原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

「姨捨山大国ニッポン」高齢者孤独死が社会現象に…

2019年05月14日 | 時事論評
 冒頭からお断りしておくが、上記表題は本日2019.05.14付朝日新聞広告欄、本日発売の「週刊朝日」記事の広告より無断転用させて頂いたものである。


 かなり前の事だが、トレーニングジムにてよくお声を掛けて下さる70代後半男性が私に話しかけてくる。
 「うちのばーさんが、姨捨山に行っちゃってね…」
 私応えて、「えー。姨捨山って自分で行く場所ではないですよ。 ははあ、分かりました! もしかしたら奥様が入院されたのですか?」
 これが図星だった。 私が付け加えて「それで、寂しいんでしょ??」
 「うん、寂しいよ。 今日もジムの帰りに病院へ寄るんだけど… 」

 その後1ヶ月程経過した頃からだろうか。 その男性が、ピタリとジムへ来なくなった。
 奥様が亡くなられたのに間違いない。 
 ご自身は「うちのくそ婆が…」などと照れ隠し発言をよくしていたが、なんのなんの、仲良しオシドリ夫婦であることはその口調から実感させていただいていた。
 後期高齢期以降に男性がその高齢域にして突然一人暮らしを強いられることの、心の拠り所の無い“喪失感”“わびしさ”が痛い程伝わった出来事だった。
 子供さんが出来なかったご夫婦で、その後当該男性がどうされているのかなしのつぶてである…


 話題を変えて、昨日郷里の高齢者自立支援施設にて暮らす実母より電話が入った。 予想通り、母の日用に贈った菓子折りの御礼電話だったのだが。 
 実母とは米国在住実姉の件等々で昨年トラブルが多かったものだが。 その後、当該問題が一件落着して以降、比較的心穏やかに施設ライフを楽しんでいる様子だ。
 入居3年半が経過し、すっかり施設暮らしが板につき、今ではむしろ一人暮らしをしていた頃よりも活性化され若返った様子すら伺える。
 そんな実母が私に言うには、「いつも贈り物ばかりしてもらって申し訳ない。お返しをしたいのだが、車の運転免許証を返上した今、自由気ままな外出がままならない。 でも、とても嬉しいよ!」
 応えて私曰く、「お返しは今後一生要らないよ。 そんなに嬉しいのならこれから幾らでも送ってあげるからね。」 その後も電話にて実母が「申し訳ない。」と「嬉しい。」を何度も繰り返す…

 そんな実母は施設入居に際し、一人暮らしをしていた住居を単独自力で売却に持ち込んだ! 
 私が売却を手伝うと申し出ていたのに、それに先行してさっさと自宅を売りに出したのには驚かされたものだ。  あれぞ、実母の今後の施設暮らしへの“決死の決意”と私はみた! 自宅住居がいつまでも残っていたのでは、施設入居への意思が薄れると判断したのであろう。 
 
 上記記載の「週刊朝日」にても、「ゴーストタウン化する郊外 3戸に1戸が空き家で地価暴落」なる記事が公開されているようだが。
 まさにこの問題、既に大きな社会問題化している。 古びた空き家が崩れそうになりつつ放置されている光景は、私が住む大都会でも見つける事が可能だ。


 標題に掲げた、“一人暮らし高齢者の孤独死”も切実な課題だ。
 上記広告によれば、「高齢者の5人に1人が一人暮らし」だそうだ。

 これに関しては、この原左都子とて他人事ではない。 実母や義母のごとく素直に施設へ入居するべくキャラが生来的に備わっていない。  と言うよりも。 天邪鬼でアウトサイダー、集団嫌いの私が施設で共同生活など出来るすべも無い事実が切実だ!
 我が娘がおそらく一生嫁に行かないであろうとも想像しているが(?)。 そうだとせよ、サリバンの私が娘の世話になる訳もない! いやいや娘の存在こそが、我が老後に於いても“老化”を抑えてくれるエネルギーの根源であろうと期待すらしている。
 (それよりも何よりも遠い将来の我が死後の、娘の“孤独死”こそがサリバンとしての大きな課題だ。 だからこそ私は130歳まで生きて、娘のサリバンを貫徹したいと半ば本気でバックナンバーにて宣言した。


 この「週刊朝日」本日発売号の主たるテーマが「シニアを使い捨て 急増ブラック労災」だった。

 確かにこれぞ切実なシニア課題だ。
 安倍政権は高らかに「高就業率」を伝えてばかりいるが、その実態とはこの貧弱事態だ。
 要するに、生活に困窮した高齢者をはじめ全世代の貧困層が、何でもよいから仕事にありつこうと彷徨っている我が国の実態だ。
 そんな中、確かに若者達は何らかの方面で使い物になるだろう。

 ところがどっこい。 
 誰が喜んで高齢者など雇う??  結局、そこに行きつくのがこの世の常だ。
 これに関しては、私自身も50代に我が専門力を活かそうと就職活動を成した経験をバックナンバーにて公開済だ。 その結果とは、現在の我が身が物語っている通りである…。
 いえいえ、我が医学及び教育専門分野に於いては何でもよければ仕事があるにはあるのだが。
 ただ結局、下手にアルバイト等の底辺身分で就業をしてしまうと、若造に顎でこき使われてしまう等々の予想だにしない結末が訪れるのだ。 それに耐えられるのなら専門を活かせば良かったのだろうが、私の出した結論とは、下手なりにも自己のプライドを保ちつつ心穏やかに老後を迎える事を優先したとの結末と言えるであろう。

 いやはや、「週刊朝日」の広告を一見すると。
 「シニア使い捨て 急増ブラック労災」!
 要するに、定年後に底辺職場にて下働きをせんと志したとて、若者よりもひどい扱いを受け…。
 工場で熱中症、転倒事故多発、機械への巻き込み事故、骨折で休んだらクビ… 状態らしい。
 実際、60歳以上の労災発生は年間3万件超、死亡者は328人、隠れ労災告発否定……


 最後に私見だが。
 
 その労働者実態を知りもせず、単にデータのみ見て「高就業率」を高らかに吹聴している安倍政権の支持率が上がっているとの昨日のNHKニュース報道でもある… 
 NHKの相変わらずの「安倍政権」偏向報道にも辟易とさせられるが…


 まさに「姨捨山大国ニッポン」にて、特に高齢者は今後如何に生き延びましょうかね!?!