私の記憶に爪をたてるがごとくあの夏の思い出として刻みこんでいった。
きっと来年も、10年後もうっとりとその夏の日を思い出すのだろう。
「やわ肌の あつき血汐にふれも見で さびしからずや 道を説く君」
みだれ髪 与謝野晶子
秘めたあつき血汐を知ってか知らずか、私のやわ肌をさらりとひと撫でした感触を覚えている。
数時間後
スカートと靴下の間、ほんのすこし見えていた私のやわ肌というか、生肌というかそのほんの隙間がね、ものすごーく痒くて、痒くてパンパンに腫れてきた。
一体何がおこったのかわからなかったけど、思い起こせばあの時の、あの時の猫であった。
ダニかノミかそこらへん。
かわいい野良猫にうかれた数時間後に、チャイナタウンの漢方薬とか売っていそうな店で、anti-itch ointment を探す羽目になろうとはつゆにも思わず。
数年後も語り継がれるオチ付きのお土産話。
手元に残った怪しげだけど非常によく効く痒み止め薬がなくなる頃、いつしか彼(彼女かもしれない)を甘酸っぱく思い出し、それに続く苦々しい記憶は薄れ、旅のネタとして思い出す。
忘れていけないのは
甘い誘惑には裏があるということ
「痒い」は英語でitchyであること。
Stop itching medicineという痒み止め薬が買えること。
「止痒薬」漢字の有難さよ。
見慣れた漢字に目的の薬が手に入った安堵感。
itchyより痒の方が切羽詰ったように思うのは私だけ?
しかしこの軟膏薬、効き目抜群だったな。
思い出は取り出すごとに形を変えていくもの。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます