おっさんひとり犬いっぴき

家族がふえてノンキな暮らし

いよいよ、最終日

2023-04-30 08:01:13 | 福島
 昨日、展覧会をやるもうひとりが、会場に来る前に新聞を買ってきて僕に渡した。「今日、福島民友に載るはずだけど見つからないんだな」と言う。奥さんも見つけられなかったという。「もしかしたら掲載記事が多くてボツになったかも」と応え、最初のページからめくって行く。

 イベント情報、地域版みたいなところをチェックしたくなるところだが、そこはもう見たに違いない。と、すぐに肝心の記事を発見した。




 載っている記事は、「ひと交差点」というコーナーにある。確かにこれでは人物紹介みたいで、イベントをやっているようには見えない。それでも載らないよりもよほどマシなのだ。で、早速昨日に引き続き壁に貼る。



 さて、ゴールデンウイークも初日、おまけに土曜日とあって、きっと開催中一番忙しい日になると覚悟していた。ところが、実際蓋を開けてみると、平日よりも入りが悪いのである。ゴールデンウイーク初日から、素人の絵を観に行こうという暇人は少ないようだ。やって来るのは案内状を出したか、連絡した人たちばかりである。これじゃああんまり意味がないんだなあ。

 期待していたテレビ局は、結局最後まで取材にはこなかった。最終日に来ても入りは変わらないので、もうどうでもいいのである。

 お昼にはパッタリ人出がなくなった展示会場でぼんやりしていたら、午後から少しずつお客さんが来るようになった。今日は展覧会最終日だが、多くの人が明日は仕事があるだろうし、ゴールデンウイークの休暇の人は、きっとどこかへ出かけているだろう。期待はできないが、人生何が起こるかわからない。わからないから人は宝くじを買うのであって、同じ心持ちでいそいそと朝の支度を整えている安部さんなのであった。
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来場を呼びかける

2023-04-29 08:03:16 | 福島
 展覧会も残すところあと2日となった。が、今日からゴールデンウイークに入るので、今日明日が本番だとも言える。

 それにしても、連日大したこともしていないのに、ひどく疲れるのである。こういう疲れた方というのは、学生時代にやった警備のアルバイト以来の気がする。お客さんにひと通り説明したあとは、ぼんやり椅子に座って待っている。読書をするというわけにも行かないし、1日が実に長いのである。

 昨日の朝は福島民報に記事が出ていた。早速もうひとりの出品者の奥さんが記事を壁に貼った。新聞の記事を見て来場する人にとってはなんの意味もないから、案内状をもらってやって来る知人のためのものなのだろう。





 記事にはこう書いてある。「宗形さんは県外の町並みや自然を油彩とパステルで描いた。安部さんは郡山市、三春町の風景をパソコンでイラストにした」。それから僕のコメントとして、「大分県から移住した安部さんは『地元の皆さんに福島の風景の素晴らしさを再確認してほしい』と話している」と。

 そんなようなことは話のついでに言ったが、こんなふうに喋っていないので、少し変な感じがする。変な感じといえば写真に付けられたコメントで、「来場を呼びかける宗形さんと安部さん」とある。これにはふたりして苦笑した。「来場を呼びかけるって、よほど誰も来ていないみたいじゃないか」。

 初日に取材に来た福島民友は、なぜだかまだ記事にならない。後で電話をよこしたところでは、今朝あたりの朝刊に載るらしい。火曜日に取材に来て、土曜日掲載とは時間がかかりすぎだが、取材に来た時に宗形さんが「記者の目で感じたことを書いてください」と言ったので、記者がプレッシャーを感じてかけなくなったのかもと、ふたりで話している。
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展覧会、4日目

2023-04-28 08:42:55 | 福島
 6日間ある展覧会のうち、半分の3日が終わった。初日は午前10時からしか準備をすることができず、開場の12時半になんとか間に合わせられたが、後になり、スポットライトを忘れたとか、ベンチがあった方がいいとか、バタバタしているうちに初日は終わった。

