11月30日(月曜日)
昨日は元同僚と久しぶりに、それいけやれいけと京都競馬場で遊んでいた。
そこへめったにかかって来ない携帯電話が鳴った。誰だろうと見れば、登録をしていない人からの電話だ。間違い電話かな?と思いながら電話に出た。田舎に住んでいる友人、T君の奥様からだった。「主人が亡くなりました」の悲しい知らせだ。
通夜、告別式の詳細をFAX.でお願いして電話を切った。ついにその日が来てしまったのかと、しばし呆然となった。T君とは小学校から現在まで親しく付き合っている間柄だ。4年ほど前に大病を患い手術をした。それから幾度も手術をしたが、その度に成功したと聞かされ、良かったなあと一緒に喜んだ。 「早く元気になって沖縄に行こう」と約束していたが、夢幻で終ってしまった。
年に2~3回婆さんの顔を見に鳥取へ帰省するが、その度にT君の家に立ち寄る。春に会った時は、 「家の掃除をするのを日課にしているが、最近は息切れがして、えらい」と嘆いていた。
一番堪えていたのが、酒もタバコもダメな事だった。彼の持論は、 「人間一生で酒が飲める量は決まっている。俺は今まで飲み過ぎたようだ。だけどつまらんなあ」。彼は病気にかかるまでは、酒とタバコが大好きだった。独身時代は大阪で仕事をしていたので、京都、大阪のキャバレーで数え切れないくらい一緒に飲んだものだ。お互いに品行方正だったので、一度もトラブルに巻き込まれることは無かった。
今夜は5時半から通夜だ。昼に京都を出発し、自動速度取締りを気にしながら中国道をぶっ飛ばした。院庄ICまで2時間で、丁度200キロだった。奥津温泉の道の駅で昼食にラーメンを食べた。 「元気麺屋」の麺は自家製で腰があり、美味しい麺だった。おしいかなメンマが硬すぎる。
奥津~人形峠は雪深い所なので、紅葉は過ぎていた。
渋滞もなく無事に隣の町に到着した。東郷湖のほとりにある水明荘で温泉に入り、妹の家に着いても4時半で余裕しゃくしゃくだ。走行距離278キロメートル。飛ばしすぎ・・・。
妹の旦那さんがプリン体99パーセントカットの「キリン端麗W」を買ってきてくれ1缶飲めば、通夜の時間になった。
所変われば風習も異なる。通夜は自宅で、告別式はメモリアルホールが一般的のようだ。また通夜は正装の必要はなく、ジミな格好であればそれで良い。玄関に入ると奥さんと息子さんが出迎えてくれた。顔を見ると声にならない。
「ようきてくれなった。顔を見てやって」の声で我に返る。棺おけに入っていたT君は穏やかな顔をしていた。春に見た時よりも顔がほっそりとなっていて、それが闘病生活を物語っていた。「T君4年間も弱音を吐かず前向きに病と闘ったなあ、もう頑張らんでもええで。これで楽になったなあ・・・」と声をかけた。拝み終わると、後ろの方から「ゆみちゃん」と声をかけられた。誰かいなと思えば同級生の「か~子」さんだった。彼女は大阪に住んでいる。昨日電話をしたとき「兄の葬式で帰省しているので、通夜に行ってくるけ」と言っていた。他に同級生はいないかなと見渡したがいなかった。二人で前の方に座りお経を唱えた。通夜のお経は大変短く、4ページほど唱えると終了した。焼香は珍しく 「回し焼香」 だった。
和尚さんが帰ると、奥さんと息子さんの謝辞があり、寿司とお酒が振舞われた。参列者全員が車座になって、よばれていたが、か~子さんと私は遠慮して帰ろうと席を立った。奥さんに帰る旨声をかけると「そがなこと言わんで」と寿司とビールを廊下まで運んでくれた。そこで奥さんからT君が亡くなるまでの一部始終を話していただいた。2ヶ月前に入院したが、親指ほどの量しか食べることが出来ず、道理で顔が細くなっていたかよく分った。子ども二人とも臨終に間にあったそうな。亡くなる前日に関東から娘さんが病院に来た時は意識がはっきりしていて「コンビニに行って弁当を買ってきてやれ」と言ったそうだが、翌日に息子さんが香港からかけつけた時は、言葉を発せられなくなっていたようだ。
奥さんが 「おとうさんと結婚して良かった。有難う」と声をかけ、脈がなくなるまで手を握っていたと聞くと涙が出てくる。我が家もこんな光景が再現されれば理想だが、「何で私と結婚したの?」と聞かれる現状では、どう考えてても無理ぽい。これからどれだけ精進できるかが鍵だ。帰りに弟の所に寄れば、パソコンに取り込んでいる記憶にないような写真の数々を見せてくれた。(49年前の泊漁港と妹、弟、近所の子ども達)
焼きつきしている写真を1枚1枚取り込み、年代別、家族別に分けてあり、さぞかし手間のかかったことだろう。これは面白いきっと愛妻も喜ぶだろうと思い、「メールで写真を送ってくれないか」と頼むと「CDに取り込んでやるから」と約束してくれた。妹の所に帰り「通夜に同級生はか~子さんと二人だけだった」と言うと「通夜は親類が主だよ」の答えが返ってきた。明日の告別式に果たして何人の同級生が来るだろうか気になって・・・。
しばらく古嫁、孫、若嫁と楽しませてもらいます。
有難うさん。