おっさんひとり犬いっぴき

家族がふえてノンキな暮らし

小学校三年生レベル

2022-02-16 10:01:52 | 日記

 去年の暮れから、習字の練習を始めた。とりあえず書道をやっているタミちゃんに最低必要限の道具を揃えてもらい、教科書はネットで初心者用のものを購入した。なるべく休まずに毎日やることを心がけ、一日30分でも筆を握っている。書道教室なんかに週一で通っても、その時だけしか書かないようなら、上達には時間がかかり過ぎる。そのくらいなら、毎日ちょっとずつでもやっているほうが上達の近道なのである。

 で、最初は横棒から。長い横棒、短い横棒を何日間も書き、次は長い縦棒、短い縦棒ばかり書く。右払いとか左払いとか、縦跳ねだとか、点々だとか、漢字を構成する部品をとりあえずひと通り書くのに一ヶ月以上かけた。最近はようやく文字に取りかかり、「工」「土」「山」「上」まで来た。ただ、どれひとつとしてうまく書けないので、同じ文字を行ったり来たりしている。僕の感じだと、今のレベルは小学校三年生くらいである。タミちゃんに言わせれば、自分でどこがおかしのか分かっているだけでも十分だ、ということである。確かに絵の初心者は自分のデッサンの狂いがわからないし、下手くそに限ってカラオケでマイクを離さず、騒音を振りまいていることに気づかない。

 真っ白な半紙に向かい、「縦跳ね、縦跳ね」とブツブツとつぶやきながら書いていると、そのうち調子づき、「縦跳ね、ヨコハネ、ホテルのぉ〜小部屋」と口ずさんでいる自分に気づく。知らないうちに集中力を欠いている証拠だが、オッサンギャクの持つ圧力もすごいのだ。

 気を取り直し、「縦跳ね、縦跳ね」と書いていると、再びオッサンが降臨してくる。「縦跳ね、ヨコハネ、ホテルのぉ〜小部屋」。こうなってくると、打ち消そうと思えば思うほど、オッサンが頭を持ち上げてくるのだ。こういう時はあえて続きを歌ってしまうのが正解だろう。「口づけ、残り香、煙草の煙〜」。ここまで来ると、筆を置いて歌い切ることに集中する。「ブル〜ウス〜、女のぉ涙ぁ〜、あのぉ〜人は行って行ってしまったぁ〜、あのぉ〜人は行って行ってしまったぁ〜」

 近頃は子供に何かさせるのに、自由にやらせるというのが主流になっている。個性を伸ばすとか、オリジナリティーを大切にするとか、言い分はいろいろあるようだが、「表現」ということで言えば、自由にやるよりも、その世界での決まりごとにのっとってやるのがいい気がする。オリンピックのアスリートだって、ガチガチの規則の中で初めて素晴らしいパフォーマンスが披露できるからである。これが各自が勝手に、ということになって来ると、最終的にはつまらないオッサンギャグくらいのパフォーマンスくらいしか身につかないに違いない。

コメント
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