台風の影響からか、夜通し雨が降った。このところの福島は、連日真夏日まで気温が上がらず、7月とは思えない涼しい毎日が続く。これまで暑さで散歩に出るのも渋々だった犬たちも、雨に濡れた冷たい道路なら平気だ。
思い出を喚起するのに、視覚や聴覚がきっかけになることは多いが、実はそれ以上に嗅覚が過去の記憶と強く結びついていたりする。匂いと言っても、料理ばかりとは限らない。夕立の後の埃っぽい匂いとか、金木犀の匂いとか、あるいはどこからか吹いてきた潮風の匂いとか、何かをきっかけに僕らは突然子供の頃の夏休みに逆戻りしたり、田舎にあるジイちゃんの家のことを思い出したり、ちょっとしたことでタイムスリップすることがある。
雨上がりの道を歩いていると、体に冷たい空気が満ちてくるのがわかる。ヒヨドリがピーと鳴き、あちこちでウグイスがケキョケキョと騒々しく鳴く。濡れた樹木や道路から立ちのぼる水蒸気が、昔嗅いだことのある記憶と結びつく。
あれ、何だっけかな、この感じは。デジャブのように、どこかで見たんだけどどうしても思い出せない記憶。大したことではないけれども、深いところで思い出と関わっているこの感触。別段、どうということはないけれども、日々の忙しさにかまけている時には、ほとんど感じることがないことだけは確かだな。













