スティングの自伝を読み終わった。ミュージシャンの成功物語だから期待はしていなかったが、普段作詞しているので、文章が上手いので退屈することはなかった。そんな中で本人は何気なく書いただろう一文が気になった。それは、成功することでそれまでアパートでさえ借りられなかった状態から、信じられないくらいの巨額なお金が入ってきたということだった。
そんなのはミュージシャンじゃなくても、メジャーなスポーツの一流選手でも、時流に乗っかった会社の役員でも同じことだろう。それだけ努力したのだから当然だという人もいるだろうが、それにしても個人の資産としてはあまりに巨額過ぎないだろうか。
たくさんCDが売れて巨額の印税が入る仕組みは、ミュージシャンのせいではない。そういう社会の仕組みだからだ。が、たくさんCDが売れるには、工場でたくさんCDを作る人が必要だし、店頭でたくさんCDを売る人も必要だ。ところが、そういう人たちは大概パートタイマーだったりアルバイトだったりするわけだから、どうしてそういうところまで潤わないんだろうという気がする。サッカーだって、たった一人で成立しているわけではない。グラウンドキーパーやらスタッフやらその他もろもろの人が関わっているのだから、そこまでひとりの選手に報酬を集中させなくてもと思うが、それだと夢がないということになるのだろうか。
図書館から借りてきた「野蛮な時代」という本を読んでいたら、今の世の中、グローバルだというが、それは経済や交流を超えて、暴力までグローバル化したという話だった。もしかしたら一極集中を生んでしまうのは、世の中のグローバル化と切っても切れない関係にあるのかもしれない。
そんなことをツラツラ想いながら、グローバルなんてひとつも関係ない犬たちと雪の朝の散歩をしてきた。