原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

政治とは期待する性質のものか?

2009年11月25日 | 時事論評
 鳩山新政権発足後2ヶ月以上が経過し、国民の新政権への期待感に“かげり”が生じ、支持率が低下し始めている様子である。

 「原左都子エッセイ集」を継続してお読みいただいている方々には既存の事実であるが、当ブログの筆者である私は、民主党が選挙戦において“政権交代”を高らかに掲げていた8月の総選挙以前から、予算編成のための“事業仕分け”作業に躍起となっている現在に至るまで、一貫して民主党を中心とした新政権の支持派ではない。
 何故に支持派でないのかの理由を一言で簡潔に説明するならば、新政権は未だ「何らの実績も上げていない」ためである。 故に、新政権の今後の実績によっては考えが変わるかもしれない。


 さて、少し古くなるが朝日新聞11月15日の「期待感にかげり」と題する記事によると、鳩山新政権に対する国民からの厳しい意見が表れ始めているようだ。
 郵政人事、閣僚発言のブレ、依然として厳しい不況…  これらに対し、「何か一つでいいから景気が良くなることをやって欲しい」、「東アジアより蒲田にお金をかけてよ」、あるいは「マニフェスト実現のために予算を上乗せするのなら意味がない」、はたまた「事業仕分けをしている人は地方の現状を見ていないのではないか」……
 その他、鳩山首相の献金問題への批判もあれば、景気対策に関しては麻生さんの方がまだしも積極的だったという意見、加えて私論同様に「もともとそんなに変えられると思っていなかったから、失望もしていない」等々との国民からのコメントもある。


 それにしても鬱陶しくて耳障り極まりないのは、政権発足後2ヶ月以上も経過した今に至って尚、新政権の総理や民主党幹事長が国会やマスメディアで豪語し続けている「国民の“皆さんの期待”に応えるべく新政権は責任を担っている。だから、マニフェストは遵守を貫く!」云々のフレーズである。 あれを耳にする度に、「皆さん」って一体誰? 実在の証明できない“空虚な期待感”にどれ程の重みがあるの? と不快感ばかりが募る私である。

 8月末の総選挙で民主党“圧勝”と伝えられた割には、投票率や得票総数を冷静に算出し直すと、民主党が全国民から得た得票率は過半数に大きく満たないのだ。 要するに、実質過半数の国民は民主党をはじめとする新政権に当初より“期待”などしていない現実である。 このような単純計算は当然ながら新政権とて舞台裏で実施済みであろう。
 であるにもかかわらず、いつまでも「国民の皆さんからの期待」を受けているという新政権幹部の発言パフォーマンスによる“溺れる者、藁をも掴む”ごとくの段階は既に過ぎ去っているという現実を、新政権はもういい加減見据えるべきである。
 “初心者政権”であることを大目に見るとしても、できるだけ早い時期に「国民の期待」への依存から“自立”するべきである。 あの発言により新政権支持派ではない国民層をいつまでも敵に回していないで、その層からも少しでも多くの支持が得られるよう真摯に国政に臨んだ方が、新政権にとって得策ではないのか。
 いつまでも“空虚”な「国民の皆さんの期待」ばかりに依存しそれを公の場で政権幹部が反復していることでは、見識ある国民の目からは何とも頼りない政権との印象しか持てないのが実態だ。 新政権が何らかの実績を上げた暁にはその実績を認めようとの意思のある「潜在的支持者」の存在にも、少しは気付くべく行動を取るべきである。


 そもそも政治とは国民が“期待”するべく事象であるのか??
 この私など、そういう発想は選挙権を得て以降一切ないとも言えるのだ。 本ブログのバックナンバーでも何度かその旨記載しているのだが、国政に何かを期待したことなど我が人生において皆無であるが故に、我が職業選択として「国会議員」という発想は一切なかったし、国会議員という職業に対して何の魅力も感じ得ないのだ。 (実は地方自治体の議員に関しては少しだけ出馬の意向があったことについては、当ブログのバックナンバーのコメント欄で記載済であるのだが…)
 
 世襲や縁故や個人の私利私欲ではなく、真に国民のリーダーとなり国政を担って国を救い発展させたい思いで国会議員を目指す人物が、果たしてこの国この世に存在し得るのか??
 そんな人物を見たためしがないというのが、大方の国民の正直な思いではなかろうか。
 その国民の一人である私はそれ故に、元より新政権発足以降未だ“何一つ実績を上げていない”現政権に期待などし得るはずもないのである。

 新政権発足から2ヶ月以上が経過した今、もうそろそろ実体の乏しい「国民の期待」にぞっこん頼ることから卒業して、“初心者”新政権も今後国民の真のリーダーと育つべく、今一度内部から我が身を立て直して地道に精進して独り立ちしましょうよ。
 あなた方が真に国民依存より自立して国政を担う力量のある政権に成長するべく兆しが見えたなら、この私とて応援してもいいんですよ。
       
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