おっさんひとり犬いっぴき

家族がふえてノンキな暮らし

雨の日には

2012-09-30 07:58:24 | 日記

 台風が来ているようだが、さほど荒れてはいない。きっと九州北部からはそれたのだろう。

 とはいえ、朝から雨。空には分厚い灰色の雲が広がり、どんよりとした一日になっている。こういうときは外出しても面白くないので、大概読書をして過ごすということになるが、今手元にあるのは、ノーベル物理学賞を取った湯川秀樹さんの自伝「旅人」と、詩人の谷川俊太郎さんのエッセイ「ひとり暮らし」。近頃は小説などの創作物を読むよりも、エッセイや紀行文を読むほうがすんなり頭に入る。

 谷川さんの本の中に「昼寝」というエッセイがある。「昼寝」とはなんと快い言葉だろう、で始まり、同じ昼寝でも、「午睡」と書くと優雅で品があると言う。「昼寝」は釣り船でもできるが、「午睡」は豪華客船のデッキが似合う。青二才や親のすねかじりなどは「昼寝」でたくさん。「午睡」というからには、還暦が近いか白髪の二三本はあって欲しい。幼稚園児がするような集団ごろ寝は、「おひるね」であって「昼寝」ではない。

 というような文章を、半分ニヤニヤしながら読んでいる。半分だけなのは、早くもまぶたが重くなっているからだ。

 若い頃から白髪が多く、早々と染め始めたが、半年ほどまえから染めるのを止めた。今はブラックジャックのように、銀髪と金髪が半々になっている。年末には、藤本義一か司馬遼太郎か、はたまたアンディ・ウォホールのような見事な銀髪になる予定である。そうしたら、僕の昼寝もきっと「午睡」に昇格するだろう。

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天高く

2012-09-29 10:50:11 | 日記

 台風が近づいている影響で、週末は天気が悪そうだ。が、昨日のうちに車検も終わったし、とりあえず家の中での作業があるので、散歩に出る以外は僕には直接被害はない。これが山歩きでも予定していたら、恨めしく空を見上げていることになっただろうが。

 昨日の午後はまだ台風の近づく気配はなく、穏やかな秋空が広がっているので、カメラを持って散歩に出た。田んぼの稲穂も黄色く色づき始め、高い空にはイワシ雲が広がっている。360度、僕の周りはどこを取っても秋気色である。

 稲穂が実ると、野鳥たちにとってもいい季節になるのだろう。サギばかりではなく、ツバメやスズメ、カラスやムクドリなども活発に動き回っている。散歩の途中、視線を感じるのでそちらを向くと、キジバトが僕らの様子をうかがっていた。ドーデーポッポー、ドーデーポッポー。

 それにしても、秋になると空が高くなる。今までモクモクと空を占拠していた入道雲は姿を消し、青い天蓋に張り付くように薄く雲が広がっている。雲フェチの僕としては劇的な雲も好きだが、叙情的なのどかな雲も平和な気分になって好きだ。

 

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彼岸花

2012-09-28 09:10:25 | 日記

 長距離ドライブは、いまだ経験したことがないほどスイスイと順調で、一度も渋滞にかかることもなく、おまけに快晴に恵まれ、最短時間での移動になった。富士山には雲ひとつなく、雨だったり遅い時間だったりで、いつもはゆっくり見ることのできない浜名湖も今回は堪能することができた。

 翌日正午には関門大橋を渡る。と、突然車の窓から飛び込んできたのは、照葉樹林の木立から聞こえてくる蝉時雨だった。東北ではほとんど聞くことができなくなった蝉の声に、夏が再び戻ってきたかのようだ。パーキングで休憩しても、長袖を着ているのは僕くらいのもの。

 高速を下り、九州に入ると一般道を走ったが、両側に広がる田園で目立つのは彼岸花だ。福島の田んぼではまったくと言っていいほど見ることができない彼岸花は、高速道路でも当然ながら目にすることはなく、九州入りして今が満開だと知った。

