日々草

「つれづれなるままに・・」日々の事を記す。

8月11日はノラ猫記念日  蟹のしじまの向こう側編

2020-11-30 | Weblog
旅先で買うもの これを総称して「おみやげ」という。
いつもはスーパーで買う大根も、旅先で買えばそれは立派なおみやげになる。
ちょっと例えが悪いけど、そういうこと。

その場所、土地でしか買えないもの
そこで買うから意義あるもの
あとは勢い!
欲しくて迷っていて旅先で背中を押される買い物もお土産とよんでいいだろう。


代替品ならいくらでも買えるけど、「それ」が欲しくて、そこでしか買えないものを手に入れるための出かけていく。
旅の大きな原動力。

シンガポールでの買い物リスト

ラッフルズホテル ロングバーの シンガポールスリング
白新春茶荘の業務用中国茶
Super mama の有田焼
The Cookie Museum のチリクラブ味のクッキー



買い物リストの違和感にお気づきだろうか?


クッキーはまさかのチリクラブ味。
まさに『蟹のしじまの向こう側』ともいうべきシュールなクッキー。





クッキー一枚に付き蟹一匹付き。


きわめつけは有田焼!
シンガポールでしか買えないSuper mamaと日本のKIHARAがつくった有田焼の器。
シンガポールのアイコンをグラフィカルにちりばめたデザインで、毎年少しづつデザインが違うのも面白いところ。
年号が入っているから旅の思い出にうってつけ。


※写真は2020Ver


KIHARAがつくる有田焼にはオリジナルのTOKYOデザインもありまして、それを手にいれた日からいつかきっとシンガポールVerを手に入れたいと思っていたのだ。



シンガポールらしいマーライオンモチーフも一見してわからないぐらいキレッキレのデザイン。




青と白のすっきりとしたデザインは普段の食卓で使いやすいとくれば是非とも手に入れたいところ。
アラブストリートエリアに店を構えるSuper mama
いざ、勇んで店に向かえばまさかのマーライオンのチョップスティック レスト(箸置をあえて横文字)がsold out!
一番、品切れおこしちゃいけないやつが売り切れとはやんぬるかな!
そこにしか売っていないものだからこそお土産のお土産たる価値が出るのだけど、この状況に意気消沈。
シンガポールを訪れる際のお楽しみと、大義名分ができたと思えば、思っても意気消沈。
意気消沈しすぎて、香港で買おうと思っていたニワトリ柄の器を扱っているお店をみつけて買い込んでしまうぐらいの勢い!

一喜一憂、真剣勝負のお買い物。
旅先の買い物、おみやげを買うというのはそういうことである。
旅先のショッピングとは一進一退の勝負事である。
心して買い物せよ!





後日談
いつだって、コロナめー!と思っているけど、
コロナのおかげでウレシイことがあった。 唯一のウレシイこと
なんとSUPER MAMAのオンラインショッピングで日本からの買い物が可能に!!
旅行から帰ってきてオンラインショッピングができることを知り、注文しようとしたら
その時点で発送はシンガポール国内のみであった。
それが海外旅行なんていってられない状況下でシンガポール国外発送が可能になった模様。
今年の8月、満を持してマーライオンの箸置きが海をわたって我が家にやってきた。
Super mamaの有田焼で食べる海南鶏飯
スーパーで手軽に買える材料で、簡単で美味しいとなれば海南鶏飯は必然と食卓に並ぶ回数は多くなるというもの
楽しかったね、また行きたいねといいながら食べるこの海南鶏飯の特別なことといったらない。
こんなランチが食べれるならコロナ禍 ステイホームも救いようがある。


8月11日はノラ猫記念日 蟹のしじま編

2020-11-30 | Weblog
世界の車窓から
世界歴史紀行
世界絶景旅

いろんな視点で世界を切り取った旅番組が百花繚乱

もちろんお気に入りは岩合さんの『世界ネコあるき』
個人的に注目の新番組は『世界カニめぐり』
世界各国のカニ料理を現地の空気感とともに視聴者へおとどけする番組
いやあこれが面白いのなんのって
街角の人気店の人気メニューからピックアップして黙々とひたすら食べ続ける回があったかとおもえば、地元に人とくらしを垣間見ながらワイワイとシェアしてみたりと毎回ちがった趣向でカニ料理にせまっている。
蟹という素材のポテンシャルの高さゆえに、どの料理もおいしそうではずれがない。
 
