7月31日(日曜日)
京都に住んでいれば、誰でも目にしている「火廼要慎(ひのようじん)」と書かれたお札。
飲食店の厨房は言うに及ばず、京都の家庭の台所、事業所など、いたるところで貼られています。これは愛宕(あたご)神社の火伏札です。私の地区では毎年消防団の方が、この火伏札を愛宕神社へいただきに行き各家庭に配布しています。
京都の夏の風物詩の一つに「愛宕神社「千日詣(まいり)」が有ります。
千日詣りが行われる7月31日~8月1日の早朝までに愛宕神社に参拝すると、1日で千回登ったほどの御利益があると言われています。また3歳までの、お子さんを連れて登れば、一生火災にあわないとも言われています。
1カ月ほど前に、歌のお祭り会場でリマちゃんと交わした会話。
「千日詣に真樹ちゃんと二人で行っていますよ」 「私も一緒に連れて行ってくれないかな?」
数日前に集合場所・時間が決まりました。そこで愛宕山について調べると、愛宕山は、標高924mも有り比叡山よりも高いと出ています。頂上まで往復5時間とかなりの山のようです。行きたいと言った時は安易に考え、1時間~1時間半くらいかと思っていました。
千日詣の持ち物、服装などことこまかに真樹ちゃんはメールしてくれます。31日京都駅西口のうどん屋さんの前に9時半集合。元気一杯9時過ぎに山陰線乗り場に到着。うどん屋があった!!
ここで待ちましょう。25分になるも二人が現れません。携帯に電話しましたが、雑音で聞き取れません。
こちらの言いたいことを言って歩いていると、数メートル先に真樹ちゃんが電話をしている姿を発見!
無事合流出来ました。うどん屋は他に西口に改札の2階にあるとのこと。それは知らなんだ。携帯電話の世の中で助かります。JR嵯峨嵐山駅で降りて、バスで清滝まで行くのがいつもの行き方のようです。
三人いればタクシーが一番や~。ものの10分で清滝に到着。タクシー運転手の方がおっしゃるのは「千日詣に車で清滝に来る方はアホや。駐車場は少なく置けなくて引き返すのがオチ」。
久しぶりの清滝です。坂を下りて行けば、見覚えのある赤い橋が。下を見れば、高校生グループが清滝川で泳いで楽しそう。
鳥居の所が愛宕神社の登り口。
その前では杖を売っています。1本1,000円也。
立て札には、表参道の距離は約4キロ。さあ元気よく登りましょか。参道の横には頂上までの目安の立て札が有り、1/40から始まります。若い二人の足を引っ張らないよう出発しましたが、瞬く間に離されてしまいます。登る人、下りる人がすれ違うと、 「おのぼりやす」 「おくだりやす」と声を交わします。
これは小学生でも大きな声で挨拶します。一般的な山登りで交わす言葉は「こんにちは」 。
先日の新聞に千日詣のことが出ていました。そこには「おのぼりやす」「おくだりやす」と書いてあったので、京都らしいなと。早速に実践しましたが、すれ違う人が多く「テープレコーダー」に頼みたい気分になってしまいます。
夏山の登山は水分補給が大切です。それこそ30分ごとに一服します。冷凍したアクエリアスの美味しいこと。休憩する度に一度に飲む分だけ溶けています。私が持参の冷凍ブルーベリー、冷やしミニトマトを食べてもらいましょ。
キュウリも持ってきていますが、これは頂上で食べるとのこと。
歩き始めて2時間経過するも20/40にも達していません。先が思いやられます。途中には林が開けた所が有り、京都タワーも見えます。
爽やかな風が通り抜けると爽快です。
一人で登っているお爺さんが一服しています。話をすれば82歳とのこと。自前の杖2本を竹で作っています。
「2本で歩くと歩き難いので、1本使ってもらえないか」と天の声。「使わせていただきます」
転ばぬ先の杖。助かりました。
すれ違う人の中には、小さな子どもをおぶったり抱いたりしている方の多いこと。これも親が若いからのなせる業。元気の良い御婆さんの声が聞こえて来ました。この方も話をすれば、今年87歳と高齢です。「100歳まで大丈夫ですね」
負けてなるものかと奮い立たせるも、体が言うことを聞いてくれません。
遅くとも2時頃には到着するかと思っていましたが無理。これだけ私が二人の足を引っ張っていれば仕方が有りません。
40/40の立て札が。
到着かと思いきや41/40が登場。
何やコレ。 騙したな!