 2日目は朝から大雨。平日ということもあって来場する人の数は期待できない。案の定、案内を出した人は来てくれるものの、客足はパラパラだ。午後になり、福島民報の記者さんが取材に来てくれたので、今後の客足に少し期待できそうな気分になる。前日には福島民友が取材に来ていたので、連絡をした新聞社は全部来てくれたことになる。

 3日目は快晴。朝からぼちぼちお客さんが来る。期待していた福島民友の記事は出ていない。ボツになったのかな。福島民報は取材の時点で明後日の掲載ですと言われていたので、結局この日の掲載は一紙もない。残念。

 3日目になると、何にもしていないにも関わらず、少し疲れが溜まってくる。来場してくれる人に、毎回同じ説明を繰り返しているのも結構負担になってくる。と言って、端折って説明するというのもなんだかなあと思うので、できる限り説明して回る。

 夕方になって初日に取材に来た福島民報の記者から連絡があって、明日か明後日の紙面に載せるので、連絡先の確認をしたいという。取材からすでに2日経っているというのに、掲載が明日か明後日とはのんびりしているのである。おまけに「明日か明後日」と言う場合、明後日の可能性が限りなく高い。と言うことは展覧会の最終日前日の掲載ではないか。もっと早く載せんかい。

 というようなことがあり、今日で4日目を迎える。予定では福島民報に掲載される。天気も上々。明日からは週末で、客足は伸びるだろう。毎日お昼にはお弁当を作って持って行っているが、食べる暇がなくなるかもしれない。そうあって欲しいとも思う。
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美術展はこんな感じ

2023-04-27 05:22:26 | 福島
 美術展2日目、10時にビッグアイの役場の受付が開くので、15分前に行って待っていると、10時になり役場の人間が出てきて、「こっちのドアから入ってくれれば、15分前には展示室の鍵を渡せます」と言う。そんなことは初日に言っておけっつうの。おまけに、前日閉場した後、言われていた通り戸締まりをするのに、部屋のスポットライトや天井のライトを消して帰ったら、翌日になって「ライトは点けたままにして帰ってください」だと。役場の人間が見回りをするのに、電灯が消えてると別の人間が見回りを済ませたと思うからだろうが、それならそうと初日に言ってくれっつうの。

 と、お役所仕事に閉口しながらも、2日目を迎える。一日中本格的に雨が降り続き、初日のような賑わいは期待できなかったが、前日に引き続き、新聞社の取材に来てくれた。福島民友、福島民報と、連絡した2社が取材に来てくれて、予定通りだ。あとはテレビ局の取材待ちだが、いまだ音沙汰がない。テレビ局の皆さん、早くしないと美術展が終わっちゃうぞ。



 会場入り口はこんな感じ。



 入るとこんな感じ。





 里山を舞台にしたこんな作品や



 絵本にしようと描いた「ぼくら里山探検隊」は、50枚の中から10枚を選び展示した。

 なかなかいい感じになっているので、観たいと思っている人は、早くしないと今週いっぱいで終わっちゃうぞ。
 
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バタバタしまくる

2023-04-26 08:17:07 | 福島
 昨日から二人展が始まった。期待していた新聞社は、福島民友社1社が取材に来てくれたので、今日の新聞に記事が出ているんじゃないかと思うが、あいにく我が家では新聞をとっていないので掲載されているかどうかはわからない。今日は一日雨の予報なので、新聞に掲載されても、人出は少ないかもしれない。ほかのメディアの方は、急いで取材に来ないとすぐに終わっちゃうぞ。

 ところで昨日はドタバタし続け、夕方にはすっかり疲れ切っていた。

 朝、荷物の搬入は10時からと書類に書いていたが、15分前に到着すると、書類に書いていたことなど一切関係なく、そのまま荷物を搬入することができた。警備の人に搬入業者がつけるようなバッヂをもらい、台車を借りて6階まで何度も往復する。そのうち10時になったので、とりあえず荷物だけでも展示室に入れておこうと鍵をもらいに役所の受付に行くと、展示室のレンタル料を払わないと鍵は開けられないという。荷物を中に入れたいだけだと言っても、ラチが開かない。「じゃあ、その辺に置いといていいですか。財布を取りに下まで行ってこないとならない」と言うと、嫌々「邪魔にならないところに」と無愛想な返事だ。