イタリア料理、アジア料理、郷土料理
台所から、屋台から、レストランから
料理紀行はいろんな切り口で紹介しつくされているけど、
『蟹』という素材をメインにしたことを評価したいのだ。
これがじゃがいもだったら、華やかさに欠ける。
これが雷魚であったならばお国は限られる
これがブドウであったなら料理法は限られる。

揚げて、蒸して、焼いて、煮込んで、生でよし、
旬は世界をかけめぐり、世界の人々を高揚させる食材、カニ。
『世界カニめぐり』がいかにすごいコンテンツであるかご納得いただけるであろうか。

放映時間は・・・・



と続けたいので、だれかこの企画を買っていただきたいのだけど。
番組名称は『世界どこでもカニ歩き』でもよい。

バンコクの蟹
ホーチミンの蟹
金沢の蟹
ソウルの蟹

今回、満を持してシンガポールの蟹
シンガポール チリクラブといえばここ「JUMBO」
予約は必須で観光客、地元の人であふれている。



カニは時価







決して安くはないけど、小さめでと頼めばそこまで高いものではないし
他の料理を食べる余裕もできるというもの。


手をどろどろにしながらも無言で食べつつづける
店の喧騒、活気、カニ、無言、咀嚼音。


蟹のしじま

シンガポールで良い言葉が生まれました



次回『世界どこでもカニ歩き』は蟹のしじまの向こう側をお送り致します
乞う、ご期待(笑)。

8月11日はノラ猫記念日  ATLAS BARでひといき編

2020-11-25 | Weblog
旅行の目的は人それぞれである。
何をしに行くのかと問われれば、まずは「飲みに」と答えよう。

その後には猫だの、犬だの、雀だのがカメラにおさまりまくるわけだけど。

シンガポール に行った目的。
1、ラッフルズホテルのロングバーでシンガポール スリングを飲むこと。
2、マリーナベイサンズのルーフトップバーでシンガポール スリングを飲むこと。
3、スペシャルなバーでスペシャルな一杯を飲むこと。

1はミッション完了
2はミッション不完了
なぜならルーフトップバーにはシンガポール スリングがないのである!
はあ?と思うだけど、行けば納得。あそこはバーではないのだよ。
なので、地上階のバーでシンガポール スリングをはじめとする美味しいお酒を愉しむべし。
さて、3

世の中にはこんな場所も存在するんです。
夢見心地の昼酒を!





昼酒なんて言葉が使えないほどオシャレBar アラブストリートにあるATLAS(アトラス)
世界のベストバーにも選ばれたこちらのATLAS BAR
カトンのテラスハウスよりインスタ映えするスポット。
きっとこの経験は一年後も二年後もうっとりと思い出す昼酒体験になるはず。
ああ、我が人生 常に悔いナシ!




8月11日はノラ猫記念日  マリーナベイサンズでシンガポール スリングを飲む方法編

2020-11-25 | Weblog
酔っ払いが多いbarというのはあまり心地が良いものではない。
しかも酒に酔うのではなく、キラッキラッの自分に酔っている人が多い場所だとさらに面倒だ。
マリーナベイサンズのルーフトップバー、CÉ LA VI(セラヴィ)正しく観光地。
カリカリになったかすみ草が刺さっているドリンクをなんと呼べばいいのだろ。




キラキラの街を見下ろして、キラキラの場所でキラキラの自分とカクテル。
まさしくシンガポール スリリングの体を夢みてここに集うも、殺伐として、野生生物界における発情期の縄張り争いみたいと思う。
自分を出来るだけ大きく見せて、力をアピールする生物としての理について考える傍にはシンガポールスリングがあって欲しいと負け組は這々の体で下界へ逃げる。




実はあそこはbarじゃないと言い切ったのは若い腕のいいバーテンダー。
イケメン。
キラキラは下界で輝く、地上の星。
美味しいカクテルを楽しく飲みたいのならマリーナベイサンズの天上界ではなく地上の楽園でどうぞ。








