原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

ローマ・ピサ・フィレンチェ 列車と徒歩の旅 -ガリレオ博物館編-

2016年02月11日 | 旅行・グルメ
 (写真は、ガリレオ博物館にてガリレオ・ガリレイ像を見上げる我が娘。)



 実は、このガリレオ博物館には“間違えて”入場した。


 何処と間違えたのかと言えば、ウフィッツ美術館かと勘違いしたのだ!

 そんな訳があるはずがない、とウフィッツィ美術館を訪れた経験がある方々は呆れ果てるであろう。
 博物館の入口にはちゃんと 「Museo Galileo」と書かれているし、世界に名立たるウフィッツィ美術館がこんなに小さい訳もない。

 ところが何故私がガリレオ博物館をウフィッツィ美術館と取り違えたのかと言うと、両者が同一敷地内に存在しているためだ。
 要するに、ガリレオ博物館とはウフィッツィ美術館の分館の位置付けなのだろうか??


 間違えて入場した割には、元科学者の端くれの私にとってガリレオ博物館は大変興味深いスペースだった。
 ここはそもそもイタリアに於いて、日本の国立科学博物館のごとくの役割を果たしている博物館の一つなのだろう。
 その展示は、天文学分野のみならず、化学・医学等々科学各分野の多岐に及んでいる。


 そもそもガリレオとは、コペルニクスが提唱した「地動説」を支持し教会と対立した人物だ。
 天動説こそが絶対と信じて疑わない教会側は「太陽中心の世界観を抱くとは異端!」との思想の下、ガリレオの研究成果を否定し続けた。
 これに打開策を見出だそうと、ガリレオは天動説と地動説両者をあくまで仮説とし、禁令に触れることがないよう地動説を解説した書物「天文対話」を出版する。 にもかかわらず、「天動説」思想を曲げない教会側はこの書物がローマ教皇の意に背くと判断し、ガリレオは2度目の異端審問にかけられる。
 その後ガリレオは有罪判決を下され、終身刑を言い渡される。 有罪判決の際、地動説を放棄する旨の異端誓絶文を読み上げさせらた後、ガリレオがつぶやいた一言が有名だ。

 「それでも地球は動く」 …… 
  
 (以上、ネット情報に私論を交えつつ紹介した。)


 いやはや、科学論争の世界は時代を問わず常に命がけだ。
 ガリレオの功績の足元にも及ばない稚拙な例を挙げると、一昨年「STAP細胞事件」で大揺れした理化学研究所も、再生医療一基礎研究者の自殺者を出している事を思い起こした。

 
 ガリレオ博物館内には、アーミラリ天球儀や大昔の望遠鏡等々、世紀を超えて天文学の発展に寄与して来た多くの天文学機材が展示されている。

 また化学分野に関しては、昔のフラスコ等の実験器具や天秤、顕微鏡等も数多く展示されている。

 医学分野では、母親の子宮内異常体位胎児模型が展示されていたのが興味深かった。
 我が娘も私の体内で逆子(さかご)だった事が一つの理由で出産時のトラブルに繋がった事を、フィレンチェの地にて思い起こさせられる展示だった。



 観光の対象としては十分に“異色”だが、フィレンチェの歴史的建造物に飽きた時、気分転換にこんな博物館を訪れてみては如何だろうか。

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