日々草

「つれづれなるままに・・」日々の事を記す。

今年のThe Last Supper

2020-12-27 | ギャラリー
The Last Supper 最後の晩餐



今年は忘年会、クリスマス、年末感もまったくなくて、一年なんだったのかというぐらいの早さでここまでたどりつく。
大好きな人たちと好きな時に、好きなように会えないのが残念でならないけど、きっと不毛とも思えた時間から生まれる何かもあるのだろう。
そう気づくのは来年になるのか、数年後になるのかわからないけど、ここから学び、変化のきっかけになったと思えればいいなあ。

今年最後の晩餐は鴨のロースト。
ちょっと贅沢に。
静かにしみじみとゴハン、家人と。
出かける時はマスクを忘れずに。




アート納めは長場雄のThe Last Supperでありました。







シンプルな線で描かれるイラストレーション。
あちこちでお見かけする機会があって、満を持してのエキシビション。
大好きな最後の晩餐をモチーフにジョン・レノンや、デヴィッド・ボウイも登場。
やはり晩餐は皆んなでワイワイと密密でやってこそである。
イラストの人物ですらマスク姿で描かれて、違和感がない状況に違和感を感じられる日がはやくきて欲しいものである。


稀代の静かな年末まで残り数日。













もう一つの旅 台湾『路』をゆく、 高雄 無関実験書店へ

2020-12-22 | Weblog
高雄の強い日差し、白い棺、カーテンの先の漆黒の世界。


スポットライトをあびてステージに立つ、マイケル・ジャクソン。
孤高のマイケルを想う。
これからはじまる期待と興奮を具現化したマイケル・ジャクソン
歓声の中、微動だにしないのは自分の価値の尊さを見せつける最大の演出であり、作戦であり。
live会場の期待のボルテージが最高潮に達し、焦れたところではじまるイントロ。
究極の2分間ともいわれるMichael Jackson のdangerous tour in Bucharest
たっぷりと微動だにしない1分39秒、首だけ動かして10秒弱、サングラスを取るのに10秒強、Michaelが歌い出すまでにたっぷり2分以上が費やされている。
動かないだけで、観客の興奮と期待を増幅させる稀代のアイドル(偶像と呼ぼう)Michael Jacksonを彷彿とさせたのでした。


どこで?


本屋で!
台湾の第二の都市、高雄。
行く機会があるのなら、数多ある観光スポットをさしおいていくべき場所。

旅に行くのなら、
そこでしか出会えないアートに出会い、


夜の帳に沈める一杯を求め、


土地神様にご挨拶をして、


地元の本屋をマーキング。


地元食をいかに家で再現するかを考えて、名物にうまいものありと叫びたい。






高雄でも。

面白い本屋に出会った。
暗闇の本屋。
駁二藝術特區 無關 實驗書店
高雄の観光おすすめ スポット アート特区にある無関実験書店、まさに実験という名にふさわしい本屋なのである。
高雄の強い日差し、白い棺、白いカーテンの先の暗闇。本屋。








どうよ、孤高のマイケル・ジャクソンの居並ぶ漆黒の空間。



読めない本を買ってもと思うけど、本屋という場所はお国柄を色濃く出すから観光地にもなり得るのです。
入場料をとられますが、その金額がそっくり買い物に使えるというのも良心的。
高雄の粋とでも申しておきましょう。
読めない本を買ってもしかたないからと手ぶらでで帰ろうとしたら、本でなくてもいいし、なんでも選べるからと親切な店員さんが勧めてくれたのはフォーチュンクッキー。





読めないけど。


アートと本好きなら絶対にここ好き!
微動だにしないマイケル・ジャクソンを知る人にも薦めたい摩訶不思議な本屋。
旅先で自分の好きなものを色眼鏡を通してみるというも、特別な旅の体験である。

もう一つの旅、台湾『路』をゆく

2020-12-17 | Weblog
吉田修一の小説『路』(ルウ)。
大好きな小説を久しぶりにとりだした。
台湾旅のために選んだ一冊は、とても大切な一冊となっていまもあたしの本棚の一番いいところにいる。
台湾に新幹線を走らせるという一大プロジェクトのに交差する人間模様。
台北のホテルや飛行機の中で読んだこの物語は、現実と小説を交差させて、台北の喧騒や日差しをより鮮烈にする。

台北で吉田修一の『路』を読んだ記憶は→こちら

街路樹の深い緑、夜市の輝く黄色いあかり、輝く闇、ルーロー飯のしみ。
これは小説の中の世界か、現実か、はたまた台湾旅への思慕か。

わかりやすい感動やあからさまな恋模様はないけど、広がる感情は岩に染み渡る慈雨の如くジワジワと明日への希望をはこんでくる。
旅にいく東京駅のホームに滑り込む新幹線に乗り込む静かなワクワク感にも似て。