8月11日はノラ猫記念日  Gardens by the bayスカイデッキからショーを見る編

2020-11-25 | Weblog
夜風に吹かれて向かうはGardens by the bay




人気のスカイウォークを行って、フラワードームを巡るつもりが、すごい人出。つまり大人気。
人気のスカイウォークは、皆が心ゆくまで堪能するから時間指定のチケット虚しく、列は遅々として進まず。
最後のショーの時間も、閉園時間も刻々と迫り、フラワードームに行くことをとっくに諦めた頃、始まったのは光と音楽のショー。
このタイミングではじまるとは!と心中穏やかでないのは残り五組を前にショーをスカイウォークから見るという幸運が転がり込むか否かの瀬戸際だったからだ。
皆が見つめる視線の先に入り込めるかどうかという瞬間。




その幸運がこちら。



選ばれし者のみが許されるスカイデッキからのショー。イルミネーションが近い!
イルミネーションにまみれるというまたとない経験をして、ディズニーランドのエレクトリカルパレードのキャスト気分を味わって◎。




スカイウォークから眺めるマリーナベイサンズ。
やっぱりミーハーだけどルーフトップバーにも行こうと思わせるシルエット。
しかし、とんでもないものをつくったよね。
この人類が滅び、文明が廃れた頃、その時の生物はマリーナベイサンズの廃墟をどう眺め、解釈するのだろうか。
神聖な場所か、快楽の中心かと喧々諤々と推察するのだろう。
なんでこのデザインが採用されたんだろうねーとか言ってる人々の存在に気を留めることもなく。
まあビックリ建造物であることだけは事実であろうからさあ、飲みに行くぞーと視線の先。



8月11日はノラ猫記念日 ラッフルズホテル シンガポールスリング編

2020-11-25 | Weblog

陽の高いうちから臆することなく飲める場所。
昼飲み、立飲み、センベロのメッカ、上野の高架下あたりとか、赤羽一番街。
大手を振って、堂々と朝から酒を飲む幸せと旅の幸福感は似ている。
旅先で昼飲みなんて、想像しただけで幸福になれるほど。

品行方正を絵に描いたような(金で解決ともいえる)シンガポールでグラスを片手に椅子に沈みこめる場所があるとは驚きである。
宗教上の理由もあり、お酒には厳しいルールがあるのかとおもっていたら「特区」が存在して、一杯の酒を求める長蛇の列。
そこはラッフルズホテル ロングバー。
トロピカルカクテルの傑作シンガポールスリングの発祥の地。
夕焼け色したこのカクテルをロングバーで味わいたいというのは旅の大義名分である。
シンガポールの一番の観光地であり、一番のアクティビティ。



バータイムではないからと気軽に出かけていったら、
世界中の人が同じ意図を持って、ラッフルズホテルのロングバーを訪れるから、激混みになるのは当たり前、列に並ぶこと一時間。
赤い夕焼けになる少し前、アペリティフにシンガポールスリング。
バータイムにしっぽりとなんてきっと無理だね。
でも楽しみはオアズケの時間が長いほど、耽美で優雅に再現されるもの。
じゃじゃーんと効果音付きで登場するシンガポール スリング。



シンガポール スリングをシンガポール「スリリング」と記憶している人もいるに違いない。
ロングバーで味わったその一杯、トロピカルな定番の一杯、そしてせっかくここまできたのだからとオーダーした二杯目のグラスを傾ける時、思い出す。

今は昔。
その昔。
シンガポールスリングはシンガポールスリリングであったのだと。
直感はきっといつだって正しい。
だってシンガーポールはこんなにまでもスリリング。




8月11日はノラ猫記念日  ノラ猫からのプレゼント編

2020-11-25 | Weblog

私の記憶に爪をたてるがごとくあの夏の思い出として刻みこんでいった。
きっと来年も、10年後もうっとりとその夏の日を思い出すのだろう。

「やわ肌の あつき血汐にふれも見で さびしからずや 道を説く君」
みだれ髪 与謝野晶子

秘めたあつき血汐を知ってか知らずか、私のやわ肌をさらりとひと撫でした感触を覚えている。


数時間後



スカートと靴下の間、ほんのすこし見えていた私のやわ肌というか、生肌というかそのほんの隙間がね、ものすごーく痒くて、痒くてパンパンに腫れてきた。
一体何がおこったのかわからなかったけど、思い起こせばあの時の、あの時の猫であった。
ダニかノミかそこらへん。

