原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

「原左都子エッセイ集」バックナンバー宛に現役高校教諭氏よりメッセージを頂戴しました

2022年09月30日 | 教育・学校
 メッセージを頂戴したバックナンバーは、我がエッセイ集2022.09.25公開の「『勉強しないとああなるぞ』との小学校教諭の発言に異議あり!!」である。

 メッセージをお送り下さった方は、E先生とおっしゃる現役高校教諭、進路指導主事4年目のベテラン教諭氏。 現在59歳であられる。
 このEさんとのお付き合いは、我が「原左都子エッセイ集」を通じて既に10年程が経過しているであろうか。
 今回のメッセージは、約3年ぶりに久々に頂戴したものだ。



 それでは早速、E先生よりのメッセージをコピーして以下に紹介しよう。


   25日の小学校教諭の発言の記事は知りませんでした。同業者として悲しいです。  清掃業者の方が直接聞いたとしたらとんでもない暴言ですし、職業差別意識を子どもたちに与える可能性が大きいことを考えると教師としてはとんでもない発言です。更に児童のご家族親戚に清掃業の方がもしいたならば、児童の受ける心の傷は計り知れないものと思います。明らかに懲戒レベルに感じます。  「こんな軽薄な思考の人間が学校の教員に採用されているのか?!? 誰がこいつを教員として採用した!??」  原さんの叫びですが、記事を見た人なら皆さんが感じることだと思います。私の私見ではありますが、原因はたくさんあると思います。  まずは採用試験の競争倍率の低さです。特に都市部での倍率は低いようです。一般的に高→中→小と低くなります。一応倍率はあるように見えますが、「受けるだけ受けてみようか」という人を含んでいますから、実質倍率は2倍程度の地域もあるようです。この原因も色々とあるでしょう。当然大都市圏では一部上場企業に人気が集まります。しかし地方では大企業が少なく、公務員人気は高い傾向にあります。それでも近年倍率が下がっている傾向があるようです。中学校、小学校と低学年になるほど、生徒児童、保護者が多種多様になり対応が困難になっています。そのため本来の仕事以外の業務に追われて体力的にも精神的にも負担が大きくなり、体調を崩し休職したり早期退職したり、教師という仕事が「ブラック」と言われるのは皆さんご存知かと思います。  それから、競争倍率が低くなると偏差値が高くない大学(偏差値で大学を判断するのも良くないですが)からも多くの合格者を出します。「公立学校、○○人合格!」とスーパーの特売チラシのようなリーフレットを持って地域の私立大学から生徒募集に来られます。「公務員試験や教員採用試験対策の特別コースや講座を設定しています!専門学校から講師を呼び講座を開いています」等々鼻息荒く宣伝されます。パンフレット(大学案内)のほとんどが就職状況の数値や一流企業に就職できた卒業生の談話や、就職支援体制などです。本来の最高学府としての学びである、「幅広い教養」、「高度な専門知識」、「研究方法や問題解決能力」、を身につけること、がほとんど記載されていないようにも見えます。キャリア支援体制の充実も大切ですが、順序が逆です。大学での学びがあってこそのキャリア支援だと思います。  小学校・中学校と先生を困らせていたヤンチャな子どもたちも、大学に入って来る日も来る日も採用試験対策に取り組むことで合格しちゃうんですね。小学校・中学校と、基本的な生活習慣を身に付けている上で、教師の方へきちんと向き、先生の動きや考え、周囲の友達の気持ちを感じながら真摯に学校生活を送ってきた子どもたちに教師を目指してもらいたいです。自分が真剣に学校生活を送ってきていない学生が、将来それぞれの学校で子どもたちに何を教えなければならないのかがわかるでしょうか。生徒、児童の気持ちがわかるのでしょうか。  高等学校の授業中に資料を提示し「はい、これを見てください」と言っても、まず数人は下を向いたままです。大きい声で「こ れ を み な さ い」と言っても一人くらいは顔を上げません(居眠りしてます)  でも小学校低学年はどうでしょうか。先生が「はーい、これを見てー」というと目を輝かせながら100%の児童が注目してくれるのではないでしょうか。  小・中・高と学校の役割は違いすべてが大切な教育機関ですが、小学校低学年だけは絶対に軽視(してはいないでしょうが)できないと感じています。人格形成にとって大切な時期であり、多くの道徳的なことや社会のルールを学ぶ時期です。そのとき、教師、特に担任の先生は児童にとって絶対的な存在だと思っています。  生徒の進路相談の時(雑談でも)「私、将来、教師になりたい」と言われると、つい本音で「やめとけ、やめとけ、教師はブラックだよ」と言いたくなります。でも、それをぐっと我慢して「教師は素晴らしい仕事だよ、がんばろうね」とアドバイスをすることもこれからの教育界のためには必要なことだと考えています。  教師という職業が、本当に適している人が、本当になりたいと感じる職業になること、そして本当に適している人が採用される試験制度、そうなることを心から願っています。  
 結局は国による様々な制度や待遇の見直し(早急な)でしょうかね。(ボヤキです)
 