 全ての荷物を展示室に持って上がり、次は会場の設営だ。広い部屋にいくつか仕切り板を置き、展示スペースを増やす予定だったが、仕切り板の設置の仕方がわからない。電話では「ひとりでも簡単ですよ」と言うことだったが、仕切り板自体がどこにあるのかわからないので、役所の人間に来てもらう。

 仕切り板はまた知恵の輪みたいな性質のもので、天井についたレールを走らせて、目的の場所に設置するという代物で、役所の人でさえ、ああでもないこうでもないと大変だ。7枚の仕切り板で会場を作るだけで1時間も費やしてしまった。

 開場を余裕をもって2時間半見ていたが、すでに1時間を使い、これから絵を設置するのには時間がない。ところが、今度は絵を吊るすワイヤーの場所もわからないければ、ぶら下げる方法もわからない。再び役所の人間を呼び、ようやく設置が終わったのが、ピッタリ12半。昼飯を食う暇もなく、観客がやって来る。

 そこで初めて、スポットライトの設営がまだだったことに気づき、再び役所の人間を呼んでバタバタする。

 初めての人間が使うのだから、最初にひと通りレクチャーしてくれればいいのに、なんだかひどくお役所仕事で、受付に行くたびに、「少々お待ちください。係の者に伝えます」と必ずワンクッション入る。

 閉展近くなり、ようやく展示室にベンチがなかったことに気づき、慌てて倉庫に取りに行く。ああ、疲れるぅ〜。
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二人展「What A Wonderful World」始まる

2023-04-25 08:19:04 | 福島
 今日から、今度の日曜日30日まで、郡山駅前ビッグアイ6階の市民プラザ第3展示室において、二人展「Whaat A Wonderful World」を開催します。

 初日の今日は会場の設営があるので、午前中は準備にあて、開場は12時半からとしています。閉場は午後5時。
 明日から土曜日29日までは午前10時〜午後5時。
 最終日は撤収しなければならないので、午前10時〜午後4時になります。ご来場の際には、ご注意を。

 僕は個人的な展覧会をやるのは初めてだが、もうひとりは美術年鑑にも掲載されている人で、個展もすでに何度となく開いている。それなら、かなりの部分を任せっきりにしようと思っていたら、「前の時はどうしたかな」と怪しげな返事ばかりするので、積極的に動くことにして、ポスターや案内状など勝手に作った。そもそも、個展をやろうと言いながら、ほかの展覧会への出品作品も描いているから、二人展の準備をする暇がないという話なのである。

 さて、会場の設営は、事前にいろいろ図面上では計画したが、実際現場に行ってみると不都合なところも出てくるに違いないと思っている。一番心配なのは、設営が間に合わず、12時半の開場の時点でワチャワチャしていることだ。

 あとは、新聞テレビなどのマスコミの取材があれば大成功だが、今のところニュースリリースを出したが連絡はない。入場者数に直接関係するだけに、ぜひとも取材は早めにお願いしたい。お願いします。お待ちしています。
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わらび発見

2023-04-24 13:59:30 | 福島
 朝6時、テオを連れて散歩に出る。いつものコースを歩くつもりだったが、途中で我が家の畑に寄って行くことにし、方向転換する。カメラを持って出たものの、畑に行くんじゃ撮るものはないかな。畑の写真でも撮ってくるか。



 雑木林の中にヤマツツジが咲いているのを見かけた。赤い色が褪せたような花の色は今ひとつだが、花の少ない林の中にあっては、華やかに感じる。ヤマツツジと言えば、ドリ、トトが生きていた時に、2匹を連れてヤマツツジの名所の山に出かけたことがある。ひっそりとした山道を登っていると、車1台が通れるほどの広さの山道を、次々に軽トラックが上っていく。一体何事かと思えば、ちょうどこの日が山開きの日にあたり、地元の人たちが頂上で屋台を出したり、お酒を振る舞ったりして大賑わいだった。こんなことなら来なかったのに、と思っていたら、頂上近くで出会った人に、「こんなところに犬なんか連れてきやがって」とつぶやかれた。だから、山開きと知ってたら来なかったよ。



