テオが我が家にやって来てもうすぐ1年になる。来た当初は生後2ヶ月とあって、まだ手のひらに乗るくらいだった。おまけに保護犬という出生が関係しているのか、とにかく人間に対して臆病で、飼い主である僕らにもなかなか心を開くということがなかった。
最近は散歩に行こうと飛びかかって来たり、自分が遊びたいときにはキャンキャン吠えて遊ぼうと催促する。が、では散歩に行こうとハーネスを装着しようとすると逃げ回り、少々のことでは捕まらない。向こうとこっちで挟み撃ちにしたり、部屋の隅に追い詰めたりして、「いい加減慣れろよ」と叱られるのだ。
どちらかといえば何事にも消極的なテオだが、いたずらに関してだけは今まで飼ったどんな犬よりも積極的だ。来て早々、庭の土をほじくり返すということを自分の使命だと考えているのか、ちょっとの隙間でも土がある場所はすべて掘り返してしまう。花壇だけでは飽き足らず、プランターの中身もほじくり出す。家の中の観葉植物の鉢の土まで掘り返す始末だ。仕方がないのでネットを買って来て、花壇の上を覆うことでなんとかしのいでいる。
とにかく硬いものをいつでもガジガジと噛んでなければ落ち着かないのか、スリッパでも木の枝でもボロボロに噛み砕く。革製の噛むオモチャも、1日でボロボロにしてしまう。噛むものがなくなると、ついには掛け布団カバーをボロボロにし、ファスナーも噛み砕いてしまった。おかげでカバーを洗おうにもファスナーは開かず、結局買い換える羽目になった。
被害はこんなものではない。クッションは二つ中身をほじくり出し、僕の腕時計のバンドとメガネのツルをダメにしたので買い換えた。が、1週間後には新しく買った腕時計のバンドを再びかじってしまった。ギターのフレットにはめるカポタストのゴム部分もボロボロにしたので、ネットで新たに注文した。テーブルの上に置いてあった手紙もボロボロにした。まったく、数えきれないほどの暴挙なのである。
昨日は買い換えた布団カバーのファスナーを再び噛み潰し、タミちゃんに叱られていた。