かわいい野良猫にうかれた数時間後に、チャイナタウンの漢方薬とか売っていそうな店で、anti-itch ointment を探す羽目になろうとはつゆにも思わず。
数年後も語り継がれるオチ付きのお土産話。
手元に残った怪しげだけど非常によく効く痒み止め薬がなくなる頃、いつしか彼(彼女かもしれない)を甘酸っぱく思い出し、それに続く苦々しい記憶は薄れ、旅のネタとして思い出す。

忘れていけないのは
甘い誘惑には裏があるということ
「痒い」は英語でitchyであること。
Stop itching medicineという痒み止め薬が買えること。
「止痒薬」漢字の有難さよ。
見慣れた漢字に目的の薬が手に入った安堵感。
itchyより痒の方が切羽詰ったように思うのは私だけ?


しかしこの軟膏薬、効き目抜群だったな。
思い出は取り出すごとに形を変えていくもの。














8月11日はノラ猫記念日 カトンラクサ編

2020-11-25 | Weblog
カトンといえばここ、カラフルなテラスハウス。
写真をみたことがある方も多いだろう。
「映え」、「盛り」というキーワード以外コメントのしようがないけど。
まっ、写真でも撮っておく?
しかし、次々とポーズを変え、顔を作る子達をみていると切なくなってしまうのは、何で?
あっ、車に気をつけてね・・・・・・・・・地元の方の迷惑にならないようにねと
交通の邪魔になりながら撮った出来のいい写真一枚の舞台裏を見かねて早々に退散。





特に何があるってわけではなく、長閑な街並みをひたすら歩き、目指す先、ルーマ ビビ、ルーマキムチェー。
乙女のハートをくすぐるプラナカン雑貨の超有名店。
写真だけでも撮っとく?、買うものないし。
品薄なのか、趣味に合わないのかはご想像にお任せしましょう。
シンガポールのカトン地区は個人的にはわざわざ行かんでもいいかなあという感想を述べつつ、猫がねえ。ネコがいたからねえ。やっぱり行く価値はあったねえ。

ランチは328カトン・ラクサ(328 Katong Laks)
ココナッツミルクの甘さと魚介の出汁がきいたスパイシーな汁麺。
プラナカンの文化が色濃く残るこの地区の名物料理。
マレーと中華文化が融合したニョニャ料理をお手軽に楽しむのにこのラクサという料理は最適だ。
安くて、手軽でおいしくて。



ココナッツミルクの甘さと魚介な濃厚な出汁。
麺は短めですするというよりもぐもぐと。
サイドメニューはオタオタ。
魚のすり身をバナナの葉で包んで蒸し焼きにしたもの。

328カトン・ラクサ(328 Katong Laks)のラクサは今まで食べたどのラクサとも別物でもちろん日清のカップヌードルのラクサとは似て非なるもの。
魚介の旨味が濃厚でびっくりするくらい。
本場のラクサはネコ好み。
腹ペコネコがラクサの香りだけでで飛んでくる味とでも申しましょうか。
スリスリと足元にすり寄ったあの子の顔を思い出す味。
カトンはネコとラクサを堪能せよ。

8月11日はノラ猫記念日

2020-11-25 | Weblog
今更ながら、いまだからこそのお蔵出し。
昨年のシンガポール見聞録。
おいそれと海外に行けない今だからこそ、いつか行ける日のために。

時は2019年8月11日のこと


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愛情が溢れ出るがゆえに小動物には嫌われがちなわたくし。
いつだって昼寝ネコへの対応は難しい。
「なでさしてー」という控えめな愛情表現というより、「撫でさせろや!」という前のめりな態度が嫌われる原因だと分かっている。
安眠を妨害された怒りの矛先への態度だと理解もしている。
それでもかわいいネコには触れたいし、嫌われれば凹むのである。

素通りするには抗いがたい誘惑。
あわよくば撫でられるかもの期待感。
すり寄られる幸福感を想像する喜び。
実際にゴシゴシと戯れることができなくても、ひと撫でする楽しみを想像するだけで、視線は昼寝ネコを捉え、足は眠りネコの前でとまるのである。