 畑には、考えてみたら一昨日も立ち寄ったところだった。それでも茎ダチは大きくなり、ビニール袋いっぱい採れた。玉ねぎもよくよく見たら、ちゃんと球になっている。収穫時期は6月だが、今のところ順調に育っているという感じだ。



 タミちゃんが茎ダチを採っている間、僕はテオを連れて畑の周りをウロウロする。



 菜の花が終わりに近づき、今はクサノオウが黄色い花を咲かせている。どうしてクサノオウという名前かはわからないが、茎やら葉っぱやらをポキリと折ると、どこからでも黄色い汁が出てくる。気持ちわるっ。



 そうやって足元を見ていたら、ワラビがあちこちから顔を出しているのに気づいた。畑にワラビがあるのに気づいたのは、2年ほど前だ。まだ一度もここで採っていないのは、別のところから大量にワラビをもらったりするからで、わざわざワラビ採りをする必要がないからである。

 でも、すでにワラビが出ているのだから、今年の初物は、ここで収穫して食べようかな。
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散歩の効用

2023-04-23 11:30:50 | 福島
 日中は夏日まで気温が上がるが、早朝はまだまだ空気は冷たく、手袋をしていないと手がかじかんでしまう。それでも、目にする風景は日毎に木々が青々としてきて、春から初夏へと季節が進んでいるのを感じる。



 毎日毎日季節の移り変わりを実感できるのは、こうして1日に2回、早朝と夕方にのんびり散歩しているからだ。犬の散歩は、たとえ雨が降ろうと嵐になろうと、暴風雪になろうと中止するわけにはいかない。犬にカッパを着せ、時には人間もカッパを着て散歩に出る。これが健康のためのウオーキングとなると、ここまで律儀に歩き回ることはないだろう。



 そう思うと、テオ様様なのである。テオくんがいるからこそ、昨日と今日の違い、今日と明日の違いを敏感に感じることができる。これが都会の電車通勤では、ここまで周囲の変化を感じることができるかどうか疑問だ。身の回りの変化と言えば、都市計画による再開発だったり、店舗が閉店したり開店したりといった変化には気づいても、葉っぱの緑の濃さや、足元の花が入れ替わり立ち替わり満開になっているのはわかりにくいだろう。そういう点では、里山の生活というのは実に楽しいのである。



 桜が終わり、ヤマブキが満開を迎えているが、足元の山野草に注目すると、ピンクや白い可憐な花を咲かせるハルシオンが目立つようになってきた。ヒメオドリコソウが終わり、クサノオウやムラサキケマンを見かけるようになった。季節はどんどん先へと進む。ここ数日はスマホで撮影したが、明日からは一眼レフを首にかけて散歩に出ることにしよう。
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ハナミズキを見ると

2023-04-22 09:56:12 | 福島
 散歩をしていて、急に目につくようになったのがウワミズザクラだ。最初はよく見かける花だなくらいにしか考えず、そのうち気になるようになっていたが、イヌシデかなあなんて適当なことを言っていたら、ウワミズザクラだった。とても桜に見えないのでびっくりしたが、咲く時期は山桜が終わった頃、八重桜と時期が重なる。



 白い毛虫みたいな花がびっしり咲くので、少し注意してれば、雑木林のいたるところで見かけることに気づく。と言うより、こんなにあったのかというくらいウワミズザクラが花盛りだ。が、花はやはり桜とは言いがたく、子供の頃こんな形のお菓子があったなあと桜とは関係ないことばかり想像する。

 我が家の庭にはないが、いろんな家の庭で目につくのが芝桜だ。丈夫な植物なので、庭のグランドカバーにすると、春先の庭がにぎやかになる。我が家でも植えないかとタミちゃんに言うと、ハーブのオレガノがあるからダメなんだそうだ。と言って、そのハーブを利用したことは一度もないんだが。



 庭木で目立つのがハナミズキである。桜は病気になりやすいのであまり庭木にはふさわしくない。その代わり、ハナミズキを植えている家は案外多く、あちこちの家の庭先でピンクや白や赤い花を咲かせている。これだけ植えている家が多いのは、もしかしたら一青窈の歌「ハナミズキ」が流行ったからかなとも思う。



