大臣や議員が発する「失言」は、過去から現在に及んで膨大な数に上るであろうが…。
これ程、差別意識に基づいた失礼かつ不快な失言も珍しかったのではなかろうか?!
朝日新聞2019.10.28付夕刊記事より、その萩生田文科省大臣が発した“究極不快失言”に関する記事を以下に引用しよう。
2020年から始まる大学入学共通テストで活用される英語の民間私見について、萩生田文科相がニュース番組で「身の丈に合わせて」と発言したことについて、批判が相次いでいる。 萩生田氏は10月28日報道陣の取材に対し、「受験生に不安や不快な思いを与える説明不足な発言だった」と謝罪した。 発言は24日夜の“BSプライムニュース”でのもの。 英検などの民間試験の利用で、受験生の経済状況や地理的条件によって不公平が生じないかと問われ、 「それを言ったら『あいつ予備校通っていてずるいな』というのと同じ」と反論。 「裕福な家庭の子が回数受けてウォーミングアップできるみたいなことがあるのかもしれない」と述べた。 試験本番では、高3で受けた2回までの成績が大学に提供されることを踏まえ、「自分の身の丈に合わせて、2回をきちんと選んで勝負して頑張ってもらえれば」と答えた。
萩生田氏は28日、不公平を容認しているとの指摘に対し、「どんなに裕福でも2回しか結果は提出できないので、試験の条件は平等」と強調。 「民間試験なので、全ての人が2回しか受けてはいけないというルールにはなかなかできない」などと述べた。
(以上、朝日新聞記事より引用したもの。)
一旦、私見及び私事に入ろう。
大学入試制度に於いて、民間英語検定試験を導入するとかしないとかの報道に接する機会が増えている現在だ。 私などその報道自体に驚かされる立場なのだが。 大学受験に関して確かに大きく時代が変遷しているのだろうが、既に娘も大学を卒業して社会人として活躍している現在、現役受験生の皆さんにとっては申し訳ないが現時点の私にとっては二の次でよい話題ではある。
そんな立場からだが、“学問の府”であるべき「大学」の入学試験に民間試験の導入??? かなり不可思議な感覚を抱かされてはいた。
いやこの私も受けましたよ、英検を。 ただ私が英検受験したのは30歳を超えてからの事だ。 2度目の大学受験時にせっかく頑張った受験英語を何らかの形に残そうと、2度目の大学入学後に「英検2級」にチャレンジし、きちんと合格している。 それが現在何かに役立っているかというと、まあ履歴書にそれを記載できる程度のことだが。 (海外旅行時の英会話にも役立っていると言いたいが、その英語力は中学生時に英語を頑張ったなごりと私は分析している。 実際、中学生レベルの英会話力しかない…。 片や英文読解力の方は、現役職業人時代や大学・大学院時代等に英語論文等を積極的に読んだことが功を奏していると考察する。)
この「大学入試英語に民間試験導入」に関してだが、あくまでも我が認識によれば世間では賛否両論で、殆どの大学がそれを取り入れないとも見聞している。 その大学側の思いは十分に理解出来る気もする。 民間英語試験を合格して入学したとて、その後大学の授業を本気で受ける学生が如何程存在するかとの懸念点もあろう。 結局、大学時代にほとんど本格的な英語に触れる事無く卒業してしまう学生が大方との現実ではなかろうか??
萩生田氏の失言に話題を戻そう。
これ、実にとんでもない差別発言であり、また論理破綻発言でもあると私は感じる。 何ですって? 「それを言ったら『あいつ予備校通っていてずるいよな』というのと同じ」ですって?!? 文科省大臣にして、何だか受験生18歳レベルの発言とせせら笑いたくなるのだけど…
そもそも今時、大学受験に際し“予備校”へ行かせることが“経済力優位家庭”であるとは私は到底思わない。 我が娘などただの一度も“予備校”になど通わせていない(美大受験予備校へは通わせ我が専門ではないデッサン等に励ませたが、後に理系方面へ大幅に方向転換した)。 このサリバンの腕一本で娘の大学受験学力(とは言っても「公募制推薦」合格能力だったが、これを勝ち取るために高校までの学習能力を常に鍛錬させねばならなかった)を叩き上げ、無事合格に導いている。
もしかしたら萩生田さんご自身が、過去に貴方の御親殿が貴方を当時の明治大学商学部に入学させるのにムダ金叩いて予備校へ通った経歴をお持ちなのかもしれないが…?? 教育力が得体の知れない予備校にそれ程のカネを投入せずして、親力一本で可愛い我が子を大学合格に繋げられる家庭もあるのですよ。 その点でも、萩生田さん見解は大いなる論理破綻と結論付けたい。
最後に、萩生田氏の本日の発言を引用しておこう。
萩生田光一文部科学相29日の閣議後記者会見で、大学入学共通テストの英語で導入される民間検定試験を巡り「自分の身の丈に合わせて頑張ってもらえれば」とテレビ番組で発言したことについて「撤回し、謝罪する」と述べた。 萩生田文科相は28日に報道陣の取材に応じ「国民、特に受験生に不安を与えかねない説明不足の発言だった。おわびしたい」と述べたが、野党から「発言自体を撤回すべきだ」との批判が上がっていた。 29日の会見で萩生田文科相は「受験生を見下したり切り捨てたりすることを念頭に発言したわけではない」と強調。 その上で、2020年4月を予定している民間試験の導入時期について「さまざまな課題があるのは承知の上で取り組んできた。さらに足らざる点を補いながら、予定通り実施したい」と話した。 (以下略すが、ネット情報より引用したもの。)
私見だが、2020年4月といえば、もうすぐではないか!
様々な難題を抱えつつ、辞任して当然の不届き文科省大臣の下に実施される来春の大学受験に挑まざるを得ない受験生の混乱の程が目に見えて、実に不憫だ……