 (以上、現役高校教諭E先生より頂戴したメッセージを掲載させていただきました。)  



 原左都子からの御礼を申し上げよう。

 現役高校教諭のE先生、この度は学校業務にて多忙なところ貴重なご意見を頂戴しまして、誠にありがとうございました。

 私も高校教諭経験者ですが、それを退職して既に20数年の年月が経過しております。
 そんな私もつい最近のことですが、ニュース報道にて現在学校教諭が不足しているとの情報を目にしました。 
 この現象に関するE先生のご記述を以下に反復させていただきますと。
 「採用試験の競争倍率の低さ。特に都市部での倍率は低い。一般的に高→中→小と低くなる。一応倍率はあるように見えるが、『受けるだけ受けてみよう』という人を含んでいるから、実質倍率は2倍程度の地域もある。
 中学校、小学校と低学年になるほど、生徒児童、保護者が多種多様になり対応が困難になる。 そのため本来の仕事以外の業務に追われて体力的にも精神的にも負担が大きくなり、体調を崩し休職したり早期退職したりして、教師という仕事が「ブラック」と言われる。
 大学に於いてキャリア支援体制の充実も大切だが、順序が逆。大学での学びがあってこそのキャリア支援と思う。  小学校・中学校と先生を困らせていたヤンチャな子どもたちも、大学に入って来る日も来る日も採用試験対策に取り組むことで合格してしまう。 小学校・中学校と、基本的な生活習慣を身に付けている上で、教師の方へきちんと向き、先生の動きや考え、周囲の友達の気持ちを感じながら真摯に学校生活を送ってきた子どもたちに教師を目指してもらいたい。 自分が真剣に学校生活を送ってきていない学生が、将来それぞれの学校で子どもたちに何を教えなければならないのかがわかるだだろうか。 生徒、児童の気持ちがわかるのか。
 「私、将来、教師になりたい」と言われると、つい本音で「やめとけ、やめとけ、教師はブラックだよ」と言いたくなります。でも、それをぐっと我慢して「教師は素晴らしい仕事だよ、がんばろうね」とアドバイスをすることもこれからの教育界のためには必要なことだと考えています。  教師という職業が、本当に適している人が、本当になりたいと感じる職業になること、そして本当に適している人が採用される試験制度、そうなることを心から願っています。  



 E先生の教師としての“本気度!”が実に素晴らしく。

 ついつい、2度に渡ってE先生からのメッセージを復唱させたいだたきました!

 
 本日午後、goo編集画面上のトラブルに遭遇したこともあり、当該記事の公開が遅くなりましたが。

 世の中には、こんなにも堅実に生徒と接しその未来を考慮されている現役教師先生が存在しているとの事実を伝えられることを。

 曲がりなりにも過去に一時「高校教諭」を経験した原左都子の、自慢話とさせて頂きます!