おっさんひとり犬いっぴき

家族がふえてノンキな暮らし

うめえもん

2022-02-05 11:59:42 | 日記

 親戚のおっちゃんに、寿司を食いに連れて行くと言われ、大分の佐伯市の寿司屋に行ったことがある。「うめえもん(美味いもの)を食わせたいから、佐伯の寿司屋に連れて行ってやる」と言い、「ほかのところの寿司はうんもねえ(美味くない)からな」と豪語していた。

 確かに寿司は美味いが、僕は世界で一番美味い食い物はカキフライだと思っているので、寿司を食いに行ってもそれほどの感動はない。美味い美味いと言って食べるが、どちらかと言えば刺身で食いたかったりするので、僕に寿司を食わせて猫に小判かもしれない。

 それからしばらくして、テレビに石原良純さんが出ていて、「日本で一番美味い寿司は大分の佐伯の寿司だ」と断言していた。それを見ながら、そう言えば佐伯の寿司屋に連れて行ってもらったなあと思い出しながら、日本一の寿司と言っても、特別な変わったところはなかったなとも考えていた。

 最近はお取り寄せと言って、日本全国の美味しいものが自宅にいながら食べられるようになった。鮮度を無視すれば世界中からだってお取り寄せできる。とは言うものの、美味いものというのは僕はそんな単純なものではないだろうと思っている。食べ物というのは、人類が長い歴史を経て生み出したものだから、その歴史を無視しては台無しになってしまうだろうと想像するのだ。

 例えば、エジプトの砂漠で京都の老舗の湯豆腐を食っても、美味そうには見えない。ハワイのワイキキビーチで、すき焼きを食おうという気になるのかどうだか。やはり食べ物は体が一番欲しているものを、ちょうどそのタイミングで食べるのが一番美味いんじゃないかと思う。

 日本中には、ご当地でだけしか食べられない美味いものがある。が、物産展で買って来たところで、きっと食後の感想は「そうでもない」になるのではないだろうか。ご当地の食べ物は、やはりその土地に行かなければ、味わいというものがなくなるのではなかろうか。

 福島に来て、福島ならではの「こづゆ」や「イカにんじん」を食べた。福島の人からすればご馳走とは言えないかもしれない。でも、僕のようなよその土地からやって来た者には、今まで知らなかったご当地の食べ物を口にしているということだけで、最高のご馳走になっているのである。

コメント
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