最後になって石段が続きます。ようやく「愛宕神社」にたどり着くことが出来ました。
拝殿にお参りして一服しましょか。
夜にお参りすれば、座っているこの場所は夜を明かす人で、一杯になるようです。
まずは乾杯!
リマちゃんと私は、お互いビール2缶持参しています。冷やしたキュウリを丸かじりしてもらいましょ。
「美味しい!」
突然空には雨雲が現れ、ポツリポツリと降って来ました。雨雲が通り過ぎるまで待ちましょうね。
下山の途中で雨に会えば悲劇です。1時間ほど休憩して下山開始。
下りるのは楽ですが足の爪が痛いぞ。痛いと言ってもなすすべは御座いません。ガマンの一時です。
途中で、 「虹が出ている!」の声で空を見上げると大きな虹が出ています。
ラッキー!
雨上がりの道は滑ります。気を付けて歩いていますが、今日は3度も滑ってこけてしまいました。周りの方が「大丈夫ですか?」と声を掛けてくれます。「大丈夫です」と答えるも、一人でたちあがれそうもないと見れば、二人の男性が手を持って起こしてくれます。どなたも心優しい方ばかりです。
途中から約4キロの参道に電灯がともります。登って来る方の頭には、サーチライトが道を照らしています。
やっぱり安全な登山は、明るい間が一番です。
10/40の立て札が見え元気が出て来ました。早く平地を歩きたい。
私の足取りは酔っ払いのそれ。ふ~らふら。あちこちの痛みでままなりません。もうすぐ終着点。あれまぁ年寄りが倒れて救助隊の方が8人ほど来ています。どうやら最後に転んで頭を打ったようです。気を引き締めておりましょう。
8時過ぎに、くぐった鳥居に無事帰ることが出来ました。 三人で無事下山を祝いエイッ!
それにしても想定外の千日詣でした。元気の良い方は2時間とのことですが、我が身の老化を意識せざるを得ない、倍の時間が掛かってしまいました。私の歩きが遅く二人の足を引っ張ってしまいました。「ごめんなぁ」と言えば「遅くなったお蔭で夜も味わえて良かったよ」。泣けてくるぅ。バスで終点の阪急嵐山駅に行き、そばにある「風風のゆ」で汗を流しサッパリしました。
足の爪を見れば左の親指が死んでいます。
お腹が空いた。何を食べて帰りましょ。 「温かい物が食べたい」の声で、四条大丸裏の「アダン」でアグー豚のシャブシャブに行きましょう。時間は10時を過ぎています。オリオンビールで乾杯!
すきっ腹なので美味しいね。
アグー鍋のシメには沖縄ソバを投入。鍋は綺麗に空になりました。
「大津へ帰る最終電車は京都駅12時2分です」
間に合うよう帰りましょう。11時35分京都駅に着きました。今日はお世話になり有難う!「またね!」
一つ早い電車に乗れたかな?
【参 考】
1.その表参道を登る事により、ご利益が授かる行事があります。
7月31日21時:夕御饌祭(ゆうみけさい)。山伏によるゴマ焚き神事あり。
8月1日2時:朝御饌祭(あさみけさい)。人長の舞奉奏、鎮火神事あり。
これに参加するため、参道はごった返し。
早く上ることも、早く下りることもままならないようです。
2.トイレは頂上の手前に、1か所のみしか有りません。
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