 午後1時半、無事に実家に到着。少し横になり、夕方からカメラを持ってトトと出かけた。目的は彼岸花の撮影である。

 彼岸花の名の通り、お彼岸前後に満開になる。が、花期は短く、桜同様1週間ほどで姿を消す。

 それにしても東北と比べずいぶん時差がある。午後6時が近いというのに、青空には刷毛で描いたような筋雲が広がっている。

 柿の実が色づくのはもう少し先のようだ。

 田園ではあちこちでサギを見ることができる。電線の上にいたのは多分ゴイサギ。僕らの姿に驚いて、稲穂の間から飛び立つのはシラサギ。

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長距離移動

2012-09-26 08:29:47 | 福島

 開店前に一度九州に帰って雑用を済ませておくために、今日福島を発つ。明日の午後には九州に戻っているだろうが、途中の道中を考えると、ずいぶん慣れたとはいえ、なかなかハードな旅だ。

 運転免許を取り立てのときは、近所のスーパーに行くのも心臓ばくばくだったし、トトと初めて旅行に出た南九州の旅でも、口から心臓が飛び出しそうにドキドキした。今では福島と九州の往復くらいではさほど緊張はしないのだから、人間というのはどこまでも慣れるもんだなあと思う。子供にとってお使いでさえ大冒険だったことを考えると、この歳になるまでどれほどたくさん冒険をしたんだろうな。

 カフェの開店も冒険と言えば冒険に入るだろう。この歳で今までまったく経験のないことを、まったく見知らぬ土地でやろうとしているのだから。自信があるのかと言えば、「ない」とは言わない。ヨットで太平洋に出るのと同じで、全身全霊を使い集中して目の前の事に当たるだけだ。その辺がチェーン店のカフェなんかとは大違いで、調理係やら進行係やら広報やらと役割分担もないので、自動的に船が進んでいくということはない。自分ががんばっただけ前に進む。

 面倒くさいなあと立ち止まると、立ち止まった場所に居続けるだけである。

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自然災害

2012-09-25 08:52:36 | 福島

 台風が接近しているらしい。17号だか18号だかで、風速80メートルもあるような大型だ。東北にいる間はそんなに台風のことは気にしなくて良かったが、予定では今週中に九州まで移動するので、天気予報は気になる。

 片っぽは台湾へ向けて進路を取っているようだが、今後沖縄から九州に向かう可能性はある。その前には九州に到着していたい。

 もう片っぽは関東へ向けてまっしぐらにやって来そうだが、週末あたりになりそうなので、その前には東日本を脱出していたい。

 台風もそうだが、もっと怖い自然災害は地震だ。特に最近は東南海トラフだの三つの断層が連動して動くだの物騒なことを言っている。その確率はいまやかなりの数字まで高まっている。東京に住んでいたとき、今ここで大地震にあったら生き残れないだろうなとおっかなびっくりだったが、東京を脱出した今でも、車で都心を移動中に地震にあったりする可能性もあるので気を抜けない。

 大地震になると必ず停電する。断水する。そんなとき、何が一番怖いと言って、トイレの水が流れないことだ。トイレからあふれたブツは、きっと路地裏や街角にまであふれ出すに違いない。東京都民のブツが、そこらじゅうあふれるなんて、この世でこんな怖いことはないんじゃないか。

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本番直前

2012-09-24 07:38:28 | 福島

 連日天気が悪い。暑かった残暑は、秋雨前線がどこかへ追いやってしまったようで、日中も半袖では肌寒い陽気になった。

 日曜日、朝から地区の草刈りがあるというので、草刈機を持って参加した。安物の草刈機の調子が悪く、なかなかエンジンがかからずに焦ったが、なんとか少しだけだが協力することができた。その後、完成したお店のお披露目をするということで、近所の人たちに来てもらい、午後には何度か飲み会に誘われていた人たちに来てもらった。

 というわけで、朝から大忙しの一日になってしまったが、コーヒーを出す手順や、料理を作る手順など、いろいろと本番に向けての貴重なテストができた。

 ほとんどの人が改装前の姿を知っていたので、ちょうどビフォーアフターみたいに、どんなカフェができたのか楽しみにしていたようだ。が、どれだけの人が「なんということでしょう」と驚いてくれたのかはわからない。

 今日は通い続けた歯医者の最終回だ。これでほぼ準備が終了したので、一度九州に帰り、雑用を済ませてくる予定だ。夏真っ盛りの今回の福島滞在だったが、次に来るときは秋本番、東北の紅葉を楽しむことができるだろう。

