原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

さあ五輪選手達よ、大声を出して勝ち進もう!

2012年07月28日 | 時事論評
 本日(7月28日)、いよいよロンドンオリンピックが開幕した。

 ところが、私は今日開会式が実施されることをすっかり忘れていた。
 連日の猛暑・熱帯夜と娘の大学の前期試験が重なり、ここ数日よく眠れない日が続きバテ気味の私である。 
 だるい土曜の午前中を過ごし昼前にテレビを付けると、ちょうどポール・マッカートニーがロンドンの開会式会場で「ヘイ・ジュード」を熱唱しているではないか! 「あっ、今日開会式だったんだ!」と遅ればせながら気付いた始末である。


 ロンドンへは24歳の時に旅行したこともあって、原左都子にとっては思い入れのある地の一つだ。 当時ロンドン・パリ・ローマとヨーロッパ3大都市を巡るツアーに参加したのだが、何と言っても英語が通じるロンドンが一番印象深い。 王朝風アンティーク内装のディスコへ行ってアイルランド出身の男の子と仲良しになったり、大晦日の夜にトラファルガー広場で大勢の若者達に紛れて騒いだり、ハイドパークで知り合った男性にロンドンを案内してもらったりした。 音楽好きの私はカーナビーストリートへ出向き、イギリス出身のロックバンド「The Who」のキャラクターグッズを買い求めたりして、ロンドンでの楽しいフリータイムを過ごしたものだ。

 本日夕方頃から開会式のハイライト放送、そしてその後続々と各種競技が始まるようだ。 8月12日の閉会式まで、世界トップアスリート達の奇跡とも言える技やパワーの集大成である4年に一度の“オリンピック劇場”を堪能させていただく事としよう。


 さて今回の我がエッセイでは、世界で闘うアスリート達が咄嗟に発する 「絶叫」 について考察することを趣旨として綴っていく。

 と言うのも、7月16日付朝日新聞でそれに関する興味深い記事を発見したのだ。
 早速、「大声が生む突破力」と題する朝日新聞記事を以下に要約して紹介しよう。
 テニスのシャラポア選手、ハンマー投げの室伏広治選手、卓球の福原愛選手に共通するのは、プレーの時の「大声」だ。 一流アスリートななぜ叫ぶのか。
 (対戦型種目の)シャラポア選手や福原選手は相手選手からクレームが出る程の「大声」であるが、「いわゆる火事場の馬鹿力です」と説明するのは某大学運動生理学講師氏。 めいっぱい力を出そうとしても、実は無意識のうちに抑制がかかっている。 声を出す事で興奮を高め、この抑制が解かれると生理的に限界に近い力が出る「リミッターカット」と呼ばれる効果が存在するとの実験成果も既に発表され、その後も様々な運動生理学研究者による実験研究によりそれは立証されつつある。
 スポーツ脳科学分野においても大声を出した時の脳をMRIで調べたところ、脳幹の青斑核部分の活動が高まる事が確かめられている。 青斑核とは神経伝達物質ノルアドレナリンを出す神経細胞の塊であるが、これが出ることにより心拍数や血圧が上がり覚醒や集中を促すことを裏付けた研究だ。 
 ただし、これもやり過ぎると逆効果を生む。 左右非対称の複雑な動きをする時に重要な脳の運動前野は興奮するとうまく機能しなくなる。ノルアドレナリンも出過ぎると不安や恐怖を感じるため、興奮にはデメリットもある。 最上のパフォーマンスには適度な刺激や覚醒状態が必要だ。 声を出す事によりエネルギーを消費するのも事実。それぞれにとって最適な状態を知ることが大切であり、「絶叫」はここ一番の場面に限定した方がいい、とアドバイスする専門家もいる。
 (以上、朝日新聞記事「大声が生む突破力」より要約引用) 


 元医学関係者の原左都子の私事に入るが、私など特段「絶叫」せずとも常に神経伝達物質ノルアドレナリンが大量に脳より放出しているタイプの人間かと、若かりし頃より考察している。
 なんせ、起きている時間帯は常に「心拍数や血圧が高い覚醒状態」にある。 これは一昨年、心臓の“24時間ホルター検査”を受けた時点で証明された。 寝ている時間帯と覚醒時との心拍数の変動が特異的に大きいのだ。 我が主治医が言うには「これ程覚醒時に高心拍数が長時間持続する人は稀だ。 これだけ心臓に負荷をかけ過ぎると長生きできない事もあり得る…」  「いえいえ先生、私は善玉コレステロールも特異的に多いですし、私の場合“のんびりしなさい”などとアドバイスされると余計焦ってしまう気質ですから、今まで通り日々“興奮気味”で暮らした方が自分にとって最善と心得ます」云々と応えたところ、さすが私が主治医として選択した先生曰く、「今まで通りに生活するのが一番でしょうね。また心臓がバクバクしたらお越し下さい」 何とも物分りがよい。

 それにしても、卓球の福原愛選手のファンである私は、あの「サー!!」の絶叫が何とも心地よくてあれを聞いたらスキッとする。 「愛ちゃん、もっと叫べ!!」などといつもテレビの前で応援している程の勝負好きの有様だ。 
 片や、相手の選手が愛ちゃんの真似をして「絶叫」などすると「うるさい、黙れ!!」と叫びたくなるから我ながら身勝手なものでもある…

 「絶叫」の効果に話を戻すと、カラオケ好きな私が何故それを好むのかを分析するならば、単に音楽好きに留まらないとの答えは既に出ている。 
 結局、あの狭いカラオケ室の空間で「絶叫」したいのである。
 常に心臓バクバクの私がカラオケ室で「絶叫」などしたら、上記の朝日新聞記事によるともっとノルアドレナリンが放出され興奮状態となりそうだが、人によりそうではない場合もあると私は考察している。 むしろ「絶叫」等ストレス発散とも言える行為により、心拍数を下げ心身を落ち着かせる作用の神経伝達物質が脳から放出される場合もあるのではないかと私は考えるのだ。 これぞ、朝日新聞記事内最後に記されている「それぞれにとって最適な状況を知ることが大切」との結論が導かれる所以であろう。


 おそらく、世界的に類稀な実力を持って今回ロンドンオリンピックに挑んでいるアスリートの皆さんは、それぞれバックに専門医療チームを抱えておられる事でもあろう。
 それにも増してオリンピックへの厳しい道程を耐えて来られた過程で、選手の皆さんは自分なりの体質や気質を、(失礼ながら“なまじっか”の)専門家氏よりもご自身が一番理解しておられる事と原左都子は推測する。
 専門家のアドバイスも時として役に立つものだが、ここは洗練されたご自身の力と思想を信じて、どうか最後まで全力で闘い抜かれますように。

 アスリートの皆さんの爽快な 「絶叫」 が楽しみな私だ! 頑張れ!!