おっさんひとり犬いっぴき

家族がふえてノンキな暮らし

10年前の絵、最近の絵

2022-02-18 10:26:11 | イラスト

 描きかけだった里山風景の絵を完成させた。空白で残していた中央部分は、いろいろ考えた結果、田植えをする人を描き込むことに決めた。最初は耕運機で代かきをしているところを描こうと思っていたが、周囲の緑を濃い目にしたために、代かきをする早春よりもずっと季節がずれてしまった。そこで、この辺ではゴールデンウイーク頃に行う田植えの様子にして、5月の爽やかな空気感を出すことにした。

 写真家で、里山を主に活躍の舞台にしている今森光彦さんが、こんなことを言っていた。里山風景の写真を撮る時、人間の営みのようなものも意識している、と。例えば、道端のお地蔵さんだったり、田んぼや畑で働く人だったり、常に人の気配が写真に写り込んでいる。

 里山を見て、「自然がいっぱい」と感じるのは、実のところ間違っている。というのも、人類の最初の自然破壊は農業からだとも言われているからだ。自然界には稲や野菜のように単一の植生はない。雑木を伐採し、土地を開墾し、雑草を抜いて初めて田畑になる。そのことによって、生活の場を奪われた動植物は多いだろうが、逆に人間が整備した環境を利用している動植物も多い。人口減少で廃村となり、消滅して行った里山を見捨てるのは人間ばかりでなく、里山に適応していた動植物も姿を消してしまうのである。

 10年前くらいに描いた三春の里山風景。まだドリとトトが健在だったので、画中に参加させた。

 今度久しぶりに同じ風景を絵にしてみたので比べてみたら、この10年の努力と進歩の跡が見えてなかなか興味深かった。

 同じ場所を描いても、描きようによって全然別の場所に変わるのが、絵の面白いところである。

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