桜も終わり、そろそろ初夏の気配が漂いだしてきた。冬の間、性根を据えて出かけた登山も、春を迎えればずっと気楽な山歩きになる。昨日のお休みは、トトに加え、ドリとタミちゃんも一緒に安達太良山の表登山道を登ってみることにした。去年のクリスマス直前に、同じメンバーで出かけてみたが、そのときは雪に阻まれ、予定の半分も登ることはできなかった。
雪のない時期にトトと頂上近くまで歩いているので、道程としてはたいしたことはないのは確認している。急な登りもなければ、痩せた馬の背歩きなどもない。体力さえあれば、子供でも歩き通せるやさしい登山道だ。体力のない巨体のドリだって、途中の仙女平までは充分往復できるだろう。

天気は前日のうだるような初夏の陽気から一変、霞がかかりどんよりとした日だが、かえって暑さに苦しめられることはないだろう。とりあえずドリのことを考え、最初の目標は雪解け水が湧き水となって流れ出ているところまで。
里では終わってしまった水芭蕉も、スプリング・エフェメラルのひとつであるショウジョウバカマも、山の上では今が旬だ。


1時間ほど汗だくになりながら湧き水の地点まで来ると、早速ドリがお腹を浸して涼み出した。その様子は温泉につかるオッサンだ。
そこを過ぎると、ぼちぼちと残雪が目立ち始める。まだアイゼンは着用しなくても大丈夫と判断し、雪の上をザクザクと歩く。

出発から3時間あまり、正午過ぎに今日の目標である仙女平に到着する。とにかくここまで登らなければ、視界は開けない。


正面に和尚山、奥に安達太良山の最高地点である乳首山が見える。乳首山までは雪がなければここから1時間半も歩けば着くだろう。
とにかく今日はここまで。巨体のドリも、老犬となりつつあるトトもよく頑張ったのだ。早速、朝作っておいたおにぎりを犬とともにぱくつく。山で食べる食事はなんでもおいしい。ただ、犬たちが一緒だと、キャンキャンと飯をねだり、ヨダレをダラダラ垂らしてうるさいので、ちっとも落ち着かないのが難点だ。最後にコッヘルでお湯を沸かし、熱いコーンスープとコーヒーを作る。姿は確認できないが、聞き慣れない野鳥たちのさえずりが聞こえてくる。