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セールスポイント

2012-09-22 09:28:30 | 福島

 カフェで流すかどうかは怪しいが、とりあえずDVDを何枚か用意している。BGMならぬBGVとして、邪魔にならない程度のものを流そうと思っているのだ。ドラマ性がなく映像がきれいで、ぼんやり見ることができるものという条件で、「アース」や「ワタリドリ」や「皇帝ペンギン」などだ。あとは図鑑として野鳥のDVDも用意した。

  カフェを始めようとすると、ときには「セールスポイントは何ですか」と聞かれる。こういう場合、「チーズケーキがおいしい」とか「厳選した豆でいれたコーヒーです」とか「生パスタ」などと応えるのが普通だろう。

  が、こういうときアトリエ・カフェ「青い犬」では、セールスポイントを聞かれると「鳥」と応えることにしている。せっせと餌付けしたスズメたちの姿が売りなのだが、この返事を聞いた人は、「ああ、鳥料理か」と勘違いするかもしれない。

  料理はまったく自信がないので、こういう勘違いで来てもらうのが一番困る。というわけで、セールスポイントを聞かれると、「野鳥」と応えるようにしているのだが、中には早とちりなのがいて、「ああ、野鳥を喰わせるのか」と勘違いするのがいるかもしれない。

  間違っても、当店では野鳥料理なんてものは喰わせない。なんだ、野鳥料理って。

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秋雨

2012-09-21 07:13:56 | 福島

 今日も雨。この雨が上がると残暑も終わるそうで、いよいよ秋本番になるようだ。

 いつ降りだすかわからないので、ジョギングは取りやめて、長靴を履いてのんびり歩いて回る。野鳥は鳴かず、虫たちも静かだ。コスモスや朝顔がひっそりと雨に濡れている。

 突然バサッと大きな音が背後でして驚かされる。まだ青い柿の実が枝から落ちたのだ。

 去年は放射線の影響で、柿の実が収穫されず、どの木もたわわに柿の実をつけたまま、冬を迎えた。今年は収穫するのだろうか。除染は相変わらず全然進まないが、危機意識は次第に薄れていくだろう。そのうち少々の放射線なら、たいしたことはないとタカをくくってしまうのではないだろうか。

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雨上がり

2012-09-20 07:17:58 | 福島

 一日ぽつぽつと降っていた雨も上がり、早速トトを連れてジョギングに出た。

 雨上がりの濡れた路面をペタペタと走り始めると、肺の中いっぱいに冷たい空気が充満する。朝日を浴びた安達太良山には、真っ白い雲が山肌から湧きあがっている。田んぼの稲穂は黄色く色づき、今にもこぼれ落ちそうだ。

 雑木林に入ると、野鳥たちのさえずりに包まれるが、中でもセンダイムシクイの鳴き声はひときわ大きく、さえずるというよりは高らかに歌い上げるといった感じだ。

 気温が低いので、走っていても汗は少なく、あっという間に高屋敷神社に到着する。露に濡れた雑草を踏み、階段を駆け上がる。柄杓で口をすすぎ、ついでにトトにも水を飲ませ、すっかり習慣化した参拝を行う。

 パンパン、清めたまえ、払いたまえ、守りたまえ、幸いたまえ。今日も一日楽しく健やかに過ごせますように。そして明日を無事迎えられますように。

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平和的産業

2012-09-18 07:49:50 | 福島

 ニュースを見ていると、中国では反日デモが大変なことになっていると言っている。デモどころか、放火に略奪とあきらかに暴動だ。日本製品は買わない、日本には行かないと、徹底的に日本に対して感情をあらわにする。それに対して、日本人と言うのは実に優しい国民だなあと思わせる。その優しさが、国際的にはなめられてしまうのだが、中国人観光客が来ないことに対して、日本のホテルが「キャンセルばかりで困った」と頭を抱えていた。そういう問題じゃないのに、そういう問題として捉えているところが、なんとなく日本人なのだ。

 それにしても、軍需産業以外は、世の中は平和的産業で成り立っている。平和でなければ食っていけない仕事ばかりだということだ。

 美術や芝居や音楽などは、精神的には余裕がなければ楽しむことができないが、カフェなんてのも、平和な世の中であることはもちろん、不景気にも弱い仕事だ。

 でも、本当のところを言えば、平和でないときや困った状況のときほど、精神は余裕を持たなければならない。豊かな人生というのが、裕福な生活のことならこんな簡単なことはない。そうでないから、世の中はどこまで行ってもストレスだらけなのだ。

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