 もっとも僕は、一青窈という名前を聞くと、「ハナミズキ」より先に、「もらい泣き」の方を連想する。それも一青窈の歌う「もらい泣き」ではなく、昔テレビでタモリさんが出演してやっていた「トリビアの泉」で紹介された平井堅の「もらい泣き」だ。この回のトリビアが僕は一番トリビアっぽくて好きだった。「一青窈の歌を80%の速度で再生すると、平井堅になる」というトリビアで、何度聴いても平井堅にしか聴こえず、面白いのである。

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片手落ちなマナー講座

2023-04-21 10:20:13 | 日記
 このところ少しずつ「大人のマナー講座」(著・日本マナープロトコル協会)というのを読んでいる。葬式や結婚式などに出ると、いつもフワフワした状態でいるので、この辺で一通りマナーについて頭に入れておこうと思ったのである。そうすれば、少しは堂々としていられるんじゃないかという、浅はかな考えからである。

 で、読み進むうちに、どうにも尻が落ち着かない気持ち悪さを感じるようになってきた。素直にマナーの話が頭に入ってこない。どうしてだか、ページを読み進みながら考えていたのだが、今朝、その気持ち悪さみたいなものの正体の片鱗みたいなものを発見した。

 そもそもマナーというのは、人間関係を円滑にし、社会を効率良く潤滑に動かすためのものである。社会人としてのマナー、大人としてのマナー、冠婚葬祭のマナー、外交儀礼という名のプロトコル。すべて人間を相手にしての立ち振る舞い方だ。

 僕が感じた気持ち悪さというのは、まさにそこで、人間社会だけにしか注目していない点なのである。文部省後援の「マナー・プロトコル検定」標準テキストと帯にあるにも関わらず、その世界観があまりに狭すぎるのだ。例えば、本文中に「海にゴミは捨てない」というようなマナーは書いていない。相手の気持ちを不愉快にさせない、相手にとって失礼になるようなことはしない、ということに関しては、事細かに注意するが、相手がいない自然に対してのマナーなどというものは、最初から念頭にないようなのである。

 18世紀半ばに始まった産業革命は、人間社会にとって効率的で便利な世の中をもたらした。が、それにより、多大な負荷を地球規模でもたらし、21世紀には地球温暖化が問題になっている。原子力発電も、人間社会にとっては快適な生活をもたらすはずのものだっただろう。が、そのために放射線漏れという重大事故を引き起こした。人間が人間のことばかり考え続けてきたおかげで、21世紀という時代は、そのしっぺ返しを受け、人類の破滅の危機さえ迫っている。

 日本が戦った太平洋戦争も、アメリカなどから石油の供給が打ち切られたため、日本国民の生活を守るために東南アジア方面へ石油を獲得に出かけた戦争だった。日本軍も日本の政治家も、世界を破滅させようとしたわけではない。おそらくプーチンさんのウクライナ侵攻も、ロシア国民のために正しいことをしているのであって、世界を破滅させようと考えて実行したわけではないはずである。それにもかかわらず、世界を破滅の道へと進めるのは、人間社会を超えた広い視野が欠落しているからだと僕は考える。

 日本国憲法は、戦後すぐに作られたせいもあって、国民の健康を守るための公衆衛生についての決まりはある。が、環境に関する記述はない。海外では今や世界的な課題となった環境問題について、憲法を改正してでも制定しているが、日本はいまだに公衆衛生法で誤魔化している。

 「海にゴミを捨てない」というマナーが、どれだけ重要なマナーなのか、現在の状況を見れば明らかだ。プラスチックゴミが海洋資源を減少させ、いずれ世界中の人間を飢えが襲うことになるかもしれない。喫緊の問題であるのは誰の目にも明らかなのに、いまだに人間に対するマナーだけが、「検定試験」で試されるようでは、日本国憲法と同じで、時代遅れもいいところなのである。

 人間社会を超えて地球規模でのマナーを扱わない検定教科書を作る人たちや、日本国憲法を改正して環境問題を取り上げようとしないで平気でいる政治家たちが、僕にはなんとも気持ちが悪いのである。
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