原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

バレエを観に行こう!

2007年10月22日 | 芸術
 趣味とは生活形態の変化や加齢と共に移り行くものである。
 近年の私の趣味らしい趣味のひとつとして、クラシックバレエ観賞が挙げられる。子どもが幼少の頃からクラシックバレエを習っている関係で、折を見ては家族でプロのバレエ公演を観に出かけている。元々音楽好きの私であるが、バレエ公演は生のオーケストラも同時に楽しめるため、うれしさ倍増である。

 数あるクラッシックバレエ古典名作の中でも、私の一番のお気に入りは「コッペリア」である。子どもが初めて出演させてもらえた古典全幕ものがこの作品だったため、親として大いに思い入れがあるためだ。「コッペリア」全3幕のうち、第2幕はコッペリウス爺さんの仕事場という設定のため舞台が暗く、素人にとっては観ていて中だるみしやすい場面であるが、実はこの第2幕の主役スワニルダの長いソロが圧巻なのである。第1幕、第3幕は言わずと知れている通りいつ見ても見飽きることがない。その中でも私の好みは1幕のチャルダッシュ、3幕のコーダである。(素人丸出しですみません。) 2004年に熊川哲也率いる“Kバレエカンパニー”の「コッペリア全幕」を観た。熊哲人気のためか、“Kカンパニー”公演はいつも観客動員数が群を抜いて多いようだ。近年は古典を新しく解釈し直した作品が多い中で、この熊哲の「コッペリア」はジプシーの女性が登場した以外は古典にほぼ忠実な演出で素人にもわかりやすかった。“Kカンパニー”は新しいバレエ団体であるためか、出演者が少なかったのが私には多少物足りなかった。
 バレエの魅力と言えば、やはりプリマドンナの存在感ではなかろうか。新国立劇場でよく客演されているボリショイ劇場バレエプリンシパル、スヴェトラーナ・ザハロワさんを、私は「眠れる森の美女」と「白鳥の湖」で拝見した。どのような視点から評価申し上げても、非の打ち所のないプリマドンナでいらっしゃる。端正なお顔立ちに均整のとれた抜群のプロポーション、正確で丁寧、細やかな技術力、そして優雅で繊細な表現力、気品に満ち溢れたそのお姿は他の追随を許していない。
 新国立劇場といえば、DAKARAのCMで豚になって踊っていらっしゃる本島美和さん主演の「カルメン」も観た。古典とはひと味もふた味も違う独特の世界が描かれた作品であった。相手役の貝川てつ夫さん(“てつ”の漢字が出せず、すみません。)は現在新国立劇場のソリストとして活躍していらっしゃるが、ソリストになられる少し前に、子どもの発表会にゲストとして出演して下さったことがある。公演の後、会場近くの駅で偶然帰りが一緒になりお会いしたのでお礼のご挨拶を申し上げたら、やさしそうな眼差しで丁寧に返答下さって感激したものだ。舞台での貝川さんの繊細な雰囲気は駅でお会いした時そのもので、私はこの貝川さん、好みである。
 12月のバレエ公演と言えば何と言っても「くるみ割り人形」であろう。毎年、あちこちの公演を観に行っているのだが、私が好きなのは“松山バレエ団”の「くるみ割り人形」だ。出演者総数が飛び抜けて多く、絢爛豪華でとにかく楽しい。子ども達もたくさん出演しているのだが、そこだけ浮いておらず全体の中にうまく溶け込んでいる。「くるみ割り人形」公演を観ると(あ~、今年も終わりか。)と思える我が家の年中行事である。
 この8月に新国立劇場で観た小林紀子バレエシアターの3部作「コンチェルト」「ザ・レイクス・プログレス」「エリート・シンコペーションズ」はまれに見る傑作であった。「コンチェルト」は昨年も拝見し、すばらしいのは既に知っていたが。素人にとってあまりなじみの無い作品というのは正直言って飽きることもあるのだが、今回は飽きるどころか3作品共に舞台に引き込まれ、時間があっという間に過ぎ去った。この舞台のすばらしさは、その後英国紙「Financial Times」でも大きく取り上げられた程である。 11月には小林紀子バレエシアターの「ジゼル」「ソワレ・ミュージカル」を観に行く予定だ。今からとても楽しみである。

 芸術の秋です。バレエにはあまりなじみがないとおっしゃる方も、たまにはバレエ公演を覗いてみられてはいかがでしょうか?
 
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