「ちょっと、よろしいでしょうか?」と
あくまでも下手に、慎み深く、友好的な態度をもって、ひとなで。
実際にはその前にシャーと威嚇されるか、逃げ出されるかのどちらであるが。
そんな冷たい現実の中にあって、「神!」と叫びたいような出来事にも遭遇するから人生は捨てたもんじゃない。捨てる神あらば、拾う神あり。
これを幸運というのだし、奇跡と呼ぶのだし。


はじめての君に、はじめて触れてこそ8月11日はノラ猫記念日




「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日」

ならぬ、

猫なのに「キャン、キャン」と君が言ったから8月11日はノラ猫記念日
この「キャン、キャン」とは小型犬の鳴き声ではなく「Can Can!」であって
「撫でさせて〜」というお願いを「いいよ、いいよ!」と太っ腹な反応であったわけだ。

シンガポールの昼寝ネコ。
そう、ここは日本ではない。シンガポールのカトン。
インスタ映えするカラフルなテラスハウスで有名なところ
おもむろにガサゴソと起き出して、シングリッシュのような気楽さで撫でさせてくれたうえに足元にスリスリ。




日本語を理解しないから寄って来た?
思わずshinglish(シンガポール+イングリッシュ=シンガポール独特の英語)で「Alamac!」と驚いてみるけど動じる気配なし。

ひっー、なんたる奇跡!神とは猫の姿で現れるものかと大喜びをぐっと押し殺して、控えめにナデナデ。
モデルっぷりもハンパない!
下から見上げる極上の視線、頂きましたー!






後にオチがあるとも知らずに「Alamac!」(日本語のあらま〜と同じ意味、同じような発音)とすり寄って来た幸運に天にも上る気持ち。
こんなおもてなしを用意できる国、シンガポール。

8月11日をノラ猫記念日と定めてシンガポール旅日記はじめます。
明日はどんな記念日になりますでしょうか?


パラミタ 波羅蜜多

2020-11-25 | ギャラリー
宗教についてはほとんど知識がなく、無宗教といっている。
とはいえ、人智を超えた存在は信じているからそれを神=宗教とするなら、私はなにかしらの信者であろう。
一神教のストイックさは持ち合わせていないから、神羅万象に神はおわすという考え方であり、付喪神もいると思うし、強大で雄大な自然や現象にはやはり人を超えたものをみる。色変わる大海原、雲が覆う山の頂、そびえ立つ太古の木々すべては神だ。
腹ペコの炊きたて新米のおにぎりも神、積まれた帯付きの紙幣も崇めたてられ神になる。


神を見た。


神は優雅で圧倒的で、慈悲であり、祈りであった。
偶像を禁止されているイスラム教であっても厳かなアザーンが流れる中、モスクに行けばそこは神聖な場でより近くに神を感じ、限られた光の中で仏を見上げれば、慈愛の視線で庇護を感じる。
それらは単に作られた建物や像ではなく、神の気配を感じさせるもの。
となれば芸術は神に捧げられる供物なのである。

パラミタミュージアム
このかわった名前のミュージアムで没後30年 須田剋太の回顧展が行われている。
司馬遼太郎の『街道をゆく』挿絵の須田剋太といえばわかる方も多いだろう。




力強い原画の数々。
印刷ではわからなかった絵具の盛り上がり。
書画の勢い。
凛とした感触は寺社仏閣の気配。
画伯のパレットはオブジェと化し、厳かに鎮座する。





須田剋太の作品を目指してこの美術館に来たのだが、常設も素晴らしいものであった。

池田満寿夫 圧巻の波羅蜜多シリーズ
美術館名もこの波羅蜜多から転じ、パラミタと名付けられている。
美術館の根幹とも言うべきこの作品群は神々しいほどの存在感であった。
異国の神々のような派手さはないけど、日本の八百万の神の一つであることは間違いない。
書、画、陶、映像、文学、版画そして料理と多彩で異彩をはなった芸術家を私は池田満寿夫の他に知らない。
その多彩さから生まれた般若心経を刻んだ陶板やら、仏をみていたら、ああ神は芸術を愛するのだと思ったのだ。

ツチクレや、石ころ、ひいては無より姿を取り出す人に神の奇跡をみる。

こうやって地方の小さな私設美術館で心動かされる作品に出会うことを一言で言うなれば「神」という。