また台湾に行きたい。
新幹線に乗って台北の先、高雄へ行きたい。



この一年少しの間、なかなかブログを書くことができなかった。
ちゃんとインプットしていたはずなのに、いろいろなものに追いまくられて、振り返る暇もなく、ダダ漏れで、感動することもなく、淡々と日々をやっつけておりました。
人間失格である。
楽しい、嬉しいという感情は置き去りで、持続することなく、いつでも時間に追われて不安と不満ばかりが溜まっていく。
それが急に強制的に時間の使い方を変えられて驚いて、落ち込んでだりもしたけど、本来のあるべき姿に戻ったんだと思えたら、ちょっと光明が見えてきて、こうやってブログを書くことができている。

シンガポール に続くもう一つの旅、少し前の台湾旅もまとめなきゃ。
ブログに書いておかなきゃ。あたしがあたしでいるための整理として。

もう一度、『路』を読み直さなきゃ。
次の旅の準備をしなきゃ。近いいつかのために。


オマケに鳥肌が

2020-12-12 | リブレリア









シンガポール は楽しすぎて




飛行機の中で映画を観るならコナンのシンガポール が舞台になったやつがよろしいかと。


シンガポール旅の旅本。
なんでこの本を選んだと問われ、面白きゃいいんじゃね?としか答えられないけど


表紙の装丁にも鳥肌がたっている穂村弘『鳥肌が』
旅は面白がることに意義があるということで、8月11日はノラ猫記念日にもれたハイライト。
鳥肌ものではないけど、シンガポール に行きたいと思わせたなら私は幸運である、幸運の鳥肌が立つ。



8月11日はノラ猫記念日  シンガポール で病院へいこう編

2020-12-12 | Weblog
『白衣恐怖症』というものがあるらしい。
医者や看護師を目の前にすると実際より病気寄りの数値を叩き出してしまう人のことを指すようで、緊張はストレスであり、ストレスは万病の元。
かくいうアタクシも病院嫌いときているもので、病院に行くよりは薬局で市販薬を買いやり過すタイプ。
健康診断で「血圧高めだね、もう一回測ってみようか。」なんていわれたら、倍々で血圧は高くなっていく。小心なもので。

でも歯医者を筆頭に病院嫌いを公言していても昨今の病院事情は様変わりしているようで昔、医院でも本屋になっていたり、カフェになっていたり。こういう病院なら喜んで通院させて頂きたい!

尾道の元医院 古本屋20db(デシベル)の記事はこちらから→弐十db


シンガポール ではカフェに
昔、病院 『中華医院』だったところがオシャレカフェに。






このカフェのおしゃれ具合がツボで、絶妙で!好きすぎて!
どこを切り取っても絵になること、絵になること。
カフェなので歩き疲れて甘いもの&お茶もいいし、ブランチ、ランチにも良い。
もちろん百薬の長をと所望する左党にもクラフトビールという選択肢あり。

百薬の長の長を処方していただけるなら病院は好きかもしれない。


頑張ったねとオモチャをくれる歯医者であり、
シールをくれる内科であり、
お薬は甘いのをきれる小児科であり。
あたしもこれなら自発的に病院に行くのになと。


このコロナ禍、こんな冗談も不謹慎になるぐらいの
医療従事者の献身で成り立っている医療態勢にはほんと感謝でしかない。
できることはコロナにかからないよう最善を尽くすこと。
それでも不慮がおこるのが病気というものであるが。
使命感と責任感でいまの医療が成り立っていることを忘れずに、感謝しつつ、早く海外旅行に行ける日常をと思う。


8月11日はノラ猫記念日と制定して大分たった今頃、シンガポール 旅行記を終わりにする。
時系列がめちゃくちゃですが、いまだからこそ感じるインプットできることの有り難さ、アウトプットする大事さを噛みしめながら。

そして 誠光社へ

2020-12-09 | リブレリア
ガーディアン紙による「The world’s 10 best bookshops」にも選ばれたことのある、京都の『恵文社』。
はじめてここを訪れた時の新鮮な感動は今でも反芻できるほど。
沢山の本がありながらも駅前にある大きな書店とは違う独特な品揃えであり、ピンと張り詰めたような静寂さと柔らかな時間がまみえていて特別な雰囲気を作り出していたのだ。少し昔の辻仁成・江國香織の『冷静と情熱の間』という小説のタイトルを思い出す。
古書と雑貨と新刊が絶妙に溶け合って整然と並んだ本棚は、まだ見ぬ世界への扉が並んでいると同じことだ。
開けたいと思える扉がここには必ずある。
恵文社にはそんな扉を沢山持つ本が醸し出す期待みたいなものが満ちているからいつだって行きたいと思わせる。

