する。日産に対する補償は最低でも300~500億円になると試算されている。日産側は「責任をとってもらう」と強硬姿勢だ。キャンセル分や販売機会を失われた分についても補償を求めるほか、日産ブランドが傷付いたことに対する補償も要求することになるだろう。

 04年秋に三菱自は再建策を話し合った過程で、東京三菱銀行(当時)を中心に軽事業を日産に売却する話が浮上し検討された。だが、三菱重工が強く反対したため、この計画は実現しなかった。一方、日産は軽の開発・生産を何度も検討したが、「単独で利益を出すのは難しい」との結論に達し、三菱自からOEM供給を受けている。自動車業界では、今回の不正は日産が軽に自前で参入する最後のチャンスになるかもしれないといわれていた。

 三菱自の5月12日の株価はストップ高(80円高)の575円。12日の終値で計算した時価総額は5656億円。日産が燃費データの偽装で被った被害額を500億円と見積もってそれを相殺しても5156億円。このうち軽がどの程度の比重になるかは不明だが、破格の2373億円の投資で落ち着いた。

 日産は三菱自の株式を1株468円で引き受ける。三菱自の株価は偽装発覚前日の終値(864円)に比べて4割以上、安い。燃費偽装が発覚した翌日の4月21日から5月11日までの三菱自株価や売買高を勘案して日産は買い取り価格を468円に決めた。日産の傘下に入ることが決まり、株価は5月12日にはストップ高(80円高)の575円。13日も605円で始まった。

 日産は、安い買い物をしたことになる。
(文=編集部)
http://biz-journal.jp/2016/05/post_15094_1.html
(続く)
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