日々草

「つれづれなるままに・・」日々の事を記す。

記憶の珍味

2020-04-26 | ギャラリー
食べることだけが楽しみとなり、行き着く記憶。
記憶美術館便り

2020年 1月18日〜3月22日 諏訪綾子展 「記憶の珍味」









「食」を通して感情、記憶などを表現する諏訪綾子。
こんな切口で表現する方法があるんだと感嘆した福光屋とコラボしたエモーショナル エッセンス。
過去ログ 感情のテイストについてはこちらから→酒×感情

感情を味わうなんて考えたことなかったけど、それをアートにまでしたということに非常に興味を持ったのが出会いであった。
よく考えてみれば喜びを噛み締め、苦渋を舐めるのだから他の感情も味わうことができるんだと納得ができる。

それからのち、偶然にも金沢21世紀美術館で「感覚で味わう感情のテイスト」というインスタレーションをみることができて非常に興奮したのを覚えている。
美食、グルメ、栄養学から見地からも一線を画す「食」に接する機会は貴重。
感情、記憶、感覚にアプローチする「食」なんていつもの朝食、昼職、夕食の「食」ではないからな。


今回初めて幸運にもその作品を味わう機会を得た。
美味しい、不味いをも超越した作品然とした「食」はどんな味がして、どんな感情を味わわせてくれるのでしょうか、期待は高まるばかり。

手渡された記憶の珍味の味わい方

いくつかの「ある記憶の匂い」を嗅いでひとつ選ぶ。
それをスタッフに伝え、チケットをうけとる。
記憶の珍味を味わうブースへ入る。

アーティストの言葉によると
匂いは考えてるのではなく感じるままに直感で、記憶をいちばん鮮やかに呼びさますものを。
食べるか食べないかは自由。
記憶珍味が味わえるかもあなた次第。




手渡された味わいかたに目を通して、自分のための匂いを探す。
むせかえるほどの香り、ひそやかな香り、湧き立つ香り、漂う香り。
標本のように用意されたいくつかの匂いは香水のようでもなく、浮世離れした不思議な匂い。不思議な記憶。

その中から選んだ私の記憶。
記憶の珍味。

孤独と自由
鮮やかな藻が生えている。緑がかってよく見えないけれど、水槽の中できっと自由を謳歌する金魚。
ずっと雨が降っている。
濡れなくて誰もいないけれど部屋の中で時間をもて余すわたし。
満たすものがない、比べるものがない。何もない。誰もいない。答えがない。きっと孤独。
だけど心地よいたぶん寂しい。もしかしたら自由。


そんな味。
なかなかおもいもよらぬ衝撃的な体験(味)でありました。
あれから1ヶ月後、部屋の中で時間をもて余すわたしの味を記憶の中から引っ張り出す日が来ようとは考えだにせず。
記憶の美味ではなく、まさしく珍味の記憶。

あなたの記憶の珍味は?


期待して当たり前なんだし。

2020-04-26 | ギャラリー
暇で死にそうで。

毎日繰り返される自粛に次ぐ、自粛の勧告。
志村けんさんに次ぐ、岡江久美子さんの訃報、増え続ける感染者数、死亡者数。
外出を減らすことでしかコロナ禍には立ち向かえないから粛々と自宅待機、時々目一杯仕事。


皆がそれぞれ最大限の努力をしているかもしれないけど、それぞれの分母が違うから一言で自粛といってもなかなか難しい。
それぞれが個々に置かれた中で最大限の努力すべきことだけは事実。
すると、暇で死にそうでという思いも浮かんでは消え、浮かんでは消えとなんとも複雑な気分なってくる。
暇で死にそうでというだけで不謹慎感が漂うからな。
でも、当たり前に旅行にも行きたいし、買い物にも行きたいし、美術館にも行きたいと思うのは現実として仕方ないし、その楽しみをご褒美に乗り切るしかない。
それまでは仮想旅行、睡眠ショッピング、記憶美術館で行ったつもり、買ったつもり、見たつもり。

記憶美術館より
2013年 イチハラヒロコ展 「期待して当たり前なんだし。」



改装中の仮囲いにイチハラヒロコの刺激的な言葉が作品として展示される趣向であった。
googleのcmでも有名なった「恋みくじ」。→恋みくじ体験談

日本語がわからない国で「万引きするで。」と書かれたショッピングバックを配るというインスタレーションをするイチハラヒロコ。
ゴシック体で表現される言葉はシニカルで力強く目に心に、飛び込んでくる。

イチハラヒロコの作品はまっすぐな説得力があるから肯定力が半端ない。
しんどいはずの状況でも、悲観するのでなく受け入れて消化しちゃおうという気概を感じる。
これを希望というのだし。
だから御宣託にも似た有難さ。



まずは良きにつけ悪しきにつけ肯定してみるという積極性がいまのこの状況では大事!きっとそう!
コロナ禍の世の中にイチハラヒロコ作品を置いてみると含蓄と皮肉さが際立ってさらに秀逸になるのも興味深い。
是非、今の状況を想像してからイチハラヒロコの作品を味わってください。
もちろんポジティブにもなれるからスバラシイ。









何をいつ思い出すかはその時になってみないと分からないからこそ、
好奇心は常に新鮮でないとダメだと思っている。
現況ではその好奇心を満たす術は多くないけど好奇心は腐らせずにしよう。
最近、個展をやってないようですが状況が、好転した頃、イチハラヒロコ 新作を見れたらいいね。