昨日、池内さんの本のことを書いた。その中に山で見た雨に濡れたクズの蔓の美しさが書いてあったのだが、クズという名前は知っていても、具体的な形とは結びついていなかった。 そこで早速インターネットを利用して調べてみると、1年を通してこれほどよく目にする植物も他にはないだろうというほど、普段から頻繁に見かける植物だったというのがわかった。
クズと聞いてすぐに連想するのは食用にする葛粉だ。大和国の国栖(くず)が葛粉の産地であったことに由来するというから、僕らのご先祖はずいぶん昔から口にしていたのだろう。葛湯でも知られているとおり、薬効もある。馬、牛、ヤギ、ウサギなど多くの草食動物が喜んで食べるというから、家畜を飼っていた家では重宝がられる存在だったろう。
「だったろう」などと過去形で書いたのは、今どき家畜を飼っている家は少ないし、葛湯に入る習慣もほとんどなくなった。農家でも縛ったり巻いたりという作業に、わざわざクズの蔓を利用することはなくなった。それに伴い、定期的に刈り取られていたクズは、いたるところではびこり出したのである。
かつては有用だったクズも、雑草としてはこれほどやっかいなものはない。蔓性で薮でも草地でも雑木林でも、どこにでも根を下ろす。地上部の蔓を刈り取っても、地下に栄養を蓄えた太い根が残り、すぐに蔓が再生するので、駆除するのはほとんど不可能に近い。なんと「世界の侵略的外来種ワースト100」にも選ばれるという厄介者なのである(そんなワースト100があることにも驚くが)。
実際、散歩に出ると、注意しなくったって目に飛び込んでくる。木に巻き付き木々を覆い、電信柱に巻き付き電線を覆い、山の中に棄てられた粗大ゴミを覆い、すべてをクズの大きな葉っぱの下に隠してしまう。「なあんだ、これがクズだったのか」というくらい、田舎はクズで占領されているのである。





















