暖かくなったかと思ったら、翌日には真冬並みの気温になり、時々雪が舞ったり積雪があったりして、なかなか春真っ盛りというわけにはいかない。それでもようやく梅の花が満開に近くなり、あぜ道や土手にはツクシや踊子草、菜の花、福寿草などが顔を出している。
去年の写真を見ると、カタクリの花の写真を撮ったのは4月7日頃になっている。ということはそろそろ土の中から葉っぱや茎が出てきているだろうと、毎日散歩の途中でカタクリが自生している場所を確認するが、昨日の朝までは発見できなかった。
昨日、今年一番になるくらいまで気温が上がったせいか、今朝の散歩でついにカタクリの葉っぱが地面から出てきているのを見ることができた。花はまだだが、ちゃんと茎を伸ばしていて、あと一週間もすれば花を咲かせそうな気配だ。近くには同じスプリング・エフェメラルのキクザキイチゲも顔を出し、小さな白い蕾をぶら下げている。たった1日でこんなに成長するなんて、名前の通り春の妖精なのである。
調べて見ると、スプリング・エフェメラルは温帯の落葉樹林に適応した植物と書いてある。冬に落葉した森林では、早春にはまだ葉が出ていないから、林床は日差しが十分に入る。この明るい場所で花を咲かせるのがこの種の植物で、春先には森林の林床はとてもにぎやかになる。
スプリング・エフェメラルは別名を「春植物」とも言うらしいが、ギフチョウやウスバアゲハなど、春先だけに成虫が姿を見せる昆虫もスプリング・エフェメラルと呼ばれることがあるらしい。きっと明るい林床をフワフワと飛んでいる蝶々の姿が、「春の妖精」という言葉を連想させるのだろう。