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世界の片隅から、愛をささやいてみたり @goo

『チェーン・ポイズン』(ネタバレあり)

2014年06月05日 | 本と雑誌

    記者「連続自殺なんて!ありえませんよね」
    警部「でも、起こったんですから」

          『SHERLOCK』「ピンク色の研究」より
 




*****
 




『チェーン・ポイズン』 本田孝好著/講談社文庫


【ご注意!】
 上記のリンク先はAmazonですが、
 カスタマーレビューで若干ネタバレしています。


Zakka96

                Photo by Pari's Wind


同じ頃、同じ毒薬で、3人の人間が自殺した。
週刊誌記者の「俺」は、3つの死につながりを感じ、
最後に死んだ元OLの人生をたどり始める……というお話。


「真夜中に読んでいて、途中でおおっ!と声が出た」
と、弟に勧められて読んだ本です。
この方の作品は初めて拝読しましたが、
ミステリのような文学作品のような、不思議な感触の本でした。
描写は淡々としていて端正で的確。それでいて、
記者の「俺」も、元OLの「私」も、不思議なリアリティがあり、
特に「私」が自殺を決意する下りは、なんかすごくわかる気がしました。
あの心境って、割と普遍的なものなのかしら?


そしてですね、私も「おおっ!」とびっくりしたかといえば、
すみません、しなかったんですよ(^^;


私には珍しいのですが、「やっぱり!」と思ったんです。


途中で、登場人物達の印象にずれが生じ始めて、
いや、ちょっと待てよ、と何カ所か読み返したからなんだと思うんですが、
もしかして、と気づいてしまいました。


でも、だからってつまらなかったかといえばそんなこともなく、
それというのもこの作品が、テクニカルポイントだけで
構成されているわけではなかったからだと思うのです。
そういう点は、荻原浩さんの「コール」にちょっと似ているかもしれません。
感じられるのは「生と死」であり、「希望と絶望」であり、
人は、自分のためではなく、守りたい者のためなら、
世界とだって戦えるのだ、ということなのでした。


あ、あとですね、弟が「真夜中に読んでいた」と言ったのもわかった。
読み出したら引き込まれて、やめられないんですよ。
特に後半は、先が気になって、ほぼ一気読みでした。
というわけで、私も読了は真夜中で、今朝はちょっと寝不足でした(^^;


いま割と精神的に安定していて、人生を愉しんでいる人にお勧めですv
(不安定で孤独が深い人は、ちょっと引きずられるかもしれませんが)
 


コメント
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