原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

教室にクーラーは必須だ!

2012年07月02日 | 教育・学校
 今年の東京地方は、比較的涼しい梅雨期間が経過している。
 例年ならば、早くも5月頃から最高気温が30℃を超える“夏日”が珍しくもなく、6月に入ると、最低気温が25℃を超過する“熱帯夜”の到来で寝苦しい思いをさせられることも少なくない。
 
 ところが今年の夏は未だ“夏日”を数える程しか経験しておらず、“熱帯夜”は一度も到来していない。 夏の掛け布団では少し肌寒い夜もある程だ。 
 本日(7月2日)午後現在外は晴れて多少の蒸し暑さを感じるものの、我が家の室温は27℃。 7月にしては凌ぎやすい気候である。

 昨年まで使用していた我が家に1台しかなかった扇風機は、なんと30数年に渡って毎夏働き続けた代物だった。
 私が上京した折に買い求めた商品で、お洒落なデザインが気に入っていた。 現在においても十分通用するモダンな外見と共に、(私の手入れの良さもあって?)故障も不具合もなく毎夏涼しい風を送り続けてくれていた。 モーター音が多少うるさくなり始めていたものの、もっと手元に置いて使い続けたい思いが山々だった。

 2,3年程前から、古い扇風機やエアコンの室外機が火を噴いて火災になるニュースが流れ始めたことは皆さんもご存知であろう。 特に使用年数30年を超過した扇風機が火を噴く確率が高いとの報道に怯えつつも、火を噴いたらすぐ消火体制に入ろうかなどと素人考えをしながらまだ執着して使用していた。
 それにしてももう潮時だ。 覚悟を決めて昨年、泣く泣く粗大ゴミとして処分した。(まだ使えるし可愛い相棒だったのにな~~、と後ろ髪をひかれつつ…

 その後、新しい扇風機を買い求めることすら忘れる程の今夏の涼しさである。
 先だってやっと夏日が到来し、そう言えば我が家には扇風機がないことに気付きネット通販で新しい扇風機を注文した。 ところがその後も到着した扇風機のスイッチを入れる経験をまだしていない程の涼しい日々である。


 我が家の扇風機談議で前置きが長くなったが、こういう涼しい時に学校の教室に冷房が必要か否かを議論すると、“反対派”が出没してしまうのも人間の心理というものなのか?

 と言うのも、朝日新聞6月24日付社会面に「教室冷房あり?なし?」との記事が掲載されていたのだ。
 毎年40℃近い猛暑の中でクーラーなしの授業を強いられたり、体育の授業や課外活動中に熱中症で倒れる児童生徒が後を絶たない現状において、その記事によると「快適過ぎる環境はよくない」などとの精神論をぶつ自治体首長が未だ存在して、冷房設置を見送っているとの話題である。

 以下に、この記事の内容を少し紹介しよう。
 猛暑を乗り切るため教室に冷房を設置する公立学校が増えている一方で、節電の必要性や財政難など課題も多い。 気象庁によればこの夏も西日本を中心に暑くなりそうだ。 学校のエアコンはぜいたく品か?
 以前は4台の扇風機フル回転でも室温が37~38℃になる教室内で、熱中症予防対策として水筒が欠かせなかった小学校にエアコンが設置された。 「勉強に集中できるし、以前とはまったく違う」と喜ぶ中学生がいる。 この自治体では、「健康と学習効率のため必要」との判断で、昨秋小中学校の大半にエアコンを設置したらしい。
 文科省の調査によると、全国の公立小中学校でエアコンがある普通教室の割合は2010年時点で16%程度とのことである。  昨年の大震災を理由にエアコン設置を見送る自治体もある。「快適な生活が多くの犠牲で成り立つことを原発事故で知った今、その追及をやめるべきだ」と言うのは、埼玉県所沢市長である。 所沢市は財政難に直面しているとの背景もあり負担が大きいとのことだが。
 文科省の学校環境衛生基準によると、教室の望ましい温度は10~30℃とのことだ。 ただし、地域で温度への耐性が違うため強制値ではない、とのことでもあるようだ。 某建設環境工学分野が専門の教授氏によると、「公立学校は断熱性が低いため、冷房なしでは過酷な環境の校舎が多い。過剰な使用を防ぐルール作りや節電の取り組みをしながら冷房設置を進めるべき」と指摘している。


 原左都子の私事及び私論に入ろう。

 我が子ども時代に通った過疎地の公立小中学校には、時代背景的にもちろんのことエアコンなど設置されていなかった。
 今から4、50年前の話であり、当時は全国的に現在ほどの猛暑日を経験しなかった時代である。 当時はおそらく最高気温が30℃を超過すると皆が「暑い!暑い!」と騒ぐ程度だったのではあるまいか?
 いい大人がそんな過去のノスタルジーを基準として、現在の学校教育現場の“激暑”を語るのはとんでもない過ちだ。

 我が子もエアコンのない公立小学校へ通わせたが、猛暑が続く6月から9月頃にかけては我が子の健康を慮り、親としてそれはそれは日々心労を重ねたものである。 水筒に冷たいお茶を持たせるのはもちろんの事、教室の座席によっては扇風機の風さえ届かない事情も知り(今日こそあの子は熱中症で倒れるのか…)と怯えたものである。 勉強に熱中できない?? そんな事、我が子にとっては二の次の課題である。後で“お抱え家庭教師”の私が教え直せば済む話だ。 そんな事よりも猛暑の日にはとにかく、暑さに耐え抜いて無事に帰宅してくれることだけを祈ったものである。
 中学校から我が子を私立へ行かせる事により“猛暑”対策に関してはどれ程安心できたことか。 何分、私立の場合は最低限教室にエアコン装備である。むしろ“冷え対策”を考慮してセーター等を持参させた程だ。 (決して私立に於いてはガンガン冷房をつけている訳ではないのだが、教室の座席の位置や生徒間の感覚個人差が激しいとの事情は避けられない様子だったためである。)


 上記朝日新聞記事内に取り上げられている 埼玉県所沢市の市長氏 に原左都子から一言申し上げたい。
 市が財政難ならば、市長の立場から率直にそう訴えれば済む話なのではあるまいか?

 貴方がどれ程の年齢の方かは存じないが、現在の酷暑の実態とは精神論で済まされる範囲をはるかに超え人命にかかわる事を、自治体の首長たるもの把握し直す事から出直さねばならないと私は心得る。

 所沢市役所現場は如何に対応するご予定なのだろう? 市長の貴方をはじめとして、市職員の皆さんもエアコンなしで猛暑を乗り切るとの決意なのだろうか? それも避けた方が無難と私はアドバイスしたい思いだ。 もちろん大人の方が子ども達より抵抗力も免疫力もあるだろうが、それにしても35度を超える猛暑日をエアコンなし状態室内で乗り切るためには、相当の体力を要することであろう。

 所沢市も今後市政の発展のために精進するべき課題は山積みであろう現実を考察させて頂くと、効率的な市政業務遂行のためには市庁舎にエアコンを装備するべきであるし、それに先立って、まずは子どもの命を守るために市内公立小中学校の全教室にエアコンを設置することを急ぐべきではあるまいか??
 まだ心身共に未熟で発達段階の子どもの命のあるべき姿を医学的観点から今一度見直す事から、貴方の市長使命をスタートし直しては如何なものか。

 (最後に余談になるが、前回の記事で綴った「休眠預金」を、公立義務教育課程学校教室のエアコン設置の一部に使用しては如何なものか? などと本気で考えてしまう原左都子でもあるよ~~。 それ程に猛暑が人体に及ぼすダメージとは大きいのが事実だ。)