そんな恵文社の名物店長 堀部篤史さんが独立して誠光社という本屋をつくったのは数年前。
恵文社の恵文社たるコアが動いて、恵文社イズムを色濃くより濃密にした本屋が新しく京都にできたということだ。
行きたい!と思うのは必然であろう。



本に対する造詣と愛情が色濃く滲み出るような文章を書く人が選ぶ本はどんな扉がついていて、その先には何が見えるのだろう。
店主堀江さんの文章は文庫の解説だけで一個の読み物だし、そこから本屋の矜恃と覚悟と未来が見えるからいつだって何かを期待する。
新しい扉が開かれることを。


そうだ、誠光社の扉を開きに。






水で、火で消えゆく言葉

2020-12-09 | リブレリア
尾道 20dbで手に入れた水に文字が漂う水温集。
儚くて、不思議な一冊。
もったいなくて水にページをはなつことができないけど、その刹那をたのしみたいと強く思う。
本に出会うということはいつだって一目惚れに近い。
新鮮な驚きと確かな確信を持って惹かれてゆく。
いつもはそれが感覚の中ではじけてなくなっていくのに、この本の言葉は事象として散ってなくなるから面白い。
いろんな思いがない混ぜになった感情が水に溶けていくということ。





さて、もう一冊。
千葉のmitosayaから取り寄せたもの
本に火を放てという。
水で消えゆく言葉の次は火で消えゆく言葉。
火で立ち上ってゆく詩、レモンの香り。




果実は空に投げ たくさんの星をつくること





消えゆく言葉は事象で残像は心象であり、
失われるものほど記憶にのこりけり。

真夜中の本屋   【尾道 古本屋20db】

2020-12-08 | リブレリア
只今 ‪23時‬の10分ほど手前。
 
地の肴を地酒と一緒に流し込んでのち、てくてくと暗い夜道をいく。
時折流れるヘッドライトの光。
ひっそりと静まった店をのぞき込んだりしながら‪23時に‬むけてあるいてゆく。
細い路地をまがった先にぼうっと光る小さな看板店名は『20db』。
尾道にある小さな本屋 20db(デシベル)。
風にゆれる葉音のような店名である。



その昔、町の医院であった建物が今は本屋になっていて真夜中にひっそりとひらく。
営業時間は‪23時〜‬27時。
 
 
古い医院の佇まいをした本屋で、さらに真夜中のみ営業なんて本好きをドキドキさせてくれるシチュエーション。
どんな本たちがこんな素敵なお店をつくった店主の選美眼にかなったのかも気になるところ。
ここ数年の行ってみたい場所№1に輝きつつもなかなかその機会に恵まれなかった幻の場所。
深夜とはいえ平日の仕事帰りにおいそれと立ち寄れる場所ではない。
行きやすい大きな都市ではないことと、週末の休みを利用できる営業時間ではなかったことがこの店を訪れるハードルを高くしていると思われ、いつか、いつかと憧れだけが募るばかりであった。
 
 
古い扉をあければ時が止まったような空間に本が並び、積み上げられ
新しい読み手がくるのを夢見ている。
タイル張りの受付はキャッシャーにかわりオレンジ色の光がやわらかい。
奥の診療室であったであろう場所でも本が新しい持主に出会うのを待ちながら静かに眠っている。




 
手に取ったのは古い詩集。
北海道、東北と北の土地にまつわる旅の詩をあつめたもの
水木しげるの画集
蕎麦についての文庫本は薬袋のデザインのカバーをかけられた。
そして特別な一冊「水温集」。
 
水温集は
水色の箱の中にページ(綴じられていない紙の束)入っているという不思議な装丁の一冊。
どうしてもと頼み込んだら、店主の自宅に保管されていた貴重な在庫を頂けたのだった。
 
水にとける紙をつかった詩集で、紙が溶けて、水面に文字だけ漂うというまだかつて出会ったことがない本なのである。
水面に揺蕩う文字で読み進める小さな世界。
一度読んだら、もう読み返すことができない貴重な一篇。
尾道の裏小路に夜中しかひらかない幻のような本屋みたいな本。
 
 
 
買った本をかかえてBARへ
まだ明けぬ夜のうちにすべりこむ。
不思議な本に心が浮き足立つ。
今夜はなかなか眠れないだろう。
こんな夜はまたとないから。

小さな個性的な本屋が好き。
こんな本屋に出会えるからこそ旅が好き。